ゴールデンウイーク初めより体調を崩してしまい、今まで回復や投稿物を打っていて遅れてしまいました。
日本のビッグイベントである雄英体育祭は閉幕し、こういう集まりに興味のない爆豪に急遽用事が出来たと帰った飯田を除いたヒーロー科一年A組は打ち上げをしようと予約した
時刻は19時を過ぎた夕食時と言う事もあり、店内は家族連れなどの団体客で賑わっている。
先に予約を入れていたおかげですんなりと座れ、店の一角を
そう、一年A組の面々ではなく雄英高校が…である。
「ヘイ、ボーイ&ガールズ!今日はお疲れさん!良い結果を残せた奴も悔しい思いをした奴も今は忘れて騒ごうゼ!カンパーイ!!」
プレゼント・マイクに続いて皆が乾杯と口にする。
緑谷 出久も言いながら困惑した様子でさっと視線を流す。
予約していた席にはA組のみならずB組、さらには一年ステージを担当していた教師陣までも座っている。
B組も同じように打ち上げをするのは分かるのだけれど、同日に同じ店でとなるとは思いもしなかった。
さっと流しただけであったのだけど、ちょうど物間と視線が合ってしまった。
「嫌だ嫌だ。こっちを盗み見るように見てさぁ」
「あ、
「偶然…偶然ねぇ…。僕達はアイツに誘われて仕方なく来てやっただけなのだけどね!仕方なく――ね!」
「なに言ってるのさ…」
「ガフッ!?」
嫌味っぽく告げた物間であったが、隣の拳藤がため息交じりに
体育祭でも何度か見て慣れつつある光景に多くが物間に呆れ顔を浮かべ、扇動は神経の集まる首に軽く当身しただけで相手を無力化する拳藤の技術の高さに目を見張る。
「ごめんね。なんか打ち上げの話が聞こえちゃってさ。B組でも打ち上げをしようって話になったのよ。場所は取蔭と柳が扇動から聞いたんだけどね」
「そういう事…」
説明を受けて納得すると同時に昼休憩にプロヒーローとの繋がりを見せ付けられた緑谷と麗日は、入学して二か月でクラスに馴染むばかりかB組まで人の輪を広げていた事に感心する。
同時に聞いていなかったA組の生徒は扇動へと視線を向けると、少し悩む仕草を見せた後に「…伝えるの忘れてたな」と思い出して呟いた。
体育祭では大活躍で、その後は用事を済ませて教師陣や焦凍と共に集合時刻ギリギリに着たりなど、大忙しだっただけにそういう事もあるよねと苦笑する。
「俺からしたらMt.レディが居る事の方が不思議だがな」
言う通りさも当然のように参加しているMt.レディ。
あまりに自然に参加していた為に、教師陣やB組のように扇動が誘った訳ではないようだ。
その問いに答えたのはMt.レディ本人ではなく、申し訳なさそうに手を合わせた謝る麗日であった…。
「ごめん扇動君。校門へ向かっていた時に会ってね…その時の流れで打ち上げの話をしちゃって…」
「あぁ、それで来たという訳か」
「奢って貰えると聞いて!」
「そうは言ってへんよ!?」
冗談…っぽく言ってはあるが顔が本気と語っている。
麗日の必死のツッコミと相まって自然と笑いが生まれる。
仕方ねぇなと肩を竦ませる扇動に肩をわなわな震わせた峰田と上鳴が立ち上がって口を開く。
「それより誰だよあの美人!?」
「紹介しろ。紹介」
二人がいう美人とは扇動が用事―――轟家との話し合いを終えた直後に誘った轟 冬美の事であった。
予定に無かったB組に教師陣、Mt.レディなどの面子であまり目立ってはいなかったものの、気になっていた者は少なからず存在しており、彼女の存在を峰田が見逃す訳もない。
知らない人物への興味というのもあるだろうけど、それ以上に邪な想いが混ざっている事は確かめるまでもないだろう。
なんにしても知らない者が圧倒的に多いので、紹介せねばならないのはならないのでしようとしたら、二人の声で察した冬美はにっこりと微笑みながら自ら名乗り出た。
「轟 焦凍の姉の轟 冬美です。今日はクラスの打ち上げなのにお邪魔してごめんなさいね」
「そんな事ないです!」
「寧ろ大歓迎です!」
「アイツら…」
喰いつきが半端ではない二人に恥ずかしさと呆れ混じりに耳郎が呟く。
正直に峰田はこの時、興奮状態に陥っていた。
A組のみならずB組
そして同時に嫉妬の念が高まっていた。
冬美に喰い付いていたかと思いきや、グルンと扇動へと血涙を流しそうな嫉妬と怒気を含んだ表情で振り返った。
「クラスの女子にB組、教師にプロに美人のお姉さんとか………手ぇ出し過ぎだろぉおおお!?」
「人聞きが悪ぃ。別に女性だけ誘った訳じゃあねぇだろうが」
扇動が言うように誘った面々には担任の相澤を含めた男性教師達に、仲良くなったB組生徒には鉄哲など男子も居る。
だが、峰田は拳藤の説明時に扇動は柳や取蔭と接点があるという点に着目し、何故か上鳴までも「そうだ!そうだ!」と同調する始末…。
「あの二人と仲良いのは間違いないんだろう!」
「雑談も多いけど
「私は知らないホラー話を色々聞かせてもらってる」
「そう言えば夜中に誰かと電話してたな」
取蔭と柳が答えた内容に焦凍がアレか…と心当たりがあって呟いた。
それに対して峰田の熱量が増す。
まさに火に油…。
「確かにズリィよ!不公平だ!誰か紹介しろよチクショー!!」
「おい、本音がだだ洩れだぞ…」
「Mt.レディ以外にもプロと知り合いなのか?」
「結構居るんだが有名どころだとベストジーニアスに
「ウワバミ!?リューキュウ!?マジか!!」
「その二人とは爺ちゃんの会社のポスターやCM、イベントで会ったんだ」
「お前の爺さん何もんだよ!?」
「プロヒーローだよ。“流拳”っていうヒーロー名でやってたんだけど…知らないか」
「いやいやいや、僕は知ってるよ!人命救助は勿論だけどヴィラン事件の解決で名を馳せたヒーローだよね。代々ヒーローを輩出している家で、会社経営もしているんだ。向こう見ずな戦闘スタイルと自ら求めて各地を転々としていた事から“喧嘩屋”なんて呼ばれて、一時期はヒーロービルドチャートの五位内をキープし続けて…ブツブツブツブツ…」
「おぅ、説明助かる」
「とりあえず凄い人ってのは解かった…」
緑谷の解説を耳にしながら、峰田が知り合いのヒーローを聞いて来たのは女性ヒーロー目当てかと苦笑しながら、扇動は去年の事を思い返して少しばかり遠い目をする。
去年の事ではあるがイベント出演でリューキュウが訪れた際に顔出しに行った時、インターンで来ていた学生も参加する話になっていていて会ったのだが、初対面で「ねぇねぇ、どうして~?」とか「~教えて、教えて?」と質問攻めにされたっけか。
「そういやあの人…雄英生だったような…」
「どうしたの?」
「いや、何でもねぇよ」
「っていうかB組女子とはいつ仲良くなったんだよ!!」
「通学二日目だったかな」
「て、手が早ぇ―――イテェ!?」
「痛い!?」
「だから言い方に気を付けろよお前ら」
興奮気味で突っかかりだした二人にデコピンを一撃ずつお見舞すると、扇動は苦笑しながら料理と飲み物を取りに行った。
予約した食べ放題の店は肉に魚、デザートなどなど豊富な種類の料理を取り揃えている。
特に肉類は焼き肉用も含まれるので種類は格段に多い。
他の料理には目もくれずにその焼き肉用の肉を大皿に盛りに盛った切島は、各テーブルに設けられた網にどさりと転がすと焼けた肉から白米と一緒にカッ喰らっていた。
食べ盛りと言う事もあるが障害物競走に騎馬戦、トーナメントに各種競技に参加していたりと、たくさん動いた分だけお腹は減るというもの。
勢いよくカッ喰らう様子に自然と周りの視線を集める。
「オウオウ、良い食べっぷりじゃあねぇか!」
「腹が減ってな…って人の事言えるか!?」
「お二人共、お肉ばかりでは栄養が偏りますぞ」
良い食べっぷりに鉄哲が声を掛けるも、そう変わらない喰い様に突っ込み返す。
互いにガツガツと食らう様は圧巻ではあるが、肉ばかり食べている事に対して宍田 獣郎太が注意を促しておく。
対して切島は箸を止めて、扇動より教えてもらった事を思い出す。
「扇動が教えてくれたんだけどな、しっかりとした身体を作るんだったら試合とか運動後に肉とか食ってたんぱく質を摂るのが良いんだとよ」
勿論それだけが理由ではなく、肉が好きなのが一番の理由であるが…。
そうなんだと多くが感心する中、ふらりと物間が立ち上がる。
「へぇ、もう先の事を考えてるのか」
「こりゃあ俺らも負けてらんねぇな!!」
それも物間と鉄哲が先導するのだけど、拳藤はA組B組の女子が集まっているテーブルに居る為に制止役が不在。
止めるどころか浮かれていたのもあって、ノリに乗っかって次々と巻き込んで喰らう。
飲み物を片手に戻って来た扇動は知らぬ間に
各々談笑に華を咲かせながら、料理に舌鼓を打って打ち上げを楽しんでいた。
騒ぎながらもガツガツと食欲を満たす男子達。
生徒達の様子に微笑んだり、呆れたりと反応を示しながら教師陣はビールを傾ける。
そしてA組B組の女子達はMt.レディを加え、料理やデザートをちょいちょい摘まみながら談笑を楽しんでいる。
「扇動ちゃんとは昔からの知り合いなのね」
「知り合いと言うか取引相手…かな?ヒーローとの渡りを付ける代わりにパーティに誘って貰っているのよ」
「だから色んなヒーローと知り合いだったんやね」
「何々?何の話?」
「お昼にちょっとね」
昼に紹介された緑谷や飯田、麗日は別として他の面々はプロと繋がりがある様子から話題に上がったのだ。
Mt.レディとしては
「ヒーローになるなら扇動とのコネを維持して置く事ね。色々と便利だから」
「便利って…まだ学生ですよ?」
「その学生が多くのプロとの接点を持ち、アイツの頼みならと骨を折ってくれる奴もいるのよ」
「Mt.レディもその一人なんですか?」
「取引相手だって言ったでしょ。私とアイツは持ちつ持たれつ…いや、でも
ヒーローは人気のある職業である事から注目度が非常に高い。
活躍だけでなく個性などの特性如何ではメディアの眼を大きく惹き付け、副業公認である事からも広告塔やグッズ商品などの仕事の依頼が舞い込むのである。
扇動 流拳が経営している会社は造船から海運、遊覧船などなど船関係の仕事を行っており、扇動が頼み込んでその中からMt.レディに適した仕事を斡旋したのだ。
おかげで良い収入源を得たと微笑んだMt.レディだったが、そこで何人かが疑問符を浮かべた。
「一つ聞いても良いですか?」
「あら?なにかしら」
「プロヒーローってそんなに儲からないんですか?」
「……へ?」
「確かに。扇動ちゃんに奢って貰うって言ってたわね」
「そ、それは…」
両親の為にもお金を稼ぎたいと言っていただけに、麗日はMt.レディの発言が気になっていたのだろう。
打ち上げ最初の発言を聴いたらプロが15歳の学生に集っているように聞こえただろう。
本人の様子から冗談―――っぽいが本気であった事は明白だった…。
かといってそのままの事実を伝えるのはプライド的にも口にし辛いところである。
プロヒーローは個性を使用してヴィランと戦う。
単純な巨大化と言う個性はそれだけで脅威であり、暴れたり転んだだけでも周辺に影響を与えてしまう。
例えばMt.レディの場合は市街地でヴィランと戦った結果、一度の戦闘にて被害総額八億を叩き出した事がある。
さすがにヒーローにヴィランとの戦闘で生じた被害総額を
だが、事故はまた別の話だ。
車を踏んづけてしまって三百五十万。
それで転んでビルにぶつかり三億八千万。
立ち上がる際に新幹線の高架橋を倒して九億円。
活躍も大きいが弁償も多いのでMt.レディの事務所は赤字が多いのだ。
そこで扇動からの副業の話になる訳なのだ。
扇動 流拳の会社で行っている海運業では大きな荷物を大型クレーンなどを用いて積み込む。
“巨大化”の個性を持つMt.レディは重すぎたり高級車のような傷つけたら弁償が不味いものを除いて、時短の為にもクレーンやフォークリフト代わりに荷物運びを頼む事があるのだ。
一人で数十人が付き切っりになる仕事を熟し、危険手当も付いて給料はかなり高い。
付け加えるならCMやポスターなどの広告も務めているので結構な額になる。
ちなみに大赤字になる度に絶望に浸りながら何度か
なんにせよヒーローを目指している生徒を前に、意図せぬ事故とは言えどそんな失態を自ら口にはしたくない…。
「ア、アイツとはそれぐらい軽口を言い合うだけ気軽な相手ってだけよ。それと人に寄るけど収入はかなり良いわよ」
嘘は言ってはいない。
確かに気軽に軽口や冗談を言い合える相手であり、すでにファンが付いて認知度が高いMt.レディの収入は良い。
…ただ出費が収入を追い越し、今回は冗談でなく本気で奢りは期待しているが…。
「そうなんだ」と納得するようで口を濁らせ慌てながらの解答に不思議そうな視線が突き刺さる。
Mt.レディは何とか逸らそうと話題を振る。
「私の話は良いのよ……それより恋バナとかないの?」
「はいはぁーい!ヤオモモが怪しいんだよねぇ」
「私ですか?」
咄嗟に口にした餌に喰い付いたのは葉隠だった。
名前を出された八百万は戸惑うものの、そう言った話に敏感な芦戸が乗った。
「そうそう!毎朝扇動や轟と一緒に登校してるもんねぇ」
「家の方向全く別だったよねぇ」
「扇動さんとはそういう関係ではありませんわ」
「「えー?本当にぃ?」」
「二人共悪乗りし過ぎ…けどヤオモモって以前から扇動知ってんだっけ?」
「えぇ、パーティでお会いして色々と教えて頂きましたわ
「「「色々…」」」
扇動に関してはすでにA組B組共にある程度の信頼と信用を向けている。
だが、あの扇動が教えたと聞いて不安が拭いきれないのはどうしてなのだろうか。
それも含めて聞きたい気はするが、当の本人は完全に否定して答えるつもりはなさそうだ。
聞いていた蛙吹も無理には駄目よと注意を促しようにこれ以上追及するのは良くはない。
ただし、それは八百万に対して。
「実際どうなのさ扇動?」
丁度飲み物を取りに行こうとしていた扇動に芦戸が問いかける。
皆が騒いで楽しむ中で扇動は轟 冬美から学校での焦凍の様子を聞かれたり、少し離れた位置で周りを眺めながら食べて居たりと他に比べて静かに過ごして居ただけに話し声が聞こえていた。
「喜ばれるような事はねぇよ。一緒に買い物には行ったがな」
「デートって事!?」
「違ぇよ。買い物って言ったろ…その期待の眼差しを止めろ」
「それってウチも行ったやつでしょ」
「あぁ、美少女二人に囲まれて両手に華って奴だ―――イッタ!?」
何気なくスラリと口にされた言葉が照れ臭く、気が付いたら耳郎は耳たぶのプラグを扇動に刺して
発言に加えて照れて赤くなる耳郎へとターゲットが変わって、冗談交じりにも大いに盛り上がるのだった。
…扇動はリカバリーガールに動ける程度の回復しかして貰っていない為、平静を装ってはいるが爆豪戦でのダメージがほぼほぼ残っている。
そこにイヤホンジャックを叩き付けられた為、心音が全身のダメージにまで響くという爆豪・飯田に次ぐ一撃を体育祭後に受ける羽目となり、雰囲気を壊さぬように必死に耐え装うのであった…。
大いに盛り上がった打ち上げも時間が経てば落ち着き始める。
女子達は談笑に華を咲かせてはいるが、肉をドカ食いしていた連中はほとんどが満腹で満足そうにダウン。
それでもまだ元気の良い連中は騒いでいるものの、落ち着き始めた者達は自然と扇動の周辺へと移動する。
轟 冬美と焦凍の事で話し合っていたのもあったが、爆豪より受けたダメージで騒げるほどの余裕がないというのが大きい。
「焦凍、今日は自宅に帰るかお姉さんに電話しろよ」
「なんで?」
「今日の事とか色々話せる事あんだろ。テレビで凡その流れや結果は解っても、こういうのは無駄話交えてでも話した方が
「ん、分かった」
ぽつりぽつりと会話を挟みながら、扇動は海老やイカ、ムール貝たっぷりのシーフードパスタを含む。
倣っている訳ではないのだがやはり騒ぎ疲れたのもあって、周りの面々も多少の会話を混ぜながら食事をゆったりと楽しむ。
そんな中で合流してきた上鳴が問いかける。
「そういやぁ扇動。放課後の特訓って続けるのか?」
扇動としては頼まれれば断る理由もないので受けるつもりではあるが、特訓を受けていた緑谷や焦凍や八百万なら兎も角、上鳴から言われるとは思っていなかっただけに不思議そうに見つめてしまった。
これに関しては体育祭までの短期訓練で受けていた面々も気になっていた事である。
受けていた者も興味を持っていた者も自然と視線を向けた。
「そりゃあ構わねぇが、どうした?」
「いやさ!強いヒーローってそれだけで目立つしモテるだろ!!」
ニカリと笑って堂々と胸張って応えた上鳴に誰もが不純な動機だなと表情に出さずとも苦笑するが、扇動は一瞬目を大きく見開いてから面白いと言わんばかりに笑った。
「分かった。メニューしっかり考えとくよ」
「「「良いの!?」」」
「胸を張って言えんだ。理由はどうであれ、それは自身にとって恥じるもんじゃあねぇってことだろ」
「扇動ってさぁ……なんでそんなに面倒見るの?」
「―――“人が人を助けていいのは、自分の手が直接届くところまでなんじゃないかって”これはあるヒーローの言葉だ。ただ人一人の手が届く範囲なんてたかが知れてる。だけどヒーロー同士で
「だから誰にでも手を貸すの?」
「
上鳴の頼みから柳の問いで語られた扇動の考え。
皆が感心を寄せる中で何事も無いようにシーフードパスタを食べきる。
「それに一人だけ強すぎる
「「「なんの話!?」」」
「……オチを付けないと駄目なのアンタ…」
総ツッコミと呆れたMt.レディの呟きを受けながら、飲み物と料理のおかわりと取りに行こうと立ち上がる。
それを狙って芦戸よりついでにと
っと行こうとしている所を峰田が声をかけてきた。
「そうだ扇動!明日って何か用事あるか?」
「まぁ、締め切りが…」
「締め切り?」
「…なんでもない。家にはいるけどどうした?」
「いやなぁ。明日休校日だろ?遊びに行きたいなって…なぁ?皆も扇動ん家って興味あるだろ?」
確かに雄英体育祭が終わってからの二日間は休校日となっている。
休みに友達の家に遊びに行くのは分かるのだが、峰田が言うとなるとナニカあるんじゃないかと邪推してしまうのは考え過ぎだろうか。
もしも女性に言っているのなら理由の根本は邪な事であろうけど、今回は男である扇動なので皆が考えすぎかと
「扇動の家か…確かに興味があるな」
周りに振った事で真っ先に喰い付いたのは常闇であった。
言葉にしてないが聞こえていたらしく、B組の黒色 支配も視線だけであるが興味を示している。
この二人に関しては開発工房に飾られているシャドームーンとブラックサンを作らせたのが扇動だと知っている事から興味を抱いている。
一人が名乗りを上げると続いて俺も私もと続く。
緑谷も興味を持ったのだけれども、扇動が引っ越したり無個性云々があって誰かの家に遊びに行く機会なんてとんとなかった。
その為か口が重く閉ざされる。
それでもぎゅっと拳を握り締め、意を決して口を開く。
「ぼ、僕も良い…かな?」
フルフルと震える様子に扇動は優し気に微笑み、くしゃりくしゃりと頭を撫でた。
「俺はイズクに対して閉ざす扉はもってないよ。碌なもてなしは出来んかも知れんがな」
悪戯っぽく笑みを浮かべられ、緑谷も少し恥ずかしそうに微笑む。
その端でクツクツとほくそ笑む峰田に気付かぬまま…。
●ちょっとした一幕:保護者…
轟 冬美は遠巻きながら焦凍の様子を眺めていた。
表情がころころと変わる事はないが、以前に比べて若干ながら明るくなったように見えない事もない。
これも彼のおかげだろうかと焦凍と共に飲み物や料理を眺めている扇動にも視線を向ける。
クラスメイトの子らに聞いたところ一番仲の良いのは扇動であると。
轟家の事情を知った上で深く焦凍に関わっているというのもあるのだろう。
けど、話を聞いた彼と焦凍の関係性は友人というよりは“歳の離れた兄弟”のようだと称されたのは、ちょっとばかり複雑なところである。
ドリンクバーを眺める焦凍の横に居た扇動は、すぐ側に置かれていたTea Bagに対して首を傾げていた八百万に視線を向ける。
「家で使っている物とはメーカーが違いますのね」
「数杯で何千円もする茶葉使ってたらこの店倒産するぞ。紅茶だけで元が取れるどころか速攻で赤字だ」
「扇動、これはどうすれば良い?」
「ドリンクバーの使い方書いてないか?」
「…混ぜるのか?」
「違う。それ基本でなく応用」
なんにせよあの焦凍に友達が出来たのは素直に喜ばしい事だ。
同時にドリンクバーでのやり取りには悲しいものを感じる。
学校で友人を作らせて貰えず、学校に帰りに誰かとファミレスに寄る事も無く、家族で外食も昔から家政婦さんを雇っていた事で行くことも無かった…。
だからこそ使い方すら知らない。
…まぁ、別の意味で初めての八百万も居るのだが…。
紅茶を淹れながら八百万も興味を持ったのかドリンクバーをまじまじと眺める。
「紅茶もありますのね。けど香りとかどうなっているのでしょう?」
「試しに飲んでみたら良いんじゃねぇか」
「それもそうですわね」
「これに何を混ぜれば良いんだ?」
「張られたレシピにメロンソーダはなかった筈だが……」
「そうか…」
「分かり易く
「アイスなら何でも良いのか?」
「良くねぇよ」
「あの、扇動さん…芦戸さんから聞いたのですがパフェを自作できるって本当ですか?」
「果物やアイスと充実してっから出来るけど……って、お前ら聞きまくっといて散らばんな」
…なんだろう。
同い年の筈なのに興味のまま動き回る子供の世話をしているように見えてきた。
“歳の離れた兄弟”というよりは最早“保護者”では?
しっかりとした身体を作るんだったら試合とか運動後に肉とか食ってたんぱく質を摂るのが良いんだとよ→
●体格に不安があるのなら今日のような試合やトレーニングの運動後にタンパク質を取れ
【アイシールド21】進 清十郎より
●人が人を助けていいのは、自分の手が直接届くところまでなんじゃないかって
【仮面ライダーOOO】火野 映司より
●でも俺だけ強くても駄目らしいよ
【呪術廻戦】五条 悟より
俺はイズクに対して閉ざす扉はもってないよ→
●お前にむけて閉ざすドアは私は持っていないよ
【銀河英雄伝説】ヤン・ウェンリーより