無個性オリ主が共にヒーロー目指す!   作:チェリオ

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第26話 障害物競走

 凄いと素直に認めてしまった。

 認めるほかなかったと言うべきか。

 

 『一年A組轟!攻略と妨害を同時に!?こいつぁシヴィー!!』

 

 無理な体勢で凍らされた巨大なロボット達は倒れ込み、地面に激突して破片や氷の粒を撒き散らす。

 実況のプレゼント・マイクが言うように、一発で自身は突破した上で倒れ込んだことでそれは文字通りの障害物と成り果てた。

 

 入試時には片腕と両足を犠牲にして撃破した0Pヴィラン(ロボ・インフェルノ)を、轟は複数体を無傷で瞬殺…。

 活躍こそしていないが扇動は氷結を間近ながらもタイミングを合わせて跳んで二位を維持している。

 そして生き残っているロボ・インフェルノに真っ向から挑むのではなく、タイムロスを考えてあえて相手にせずに頭上を飛び越えて行った爆豪。

 三人とも凄い人なんだ。

 だけど…だからと言って負けてはいられない。

 僕の個性の制御は対人に置いては有効となったが、二週間では時間が足りずにまだ人以外は未知数…。

 ここで下手に使って行動不能になっては第一種目の突破も困難となるだろう。

 どうする?どうすれば良い?

 緑谷の思考はこの難題に対して働き、対して表情は獰猛な笑み(・・・・・)を浮かべていた。

 もし扇動が見ていたならばその様子に興味深く、そして嬉しそうに眺めていた事だろう。

 

 倒れ込んだロボ・インフェルノに下敷きにされた切島と鉄哲の防御特化の個性持ちは装甲を砕いてレースに復帰。

 残存するロボ・インフェルノは八百万が創造した大砲に寄る砲撃にて全滅。

 事態は秒で変化し、圧倒的突破が困難のように見えた第一関門は大きく開かれた。

 …とは言っても障害物として配置されたのは0Pだけではなく、峰田を吹っ飛ばした1Pヴィランのように入試の際に出てきた仮想(ヴィラン)が複数配置されている。

 各自各々戦闘、もしくは避けて先へと進む。

 

 緑谷といえば残骸である装甲を手に、向かって来た1Pヴィランと対峙していた。

 試験時にこの仮想敵は直線的に行動し、設定した標的を追尾するという情報が揃っている。

 勢いよく突っ込んで来るのを薄っすらと感じ取りながら(・・・・・・・)、逃げるふりをして突然の方向転換。

 立ち止まれない1Pヴィランに拾った装甲を振るう。

 狙うは酷く細くなっている胴体と下半身の接続部分。

 両足を無理のない程度に開いて足首や腰などに捻りを加えて振るった一撃は大剣のようにぶった切り、1Pヴィランの上半身と下半身を分断した。

 

 (武器だけでなく盾にもなるし凡庸性高いぞコレ)

 

 などと拾った装甲版に評価を下し、ぶった切った際に散る破片を気にすることなく進む。

 この際に放課後の特訓が始まって以来つけ続けているゴーグルに対しても感謝していたが、本当に思うべきところはそんなところではない。

 なにせ視線を向けずに背後より迫る1Pヴィランの位置を大体ながら感じ取れたことこそ扇動がゴーグルを掛けるように言った意図なのだから。

 

 装甲版を手に走り続ければその先には崖…。

 下を除けば真っ暗で底など見えず、先に進むには途中途中に聳え立つ石柱へと繋がるロープを渡らなければならない。

 

 『オイオイ、第一関門チョロイってよ!!なら第二関門はどうよ!!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな――ザ・フォオオオオオオオル!!』

 

 あまりの高さにゴクリと生唾を呑み込みブルリと震える。

 周囲に視線を向けると同様にビビッて足を止めていた。

 

 「大げさな綱渡りね」

 

 ケロッという掛け声と共に蛙吹が先陣を切ってロープに跳びつき、ひたひたひたと進んでいく。

 さすがというか度胸が違うと感心してしまう―――などと感心している場合ではない。

 すでに先頭集団はザ・フォールを抜けようとしている。

 轟はロープを氷結させて発生した氷で足を固定しつつ連続発生させて通過し、扇動は消防士などが使うセイラー渡過でスルスルっと素早く渡り切った。

 そのすぐ後ろに追い付こうと爆破で飛び越えるのは、身体が温まって調子が出てきた爆豪。

 先頭とこれほどに差があるのかと理解しつつ、自分もロープへとしがみ付く。

 背中に先ほどの装甲版を背負っている為に身体が下になり、意図せずモンキー渡過で渡っていく。 

 

 ロープを足場にして絶妙なバランスと個性のエンジンで突破する飯田に、高所より複製腕でムササビのように滑空して飛び越える障子など他の生徒も続々と渡過を始める。

 その中で一人異彩を放つ者が一人。

 

 「ふっふっふっ、来ました来ましたよ。私のサポートアイテムが脚光を浴びる時が!」

 

 そう言って周りの注目を集めるは様々なサポートアイテムを身に着けた発目であった。

 注目を浴びると同時に誰もがその身につけているサポートアイテムに釘付けとなる。

 それは魅せられたとか言う訳ではなく、アイテムの使用はズルなのではという視線…。

 

 「アイテムの持ち込みって良いの!?」

 

 皆の思いを口にしたのは側に居た芦戸である。

 対して発目の解答は公平を期すため(・・・・・・・)に許可されているというもの。

 なにせヒーロー科は授業で個性の扱いを習って使い慣れており、普通科を含んだ他の学科からすれば不公平。

 そこでサポート科は自身が作ったサポートアイテムならば使っても良しという事になっているのだ。

 

 「なので私達サポート科にとってこれは企業にアピールする絶好の機会なのです!」

 

 発目はアンカー付きのワイヤーを射出するサポートアイテム“ザ・ワイヤー”を使い、向かいの石柱にアンカーを突き刺すと崖へと跳び出し、ボタンを押すと巻き取りを開始してそのまま石柱へと突っ込む。

 ただアンカーを刺したところに向かうので、上の足場ではなく下の石柱激突コース。

 ぶつかる寸前に脚部の“ホバーソール”にて発生されたホバーで衝撃を緩ませて巻き取りで得た速力も加えて宙へと駆けあがる。

 

 「さぁ、見て!出来るだけデカイ企業!!私のドッ可愛いベイビーを!!」

 

 高らかに、そして誇らしげに叫びながら、飛び越える為だけではなく多くの注目を浴びようと宙を舞う発目。

 それに目をくれる事無く緑谷は先頭集団に喰らい付こうと先を急ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 「私のドッ可愛いベイビーを!!」

 「……んあ?」

 「どうした扇動?」

 「発目の叫び声が聞こえたような気が…いや、何でもない」

 

 渡り切ったところで扇動は遠くより響いて来た声に反応するも、すぐさま轟の背後をぴったりと追う。

 現在の順位は二位。

 これは絶妙な順位である。

 そこまで一位に固執している訳ではないが、むざむざ負ける気も無い。

 しかしここで勝つのは非常に困難だ。

 

 前を走っている轟は範囲攻撃が可能で、一位になると言う事は背を晒す行為。

 さすがに後方からの氷結を躱し続ける自信は無いし、氷結を喰らってしまった場合は最悪ゴールすら怪しくなる。

 一番良いのは轟が個性を使えない状態・状況に追い込むか行動不能にするかだが、身体能力高めで強個性持ちに何の準備も無く勝てるかどうか…。

 否、倒すだけなら出来るだろうけど確実なタイムロス。

 数分だけでも過ぎれば確実に爆豪が追い付いて来るだろう。

 轟・爆豪の連戦もかなりきついが、それ以上に倒し切れず二人に挟撃されるなんて事になれば目も当てられない。

 

 『一面地雷原!怒りのアフガンだ!!地雷は解り易くなってるから目と足を酷使して突破しやがれ!!ちなみに地雷は威力はねぇけど音と見た目派手で失禁必至だぜ!!』

 『…人に寄るだろソレ…』

 

 悩みつつも到着した扇動と轟に合わせてプレゼントマイクの説明が入る。

 見てみたら確かに土が盛り上がっていたり、埋め直されたような跡が見受けられる。

 アレが地雷のある場所なのだろう。

 確かに見つけ易いのだけど、注意しながら走ると言うのは中々に集中力を使う。

 下手にどちらかを緩めたら足止めか後続に追い付かれる危険性がある。 

 

 「怒りのアフガンって…機関銃撃ちまくるランボー(ランボー3 怒りのアフガン)でも出てくんのか?」

 「良いアイデアあるか?」

 「被害ガン無視なら爆破が一番。火で焼き払ってみるかい?」

 「絶対に炎は使わねぇ」

 「となると氷結で起爆させないように固めるかだけど後続に道作っちまうな」

 「つまり?」

 「地道に見分けて進むしかねぇな」

 

 面倒臭いけどそれが一番だろうと判断した二人は土の具合と互いの様子を窺いながら先へ急ぐ。

 続々と後続が追い付くも背後から響き渡る爆発音からして上手く進めてないらしい。

 中では飯田の突破法は凄まじかった。

 個性“エンジン”による速度頼りで堂々の正面突破。

 先へ進む度に地雷を起動させるも駆け抜けており、爆発するのは後方となる。

 突破法としては理想的であるも、意図せずとも少しでも緩めてしまえば爆発の餌食。

 実際飯田の全力疾走も長くは続かず後ろから続く爆発に飲まれた。

 威力は低いんだろうけど大きな爆風とピンク色の爆煙が

 

 「爆発えぐっ」

 「エンタメしてんな」

 「そんなの俺には―――関係ねぇえええ!!」

 

 見分けながら先に進んでいると後方より地雷とは違う連続した爆発音が近づき、それは徐々に大きくなって到頭(とうとう)それは(・・・)追い付いた。

 地雷を無視する爆発を利用した空中移動に、身体も温まって汗の量も増えて速度を上げれた爆豪が追い付くのは必然だった。

 扇動は舌打ちしながら地雷原での乱戦に知恵を巡らせる。

 

 「テメェ!宣戦布告する相手を間違えてんじゃあねぇよ!!」

 『ここで先頭が変わったぁああああ!!喜べマスメディア!!お前ら好みの展開だぁああああ!!!』

 

 先頭が轟から爆豪へと変わる。

 しかしそれを見逃す轟ではなく、進む為でなく妨害する為に氷結の個性を振るう。

 さすがに無視して先へ進む事叶わず、爆破を用いて防ぎながらなんとか先に進もうとする。

 激しい一位を巡った攻防戦。

 お互いに攻防を繰り返すもある一点に気付くと即座に対象を切り替える。

 

 「先に行かせるかよ!!」

 「気付いてねぇと思ったかクソ“すがら(身すがら)”が!!」

 「バレたか!気付くんじゃあねぇよ!!」

 

 二人が妨害に夢中だった隙にこっそりと抜いた扇動であるも即座にバレて攻防戦に巻き込まれる。

 すでに手の内を知り合っている三名の戦いは妨害と防御の二択と相成った。

 それぞれの得意分野に引き込まれないように警戒しつつの順位争い。

 モニターに移される順位表は目まぐるしく入れ替わる。

 手に汗握る争うの終止符を打ったのは扇動でも爆豪でも轟でも無かった。

 

 今までの地雷とは異なり過ぎる大きな爆音が響き渡る。

 何事かと三人の意識が僅かながら向く。

 地雷原の入り口で突如起きた巨大過ぎる爆発に高く舞うピンクの爆煙。

 そしてその中から爆風に乗って物凄い速度で迫って来る緑谷 出久。

 

 「イズク…お前ッ!?」

 

 予想打にしなかった事態に勝機を掴めた僅かな隙を逃してしまった扇動は、今まさに頭上を飛び越えようとする緑谷に驚き、次の瞬間には敵対していた三者は口にせずとも一時休戦となって緑谷を追い始めた。

 

 

 

 

 

 

 一か八かだった。

 今しがた地雷原に到着した自分と妨害しつつも四分の三も突破している扇動・爆豪・轟の先頭集団。

 すでに多くの生徒が地雷に引っ掛かって数は少なくなって進み易くなっているとしても、地雷原を駆け抜けてかなりの距離がある彼らに追い付けるはずもない…。

 だったら地雷を気にせずに彼らに追い付くしかない。

 脳裏に過ったのは爆豪の技である爆発を利用した空中移動。

 

 良くも悪くもここには爆発物は山ほどある。

 使えるかもと持って来た装甲版は爆風を受けるのにもってこいだ。

 目に付く埋めた跡を掘り起こして地雷をありったけ搔き集める。

 簡易であるが砂の壁で爆発の方向性を多少向けさせ、あとは成功する事を祈って装甲版を構えて地雷に跳び込むのみ(・・・・・・・・・)

 装甲版より伝わる振動に舞い上がる風圧を一身に受け、響き渡る爆音に耳が痛むもキッと目を見開いて正面を睨む。

 誰も彼もが上を見上げている。

 

 それもその筈…。

 大量の地雷が同時に起爆した事で発生した轟音に爆発で振り返れば、爆風を利用して空を猛スピードで飛翔する緑谷 出久の姿があったのだから。

 地雷もない空中では障害物もなく、爆風を一心に受けた緑谷は先頭集団に迫る。

 驚愕の表情をこちらに向ける三人。

 

 『A組緑谷!爆発で猛追―――ってか抜いたぁあああああああ!?』

 

 追い付くどころかそのまま頭上を飛び越して行った。

 やったと内心歓喜するもそれも束の間。

 麗日の“無重力”ならまだしも緑谷は爆風を利用した飛翔。

 距離が長く成ればなるほど失速して、引力にしたがって落下して行くのは道理。

 そもそも緑谷は着地の事など失念していた…。

 

 (どうする?どうする!?)

 「クソデクがッ!俺の前を行くんじゃあねぇえええ!!」

 「――チッ、仕方ねぇ」

 

 着地の問題も迫る中、抜かれた事で争っていた扇動・爆豪・轟が敵を緑谷に絞り(・・・・・・・)追い掛けて来たのだ。

 轟に居たっては後続に道を作ってしまう事を理解した上で、氷結で地雷を凍り付かせた安全な道を生成してまで追って来る。

 反応速度もそうだが追い掛けて来る速度も速い。

 失速する中でその三人が視界に入り、このままでは抜かれるのは必須。

 加えて地面に激突して転び、体勢を立て直すのに何秒掛かる?

 秒とは言え抜かれてしまっては追い付くのは難しい。

 もうそこまで迫る三人。 

 

  (こんなチャンスは二度と来ない。放してなるものか!追い抜き無理なら―――抜かれちゃ駄目だ!!)

 

 落下する中でも決して放さなかった装甲版を、着地する前に地面に叩きつけた。

 その真下にあった地雷が爆発し、追い越そうとしていた爆豪と轟は爆風をもろに受けて体勢を崩す。

 逆にまだ空中にいた緑谷は爆風に押される形で前へと飛ばされ、転がりながらも決して好機を逃すまいと立ち上がると同時に駆け出していた。

 

 『間髪入れず妨害!?なんと地雷原速攻クリア!!スゲェなっていうか凄過ぎだろお前のクラス!?どういう教育してんだ!!』

 『俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火ぃ付け合ってんだろ…』

 

 だがこれで決着がつく筈もない。

 この先の障害物が無くともまだゴールには到着していないのだから…。

 

 「チィ―――なぁッ!?」

 「クソデクが!―――テメェ!?」

 

 爆発により体勢を崩されたと言っても爆豪と轟の反応は速かった。

 すぐさま体勢を立て直しつつ猛追しようと爆煙より跳び出そうとする。

 

 ―――が、彼らは緑谷に意識し過ぎて一人の存在を忘れ去ってしまっていた。

 轟が右側で爆豪が左側を走り、正面には落下してくる緑谷。

 そのまま突っ込んではぶつかると減速した偶然(・・)と、一瞬見えた緑谷の瞳からナニカをやらかす(・・・・)と悟って急停止で(二度目の爆発)を逃れた扇動 無一の存在を。

 注意が完全に逸れた二人は気付く事無く背後より首根っこを掴まれ、体勢が崩れているゆえにあっさりと引っ張られるままに転がされてしまった。

 そしてここは地雷原。

 転がった先にも地雷があり、予期してなかった三度目の地雷を受ける羽目に。

 

 

 ―――ゾワリ…。

 

 

 観なくても感じる。

 二つの爆発を背に猛スピードで追走してくる扇動を…。

 スタミナ・速力ともに負けている為、追い付かれれば必ず抜かれる。

 迫りくる圧を感じながら必死に足を動かす。

 決して抜かれるものかとゴールであるスタート地点兼ゴールである体育祭会場へと。

 

 『おっとトップ争いはA組緑谷と扇動の一騎打ちだ!リードはしているものの…って扇動足早っ!?みるみる距離を詰めて行ってんぞ!現在一位の緑谷、扇動の猛追から逃げきれるかぁああ!!』

 

 肺が痛い。

 息が苦しい。

 脚が疲れて休みたい。

 頭の中でいらん考えが渦巻く。

 だけど少しでも緩めたら抜かされる。

 

 勝つ…絶対に勝つんだ(・・・・)!!

 

 歯を食いしばって駆ける。

 徐々に距離が詰められているのが解る。

 後どれぐらいだ?

 足音からしてももうすぐ後ろ…。

 そう思っていると首筋に指先に触れられ緑谷は………。

 

 『さぁさぁ、序盤からこんな展開になるなんて誰が想像出来た?今一番にスタジアムに還って来たその男――――緑谷 出久の存在を!!!』

 

 会場全体を包む歓声と大型モニターに表示される自分の名前と順位。

 目にした瞬間、疲労と達成感から安堵しきって身体中の力が抜けて崩れ落ちそうになる。

 倒れ込みそうになったところで背後より扇動が支えられる。

 

 「勝者が膝付くんじゃあねぇよ」

 「あ、ご、ごめん……気が抜けちゃって…」

 「こういう時は無理にでも笑いながら胸張って歓声に応えるもんだろ」

 「そう…だよね…」

 

 大きく深呼吸をして無理やりにでも落ち着かせ、支えられてではなく一人で立って歓声に応えるように手を振る。

 観客席の一角は教員のスペースとなっており、トゥルーフォーム(八木 俊典)のオールマイトの姿も見え、やりましたよと気持ちを込めて視線を送る。

 第一種目だがやり遂げた達成感を噛み締めながらも、緑谷は先ほどまで居た扇動へと視線を移す。

 しかし扇動はすでにそこには居らず、一人離れた場所でモニターを眺めている。

 

 なにかおかしい(・・・・)

 らしくないと言うか喉元に引っ掛かる違和感。

 何処がと言えば指摘し辛いが、よく思い返したら先ほど支えた時の表情もおかしかったような。

 どう言えば良いのか…表情は困っているようなのだが、雰囲気は嬉しいようで悔しそう。そして怒っていた(・・・・・)ようにも感じ取れた。

 

 「一位凄いよデク君!悔しいよチクショー!」

 「い、いやぁ…」

 

 疑問に思って声を掛けようかと思うも続々とゴールした生徒の中に麗日もおり、悔しそうながらも嬉しそうに急接近された事で、照れにより顔が真っ赤に染まってそれどころではなくなってしまう。

 時間が経つにつれてゴールする人数は増えて行き、全員が揃ったところでミッドナイトが壇上に上がる。

 それと大型モニターには全員の順位ではなく上位42名の順位と名前だけが(・・・)表示された。

 

 「予選通過は42名!落ちちゃった人は残念だけど活躍する場はまだまだあるから安心なさい!そして次からは本選!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!より一層注目されるんだから気張りなさい!さて、本選となる第二種目は―――騎馬戦よ!!」

 

 基本ルールは通常の騎馬戦と変わらない。

 二人から四人でチーム(騎馬)を組んで、騎手の鉢巻きを奪うというもの。

 ただし順位ごとにポイントが振り分けられていて、鉢巻きに書かれたポイントの奪い合い。

 この騎馬戦では鉢巻きを奪われたとしても失格ではなく、最終的にポイントの多い上位数名が次の種目への参加権を得るのだ。

 つまり組んだチームメイトによってもポイントも変わる。

 それと個性の使用は有りだが、悪質な崩し攻撃はは違反で退場との事。

 

 「ちなみに一位に与えられるPは1000万よ!!」

 「………イッセンマン?」

 

 ミッドナイトの説明を聞いていた緑谷だったが、自身のPに与えられた数値に頭がバグる。

 同時に獲物を見つけた肉食獣のような視線が高ポイントを持った緑谷に注がれていた。

 そして何より異質な視線も向けられていた。

 不意を突かれたとはいえ己を超えて行った事に喜び、後数ミリの差で追い付けなかったことを悔しがり、あまりの不甲斐なさ(・・・・・)に怒りさえ覚えている扇動の視線を…。

 

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