のぞみのグダグダぐ~たライフ   作:てんつゆ

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第13話

 

 

「ほれ。ここがしばらくお前の住む家じゃ」

 

 近くで見ると、更にボロっちく見えるよ……。

 

「ボロボロだけど、壊れたりしない?」

「なに。少し前までは多少雨漏りもしたが、もう完全に塞いで快適じゃ」

「雨漏り!?」

 

 ううっ。

 なんだか嫌な予感しかしないよ。

 

「なにもない家じゃが、さあ入れ入れ」

「じゃ、じゃあ。おじゃまするよ」

 

 玄関をくぐると、まず灰を敷き詰められた四角い場所に鉄のお鍋みたいなのが吊るされてるのが目に入った。

 確か茶釜って言うんだっけ?

 江戸時代をモチーフにしたゲームで見たことがあった気がするよ。

 

 そして、ちょっと離れた場所にはキッチンがあるみたい。

 もちろん最新式の電気やガスじゃなくて下に薪をくべて火を起こすタイプの物で、横には飲料水を貯めておくための、おっきな水瓶が置いてあるだけ。

 

「って、ほんとに何も無いよ!?」

 

 テレビも無い。

 ゲームも無い。

 漫画も無い。

 お菓子も無い。

 

 ここには、のぞみの大好きな物が1個も無い!?

 

「…………ん? だから最初に何もないと言ったじゃろ?」

「コンセントは?」

「そんな物あるわけ無かろうが!」

 

 そもそも電柱が見当たらなかったからあるはずが無いんだけど、あらためで無いって聞くとショックは大きい。

 

「……本は?」

「なんじゃ書物が読みたいのか? それなら、あの扉の向こうに読みきれんくらいあるぞ」

「ほ、ほんと!?」

 

 のぞみは必殺のぞみんダッシュで扉に走る。

 

「こら~。靴はちゃんと脱がんか~!」

「あっ!? 忘れてたよ」

 

 のぞみは脱ぎ捨てるように靴を脱いでから、もっかい扉にダ~ッシュ!

 

「ふぅ。漫画はあるみたいで良かったよ」

 

 そして扉を開けると、そこには大量に積まれた巻物の山があった。

 

「…………なにこれ?」

「なにって読み物が欲しいんじゃ無かったのか?」

「漫画は?」

「そんな物は無いが、まあ試しに読んでみたらどうじゃ? かなり面白いぞ?」

 

 のぞみは試しに巻物の山から適当なのを1個取って机の上に広げてみると、そこには墨汁で書かれた難しい漢字がひたすらに羅列されてるだけだった。

 

「こんなの読めないよ!!!!」

「――――なんじゃ? お前は文字も読めんのか?」

「こんな難しい漢字、まだ学校で習ってないし!」

「ふむ。だったらわしが後で教えてやろう」

「…………え?」

「はっはっは~。なに、こう見えてわしは読書が趣味じゃからな。遠慮するでないぞ」

 

 …………なんか、昔の漢字を勉強する事になっちゃったよ。

 のぞみは勉強は出来る方だけど、勉強するのはあんまり好きじゃない。

 けど、米仙人がすっごくやる気で、のぞみの言う事なんて聞いてくれそうも無いし、教わるしか選択肢は無いかも。

 

 

 ――――ちなみに。

 ここで昔の文章を教わった事で、学校の古文漢文のテストで満点が取れちゃうんだけど、それは数日後の話なのだっ。

 

「そうだ!? お菓子は!?」

「ほれ、これでいいか?」

 

 スーパーで売ってるおせんべいの袋を渡されたから、袋を開けてボリボリ食べてみた。

 

「あ、これは美味しいよ」

 

 これはお茶も欲しくなるねぇ~。

 

「って、何でこれだけ現代的なの!?」

「そんなの買ったほうが楽だからに決まってるじゃろ」

「……えっ。じゃあお米もスーパーで買えば良いんじゃ」

「なんか言ったか?」

「ううん。なんでも無いよ」

 

 お菓子の確保は出来たけど、ゲームと漫画が無いのはのぞみ的にかなりつらいよ……。

 

「では早速始めるとするかの。ほれ、早く外にでんか」

「はぁ~い」

 

 家の外に出たらすぐ目の前に田んぼがある。

 まあ見渡す限り田んぼだらけなんだけど、流石にこれ全部のぞみがやるのが絶対に無理っ。

 

「お前にはこの家の前にある田んぼを担当してもらう」

「えっ!? ここだけでいいの?」

「なんじゃ? もしかして他の場所もやりたいのか?」

「ううん。ここだけでいいよ!!!!」

 

 のぞみは全力で拒否をして、何とか一箇所だけにしてもらう事に成功。

 

「あれ? じゃあ他の場所は誰がやるの?」

「くっくっく。それは――――――こいつらじゃ!!」

 

 米仙人は懐から人の形をした紙を取り出して空に投げると、ポンポンポンと次々と紙から煙が出て、のぞみと同じくらいの大きさの人に变化した。

 ――――てか、同じくらいというかこれは。

 

「えっ!? なんでのぞみがいるの!?」

「えっ!? なんでのぞみがいるの!?」

 

 見た目がのぞみそっくりな全員が、ワンテンポ遅れてのぞみと同じリアクションをしたよ。

 

「どうじゃ? こいつらはお前と同じ行動をする式神じゃ」

「式神!?」

「普段はわしの神通力で動くんじゃが、今回はお前と同じ動きを真似るようにしておいた。これで、この田んぼ1つで米を作るだけで、他の田んぼでも同じ米が出来るというわけじゃな」

「つまり、のぞみは美味しいここで美味しいお米を作ったら、他でも美味しいのが出来るって事?」

「だが。逆に言えば、不味い米を作ったらすべて不味くなるという事じゃ」

 

 結局のぞみが作る事には変わらないんだけど、一箇所だけなら結構余裕かも。

 

「じゃあまずは何をすればいいの?」

「まずは田を耕す事から始めるんじゃが…………見ての通りそこら中に石が転がってて、このままだとまともに耕せんからな。まずは石拾いをして、邪魔な石を排除するのじゃ」

「わかったよ!」

 

 のぞみが田んぼに入ると、のぞみそっくりの式神達はそれぞれの担当する田んぼに飛んでいって、のぞみと同じ位置に降り立った。

 試しに足元にある小石を掴んでみると、式神も全員同じ動きで小石を掴む。

 

「なるほどぉ~。こうなってるんだ」

 

 確かにこれなら、ここの田んぼだけでじゅうぶんそうだよ。

 

「取った石はどうすればいいの?」

「これに入れるがよい」

 

 米仙人が空に竹箒を掲げると、ポンとどこからともなくカゴが現れて、のぞみの横に落ちてきた。

 のぞみは小石をカゴにポイッと入れてから、カゴについている紐を肩にかけて背中に背負う。

 

 ごんすけは何処行ったんだろ?

 って思って探してみると、家の縁側で日向ぼっこをしながら丸くなってた。

 まあ、ごんすけに石拾いをさせるわけにもいかないし、ゴロゴロしてるのを眺めてるだけでも癒やされるから、一緒に来てくれてかなり助かってるよ。

 

「よぉ~し。やるぞ~!!!!」

 

 のぞみは右手をグーにして突き上げてやる気を入れた。

 これも一刻も早く美味しいお米を作って、家に帰る為!

 全力で頑張るよ!!!!

 

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