人機重唱シンフォギア―Sinfonia×Rize― 作:ブレイアッ
とりあえず今日中に投稿出来たッ!
特異災害対策機動部二課。司令室。
翼の後ろに続き、彩夢を出迎えたのは見知った顔だった。
「お久しぶりです。弦十郎さん」
赤い髪の壮年の偉丈夫。
特異災害対策機動部二課司令。風鳴弦十郎。
飛電彩夢にとって、戸籍上の遠い親戚にあたる男だ。
「ああ、久し振りだな。前に会った時より背が伸びたんじゃないか?」
「まあ、成長期なんで。それより、こんな強引に呼び付けるなんて。本家らしいと言えばらしいですけど」
「少々手荒になったことについては詫びよう。すまなかったな」
「謝って欲しかったわけじゃいです。あの緒川慎次って人、噂に聞く緒川の忍ですよね? 彼を迎えに寄越すってことは国防を担う防人として、余程重要な事なんでしょう?」
「分かっている。響くんのことだろう? 彼女が戻ってくるまで、話せることを話そう」
「……分かりました」
===
「アンチノイズプロテクター。シンフォギア……その適合者に立花が……」
「現在、響くんには協力者として二課に力を貸してもらっている。今回のようにレイダー部隊と協力し、極力彼女に危険が及ばないようにし対処しているのが現状だ」
二課のオペレーター。友里あおいから渡された
翼も同じ部屋にいるが、彩夢から少し離れたところで壁にもたれかかっている。
「そうですか……あいつのお節介もここまで……」
響の困っている人を放っておけない性格を知る彩夢には、ある意味で納得の行く話だった。
困っている人がいて、自分に助けられる力があるなら、誰かの笑顔を守れるのなら、全力でそれを揮う。ただ、それだけ。
(オレと同じようなもんか……)
それでも、心の底では戦ってほしくないというのが正直なところで。
「響ちゃんのメディカルチェック終了よ〜!」
その時、司令室に、響を連れた櫻井了子がやってくる。
その後から刃唯阿とサヨが続く。
「え、刃先生にサヨ?」
思わぬ顔に驚く彩夢。
「私は彩夢様のお迎えに。刃様は」
「私は一課に技術顧問として参加しているだけで、本来の仕事は二課の技術者だ。ここにいるのは当然だろう?」
なるほど、と頷く彩夢。ふと響と目が合う。
どうやらメディカルチェック中に彩夢の事を聞いたらしい響は、彩夢の顔を見るとぎこちない笑みを浮かべた。
「どうだった。了子くん」
「もう、すーっごく元気ッ! 絶唱クラスのフォニックゲイン出しておいてなんで異常が無いのか不思議なくらい健康体よ」
「そうか。となると要因は……」
弦十郎と了子の視線が彩夢に向く。
こめかみに指先を当てて唯阿が言った。
「彩夢のゼロワンか」
キョロキョロと辺りを見渡し、傍らに立つサヨを見て、指先を自分に向ける彩夢。
「え? オレ?」
「ああ。ゼロワンの戦いは一課の方でモニタリングし、情報を収集していた。これを見てくれ」
唯阿が手元のライズフォンを操作すると、司令室のディスプレイにゼロワンの立ち姿と、いくつかのグラフが浮かび上がる。
「これが通常時のゼロワンの戦闘データ。そしてこれが、シンフォギアと共闘した時の戦闘データだ」
そう言って表示されたのは、何かの値が急激に跳ねたグラフだった。
グラフのタイトルには、Unknownと書かれている。
「このグラフは?」
「不明だ」
「不明?」
「シンフォギアと何らかの反応が起きて、何かの数値が跳ね上がった。としか言いようが無い。
これは私の仮説だが、彩夢のゼロワンにはフォニックゲインと共鳴し、増幅させる機能が備わっているのではないか。と考えている」
「フォニックゲインを増幅……だと……ッ!?」
驚愕する弦十郎。それを気にせず、唯阿は続ける。
「こんな機能は、本来ゼロワンドライバーに備わっていない。
詳しいことは彩夢のドライバーを解析するしかないな」
「オレのドライバーを?」
《ゼロワンドライバー ver.2!!》
彩夢がドライバーを取り出した瞬間、
『どう? イズ、髪とか変じゃない?』
『或人社長、録画は既に開始しております』
『ええッ! そうなのッ!?』
「これって、父さん……? それに、イズ母さんの声……」
そこに映されたのは飛電インテリジェンスの社長室に佇む在りし日の飛電或人。そこから聞こえるのはイズの声。
机の上のデジタル時計には4年前の2039年4月8日と表示されている。
『えー、この映像が流れたってことはそこに彩夢がいて、ガングニール、アメノハバキリのシンフォギアがあるって事だ。
あ、刃さんと弦十郎くんもいるのかな?』
「どういうことだ……?」
「ゼアの予測か……。つまり、飛電或人はこの状況を想定していたということになる」
「まるで手の平の上で踊らされてるみたいでイヤな感じねぇ……」
『まぁまぁ、そんなこと言わないでよ櫻井さん』
「ッ!?」
どこかで監視されてるのかと辺りを見渡す了子。しかし、これは記録映像だ。
卓上のデジタル時計が示す時間が正しければ、彼は4年後の1人の人物の発言まで予測していることになる。
了子には映像の向こう側にいるのほほんとした笑みを浮かべた飛電或人という男が、酷く恐ろしいものに見えた。
『さて、みんな疑問に思ってるだろうフォニックゲインが急上昇する現象についてだ。
結論から言うと、このゼロワンドライバーにはシンフォギアの歌と共鳴し、フォニックゲインを増幅させる機能が備わっている。名付けて、
「つまり、シンフォギアとの共闘を前提に作られたゼロワンというわけか」
『おっ、さっすが刃さん。その通りッ!
これから先、ゼロワンだけじゃ対処出来ない事が必ず起きる。ノイズだけじゃない。神話世界からの強襲はすぐそこまで迫っている。立ち向かうには、シンフォギアの力が必要だ。
詳しいことは彩夢のライジングホッパープログライズキーを解析してよ。この映像が流れた後にロックが解除されるからさ。
未来をそう、
はいッ! アルトじゃ〜ッ、ナイトォッ!』
『今のは、そウ、タノんだよ。と、ウタノ力で。をかけた。面白いジョークです』
『あっ、ちょっとイズぅッ!?』
ブツン、と映像が途切れた。
「っ」
映像が終わったと同時に、膝から崩れ落ちる彩夢。
「彩夢くん、大丈夫?」
亡くなった父の姿に何か思うことがあったのか。
彩夢を心配して側に寄る響だが、傍らのサヨは何ら心配している様子が無い。
「やっぱり……高度すぎてオレには父さんのギャグが分からない……ッ!」
「えっ、そっちッ!?」
イズ母さんも不破おじさんも笑うのにッ! と嘆く彩夢であった。
次回は7月3日(日)10時投稿予定。