のぞみのグダグダぐ~たライフ   作:てんつゆ

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第11話

 

 

 ――――そして、2階。

 2階は基本的に1階と同じなんだけど、3階から急にモンスターが強くなるから、最低でもこの階までにはレベリングかそれなりの装備を揃えとかないと厳しい感じだよ。

 

「伝説の剣、来てええええええええっ!」 

 

 叫びながら2階の最初の部屋を見回すと、剣が落ちてるのを発見した。

 

「あっ!? あった!?」

 

 急いで剣まで走ったのぞみだけど、剣の目の前に辿り着いた瞬間に足元でカチッと音がして、直後爆発が起こった。

 

「けほっ。ト……トラップ!?」

 

 爆風が収まった時には剣は木っ端微塵に吹き飛んでて、のぞみが手に入れる予定の武器が無くなっちゃった。

 

「そ、そんなぁ…………」

「無くなったら、新しいのを探せばいいでおじゃるよ!」

「そ、そうだねっ!」

 

 大納言のアドバイスで立ち直ったのぞみは、すぐに次の部屋へと向かった。

 そして次の部屋に入ったら、ちょっと遠くに雑魚スライムを発見。

 

「よしっ、あれでレベリングしよっと」

 

 のぞみはアイテムボックスから草を取り出した。

 草は1回使わないと効果がわからないから、まずは1回使ってみるのが基本だけど、のぞみはあえて草を雑魚スライムに投げつけた。

 

 そして草を投げつけられたスライムはその効果でスーパースライムにレベルアップしたんだ。

 

「やった~。狙い通りっ!」

 

 スライムに投げつけた草は、飲んだらレベルが1つ上がるレベルアップ草だったみたいだね。

 スーパースライムは50階以上先にしか出てこない終盤のモンスターなんだけど、無理やりレベルアップさせる事で、序盤にも出現させる事が出来るんだよ。

 

 けど、終盤のモンスターを序盤に相手する事なんて出来る訳がない。

 ――――と思いきや、普通に相手をする必要なんて無いのだっ!

 

 

「くらえ~。お金砲!!!!」

 

 のぞみは、あえてアイテムボックスにセットしておいたお金の入った袋をスーパースライムに投げつけると、スーパースライムをやっつける事が出来て、のぞみは見事大量の経験値を手に入れる事が出来たのだっ!

 

 これはお金を投げたら、お金の分の固定ダメージを与える事が出来るって仕様を利用したレベリングなんだ。

 

 今回のレギュレーションではバグ技や状況再現とかは禁止されてるんだけど、アイテムを使ったレベル上げは禁止されてないのだ。

 

 レベリングが終わったのぞみは探索を開始して、鋼の剣とよく分からいツボを見つけて次の階に向かう事にした。

 

 本当はもっと強い武器が欲しかったんだけど、まあ何も無いよりはかなりマシだから次の階に期待する事にしよっと。

 

 3階からはちょっと強いモンスターが出てくるんだけど、レベリングに成功したおかげで、そこまで強くない装備でもなんとかなりそうだよ。

 

 ――――そして、ここからは。

 

「階段あったあああああああっ!!!!!!」

 

 最低限のアイテムだけ拾ってからひたすら階段にダッシュ!

 フロアを一通り回ってる時間なんて無くて、ただひたすらに下だけを目指すだけだよっ!

 

「えっと今の時間わっと」

 

 のぞみは階段を降りてる暗転中にタイマーを確認する。

 一瞬でも時間を無駄にしない為に、時間や攻略チャートの確認はマップ切り替え中の一瞬で済ますんだよ。

 

 必要なアイテムの取捨選択、お店の販売価格を利用しての値段識別を駆使して、のぞみはひたすらに進む。

 

 ――――そして、遂にやってきた最終局面。

 最後の階段を見つけたのぞみは、倒れ込むようにゴールへと駆け込んだ。

 

「ゴオオオオオオオル! さあ、タイムはどうだあああっ!?」

 

 eスポーツソルジャーの声が聞こえた瞬間、のぞみはVRゴーグルを外して巨大モニターのタイマーを見つめた。

 

「1時間5分!? これはいきなりキッズ記録が出てしまったぞ~!」

 

 この番組は大納言が目指してる世界記録の他に、10歳以下のキッズ部門の記録も取ってるんだけど、大納言の弟子をやってるのぞみが記録を出した事で、この番組も続けてくれるはずっ!

 

 …………けど、なんでだろ?

 記録を出したのに、ニューレコードって文字が出て無いよ。

 これはもしかしてアレかな?

 大人用のも一緒にタイムを測ってるから、出ない的なアレだよね。

 

「タイ記録を出したスーパーのぞみんには後で記念撮影を撮ってもらうから、楽しみに待っててくれ!!!!」

「…………え!? タイ記録!?」

 

 記録が出た後に、画面には歴代の記録がずら~~~~って表示されたんだけど、一番上にはのぞみじゃなくて、違う子の名前が書いてあったんだ。

 

 のぞみの横には1番の数字がある。

 

 …………けど、のぞみの上にも1番の数字が。

 これじゃあ番組が終わっちゃうよ!?

 

「後は任せな」

「…………え?」

 

 泣きそうになったのぞみの頭をポンと優しいぬくもりの手が撫でた。

 のぞみに声をかけた大納言はそのままゲームの場所まで歩いていって、いつもの派手なVRゴーグルを装着して、ゲーミングの準備を始めたよ。

 

「では、スーパーのぞみんさんはこちらに」

「う、うん。わかったよ」

 

 スタッフの人に案内されて、のぞみは観戦席に移動した。

 

「のぞみさん、お疲れ様です」

「ほえ?」

 

 のぞみが後ろを向くと、そこには何故か友達の桜ちゃんの姿があったよ。

 

「あれ? なんでここにいるの?」

「出前に来たらスタッフの人に見てかないかって言われたんです」

「そうなんだ。でも、もうちょっとで単独の記録が出たのになぁ~」

「タイ記録だからじゅうぶん凄くないですか?」

「けど、それじゃ駄目なんだよね…………」

「えっ!? それってどういう――――」

「あっ!? 大納言のチャレンジが始まるから応援しないと! 桜ちゃんも応援手伝ってよ!」

「はい。任せてください!」

 

 そんなわけで大納言の最後のチャレンジが始まった。

 

 ――――ううん。

 記録が出せたら来週もあるんだから、最後なんかじゃなかったよ!

 

「がんばれ~~~~!! 大納言~~~~~~!!!!」

 

 もうのぞみには声が枯れるくらいの声援を送るくらいしか出来ない。

 

 のぞみの声援が届いた大納言のプレイはかなり順調で、記録更新ペースで最後の階層までやってきた。

 

 ――――――そして。

 

「おおーーーっと、大納言!? ここに来て、またして!? またしてもドラゴンが行く手を阻むのかぁああああっ!?」

 

 また最後の最後にドラゴンに記録を阻まれちゃったんだ。

 

 ―――――けど、今回の大納言は前回とは違うんだよっ!!!!

 

「おじゃああああっ! ドラゴンども、これを喰らうでおじゃる! ドラゴン封印の巻物!!」

 

 大納言が巻物を掲げると、フロアにいるドラゴンは全部巻物の中に吸い込まれていって、最後の階段までの通路が開かれたよ!

 

「今でおじゃる!」

 

 大納言が最後の階段を降りた瞬間にゲームは終了して、最後のリザルト画面が会場に映し出される。

 

「さあ大納言。今回の記録はどうだ!? どうなんだああああああっ!?」

 

 会場全体が見守る中、遂に結果発表。

 そのタイムは―――――。

 

「ななな、なんと。45分30秒!? ついに、ついに新記録が出てしまったあああああっ!?」

 

 タイムの横にはニューレコードの文字があって、正真正銘の新記録だよ!?

 

「や、やったよ大納言!?」

「凄いです!?」

 

 桜ちゃんと一緒に喜んでいると新記録を出した大納言はVRゴーグルを外して、やりきったみたいな表情をしてるよ。

 

 そして、記録を出した大納言にeスポーツソルジャーがマイクを渡して、インタビューが始まった。

 

「皆に言ったとおり、重大発表でおじゃる。実はこのRTA大納言は今回で最終回を迎えるのでおじゃるよ」

「………えっ!?」

 

 大納言の言っている意味がのぞみには解らないよ。

 

「そ、そんな!? なんで? なんで新記録が出たのに終わっちゃうの!?」

 

 叫ぶのぞみを大納言は右手で制して、話を続けた。

 

「実はマロは今週で大納言では無くなってしまうのでおじゃるよ…………そして」

 

 大納言は服をばさっと脱ぐと、その下から金ピカの派手な衣装が現れた。

 

「来週からマロは超納言になって、新番組のRTA超納言が始まるのでおじゃる!!!!」

「ちょ、超納言!? こ、これは絶対に見逃せないよ!? ねっ桜ちゃん!!」

「そうですね! 来週も絶対に見ないといけません!」

 

 ――――てな感じで、のぞみのRTA挑戦は幕を閉じたのだった。

 

 …………けど、ここですんなり物事は終わってはくれないみたいで。

 何処かの待合室みたいな場所で、携帯端末でのぞみ達の活躍を配信で見てた女の子がいたんだ。

 

「ふ~ん。私と同じ記録を出した子がいるんだぁ」

「ほむにゃん。時間だけど、準備はいい?」

「はぁ~い。ほむらはいつでも準備出来てま~~~~す!」

 

 その子は端末に写ってるのぞみにビシシ! って指をさして宣言した。

 

「この真紅の陽炎。辻川ほむらの記録に並んでくるなんて、いい度胸じゃない。決めた! 今度この子と並走で分からせてやる事にするわ!」

 

 端末を操作して番組を消したその子は、そのまま何処かに歩いて行っちゃった。

 

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