なのでかなり短めです。
暫くあいたのに読んで下さってありがとうございます。
感想や評価値はモチベーションの回復に効果てきめんでした。(わーい、単純~)
これからもどんどんお待ちしておりますのでよろしくお願いします。
最低でもこれからは週一で上げる予定です。
教会組との共同戦線が決まってから数日。
俺たちは深夜の徘徊を繰り返しつつも、何の成果も上げられていなかった。
全員、日に日に苛立ちを感じはじめている。
だが代案がある訳でもなく、焦りばかりが募る。
「先輩?」
大体なぜ連中がこの地を潜伏場所に選んだのかも分かっていない。
『魔王の妹』の肩書きを持つものが二人もいる場所を『たまたま』選ぶなんてことはあり得ない。
何か理由があるはずだ。
「聞こえていますか?」
これでは悪魔側を挑発しているかのようだ。
堕天使は戦争でも起こすつもりなのか?
それとも―――
「先輩!!」
「あ?」
「どうかしましたか?先ほどから心ここにあらずといった様子でしたけれど」
塔城と姫島が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
どうやら思考にのめり込み過ぎていた様だ。
「ああ、悪い。ちょっとボケてただけだ」
「体調が悪いとかではないんですの?」
「大丈夫だ。悪い。余計な気を使わせた」
時計を見れば、昼休みの三分の一が過ぎている。
「何かあったら遠慮なくいって下さいね?」
「ああ。それよりも早く食っちまおうぜ?昼飯」
俺は部室で塔城、姫島と昼食の約束をしていた。
「全員飯はあるんだろ?」
「ええ」
「勿論」
俺と姫島は家から弁当を、塔城は購買のパンをテーブルの上に並べた。
「小猫ちゃんはお昼、それだけですの?」
「はい」
彼女の前には山と積まれた菓子パンの山。
見ているだけで胸焼けしそうだ。
「確かに褒められた献立ではないな」
「良かったら私がお弁当を作ってきた方がいいでしょうか?」
「……魅力的なご提案ですが、姫島先輩に負担をかけるわけには―――『なら俺も参加しよう』」
「「え?」」
「俺と姫島先輩で交互に弁当を作ってくるんだ」
「それは名案ですわ。青江君も自分でお弁当を?」
「一応な」
夕麻には家事を大分任せてしまっているが、いかんせんアイツは朝に弱い。
早朝に無理に起こすのも忍びないからな。
「先輩の手料理先輩の手料理先輩の手料理――――いえ、ですが」
「俺が心配なんだよ。悪魔が病気にかかるか知らんがな。最近はただでさえ夜の事も――」
「夜?」
しまった。聖剣破壊計画は姫島に話していなかった。
「いや―――まぁ、それに毎日パンというのも味気ないだろ?」
「……」
塔城が俺たちの弁当を交互に見詰めながら黙りこくる。
弁当は欲しい。でも、手間を掛けさせるのはってのが手に取るようにわかる。
俺は姫島とアイコンタクトを取り、
「まぁ、実際のところ弁当を作んのって一人分も二人分も大差ないんだ」
「ええ。むしろ作ったけれど余ってしまう、なんてこともよくある事ですわ」
この発言が後押しになったのだろう。
「……………お願いしてもいいですか?」
「「勿論」」
久しぶりに料理に張り合いが出てきたな。
ばりっばりっ
「「…」」
「ん?」
「いえ、青江君はエビフライのしっぽも食べるんですのね」
「ああ。正直本体よりも好きかもしれん」
「…美味しいんですか?」
「スナック菓子みたいな感じ…食ってみるか?」
幸い尻尾は二本残っている。
俺はそのうちの一つを箸で掴んで塔城の前に差し出す。
「っ!?」
「では、遠慮なく。……なるほど、これはこれで」
「だろ?何でも尻尾にはキチンって栄養があるらしくってな。抗がん作用があるらしい―――姫島先輩?」
「……わ、私も少し興味がありますわ」
心なしか少し興奮した様子で尻尾―――ではなく俺の箸を見つめている。
「いいぜ。ほれ」
俺は姫島の方に弁当箱を滑らせる。
「どうぞ」
姫島はパン食の塔城と違って箸を持っているから自分で取ってもらっても…。
しかし、彼女はそれを一瞥した後、
「私も少し興味がありますわ」
ニコニコと俺の顔をみつめてきた。
「いや、だからどうぞって―――」
「私も興味がありますわ」
ニコニコ
「いや、先輩は自分の箸が―――」
キュガッ!!!!!
姫島の手が残像を伴ってぶれたかと思えば、部室の壁に二本の箸が突き立っていた。
視認できないような速度で突きたったソレは半分ほどまで刺さり、ビィィィィンと未だに震えている。
「あらあら、すみません。お箸を落としてしまいましたわ」
嘘だ!!
「あの…」
「私もか・な・り興味がありますわ」
にっこり
「…お食べ下さい」
俺は自分の箸で彼女の口に尻尾を運ぶ。
「……あら、本当においしいですわね」
望みを叶えた彼女は満足そうに戦果を咀嚼する。
「ま、いいか」
ひな鳥の様に口を開けている姫島の姿には普段とのギャップもあり、かなりクるものがあった。
「む…やはり手ごわい。…先輩」
「んん?」
「先輩はどんな女性が好みですか?」
「は?」
「どんなって…特にこだわりは」
「まず女性のどこを見ますか?」
「顔」
即答だ。
自分を磨こうとしている人間というのは結構顔に出る。
だらしない奴は相応にだらしない顔をしている。
人間顔じゃないなんて言うが、人となりなんてしばらく付き合ってみないと分からんのだ。
ならまずは見ていて不快にならない顔がいい。
「では今まであった中でどストライクな女性は?」
「私も興味はありますわね」
「んー。そうだな……ああ、あの人。グレイフィアさん」
「「!!!!!????」」
ずがびしゃーん!!
そんな擬音が聞こえてきそうなほど衝撃を受ける二人。
「青江君の好みがサラサラの白髪無口美人だったなんて…」
「先輩の好みが年上の仕事ができるグラマラスお姉さんだったとは…」
「「!?」」
何かに気付いたのか弾かれたかのように互いを見つめる白髪無口美少女とグラマラスお姉さん。
「…姫島先輩は青江先輩相手には随分素を出しますね」
「小猫ちゃんこそ、貴方が他人にしかも殿方に頭を撫でさせるなんて」
「「………」」
二人の間に迸る火花が見える気がする。
どうする?話を逸らせるか?いやしかし―――
「ま、まぁ。青江君は弟みたいなものですから。彼も結構気を許してくれていますし」
「……先輩も私といると落ち着くと言ってくれています」
「ああ、小猫ちゃんも見たんですの?青江君の寝顔。何というか普段と違って年相応のあどけないものですよね?」
「なん……だと?」
愕然とした顔で塔城がこちらを見てくる。
そういや姫島の前では寝ちまったことあったな。
塔城といるときは基本彼女が先に寝ちまうし…。
「…ときに先輩」
「ん?」
「喉は乾いていませんか?」
「いや、べつに――『そうですか。では、私が汲んできます』」
そう言うや否や小走りで部室に備え付けのキッチンに小走りで向かう。
「「???」」
姫島と顔を見合わせて首をかしげているとトコトコと戻って来た。
その手のグラスグラスには
「お待たせしました。お水です」
シュワシュワと泡立つ液体が入っていた。
明らかに錠剤かなんか入ってる。底に白い物見えるし。
「いや、お前何入れた?」
「…水です」
「このシュワシュワしてる白い粒は?」
「……ラムネです。ただの水では物足りないかと」
「いや、水にお菓子のラムネ入れたって瓶のラムネと一緒にはならないから」
「え…?」
初めて知ったとでも言わんばかりの様子だ。
心なしかがっかりしているかのように思える。
「で?これは?」
強めの口調で問いただすと彼女は目をそらしつつ
「……………………………バ〇」
「ねぇよ!?いくらシュワってるからって〇ブはねぇよ!!!」
案の定中身は睡眠薬だった。