人機重唱シンフォギア―Sinfonia×Rize―   作:ブレイアッ

17 / 20
週一投稿が隔週に、そして遂に月一に……もっとペース上げられるように頑張ります……!
と言うわけでお待たせしました13話です。


13話『ヒーローもどき』

「悪いが、舞台から蹴落とさせてもらうぜッ!」

 

 墓参りを終えた彩夢の前に突如として現れた、鈍い銀色の鎧を身に纏った少女。

 問答無用で放たれた宝石のような鞭の一撃が、彩夢めがけて振るわれる。

 

「うわっ、と!?」

 

 咄嗟に横に転がって回避し、すぐさまゼロワンドライバーを腰に装着する。

 

《ジャンプ!》

 

 この1ヶ月で身体に染み込んだ動作でライジングホッパーのプログライズキーを起動させ──

 

「…………っ」

 

 ドライバーにかざす手を寸でのところで止めた。

 それが、鎧の少女の琴線に触れる。

 

「テメェ、どういうつもりだ。なんで変身しない!」

 

 吠える鎧の少女。

 そんな彼女に、彩夢はプログライズキーを握りしめ、言い放った。

 

「ゼロワンは、誰かを守るための力だ。女の子を相手に使うような力じゃない!」

 

 脳裏に浮かんだのは、助けられなかった少女の顔。そして助けられた少年の笑顔。

 生きたいと願って手に入れた力だからこそ、誰かを傷付けるようなことには使いたくなかった。

 

「チッ! ふざけやがってッ!」

 

 そんな彩夢にイラついた様子を隠そうともせず舌打ちし、どこからともなく紫の宝石が付いた銀色の杖を取り出す。

 

「だったらコイツでどうだッ!」

 

 杖から緑の光が放たれ、そこから()()()()()()()

 人型のものが5体、ナメクジ型が6体。計11体のノイズが彩夢を囲う。

 

「な……ノイズを呼び出したッ!?」

 

 ノイズが相手となれば迷っている余裕は無い。変身しなければ、ノイズに触れただけで炭素と化して死んでしまう。

 すぐさまキーをドライバーにかざして承認、展開してドライバーに装填する。

 

「変身ッ!」

 

《プログライズ! ライジングホッパー!》

 

《アタッシュカリバー!》

 

 ゼロワンへ変身し、アタッシュカリバーを構える彩夢を見て鎧の少女はほくそ笑み、杖を掲げてノイズに号令をかける。

 

「行けッ!」

 

 ノイズが一斉に紐状に変形し、囲む円を狭めるように一直線に襲いかかる。

 逃げ場は上空のみ。

 

「ッ!」

 

 ライジングホッパーの跳躍力でもって真上へと跳躍し、ノイズをかわす。

 続いて、上空のゼロワンめがけてノイズが追撃する。

 

「誘われた!? ッ、このッ!」

 

《ブレードライズ! フルチャージ!》

 

「せあッ!」

 

《カバンストラッシュ!》

 

 空中で振り抜いたアタッシュカリバーが弧を描き、黄色い斬擊となって飛び、迫り来るノイズを両断する。

 

 逃げ場の無い上空に誘導し、そこに追撃する。

 それぞれが本能のままに動くこれまでのノイズとは明らかに違う、統率のとれた動きだ。

 

(このままここにいるのはヤバイッ!)

 

 身動きの取れない空中では、さらなる追撃には対応出来ない。

 そう判断したゼロワンは、すぐさまアタッシュカリバーをカバンモードに変形。足下に放り投げるやドライバーのキーを押し込む。

 

 以前にも使った。アタッシュカリバーを蹴って得られる作用と反作用を利用した空中高速機動。

 進む先は鎧の少女。その手にあるノイズを呼び出す時に使っていた杖を奪うべく、全力でアタッシュカリバーを蹴った。

 

《ライジングインパクト!》

 

 黄色いサイバー線を宙に描き、迫り来るゼロワンを──。

 

「ちょっせえ!」

 

 宝石状の鞭を、まっすぐ棒のように固定した(ロッド)による突きで迎え撃った。

 

「ぐッ!?」

 

 ゼロワンドライバーに杖が突き刺さり、体がくの字に折れる。

 あまりの勢いと衝撃に鎧の少女は耐えきれず、後方へと吹っ飛ばされた。

 

「チッ、壊したと思ったんだがな」

 

 鎧の少女は傷1つ無いゼロワンドライバーを見やり、悪態をつく。

(必殺技を移動に利用する技は初めて見せたはず。なのに、それを分かってたようなカウンター!

 まさか……!)

 

 ノイズを召喚し、操る力。ゼロワンの行動パターンを理解した動き。

 そこから導き出される答えは──。

 

「まさか、記念館のノイズ襲撃事件……お前が犯人かッ!?」

 

 ゼロワンの問いに、鎧の少女は口元に挑発的な笑みを浮かべ、言う。

 

「だったら、どうするよ? 仮面のヒーローッ!」

 

 その瞬間。心の中で、何かが切れた。

 目の前の少女が、ノイズを操り、大勢の人やヒューマギアを傷付けた。あの少年の命を奪いかけた。

 そう思うと、()()の念がこみ上げ、思考を赤と黒に染め上げる。

 

《アタッシュカリバー!》

 

 ブレードモードのアタッシュカリバーを生成し、ドライバーから引き抜いたキーを怒りに任せて叩き付けるように装填する。

 

《Progrise key confirmed. Ready to utilize.》

 

 アタッシュカリバーからのアナウンス音声が鳴り終わるより早くアタッシュカリバーを畳み、カバンモードへと変形させ──

 

 

 ガキンッ!

 

 

 ──ることは出来なかった。

 

 カバンモードへ変形途中のアタッシュカリバーに、鎧の少女が伸ばした宝石状の鞭が挟まり、変形を妨害したのだ。

 

「本当に、面白いようにこっちの思い通りに動いてくれるなァッ!」

 

「しま──ッ!」

 

 鞭のトゲが伸び、アタッシュカリバーを絡め取る。

 そして、鎧の少女の手へと収まった。

 

《チャージライズ!》

 

「ゼロワンは誰かを守るための力? 女の子に使うような力じゃない?

 だったら今のテメェは何なんだよッ! 怒りに任せてこんなモンをブッぱなそうとしたテメェはよォッ!」

 

 少女の言葉が、彩夢の心を殴りつける。

 命も心も持たないノイズを屠る刃を、命も心も持つ女の子に向けようとした事実を、目の前の少女を()()()()()()事実を突き付けられ、赤と黒に染まった思考を冷めさせる。

 

《ブレードライズ! フルチャージ!》

 

「テメェみたいに強い力を持つやつがいるからッ! この世界から、争いは消えないんだッ!」

 

《ライジングカバンダイナミック!》

 

 横凪ぎに振るわれた刃から放たれる黄色い斬撃。

 必殺の威力を誇るそれは、まさしく己が少女に向けようとしたもの。()()()()()()

 

「ぐああぁぁッ!」

 

 防御すらせず、直撃する。

 爆発が起き、ゼロワンは吹き飛ばされた。

 地を転がり、土が黄色い装甲を汚す。

 カシャン、と腰のホルダーからラッシングチーターのキーが落ちて、転がる。

 

「ぐっ、うぅぅ……ッ」

 

 当たりどころが良かったのか、変身解除には至らなかったものの、ゼロワンは地に伏せたまま起き上がれない。起き上がろうとしない。

 

「オレ、は……ッ!」

 

 理不尽な話だ。

 勝手に誰かを危険に晒し、勝手に襲ってきた。

 悪いのは相手だ。鎧の少女だ。

 だからといって、ゼロワンが鎧の少女に(悪意)を向けた事に変わりはない。

 誰かを守ると言って、生きたいと願って手に入れた力で、誰かを傷付けようとした自分に()()する。

 

《チャージライズ!》

 

 カバンモードのアタッシュカリバーから流れる待機音が、己の死を予告しているように聞こえた。

 

 ──『彩夢、お前に夢はあるか?』

 

 ふと、飛電或人(父親)との会話の記憶が(よみがえ)る。

 幼い頃、噴水公園で肩車をしてもらった時の記憶だ。

 

 ──『うーん、わかんない!』

 

 ──『そっか、分かんないか』

 

 ──『ねぇ、おとうさんのゆめってなに?』

 

 ──『父さんの夢か? そうだな……今の夢は──』

 

《ブレードライズ! フルチャージ!》

 

 アタッシュカリバーの音声が、意識を現実に引き戻す。

 

「『彩夢が色んな夢を見れる未来を創る』……そうだったよな、父さん」

 

 顔を上げる。

 

 まだ、自分は自分の夢を見れていない。

 

 今ここで死んだら、大好きなあの人(飛電或人)の夢が叶わなくなってしまうから。

 

 視線の先に、ラッシングチーターのプログライズキーがあった。

 

 託された夢がある。託された力がある。

 

 そうだ、ゼロワン。こんなところで立ち止まってはいけない。

 だって、託された夢は、未来。そして、託された(アビリティ)は──

 

 

《ダッシュ!》

 

 

 ──未来へと走り出す力なのだから。

 

 

「消えちまえよ、ヒーローもどき」

 

 高く掲げられた必殺の刃が振り下ろされるよりも速く。

 

「断るッ!」

 

《オーソライズッ!》

 

 天からオレンジ色のチーターのライダモデルが降り落ち、アタッシュカリバーの刃を噛み付いた。

 

「このッ、放しやがれッ!」

 

 鎧の少女はアタッシュカリバーからライダモデルを振り払わんとを滅茶苦茶に振り回す。

 チャージされたエネルギーが真下の地面に放たれ、巻き起こった爆風でライダモデルは吹き飛ばさるも、くるりと宙で回転して着地。

 立ち上がり、キーを展開するゼロワンを背に、ガオゥッと、鎧の少女へ吼えた。

 

「チェンジ、ゼロワンッ!」

 

《プログライズッ!》

 

 キーを装填。ドライバーが開くと同時に、ライジングホッパーのアーマーが移動する。

 ラッシングチーターのライダモデルが空中で分解され、二重螺旋を描くエネルギーとなってゼロワンに照射。チーターの力を持ったオレンジのアーマーへと再構成される。

 

《スピーディーナンダー! ラッシングチーター!》

《Try to outrun this demon to get left in the dust.》

 

 夢に向かって飛ぶ力と、未来に向かって走る力を合わせ(ハイブリッドライズし)たゼロワンへと変わ(チェンジす)る。

 

「オレはここに、父さんと、このゼロワンに誓うッ!

 もう二度と、刃に悪意を込めないとッ!」

 

 

 ──『そいつをお前に託す。どう使うかは、お前次第だ』

 

 

 ラッシングチーターを託された時の、刃唯阿の言葉が脳裏に走る。

 

「ここでオレが倒れたら、キミはきっと、沢山の誰かを傷付けるだろう。だから、オレは、この力でッ、オマエを止めるッ!」

 

 息を吸い、目の前の少女に指先を突きつけ、言い放つ。

 

「オマエを止められるのはただ1人。オレだッ!」

 

「ハッ! やってみな、ヒーローもどきッ!」

 

 

 




フライングファルコンが仲間を見るような目でライジングホッパーを見ているぞ!

次回
なんかゼロワンを嫌ってる鎧の少女VS闇落ち適正の高い主人公。

来週には投稿したい!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。