無個性オリ主が共にヒーロー目指す!   作:チェリオ

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第43話 流拳と爆豪

 扇動 流拳は異色のヒーローである。

 先代の扇動家当主の嫡男として生まれ、将来はヒーローではなく会社の跡取りとして期待されて教育を施された。

 中学校までの学園生活で度々問題は起こしたものの、苛めや喧嘩を自ら率先して仲裁した際に、相手を無力化すべく組み伏せるなどの行為ばかりで、扇動家としてはさして(・・・)問題に捉える事もなかった。

 だが、風向きが変わったのは中学三年生となり、受験する高校を決めてからの事である。

 

 私立の高校を受験して大学へ進むものとばかり思っていた周囲の考えに反して、雄英高校ヒーロー科への受験を申し出たのだ。

 経営者として育てていただけに反対は受けるも、頑固な程に強い意思と副業として下積みから働くとの条件で了承され、雄英高校の受験を見事に合格。

 元々幼い頃より扇動流を叩き込まれていたのと、武術の才能もあってか在学中に個性の扱い方を覚えてかなりの好成績で卒業。

 社会人として働きながらヒーロー活動を行う。

 二足の草鞋で大変な日々ながらもそれらを流拳は熟して行った。

 通勤時だけでなく昼休みは片手で済ませれる昼食を口にしながら、退勤後は夜遅くまでヒーロー活動に勤しんだ。

 出張や取引先への面会に出向く際にでも隙あらば行うのだから周囲の者は倒れないかと心配する程に…。

 唯一休めるであろう休日すらも潰し、時には県外まで出向いてヴィラン退治を行う始末。

 

 献身的な流拳の活動によって彼の行動範囲でのヴィラン事件は幾らか減少し、実力と活躍から注目を集めると先代より引き継いだ人脈以外にもヒーロー方面にも多くの繋がりを得る事が出来た。

 こうしてヒーローとしても経営者としても大きく活動するようになった流拳は、歳に寄る衰えやオールマイトの出現で活躍の低下や知名度は陰りを見せ、以前はトップテン入りしていたヒーロービルドチャートの順位は大きく後退した。

 七年前(・・・)ぐらいからは構えていなかった事務所に腰を置き、地域に密着するヒーローとして活動方針を転換。

 周辺で問題視されていた者を更生させたり、プロヒーローである事を活かして学校の相談役を務める。

 他にも更生させた者らに仕事の斡旋なども行い、その為に警備会社を設立したりもした。

 そして約四年前(・・・)からは広大な本家敷地内に託児所を設けたりと子育てなどの事業を行うようになる。

 

 活躍していた時期を知る者から見れば大分丸くなったように感じられるが彼の本質は変わってはいない。

 そもそも彼は“困っている人には手を差し伸べる”と言った一般的なヒーロー像は持ち合わせておらず、“強い相手と戦いたい”という理由でヒーローになったバトルジャンキー。

 周りから見れば献身的な活動も彼にとっては趣味の範疇。

 寧ろヴィラン退治こそストレス解消の一端を担っていたかもしれない。

 

 例え歳を取って多少丸くなったとしてもその本質は今も尚健在。

 その証明として少し手を合わせただけで“ヒーロー殺し”のステインが贋者(・・)と断定したのだから。

 ゆえに職場体験先として訪れた爆豪は、その本性の一部に晒される事になってしまった訳だ。

 

 「血気盛んで羨ましい事じゃわい」

 「―――ッ、クソが!!!」

 「ほれ、動きが鈍ってきておるぞ」

 

 大量の汗を流しながら、肩を大きく揺らして荒く呼吸を繰り返す爆豪は、眼前でにこやかにしている流拳に睨みを利かす。

 受け入れ先である事務所の最寄り駅までは担任同伴で、そこから先は送られていた地図を頼りに流拳の事務所兼扇動家本家に訪れた爆豪は、門前で出会った流拳に招かれるまま敷居内に足を踏み入れずと、そのまま道場へと案内されたのだ。

 「孫から鍛えてやってくれと言われておるからの。まずはお前さんの実力を知らねばな」と言うとひと試合設けられ今に至る。

 

 扇動家本家敷居内には道場が二つ存在して一つは扇動流の道場であり、二つ目の道場は流拳本人やサイドキックの面々が鍛錬目的に個性使用可能な道場。

 ゆえに爆豪は全力を持って挑み、それらすべては軽くあしらわれ続けられては手痛い一撃を返される。

  

 

 扇動 流拳。

 個性“ベクトル操作”。

 自身と接触するモノ(・・)の力の向きの変更やぶつかり合った際に力の()を加減する事が可能!

 ただし、完全な反射は不可能だ!!

 ※プレゼント・マイク風の解説

 

 

 爆破を浴びせようとすれば払うように腕を振るえば流され、距離を取れば個性を応用した人間離れした動きで近づかれ、近接戦では扇動流で圧倒的に不利な上に、攻撃されれば反動を引いてからその分を衝撃に足して軽い攻撃でも大ダメージを負わされる。

 実力や経験どころか相性すら最悪な相手…。

 一応手加減しているのか動きに可笑しな点は見られるが、手を抜く事は一切ない。

 

 「どうした?目が追い付いておらぬぞ?」

 「うるせぇんだよクソジジイがッ!!」 

 

 近づいて来た流拳が一瞬で視界から消えたかと思えば背後より声がした。

 個性ではない。

 これは流拳が習得し、長年を掛けて昇華させた技術の一つ。

 何とか反応して爆破で吹き飛ばそうと手を向けるも、すでにそこに流拳は居らずに首根っこを掴まれたかと思えば地面に叩きつけられ転がされる。

 すでにボロボロの身体を無理をしてでも立ち上がらせようとしている矢先、一息ついた流拳が待ったをかける。

 

 「とりあえずここまでじゃな」

 「っざけんな!俺はまだやれる!!」

 「…じゃろうな。儂個人としてはお前さんとの手合わせを続けても良いんじゃが、一応職場体験という名目で来とるからな。それらしい(・・・・・)活動せねばならんだろう」

 

 忌々しそうに睨まれる流拳は軽く流しながらサイドキックの面々を呼び集める。

 同時にタオルにスポーツ飲料、梅干を持ってこさせる。

 

 「少し休憩をしたらパトロール行くぞ」

 「――チッ…」

 「ついでに“セキ”の散歩にも行きたいしの」

 「あ゛ぁ?」

 

 サイドキックより渡されたタオルで顔の汗を拭い、スポーツ飲料で喉を潤わせると入り口辺りで待ち構えているブルドック(セキ)と目が合う。

 そういえばと敷地内に入ってやたら犬猫を見るなと気にも留めていなかったが、飼っているのかと思いつつ梅干を口に放り込み、年単位で熟成された梅干しの強烈な酸味に驚き、残っていたスポーツ飲料で種を残して飲み込んだ。

 

 表情こそ不満げな爆豪であったが、初日であるがすでに気に入っている(・・・・・・・)

 本来の職場体験であるならばパトロールや口頭による先達の教えばかりで、望んでいるような自分をもっと高く、強くするような事柄には恵まれない。

 寧ろプロヒーローによっては学生だからと危険から遠ざける者も居るかも知れない。

 

 パトロールに出た爆豪は忙しかった。

 セキをサイドキックの一人に任せた流拳は持ち前の運動能力と個性で高く速く跳び回り(・・・・)、爆豪が気付くよりも先に現場に駆けつけては事件を解決している。

 その度に動きの無駄を指摘され、アドバイスと言う名の指導を受ける。

 事件の後始末はサイドキックが行うのでついて行くばかりなのだが追い付けない。

 これが今の自分との差かと噛み締めながらパトロールを終えると昼食となり、初日と言う事で敷地内を案内される。

 雄英高校程ではないが広大な敷地内には道場以外にヒーロー事務所に本宅、離れや主に寝所として使われている宿泊所、それに託児所などがあり、全部見て回るには時間が掛かるので必要な施設のみとなった。

 

 案内が終われば早速再戦を口にすればノリノリで受け入れられ、道場で倒れ込むまで手合わせを行う。

 17時までは組手や鍛錬にパトロールなどを繰り返し、虫の息にまで追い込まれるも肉体の限界は超えないように見極められ、身体を動かした後の個性使用のマッサージが行われる。

 勝てない事に対して苛立ちや怒りが募っていくが、だからこそ自分の糧になると嫌でも認識して獰猛な笑みを零す。

 

 17時になれば学生の職場体験なので終了なのだが、せっかくだから受けてみないかと扇動流を体験させて貰う事に。

 時間が時間だけに学校帰りや会社帰りの門下生が訪れ始めるので、それに紛れて基礎から叩き込まれる。

 

 鍛えるには充実した一日で夕食を口にする頃にはクタクタであった。

 夕食を済ませてゆっくりと湯船で汗や疲れを落とし、後は寝所で寝るだけだった爆豪を流拳は呼び止めた。

 

 「ちょっと面貸してくれや」

 「まだやんのか?」

 「あぁ…すまん。言葉遣いが悪かったな。少し話があるから付き合ってくれるか?」

 

 そう言って連れていかれたのは道場ではなく、本宅である屋敷―――それも仏間へと通された。

 仏壇の前で座った流拳から視界に入った遺影に視線を移す。

 何処か見覚えのある二人に記憶を呼び覚まし、小三までの学校行事などで見たなと思い出した。

 ――、扇動 無一の両親…。

 その両親の写真が飾られている…。

 

 「…亡くなったんだったな」

 「あぁ、ヴィランに殺されてしもうた。儂は長年ヒーローを務めてきたがヴィランの倒し方は知っておっても、人の助け方や守り方なぞ分からなんだ…」

 

 噛み締めるように口にしながら写真を申し訳なさそうに見上げる。

 

 「元々喧嘩が好きでヒーローになったんじゃ。喧嘩(ヴィラン退治)出来て金がもらえるどころか賞賛されるなんて天職と思ってな。ヒーローになってからは仕事しながら好きに暴れ回ったもんじゃ」

 

 遠い目をしながら思い出を語り出した流拳。

 なんの話だと一蹴する事無く、爆豪は流拳が纏った雰囲気もあって黙って聞き続ける。

 

 「天狗(調子に乗る)になっとったんじゃろうな若かりし儂は。だから下積みから上へと移動させられても好きなように振舞い、家庭を持ってからもその生き方は変えなんだ。同時に妻や子供達にも同じように振舞った。儂が好きにしとるんだからお前らも好きにしろと。今では間違いだと思っとるがな」

 「だろうな」

 

 自主性を大切にする―――と言う訳ではない。

 放置・放任の類の発言。

 その先に行きつく結果は何となく察しがついた。

 実際流拳の子らは好き勝手する者に育ち、家族とは言え絆を紡げるような者は一人を除いていなくなってしまった。

 今では自分の利益の為には兄弟であろうが親であろうが謀る者ばかり。

 

 「あの子だけは違った。他人を気を払える良い子に育った。本当に儂にとっては過ぎた子じゃったよ」

 

 乾いた笑みを浮かべ見上げていた流拳は、爆豪へと顔を向ける。

 後悔と強いナニカを感じる瞳を向けられ、姿勢を正す事はしなかったが真正面からその瞳を受ける。

 

 「儂はな。あの子らが亡くなってから初めて逃げたんじゃ。強大なヴィランでも我が子を失った事実からでも無く幼い孫から…。独りぼっちになってしもうたあの子を見た時にわしゃ怖くて仕方なかった。

  これまでやって来た事、それまでしてこなかった事を叩きつけられ、全てを否定されたようで怖く、儂はあの子を遠ざけるように関わろうとはせなんだ。

  そのせいであの子は親戚中をたらい回しにされ、酷い扱いを受ける事になってしもうた…。

  儂はな。儂のようなヒーローは自身にとっても周りにとっても不幸を招くだけだと思って居る」

 「―――あの託児所は贖罪のつもりか?」

 「…聞いてた通り聡い子じゃの」

 

 我が子や無一に対して出来なかった事への贖罪…。

 少しでも子供が楽しくすくすくと育ち、同じような事がないように…。

 

 「拳を交えて思った。お前さんは儂に似たタイプなのではないかと…。頼む、頼むから儂のようにはなるなよ」

 

 真剣な趣で口にした流拳に対し、爆豪はくだらねぇと一蹴した。

 

 「ったりめぇだろうが!俺が目指すのはオールマイトを超える圧倒的なヒーロー(・・・・)だ!!アンタみたいな強さだけの半端なヒーローに誰がなるかっ!!」

 

 罵り混じりの言葉に流拳は喜ばしく笑う。

 話はこれで終いだなとふすまを開けて、貸し出された寝所に向かおうとしたが、足を止めてちらりとだけ振り返る。

 

 「俺はもっと強くなる。アンタもアイツ(無一)も俺の踏み台だ。いつまでもしみったれてんじゃあねぇぞ!………それにアイツは恨んじゃあいねぇ。寧ろ……チッ」

 

 続きを口にしようとしていた所で噤む。

 なんで俺がそこまで面倒を見なきゃいけねぇんだと苛立ち混じりの考えが過って小さく鼻を鳴らす。

 それでも察した流拳は口は悪いが良い子じゃのと頭を撫でて本気で迷惑がられた。

 

 「頭撫でんなクソがッ!!」

 「儂がウジウジしとったらお前さんには迷惑じゃな。一週間と言う短い期間を無駄には出来ん。もうひと試合やるか?」

 「時間と歳を考えろやクソジジイ!!」

 

 などと喚きつつも二人は獰猛な笑みを漏らしつつ、道場に向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 ●ちょっとした一幕:扇動家の動物事情

 

 扇動家では数匹の犬猫と共に生活を送っている。

 それらは引っ越しなどの都合(・・・・・)により面倒が見れなくなり、仕事内容には無いが“ヒーローなのだから…”と頼まれ預かった子たちだ。

 

 「ンだよアレは!!!」

 

 二日目は早朝からトレーニングを行うとの事で、朝早くからけたたましいアラームで叩き起こされ、身支度を済ませてストレッチやランニングなどの軽めの運動を行う。

 その後、朝食を摂っていた最中に爆豪が流拳に怒鳴り声を挙げた。

 一緒に朝食を摂っていたサイドキックや事務員の多くは流拳によって更生させられた者達で口の悪さには慣れている。

 しかしながら更生時はここで共同生活を送って仕事の斡旋等世話になり、流拳に恩義や親しみを抱いている者達ばかりの為に爆豪の態度にムッとする。が、訪れて日が浅い事からアレだな(・・・・)と当たりをつけて口に出す事は無かった。

 ただ気になったのはどちらか(・・・・)、と言う事。

 

 「はて、何のことかの?」

 「とぼけんな!あの猫と犬の事だよ!!」

  (((…どっちもか)))

 

 突然の怒声を気にも止めずに首を傾げる様に、余計爆豪は怪訝な顔をして怒鳴りながら続け、当人達を除く全員が想いを同じにして憐れみ混じりのため息をつく。

 昨夜、話し終えた爆豪は貸し出された寝所で寝ようと押し入れから布団を出そうとした際に、奥で怪しく光るナニカ(・・・)を目撃した。

 暗がりの先で爛々と輝く二つの眼。

 なんだ?と睨みを利かせながら凝視してみれば、その姿は鮮明に映り出す。

 

 ――猫だ。

 シルエットから猫っぽいとは思ってはいたが、その姿に戸惑いと驚きを禁じ得なかった。

 ……全身の毛が無かったのだ…。

 まるで全身の毛を根こそぎ奪ったかのような細身の猫。

 

 別に毛を刈り取った訳ではない。

 薄い産毛ぐらいしか生えていない無毛猫(・・・)として知られる“スフィンクス”という猫種である。

 

 さすがに知らなかった上にまさか押し入れで遭遇するなど想定出来る筈もなく、驚きの余りに叫ぶことはなかったが「おっ!?」と声を漏らしてしまった…。

 

 次はとりあえず猫を放置したまま布団出して、さぁ寝るぞと布団に入って寝かけていた時の事。

 ふと、窓の外から視線を感じてのそりと振り返れば、身長1メートルぐらいはあるだろうドーベルマンが吠えるでも唸るでもなく、ただただジッと覗き込むように見つめていたのだ。

 これもまた驚きの声を漏らすも、ドーベルマンはなんら反応も見せずに数分間見つめた末に足音も無く去っていった。

 

 扇動家で暮らした事のある誰もが通った洗礼を二つ続けて受けたんだなと懐かしさが込み上げる。

 

 「あー…“タマ(スフィンクス)”と“五郎丸(ドーベルマン)”の事かな」

 「タマって面かアレが!!」

 

 失礼ながらそれは誰もが思っていた。

 前もって説明を受けた者は名前を聞いて三毛猫などを勝手に想像して、突然の出会いに悲鳴を上げた事は少なくあらず…。

 

 ちなみに扇動家で暮らしている動物達は大概名前を二つ持っている。

 仲の良い祖父と孫であるも名前のセンスは異なっており、流拳は和名を好む傾向があるが無一はそうではない。

 例を挙げるならオスの三毛猫に名前を付ける際に無一は“ホームズ”と名付けるも、流拳はその場では否定しないが“ミケ(三毛)”と呼んでいる。

 同様に流拳が名付けたタマ(スフィンクス)は“ルナ”と無一は呼んでいるようだ。

 ちなみに爆豪を驚かせたドーベルマンの“五郎丸”は無一命名ながら、まんま和名なので統一されていたりする…。

 

 「そう言えば紹介しとらんかったの」

 「あんなのが居るなら居るって言っとけや!」

 「なら朝食後に紹介してやろう」

 「まだ居んのか?」

 「居るよ。元気なのが」

 

 そう言うとさっさと食べ始め、爆豪も素早く朝食を片す。

 食べ終えて向かった先は敷地の最奥。

 大きめの公園程のスペースが柵で囲まれていた。

 中には茂みや犬用遊具が並んでいて、端っこを陣取るようにポチや五郎丸が眠たそうに転がっていた。

 「飯じゃよ」と二匹の器に餌を入れた流拳は食べるのを確認してから柵で囲まれた中心地より周囲を見渡す。

 奥の茂みでガサゴソと何かが動き、爆豪は目を凝らす。

 

 「タロウ(太郎)ジロー(次郎)。ご飯じゃぞ」

 

 この一言をきっかけに茂みから一頭の犬が跳び出して来た。

 闘犬や番犬、闘熊犬として活躍したブル・アンド・テリアを原種に持ち、賢さと力強さに俊敏性を持ち合わせる犬種“ブル・テリア”――流拳命名“タロウ(太郎)

 駆け寄って来たタロウに流拳は微笑で応える。

 

 「お前らはいつまで経っても元気じゃの。この甘えん坊共め」

 「…甘えん坊?」

 

 言われてみればそうなのかも知れない。

 構って欲しいと言わんばかりにはしゃいでいるようにも見えるが、犬歯剥き出しで襲い掛かっているようにも見えてしまう。

 流拳曰く、この程度はじゃれ合い(・・・・・・・・・・)らしい。

 どうも預けられた当初よりこうだったらしく、爆豪はどういう経緯で預けられたかを察してなんとも言えない顔をする。

 ぼんやりと柵外より眺めていた爆豪だが、急に陰に覆われた事に気付く。

 曇って来たかと見上げると、自分目掛けて跳びかかる大型犬の姿が…。

 

 タロウとジローの二頭とじゃれ合っていた流拳はドスンという鈍い音で柵外へと視線を向けると、オールド・イングリッシュ・シープドッグの“ジロー(次郎)”に圧し掛かられている爆豪の姿があった。

 相手が犬である事から個性を使わず藻掻いているようだが大型犬を退かせるほどではなく、流拳は助ける事もせずに物珍しそうに覗き込むばかり。

 

 「退けッ、このクソ犬!!」

 「こりゃあ珍しいの」

 「何がっ!?」

 「ジローは面食いな上に好みが激しくてな。そこまで懐かれたのはお前さんが初めてじゃな。良かったの」

 「良くねぇ!早く退け!!重てぇクソが!!!」

 

 散々怒鳴りつけても「わふ?」と鳴くばかりで動く気配すら無い。

 終いには気に入られたのか顔を舐め回され、爆豪の怒声が響き渡るのであった…。




●扇動家で過ごして居る動物達(一部)
・ブルドック
 無一命名/セキ【北斗の拳】
 ※統一

・スフィンクス
 流拳命名/タマ
 無一命名/ルナ【キューティクル探偵因幡】

・ドーベルマン
 無一命名/五郎丸【ヤンキーショタとオタクおねえさん】
 ※統一

・三毛猫 
 流拳命名/ミケ
 無一命名/ホームズ【三毛猫ホームズ】

・ブル・テリア
 流拳命名/タロウ
 無一命名/バウ【平成イヌ物語バウ】

・オールド・イングリッシュ・シープドッグ
 流拳命名/ジロウ
 無一命名/シャドウ【王室教師ハイネ】
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