花粉症を中和する個性持ちってどこかに居ないかなぁ…。
タグにあった“ハーレム”を“ヒロイン複数”に変更いたしました。
明るいピンク色の肌と髪。
黒い
頭部に生えた二本の
さすが最難関だけあって筆記テストはかなり難しかったけど確かな手応えを感じ、筆記より自信のある実技試験に挑んだ。
趣味でダンスをやっていただけに運動神経は高く、実技試験の内容と個性の相性が良い。
個性“酸”。
身体中の何処からでも
強い個性ゆえに非常に状況を選ぶ個性…。
人が集まっているところで撒けば周囲に被害が出るし、固体を溶かす程の濃度を対人戦で使えば相手は大怪我必至。
しかも周囲や相手だけでなく、調整を間違えれば服装もだけど自身の肉体すら溶かしかねない。
大変に危険な個性でもあるのだ。
けれど実技試験の内容は
これならば対人戦と違って遠慮する事は無い。
少し出遅れてしまったが試験が始まって、高い身体能力を活かしつつ酸で次々と仮想敵を溶かして壊しまわる。
ちゃんと全力で動けている事に微笑む。
前日よりかなり緊張しており、雄英の門を見た頃には身体が固く思えるほどガチガチに緊張し切っていた。
頬をパチンと叩いて気合を入れて、自身に言い聞かせるように元気づけ、不安を退けようとカラ元気で門を潜ったのを覚えている。
けど試験中は集中したり周りの迷惑を考えて静まり返ったりして、静寂の中で残っていた緊張はじわじわと時間が経つにつれて大きくなっていく。
そんな緊張は実技試験の説明が始まると同時に霧散した。
ある受験生が緊張と真剣過ぎて余裕のない受験生達の誰一人返さなかったプレゼント・マイクに呼びかけに、そこそこ大きい声で返事を返したのだ。
それが妙に面白くてつい笑ってしまった。
勿論大声で笑ったら周りの注目を集めてしまうので声の音量を落としてだ。
思わぬ事で緊張が解けたのは本当に良かった。
順調にポイントを稼ぎ、新たな仮想敵を求めて試験会場を駆けまわる。
さすがに駆け回りながら戦闘を行っただけに体力も結構消費して、肩を揺らすほど呼吸が荒くなっているがまだまだいける。
そう思っていた矢先、大きな揺れに足が止まった。
結構大きな揺れに地震かと思うも、その揺れが人為的な副産物だとすぐに理解した。
揺れの発生源に視線を向ければ巨大なロボットが。大通りを巨体を支えるキャタピラが踏み鳴らし、四車線ある道路を塞いで、腕がビルに当たっては大きく崩して行く。
巨大ゆえに動きは緩慢で、逃げる分には問題ない。
なにせ相手は0ポイントの仮想敵。
戦ったところで得るポイントは無い上に、ただ時間を消費するのでデメリットしかない。
ただ
周囲のビルを越す巨体が織りなす圧倒的な程の存在感に足が縺れる。
脳裏を過る恐怖の記憶…。
足元まで覆うボロボロの布を頭から被った五メートルを超える大男…。
友人二人がヒーロー事務所への道のりを問われていたけど、大男に気圧されて言葉になっていなかった。
答えてくれない事に苛立ったのか大男の指先が友人の背後のビルを撫でる。
まるで型抜き菓子のように簡単に罅が走り、小石程度の破片が散った。
私は放っておくことなど出来ず、咄嗟に友人と大男の間に割り込んで問うていたヒーロー事務所の道順を叫んだ。
「ありがとう」
礼を言われたが私はそれどころではない。
腹の底に響く声色。
身体を芯から凍り付かせるような鋭い眼光。
心臓を直に鷲掴みにされたような威圧感と存在感。
それらを真正面から受け、気が付けばその場にへたり込み友人と一緒に湧き上がる恐怖で涙を流していた。
あれに比べたら大したことないものの、脳裏を過った記憶により身体が震え、足が全くと言って良いほど言う事を聞かない。
眼球がころころと動き、焦点が合わない。
――――パチンッ。
呼び覚まされた記憶に震えて思考が真っ白になっている中、眼前で開手を打たれて自然と焦点が定まり、私を見下ろしている少年に向けられる。
「怪我は?動けるか?」
いつの間にか震えが止まり、忘れがたい記憶は片隅へと追いやられていた。
何処か冷めていながらも心配する瞳が向けられ、座り込んだ私に手を差し出してくる。
「あ…うん、大丈夫!」
先の感情を吐き出すように小さく息を吐き、差し出された手を掴んで立ち上がる。
怪我もしていないし、恐怖から解き放たれた身体は自由に動く。
確認を済まして
逃げないの?と聞こうかと思ったが、何かに呆れるような乾いた笑みを浮かべながら踏み出された一歩が雄弁に語っていた。
「アレに
同じく読み取ったであろう受験生の一人が目をギラギラと輝かせながらすぐ近くに立っていた。
逃げ遅れたというよりはわざわざ近づいて来たのだろう。
やる気十分と雰囲気を纏い、銀色に染まる拳同士をガチンと合わせて金属音を響かせる。
「オイオイマジかよ…」
「無謀よ」
よく見れば他にも数人集まってきている。
彼のようにやる気があるというよりは、どちらかと言えば止めにだろう。
「
彼はガクリと肩を落とすとため息を漏らしながらも笑っていた。
こちらへと振り返った時、ようやく“よーこそー”の彼だと解って頬が緩みかける。
「制限時間はもう少ない。俺は時間稼ぎぐらいしようと思うけど、付き合ってくれるなら大変助かる」
彼―――扇動 無一は苦笑いを浮かべながら頼んできた。
0P仮想敵に挑む事の無意味さを解き、逃げ遅れた者や怪我をした者がちらほら見える事から時間稼ぎを行うんだと補足説明を聞き、声を大にして扇動を止める者は居なかった。
大なり小なり正義感は強い。
困っている人が居るのが解って知らんぷりは出来ない。
時間がもう少ないのも決心させる一翼を担ったのもあるだろうけど…。
「私も協力するよ」
「助かるよ。えっと…」
「名前?私は芦戸 三奈。個性は―――」
「あしど?あしど……アシッド………あぁ、
仕方なしと手伝う事を了承して名乗り、個性も口にしようとしたところ、先に扇動は“あしど”と何度か呟いて口の中で転がしパチンと指を鳴らして個性を言い当てた。
初対面なのに何故と問いかけると「名は
私以外にも協力する者も同様に名乗りと個性を口にしていく。
まず最初っからやる気十分な
高い跳躍に壁への張り付き、最長で二十メートル舌を伸ばしたりと、個性である“蛙”らしい事なら大体できる
個性は両肘から射出する“テープ”で捕縛から罠、さらには射出から巻き取りを用いた三次元的な移動可能な
他にもどの程度の事が出来るかを手短に聞いて回った。
全員が全員、違う学校で初対面。
そんな私達に扇動は困ったように眉を潜め、ため息交じりに口を開く。
「あのデカ物…倒せるな」
先とは打って変わってくつくつと嬉しそうに笑い、呆気からんと言い放つ。
その様子が妙な安心感というか高揚感を感じる。
扇動は聞いた個性と出来得る事から組み立てた案を述べる。
一つ、溶解液で装甲の一部を溶かして内部を壊して周る。
仮想敵を完全破壊するのではなく内部の一部を破損させるだけで行動不能に出来るというメリットに対して、下手すれば感電死する可能性という非常に危険なデメリットがある。
二つ、移動手段であるキャタピラの破壊。
旧式の戦車同様なら履帯を切断し、クリスティー式のように転輪が車輪になっているならその車輪を一つでも破壊すれば良い。
外部からの破壊としては一番手っ取り早いが、キャタピラに巻き込まれ一瞬でミンチとなってしまう…。
そして最後に三つ目。
三次元的な移動が出来るという瀬呂が注意を引きつけ、蛙吹が張り付きと長く伸びる舌を用いて私と鉄哲を頭頂部に運び、鉄哲が装甲に穴を空けて、私がその穴より溶解液を流しいれて頭部内部の電子機器を溶かすというもの。
完全に溶かさなくとも基盤の一つ、配線を幾らか溶かすだけでも精密機器の塊である仮想敵は壊れるとの事。
私が決めなければならないと圧が掛かる中、述べた扇動はどうするのかと問いかける。
「まぁ、出会ったばかりの俺を信じろってのは難しいだろう。だから任せるよ。俺を信じるも良し、自身の判断の下で別の行動を取っても良い。“せいぜい…悔いが残らない方を自分で選べ”ってところだな」
「やるに決まってんだろ!」
間髪入れずに鉄哲が答え、蛙吹が頷き、仕方ねぇなと言いたそうに苦笑いを浮かべる。
そして最後の私に視線が向けられ、満面の笑みを浮かべて答える。
「やろう!みんなでやればなんとかなるよね!」
ニカっと笑いながら大声で答える。
始めて会った知らない誰か。
競い合う筈だった受験相手。
急ごしらえの即席チーム。
巨大な相手に不安が過るが、自然と気持ちが高鳴ってすぐさま不安は彼方へと消え去る。
並んで踏み出す一歩に力が籠り、今なら何でも出来ると妙な気持まで抱いてしまう。
感情が高ぶってハイになっているんだろうと解りつつも、芦戸 三奈は感情に赴くまま知り合ったばかりの
0P仮想敵は見事撃破された。
説明通りでは倒したところでポイントは手に入らないばかりか、かなりのタイムロスするだけのお邪魔虫。
作戦を立案した扇動 無一は作戦には参加せずに出会ったばかりの彼ら・彼女らの活躍を観察しつつ、逃げ遅れた受験生の誘導や怪我人の応急手当てに専念した。
肘から射出したテープを構造物に巻きつけて固定しては、自身がそちらに向かうように巻き取って速度を生み出し、調査兵団やスパイ●ーマン並みの高速での立体機動を行う瀬呂 範太が、0P仮想敵の周囲を飛び回っては注意を引きつける。
その間に仮想敵の動きを観察してはタイミングを見計らい、頭部に張り付いては残りの二人を長い舌で巻いては頭頂部に運ぶ蛙吹 梅雨はサポート役を熟してくれた。
頭頂部に辿り着いた鉄哲 徹鐵は身体を鋼鉄へと変化させると、振り被った拳を装甲へと叩き込む。防御力向上の個性に彼の尋常ならざる腕力は数発で巨大な0P仮想敵の装甲を見事貫く。
ダメージを負った仮想敵はヘイトを鉄哲に向け追い払おうとすると、蛙吹がいち早く気付いて舌で巻き取って回避させ、すかさず瀬呂がダメージになり得ないも攻撃を加えて再び引き付ける。
仮想敵は瀬呂を警戒しつつ最後に頭頂部に上った芦戸 三奈にも攻撃を行うも、忍者顔負けのアクロバティックな動きで躱して行き、鉄哲が開けた穴より溶解液を侵入させて
芦戸からは自己申告でダンスをしていて運動神経が良いと聞いていたが、あそこまで高い身体能力を見せつけられるとは。
俺もダンスをするべきかと一考させられた。
兎にも角にも巨大な仮想敵を倒した面々と俺は、都内でも有名なケーキ店に訪れていた。
この店は店内に飲食コーナーを設けており、その場でケーキ類と飲み物を注文して楽しむ客で賑わっている。
一時的とは言えチームを組んであのデカブツに挑んだ仲間という事で仲良くお話でも………と、いう意図も含んでいるが、メインは俺の申し訳ない程度の謝罪だ。
いやはや考えが足りない。
あの時はデカブツを倒す策と競争相手である受験生同士が何のメリットもなく共闘するという状況に、高揚していたのもあって思考能力が落ちていたと思い込みたい。
仮想敵の
解っていたというのに完全に抜け落ちていた…。
動くだけでも轟音を立てる0P仮想敵が四名によって攻撃を受け、より激しく音を立てれば近場で残存していた1Pから3Pの仮想敵が寄って来るのも仕方がない。
そしてそれらは高所にいる彼ら・彼女らではなく、下に居た俺に寄って来るという訳だ。
襲って来られては仕方なく撃破したが、
これは文句を言われてもそれこそ
それぞれ冗談っぽく軽く文句を言いつつも許してくれたが、それではこちらとしては気が済まない。
そう言った訳で試験も終えた事だし、何か奢るよと申し出て芦戸の提案によってこのケーキ屋に訪れているのだ。
ちなみにお金の心配は一切していない。
鍛錬ばかりでは辛く苦しいので息抜きがてら、趣味とヒーロー学習兼ねたものを二つ、前世の記憶を用いたものを一つなどで多少金を稼いでいるので懐は十分すぎるほど温かい。
会話に参加しつつ目の前のケーキにフォークを伸ばす。
ホールケーキをカットした三角の形ではなく、小皿に乗るような小さく四角形にカットされたものだ。
断面からはスポンジケーキの間に小さくカットされた苺を包んだホイップクリームの層があり、上部にはふんわりとホイップが盛られ、苺一つがそのまま乗せられている。
フォークで一口分切り取って口に含む。
含むとすぐにホイップクリームの軽く滑らかな口当たりに濃厚な味わいが広がる。
甘さ自体は控えめだけど、それを補う程に苺の糖度が凄い。
さっぱりとしながらも調和の取れた自然な甘さの果汁が、ホイップに混ざってしつこ過ぎる事無くスッと喉を通って行く。
スポンジケーキもふわっと軽やかでホイップの食感に合う。
予想していた以上に美味しいショートケーキに舌鼓を打ち、後味が残る口内に珈琲を入れる。
砂糖もミルクも入れていない程よい苦味と酸味、深いコクのブラックコーヒーが、なめらかで甘味のある後味に触れてマイルドな味わいへと変化する。
メディアで紹介される人気店だけあって、ケーキだけでなく珈琲も美味い。
芦戸に言われるまま来て正解だった。
「さすがテレビで紹介されるだけあって美味しいね」
「本当ね。このゼリーも美味しいわ」
にこやかに食べつつ話す蛙吹に芦戸に対して、鉄哲と瀬呂はガチガチに緊張しているというか居辛そうな空気を纏っている。
仕方がないと言えば仕方がないか。
花柄や明るい彩色の店内に、広い飲食スペースのほとんどを占めているのは女性客。
寧ろ男性客は俺ら三名しか見当たらず、場違い感は半端ではない。
そう思いつつ自然体で扇動はケーキと珈琲を楽しむ。
勿論会話にも参加するので口いっぱいに頬張るのではなく、喋れる程度に小さく切り分けてだ。
「って二人共どうしたの?」
「どうしたのってなんか場違いっていうか…」
「おう…やっぱ気になるよな?」
「女性限定の店じゃねぇんだ。別に悪い事もしてねぇんだから落ち着けよ二人共」
「お前は落ち着き過ぎだろ!?」
「まぁ、こういった店に来慣れているからな」
「彼女とだ!」
緊張気味の二人の話だったのに、男の俺がこういった店に来慣れているという発言に芦戸が過剰反応を見せて話題がこちらに。
先も言ったように女性限定の場所ではないので、別に男性が居ても
男側からしたら入るのに勇気はいるがね。
…などと、並べて見たものの芦戸の発言はあながち間違いでもない。
こういった店に来たのも彼女―――中学時代の友人に誘われて訪れた。
けれども期待されているような恋愛関係ではない。
向こうからしたら家族を除いて学校で唯一“
そう否定的な発言をした矢先に
「秘密の共有!そこのところ詳しく聞きたぁい」
「あー…色っぽい話じゃないぞ。……いや、ある意味色っぽいか」
「どっち!?ねぇ、どっち!?」
「恋バナ好きだねぇ」
「写真とかないの?写真!」
「無理に詮索するのは良くないわ」
「えー!?でも聞きたくない?」
「だから好いた惚れたの話じゃないっての。あ、これ写真」
わいわいと騒ぎ出し、硬くなっていた男性陣も解れたのかバクリバクリとケーキを口にするようになった。
瀬呂に至っては芦戸と蛙吹に渡したスマホの画面を覗き込むように見ているほど。
仏頂面の俺と満面の笑みを浮かべている彼女が映っている画像を見て、色々と感想を口にするのを眺めながらショートケーキを平らげる。
「ごめんなさいね」
「いんや、別に気にしてない」
流れ的に気にしていたらしく、蛙吹が俯きながら一言入れてきた。
こちらとしては気にしているどころか若干嬉しくもある。
大人数でわいわいと喋るなどあまり無かった経験だけに新鮮味すら感じているのだ。
爆豪とはほぼ喧嘩ばかりだったし、イズクとは鍛錬の相談かヒーローに関するオタクトーク、先輩とは近しい事はあったけど基本一対一だったし前世は基本ぼっちだった。
そう考えるとこう大勢で賑やかなのは前世今生合わせて初めてではないだろうか。
寂しくも感慨深くも思いながら、ショートケーキと一緒に買っておいたモンブランへフォークを伸ばす。
下部はタルトではなくスポンジケーキで、上にはたっぷり乗せられた栗のクリーム、そして天辺には
一口含めば栗が入った事でねっとりとした餡子に近いクリームが口内を撫で、濃い栗の風味と強い甘さが舌の上で踊る。
なんだろう。
クリームの食感が餡子に近いせいか珈琲じゃなくて熱いお茶が欲しい。
珈琲と合わない事もないけど、何となくしっくりこない。
後でお茶を注文するかととりあえず頭の片隅に置き、今と実技試験の時の蛙吹の様子を思い出し、少し疑問を抱いて問い掛ける。
「蛙吹さんって弟妹居たりする?」
「えぇ、弟と妹が一人ずつ居るわ」
「だからか。試験中も良く周囲に気が回るなと思ったんだよなぁ」
そう、彼女は恐ろしいほど徹底していた。
私感であるがヒーローを目指す中坊の大半は自分本位だ。
正義感の強弱関係なく“自分こそがヒーローだ”と夢を強く抱き、現実を知らない分だけ自身を過大評価して突っ走る。
色々と知らないゆえに失敗したり、恥をかいたりする若気の至りという言葉があるほどに、それらは顕著に表される。
その私感に対して蛙吹は自身を過大評価する事も過小評価する事もなく、自身が今出来得る事と個性をしっかりと理解してサポート役に徹していた。
誰にでも出来る事ではない。
周りへの気配りというか状況把握能力が高く、判断もかなり高い。
ただチラ見であったが天性のモノというよりは慣れと言った感じがした。
日常的にそう言った状況に慣れ親しんでいるとなると、まず思い浮かぶのが家庭内の仕事を請け負っているとかだ。
例えば何かしら理由があって日常的に家事などを担当したり、手のかかる弟妹の面倒を見たり。
前世の同じ時分の頃では決して彼女のように徹する事は出来ない自信がある。
それほどに
「若いのにああしてサポートに徹せれるのは凄いと心底思うよ。尊敬するほどに」
「ありがとう嬉しいわ。あとお友達になりたい人には梅雨ちゃんと呼んでほしいの」
「了解だ。梅雨ちゃん」
「…ねぇ、扇動って
「さぁ、どうだろう」
ニヤリと意味深に笑い、彼ら彼女らとの談笑を楽しむ。
ぐいぐいと人懐こさのある芦戸が初めて知り合ったという垣根をぐいぐい押し切り話を広げてくれるおかげで、鉄哲も瀬呂も蛙吹も俺も会話に参加し易くて大変助かった。
中でも“梅雨ちゃん”とは学校が終われば家の事やヒーローに成るべく勉学に励んで中々友達を作ったり、遊んだりする時間がなかったなど差異はあれど似通った経験談から色々と話し込んでしまった。
気が付けばかなり長居してしまい、そのままの流れで解散することに。
楽しい時間と言うのはあっと言う間と言うが、本当だったんだなと実感する。
帰り際に冗談交じりにお土産を強請られたので、当然と言わんばかりにケーキセットを人数分買って渡しておいた。
驚かれたり恐縮されたりもしたが、押し付けるようにして「またな」とだけ言い残してさっさと帰路につく。
先に連絡は入れておいたが爺ちゃんも心配しているだろうしな。
「またな…か。雄英でまた会えたらいいな」
先ほど口にした言葉を呟きながら、また楽しみが増えたと頬を緩ませるのであった。
自分の力を信じても…信頼に足る仲間の選択を信じても……結果は誰にもわからなかった…。だから…まぁ、せいぜい…悔いが残らない方を自分で選べ。
【進撃の巨人】リヴァイ・アッカーマンより