伝説の超鬼殺隊員   作:ツキリョー

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第十四話です。再び三週間弱かかってしまって申し訳ありません。文字数は普段と変わらなくなってしまいました。今回はブロリーの出番少なめです。こんな小説ですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。


リハビリの機能回復訓練!全集中常中を取得せよ!後編

ブロリーが全集中常中を取得してから数時間後、浴場で体を洗い終わり、夕食を蝶屋敷の住人達と共にして就寝の時間になると、箱から禰豆子が顔を出してブロリーが寝ているベッドまでやってきた。

 

禰豆子「ん。」ヒョコ

 

ブロリー「んん?禰豆子ぉ?なんだぁ?」

 

禰豆子はブロリーが寝転がっている姿を見てとてもそわそわしていた。それを見て何かを察したブロリーは掛布団をめくり、スペースを開けるとそこをポンポンと叩く。

 

ブロリー「禰豆子も一緒に寝るか?」

 

禰豆子「ムー!」パァァァ

 

すると禰豆子は目を輝かせ、喜びながらブロリーのベッドの中に入って添い寝をしていた。同部屋にいる炭治郎はその光景を見て微笑んでいて、伊之助は我関せずとばかりにさっさと夢の世界の住人となっていたが一人だけは違った。

 

善逸「ブロリーさん!なんで禰豆子ちゃんと一緒に添い寝してるんですか!?」

 

ブロリー「禰豆子から俺のところに来たのだ。大方俺と一緒に寝たいんだろう?まぁ、前も一緒に寝たことあるからな。」

 

善逸「・・今何て言ったんですか?」

 

ブロリー「?大方俺と一緒に寝たいんだろう?」

 

善逸「そのあとだよ!」

 

ブロリー「?前も一緒に寝たことあるからな?」

 

善逸「それだよ!!前も一緒に寝たってどう言うことだぁ!!何で俺の禰豆子ちゃんに勝手に手をだしてんだ!!」

 

炭治郎「善逸落ち着け!別にブロリーさんは禰豆子に手出しをしていない!今みたいに禰豆子からブロリーさんに迫って添い寝をしていただけだ!」

 

善逸「今みたいにってことは一度までならず二度も寝てるってことだろうが!!禰豆子ちゃんを弄びやがって!このサイヤ人の面汚しめ!!」

 

炭治郎「コラ!!」

 

禰豆子に甘えられるブロリーに嫉妬した善逸は、血涙を流しながらブロリーを罵倒していたが、そこにしのぶが笑顔で青筋を浮かべながらやってきた。そして威圧感を込めて注意を始めた。

 

しのぶ「炭治郎君に善逸君?ここ蝶屋敷では病院としての役割りも担っているんですよ?他の隊士達の迷惑になりますので、もう少し静かにしていただけませんかね!?」ゴゴゴゴゴ

 

炭治郎・善逸「「す、すみませんでした!!」」ペコ

 

普段は温厚の彼女から怒りの匂いと音を感じ取った二人は、速攻でしのぶに頭を下げて謝っていた。そしてしのぶが去ったあと、炭治郎と善逸はそれぞれのベッドで眠りについた。禰豆子もブロリーの体に密着しながらスースーと寝息を立て始め、ブロリーも禰豆子の頭を撫でながら夢の世界へと入って行った。

その翌日、炭治郎達五人は蝶屋敷でそれぞれが回復する為の休息に入った。

 

炭治郎「ぐああああ・・!」

 

炭治郎は顔や腕、足に大量の擦過傷に加え、筋肉痛と肉離れの地獄のような痛みに耐えまくった。

 

善逸「飲んだっけ!?俺昼の薬飲んだ!?飲んでるトコ見た!?誰かーっ!!」

 

善逸は全員の中で最も重傷であり、右腕右足が蜘蛛化による縮みや痺れ、左腕の痙攣を治すために薬を飲んでいるが、効力重視の薬はとても苦く、おまけに本当に治るのかどうかの不安にも駈られて病室で一人騒ぎまくった。

 

伊之助「ゴメンネ・・弱クッテ・・」

 

炭治郎「頑張れ伊之助!頑張れ!」

 

善逸「お前は頑張ったって!すげぇよ!」

 

伊之助は喉頭と声帯の圧挫傷を治すためにベッドで安静にしていたが、本人があまりにも落ち込みまくっていたため、両側から炭治郎と善逸が励ましまくっていた。

 

禰豆子「・・ZZZ」スースー

 

禰豆子は消費した体力を元に戻すためにひたすら箱の中で寝まくった。

 

ブロリー「デヤァッ!!」ガシッ

 

しのぶ「きゃっ!!」

 

―――――――――――――

 

ブロリー「フハハハ!!」グイッ グワン!

 

しのぶ・アオイ「「!?」」

 

―――――――――――――

 

ギュピギュピギュピギュピギュピギュピ!!

 

しのぶ・アオイ(またあの音ですね・・/なんの音ですか?)

 

ブロリーは全くの無傷だったので炭治郎達の回復が終わるまでアオイやカナヲ、しのぶの鍛練の相手になっていた。そんな毎日を送って行くなかで、村田と那田蜘蛛山で母鬼に操られてた女隊士、尾崎が二人でお見舞いに来たのだ。

 

村田「よっ。」

 

尾崎「こんにちは。」

 

炭治郎「あっ村田さん!!・・と誰ですか?」

 

尾崎「はじめまして、私は尾崎っていうの。ところであの男の人はどこにいるの?」

 

尾崎が探していたのはブロリーであり、タイミング良く炭治郎に居場所を聞いたと同時にブロリーが病床に入ってきた。

 

炭治郎「ブロリーさんなら今病床に入って来ましたよ。」

 

ブロリー「んん?お前は?」

 

尾崎「あのときはありがとうございました。私は尾崎という者です。那田蜘蛛山で貴方に助けられたから私は今ここにいるんです。本当にありがとうございました。」ニコッ

 

ブロリー「・・あの時のか。無事に山を降りられたようでよかったYO。俺はブロリーです。」

 

村田と尾崎は那田蜘蛛山での仔細報告のために柱合会議に召喚させられたらしく、二人揃って愚痴を言っていた。

 

村田「地獄だった・・怖すぎだよ柱・・」

 

尾崎「そうね・・彼によって生き延びることができたのに生きた心地がしなかったわ・・」

 

村田「うん・・最近の隊士はめちゃくちゃ質が落ちてるってピリピリしてて皆・・」

 

尾崎「那田蜘蛛山行ったときも、私達が命令に従わずに行動したのに鬼に操られたってことがわかったら、物凄い圧をかけられたわ・・」

 

村田「その"育手"が誰かって言及されてたよね・・」

 

尾崎「そうね・・柱怖いわ・・」

 

しのぶ「誰が怖いんですか?」

 

村田・尾崎「!?」

 

二人が振り返ると、柱合会議から帰って来たしのぶが音も立てずに真後ろにいたのだ。

 

しのぶ「こんにちは。」

 

村田「あっどうもさよなら!!」

 

尾崎「おっお邪魔しました!!」

 

しのぶがやってくると、二人はそそくさと帰っていってしのぶはそれを笑顔で見送っていた。

 

しのぶ「あらあら、さようなら。どうですか、体の方は?」ニコー

 

炭治郎「かなり良くなってきています。ありがとうございます。」ペコ

 

しのぶ「ではそろそろブロリーさんも交えて機能回復訓練に入りましょうか。」ニコニコッ

 

炭治郎「・・機能回復訓練?」

 

ブロリー「フフフ!楽しい時間の始まりだ。」

 

炭治郎と伊之助、そしてブロリーはしのぶに連れられて病室を出ていった。その数時間後、三人は病室へと戻ってきたが、炭治郎と伊之助は何故かげんなりしてやつれており、対称的にブロリーは満足そうな表情を浮かべていた。

 

善逸「何があったの?どうしたの?ねぇ?」

 

炭治郎「・・ごめん。」

 

善逸「何々!?炭治郎が寝込むほどの何かをやらされたの!?ねぇブロリーさん!何があったの!?教えて下さい!」

 

ブロリー「善逸、すまないな。しのぶから善逸には明日まで内緒にしてくれと頼まれてるんだ。」

 

善逸(教えてくれよ!!明日から俺も少々遅れて訓練に参加するんだからさ!!本当に何があったの!?わかんないよ!!怖いよ怖いよ!!ブロリーさんは楽しい時間って言ってたけど炭治郎が寝込むほどだぞ!!怖いよ!)

 

ブロリーの言った楽しい時間という言葉が引っ掛かった善逸だったが、炭治郎と伊之助が寝込むほどの過酷なものだということが嫌でも伝わり、次の日まで震えていたのだった。

翌日、善逸は炭治郎の服に掴まり、震えながら訓練場へと足を運び、三人で正座をしてアオイの説明を聞いていた。

 

アオイ「善逸さんは今日から訓練参加ですので、ご説明させていただきますね。まずあちら、寝たきりで硬くなった体をあの子達がほぐします。」キリッ

 

伊之助「ギャアアア!!」

 

アオイが指さした方を見ると、伊之助が布団の上にうつ伏せになり、なほ、すみ、きよの三人がおもいっきり伸ばして悲鳴をあげていた。

 

アオイ「それから反射訓練。湯飲みの中には薬湯が入っています。お互いに薬湯を掛け合うのですが、湯飲みを持ち上げる前に相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせません。」

 

湯飲みがたくさんある場所には、カナヲと炭治郎がすでに対戦しており、炭治郎がカナヲにお湯をかけられて惨敗していた。

 

アオイ「最後に全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですね。私アオイとあちらのカナヲがお相手です。」

 

ブロリー「デヤァッ!!」ガシッ

 

カナヲ「!!」

 

逃げ回ろうとしたカナヲをブロリーが一瞬で掴まえて、流石のカナヲも目を見開いてブロリーの強さにポカーンとしていた。その様子を見ていた善逸は、怪訝の表情を浮かべてアオイに尋ねた。

 

善逸「すみません。ちょっといいですか?」

 

アオイ「?何かわからないことでも?」

 

善逸「いや、ちょっと。来い二人共。」

 

炭治郎「?」

 

伊之助「行かねーヨ。」

 

善逸「いいから来いって言ってんだろうがァァァ!!」

 

炭治郎・伊之助・アオイ「!?」

 

善逸は突如怒り、怒った姿を見たことがなかった三人は驚きで硬直している。そんなこともお構い無しに善逸は炭治郎と伊之助の首根っこを掴んで引きずっていった。

 

善逸「来いコラァ!!クソ共が!!ゴミ共が!!」

 

そして外へと連れ出した善逸は、炭治郎と伊之助に正座を強要した。

 

善逸「正座しろ正座ァ!!この馬鹿野郎共!!」

 

伊之助「なんだとテメェ・・!」

 

突っかかろうとした伊之助を善逸は殴り飛ばし、蝶屋敷の壁に叩きつけた。炭治郎は善逸を叱るが、本人には逆効果だった。

 

伊之助「ギイイイイイ!!」

 

炭治郎「何てことするするんだ善逸!!伊之助に謝れ!!」

 

善逸「お前が謝れ!!お前らが詫びれ!!!天国にいたのに地獄にいたような顔してんじゃねぇぇぇぇぇ!!女の子と毎日キャッキャッしてただけのくせに何をやつれた顔してみせたんだよ!土下座して謝れよ切腹しろ!!」

 

炭治郎「何てこと言うんだ!!」

 

善逸「黙れこの堅物デコ真面目が!黙って聞け!いいか!?女の子に触れるんだぞ!体揉んでもらえるんだぞ!湯飲みで遊んでいるときは手を!!鬼ごっこのときは体触れるだろうがァァ!すれ違えば良い匂いがするし、見てるだけでも楽しいじゃろうがい!!幸せ!!うわああ幸せ!!」

 

伊之助「わけわかんねぇこと言ってんじゃねーヨ!!自分より体小さい奴に負けると心折れるんだヨ!!」

 

善逸「やだ可哀想!!伊之助女の子と仲良くしたことないんだろ!山育ちだもんね!遅れてるはずだわ!あー可哀想!!」

 

カッチーン

伊之助「はああ゛ーん!?俺は子供の雌踏んだことあるもんね!!」

善逸「最低だよそれは!!」

 

一方その頃、屋敷の中にいたブロリー達はというと、善逸の大声を聞いてドン引きしていた。

 

アオイ「・・あり得ません。あんな邪な気持ちで訓練しようとしてるなんて・・」

 

しのぶ「善逸君・・」

 

ブロリー「善逸が済まないな。あいつ出会った時から女に求婚を無理矢理迫っていたような奴だったが、まさかあそこまでだったとはな・・」

 

しのぶ「彼そんなこともしてたんですか!?」

 

アオイ「女の敵ですね・・!」

 

アオイ、しのぶ、ブロリーの三人は善逸の悪態をついており、なほ、すみ、きよの三人も善逸達が出ていった方向へ厳しい視線を飛ばしていた。しかし、突如としてしのぶが話題を変えた。

 

しのぶ「ブロリーさん。お願いがあるのですがよろしいですか?」

 

ブロリー「なんだぁ?」

 

しのぶ「彼らがもし、うちの妹達に訓練で勝てるようになったら、今度はブロリーさんが彼らの相手をしてあげてほしいのです。お願いできますか?」

 

ブロリー「・・いいだろう。炭治郎達にとってもいい鍛練になるだろうからな。」

 

しのぶ「ありがとうございます。」

 

しのぶの提案を受け入れたブロリーはしのぶと微笑みあって炭治郎達が成長するのを楽しみにしていた。そして、良いのか悪いのか善逸の参加により士気が上がった。

 

炭治郎(そんな邪な気持ちで訓練するのは良くないと思う。)

 

すみ「んんー!」ギリギリ

善逸「ウフフフフフ♪」

 

善逸は揉みほぐされる中、激痛が走っても笑い続け、ただ者ではないことを見せつけていた。

 

伊之助(あいつ・・やる奴だぜ。俺でも涙が出るくらい痛いってのに笑ってやがる。)

 

ババババババッ!

ピタッ

 

更に反射訓練ではアオイに勝って、カッコつけてみせたが

 

善逸「俺は女の子にお茶をぶっかけたりしないぜ。」

 

しかし、大声で話した内容もあり、アオイや少女達の目は厳しかった。全身訓練の鬼ごっこでも勝ち星をあげるものの

 

善逸「わっしょい!!」がばーっ

アオイ「!!」バキッドカッドゴォ!

 

体に触れた瞬間にぼこぼこに殴られたりするのである。そして、善逸が快進撃を見せることで、負けず嫌いの伊之助も奮起し、反射訓練でアオイに盛大に薬湯をぶっかけた。

 

伊之助「ヨッシャァァ!!」バッ

 

アオイ「・・っ!」バッシャァ

 

更に反射訓練ではアオイを掴まえたあとも、伊之助は容赦しなかった。

 

伊之助「エイサァァァァ!!」グイッ

 

アオイ「痛い!!」

 

二人が好調の兆しを見せるなか、ただ一人勝てない炭治郎は恥ずかしさとひもじさを感じていた。

 

炭治郎(俺だけ負け続けてずぶ濡れ・・恥ずかしい・・)

 

しかし、二人が順調だったのはそこまでであった。反射訓練では運動神経がいい伊之助も

 

カナヲ「・・・・」ひょい

 

伊之助「ギイイイイイ!」ズザー

 

参加してから脅威的な反射神経で、アオイを相手に勝ち星を上げた善逸でさえ

 

カナヲ「・・・・」バッ

 

善逸「・・っ!」バシャッ

 

カナヲには勝てない。湯飲みを押さえることも、掴まえることもできない。ただ一人を除いて。ブロリーだけはカナヲを相手に瞬殺させていた。

 

ブロリー「フハハハ!!」ガシッ

 

カナヲ「!!」

 

また、反射訓練では

 

ブロリー「デヤァッ!!」バッ

 

カナヲ「!!」

 

そんなブロリーの姿を見て、かまぼこ隊の三人は更に落ち込んでいた。

 

伊之助「紋逸が来ても結局俺たちはずぶ濡れで一日を終えたな。しかも俺たちが勝てないあの雌相手にブロッコリーは瞬殺するしな。」

 

善逸「改名しようかな、もう紋逸にさ・・ブロリーさんは普段はとても心強い味方だけどこの場ではひしひしと実力差を見せつけられるだけだな・・」

 

炭治郎「ブロリーさんはともかく、同じときに隊員になったはずなのにこの差はどういうことなんだろう?」

 

善逸「俺に聞いて何か答えが出ると思っているならお前は愚かだぜ。」

 

その日から五日間、三人はカナヲに挑み続けたが、負け続ける日々が続いた。負け馴れていない伊之助は、ふて腐れてへそを曲げる。

 

伊之助「・・フン!」

 

炭治郎「伊之助・・」

 

善逸も早々と諦めムードに入った。

 

善逸「俺にしてはよくやった。遊びに出掛けよう。」うむ

 

善逸と伊之助は訓練場に来なくなり、ブロリーは鍛練という項目で参加しているため、実質リハビリしているのは炭治郎ただ一人になった。

 

アオイ「あなただけ!?信じられないあの人たち!!」

 

炭治郎「すみません。明日は連れてきます・・すみません。」

 

アオイ「いいえ!あの二人にはもう構う必要はありません。あなたも来たくないなら来なくていいですからね。」

 

アオイの突き放しに炭治郎はしょんぼりとしていたが、二人の分まで俺が頑張って勝ち方を教えようと気持ちを切り換えた。しかし、その日もいつもの如く惨敗。炭治郎が勝てないまま、カナヲは続けざまにブロリーと対戦することに、カナヲが負ける姿を見た炭治郎はあることに気がついた。

 

炭治郎(うーん。なんとなくブロリーさんがこの屋敷に来るときよりも強くなっているような気がする。普通の姿なのにまるでスーパーサイヤ人になっているとき並の強さだ。短期間でここまでの変わりようには、絶対に何か秘密があるはず!よし、ブロリーさんの事を徹底的に観察しよう!)

 

その日、炭治郎は機能回復訓練だけでなく、そのあとの自由時間ですらブロリーから視線を外すことなく観察し続けた。数時間後、観察し続けた成果もあり、ついに炭治郎は発見した。

 

ブロリー「・・・・」シイイイイ

 

炭治郎「!!」(あれは全集中の呼吸!?そうか、ブロリーさんは全集中の呼吸をずっとやり続けることで、あの脅威的な反射速度を出すことが出来るんだ!それはおそらくあの子にも出来ている。よし、そうと分かれば俺もやってみよう!)ダッ

 

ブロリー「・・・・」(炭治郎、どうやら気づいたようだな。)

 

こうしてブロリーの変化の秘密を解いた炭治郎は、長時間全集中の呼吸をやろうとするが

 

炭治郎(全っ然できないできなーい!!全集中の呼吸を長くやろうとすると死にそうになるよ。苦しすぎる、肺痛い耳痛い、耳がドクンドクンしてる鼓膜・・)ハァハァハァ

 

簡単に習得できるはずもなく、今までに感じたことのない苦しみに襲われていた。そのとき炭治郎は耳から心臓が飛び出たような感覚に見舞われ、自分の両手を見て何も出てないことに安堵した。

 

炭治郎「ふがいなし!」(呼吸は肺だ、ちゃんとできてないっていうことは肺が貧弱なんだ。もっと早起きして走り込む、そして息止め訓練。頑張れ!!頑張ることしかできないんだから、俺は昔から。努力は日々の積み重ねだ。少しずつでいい、前に進め!!)

 

炭治郎「ハイ!!」

 

炭治郎の様子を影から見ていた者がいた。なほ、すみ、きよの三人である。常に頑張り続けている炭治郎に、差し入れを持っていこうと話し合っていた。

 

なほ「炭治郎さん毎日頑張ってるね。」

きよ「うん。」

すみ「おにぎり持っていってあげようよ。」

きよ「そうだね、あと瓢箪も。」

 

炭治郎に差し入れを渡すと、屈託のない純粋な笑顔でお礼を言われて、三人は嬉しそうに笑みを浮かべていた。そして瓢箪について説明をしていた。

 

炭治郎「瓢箪を吹く?」もしゃもしゃ

 

きよ「そうです。カナヲさんに稽古をつけるとき、しのぶ様はよく瓢箪を吹かせていました。」

 

炭治郎「へぇー。面白い訓練だねぇ。音が鳴ったりするのかな?」

 

きよ「いいえ。吹いて瓢箪を破裂させてました。」

 

炭治郎「へぇー・・破裂!?えっこれを?この硬いの?」

 

きよ「はい。しかもこの瓢箪は特殊ですから通常の瓢箪よりも硬いです。」

 

炭治郎(そんな硬いのをあの華奢な女の子が!?)

 

きよ「だんだんと瓢箪を大きくしていくみたいです。今カナヲさんが破裂させているのはこの瓢箪です。」でーん

 

きよが見せた瓢箪は、きよが正座をして同じ程の大きさの瓢箪であった。さらに

 

きよ「ちなみにブロリーさんが破裂させているのはこの瓢箪です。」ででーん

 

もうひとつ見せた瓢箪は、きよが立ちあがって同じ程の大きさの瓢箪であった。彼女一人だけでは運べなかったので、三人で同時に運んできたのだ。

 

炭治郎(でっか!!頑張ろ!!)

 

この衝撃の事実を伝えられた炭治郎は、少しでもカナヲとブロリーに追い付くために、気持ちを入れ直して頑張ろうと決意するのであった。その十五日後、蝶屋敷の屋根の上にはブロリーと炭治郎が並んで全集中常中をしていた。

 

ブロリー「・・・・」シイイイイ

炭治郎「・・・・」ヒュウウウ

 

ブロリー(この屋敷にきて全集中常中ができるようになってからカナヲやしのぶよりもさらに強くなったと思うが、まだこのままではカカロットには勝てない。奴を超えるためにはもっと強くならなければ、そして炭治郎と禰豆子に恩を返すんだ。)

 

炭治郎(よし、かなり体力が戻ってきた。そして以前よりも走れるし肺も強くなって来たぞ、いい感じだ。昼間は走り回って速い動きで肺を酷使してるから今はゆっくり、瞑想は集中力が上がるんだ。鱗滝さんも言ってた。・・すみません鋼鐵塚さんすごい怒ってるだろうな・・)

 

しのぶ「もしもし。もしもし。もしもし。」

 

炭治郎「ハイッ!?」

ブロリー「へぁっ!?」

 

しのぶ「ふふ、ブロリーさん。また驚かせてしまいましたか?頑張ってますね。お友達二人はどこかへ行ってしまったのに、二人きりで寂しくないですか?」ちょこん

 

声がした方向を見ると、しのぶが炭治郎の隣にちょこんと座って笑顔を浮かべていた。

 

ブロリー「しのぶ。」

 

炭治郎「いえ!できるようになったらやり方を教えてあげられるので!」

 

しのぶ「・・君は心が綺麗ですね。」

 

炭治郎「・・あの、どうして俺たちをここへ連れて来てくれたんですか?」

 

しのぶ「禰豆子さんの存在は公認となりましたし、君たちは怪我もひどかったですしね。それから・・君達には私の夢を託そうと思って。」

 

炭治郎・ブロリー「「夢?」」

 

しのぶ「そう、鬼と仲良くする夢です。きっと君達ならできます。」

 

炭治郎「怒ってますか?」

 

しのぶ「!!」

 

炭治郎「なんだかいつも怒ってる匂いがしていて、ずっと笑顔だけど・・」

 

しのぶ「・・そうですね。私はいつも怒っているかもしれない。鬼に最愛の姉を惨殺された時から、鬼に大切な人を奪われた人々の涙を見る度に、絶望の叫びを聞く度に、私の中には怒りが蓄積され続け膨らんでいく。体の一番深いところにどうしようもない嫌悪感がある。他の柱もきっと似たようなものです。」

 

ブロリー(俺に打ち明けたときと全く同じ説明だ。だが俺のときとは違ってこれは本心だな。)

 

しのぶ「まぁ今回彼らも、禰豆子さんを見て直接気配を覚えたでしょうし、お館様の意向もあり誰も手出しすることはないと思いますが・・私の姉も君のように優しい人だった。鬼に同情していた。自分が死ぬ間際ですら鬼を哀れんでいました。私はそんなふうに思えなかった。人を殺しておいて可哀想?そんな馬鹿な話はないです。でもそれが姉の思いだったのなら私が継がなければ、鬼を斬らなくてすむ方法があるなら考え続けなければ、姉が好きだといってくれた笑顔を絶やすことなく。だけど少し・・疲れまして。」

 

ブロリー(炭治郎のように優しすぎるのがしのぶの姉なのか?)

炭治郎「・・・・」

 

しのぶ「鬼は嘘ばかり言う、自分の保身の為。理性もなくし、剥き出しの本能のまま人を殺す。炭治郎君、そしてブロリーさん。頑張ってくださいね。どうか禰豆子さんを守り抜いてね。自分の代わりに頑張ってくれていると思うと、私は安心する。気持ちが楽になる。」

 

しのぶは二人に伝えるとしたに降りていった。しのぶの言葉を聞いた二人はそれぞれ違う反応をした。

 

炭治郎「・・頑張ります。」

ブロリー「・・考えておこう。」

 

炭治郎「ブロリーさん、しのぶさんの夢を継がないんですか?」

 

ブロリー「・・なんとなくあのまま引き継ぐことに嫌な予感がしたからな。とりあえず考えておく。」

 

翌日、朝早起きした炭治郎は、三本の布団叩きを持ってなほ、すみ、きよの三人にお願い事をしていた。

 

炭治郎「なほちゃんきよちゃんすみちゃん、俺の修行の手伝いをしてほしい。俺が寝てる間全集中の呼吸をやめたら布団叩きでぶん殴ってくれないか?」

 

なほ・きよ・すみ「「「いいですよ!」」」

 

炭治郎「アリガトウ。」ペコ

 

その日から炭治郎は、寝てる間に全集中の呼吸をやめる度に三人から殴られる事を繰り返し、十日後にようやく無意識でも全集中常中ができるようになった。そしてカナヲが破裂させている瓢箪よりも一回り小さいものを破裂させようとしていた。

 

炭治郎「ヒュウウウ・・ブォ!」

 

なほ・すみ・きよ「「「頑張れ!!」」

 

ミシミシミシミシバン!

 

炭治郎「割れたー!!」

 

きよ「キャーッ!!」

すみ・なほ「「わーっ!」」

 

遂に炭治郎は大きい瓢箪を破裂させることに成功したのだ、そしてその勢いそのままに挑んだ全身訓練で、しっかりとカナヲのあとを追えていた。

 

炭治郎(追えてる!!ちゃんとあの子を追えてる!!ついて行けてる!!まだかなり気合を入れないとまだ一日中全集中の呼吸はできないけど、全集中の呼吸を長くできるようになればなるほど基礎体力が上がるんだ。俺の体は変わった!!早く刀を振りたいこの手で日輪刀を!!)ガシッ

 

カナヲ「!!」

 

全身訓練でカナヲに勝つことに成功し、反射訓練でも炭治郎の快進撃は続いた。カナヲの動きについていき、僅差で炭治郎が湯飲みを抜き取るものの、理性が臭い薬湯をかけたら可哀想と呼び掛け頭の上に湯飲みを置いた。

 

きよ「勝ったー!!」

 

すみ「勝ったのかな?」

 

きよ「かけるのも置くのも同じだよ!」

 

全ての訓練でカナヲに勝った炭治郎はなほ、すみ、きよの三人とはしゃぎながら喜んだ。そしてその様子を陰からこっそりと見る者の姿があった。

 

善逸・伊之助((やばい))

 

善逸と伊之助である。二人がサボってる中、炭治郎だけが毎日欠かさずに努力を重ねてカナヲに勝つ姿を見て置いていかれた事を実感していたのだ。次の日から、二人も訓練に再び参加し始めたが、善逸も伊之助も炭治郎に置いていかれた焦りのせいでうまく覚えられないと思っていた。

 

炭治郎「呼吸をこうフン、フンってやって肺を大きくするんだ。」

 

善逸・伊之助「・・・・」ブンブン

 

しかし、うまく覚えられない原因だけは別であり、炭治郎は人に教えるのが爆裂に下手だったのだ。それを見かねたしのぶは炭治郎に変わって説明を始めた。

 

しのぶ「炭治郎君が会得したのは全集中・常中という技です。全集中の呼吸を四六時中やり続けることにより、基礎体力が飛躍的に上がります。これはまぁ基本というか初歩的な技術なのでできて当然ですけれども、会得するには相当な努力が必要ですよね。もちろん、ブロリーさんもすでに会得済みですよ。」

 

しのぶは笑顔で伊之助の肩をポムポムと叩いて、励ましという名の煽りを入れた。

 

しのぶ「まぁできて当然ですけれども、仕方ないです。できないなら、しょうがないしょうがない。」ポム

 

ビキッビキビキッブチッ

 

伊之助「はあ゛ーん!?できてやるっつーの当然に!!舐めんじゃねぇよ乳もぎ取るぞコラ!!」

 

善逸には彼の手を自身の両手で包み込み、笑顔で応援していることを伝えた。

 

しのぶ「頑張ってください善逸君。一番応援してますよ。」

 

善逸「ハイッ!!」

 

伊之助も善逸も大奮起し、きつい鍛練にも積極的に取り組むようになった。そしてその九日後

 

伊之助「やってやったぞゴラ゛ァ!!」

 

善逸「俺は誰よりも応援された男!!」

 

伊之助も善逸も全集中常中を取得した。しのぶは炭治郎とは対称的に人に教えるのが非常に上手かったのだ。それにいい知らせはそれだけではなかった。

 

炭治郎「伊之助!!ブロリーさん!!もうすぐ打ち直してもらった日輪刀がくるって!」

 

伊之助「ほんとか!?」

 

炭治郎「うん今カラスに聞いた!!」

 

ブロリー「そうですかぁ。」

 

伊之助「ヤッフー!!」

 

炭治郎「急げ急げ!」

 

日輪刀が届く。それは鬼殺隊の隊員にとって体の負傷した部分が完治するのと同等の意味をもつ。そして再び任務に行ける為、二人は喜んでいるのだ。ブロリーの日輪刀は別に折れていないが、一応メンテナンスということで預けていたのだ。そして外に出ると、鋼鐵塚ともう一人鉄穴森という人物が蝶屋敷に向かってきているのが見えた。

 

炭治郎「鋼鐵塚さーん!おーい!ご無沙汰してまーす!元気でしたか!!・・!?」

 

鋼鐵塚は炭治郎の姿を確認すると、凄い勢いで走って向かってきたのだ・・両手に包丁を持ちながら。そして凄い殺気を感じた炭治郎は反射的に避ける。鋼鐵塚の包丁は空を切った。

 

炭治郎「ギャアア・・鋼鐵塚さん!?」

 

鋼鐵塚「よくも折ったな、俺の刀を・・!よくもよくもぉぉ!!」

 

炭治郎「すみません!!でも本当にあの・・俺も本当に死にそうだったし、相手も凄く強くって・・」

 

鋼鐵塚「違うな!関係あるもんか!お前が悪い!!全部お前のせい!お前が貧弱だから刀が折れたんだ!そうじゃなきゃ俺の刀が折れるもんか!!殺してやるー!!」

 

鋼鐵塚は包丁を振り回しながら炭治郎を追いかけ始めたが、その肩をブロリーが掴んだ。それを払うように鋼鐵塚は振り返る。

 

ブロリー「俺の日輪刀はどこだ?」

 

鋼鐵塚「お前はブロリーか。お前しっかり日輪刀を手入れしてないだろ!!所々錆ついてたぞ!さては一度も使ってないなお前!使わなくても刀が錆びるなんてありえねんだよ!今後はしっかりと手入れしろ!!」

 

ブロリー「済まなかった。善処する。」

 

炭治郎「すみませんブロリーさん。助かりました。」

 

鋼鐵塚「俺はお前を許してねぇよ炭治郎!!次はねぇからな!!」

 

ブロリーに八つ当たりの如くブロリーに怒鳴り散らし、少しスッキリしたのかその後炭治郎を追い回すことはなかった。蝶屋敷の客室に入ると、鉄穴森が口を開いた。

 

鉄穴森「まぁ鋼鐵塚さんは情熱的な人ですからね。人一倍刀を愛していらっしゃる。あ、私は鉄穴森と申します。伊之助殿の刀を打たせていただきました。戦いのお役に立てれば幸いです。」

 

伊之助「・・・・」ズズ

 

伊之助が刀を握ると、藍鼠色に変わった。刃こぼれが直り、とても美しい形をしていた。

 

鉄穴森「ああ綺麗ですね。藍鼠色が鈍く光る。渋い色だ。刀らしい良い色だ。」

 

炭治郎「よかったな、伊之助の刀はとても刃こぼれが酷かったから・・」

 

鉄穴森と炭治郎が話している間、鋼鐵塚はずっと炭治郎を殴っていた。そして伊之助は何を思ったのか、刀を持ったまま庭に出て石を探索し始めた。

 

鉄穴森「?伊之助殿?」

 

ぺっぺっスッ

 

伊之助「おらぁ!!」ガチーンガチーン!!

 

炭治郎・ブロリー「!!」

 

なんと伊之助はせっかく新品になった日輪刀を態と刃こぼれさせたのだ。これには普段は温厚な性格の鉄穴森も怒りの頂点に達していて飛びかからんとしていた。

 

伊之助「よし!」ボロボロ

 

鉄穴森「ぶっ殺してやるこのくそ餓鬼!!」

 

炭治郎「わーっ!!すみませんすみません!!」

 

その一方、一人病床にいる善逸は禰豆子の入った箱に寄り添って話しかけていた。

 

善逸「それでさぁ、走り込むのがほんとにしんどくってさぁ。水の中での息止め訓練では、伊之助が蛸みたいな動きしてるから吹き出しちゃって。でもさぁできなかったことできるようになるの嬉しいよね。炭治郎は俺をずっと励ましてくれたよ。いいお兄ちゃんだねぇ禰豆子ちゃん。」

 

カリカリ

 

箱を引っ掻くような音がして禰豆子が善逸の声に反応していた。

 

善逸「あっそうだ!今日の夜はこのお花が咲いてた所に連れていくよ~。」

 

そして、普段は怒らない鉄穴森がキレているところを見て、炭治郎への怒りが完全にどこかへ吹き飛んでしまった鋼鐵塚は、行き来たときとは真逆で、励ます立場になりながら帰っていったのだった。




蝶屋敷の休息マジで長い。やっと原作の六巻が終わりそうです。これからも頑張ります。それではまた次回。

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