のぞみのグダグダぐ~たライフ   作:てんつゆ

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第8話

 ――――次の日。

 今日も大納言と特訓をするために、ごんすけと一緒に待ち合わせ場所にやって来たよ!

 

 …………けど。

 

「ここって神社だよね?」

「にゃん」

 

 話し相手がいないから、とりあえず頭の上にいるごんすけに話しかけてみたけど、流石にそっけない返事しか帰ってこなかった。

 

 ここはのぞみの家から歩いて15分くらいの所にある神社の入り口。

 上の方にある鳥居までずら~~~~~っと石段が並んでて、登るだけでもかなり大変そうだよ。

 

 一応のぞみは毎年この神社に初詣に来てて、その時は人でいっぱいになるんだけど――――。

 

「…………流石に今日は人が少ないね」

「にゃわん」 

 

 待ってる間におじいちゃんが1人石段から降りてきたくらいで、他の人とは1人もすれ違ってない感じだよ。

 

「待たせたでおじゃるな」

 

 のぞみ達よりちょっとだけ遅れて大納言が到着した。

 

「ねえ。神社ってゲームとなんか関係あるの?」

「もちろんでおじゃる。ここで立ち話すると通る人の迷惑になるから、登りながら説明するでおじゃるよ」

「って言っても、今の時期ってあんまり通る人いないと思うんだけど?」

「この神社に祀られている神様が通るのでおじゃるよ」

「そうなんだ。――――って事はもしかして、待ってる間にも神様が通っていったのかな?

「そうかもしれないでおじゃるな。この神社の神様は…………おっと」

「あれ? どうかしたの?」

 

 大納言は慌てて口元を抑えた。

 

「な、なんでも無いでおじゃるよ」

「え~。のぞみ、凄く気になるんだけど~」

 

 のぞみは大納言の袴にぶら下がって、ぶらぶらと揺れてみた。

 

「本当になんでも無いでおじゃる。それより人を待たせてるので、急ぐでおじゃ」

「はぁ~い」

 

 それからのぞみは大納言にぶら下がるのをやめて、一緒に石段を登ることにしたんだ。

 

「それで、さっきの話の続きでおじゃるが――――」

「神様の事教えてくれるの?」

「…………そっちじゃなくて、ゲームの事でおじゃる。お主が挑むダンジョン99のプレイ時間はどれくらいでおじゃるかな?」

「えっと…………。大納言の番組が1時間番組だから、1プレイ1時間くらいだよね?」

「正解でおじゃ。――――そして、プレイヤーはその1時間の間。ミスをせず常に最適解の行動が出来るように、集中し続ける精神力も求められるのでおじゃるよ」

「なるほどぉ~。…………あれ? って、事はつまり?」

「もちろんここで精神統一の訓練をするでおじゃる」

「ええ~っ!?」

 

 神社で精神統一とか嫌な予感しかしないよ!?

 

「ねぇ。のぞみ1時間くらいなら普通にゲーム出来るから、今回はパスしたら駄目?」

「う~む。まあ少しやってみて、問題なさそうなら今回は早めに切り上げるでおじゃるか」

「ふっふっふ~。のぞみに任せてよ!」

 

 石段を一番上まで登りきって鳥居をくぐると、大きすぎず小さすぎない何と言うか、それなりの大きさの本殿が見えたよ。

 

 お正月にはだいたい200メートルくらいの参拝者の列が出来るんだけど、今は誰もいないみたいだよ。

 

 本殿からちょっとだけ横の方におみくじが引ける場所があって、毎年お正月になったらここでおみくじを引くのも、のぞみの楽しみなんだ。

 

 ちなみに今年の結果は大吉。

 これは、今年もいい事が沢山起こるに違いない!!!!

 

 って、よく考えたら今年は新しい友達が増えたり、大納言と知り合えたりと良いことずくしだったよ。

 

 のぞみの運命ロードの快進撃は止まらない!

 

 それから本殿へと続く神社の石道を進んでいくと、なんと左の方にでっかい石像を発見しちゃったよ!

 

 お正月は人でいっぱいだし、お参りしたらおみくじに直行だから左側はあんまり気にした事はなかったけど、人が少ない時に来ると新しい発見があるもんだねぇ~。

 

 ――――けど、あれは何の石像なんだろ?

 

「ねえ。あの石像って何か知ってる?」

 

 のぞみが質問すると、大納言は足を止めて石像の方を見つめた。

 

「ああ。あれはこの神社に祀られている豊穣の神様の石像でおじゃるよ」

「ふ~ん、そうなんだぁ~。のぞみ毎年来てるけど、初めて知ったよ」

「…………と、いう事は。もしかして、ここがどんなご利益がある神社なのかも知らないでおじゃるか?」

「もちろんだよっ!」

「…………いばることでは無いと思うのでおじゃるが。まあこの機会に覚えておくのも、いいかもしれないでおじゃるな」

 

 改めて石像をよく見たら、米俵の上に乗って大きなおにぎりを食べてる感じだった。

 これはもしかしたら、大食いの神様なのかもしれないねぇ。

 

「あっ!? のぞみ解っちゃったよ! ここでお参りしたら、いっぱいご飯を食べれるようになって、大食い選手になれるようになる神社だねっ!!」

「食べる方じゃなくて、作る方。つまり豊穣の神様に豊作をお願いする神社でおじゃるよ。参拝する事でその年の収穫量が増えて、特にお米の収穫量が増える事で有名でおじゃ」

「あれ? って事は、何も作ってないのぞみがお参りしても効果なし? のぞみはお米作った事無いし作る予定も無いから、効果無かったらちょっと困るんだけど」

「いやいや。友を作る、夢を作るなど、作ると言ってもいろんな意味があるので、幅広くご利益はあるのでおじゃるよ」

「なるほどぉ~。それで今年は友達が沢山作れたのかぁ~」

 

 毎年何気なく通ってたけど、実はここの神社って結構凄いのかもしれないよ。

 

「では、入るでおじゃ」

「じゃあ、ごんすけは外で遊んでてね」

「にゃん!」

 

 ごんすけを降ろしてから、本殿に到着したのぞみ達はお賽銭箱の横を通って中に入ると、中で誰かが座っているのが見えた。

 

「ふむ。どうやら遅れず時間通りに来たようじゃな」

 

 その人は後ろを向いたまま、のぞみ達が来たのに気が付いたみたいだけど、もしかして足音が大きかったのかな?

 次に来た時に気づかれない為に、足音をさせないで歩く特訓をした方がいいかもしれないね。

 

 のぞみ達を待ってた人は立ち上がってからこっち側を向いたんだけど、顔全体を覆う布みたいなのを付けてて、顔が全く見えないよ。

 

 服は高そうな赤い着物を着てて、ズボンは真っ白な袴をはいてる。

 手に白い扇を持ってるけど、もしかして暑いのかな?

 

「このお方がこの神社の、か――――」

「神主じゃ!!!!」

「…………でおじゃるよ」

 

 大納言が最後まで言う前に何か言葉を遮られた感じもしたけど、まあいっか。

 

「そうなんだ。えっと、はじめまして六道のぞみだよ!」

 

 初対面の人にはまず挨拶!

 これは日常生活でもオンラインゲームでも基本なのだっ!

 

「わしの事は神主さんと呼ぶがいい」

「わかったよ! 神主さん!」

「うむ! 物分りが良いやつじゃ。今度わしの作った米をご馳走してやってもよいぞ?」

「う~ん。のぞみはお米よりポテチをご馳走して欲しいかな」

 

 なんか気さくな感じがするし、身長ものぞみと同じくらいちっちゃいし、かなり親近感がわく気がするよ。

 

「それでは……え~っと、神主様。さっそく始めて欲しいのでおじゃるが」

「わかっておる。では、お前たち付いてまいれ」

 

 のぞみ達は神主さんに案内されて本殿の奥に進んでいって、おっきな扉の前に辿り着いた。

 神主さんはそのまま扉を開け放つと、何もないでっかい部屋が広がってる。

 

「入って良いぞ」

 

 のぞみ達が入ると、バタンと突然扉がしまっちゃった。

 もしかして自動ドアなのかな?

 

 それから部屋の真ん中へと進んで行くと、神主さんはピタッと足を止めた。

 

「今から精神修行を始める。覚悟はよいな?」

 

 もうここまで来たら、のぞみも覚悟を決めて特訓に打ち込む事にする。

 面倒な事はあんまり好きじゃないけど、大好きな番組が終わっちゃうのはもっと嫌だから。

 

「いつでもいいよっ!!」

「では、ここに座るのじゃ」

「うおおおおおおおおおおおおお! やるよおおおおっ!!」

 

 …………って、気合を入れたものの。

 

「それで、のぞみはどうすればいいの?」

「ここで1時間の間、座ってるだけでよいぞ」

「……え? それだけ?」

「それだけじゃ。ただし、寝転がったりせずに、ずっと座ってゲームの事だけを無心に考えるのじゃ」

 

 なんか拍子抜けするくらい簡単な要求をされちゃったよ。

 

「わしは用があるのでもう行くぞ。大納言、お前もついて来い」

「かしこまりましたでおじゃ。それでは、頑張るでおじゃるよ!」

「うん。のぞみ、頑張るよ!」

「それと。わしらが出ていた後に監視の者が来るので、サボろうなどとは考えぬようにな」

 

 そう言って神主さん達が部屋から出ると、のぞみだけが部屋の中に残された。

 

 

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