本年もよろしくお願いいたします。
…で、早速なのですが新年早々投稿が遅れまして申し訳ございませんでした。
今回は騎馬戦の続き、それと書いておいて何処で投稿しようかとお蔵入り(17.7話)していた話の二話投稿させて頂きました。
次回投稿した際には17.7話は17.5話と18話の間に移動します。
日本の一大イベントである“雄英体育祭”はテレビ放送だけでなく、放送席を設けてラジオでも中継が行われている。
左耳だけにイヤホンを挿した扇動 流拳は孫である無一の活躍が伝えられる度に口角を上げるも、観客席で見られない事を非常に残念がりながら暗がりの路地裏を一人歩いていた。
いや、見れなくて自分が残念なのは兎も角として、孫には見学に来る肉親は自身しか居ない。
それを寂しがっていたりしないだろうか?
悲しんでいないだろうか?
そうぐるぐると考え出すとただでさえ立ち並ぶビルによって日の光が届き辛い路地裏に、どんよりと非常に重っ苦しく湿った空気が漂い始める。
上がった口角が下がって、今度は何度目か解らないため息を漏らす。
青空広がる天気の中、孫を第一に考える流拳はヒーロー活動と以前からの孫の頼みに応えるべく、泣く泣く活動地域を超えて路地裏での
何故探している時には見つからず、都合が悪い時に限って見つかるのか…。
出来れば体育祭の後に見つかれば良かったのにと思うも詮無き事か…。
なによりヒーローとして放置する訳にもいかないし、孫曰く“
そう言った事もあって孫に謝罪してこうしている訳なのだが、家族を優先するか仕事を優先するかの選択をこの歳で味わう事になろうとは思いもしなかった。
沈み切った心中に喝を入れるように両頬を叩いて意識を切り替える。
今はヒーローとしての職務に孫の頼みに専念する事としよう。
そして見事孫の願いを叶えた上で、今日
同時に自分の友人はちゃんとしているだろうかと危惧も浮かべる。
自分が見に行けない事もあって家では雄英体育祭を中継しているテレビにラジオを録画・録音しているが、どちらも体育祭
なので友人であるグラントリノに現場での録画を頼んでおいたのだ。
頼み込んだ時は一言で断られたが
今事手渡した
さすがに個人個人生活のある弟子達
今度何かしらお礼をしないとな。
グラントリノの
ある
場所を戻して雄英高校。
一千万という馬鹿げたポイント設定を与えられた緑谷 出久は、高過ぎるポイントゆえに狙われるリスクから避けられていたが、何とか騎馬を組んで勝ち残るべく騎馬戦に挑む。
デメリットもあるけれども仲の良さで選んでくれた麗日 お茶子。
一位という注目を集める順位を利用して自身の作品を見せ付けたいと利害優先の発目 明。
このチームの利点は何と言っても発目の存在であろう。
サポート科は公平を期すために自らが作成したサポートアイテムの使用を許可されている。
その条件は騎馬戦でも同様であり、使用の許可はチーム内にまで及び、緑谷は圧縮した空気を噴出して一方向へ飛べるバックパックと、左腕に鍵のような形をした
…ただ発目がいる恩恵でサポートアイテムが使えると言ってもそれだけで勝てる程甘くない。
なによりこのチームには圧倒的に攻守面が足りていない。
サポートアイテムで補う方法もあるにはあるが、装備しまくれば自然と重量が増加して騎馬すら組めなくなるだろう。
唯一緑谷が攻撃可能な個性を持っているものの、あまり力を込めれば悪質な崩しと見られてルール違反と見做される可能性がある為に咄嗟の使用や乱発は出来ない。
そこで目を付けたのが同じクラスメイトの
個性の“ダークシャドウ”という頭部は鳥を思わせる影のモンスターであり、攻撃能力も高ければ伸縮自在でカバーできる範囲が広い。
さらに独自の知性と感覚を持ち合わせているので視野も非常に広い。
声掛けをしたら二つ返事で応えてくれた常闇を含め、緑谷が騎手を務める一千万三百五Pの騎馬が出来上がった。
「それにしても狙われたものだな緑谷」
「うん…本当にね」
騎馬は全部で十二騎。
その
いつもは味方である扇動ですら敵なのだ。
扇動のチームに顔を向けるとなんとも言えないチームが出来上がっていた。
騎手に普通科C組の心操 人使を据えて、前方を鉄哲 徹鐵、右後方を塩崎 茨、左後方を扇動 無一で騎馬を組んだ普通科・A組B組ヒーロー科の混成騎馬。
組と科だけで言えば数合わせやその場凌ぎにも見えなくもないが、
そしてその扇動に対して怒気剥き出しで睨みつけている爆豪…。
障害物競走で一位を取った緑谷は荒れそうだなと思いつつ、自身に向けられていない事に安堵するのであった。
『全員組み終わったな!それじゃあ早速始めようか!!残虐バトルロイヤル―――カウントダウン開始!!』
プレゼントマイクの開始の言葉に合わせて“3”からカウントダウンが行われる。
選手の
『スタァアアアアアアアト!!!!』
開始の合図とほぼ同時に走り出す。
クラスメイトも関係なく、包囲するように一斉に緑谷に群がる。
「追われる者の定めか…選択しろ緑谷!」
「勿論逃げの一手!」
「承知!―――ッ!?」
「地面が!?」
包囲されていると言えども連携している訳ではない。
誰も彼もがポイント欲しさにがむしゃらに突っ込んでいるに過ぎず、十分に付け入る隙は存在する。
戦闘を避けて包囲網からの脱出しようとした矢先、足元が底なし沼のようになって
B組の誰かの個性によるもの…。
「麗日さん!発目さん!顔避けて!!」
指示通りに緑谷が背負っているバックパックの噴射口から顔を避ける。
バスターヒーロー“エアジェット”のバックパックを参考に作ったそれは、噴射口より勢いよく空気が噴出されて飛ぶ事が可能なのだが、個性の補佐目的ではなく単体で設定されただけに四人で飛ぶことは流石に無理がある。
そこで麗日の出番となる。
麗日の個性“無重力”で重さを無くし、人ひとり浮かせる推進力で四人で飛ぶことが可能となったのだ。
噴き出された風圧で土埃が立ち、煙幕替わりとなった中で緑谷達は空高くへ飛翔して危機を脱する。
囲むように迫る騎馬集団から逃れようと飛んだ緑谷チームを皆が見上げる。
その中には葉隠を騎手としたチームもその一つだ。
鉢巻き以外は透明化で見えないとはいえ、支えている騎馬の左右後方を担当している
「飛んだっ!?じ、耳郎ちゃん!!」
「解ってるって!!」
その中で前を担当していた耳郎は睨みつけ、個性“イヤホンジャック”である耳たぶのプラグを伸ばして追撃を行う。
―――が、常闇の怪我より現れているダークシャドウに弾かれてしまう。
舌打ちひとつ零して緑谷が着地する地点へと当たりを付ける。
終了時に手にしていれば騎馬戦を突破するのは確実の高ポイントを一度逃したぐらいで諦めれる筈がない。
「追うよ!―――ちょっと!?」
「なんだこれ!?足が動かねぇ!!」
追いかけようとした矢先、耳郎は後ろの二人が動かなかったことでつんのめって転びそうになった。
何事かと視線を向けると口田と砂藤の足が白い液体が掛かっており、それが瞬時に固まって動きを封じてしまっている。
どうにかして脱出しようと二人は力を籠めるもビクともしない。
そこに迫るのは足を固めた“
「やった!やったよ!扇動くんの言う通りだったね。緑谷君が
名が挙がったように扇動はB組に
以前開発工房で発目のサポートアイテムを見て性能を知っていた為、緑谷が背負っているのがそれだと解りきっていた。
なのでその事と凡戸に個性の
悪質な崩しは禁止されている以上、相手を戦闘不能状態に追い込むのは非常に難しい。
しかし凡戸の個性なら悪質な騎馬崩しをせずに、相手をその場で動けなくして行動不能にする事が可能。
さらに今回に限って運も大きく作用している。
三人固めるつもりが耳郎が追撃の為に動いたので避けられてしまった。
それが功を成してというか後方の二人が足が急に止められた事で崩れかけ、騎馬の形的に前は一人で立て直さなければならなくなった耳郎は、支えるので精いっぱいで小大チームに攻撃が行えずに葉隠は小大と騎馬を組んでいる訳ではないので手が自由の凡戸の二人掛かりによって鉢巻きを奪われたのだった。
「…ん」
「―チッ、やられた…」
「扇動君の裏切者ぉ~!」
これにより小大は元々の140ポイントに奪った370ポイントが加わって十二位から五位まで浮上し、同時に行動不能となった葉隠チームはリタイヤ確実になってしまうのだった…。
「扇動!テメェはブッ殺す!!」
「騎手じゃねぇんだけどな俺…」
葉隠が鉢巻きを奪われた頃、爆豪は緑谷ではなく扇動が居る心操チームに向けて猛進していた。
騎馬の芦戸に瀬呂、切島は高得点の緑谷を狙った方が良いのではと進言するも、障害物競走にて思いっきり妨害されて言い様にされた事を根に持った爆豪が聞き入れる筈もない。
扇動は近くにいた拳藤チームと言葉を交わして即座に
「さっきはよくもやってくれたなぁオイ!!」
「真っ向から突っ込む気だぞ!どうすんだ扇動!」
「試練ですね」
「心操、
「本当に言うのか?あー…
「かっちゃん言うなや!―――あ?」
「オイ!どうした爆豪!?」
洗脳する意思を持った問いかけに答えた相手を操る個性。
条件が条件だけに知っていれば対処は容易いが、初見で個性を知らない爆豪では警戒はしても対処までは難しい。
まんまと洗脳に掛かった爆豪の動きはぴたりと止まって騎馬に動揺が走る。
そしてそこを物間のチームがすかさず接近して無抵抗の爆豪より鉢巻き奪い取る。
「ほんと…単純だよね」
「―――ッ!?何が…」
「爆豪!鉢巻き盗られてんぞ!!」
「ンだと!?返せテメェ!殺すぞ!!」
「返す訳ないだろ。えーと、
心操の洗脳は心操自身の意思以外では、ある程度の衝撃を与える事で解除される。
鉢巻きを取られた際か、心配した切島が揺らした事のどちらかは知らないが、運よく洗脳より解き放たれた爆豪は怒りで満たされてしまった。
この瞬間、爆豪の優先順位が入れ替わる。
一位を取る為に
「…予定変更だ切島―――デクや扇動の前にこいつを殺す!!」
怒気が目に見えそうな感じで溢れ出る爆豪。
当然ながら周囲に居た騎馬は自然と離れて行く。
「物間一人で大丈夫か?加勢すべきなんじゃあ…」
「加勢つっても俺はB組の連中の癖を知らん。形だけの連携で止められる奴じゃあねぇんだよ」
「なら俺達は本命を狙うか?」
意識の違いに扇動は顔には出さないが少し悩む。
高い熱量を心に灯した鉄哲は勝てるか否かは関係なくトップを狙っている。
ヒーローとして上昇志向である塩崎も同様である。
しかしまずは突破を狙っている心操と扇動はそこまでは高くない。
…ただ
だがそれは
「――今は様子見だ。ただ途中盗れるモンは盗るがな。頼むぞ塩崎」
「あぁ…穢れに手を染めなければならないなんて…」
爆豪から645ポイントを奪った物間のチームは自前の285ポイントと合わせて930ポイント。
二位に上昇した物間チームを狙って小大チームに、泡瀬 洋雪と庄田 二連撃が騎馬となって尾白が騎手を務めるAB共同チームが迫る。
物間に意識を向けている爆豪をそのままにして、扇動達は緑谷を狙って動き出す。
件の緑谷は飛んだ事で包囲から逃れ、着地時には発目が障害物競走で使用していたホバーソールで着地の衝撃を緩め、危機的状況より脱して着地しようとしていた。
「どうです私のベイビーは?可愛いでしょう。可愛いは作れるんですよ!」
「機動性ばっちりだよ!凄いよベイビー!」
「でしょでしょ!」
「浮かしとるからやん…」
「それに凄いよ常闇君。僕らに足りなかった防御力。それも補って余りある全方位中距離防御能力!」
「―フッ、選んだのはお前だ」
しかし、一難去ってはまた一難。
一千万という保持すれば一位突破は確実のポイントを早々に諦める筈も無く、包囲していた騎馬は軒並み追撃を敢行する。
『まだ二分も経ってねぇってのに早くも混戦乱戦!各所で鉢巻き奪い合い勃発で順位も入れ替わり激し過ぎんだろ!?』
「奪い合い?違うね。これは一方的な略奪よ!!」
「障子君!?これ騎馬戦だよ!?」
複製腕で背中を覆いながら単騎で突っ込んで来る。
凡戸もだったが騎馬を成さない様子に驚き突っ込む緑谷だったが、冷静に状況を判断した常闇が距離を取るべく離れる事を進言。正しい判断と同意してすぐさま移動しようとするが、ホバーソールを装備している麗日が峰田の“もぎもぎ”を踏んでしまって動けない。
「何なん!?取れへん!」
「峰田君の!?一体どこから―――ってそれありなの!?」
周囲を見渡しても峰田本人の姿は無し。
…が、障子が複製腕で覆っている隙間から峰田の姿が覗き、障子の複製腕で防御しつつ攻撃し続けれる作戦に驚きよりもズルいという感想が先に出てしまう。
さらに隙間より蛙吹と思われる長い舌が伸びる。
「蛙吹さんも!?二人抱えて…凄いな障子君!!」
「梅雨ちゃんと呼んで緑谷ちゃん」
間一髪で回避した緑谷は再びバックパックのスイッチを押す。
もぎもぎがくっ付いている為に無理やりの飛翔となり、ホバーソールは耐え切れずに
「私のベイビーが引き千切れたぁあああ!?」
「ごめん!でも離れられたよ―――むーくん…」
悲痛そうに発目が嘆きに謝りながら振り返ると、追手来ていた扇動の姿が見えた。
狙ってきている事に危機感を覚えながら、着地地点に視線を向けるとそこには拳藤チームが待ち構えていた。
「読まれてた!?」
「本当に飛ぶだけで移動は出来ないんだ。扇動の言った通り読み易い!」
「奪うなら今ですぞ!」
簡単な話だ。
空中を自由自在に飛行できるサポートアイテムでなく、ジャンプする要領で飛ぶだけなら着地地点の推測は意外と容易い。
機動力に富んだ拳藤チームは扇動の情報を元に先回りしたという訳だ。
扇動曰く獣には美女が付きものとの事らしいく、利点を含めて勧められたチーム。
個性“獣化”にて体格は二倍ほど巨大化し、身体能力を大幅に向上させる
攻守に加えて宍田の速度にブレない騎馬というのは非常に厄介な相手である。
「どうする緑谷!?」
「強行着陸と同時に正面突破!!」
「デク君、本気!?」
「麗日さんと発目さんは顔避けてて!
「――減速?」
「個性を解除して麗日さん!」
「解除!!」
着地地点で待ち構える拳藤。
無重力が解除された事で降下速度が早まり、待ち構えていた拳藤が不意を突かれる形となって慌てて拳を巨大化して鉢巻きを奪おうと振るう。
その瞬間前屈みになってスイッチを押した。
バックパックより噴出された勢いで巨大な拳が振るわれるより先に抜ける。
…ただ指先が掠って鉢巻きではなく、放課後の特訓を始めて以来付けっぱなしとなっていたゴーグルを弾き飛ばす。
強行突破した緑谷達だが前へと加速した事で着地が不味い事に…。
「そう言う事か緑谷!ダークシャドウ!!」
「アイヨ!」
「麗日さん個性を!」
先の言葉の意図を理解した常闇はダークシャドウに地面を
指先が地面に食い込んで跡を残すも甲斐あって減速させる事に成功し、速度が緩んだところで麗日の無重力と残っている片方のホバーソールで無事着地した。
「嘘!?抜かれた!?」
「上手くいったがもう少し伝えて欲しかった」
「ごめん、咄嗟の……事…で…」
下手すれば激突コースだったことから常闇の不満はもっともだろう。
言葉足らずだった事から緑谷は謝罪を口にするが、その途中で意識を別に持ってかれた。
ゴーグルが取れた事で視野が開け、
縁で隠れていた部分を
あまりに見え過ぎる感覚に一瞬呑まれたのだ。
「デク君!?」
「緑谷!」
「―――ッ、ごめん!皆踏ん張って!!」
視界の端にちらりと映った相手と飛翔するナニカを即座に判別して指示を出し、即座に身体を捻って回避行動に入る。
意味が解らずに言われるがままにする三人は奇怪な光景を目の当たりにする。
緑谷に対して“キノコ”や“角”、さらには“手”などの身体の部位が浮遊して襲い掛かる。
それらを掠りはするが
「えぇ!?なにこれ!?」
「摩訶不思議な光景です!」
「アレか!!」
驚くべき光景の中、常闇は個性の使用主を見つけた。
それもまた奇怪な光景である。
生えている角を射出したり飛ばして自由自在に操る個性“
「遠距離型で固めたチーム。中々の強敵だな―――迎撃しろダークシャドウ!」
回避に専念するばかりでは形成は変わることなく寧ろ不利になるばかり。
そこで常闇はダークシャドウで飛来物を薙ぎ払わせる。
おかげで飛翔物の群れに穴が空き、開いた隙間に跳び込むように脱する。
「さすがだよ常闇君。助かったよ」
「それはこちらの台詞だ。良くアレを躱したものだ」
「うん、今凄く
本当に良く防ぎきったと言えよう。
なにせ角に色とりどりのキノコや腕のほとんどを目暗ましとして使用し、本命で鉢巻きを奪取しようとしていた手による前後左右上下による全方位攻撃を凌ぎきったのだ。
当然ながら死角からの攻撃もあったというのに、あたかも見ていたように防ぎきった。
二週間も見辛いゴーグルをつけていた甲斐があったというのもだ。。
視覚から得ている情報に制限をかける事で視覚以外の感覚を鋭敏にして慣らし、さらに事故とは言え視覚の制限が外された事で周囲の情報感知能力は飛躍的に向上している。
ただし、常日頃着用していたとは言え二週間の短い期間では完全とはいかず、音や気配もあってなんとなく大体で察している程度。
けど今はそれでも十分すぎる成果を上げる事が出来た。
緑谷は内心ゴーグルの成果と扇動に感謝するも、扇動にしたら体育祭始める前に外していなかったのかと半分呆れていた…。
B組の個性の情報を得て扇動が示唆した編成案を採用した拳藤チームと取蔭チームから逃れた緑谷達だったが、その先には轟のチームが迫っていた。
後方には拳藤・取蔭チームが居り、扇動を始めとする他のチームもこちらに向かってきている。
「そう上手くはいかないよね…」
「そろそろ奪るぞ」
対峙する二組の騎馬。
だが立ち止まって睨み合い出来る余裕はどちらにも存在しない。
どちらも騎馬戦を突破するに足る高ポイントを持っているチーム。
上を目指す者なら狙わない道理はない。
周囲から囲まれながら緑谷と轟の両騎馬による攻防戦が始まろうとしていた…。