数日間に渡って食当たりか何かで数日間ダウンしており、投稿が遅れに遅れてしまいました…。
雄英高校ヒーロー科一年A組と勇学園ヒーロー科四名との合同ヒーロー実習にてサバイバル訓練が実施された。
ルールは制限時間内に生き残る事。
確保テープを用いて他チームを戦闘不能判定にしても、他チームと協力しても良しの何でもあり。
血気盛んな学生はサバイバル訓練という事で戦闘を真っ先に思い浮かべるも、ルールを理解して落ち着いた判断を下す者は戦闘を避けて生き残る作戦を視野に入れて行動を開始する。
Aチームは冷静な蛙吹にその事を指摘・提案されて、戦闘を避ける為にもその場を動かずに生き残る作戦を取った。
作戦を了承すると同チームの芦戸はならばと麗日と共にお菓子を食べ始める余裕を見せる為、さすがにと緑谷はひやひやとする事になるのであるが、そんなのほほんとしたAチームを他所に戦端は開かれる。
授業開始前の勇学園自己紹介時より雄英高校の爆豪と勇学園の藤見は剣呑な雰囲気を出しており、互いに相手を倒す事を第一に行動を開始していた。
そうでなくとも血気盛んな爆豪辺りは全員を倒してクリアすると念頭にある為、戦闘を避けようと行動しようと向こうの方から寄って来ていただろう。
しかしながら戦端を開いたのは爆豪からではない。
先に仕掛けたのは索敵能力で相手の位置を把握する耳郎に遠距離射撃が行える青山、範囲攻撃可能な上鳴に高い捕縛能力と移動手段など応用の利く個性を持つ峰田のEチーム。
真っ先に先行していたBチームの爆豪を潰そうとしたEチームであったが、状況から目ではなく音で索敵している事から耳郎がいると判断した爆豪は、爆音を響かせて
あっと言う間にEチーム全員を戦闘不能に追い込んだ。
続いて目に付いた飯田・砂藤・常闇・瀬呂のDチームと交戦し、爆豪とチームを組んでいた切島・障子・八百万が合流するより先に捕縛を終えて、たった一人で二チームを全滅させるという大戦果を叩き出したのであった。
「味方だと頼りになり過ぎるな」
「るっせえ!!それより陰気野郎は何処だ!!」
まるで出番なしな現状を口にする切島であったが、爆豪自身は藤見をぶっ飛ばす事を今は第一目標に定めており、自分が活躍したところで誇る事も気に留める事もない。
そうでも無ければ轟と扇動が居るCチームを真っ先に狙っていただろう。
爆豪が藤見を狙うように藤見もまた同様に気に食わない爆豪を虎視眈々と狙っていた。
「凄いわね。あの爆豪って人……」
蛙吹の友人である万偶数は仲間と共に高みより眺めており、爆豪の驚異的な戦闘能力に素直に驚きと賞賛を浮かべていた。
それもまた気に入らないと言った様子の藤見は鼻を鳴らす。
赤外は個性“赤外線”によって森の中に潜む雄英生を索敵して把握し、未だ指示の無い多弾は汗をハンカチで吹きながら何事もなく終わらないかななんて思いながら眺めていた。
されどそんな彼の願いは叶わない。
「多弾!
「――ッ!」
指名が掛かった事に怯む多弾。
勇学園生徒が集まっているFチームは戦術が決まっている。
個性“赤外線”による索敵を行う赤外に三秒間見つめた相手を弛緩させる“弛緩”の個性を持つ万偶数。
どちらも戦闘向けではなく藤見に至っては連携が取れ辛い範囲型で攻撃型の個性ではなく、肉弾戦による戦闘を得意とする訳でもない。
そうなると自ずと遠距離攻撃も範囲攻撃も熟せる多弾の個性がメインに据えられるのは必須。
仲間の為にと臆病な自身に喝を入れて破れかぶれ気味に叫ぶ。
「そうさ!これも仲間の為さ!全員焦土にしてやんよ!!」
多弾の個性は“ミサイル”。
丸っこくもメカメカしいコスチュームには複数の発射口が開いていて、そこからミサイルが飛翔しては赤外が捉えている爆豪達へと複数のミサイルを降り注いだ。
種類も選べれる中で今回選択したのは閃光と音によって相手を気絶させるフラッシュバン。
クラスメイトの個性を把握している緑谷は異様な音と降り注ぐミサイルから勇学園の誰かの個性と判断し、彼らが動き出した事を察していた。
同様に扇動もそれは目撃しており、遠巻きながらやっぱりかと短く感想を漏らす。
「凄かったね今の」
「ミサイルだったよな……」
「あの多弾って奴の個性だな。あー、多弾って
「納得している場合か?」
藤見の個性をゾンビ関連と扇動が予想した事からCチームは戦闘を避ける方針で動いていて、高所の岩場地帯で身を隠して赤外の眼を掻い潜り、同時に口田の個性により指揮下に置いた野鳥を数羽ばかり索敵・監視として展開している。
すると起こった個性による攻撃に芦戸が感嘆の声をあげ、切島が呆然と呟き、焦凍が扇動の呟きにツッコミを入れ、皆が目撃する事が出来た。
予想と情報を合わせながら扇動達は慌てる素振りはない。
すで逃走経路もすでに構築しており、出来る事なら制限時間までここでゆっくりとするつもりなのだ。
「別に勇学園が動いている分は構わねぇよ。寧ろ動かなくなった方が問題だよ」
「どゆこと?」
「爆豪と藤見。あの様子から互いを狙って動くのは明白だろ」
「それは……うん、そうだろうね」
「あいつらが動いたという事は狙いは爆豪」
「あ!動かなくなったら決着がついたって事で、爆豪君がこっちに来そうだもんね」
「というか必ず来るだろうよ。大きな獲物が二人もここに居んだから」
「誰の事だ?」
爆豪が狙いそうな者と言えば……なんて視線を扇動が送るも、片割れである焦凍は何のことやらと言った様子。
冗談なのか本気なのか。
その様子に多少笑みを零す扇動達は今の所は傍観し、参戦するつもりは一切ない。
非戦闘を方針としたAチームとCチームを他所に、遠距離からの奇襲を仕掛けたFチームは大量のミサイルを着弾させた地点に到着し、首を傾げながら辺りの捜索を行っていた。
ルールで明記されたのは確保テープを巻いたら戦闘不能で退場となるも、単に気絶しただけでは意識を取り戻したら復帰されてしまう。
気を失っている今のうちに確保テープを巻こうと来たのだが着弾地点に爆豪達の姿はない。
赤外線を用いて周囲を見渡すもそれらしい反応はなく怪しむ赤外。
「この辺りで気絶している筈なのだけど……」
「まさか逃げられた?」
「あり得ないわ。フラッシュバンとは言えこの広範囲で」
「ハッ、本物のミサイル撃ち込んでやれば良かったな」
「出来る訳ないでしょ」
「確かに。気絶して間抜け面を晒す不良上がりをじっくり眺めれねぇからな」
不安が過る中で藤見は嘲る様な笑みを浮かべ、阿保面を晒して気絶している爆豪に期待しながら周囲を見渡す。
そんな彼の期待は一言で打ち砕かれる。
「オイ、テメェ!一々癪に障る野郎だなぁ!!」
声を掛けられて即座に振り返ると木を背に、八百万が対赤外線シートを作成して潜んでいたのだ。
Bチームには索敵可能な障子がいち早くミサイルを発見したおかげで、何とかフラッシュバンから逃れる事に成功し、知らない個性から勇学園と予想した事で対赤外線シートで身を隠して待ち伏せていた。
完全に騙された藤見は忌々しそうに睨みつけながら、コスチュームである黒いコートの間を伸びているチューブに個性の
「覚悟は出来てんだろうなッ!!」
「ここは任せて!!」
跳びかかろうとする爆豪の動きを察して、万偶数が咄嗟に個性を使用して弛緩させる。
八百万に切島、障子が成すすべなくその場に崩れ落ち、今のうちに確保テープを巻きつけようとするも、さっきまでその場にいた爆豪が居ない事に驚愕する。
「――ッ、上だよ!」
「まさかあの一瞬で!?」
「―――たったの三秒。ちっせぇ個性だなぁああああ!!」
万偶数が弛緩の個性を発動しようとする一瞬。
爆豪は何かを察して咄嗟に跳躍しており、まさかの行動に勇学園生徒は戸惑う。
この僅かな間ではあるが、弛緩の個性が続く三秒が過ぎるには充分過ぎた。
「馬鹿にしやがって……」
「藤見!?駄目よ!!」
「嘗めんなぁああああ!!」
個性を発動させようとしている藤見にいち早く気付いた赤外は制止を口にするも時すでに遅し。
袖下の噴射口に繋がっているチューブからガスが送られ、周囲を埋め尽くすほどの高濃度なピンク色のガスが噴き出された。
雄英生は警戒を露わにして、勇学園は諦めつつも口元を覆うも意味はなく、彼ら・彼女らは藤見が発生させたガスに包まれるのであった……。
“ゾンビ”というのも一口に説明し辛いものらしい。
ホラー映画などに登場する人を襲い、噛みつく事で感染させる生きた屍という意味での“ゾンビ”に至っては、複合体による産物だと言う。
ゾンビには諸説色々ある中で特筆されたのは“死者の蘇り”。
噛む事で眷属を増やす
人に化けて人肉を食らう悪魔“
走れなかったり走れたりの性質に感染源が呪術やウイルスだったりと、作品によって異なるものの大まかには最初に生み出された
理性は無くなり本能のまま行動し、力は生前以上に強くなって屍ゆえに痛みを感じる事はなく、噛みつかれた生者は感染を経て
“ゾンビ”というのはホラー映画やゲームなどに登場するモンスター程度にしか思っていなかった緑谷は、扇動からの説明に感心しながら耳を傾ける。
サバイバル訓練中に発生したピンク色のガスが何なのかは解らないが、性質が解らないからこそ警戒して離れた緑谷達Aチームは、元々高所を取っていた扇動達Cチームと合流したのだ。
状況が状況なだけにお互いに休戦して協力体制を結ぶと、安全を確保しつつ状況を整理する為にも情報交換の流れになっただが、クラスメイトの個性ではないから勇学園の誰かの個性程度の認識しかない緑谷。
対して扇動は出会ったばかりの勇学園生徒の個性の考察はすでに済んでおり、
そこから推測されるは
しかも近年見られるような走るゾンビではなく、脚を引き摺ったりと動きは鈍いタイプのゾンビ。
ガスで広範囲に感染を広げると言うのはゾンビの性質云々ではなく、ただ単に感染源の一種としてなのかホラー映画に“ゾンビもの”というカテゴリが生まれる程に
推察している内容はガスが撒かれた木々の合間より真っ白な肌に黒く虚ろな目、腕も動き方も張りがなくだらりと弛み、開けっ放しの口からは随時「あぁ……」と呻き声を漏らしながら、緩慢な動作で歩む映画さながらのゾンビと化してしまった雄英高校・勇学園両生徒達が現れた事でほぼ正しい事が証明された。
「ちなみにモデルとなったであろうゾンビ作品では、石で車のガラスを割って生者に襲い掛かろうとしているシーンがある事から、多少なりとも知性は残っていると思われる。現に個性を使ってはいるようだしな」
「成程、そういう予想も出来たんだ!!」
「……成程じゃあないんよデク君!?」
「検討している場合じゃないんだよ!!」
森の中を警戒しつつ歩みながら考察を聞いていた緑谷は心底感心したが、状況が状況なだけに皆からツッコミが飛んで来る。
合流した後、森よりゾンビ化した生徒達に囲まれそうになったのを突破して逃げ延びたのだが現状打開策は一切ない。
ゾンビ映画での結末の多くがバッドエンドであり、大概の
一番なのは個性を使用した本人に解除方法を教えて貰う、または個性を解除して貰うのが良いのだけど叶わない。
なにせ感染源である藤見 露召呂は感染者となってしまったのだから……。
彼はこの状況に心から喜んだ。
ヒーロー校の名門中の名門である雄英高校への憧れ・羨み・妬みを抱いていたのは明白であり、そんな雄英生は自身の個性で
通用するどころか一泡吹かせた事実に気分は高揚してハイって奴になっていただろう。
だから彼は生存者であった緑谷達に姿を見せて自慢した。
自分の個性は凄いだろう…と。
その慢心が彼自身を感染者へと変えてしまう。
どうもゾンビ化した者は知能はほとんどなくなっても、執念までは無くならずに抱き続けるらしい。
ゾンビ化しようとも煩悩のままに
「扇動、この後どうするつもりなんだ?」
「何処かに立て籠もる?」
「ゾンビ映画だと絶対に人間同士のいざこざに発展するパターンだね!」
「安全地帯を維持できんならまだしも包囲された上に限定空間内を数で押されたら終わるぞ」
「でもずっと歩いている訳にもいかないんじゃあ……」
「――時間制限はある」
「あ!そっか。サバイバル訓練だもんね!!」
そう、これは授業。
ヒーロー実習に設けられた時間を過ぎれば先生たちが事態収拾に必ず動くだろう。
扇動の言葉に皆がそうだ、そうだ!と納得と希望を抱くも、緑谷と焦凍は言葉にされなかった部分に気付いた。
ヒーロー学は基本午後の授業で、普通科と違ってヒーロー科は一限多い五限目から七限目まで……。
つまり最悪ゾンビ達から三時間近く逃げ続けなければならないという事。
歩くだけならまだしもゾンビ化した生徒と出くわした際には戦闘となる事を考えたら、体力が最後まで続くかどうかはかなり怪しくなる。
「急にわって出てこないかな?」
「ホラーやパニックものだと定番だな」
「でもでも扇動君や轟君も居るし大丈夫だよね」
「焦凍は兎も角、今回戦闘面で役立たずの俺に期待すんなよ」
「俺も自信はねぇな」
「ちょっと、不安を煽らないでよ!」
単に煽っている訳ではなく事実の共有という所だろう。
藤見は噛まれた際に感染してゾンビになった事から迂闊に近接戦闘を挑めば感染する確率が非常に上がる。
行動を共にしているメンバーの中で言えば扇動に麗日、蛙吹に尾白がそれに当たり、遠距離可能な芦戸はクラスメイトを溶かす訳にもいかないし、口田は鳥などを操って足止めは出来るだろうけど鳥の群れが感染したりすれば絶望的な状況に成り得る。
氷結が使える轟は捕縛が可能であると思われていたが、ゾンビ化した感染者に囲まれ脱出しようとした際に脚を凍らせたところで、ゾンビ化の影響により強くなった力で意図も簡単に砕かれた事から僅かな時間稼ぎにしか使えない。
首元まで凍らせれば話は別であろうが後に凍傷になる可能性も出て来るので捕縛は不可能と判断される。
さらに加えれば個性を使いこなせてはいないが使う事が出来るらしく八百万はずっとマトリョーシカを創造し続けてたし、自ら出したテープに絡まっている瀬呂にエンジンの加速を使うも木に何度も何度もぶつかっている飯田などなど集まっていた際に目撃する事が出来た。
その際にぶつかり続ける飯田には掠り傷一つないというのに、木の方がぶつかられる度に削れていった事からダメージを受け付けないであろうと予測でき、扇動が持つ
扇動の一言によって不安が漂う中で、そこから考察を始めた緑谷のブツブツと長く小さい呟きがさらに不安を加速させる。
「その呟きも怖いって緑谷!」
「あ!ご、ごめん!?」
「扇動君も煽らんといてよ……」
「煽ってねぇよ。イズクを頼りにしろってこった」
「僕ッ!?」
「たりめぇだろ。遠距離可能で吹っ飛ばせるんだからな」
「――ッ、うん!」
確かにワン・フォー・オールを振るえば風圧を起こせる。
触れることなくダメージによるノックバックではなく風圧で吹っ飛ばせば感染のリスクはない。
なにより扇動から頼りにされているという事に胸が躍る。
皆からの頼られらているという思いを一身に背負う緑谷は、頷いた直後に草むらから発生した物音にびくりと反応を示す。
驚いた全員が怯えながら緑谷に隠れたり、扇動や轟のように身構えた。
ガサガサと茂みを揺らし、姿を現したのはゾンビ化した万偶数であった。
指を弾いて風圧を起こそうとしていた緑谷も蛙吹の手前もあって一瞬戸惑い、ゾンビ化した親友が現れた事に戸惑いながらも蛙吹は近づく。
「あぁ……あぁ……」
「羽生子ちゃん」
「……あぁ?」
「駄目だ蛙吹さん!」
「待てイズク!」
近づく様子に遅れて構える緑谷を扇動は制止した。
ゾンビ化した感染者は本能や執念などの強い想いによって動く。
彼女は知性を無くそうとも親友を襲うなどという行為は強い想いに反する行為だったという事だろう。
襲う動作なく万偶数は蛙吹と見つめ合う。
ゾンビに成ろうとも襲わない親友に感極まりつつ、蛙吹は手を伸ばせば万偶数も同じように伸ばして手を繋ぎ、何処となく喜んでいるように見える。
フッ飛ばさずに済んだ事に緑谷は胸を撫で降ろすも、こんなことがありえるのかと扇動へ振り向く。
「ゾンビでもこういう事あり得るの?」
「確かゾンビだかグールだか忘れたが人を襲わない作品もあったな」
「何にしても良かったよ」
「誰かがフラグ立てるから」
「ごめんて。けど爆豪じゃなくて良かったよね」
「……確かに。かっちゃんだったら絶対襲い掛かってた」
「こっちを見んな。お前も襲われる対象だからな―――っと、これもフラグだろ?」
そう言った矢先、またも草むらががさりと音を立てる。
万偶数のような事態は奇跡に近い。
今度はそんな事はないと思い警戒していると、目元は黒ずんだ倦怠感を漂わせた人が茂みより姿を現した。
「「「ゾンビだぁあああ!!」」」
「違う!待って!!」
「え、オーr……八木先生!?」
茂みから出て来たのはゾンビ―――ではなく、一件ゾンビ化しているようにも見える八木 俊典であった。
放課後の特訓に参加している事で見覚えのある人物だと認識すると、ゾンビ出現という混乱は収まるものの何故という疑問が浮かぶのは当然だろう。
「やぁ、君達は無事だったようだね」
「どうしてここに?というか、えっとぉ……」
「ゾンビに襲われなかったんですか?」
「あぁ、どうも私はゾンビだと認識されたらしくてね……」
何故オールマイトの状態ではないのですかと聞こうとした緑谷は、皆の前では聞けない事に気付いて口を閉ざす。
その間に質問が投げかけられ、八木は普段以上に暗い表情で悲しそうに答え始めた。
勇学園生徒である藤見 露召呂の個性は“ゾンビウイルス”。
ゾンビに感染させるガスを噴射する事が可能で感染した者はダメージが利かず、攻撃力と凶暴性が増長する代わりに思考能力は著しく低下するというもの。
厄介な個性が使用された事から相澤は訓練の中断を視野に入れたが、これもサバイバル訓練だとオールマイトが大丈夫と言って続行させるも、勇学園生徒も合わせて20名がゾンビ化した状況を鑑みて救助に来たとの事。
されど救助するには八木では力不足で在り、ゾンビと遭遇した折には仲間と判断されて団体で通り過ぎられたらしい。
話には出さなかったが八木はサバイバル訓練開始時よりオールマイト状態で眺めており、活動限界を超えた為に救助に出た後にオールマイトから八木に戻ってしまったのだ……。
「駄目じゃん!どうするの?」
「ど、どうしよう……」
救助がこれでは当てには出来ない。
焦燥感に苛まれる一行の中で扇動一人何かを思いついた様子を見せる。
「むーくん?」
「あぁ、いやなに、八木先生のおかげで光明が見えたなと思ってな」
新たな希望に皆が喰い付く。
扇動曰く、考古学者が主人公の二作目で死者の群れに対して、主人公の義兄さんが呪文を唱えながら振りをする事で難を逃れたという。
嗅覚などではなく視覚で判断するのであれば誤魔化しは利く。
それも特殊メイクを施した訳でもない素の八木の顔でだ。
木の実などその場にあるものを染料として使い、一見ゾンビらしく見える簡易メイクを施した一行はゾンビ化した生徒に紛れる事に成功。
ただゾンビ近くで苦手な虫にくっ付かれて今までに聞いた事ない程大きく甲高い
授業の様子を眺めていた相澤は大丈夫と言いながら大丈夫ではなかったオールマイトに呆れつつ、ゾンビに紛れ込む生徒の様を眺めて有名なミージックビデオを懐かしくも思い出すのであった。
ちなみにサバイバル訓練終了後、ヒーローと関係なさそうな情報であろうと役に立つ事を実感した緑谷は、早速そういう勉強にも励もうと強く思い立った。
今回の件で言えばゾンビ映画。
ホラー関連は柳 レイ子の方が詳しいと扇動の言によって仲介をして貰ったのだけど、押さえておくべき作品にマイナーながら神作、お勧めしたい傑作選など多量のタイトルが告げられ、戸惑いながらも真面目な緑谷は勉強だと言い聞かせ、夜な夜な震えながら進められた作品を考察しながら観るのであった………。