赤龍帝と青いヤツ   作:ニッカリ

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不定期ではありますが、エタるつもりはありません。
これからも頑張りますので感想、評価ドンドンお願いします!!


第十五話

~SIDE兵藤一誠~

 

 

「部長ぉぉぉォォォォォッッ!兵藤一誠!ただいま参上しましたぁぁぁぁッ!」

 

屋上全体に聞こえるように声を張り上げる。

ここに来るまでにかなり消耗したけど、まだいける。

やっぱり自分の動きから無駄がなくなったってのがちゃんと自覚できるぜ!

それに受けたダメージも思ったほど大きくない。鍛えたおかげで頑丈さも上がったんだろうか?

 

「イッセー!!」

「イッセーさん!」

 

アーシアも部長もまだ立っている。

部長は辛そうに肩で息をしている。きれいな髪も乱れ、制服もボロボロだ。

 

「ドラゴンの小僧か?レイヴェルの奴、見逃したのか」

 

ライザーは・・・無傷!?

着ているスーツはボロボロだが、破れ目から見える肌はとてもきれいだ。

部長の様に息切れしている様子もない・・・クソッここまで差がッ。

 

「ライザー様、私が『兵士』の坊やと『僧侶』のお嬢さんをお相手しましょうか?ライザー様はこのままリアス様のお相手を――」

 

ライザーの『女王』が一歩前に出て提案した。

しかし、

 

「いや、『兵士』君の相手は俺がやる。どのみちリアスに力はほとんど残っていない。・・・それに伝説のドラゴンの力がどんなものか見てみたい」

「・・・分かりました」

 

クソ野郎が・・・完全に舐めてやがるッ!!

 

「ふざけないでライザー!!」

 

激昂した部長が、魔力の球をライザーの顔面に撃ち放つ!

 

キュボッ

 

・・・ええええええええええええ!?

ラ、ライザーの首から上がなくなっちまった!?

しかし、やったのか?と思ったのも束の間、消し飛んだ部分から炎が立ち上る。

炎は次第に形をとりはじめ、収まったころには・・・

 

「ふー、まだそんな力が残っていたとはな」

 

こきこきと首を鳴らす無傷のライザーが何事もなかったかのように立っていた。

これが不死鳥の『再生能力』か・・・・。

部長は手も足も出なかったんじゃない。何度攻撃しても、こいつはすぐに復活してしまうんだ。

 

「リアス、投了するんだ。折れない意志は評価する。だがそれも度を過ぎれば無様だよ。これ以上は君の株を下げる行為だ」

「ふざけないで!!『王』である私はまだ立っている。まだ詰んでなんかいないのよッ!!」」

「部長!俺はまだまだいけます!!指示をください!」

「よく言ったわ!イッセー、一緒にライザーを倒すわよ!!」

「はい!!」

 

いくぜ、ドライグ!!

指示は簡単だ。部長はこう言ってる。

 

 

目の前の敵をぶん殴れって!!

 

『・・・・・・・・・・・』

 

 

SIDEOUT

 

 

 

 

 

「ごふっ・・・・あのバカ、ムチャクチャしやがって・・・」

 

俺の体は擦過傷に打撲傷、火傷に切り傷と満身創痍だ。

骨も何本か折れているし、内臓にもかなりのダメージがある。

おかげで咳き込むたびに腹の底から赤いものがこみ上げてくる。

 

「・・・・あなたの神器は―――」

「そうだ。これが俺の禁手化、『背負いし十字架の愉悦』だ」

 

俺の禁手化は『対象に降りかかる災いを請け負う』というもの。

攻撃を直接受け取るのではない。斬撃を受けたのなら、威力に関わらず切り傷と痛みという結果を受け取る。

仮に俺が即死するような攻撃でも、本来受ける者の防御力が高くかすり傷だったなら、俺が受けるのはかすり傷になる。

毒も病も、果ては悲しみの感情までも請け負うことが可能だ。

今回俺は常時ダメージの半分を、致命的なものは全て引き受けている

生徒会長にも既に説明してあるし、万が一俺が死んだ場合はその場で転生させてもらうよう言ってある。

 

「あなたは・・・」

「あ?・・・げほっ」

「貴方はどうして彼のためにそこまで?」

 

倒れそうになる俺を支えている生徒会長が少し声を上擦らせながら聞いてくる。

 

「はっ、あいつのためじゃねえよ。誰が野郎のためにここまでするかってんだ。あそこには・・・っ、狙ってる女と癒し、木場がいるんだ。戦況を変えうる存在があいつだったってだけよ」

「彼こそがこの戦いの鍵だと?」

「ああ。それに・・・まあ。まあ、あんなんでも今生初の友人だ。勝ってほしいという思いも多少はある。」

 

クラスに馴染めないままだった俺に最初に話しかけてきたのはあいつだった。

『な、なあ。ちょっとこれ預かってくれないか?今日の荷物検査、明らかに俺を狙ってのものだと思うんだ』

拝む手にエロ本を挟んで頭を下げている馬鹿に、不覚にも笑ってしまった。

それから奴を通して松田や元浜、桐生とも知り合ったし、退屈だった学園もそれなりに良いものと感じられるようになった。

認めるのは癪だが、俺はあいつに感謝している。

 

「悪魔に転生するなら人としての命は捨てることになる。死んでも大丈夫なら、その一回は有効活用したいんだよ」

 

肩を掴む彼女の手に若干力がこもる。

 

「アンタから見てどうだ?兵藤達は勝てそうか?」

「・・・・難しいと思います。リアスの実力も、赤龍帝の成長も素晴らしいものです。ですが、フェニックスを倒すには――」

「塵も残さず消し飛ばすか、心をへし折るか・・・だったな」

「はい。恐らくライザーも疲弊はしているのでしょう。しかしそれでも二人では届かない」

 

俺のやっていることを否定したくはないのだろう。

甘いとは思うが、冷徹であろうとしつつも徹しきれない彼女には素直に好感が持てる。

 

「このままだったらな」

「え?」

「主人公の覚醒ってのはヒロインか絶体絶命の状況って相場が決まってんだよ」

「あの・・・」

「あそこにはソレが両方揃ってる。しかもヒロインは二人だ。フラグは立ってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

~SIDE兵藤一誠~

 

 

「ぐはっ!」

 

痛ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

ライザーに吹き飛ばされて俺は屋上の端まで転がる。

 

「でも」

 

まだやれるっ!

やっぱりダメージが少ない。明らかに異常だ。考えられる原因は―――

 

「やっぱこれだよな」

 

青江にもらった青い刺青。効果が何なのか分からないが、これのおかげで俺はまだ戦えている。

 

「部長!!もう一度連携、お願いします!!・・・部長!?」

 

返事が聞こえないので慌てて振り返ると、部長はうつぶせに倒れて咳き込んでいた。

何度も立ち上がろうとしているけど、その悉くに失敗している。

 

「ふむ、流石にリアスは限界か・・・もういいだろう。下僕君ももうあきらめたまえよ」

「うるっせぇ!!」

「リアス。この下僕君はどこまでも立ち上がるだろう。君があきらめない限りは永遠になぶられ続ける」

 

「くっ。・・・・・・」

 

部長が悔しそうに顔をゆがめる。

ライザーを睨めつけ反論しようとするが、俺の姿を視界に収めると一瞬泣きそうな顔をした。

再び俯いた彼女の前髪の間から数滴の涙が・・・。

 

――違う、俺のあこがれたリアス・グレモリーはそんな顔をする人じゃない。

いつも堂々としていて、余裕の笑みを絶やさない。そんな彼女に俺は惹かれたんだ。

俺なんかのために悲しんでくれるのは嬉しい。でも、それでは俺は自分が許せない。

俺は彼女と一緒に居たい。でもそれだけじゃない。リアス・グレモリーの隣に立つのはそんな男では駄目なんだッ!!

俺は『兵士』だ。兵士として彼女の隣に立つ。

だから

 

 

彼女の顔を曇らせる存在があるのなら、俺はそれを払い退けられる最強の『兵士』になる!!

 

「部長ッ!!」

 

俺は部長に向かって叫ぶ。

 

「俺には木場みたいな剣士の才能はありませんッ!朱乃さんみたいな魔力の天才でもありませんッ!小猫ちゃんみたいなバカ力もなければ、青江みたいな技量もないです!・・・それでもッ!!!!!!!」

 

俺自身には何にもない。それに苦しんだこともあった。でもそれは部長が励ましてくれた。

そうとも、俺は弱くとも俺にはこの神器が、赤龍帝の籠手が、ドライグがいるッ!!

 

『ククク、あの男の望んだことだ。見せつけてやれ、本当のドラゴンの力をッ!!』

「おうよッ!部長、見ていてください。俺は、兵藤一誠は貴方の隣に立てるような『最強の兵士』になります!!!!!」

 

代償?持ってけ!ここで勝てるならどんなモノだって捧げてやる!!

 

「輝きやがれぇぇぇぇぇぇッ!!オーバーブーストォッ!!!」

『Welsh Dragon over booster!!!!』

 

 

SIDEOUT

 

 

 

戦況は一変した。兵藤が禁手化してからは二人は完全に殴り合いの状況になった。

焼き鳥は拳に炎を纏い、兵藤は俺の渡したロザリオを握りこんでいる。

『譲渡』で水増しされたロザリオの力は確実に焼き鳥に効いている。

だが、あのバカはそのままロザリオを握りこんで殴っている。おかげで俺の腕は焼け爛れて嫌なにおいを放っていた。

更に常時展開していた『請負い』が例の『代償』まで半分持ってきてしまった。さっきから右目に激痛を感じる。

 

「これで勝たなきゃ帰ってきたらぶっ殺すぞ」

「これ以上は無理です!!今すぐに能力を止めてくださいっ!!本当に死にますよ!」

「ここまで来たらもう手遅れだ。あんたは転生の準備だけしておいてくれ」

 

今能力を解除すれば兵藤は焼き鳥の攻撃と自身のロザリオによる自爆で負けてしまう。

俺にできるのは祈る事だけ。

 

「早く終わってくれ・・・。」

 

 

 

 

SIDEライザー・フェニックス

 

なぜだなぜだなぜだっ!?

なぜこいつは立ち上がれる!?

なぜこいつの一撃はここまで響く!?ロザリオの聖なる力も大きい。だが、それ以上にっ!!

 

なぜこいつの拳はここまで重いっ!?

 

一撃一撃が確実に体に残り、俺に膝をつかせようとする!!

ふざけるなっ!俺は上級悪魔、不死身のフェニックス家その次期当主ライザー・フェニックスだぞ!?

こんな、神器がなけれは下級悪魔と呼ぶのもおこがましい様な餓鬼に追いつめられているだと!?

 

「ふざけるなっ!なんなのだ、なんなんだ、貴様はぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

殴る殴る燃やす燃やす。これだけしても奴は倒れない。

分からない、理解できない。俺は生まれて初めて恐怖というものを感じた。

 

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!」」

 

お互いの拳がぶつかり合い、両者ともに弾き飛ばされる。

 

「ぐぅ!!」

 

俺は思わず膝をついてしまった。戦いでここまで追い詰められるとは・・・。

そうだ、小僧はっ!?

 

「はあ、はあっ」

 

は、ははははははははははははっ!!

奴の纏っていた赤い鎧は消えている。奴自身も膝をついて満身創痍だ。

勝った!!俺の勝ちだ!!

炎が、随分と弱々しくなった炎が体を修復してゆく。これ以上は俺も限界だ。

 

「あとは、はあ。リアスに止めを刺すだけだな・・・・。残念だったな、下僕君。だが、俺はお前に対して生まれて初めて畏怖というものを感じた。誇るがいい」

 

ゆっくりと歩いてゆき、俺とリアスの間に立ちふさがる奴に近づく。

もう一歩も動けまい。

そう思った時だった。

 

「あああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

奴は最後の力を振り絞ってこちらに突撃してくる。

だが、本当に限界が近いのだろう。躓き、何度も転びそうになっている。

無様だ。この上なく無様だ。だが不思議と奴をあざける気持ちは起こらなかった。

 

「いいだろう、俺は全力でお前を倒す!!」

 

奴を迎撃するため、最高の炎を練り上げる。

 

「火の鳥と鳳凰!そして不死鳥フェニックスと讃えられた我が一族の業火!その身で受けて燃え尽きろッッ!!」

 

俺の全力の炎が奴を覆い尽くす。

本来であれば即死するほどの威力、これでおわっ――――

 

「あああああああっ!!」

 

馬鹿なっ!!あの炎の中を抜けてくるだと!?ありえん、今の奴は鎧も纏っていないんだぞ!?

ふところに潜り込まれる。

 

ドンッ

 

殴りつけるように俺の胸に叩きつけられたのは――――剣の柄??

 

「切り札は―――」

 

奴がうつむいたまま呟く。

 

「切り札は最後のダメ押しなんだってよッッッ!!!!!!」

『Transfer!!』

 

次の瞬間、柄から発せられた光は爆発的に膨張し―――

 

「がああああああああああああああああああっ!!」

 

激痛と共に、俺の意識は光に飲まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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