無個性オリ主が共にヒーロー目指す!   作:チェリオ

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 四月十八日は発明の日と言う事で。
 38話を投稿してからこの回を投稿したかったのですけど、さすがに時間的に難しかった…。
 次回より投稿ペースを戻します。


第39話 発目達とエンデヴァー

 雄英体育祭が終わって二日間は休校となる。

 それはサポート科も同じはずなのだが、休校二日目にも拘らず開発工房には多くのサポート科の生徒が集まっていた。

 集まった面々は遮光眼鏡をかけてこれから行われる実験を見守る。

 視線の先には耐熱特化した装置の中に一着のコスチュームが設置され、開発主任(・・)となっている発目 明がボタンを押すと同時に炎が噴出された。

 装置内温度やコスチュームの状態など計器や検出される数値に問題ないかを確認し、得られる情報を随時記録していく。

 どんどん温度は上がって行き、コスチュームから吹き出ていた赤色の炎は徐々に黄色味掛かり、白へとなった直後で計器に表されていた数値に異常が見られ始める。

 耐熱用の機能が作動しておきながらもすでに意味を成しておらず、吹き出し口から解け始めてそれは全体へと広がっていく。

 この結果に実験の中止が言い渡され、装置内に消火剤が撒かれて鎮火される。

 実験が失敗したというのに誰も悲壮な顔は浮かべていない。

 

 「フェニックス(・・・・・・)でのテストはこれが限界でしょうね!」

 「これ以上となると一から組み立てないと…」

 「ノウハウが獲得出来たので収穫ゼロではありませんし、寧ろ成功で宜しいのでは?」

 「それは次に活かせてからです。兎も角このテスト18にてフェニックスは完成としましょう」

 

 発目はそうきっぱりと言い切った。

 フェニックスと言うのは扇動が頼んでいるコスチュームの一つ…というより、その実験機の役割で作られたものだ。

 望まれるコスチュームにはもっと高い温度を求められており、高まった炎によって現れる色は色の次の青。

 実験機でその手前まで迫れたのだから確かに失敗ではない。

 ちなみにフェニックスというのは扇動のアイデアノート(ライダーの写し書きなど)にあったもので、何度も実験しては全焼しては修理する内に構造を簡易化させたりと、名実的にもフェニックスとして開発メンバーに認知されている。

 そんな実験を監督していたパワーローダーに、今回生徒達が開発工房に集まるきっかけとなったエンデヴァーは遮光眼鏡を外す。

 相変わらず無茶な実験に呆れ顔のパワーローダーに比べ、エンデヴァーは感心したように眺める。

 

 「ふむ、学生と侮っていたが予想以上だな」

 「それはここにいる連中が特別(おかしい奴ら)なのさ」

 

 現在開発工房に集まっているのは扇動と発目の問題児に払拭されたサポート科の面子だ。

 一年の新入生から実績を積んで来た三年生までが協力し、お互いに切磋琢磨して研究開発しながら学んでいく。

 教師としても良い光景であるも限度はある。

 

 感化された生徒達は興味持ったアイデアを実現しようと好き勝手に作り、サポート科の予算を食い潰すのではと思う程に消費し始めた。

 中には同じ物を複数のグループが知らずに作っていたりした事実も発覚。

 根津校長は生徒の自主性を高く評価して資金面はどうにか都合して下さったが、現在の状態が続いて良い筈もないので改善案は必須であった。

 

 まずは研究開発を纏め上げる為に組織化。

 扇動からのアイデア実現を頼まれた発目を主任(リーダー)とし、開発項目と現在状況を組織内での情報共有を開始。

 この話を聞いた経営科の生徒が面白そうと資金面の見直しを申し出て、今では向上心の高い経営科の生徒が資金面の無駄を省いたりしている。

 サポート科の生徒が開発プランを伝え、経営科が必要経費の算出して、途中経過によっては変更と組みなおしを繰り返す。

 売上こそないものの、多少緩いがサポート会社に近い組織へとなってしまった。

 生徒にしてみれば職業体験しているようであろうが、その担当教師であり監督する立場のパワーローダーの苦労は急増した。

 イレイザーヘッドではないけれどもこれが非合理性の類なら即刻止めさせる決断も出来たのだろうが、結果も成果もある上に生徒の為になっている事からそういう訳にもいかない。

 

 ため息交じりのパワーローダーは関心を持って眺めるエンデヴァーが羨ましくて仕方がない。

 ナンバー2ヒーローの職務や重責は無視して、今は開発工房にとっては見学に来たお客。

 気楽に生徒のアイテムを見ているだけで済むのだから。

 

 「フェニックスでの実験を終了。以降は“クローズ”にて」

 「扇動はコスチュームだけで何着作らせる気なんだ?」

 「二着ですかね。“グリス”は兎も角もう一着は予定すら未定ですが」

 「では、ここらのは?」

 「せっかくアイデアを貰ったので」

 

 扇動が頼んだのは全身を覆う黒と金色のコスチューム“グリス”。

 しかしながら調整やシステム面が水準に達しておらず、まだ型だけで完成には至ってないがそれも時間の問題だろう。

 寧ろパワーローダーが問題とするのはそれ以外…。

 

 エンデヴァーはそれぞれが制作中、または完成して立てかけてあるコスチュームやサポートアイテムを眺めて行く。

 これこそが休校日に学生が集まった目的である。

 プロヒーローに自身のサポートアイテムを見せれる機会なのだ。

 眺めているサポートアイテムを担当している者が嬉しそうに説明している。

 人によっては辟易して聞き流すだろうが、エンデヴァーは興味深そうに話を聞いて質問もするので説明にも熱が籠る。

 

 “ラビットタンク”に“ゴリラモンド”、“ホークガトリング”などなど試作機や実験機として作られた“ビルド”シリーズを眺めた先にエンデヴァーが見に来た目的のコスチュームがある。

 

 「これが例のモノか…」

 

 置いてあったのはコスチューム名“グリス ブリザード”。

 コンセプトとしては冷気を操るものを想定していたが、個性でなくアイテムで再現するとなるとサイズが肥大化し、人が着るようなサイズから脱してしまったのだ。

 一応冷却機能は付けはしたが、想定していた物とかけ離れてしまったがゆえに凍結されたプロジェクト…。

 メタリックブルーの外装に護られたコスチュームには“液体窒素”が貯蔵されており、それを噴出する事で相手を凍らせる、または周辺の温度を下げる事が出来る。

 

 「試着してみます?」

 「出来るのか?」

 「元々扇動さんの数値に合わせてますので全部は無理ですが一部は調整出来ますので」

 

 物は試しだと言わんばかりに申し出を受け入れ、緩ませた片腕のパーツが装備されていく。

 動きや感覚を確かめる。

 

 「……ふむ、確かに冷たいな」

 「話は先に受けていたので少しばかり改良して、外装部を液体窒素が流れるようにしてます」

 「熱を抑えるのは良いが調整は出来ないのか?」

 「一応プランとしては熱感知させて自動でその部位を冷却する仕組みを」 

 「だとすれば重量が増えるな。今の状態でも軽くは無いんだがそこはどうするつもりだ?」

 「そのコスチュームにはパワーアシストも付いてますのでそう言った機器を外して、入れますのでただ加算されはしないです」

 

 二人してああだこうだと話し合う。

 これもまた生徒にとっては良い刺激となるだろう。

 なにせプロが…それもナンバー2ヒーローが自分達のサポートアイテムに興味を持ってくれているのだから。

 

 その後もエンデヴァーは多数の武器に強化モジュール(フォーゼ)、バース支援ユニットなどの装備アイテムから、まだ制作中の“トライゴウラム”や“ライドシューター”、“サイドバッシャー”や“カブトエクステンダー”などのバイクまで目を通していく。

 

 「バイクか…これもアイツが?」

 「はい。足が居るとの事で」

 「しかし免許を持ってないだろう」

 「誕生日過ぎたら普通二輪免許取るそうですよ」

 「いつだ?」

 「忘れました!」

 「七月だろう。一発で取るから納期それでって言われただろう」

 「そうでした!」

 「まったく…」

 

 本気で忘れていた事に頭と軽く腹部を抑える。

 これぐらいの事で胃を痛めて溜まるか!

 まだ“ジェットスライガー(最高速度1300)”を作ると言い出した時に比べれば幾分もマシだ。

 当然ながらそんな速度で何処を走るつもりだと怒鳴って却下したがな。

 そんなパワーローダーの様子に全く気付かずエンデヴァーは何やら考え込んでいる様子。

 

 「他のアイテムもまだまだありますよ」

 「あ、あぁ…見せて貰おう」

 「これなどお勧めですよ」

 

 考え込んでいたエンデヴァーにそう言って見せたのはガントレット(籠手)

 しかしそれはただの防具ではない。

 そもそも防具ではないのだが…。

 

 「……何だこれは?ガントレットにプロペラ?」

 「はい。飛行用の道具なので」

 「止めろ!そんな危険物を進めるんじゃない発目!!」

 

 興味津々で今すぐ説明を受けて使いそうな様子に慌てて止めに入る。

 造りは簡単でガントレットにプロペラやモーター類を取り付けただけのもの。

 腕を上にあげて回転するプロペラによってヘリのように上昇するサポートアイテムである。

 

 …このアイテムには非常に問題を孕んでいる。

 片手のガントレットにプロペラやモーター類を詰んだがゆえに重量があり、浮上する際のプロペラの振動や重量に耐えたまま体制を維持しなければならない。

 実験で扇動は何とか浮上したが試しに使用しようとしたサポート科の生徒は構える事すら無理であった。

 相当鍛えてないといけないという点では扇動に使えたのだからエンデヴァーが使えない訳がない。

 だが、問題はそれだけではないのだ。

 浮上は出来ても方向転換が難しく、そもそも降下する事すら機能的に出来ない。

 

 「扇動との話でもバックアップ装備でないと意味がないって話になっただろう」

 「ですのでエンデヴァーの個性ならバックアップなしでも何とかなるかと思いまして!」

 「ふむ…」

 

 説明込みの突っ込みに発目の言わんとしている事を察したエンデヴァーは周りに火が移らない程度に炎を噴出する。

 …ただそれは予想外の結果を生み出す。

 プロペラが噴出された熱風によって回転し始めたのだ。

 それも回っている事で円盤状に瞳には映り、まるでエンデヴァーが円形状の盾を構えているように…。

 

 「ほぅ…これは…」

 「良いですねソレ!!」

 

 予定外の扱いに発目の瞳に火が籠る。

 すでに脳内ではモーター抜きで盾としての設計図が引かれている事だろう。

 相手も乗り気で話を聞いては意見を口にしたりして話はヒートアップ。

 

 根津校長…。

 サポート科に教員を増やせとは言いませんから、せめてもう一人ぐらい面倒を見れそうな人材を見繕って貰えないだろうか…。

 最近本気でそう思うようになったパワーローダーであった。

 

 ちなみに新学期始まって二か月の出来事である。

 

 

 

 エンデヴァーが帰ってからパワーローダーはやる事があると言って出て行ったが、発目だけは開発工房に残っていた。

 せっかく使えるのだ。

 時間を無駄にしないようにしなければと…試作機と実験機を兼ねた新作一着とコスチュームの改良・制作に取り掛かるのであった…。

 

 

 

 

 

 

 後日、エンデヴァー用に合わせた試作品のスーツが送られ、装着したのは良かったのだが武骨でメカメカしい見た目となり、そう言ったのを好むファン層が追い掛ける様子が目撃される事に…。

 発目的には注目されて嬉しかったりするのだが、エンデヴァー本人としては仕事の邪魔になるのでデザイン変更希望を速攻で出したそうな…。

 なお、顔は露出させているので仮面だけは開発工房に残っている…。

 

 

 

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