赤龍帝と青いヤツ   作:ニッカリ

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第十一話

~sideアーシア~

 

「こうやって一度五十から六十度のお湯で急須を温めます―――」

「なるほど」

 

姫島先輩とシュースケさんがお茶の入れ方についてお話しています。

シュースケさん真剣な顔、姫島先輩は微笑んでメモを取る様子を見ています。

お二人とも大人びてるのですごく絵になりますね。

 

シュースケさんは私の恩人です。

あの時、私の過去について詳しい事は話していませんでした。

でも、あの時の言葉で私は前を向くことが出来たんです。

彼がいなければ、私は自分の過去をイッセーさんにお話しするなんてできなかったでしょう。

いいえ、それ以前にあの公園で男の子に力を使うことができなかったかもしれません。

大した傷じゃないからと言い訳して。

事実私はシュースケさんを見つける前に、怪我している人を見て見ぬふりしてしまいました。

最初にシュースケさんを見つけた時も足がすくんでしまって・・・

彼の目が覚めた時もその事ではなく、罪悪感が薄れたことにほっとしたんです。

なんて悪い子なんでしょう。

 

「青江君、もう少し浸出してください」

「結構長いんだな」

「あと一分ほどですわ」

「・・・ん?どうしたんだ、アーシア」

「いえ、その・・・何でもないです」

 

はわ、じっと見つめていたのがバレてしまいました。

 

「アーシアちゃんも一緒にどうかしら?」

「私ですか?でも、お二人のお邪魔に」

「大丈夫ですわ。ね?青江君」

「ああ、もちろん」

 

三人でテーブルについてシュースケさんの作ったお団子と姫島先輩の入れたお茶を頂きます。

相変わらず美味しいです。ほっぺが落ちちゃいます。

 

「美少女二人とお茶会か。入部した甲斐があったってもんだぜ」

「あらあら、お上手ですわね。褒めても何も出ませんわよ?」

「世辞じゃないさ。二人は今まで会った中でもトップクラスだ」

 

はう、そんな風に言われると照れてしまいます。

姫島先輩も顔が赤くなってて満更でもなさそうですし・・・

でも、私はシュースケさんといるとドキドキするというよりは安心・・・でしょうか?

イッセーさんといるときはドキドキして胸が張り裂けそうなのに、シュースケさんだとホッとします。

褒められても、お婆ちゃんに褒められた時みたいな照れくささです。

お兄さんがいればこんな感じでしょうか?

 

「・・・・・面と向かって言われると照れますわね」

「照れてくれ。口説いてんだ」

「そこまで言われるほど何かしてあげた事があったでしょうか?」

「感謝してるんだぜ?俺とアーシアをすぐに受け入れてくれたここにはさ」

 

はい、みなさん本当に簡単に受け入れてくれました。

元聖職者、敵側にいた私でさえ。

 

「私も、妹と弟が増えたような気分ですわ」

「じゃあ兵藤は?」

「『手のかかる』弟でしょうか」

「クククク、ちがいねえ」

 

よかった。姫島先輩はイッセーさんの事好きじゃないんだ。

とっても綺麗だからイッセーさんも夢中になっちゃうんじゃないかと。

 

「しかし弟かあ・・・男にはなんねえの?」

「それは、これから次第という事で」

 

な、なんだか大人な会話です。

私もこれくらいイッセーさんにグイグイいった方がいいのでしょうか?

後で青江さんに聞いてみます。最近よくお話を聞いてもらってるんです。

がんばりますよー。むんっ!!

 

「??どうしたんだ?ガッツポーズなんかして」

 

~sideout~

 

 

 

 

 

 

 

「グレモリー先輩の悩み?」

「最近部長よくぼーっとしてるだろ?なんていうか、心ここにあらずみたいな」

「そうだね。部長の悩みか・・・。多分だけどグレモリー家に関する事じゃないかな?」

 

木場と兵藤、アーシアと部室に向かっていると兵藤が「部長って悩みがあるのかな?」と聞いてきた。

確かに最近の彼女は如何にも悩んでますって感じだった。

ふむ、グレモリー家ねえ。

 

「やっぱ名家なのか?」

「うん。滅びの力を持つ一族で、現魔――――」

「どうした?」

「・・・僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて・・・」

 

木場が冷汗をかいている。

尋常な事態ではない。

 

「ん?二人ともどうしたんだ?」

 

アホの兵藤が気にせず部室のドアを開ける。

室内にはグレモリー、姫島、塔城、そして銀髪のメイドがいた。

 

・・・メイド!?すっげぇ、初めて見た!!

アニメとかで見るなんちゃってじゃない。ホントのメイドだ。

室内の空気は重い。グレモリーは機嫌が悪そうだし、姫島は冷たい笑みを浮かべている。

塔城は・・・関わってくれるなと言わんばかりに端で小さくなっている。

いいなあ、俺もそっち行きたい。

アーシアも兵藤の後ろに隠れてた。

 

「全員そろったわね。では、部活する前に少し話があるわ」

 

真剣な顔つきで口を開く。

その瞬間、床が輝きだし、魔方陣が現れる。

ゴウッ

火柱が吹き上がり、室内が熱気に包まれた。

 

「ふう、人間界は久しぶりだ」

 

出てきたのはスーツを着崩したイケメン。

ワイルド系ホストって感じだ。

 

「愛しのリアス、会いに来たぜ」

 

ほう?

 

 

 

 

 

話をまとめるとこいつは由緒正しいフェニックス家とやらのボンボン。

グレモリーとは親が決めた許嫁で、彼女自身は乗り気でない。

ザックリまとめるとありきたりでつまらん感じに思えてくるな。

 

「でな?今日はドーナッツにしたんだ。しかもおからで作ってるから低カロリー」

「もふもふ・・・なるほど。おからとは可能性が広がります。ですが蜂蜜はもう少し入れるといいのでは?」

「ふむ・・・あんまり入れすぎると胸やけがしてきてな?」

「でしたら――――」

 

塔城と今日のお菓子について語り合う。

正直、彼女が誰と結婚しようが俺には関係ない。

つーかめんどくさい

 

「リアス、彼らも君の下僕なのか?」

「気にしないで」

「あの子、可愛いな。君の眷属は美人ぞろいだ。結婚の暁には眷属ともども可愛がってやるよ」

 

よし、殺そう。

俺の癒しを奪う者、それ即ち万死に値する。

いかなる手段を賭してでも貴様を絶望の極限に叩き落とそう。

 

「純血の上級悪魔の新生児、君だってその価値が分からんわけじゃないだろう?」

 

ボンボンがグレモリーを説得している。

確かに奴の言うことは正しい。

数少ない純血が貴重なのは当然だ。

だが死ね。

 

「私は私が選んだ人と結婚する。貴族にもその権利くらいあるはずよ」

「ちっ、俺は人間界が好きじゃない。汚い炎、濁った風。炎と風を司る者としては耐え難い。それを我慢してわざわざ来てやったんだ・・・・手ぶらで帰れるわけがないだろう!!」」

 

ボンボンが全身に殺気を漲らせる。

 

「「「「「っ」」」」」

 

俺とメイド以外の全員が戦闘態勢に入った。

メイドは手を出すつもりは無いらしい。

俺?無理無理、人間が上級悪魔なんかに勝てるわけないだろ。

メイドとトークでも楽しむさ。

 

「なあ、アンタ」

「グレイフィアとお呼びください」

「じゃあグレイフィアさん。あんたやっぱりメイドなんだよな?」

「はい。リアス様のご実家でメイド長をやらせていただいております。見たところ貴方はお嬢様の眷属ではないようですが」

「俺は青江秀介。神器をもっててな、いわゆる監視下にあるってやつだ」

「そうでしたか。お嬢様もお役目を果たされているようですね」

 

そう言いつつも鉄面皮は崩さない。

さすがメイド長。やっぱメイドはこうでなくちゃな。

ドジっ子メイドなんざ現実では即クビだ。

 

そもさん、メイドとは何か?

 

説破。メイドとはすなわち主を補佐するもの、サーヴァント。

スレイヴではない。ましてやマスコットでも。

主が間違った方向を向いていれば正しい道へと導き、主に足りないものがあればそれを補う。

故に主の人生を大きく左右するもの。生半可な能力では務まらない。

自己研鑽も絶えず行う、元来高貴なものにしか許されなかった名誉職。

その生き方こそが、そしてかすかに垣間見える何気ない色気、それこそが至高!!!

 

「故に、俺はミニスカパンチラメイドなど断じて認めない!!!!!!!!」

「いかがされました?」

 

グレイフィアさんが変わらぬ鉄面皮で尋ねてくる。

心なしか冷たさが増していた。

 

「いや、何でもないです」

 

視線に耐えかねて目をそらす。

いつの間にか周りの空気は最早一触即発となっていた。

グレイフィアさんはため息とともに言葉を発する。

 

「皆様、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙ってみている訳にもいかなくなります」

 

その一言で全員が硬直した。

 

「やれやれ、流石に俺も最強の女王は怖い」

 

その言葉を皮切りに全員が構えを解いた。

このメイド、そんなにすごいのか?

 

「お嬢様、こうなる事は旦那様方も重々承知でした。正直に申し上げますと、これが最後の話し合いの機会だったのです。これで決着がつかない場合のことを皆様方は予測し、最終手段を取り入れることとしました」

「最終手段?」

「ご自身のワガママを押し通すのでしたら、『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

「なんですって!?」

 

レーティングゲームって確か成人悪魔のガチンコバトル・・だっけ?

 

「俺は構わないよ。俺は既に何度か経験しているし、実際に勝ち星もある。断る理由は無い。リアス、君はどうする?」

「もちろん受けるわ。こんな機会ははない。このフザケタ縁談はこれで終わらせるわ!!」

「予想通りだな。・・・だが、君の眷属はそれだけかい?」

 

パチンッ

ボンボンが指を弾く。

と、同時にまたもや床が光りはじめる。

千客万来だな。

紋章は赤い。が、グレモリーの物ではない。

そして魔方陣からは――――

 

出るわ出るわ、鎧の美少女、魔導士、双子、etc・・・

美少女が総勢十五人。

よくここまで揃えたな。

 

「これが俺の可愛い下僕たち。十五人、フルメンバーだ。」

 

ハーレムですね、分かります。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおん、おんおん」

 

兵藤が大号泣している。

そうだよな、お前の夢だもんな。

俺だって羨ましい。

 

「お、おい、リアス・・・。この下僕君、俺を見て大号泣しているんだが」

 

ボンボンもさすがに引いたのか顔を引き攣らせている。

 

「その子の夢がハーレムなの。貴方の眷属を見て感動しているのね」

「「「きもーい」」」

 

それを聞いたボンボンの眷属たちに兵藤はボロクソにけなされた。

更に、あろうことか奴はハーレムの一人とディープキスを始める。

うまい。

相手の女は確実に感じている。

 

「んうっ、あふ・・」

 

足を絡ませてあえぐ。

兵藤は前かがみになっている。

俺もちょっとドキドキする。

夕麻とはよくヤッっているが、他人のを見るとまた新鮮だ。

童貞の兵藤にはなおさらだろう。

 

「お前じゃ、こんな事一生できまい。下級悪魔くん」

「俺が思っていることそのまんま言うな!畜生!ブーステッド・ギア!!」

 

ブチ切れた兵藤が右手に赤い籠手を出現させてボンボンを指差す。

そういえば初めて見たな、赤龍帝の籠手。

 

「お前みたいな女ったらしは部長には不釣り合いだ!!」

「は?おまえ、俺にあこがれてるんだろう?」

 

その通り。兵藤、お前は自分の夢を否定したぞ?

お前は女ったらしが嫌なんじゃなくて・・・

 

「う、うるせえ!!俺がこの場で全員倒してやらぁ!」

『BOOST!』

 

兵藤が神器を発動させてボンボンに飛び掛かる。

バカか、戦闘力一の奴が二になっただけだぞ?

ヤム〇ャがスーパー十七号に挑むくらい無謀だ。

いや、言い過ぎか。あの二人の差はもっとありそうだ。

 

「ミラ、やれ」

「はい、ライザー様」

 

長い棍を持った少女が兵藤に対峙する。

兵藤め、油断しているな?

少女は一瞬で兵藤の懐に潜り込むと足を払い、宙に浮いた兵藤の腹に棍の先端を叩きこんだ。

 

「へえ」

 

さすが悪魔。なかなかいい動きだ。

天井にぶつかり、床に落下した兵藤はアーシアに癒してもらっている。

 

「君はどうする?なにやら俺に殺気を向けていたが」

「俺は人間だ。バケモノどもと一緒にすんな」

 

俺は夕麻よりも弱い。

まして上級悪魔が相手では瞬殺だろう。

 

「懸命だな」

 

そう言って俺の横を通り過ぎたボンボンは兵藤の前にしゃがみ込んで何事か呟く。

 

「っ」

 

何を言われたか知らないが、兵藤の顔が屈辱に歪んだ。

 

「リアス、十日後でどうだ?この下僕君、使いこなせれば面白そうだ」

「余裕ね。私にハンデをくれるっていうの?そんなの―――」

「ふざけるなよ?リアス・グレモリー」

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

腹が立つ。主従揃ってここまでバカなのか?

 

「お前は絶対に勝たなくてはならない。俺はお前がどうなろうが、そこのボンボンの雌奴隷になろうがどうでもいい」

「おいっ。お前は『黙ってろ』」

「だがな、この勝負にはお前の眷属全員の人生がかかっている」

「それはっ」

 

言われてから気付いたのか唇を噛み締めるグレモリー。

 

「誰かを従えるとはそういう事だ。感情的になるな、大局を見据えろ」

 

塔城も姫島も、もちろん木場きゅんも気に入っている。

一か月の間にこの空間にも馴染んだ。

塔城の癒しは勿論、姫島とのティータイムも楽しいし、木場は言うまでもない。

 

「・・・一番状況をよく分かっているのは君の様だ」

「どうも」

「俺は帰るよ。あ、そうそう」

 

奴は兵藤を再び見下ろす。

 

「下級悪魔くん。君の一撃はリアスの一撃だ。・・・・・そのことをよく考えるといい」

 

それだけ言い残すと魔方陣を起動させて消え去った。

かっこいい。

・・・グレモリーはあいつのどこが嫌なんだ?

 

 

 

俺は全部だが。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、俺は一人で部室にいた。

他のメンバーは強化合宿に行ってしまった。

俺も誘われたが、夕麻を一人にするわけにはいかない。

 

かちゃん・・・・

 

ティーカップの音が部屋に響くぜ。

コンコン

ん?誰か来たようだ。

だが、こんな見た目おんぼろの旧校舎にくる奴なんているのか?

 

「はい」

 

ガチャリ

部室の扉を開く。

廊下には――――

 

「こんにちは、青江秀介君」

 

生徒会長がいた。

 

 

 

 

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