のぞみのグダグダぐ~たライフ   作:てんつゆ

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第9話

 

 

「なんか。すっごく静かだよ」

 

 本当に何も聞こえない場所に、のぞみ1人だけが取り残されたみたいな感じがするよ。

 耳を澄ますと、かなり遠くにジャバジャバと水が流れる音が聞こえた。

 もしかしたら、近くに滝があるのかも!?

 アニメとかで滝に打たれる精神修行をたまに見るから、のぞみも1回はやってみたかったんだけど、またの機会になりそうでそこはちょっとだけ残念だよ。

 

 ――――少し経ったら急に入り口の扉が開いて、誰か知らない人が入ってきた。

 たぶん神主さんが言ってた、監視の人だね。

 服は白い白衣と赤い袴のいわゆる巫女装束で、神主さんみたいに顔を布で隠してるんだけど、なんだが威圧感みたいなのがビンビン伝わって来るよ

 

「はじめまして! 六道のぞみだよっ!!」

 

 のぞみが話しかけると巫女さんはのぞみの方を見てから軽くお辞儀をして、部屋の端っこまで行って、立ったままのぞみの方を見つめてきた。

 

 誰かに見られてるとちょっと気が散っちゃうけど、これも修行の一部なのかもしないね。

 

 ――――てな訳で。

 のぞみは座ったまま目を閉じた。

 

「えっと。1時間の間、ゲームの事だけを考えれるようになればいんだっけ?」

 

 とりあえずのぞみは、今週見た大納言の番組を頭の中で再生してみる事にしたんだ。

 数日前の番組だからか、スムーズに映像を再現する事が出来たよ。

 

 改めてゲームの事だけを考えると、行動1つ1つの意味みたいな事が解ってゲームへの理解が深まってく感じがする。

 

 間違えて敵のレベルを上げてプレイミスかと思った行動も、あえてレベルを上げてギミックを使って倒す事で、序盤では本来倒せない敵から大量の経験値がゲット出来たりとかね。

 

「よ~し。そろそろ終わったかな?」

 

 のぞみは目を開いて見たけど、神主さん達の姿はどこにも無くて、入り口の扉は閉まったままだったんだ。

 

「あれ? もうちょっとなのかな?」

 

 監視役の巫女さんの方を見て確認してみたんたけど、表情の見えない視線を返されるだけで、それ以上の事は何もする気も無いみたいだよ。

 

「う~ん。これから、どうしようかなぁ~」

 

 流石に2週間前の番組の内容は覚えて無いし、ただぼ~っとしてるのもなぁ~。

 

「…………あれ?」

 

 なんか知らないけど、いつの間にかのぞみの前にモンエナの缶が置いてあった。

 

「おお~。これはもしかして、神主さんの差し入れかもっ!?」

 

 のぞみはモンエナ気分転換にモンエナを飲もうと手を伸ばしたんだけど…………。

 

「…………あ、あれっ!?」

 

 モンエナの缶に触れたと思った瞬間、缶が煙みたいになって消えちゃったよ!?

 

「のぞみのモンエナどこっ!?」

 

 なんにも無い部屋だから、どこかに転がって行ったんだったらすぐに分かるはずなのに、部屋全体を見てもどこにも見当たらないよ。

 

「う~ん。気の所為だったのかなぁ?」

 

 仕方ないから、のぞみはまた座って精神統一の特訓に戻ることにした。

 今回は自分でゲームの動きをシミュレートしてみて、敵の行動パターンのおさらいをしよっと。

 

 それからしばらくして、モンエナが気になったのぞみは目を開いて辺りを見ると、さっきよりちょっとだけ遠くにモンエナの缶が転がってたよ。

 

「あっ!? あったっ!? なんだ、あんな所に転がって行っちゃったのかなぁ~」

 

 まあ今はそんな事はどうでもいいから、モンエナの~もおっと。

 

「モンエナ、ゲ~~~ット!!!!」

 

 てな訳で、のぞみは立ち上がってもっかいモンエナの缶に手を伸ばしたんだけど……。

 

「えっ!? またっ!?」

 

 またまたモンエナが消えちゃったよ!?

 

「ど~なってんの!? なんでモンエナ無いの!?」

 

 バンバンと両手で床を叩いたけど、両手が痛くなっただけでモンエナが出てくる気配は無いみたいだよ…………。

 

「あ~。なんか面倒になったし、もうどうでもいいや」

 

 ここで、のぞみの面倒くさいモード発動!

 のぞみのやる気が0に無った時に発動するこの能力は、動く事すら面倒になるのだっ!!

 

 ――――また更にしばらくしたらモンエナが現れた。

 けど、もう取りに行くのも面倒だよ。

 

「あ~あ。誰かのぞみに飲ませてくれないかなぁ~」

 

 目を閉じながら口を開けて誰かがモンエナを飲ませてくれるのを期待したんだけど、誰もやってくれない。

 

「う~ん。お姉ちゃんなら10回に1回くらい飲ませてくれるのになぁ…………」

 

 それからもしばらく面倒モードを続けていると、突然部屋の扉が開かれて神主さん達が入ってきた。

 

「まあ、合格という事にしといてやるかのう」

 

 そのまま神主さんは、のぞみの前まで歩いて来たよ。

 

「合格って事は、もしかしてのぞみクリアしたの?」

「うむ。見事、己の欲望に打ち勝ったようじゃな」

「ふっふっふ~。のぞみの集中力を甘く見てたね」

 

 まあ本当は動くのが、めんどくなってただけなんだけど。

 

「てか、どっかでのぞみのこと見てたの?」

「いや? 見張りの者に聞いたから知っておるだけじゃ」

 

 周りを見てみると、いつの間にか巫女さんの姿は消えてた。

 神主さんに報告に行って、そのまま別のお仕事に行ったのかな?

 

「ふ~ん。…………あっ!? そう言えば、のぞみのモンエナはどこに行ったの? なんか取ろうとしたら、無くなっちゃってたんだけど!」

「あれは…………そうじゃな、まあ幻覚みたいなもんだから無いぞ。はっはっは、残念じゃったな」

「ええっ!? こんなオンボロ神社なのに、立体ホロシステムがあるの?」

「オンボロ言うな! それにここには、そんなよく分からんカラクリなど無いわ!」

「じゃあアレは何だったの?」

「幻覚みたいな物だと言ったじゃろ! これ以上は教えられん!」

 

 う~ん。

 これはもしかして、この神社には何か秘密があるのかも知れないねぇ~。

 

「では、マロ達はそろそろ帰るでおじゃ」

「おう。また来い」

「えっ!? もう帰るの?」

「もうって言われても、もうかなり時間が経っているでおじゃるよ?」

 

 そういって大納言は懐中時計で時間を見せてくれたら、もう4時間くらい時間が経ってたよ。

 

「あ、こんなに経ってたんだ。けど、後でのぞみ探検しようと思ってたんだけど、ちょっと残念だなぁ~」

「こう見えて、この御方も忙しいお人ゆえ、あまり長居するわけにもいかないでおじゃ」

「そなの?」

「当たり前じゃ! わしを誰だと思っておる?」

「神主さん!!」

「…………っと、そう言えば今のわしはそうじゃったな。まあ、ただの畑仕事じゃ」

「そうなんだ。じゃあ邪魔しちゃ悪いから、のぞみ達はもう帰るね」

「お主もまた修行がしたくなったら、来ていいぞ」

「う~ん。流石にそれは遠慮しとくよ」

 

 のぞみと大納言は神主さんに別れを告げてから、部屋から出て帰る事にしたよ。

 そのまま来た道を通って戻っていくと、お賽銭箱が見えたんだ。

 

「あっ!? ついでだしお参りしてくよ」

 

 のぞみは愛用のにゃんにゃんリュックからカード端末を取り出して、お賽銭箱に掲げた。

 

「え~っと。よしっ、ここは奮発して100円でっと」

 

 それからのぞみは端末からお賽銭箱にお金を送金してから、パンパンと2回手を合わせてからお願いをしたんだ。

 

「何を願ったでおじゃるか?」

「えへへっ。もちろん、大納言の番組が続くようにだよっ!」

 

 練習以外にも出来る事があるなら、やっておかないとね。

 

「けど、神様はのぞみのお願い聞いてくれるのかなぁ?」

「多分聞き届けてくれてるはずでおじゃるよ。けれど、最後に道を切り開くのは自分自身なので、鍛錬は欠かさずにしないと駄目でおじゃ」

「わかってるってぇ~。えっと、ごんすけは…………あっ!? いたぁ」

 

 日陰で丸くなってたごんすけを発見した。

 

「ごんすけ~。帰るよぉ~」

「にゃん」 

 

 のぞみの声に反応したごんすけは、ピクッとすぐに立ち上がって、のぞみの方へと走ってきた。

 そのまま抱えてから頭の上のいつものポジションに乗ってもらって、帰宅準備は完了っと。

 

「よ~し、これからも頑張るぞ~」

 

 

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