赤龍帝と青いヤツ   作:ニッカリ

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ヤバい、詰め込み過ぎた!!


第十九話

「・・・分かりました」

「やっぱヤバいのか?」

 

俺は会長に昨夜の顛末を説明した。

彼女は最初こそ驚愕して呆然としていたが、すぐに冷静さを取り戻し、質問を交えながら俺の報告を聞いた。

 

「由々しき事態です。その話が本当ならグレモリーとシトリー、二つの上級貴族が管理している土地に堕天使勢力しかも聖剣持ちが無断侵入しているという事です。更にあなたの目撃した神父。殺されていた事を考えると教会側の人間でしょう。悪魔、教会、堕天使・・・外交問題に発展しても何の不思議もありません」

「この後、オカ研にも伝えに行くつもりだ」

「お願いします。報告、ご苦労様でした・・・・が」

 

会長のメガネがギラリと光る。

なんか、ヤな予感。

 

「なぜ聖剣使いと交戦したのです?口振りでは面識がある様ですが、友好的な人物でしたか?」

「二回遭遇して、二回殺し合ってる」

「・・・・・」

 

いよいよ目つきがヤバい域に達した。

なまじ美人な分チョー怖い。

 

「では貴方は聖剣の危険性を承知の上で、危険人物と戦闘を行ったという事ですね?」

「ああ」

「ふーーーーーーー」

 

大きなため息をついて椅子の背もたれに体を預ける。

眼鏡を外してレンズを磨きつつ

 

「お仕置きです」

「は?」

「お尻をこちらに向けなさい」

「・・・・・え?」

 

なんかの聞き間違いか?

いま尻を出せって・・・まっさかぁ~~。

会長は椅子から立ち上がり、手首をほぐしたりプラプラさせたりしている。

 

「しり叩き千回」

「・・・・・」

「お仕置きです」

 

 

 

 

バッ←秀介の駆け出す音

 

ズバァァァァァァァッ!!!←生徒会長の放った水がぶつかる音

 

ビターン!!←秀介が壁に叩きつけられる音

 

ズルズル←カイチョーが伸びた下手人を引きずる音

 

ガチャンッ!!←手錠で椅子に固定する音

 

かちゃかちゃ←ズボンのベルトを――――

 

 

 

 

「あかん!!ソレはまずい!!」

 

これ以上は流石にシャレにならん。

 

「これは教育です」

「わ、分かった。ケツたたきは甘んじて受けよう。だがズボンはやめろズボンは!!」

 

俺の最終防衛線は半分パージしかけている。

必死で抵抗しているが、魔力強化された腕力に敵わない。

 

「教育すらも拒絶しますか・・・問題児ですね。もう少し厳しい調きょ・・・指導が必要なようです」

「おいいいい!?なんか本音漏れてない!?アンタ絶対楽しんでるだろ!!」

「楽しむ?何をですか?それに言うではありませんか、手のかかる子の方が可愛いと。楽しそうに見えるのはきっとそれでしょう」

「え?無自覚なの!?」

 

無自覚のサディスト・・・サイアクだ。

 

「こんなとこ誰かに見られたらどうすん―――『失礼する』」

 

突然生徒会室の扉が開き、真っ白な外套に身を包んだ二人組が入室してくる。

 

「ソーナ・シトリーはいるか?我々は教会の―――」

「ゼッ、ゼノヴィア!!あの二人を見て!!なんだかただならぬ雰囲気よ!これがうわさに聞くSMプレイ!?流石悪魔ね、爛れてる、爛れてるわ!!」

「・・・出直した方がいいだろうか?」

「助けてください!!」

 

俺は全力で泣きついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々の要求は二つ。この町にいる間の我々への不干渉とグレモリーへの引き合わせだ」

 

開口一番、二人組の片方ゼノヴィアと呼ばれていた女はそう言った。

無駄にエラそうな奴だな。

だが脇に抱えていた大きな包み。

あれから感じるものには覚えがある。

―――聖剣だ。

 

「事情も説明せずに要求ですか・・・教会の人間は交渉事は苦手なのでしょうか?」

「回りくどいことが嫌いなんだよ。陰険な君たち悪魔と違ってね」

 

室内は異常な緊張感に包まれている。

最早交渉中の二人は一触即発だ。

 

「ゼノヴィア。いくら悪魔が相手とはいえ、説明は必要よ。頼み込んでいるのはこっちなんだから」

「・・・・わかった」

「私が説明するわね?・・・先日、カトリック教会及び、プロテスタント側、正教会側に保管されていたエクスカリバーが強奪されました」

「そうですか」

「・・・驚かないのか?」

「その情報は既に掴んでいます。既にこの町に聖剣が持ち込まれていることも」

「「なっ!?」」

 

上手い言い方だ。確かに嘘は言ってない。

たとえ直前であったとしても、俺たちはその情報を知っている。

教会にとっても極秘事項だ。相手の動揺を誘うには十分なブラフだろう。

ゼノヴィアは剣を手に立ち上がり、殺気を放つ。

 

「やはり今回の件、『神の子を見張る者』のみならず貴様ら悪魔も!!」

「『神の子を見張る者』!?・・・確かにくだらない駆け引きをしている場合ではないようですね」

 

『神の子を見張る者』・・・堕天使の幹部集団だったか。

やはり相手は堕天使。それもかなりの大物。

 

「剣を収めてください。我々がこのことを知り得たのはそこの青江が昨夜聖剣使いと交戦したからなのです」

「なんだと!?」

 

二人の視線が俺に集中する。

 

「本当だ。・・・フリード・セルゼン。しってるか?」

「っ・・・なるほど、あの男か」

「心当たりがあるみたいだな」

「フリード・セルゼン。元法皇庁直属のエクソシスト。若干十三歳でエクソシストになった天才よ。功績も大きかったけど、彼の行動は常軌を逸していたわ」

「奴は魔獣のみでは飽き足らず、同胞たちにまで手をかけ始めた。異端認定されるのは当然のことだったよ」

 

やはり本物の天才なんだな。俺の考察もあながち間違いでは無さそうだ。

だが、十三歳か・・・確か人間はそのあたりの性的な発育の過程で性的関心や破壊衝動など様々なものが分離、確立されるそうだ。

その辺もあの狂気に関係しているのかもしれない。

 

「それで、教会側が堕天使から聖剣を奪還する戦いに悪魔は介入するなってことだな?」

「ああ、我々はともかく上の人間は君たち悪魔を信用していない」

「いいでしょう。今回の件、我々シトリー眷属は手を引きましょう」

「いいのか?会長?」

「この件は非常にデリケートな問題です。言い方は悪いですが、彼女たちが勝とうが負けようが我々にできることはありません」

 

出来るなら双方だけで解決してとっとと出てってくれって事か。

まぁ、そうだろうな。

 

「ただし、この町にいる間は悪魔に手を出さない。それだけは誓ってもらいます」

「それはグレモリー側の態度にもよる」

「では、あなた方からは攻撃しない」

「いいだろう。・・・神の名のもとに誓う。この町の悪魔にはこちらから手を出さない」

 

二人は額にロザリオを当てて誓った。

 

「ありがとうございます。・・・リアスと対話する際は彼を連れていくといいでしょう」

「俺?」

「問題の聖剣とも交戦経験があり、リアス達とも親交が深い。適任でしょう」

「なるほどな・・・了解」

 

とりあえずオカ研に向かおう。

 

「案内はよろしくたのむ」

 

え?

もしかしてこのコスプレつれて校内練り歩くの・・・か?

 

「ええええ」

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で教会の聖剣使いゼノヴィアさんとイリナさんです」

 

二人をオカ研のメンツに紹介する。

オカ研のメンバーは教会関係者という事で最大級の警戒をしている。

そして何よりも

 

「・・・・・」

 

木場が恐ろしいまでの殺気を放っている。

兵藤が言ってたな・・・木場は聖剣に特別な感情がありそうだって。

 

「やっほー、イッセー君おひさー」

 

あと紫藤イリナと兵藤は幼馴染だったそうな。

いろんなのに縁があるなぁ。

 

「ゼノヴィア、イリナ。悪いがさっきの説明をもう一度頼む」

「わかった。・・・事の発端は――」

 

二人はさっき俺達にしたのと同様の説明を彼らにもした。

 

「そしてこれが――聖剣エクスカリバーだ」

 

ゼノヴィアが包みを解き、刀身をあらわにした瞬間背筋が泡立つ。

やっぱすげえな・・・。

 

「私の持っているのは『破壊の聖剣』。カトリックに保管されていたものだ」

「私のはこれ」

 

イリナが腕に巻きつけていた紐を解くと、それは形を変え日本刀になった。

日本刀型のエクスカリバー?

 

「『擬態の聖剣』。こんなふうに形を自由に変えられるの」

 

そう言った彼女は俺たちの目の前で剣の形をグニャグニャと変えてみせる。

 

「イリナ、軽々しく聖剣の能力を悪魔に話すな」

「あら、たとえ悪魔が相手でも信頼関係は大切よ。それに私は聖剣の能力が知られていようと彼らに後れを取るつもりはないわ」

 

この人数相手にその自信は凄いな。

確かにフリードも強かったが、聖剣一本で人間が上級悪魔に太刀打ちできるものなのか?

ってかそんな事よりもいよいよ木場の形相がヤバいことになっている。

まずい、今にも飛び掛かりそうだ。

 

「木場、落ち着け。・・・俺が交戦した聖剣は恐らく『天閃の聖剣』だ。能力も合致するしほぼ間違いないだろう。持っていた人間はフリード・セルゼン。例のクソ神父だ」

「フリードさんが!?」

 

アーシアが驚愕の声を上げる。

 

「ちょっと待ってくれ。聖剣と戦ったって、青江大丈夫だったのか!?フリードって元のままでも滅茶苦茶強かったじゃないか。そいつが聖剣なんて持ったら」

「戦いには負けた。見逃してもらったってのが正しいな」

「あの狂人が見逃すなんて、我々にもにわかには信じがたいがね」

 

ゼノヴィアにまで懐疑の視線を向けられる。

 

「・・・つまらないんだそうだ」

「なに?」

「弱い俺を殺すのはつまらないんだと。万全の状況でもう一度やろうって意味だろう」

「青江が弱いって・・・聖剣ってのはそこまでの」

 

兵藤が愕然としている。まぁ、俺に未だに勝っていない奴からすればそうなるのも当然か。

でもそれは今までの話。禁手使われたら絶対に勝てない自信がある。

 

「もういいだろ。ゼノヴィア、本来の目的を忘れてる。ここには交渉に来たはずだ」

「そうだったな。聖剣を奪ったのは『神の子を見張る者』の幹部コカビエルだ。我々はこれから奴を相手に奪還作戦を決行する」

「コカビエル!?聖書にも記されている超大物じゃない。増援は?正教会は?」

「増援は無い。正教会の連中は今回の件を保留にした。残り一本を死守するつもりのようだ」

 

コカビエルって聖書に載ってたっけ?

いやまぁ、会長のスパルタ教育で堕天使幹部の名前くらいは把握してるけどさ。

 

「たった二人でやるっていうの?・・・貴方たち、死ぬ気?」

「教会は堕天使に利用されるくらいなら、エクスカリバーがすべて消滅しても構わないと決定した。私たちの役目は最低でも堕天使の手からエクスカリバーを無くすことだ。そのためなら、私たちは死んでもいいんだよ」

 

死んでもいい・・・か。

 

「お前たちはそれで納得しているのか?」

「ああ。もとよりこの身は神に捧げた身。主のために死ねるなら我々も本望だ」

「ふーん」

 

ま、いいや。

 

「シトリーにも言ったが、我々としては君たちが堕天使と手を組んだりしなければそれで十分だ。協力しろとも言わない。一時的にでも魔王の妹が教会と手を組むというのは三すくみの関係に影響を与えかねないだろうしね」

「私は何があろうと堕天使などと手は組まない。絶対によ。グレモリーの名にかけて。魔王の顔に泥を塗るようなまねはしない!」」

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

グレモリーとゼノヴィア、両者は一歩も譲らずにらみ合う。

暫くその状態が続いたが、ゼノヴィアの方が先に気を緩めた。

 

「それだけで十分だ。・・・用は済んだな。我々は失礼する」

 

二人はもう話すことはないと言わんばかりに席を立つ。

だが

 

「まぁ、そんなに急ぐこともないじゃないか。もう少しゆっくりしていくといい」

 

ザンッ

 

木場の一言を合図に室内に剣が咲き乱れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「祐斗!!」

「・・・なんのつもりだ?君は・・・グレモリーの『騎士』だったか」

「うん。そして・・・君たちの先輩でもある。失敗作らしいけどね」

 

にっこりと笑っているが普段の爽やかさは無く、ただひたすらに凄絶さをたたえている。

なんつーの?こういう顔が修羅の顔って言うんだろうな。

 

「おい、せっかく話が纏まりそうだったんだ。いきなりひっくり返すようなことをするんじゃない」

「君は黙っていてくれないかな?同じ眷属ならともかく、部外者の君には関係のない話だ。やっと見つけんだ・・・ふふふ、ドラゴンは力ある者を引き寄せるというけどまさかこんなに早く・・・」

 

肩に手を置いて止めようとするが振りはらわれてしまった。

不味いな、完全に頭に血が上っている。

ゼノヴィアは周りに並ぶ魔剣の群れを見回して

 

「『魔剣創造』か・・・所有者の想像した剣を創造する神器だったか?その口ぶりだとエクスカリバーを探していたように聞こえる」

「そうだよ。ずっと探してた。僕が今ここにいるのは全て、それを壊すためなんだ」

「・・・『聖剣計画』の被験者で処分を免れた者がいるかもしれないと聞いたが、それが君なのか?」

「・・・・」

 

木場は答えない。

だが雰囲気から察するに無言の肯定なのだろう。

『聖剣計画』に『先輩』、『失敗作』と『処分』か・・・。

なんとなく事情は予測できるな。

 

「恨む気持ちは分かるわ。でも、あの計画のおかげで聖剣の計画は飛躍的に伸びた。おかげで私やゼノヴィアといった聖剣に呼応できる人間が生まれたの」

 

え?なにこいつ煽ってんの?

・・・なわけないか。こいつの中では本当に研究の進展は素晴らしい事なのだろう。

だから犠牲となったモノは尊い犠牲の様に考えている。

そんなとこか。

 

「だが、計画失敗と判断された僕たちは僕を残して全員処分された」

「それはっ―――」

「・・・あれは教会の中でも最大級の汚点として扱われている。当時の責任者も異端認定されて、今では堕天使側の人間だ。そしてその者は今回の件に深く関わっており、今現在この町にいる」

 

異端認定って、おいおい。

研究は飛躍的に伸びたって言ったじゃん。

まだそれを基にして同じような研究やってんだよな?

頭挿げ替えただけじゃねえか。

 

「この町に!?その者の名前は!!」

 

あーあ、復讐相手追加だなあ。

正直木場にはそんなモンに縛られてほしくないんだけどなーー。

ってか木場にさっき言われた拒絶チョー傷ついた―。

少々うんざり気味に話を聞く。

しかし、それは次の言葉を聞くまでだった。

神妙な面持ちでゼノヴィアが口にする名前。

忘れもしない、探していた人間―――

 

「バルパー・ガリレイ」

 

 

 

 

 

 

 

ガタンッ

 

名前を聞いて体が反応する。

椅子にかなりの勢いで体をぶつけてしまったが、今はそんな事どうでもいい。

 

「バルパ―、だと?」

「あ、ああ。皆殺しの大司教と呼ばれた者だ。知っているのか?」

「・・・・・・」

 

そうか、そうかそうかそうか。

ここで、ここで繋がるか!!

 

「ククッ、ククククククク」

「お、おい。青江?お前までおかしくなっちまったのかよ?」

「バルパー。それって・・・青江君が探していた?」

 

姫島がグレモリーと顔を突き合わせる。

そうだったな。

こいつらには心当たりがないか一度聞いている。

・・・面倒だな。

 

「どういう事だい?事と次第によってはたとえ君でも―――」

「・・・・・リアス・グレモリー。俺はやることができた。先に失礼する」

「ちょっと、まちなさい!!!」

 

呼び止める声を無視して退室する。

木場もグレモリーも睨んでいたが無視を決め込んだ。

 

 

 

向かうは生徒会室。

会長に伝えなくてはならない。

 

―――俺はこの件に関わると。

 

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