第三話(※)
~回想終了~
「話聞いてんのかよ、青江~。」
ど~よ、友人の話を聞きながらのこの回想。高速思考も板についてきた。
ここは学園二年の教室、目の前にいるのは見た目丸刈りの爽やかな野球男児、中身は立派な変態というサギな男、松田。
「そうだ!俺達は何のためにこの学校に入学したのか、思い出すんだ!」
そう言う如何にもなオタメガネは元浜、女性のスリーサイズを服の上から見るだけで測定できるという異能持ちだ。
「あ?わりい話聞いてなかったわ。」
「だーかーらー!なんで俺達にはおっぱいを揉む機会が回ってこないんだって話!」
そう叫ぶのは兵藤一誠。そう、あのイッセーだ。俺は今駒王学園に通っている。
あれから実家で一人暮らしだったんだが、ある時爺さんの古い友人を名乗る老人が自分が学園長をやっている学園に来ないかと連絡してきた。
特にやることのないまま漫然と暮らしていたから、その申し出は渡りに船だったぜ。学園についても原作知識なんてもうほとんど皆無だったから、入学して兵藤と紅髪のグレモリーが揃ってやっと気が付いた。
やっぱあの学園長もただもんじゃないんだろう。
しかしまあマジでどうでもいい内容だったな。
「そりゃあれだろ、お前らが風俗に尻込みしてるだけだろ。」
何をいまさら。
「ちっげーよっ!!そういうことじゃないんだよ!彼女だよ、彼女!なんで風俗に飛ぶんだ、バカにしてんのか!?」
兵藤が胸倉を掴んでくる。
「彼女?お前らが?・・・わははははははははははははははっ。」
「「「わらうなああああああああああ!」」」
「んで?なんだよ急に」
返り討ちになった兵藤達が席に着いてから話をうながす。
3バカが語りだす。
「いいか?ここ駒王学園は最近まで女子校だった。つまりだ。圧倒的に女子が多い。更に海外からの美人留学生も多数。」
「すなわち!男子は貴重!故に!」
「まさに入れ食い、つまりモテモテ!!!」
「「「これは即ちハーレム!!!!!!」」」
仲が良いなこいつら。
「・・・・のはずなんだが、何故か彼女もできずこうして二年目の春を迎えているわけだ。」
「「「虚しい」」」
テンションの振れ幅が激しい・・・ここは話に乗ってやるか、メンタルカウンセラー青江の出番だぜ!
「ふむ、俺の意見としては「きゃー!!」」
なんだ?女子の悲鳴がうるさい、いや嬌声か?少し離れたところに人だかりが・・・・なるほどな。
「木場君、今日一緒にカラオケ行かない?」
「あ~っ!ずる~い私も~」
女子たちがイケメンを取り囲んでいる。一目では女かと思うほど中性的で恐ろしく整った顔立ち、手足の長いスラリとした細身な体型。
「ごめんね、今日は用事があるんだ。」
断る態度も余裕を感じさせる爽やかなものだ。
「絵に描いたような王子様だな。」
半ばあきれながら呟く。
「木場祐斗。そのルックスもさることながら、成績優秀、運動神経抜群というチートスペック。女子達からは憧れを通り越して崇拝されている。駒王学園全男子生徒の怨敵だ。」
元浜が歯ぎしりしながら解説する。器用なヤツめ。
「世の中は不公平だ。」
そう言うと、三人は涙を流しはじめた。
なんかかわいそうになってきた。ここは万能な俺が恋愛アドバイスで救済してやろう。
こいつらもブサメンじゃないんだ、となると木場とこいつらの決定的な違いは・・・
「いいか?お前らに足りなくて木場にあるものは何か?それは余裕だ。見たろ?あの受け答え。もしお前らがああやって誘われたらどうする?」
「四十八手を予習する!」
「うっすぃーのを財布に入れる!!」
「ネットで近隣のホテルを吟味する!!!」
オーケー、よくわかった。
「あきらめな。」
「「「ご無体な!!」」」
俺にも不可能はある。
「さて、時間だな。」
松田が立ち上がる。
「どこ行くんだ?」
「ふ・・・聞いて驚け。剣道場の壁の穴を見つけた。更衣室側のな・・・」
「っ!?なん・・・だと。」
「急げ!イッセー!元浜!青江!」
「おうよ!」
「・・・・」
「パス」
松田と元浜の二人が走り去ってゆく。
「・・・・」
兵藤がじっとこちらを見つめている。
「兵藤、お前は行かないのか?」
「・・・青江、俺はあきらめないぜ。彼女」
「おっ、おう。」
こいつにも意地があるのかね。主人公なだけはってか?
「じゃっ、俺も行ってくるぜ!」
「結局行くんかい!」
兵藤達と別れてすぐに俺は帰宅する事にした。
「あれは」
鮮烈な紅髪、対を為すかの様な深い青の瞳。リアス・グレモリーだ。
隣にいる大和撫子然とした、美少女というよりは美人の部類に入るであろう彼女は姫島朱乃。
学園の二大お嬢様は類友が世の真理なのか(3バカ然り)いつも一緒に行動している。
「あそこだけ空気がちがうな。」
拒絶している訳で無く、寧ろ穏やかで優雅なのだが、こちらから近づくのを躊躇う。そんな雰囲気だ。向かう先は・・・
「旧校舎?なんかあんのかねぇ。」
背を向け歩き出す。今日は肉豆腐にほうれん草のおひたし、みそ汁にしておひたしは明日の弁当に詰めるかな。
「っ!?」
視線を感じて振り向く。誰もいない。気のせいか?
モヤモヤした違和感を感じながら今度こそ帰途に着くのだった。
「お~い、虎徹~。」
いつもの様に猫の虎徹に餌をやる。飼っている訳で無く、近所の野良猫なんだが妙に懐かれてしまった。
猫は囲い込むんじゃなくてこの緩い感じがお互い心地いい気がする。
因みに虎徹は虎猫だ、黒猫じゃない、残念だったな!!
今住んでいるのは学校からそう離れていない所にある下宿だ。気楽な一人暮らし、バイトはしていない。
鍛錬は高速思考、ランニング10キロ、木刀の素振り3000を中心にバランス良く筋力トレーニングを組んでいる。
前世のころは苦痛だった勉強も高速思考のおかげもあってそんなに苦労していない。
一応、武術もやっている。俺の爺さんの流派だった青江流護身殺法は独自の技がある訳では無い。名乗るものの使う技、それが青江流というインチキみたいなもので、継承するのは代々の当主が得意とした技全て、例えば三代目が得意とした技は三の型になる。
故に九代目になる俺は武術に関してはチャンポンのようなものだ。さらに九の型を作るため、八極拳、クラヴ・マガ、システマをやっていてもはやカオスだ。イメージは白浜兼一だが、一応人間の範疇だ。
そしてみんな気になっているであろう神器についてだ。
ミハイルから奪った人工神器の名は‟献身者の媚薬”。いかがわしい名前だが、能力も完全にソッチ方面だ。
作った奴は変態だろう。
端的に言おう、これは服用者の血液を恒久的に特別なものに変える。服用者は{自らの血を自発的に服用した者}の感覚、主に痛覚と快感を自由に操作できる。
ここまでなら素晴らしい大人のオモチャなのだが、さすが失敗作。感覚をいじる絶対値に応じて使用者に凄まじい激痛が走る。常人なら気が触れるほどだ。
しかぁし!!10歳のころからほんんんんんの少しづつ使用し、自分に痛みを課し続けてきた俺は痛みに対して異常なほどの我慢強さを手に入れた。
痛いのは痛いが耐えられる。精神鍛錬にはもってこいだったし、痛みで動きが鈍る事ももうないだろう。
あとは使う相手だけか・・・。
いったん帰宅した後、夕飯の買い出しに向かっていると
「あっ、あの!」
「ん?」
橋の上で黒髪の美少女に話しかけられた。
「あの、いつもこのあたりを走ってる人だよね?」
「ああ」
近所の子か?
「えっと・・。その、よく見かけてて。」
髪をいじりながらもじもじしている。彼女の頬が赤いのは夕焼けのせいか、はたまた別の何かか。
なにこのときメモ的展開、ありえんだろ。ちなみに俺はメモオフ派だ。
彼女は目を閉じて深呼吸する。そして・・・
「一目惚れでした!付き合ってください!」
「ごめんなさい」
「早っ!!じゃなくて、どうして!?」
「そういうの信じないんだ。あんたのことよく知らんし。悪いな。」
まして今俺はジャージにトイレスリッパ、片手にエコバッグと敢えてシチュと外したスタイリッシュファッションだ。
なんでこのタイミングなんだよ、もちょっとロマン感じさせてくれよ。
「じゃあ私の事知ってよ!」
「どうやって?」
「え?・・・・・・・・・・・・・明日!明日よ!!」
「明日?」
明日は日曜日だな。特に用事もなかったか。
「明日、私とデートして下さい。」
「いいぜ。」
意図はどうあれ必死なのはなんか可愛らしかった。たまにはそういう考えなしの休日もいいだろう。
さっきの3バカの影響かねえ。
「じゃあ明日十一時に駅前で。」
そう言うと微笑んで去ろうとする。
「まて。」
「うん?どうしたの?」
まさかほんとに気付いてないのか?
「名前。明日デートするのになんで自己紹介してないんだ。お互い名前も知らんだろ。」
「あ・・・。ごめんね、緊張してて。」
疑惑度上昇。
「夕麻だよ。天野夕麻。」
修正しました。
五歳→十歳
献身者の媚薬の条件も少し変えました。
自分で読み返すとあんまりにもチートだったので
十月七日
感想に主人公の容姿が知りたいとありましたので、つたない物ですが挿絵を入れます。
【挿絵表示】
…ホモじゃないよ?