無個性オリ主が共にヒーロー目指す!   作:チェリオ

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第19話 苦労する者、再び…

 マスコミが雄英高校敷地内に侵入した出来事に続いての襲撃事件。

 施設の建設に補修、修繕をセメントスと共に行うパワーローダーは深いため息を漏らす。

 崩壊させられた校門の修理が終えたと思えば、ウソの災害や事故ルームはオールマイトと脳無の戦闘で基礎まで被害を受け、一度襲撃を受けたからには対策を施さねばならなかったりと大忙し。

 だというのに休校日にも関わらず「作りたい物があるので!」と発目(問題児)はやって来るし、今日の昼休みには出来上がったスーツを見せたいばかりに発目に呼び出された扇動がついでとばかりにアイテム制作頼んでくると来たもんだ。

 正直発目はどう頑張っても事故が起きる品物でなかったからそれならと許可を出したし、扇動が頼んで来たのはデザインは考えねばならなかったが簡単な物で然程苦労も無い。

 だけどこう…じわじわと精神が削られ、胃の当たりが締め付けられるような感覚に襲われる。

 今期は出だしから色々あり過ぎた。

 ひと段落がついたら温泉でも行って休養するのも良いかも知れないな。

 

 「…で?なんでついて来るんだ発目」

 

 扇動より放課後はだいたい体育館γに居ると聞いていたので、出来上がったアイテムを散歩がてら持って行こうとしたパワーローダーは、後ろを台車を押して付いてくる発目に怪訝な表情を向ける。

 確か休校日に作っていたのはスーツ(仮面ライダーゼロワン)だった筈。

 シーツで隠されているとは言え、台車に乗っている物は明らかに違う。

 嫌な予感しかしないのは何故だろうか…。

 

 「私、扇動さんに用があるので!」

 「それは必要なのか?」

 「生まれたてのベイビーを早速試して貰いたく!」

 「…そうか。そうだよなぁ…」

 

 チクリと胃が痛んだ気がしたが、気のせいだろう………多分。

 明らかに不安要素の塊に眩暈がしそうになるも、精神と思考が現実逃避しようと見なかったことにしたがっている。

 ため息交じりにそれが何なのか問いかけるが、到着してからのお楽しみですとはぐらかされた。

 まったく楽しめる気がしないから教えてほしかったのだが…。

 

 体育館γに到着するとひんやりとした冷気が頬を撫で、汗を垂らしながら鍛錬に励む学生達が目に付く。

 そして遠巻きながらに眺めているイレイザー・ヘッド。

 

 「体育祭に向けてか。熱心じゃないかイレイザー?」

 「俺じゃない。アイツらが勝手に切磋琢磨しているだけだ」

 「へぇ、そうなのか…」

 

 イレイザーが居たから指導しているのかと思いきや、自主練習だったとは…。

 視線の先では範囲技で凍り付かせる事を禁止された轟が氷柱を出し、切島が硬化して防いだり壊したりして近づき、盾持ちの八百万が遮って切島の行く手を防ぐ。

 ガンガンと殴られる盾で苦しそうではあるが耐え抜き、轟が氷柱で援護する。

 

 もう一方では全体を見渡している扇動に緑谷が殴りかかるも拳は意図も簡単に躱されて吹き抜ける暴風だけが通り過ぎ、振り抜いて無防備となってしまった緑谷は放り投げ飛ばされる。

 隙を突くように接近していた麗日が触れて浮かせようとするも、完全に動きを見切られた挙句にその動きすら利用されて軽く転がされた。

 立ち上がって再び殴りかかった緑谷の行動は破れかぶれで、呆れた様子で扇動は拳を振るう前にタイミングを合わせて懐に飛び込み、膝で軽くしゃがんでから踏み出して背中で体当たり―――貼山靠(鉄山靠)を喰らわせていた。

 

 …最早実戦レベルではないのかと、眺めながら思う。

 扇動を除く全員がすでに息を切らして、肩を大きく揺らしていた。

 もう限界ではと思っていると、見越した扇動は今日は終了だと皆に告げてスポーツ飲料を手渡して休ませ始めた。

 

 「扇動、ちょっと良いか?」

 

 キリが良いと判断して呼び、手招きすると駆け足で近づいて来た。

 他の面々は疲れて座り込んでいる者も居るというのに、こいつだけは平気そうなんだが…。

 

 「少しばかり熱が入り過ぎなんじゃないか?」

 「初日だから様子見を兼ねてますから。明日からは調整していきますよ」

 「きつ過ぎて辞めたら元も子もないだろうに」

 「無理強いするもんでもないし、辞めたいなら辞めれば良い」

 「意外とドライなんだな」

 「人の意思を尊重してるって言って欲しぃ…ってどうしたんです?」

 「お前が頼んだんだろうに」

 

 そう言って昼休みに頼まれたマスクとゴーグルが合わさったアイテムと、デザインこそおしゃれな眼鏡みたいなゴーグルの二つを取り出してた渡す。

 前者は緑谷 出久のコスチュームに合うデザインと色合いに、軽さとそこそこの強度を持たせた。

 後者は普段付けていても可笑しくない物という事で、どんなデザインが良いのか解らず“ミッドナイト(香山 睡)”に意見を求めて形にした。

 

 「おお!さすが仕事が早い。助かりますパワーローダー先生」

 「別に難しい機能を付けるような品物でもなかったしな」

 

 素直に喜んでいる様で何よりだ。

 そう思っていると話が終わるのを待っていた発目が強い反応を示した。

 

 「なんで―――私に―――言ってくれないんです!」

 「お前に言ったら余計な機能つけるだろ」

 「はい!」

 「否定か少しは間を空けろよ…」

 「発目…」

 

 二人揃って呆れ顔を晒すも、一瞬で数メートルの距離を詰めてきた発目は「それが何か?」と言いたげな様子。

 …とここで扇動は発目がここに来ている事に首を傾げた。

 

 「蓄積されたデータを取りに来たのか?」

 「それもありますが、生まれたてのベイビーを持ってきました!」

 

 バッとシーツを勢いよく捲るとオレンジ色のロケットを模したアイテムが姿を現した。

 発目が制作した事もあり、見た目も相まって不安感が押し寄せてくる。

 逆に扇動は目を輝かせ、疲れて座り込んでいた生徒達もなんだなんだと眺めている。

 

 「おお!フォーゼのロケットか!!よく短時間で作ったな」

 「形も機構もシンプルでしたので。要望に書いてあったように移動にも攻撃にも使えますよ」

 

 意気揚々と説明する発目と嬉々として耳を傾ける扇動。

 異常な空気を生み出している様子に誰も眺めるばかりで近づかず、イレイザーに至ってはこいつら大丈夫なのかとこちらに視線で訴えかけてくる始末。

 

 「早速試してみましょう!」

 「いや、ちょっと待ちなさい発目」

 

 どう見ても悪い未来しか見えない。 

 止めようと近寄るも、それより先に扇動が言われるがまま中間部に手を突っ込んで装備する。

 躊躇う事無くスイッチを押すと後部にある四つのブースターが火を噴く。

 すでにここでアクシデントが発生していた…。

 誰の眼から見てもブースターから放出される火の勢いが異常なのだ。

 案の定勢いに耐えれず扇動の手が中間部より抜け(運良く)、まさしくロケットのように飛んだアイテムは轟が出しっぱなしにしていた氷塊に激突して爆発を起こした。

 目の前で起こった惨状に生徒は呆気に取られ、イレイザーから抗議の視線が向けられて、胃が締め付けられる。

 

 「出力の調整がまだでした!ごめんなさい!!」

 

 造った張本人はあっけらかんに謝るが、これは最悪扇動が大怪我をしていた所だ。

 悪気があった訳ではないのは解かる。

 昨日の一日がかりのスーツ作りで疲労が溜まっていてチェックが甘くなり、短時間で作り上げたアイテムゆえに確認や実験が疎かになってしまっていたのだろう。

 理解はしてもだからと言ってすんなり許してはならない。

 

 「発目!お前はまた何でもかんでも…下手したら怪我人、いや!死人が出たかもしれないんだぞ!!」

 「本当にすみません」

 「まったく!お前も何か言ってやれ!」

 

 怒鳴り付けながらもう少しで多大な被害を被るところだった扇動に振り向く。

 扇動はロケットの残骸を眺めながら、振り返ることなく小さく口を開いた。

 

 「―――これ、良いな」

 「……は?」

 

 怒るでも安堵するでもなくニヤつきながら呟かれた言葉に耳を疑った。

 あの時、腕が抜けなければ骨折は間違いなく、爆発に巻き込まれれば大怪我していたというのに…。

 発目に続いて扇動の反応で頭が痛く、湧き上がって来る感情でフルフルと肩が震える。

 

 「パンツァーファウスト(対戦車擲弾発射装置)というよりはシュツルム(疾風)ファウスト()だな。これが脳無戦の時にあれば…。移動・格闘戦を向上させるだけでなく、対物兵器にも出来るなら幅は大きく広がる。使いどころが限られるが備えあれば憂いなしとも言うし…早速改良案を―――」

 「このッ…問題児二人ここに座れ!!」

 

 怒鳴り声を上げたパワーローダーは胃の痛みを無視して、問題児二人(発目&扇動)にこんこんと説教を行い、次回からは試す前に許可を取ってからと開発工房の出禁をチラつかせながら念入りに言い聞かせた。

 

 …扇動が叱られている様子を見てイレイザーは、他人事ではないのかも知れないなとため息を漏らすのであった…。




・シュツルムファウスト
 機動戦士ガンダムなどのガンダムシリーズに登場する兵器。
 巨大ロボット(モビルスーツ)が装備している対ロボット用のパンツァーファウストの名前である。
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