人機重唱シンフォギア―Sinfonia×Rize―   作:ブレイアッ

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隔週投稿にするつもりが忘れてました。
代わりに来週も投稿しますわよ。


15話『再会するフタリ』

 シンフォギアに秘められたノイズの炭素化を無効化する力であるバリアフィールドは、歌の障壁だ。

 歌を炭素と変えることは出来ず、そして歌の届く範囲こそがバリアフィールドの効果範囲内。そこならばノイズは人を炭素と変えることは出来ない。

 

 そして、炭素化が出来ないのであれば、ノイズの攻撃はレイダーの分厚い装甲がその役目を果たせるようになる。

 ノイズ最強の矛は潰れれば、後は蹂躙あるのみだった。

 

 シンフォギアの歌が届く範囲で、レイダー達がノイズを倒す。

 それが、この1月(ひとつき)の間にシンフォギア開発者である櫻井了子が、戦い素人である響のために考案した作戦であった。

 

《 《撃槍・ガングニール》 》

 

 戦場の中心で、シンフォギアを纏った立花響が歌う。

 

《インベイディングボライド!》

 

「ハァッ!」

 

 炭素転換を奪われたノイズをレイダーが踏み付け、赤い光線で撃ち抜く。

 黒い炭素の塊となって崩れ落ちるノイズを確認するや、レイダーは視線を上げる。

 

「ゼッ、ヤァ゛ァッ!」

 

 視線の先には、オレンジのサイバー線を描きながら駆けるゼロワンが、目にも留まらぬ速さで蹴りをに放ち、次々とノイズを炭素の塊へと崩す姿があった。

 

「ハァッ、ハァッ、ハァ……ッ」

 

 肩で荒い息をするゼロワンの背後から別のノイズが飛びかかる。

 

「彩夢様ッ!」

 

《パンチングブラスト!》

 

 サヨが飛電ショットライザーから撃ち放った鈍色の拳のようなエネルギー弾がゼロワンの背後から飛びかかるノイズを弾き飛ばした。

 弾き飛ばされたノイズは、サヨの声に反応したゼロワンによる高速の連続蹴りで炭素へと崩す。

 

 反動で吹っ飛んだサヨを、響が受け止める。

 

「ぐっと、ぐっと、みなぎ、てぇッ!? えっ、あっ、と、とめどなく溢れていく──」

 

 “彩夢”という聞き慣れた名前に驚き、一瞬、歌を途切れさせかけたが、すぐに歌を再開する響。

 しかし、その心中は穏やかではなかった。

 

(まさか……)

 

(なんで……)

 

((どうして))

 

((立花(彩夢くん)がここに……ッ!?))

 

 何故、どうしてと困惑するの2人。しかし状況がよそ見を許さない。

 響が歌うのを止めれば、ノイズに炭素転換能力が戻り、全滅は免れない。

 ゼロワンが戦うのを止めれば、ノイズはバリアフィールドの外へと逃げて誰かの命を奪うだろう。

 

 それでも、本来なら戦いに集中できず、ボロが出るはずだ。

 だのに、

 

(力が湧き上がってくる……ッ!)

 

(体が軽い……ッ!)

 

 2人のポテンシャルは、今まで以上に高まっていた。

 それは結果として、しかと現れる。

 

 例えば、ゼロワン。

 本来ならば、ノイズの位相差障壁を超えるダメージを与えて無理矢理倒していたにも関わらず、今は必殺技無しに、連続の蹴りのみで倒してみせている。

 例えば、立花響。

 胸の内から湧き上がる力は、フォニックゲインを高め、バリアフィールドの強度と範囲は通常時の約2倍になっていた。

 

 同時刻、彼女の戦いをモニタリングし、サポートしている特異災害対策機動二課。その司令室には騒然としていた。

 

「響ちゃんのフォニックゲイン、急激に上昇中ッ! これって……絶唱に匹敵ッ!」

 

「なんだとッ! 響くんの体に異常はッ!」

 

「ありませんッ! 響ちゃんのバイタルに問題は、何一つ見当たりませんッ!」

 

「何の負荷もなく、絶唱に匹敵するフォニックゲインを引き出すなんて……聖遺物との融合症例である響ちゃんだから出来ることなのか、それとも、何か他の要因があるのか。

 どちらにせよ、響ちゃんは帰ったらメディカルチェックね」

 

 

 

 響が歌い、ゼロワンの高機動でノイズをバリアフィールドの範囲内に押し込み、レイダー達と協力してノイズを倒す。

 そうして、死傷者0人という、ゼロワンにとって初めての()()()ノイズ掃討は終わったのだった。

 

 

===

 

 

「はぁ~、なんとか今日も無事に終わったよ……」

 

 ギアを解除し、その場に座り込む響。

 その耳には、ガスマスクと同等の保護機能が備わっているバリアを展開する機能を持つZAIAスペックが付いていた。

 戦闘終了エリアに舞う炭素の粉塵から肺を守るための装備だ。

 

「立花」

 

「ひゃわぁ!」

 

 ゼロワンが話しかけるや、勢い良く立ち上がる響。

 ゼロワンの様子を(うかが)うような上目遣いで見る。

 そんな響を前に、ゼロワンは変身を解除する。

 

「どうして一般人のはずの立花が、ノイズが出現した現場に、レイダー部隊と一緒に来ているのか、聞かせてもらおうか」 

 

「それはこっちの台詞だよ。どうして彩夢くんが戦ってるのか、私だって聞きたい」

 

 2人の視線がぶつかる

 

 その時、響のZAIAスペックが着信を知らせる。

 

「もう、こんな時に。

 はい、響です。へ? 大丈夫ですけど……はい。はい……えっ? 今からですか!? えっと、はい。その、了解しました」

 

 ZAIAスペックに指先を当て、二言三言言葉を交わして、彩夢に向き直る

 

「その、二課の司令が本部に連れてきてくれって……ごめん!」

 

「え?」

 

 両手を合わせて謝る響。

 突然、どこからともなく彩夢の背後に現れたスーツ姿の茶髪の男性が、彩夢の脇に手を入れてひょいと持ち上げる。

 次の瞬間には、彩夢と響は車の中にいた。

 

「えっ? あれッ!?」

 

「それでは、行きますよ」

 

 運転席に座った茶髪の男性が優しげな声で言う。

 

「えぇぇぇぇッ!?」

 

 彩夢の声が車内に木霊した。

 

===

 

 

 あれよあれよと言う間に彩夢が連れてこられたのは、私立リディアン音楽院。

 の、地下深くに存在する特異災害対策機動部二課の本部である。

 

「リディアンの地下にこんなのが……」

 

「ビックリするよね」

 

「なんか……驚き疲れた」

 

 怒涛の展開に、何故響が戦場にいたのか。なんて疑問はどこかへと押し流されていた。

 

 茶髪の男性の後について、響と並んで廊下を歩く。

 やたらと長いエレベーターの中で彼から渡された名刺によると、名前を緒川慎次と言うらしい。

 名刺にある「小滝興産株式会社」という会社の名前には覚えがあった。

 彩夢がファンであるアイドル。風鳴翼の所属する事務所だったはずだ。

 

(そういえば、この前の単独ライブに飛電インテリジェンスが出資してたなぁ……)

 

 などと考えていると、

 

「緒川さん。戻ってたのですか」

 

「ええ、翼さん」

 

 件の人物。風鳴翼が眼の前に現れた。

 青い髪に、切れ長の強い意志を湛えた瞳。研ぎ澄まされた剣のようにどこか冷ややかな視線は、ステージの上で歌う彼女を知っているとギャップを感じさせる。

 

 そんな彼女を前に、彩夢は折り目正しく、さもそうするのが当然とばかりに姿勢を正して一礼する。

 

「お久しぶりです。翼お嬢様」

 

 そして、()()()()()()()挨拶した。

 

「えっ?」

 

 凄い勢いで彩夢を見る響。

 

「ええ。飛電或人(お父様)のご葬儀以来かしら。

 ゼロワンと聞いてまさかと思ったけれど、やはり彩夢だったのね」

 

「ええぇッ!?」

 

 物凄い勢いで翼を見る響。

 そんな響をよそに、凛とした態度を崩さず、鳩尾の辺りで腕を組みながら翼が答える。

 親しさこそ感じられないが、知らない仲ではないということを感じさせるには十分だった。

 

「ええぇぇぇぇッ!」

 

 今度はリディアンの地下に、響の声が木霊するのだった。

 

「さっきからうるさいぞ、立花」

 

「いやっ、でも! 2人って、しっ、知り合いだったのッ!?」

 

「……色々あるんだよ。風鳴と飛電には」

 

「貴女が詳しく知る必要は無いわ」

 

 つん、と突き放すように2人は言う。

 その時、響の両肩を誰かが叩いた。

 

「はぁい♡ 響ちゃんは私と一緒に来ましょうね〜♪」

 

「えっ、了子さんッ!?」

 

「はーい、こっちよ~♪ それじゃ、また後でね、お2人さん」

 

「まだ聞きたいことが〜〜ッ!」

 

 あ〜れ〜。と、メディカルルームへズルズル引きずられる響を見送る。

 嵐のように現れて響を連れ去った櫻井了子が見えなくなると、翼は小さく咳払いした。

 

「……んんっ、付いて来なさい。司令……叔父様が待ってるわ」

 

 




無印段階だと本当に触れないのでここでサラッと触れると
風鳴と飛電は本家と分家の関係です。
本家の次期当主、翼と分家の中で一番力を持ってる飛電の暫定当主、彩夢。
親戚っちゃ親戚
なお、或人社長がいない今では現当主風鳴訃堂がその気になれば彩夢は逆らえないくらいの力関係。
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