伝説の超鬼殺隊員   作:ツキリョー

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第十六話です。ブロリー達が再び出てきます。こんな小説ですが最後まで読んでくれたら嬉しいです。


全○百線鉄道の旅!今回は無限列車の旅!

ここは蝶屋敷、炭治郎達は大分怪我が治り、しのぶに聴診器を当てられて定期検診をしていた。そして、任務に支障が出ないと判断され、長い機能回復訓練の期間が終わり、次の任務に向けて準備をしていた。

 

しのぶ「体の方はもう完全に治りましたね異常なしです。すみません。お見送りはできませんが、これからも頑張ってくださいね。」

 

炭治郎「はい!ありがとうございます!最後に一つ聞きたいことがあって・・」

しのぶ「何でしょう?」

 

炭治郎「ヒノカミ神楽って聞いたことありますか?」

 

しのぶ「ありません。」

 

炭治郎「!?えっあっじゃあ火の呼吸とか・・」

 

しのぶ「ありません。」キッパリ

 

柱に聞けばヒノカミ神楽のことが全集中の呼吸とどのような繋がりがあるか解るものだと思っていた炭治郎は、しのぶのキッパリとした答えに戸惑いを隠せず、最初から事情を説明することにした。そして、事の事情を理解したしのぶは顎に手を添えて考える仕草をする。

 

しのぶ「なるほど。なぜか竈門君のお父さんは火の呼吸を使っていた。火の呼吸の使い手に聞けば何かわかるかもしれないと、ふむふむ。『火の呼吸』はありませんが『炎の呼吸』はあります。」

 

炭治郎「??同じではないんですか?」

 

しのぶ「私も子細はわからなくて・・ごめんなさいね。ただその辺り呼び方についてが厳しいのですよ。『炎の呼吸』を『火の呼吸』と呼んではならない。詳しいことは炎柱の煉獄さんに訪ねてみるといいかもしれません。」

 

診察室から出ると、そこでブロリーが壁に寄りかかりながら

炭治郎のことを待っていた。

 

炭治郎「ブロリーさん!お待たせしました!」

 

ブロリー「体はなんと言われたんだ?」

 

炭治郎「もう任務に戻っても大丈夫みたいです。完治したと言われました!」

 

ブロリー「そうですかぁ。よかったです。」

 

炭治郎とブロリーは任務に行く前にお世話になった蝶屋敷の人たちに挨拶するために、まずは庭で洗濯物を取り込んでいるアオイの元へ向かった。

 

アオイ「そうですか!もう行かれる。短い間でしたが、同じ刻を共有できて良かったです。頑張ってください。お気をつけて!」テキパキ

 

炭治郎「忙しい中俺たちの面倒みてくれて本当にありがとう。おかげでまた戦いに行けるよ。」

 

アオイ「・・あなたたちに比べたら私なんて大したことはないのでお礼など結構です。選別でも運良く生き残っただけ、その後は鬼が恐ろしくて戦いに行けなかった。ただ家事をすることしか取り柄がない腰抜けなので。」

 

ブロリー「・・ムシケラを倒しに行くことだけが戦うことではない。」

アオイ「え?」

 

ブロリー「お前は鬼殺隊の奴らの怪我や病気を治すことができている。これは他の奴らではできないことだ。それに薬や美味い飯も出してくれる。お前がいるから他の奴らは支えられている。それは一緒に戦ってるのと同じことだ。」

 

アオイ「!」

 

炭治郎「ブロリーさんの言う通りだよ。俺を手助けしてくれたアオイさんはもう俺の一部だから。アオイさんの想いは俺が戦いの場に持っていくし。」

 

アオイ「!!」

 

炭治郎「また怪我したら頼むねーっ。」タッ

 

アオイとの挨拶を終えた二人は、次にカナヲのところへ来た。彼女は縁側に座っていた。

 

炭治郎「あっいたいた、カナヲ。俺たち出発するよ。色々ありがとう。」

 

カナヲ「・・・・」ニコニコ

 

炭治郎「君はすごいね。同期なのにもう"継子"で、俺たちも頑張るから。」

 

カナヲ「・・・・」ニコニコ

 

炭治郎「えーっと・・・・」

 

カナヲ「・・・・」ニコニコ

スッ ピン パシッ

 

カナヲは笑顔で終始無言だったが、懐からコインを一枚取り出すと弾き、手の甲の上で止めた。出た目は裏である。それを見たカナヲは口を開いた。

 

カナヲ「師範の指示に従っただけなので、お礼を言われる筋合いはないから。さようなら。」ニッコリ

 

炭治郎(喋ってくれた!)

 

ブロリー(金で喋るかどうかを決めたのか?)

 

炭治郎「今投げたのは何?」

カナヲ「さようなら。」

 

炭治郎「それ何?」

カナヲ「さよなら。」

 

炭治郎「お金?表と裏って書いてあるね。何で投げたの?」

 

カナヲ「指示されてないことはこれを投げて決める。今あなたと話すか話さないか決めた。"話さない"が表"話す"が裏だった、裏が出たから話した。さようなら。」

 

炭治郎「何で自分で決めないの?カナヲはどうしたかった?」

 

カナヲ「どうでもいいの。全部どうでもいいから、自分で決められないの。」

ブロリー「おい。」

 

ブロリーが唐突にカナヲを呼び、カナヲはブロリーの方へ振り返った。

 

カナヲ「破壊柱様?」

 

ブロリー「お前はさっき自分で決められないと言ったな?だが俺から見ると自分の意思で決めているではないか。」

 

カナヲ「?決めてませんよ。もう全部どうでもいいからこれに頼ったんです。」

 

ブロリー「それなら聞くがな、お前は話さないを表、話すが裏と決めてそれを投げた。表と裏でどうするか判断したのはお前の意思ではないのか?」

 

カナヲ「!」

 

ブロリー「それだけじゃない。もう一つ聞くが、お前は鬼殺隊に入るときすらもどうでもいいからそれを投げて決めたのか?」

 

カナヲ「いいえ違います。私はカナエ姉さんとしのぶ姉さんに拾われたんです。私を助けてくれた師範を悲しませ、カナエ姉さんを殺し、アオイやなほ・すみ・きよの家族を奪った鬼が許せなかった。私はアオイみたいに家事もできない。だからせめて鬼殺隊に入って師範の役に立ちたかった。・・・・ハッ!」

 

そこまで自分の経緯を話したところでカナヲはハッとする。自分の意思で物を決めていることに気づいたのだ。そして答えを聞いたブロリーは口元に笑みを浮かべる。

 

ブロリー「やっと気づいたようだな。そうだ、お前はしっかりと目的をもって自分で決められている。お前はもう自分の意思で動くことができるはずだ。」

 

炭治郎「そうだぞカナヲ!この世にどうでもいいことなんてきっと無いと思うよ。カナヲは心の声が小さいんだろうな。うーん、指示に従うことも大切なことだけど。それ貸してくれる?」

 

カナヲ「え?あっ・・うん。」

 

炭治郎「ありがとう!よし!投げて決めよう!」

 

カナヲ「何を?」

 

炭治郎「カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くこと、表!!表にしよう!表が出たらカナヲは心のままに生きる!」ピン

 

炭治郎はカナヲから借りた銅貨を弾いたが、強くやり過ぎたため、大きく空中に舞い上がってしまった。

 

炭治郎「わー飛ばしすぎた!わっあれ!?どこ行った!?」

 

パシッ

 

炭治郎は銅貨を見失うも、なんとか再度見つけて取った。

 

炭治郎「とれたとれた!カナヲ!!」

 

カナヲ(どっちだろう。落ちた瞬間が背中で見えなかった。)

 

炭治郎が手をどけると、そこには表が上向きになった銅貨があった。

 

炭治郎「表だーーっ!!カナヲ頑張れ!!人は心が原動力だから心はどこまでも強くなれる!!」

 

カナヲ「・・・・」

 

炭治郎「じゃ、またいつか!行きましょうブロリーさん!」

 

ブロリー「はい・・」

 

炭治郎は去ろうとしたが、姿が見えなくなる直前にカナヲが声をかけた。

 

カナヲ「なっなんで表を出せたの?」(投げる手元は見てた。小細工はしてなかったはず・・)

 

炭治郎「偶然だよ。それに裏が出ても、何度でも投げ続けようと思ってたから。」ニカー

 

カナヲは炭治郎の答えを聞くと、彼らの姿が見えなくなったのを確認し、銅貨を握っている手を自身の胸に押し当てた。

 

カナヲ「!?!?」ハッ

 

そして自身の行動に驚いたカナヲは慌てて立ち上がろうとしたが、足がもつれて転んでしまった。屋敷の外では、なほ、すみ、きよの三人が、炭治郎達との別れを惜しんで号泣していた。炭治郎と善逸も泣いていたが、伊之助とブロリーは何故泣くのかがわからないでいた。

そして、蝶屋敷を後にした四人は、とある駅へとやって来ていた。公共の場にも関わらず、善逸の大声が駅舎に響いていた。

 

善逸「えーっ!!まだ指令来てなかったのかよ!!居て良かったじゃんしのぶさん家に!!」

 

炭治郎「いや・・治療終わったし一ヶ所に固まっているより・・」

 

善逸「あんな悲しい別れをしなくて良かっただろ!!」

 

炭治郎「いや・・指令が来たとき動きやすいように・・あと炎柱の・・」

 

善逸「バカバカバカァ!!」ボカボカ

 

善逸が一方的に炭治郎を罵っていると、なにかを見つけた伊之助が叫んだ。

 

伊之助「オイ!」

 

善逸「今忙しい!!」

 

伊之助「オイ!!オイッ!!」

 

善逸「何だようるさいな!」

 

伊之助「何だあの生き物はー!!」

 

伊之助が発見したのは、茶色の客車八両程を繋ぎ、先頭は黒い蒸気機関車が連結されている『無限列車』である。名前の通り、プレートに無限と書かれていた。汽車を見たことがない伊之助は盛大に勘違いをしていた。

 

伊之助「こいつはアレだぜ、この土地の主・・この土地を統べる者。この長さ、威圧感、間違いねぇ。今は眠ってるようだが油断するな!!まず俺が一番に攻めこむ!」

 

炭治郎「この土地の守り神かも知れないだろう?それから急に攻撃するのも良くない。」

 

善逸「いや汽車だよ知らねぇのかよ。」

 

ブロリー「炭治郎、これは乗り物だ。」

 

炭治郎「乗り物?乗り物って何ですか?」

 

ブロリー「人を乗せて遠くまで運ぶものだ。色々な種類があって楽に移動ができるんだ。」

 

炭治郎「へぇー。これは何て言う乗り物何ですか?」

 

善逸(良かった。ブロリーさんはちゃんとわかってくれてる。やっぱりブロリーさんがいると心強いな。)ホッ

 

ブロリー「これは二百人用のポッドだ。」

 

善逸「やっぱり全然わかってなーい!!ポッドでもボートでもねぇよ!!列車だよ!!この田舎者共が!!」

 

炭治郎「ん?列車?じゃあ鴉が言ってたのがこれか?」

善逸「鴉が?」

 

ブロリー「そうだ、鴉が言ってたんだ。無限列車とやらに乗れと。」

 

炭治郎やブロリーが話している中、伊之助は客車に頭突きをしていた。

 

伊之助「猪突猛進!!」ドーン!

 

善逸「やめろ恥ずかしい!!」

 

騒がしくしているうちに駅員が走ってきてしまい、四人は一時撤退を余儀無くされた。そして駅舎の裏へと逃げ込んだ四人は改めて鬼殺隊の認識をした。

 

善逸「政府公認の組織じゃないからな、俺たち鬼殺隊。堂々と刀持って歩けないんだよホントは。鬼がどうのこうの言ってもなかなか信じてもらえんし、混乱するだろ。」

 

炭治郎「一生懸命頑張ってるのに・・」

 

善逸「まぁ仕方ねぇよ。とりあえず刀は背中に隠そう。」

 

しかし伊之助とブロリーは服を着てないため、背中に隠そうとしても丸見えなのだ。そして背中に隠したつもりでドヤ顔を決めた伊之助に善逸は突っ込んだ。

 

善逸「丸見えだよ服着ろ馬鹿。」

 

炭治郎はメモを取り出し、任務の確認をしてそれを善逸達に説明する。

 

炭治郎「無限列車っていうのに乗れば煉獄さんと会えるはずなんだけど、すでに煉獄さんは乗り込んでるらしい。」

 

ブロリー「俺たちはそいつに会って共に任務とやらに向かうみたいだ。」

 

善逸「じゃあ切符買ってくるから静かにしてるんだぞ。」

 

炭治郎「わかった!ありがとう。」

 

そして善逸は無事に四人分の切符を買い、炭治郎達に渡すとホームから列車に乗り込んだ。伊之助ははじめて乗った列車に興奮を隠せずに騒いでいた。

 

伊之助「うおおおお!!腹の中だ!!主の腹の中だ!!戦いの始まりだ!!」

 

善逸「うるせーよ!柱だっけ?その煉獄さん。顔とかちゃんとわかるのか?」

 

炭治郎「うん、派手な髪の人だったし匂いも覚えているから。だいぶ近づいているよ。」

 

「うまい!」

 

炭治郎・善逸「!?」

ブロリー「へぁっ!?」

 

「うまい!うまい!うまい!」

 

大きな声がする方を見てみると、炎柱、煉獄杏寿郎が大量の駅弁を購入し、一口食べる度にうまいと連呼していた。

 

杏寿郎「うまい!うまい!うまい!」

 

善逸「あの人が炎柱?ただの食いしん坊じゃなくて?」

 

炭治郎「うん・・」

 

杏寿郎「うまい!」

 

炭治郎「あの・・すみません。」

 

杏寿郎「よもや!君は柱合裁判の時の溝口少年ではないか!」

 

炭治郎「!?俺は竈門ですよ!」

 

杏寿郎「そして君は新しく柱になったブロコリ青年ではないか!あのときの力は実に見事だった!我々鬼殺隊に大きな戦力が加わった!感謝したい!ブロコリ青年!」

 

炭治郎「彼はブロリーさんです!」

 

ブロリー「・・サイヤ人ですか?」

炭治郎「違いますよ!」

杏寿郎「うむ!俺もサイヤ人なら良かったが、残念なことに俺はただの人間だ!」ワハハ

 

杏寿郎が金髪だったこともあり、更に大食いのところを見たブロリーは彼をサイヤ人と勘違いをしていた。そして炭治郎達が話している横で、杏寿郎が出した大量の駅弁の入れ物を片付けるために、スチュワーデスがテキパキと働いていた。炭治郎は杏寿郎にヒノカミ神楽について聞いたが

 

杏寿郎「うむ!そういうことか!だが知らん!ヒノカミ神楽と言う言葉も初耳だ!君の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!!」

 

炭治郎「えっ!?ちょっともう少し・・」ギョギョ

 

杏寿郎「俺の継子になると良い!面倒を見てやろう!」

 

炭治郎「待ってください!そしてどこ見てるんですか!」

 

杏寿郎「炎の呼吸は歴史が古い!」

 

善逸(変な人だな。)

 

ブロリー(俺に刀をくれたあいつみたいにせっかちだな。)

 

その後の話し合いで、鬼殺隊の日輪刀の色と呼吸が関連していることが明らかになった。ヒノカミ神楽の情報は全くなかったものの、五つの基本の呼吸から他の呼吸が枝分かれしている情報を手に入れられたのはわずかながら収穫である。

 

杏寿郎「竈門少年!君の刀は何色だ!」

 

炭治郎「色は黒です。」

 

杏寿郎「黒刀か!それはきついな!」ワハハ

 

炭治郎「きついんですかね?」

 

杏寿郎「黒刀の剣士が柱になったのを見たことがない!さらにはどの系統を極めれば良いかもわからないと聞く!ブロリー青年!君の刀は何色だ!」

 

ブロリー「俺の刀は緑だ。」

 

杏寿郎「緑刀か!ならば君は風の呼吸を使っているのか!」

 

ブロリー「いや、破壊の呼吸だ。」

 

杏寿郎「破壊の呼吸!よもや!初めて聞く呼吸だ!型はどんなのがあるんだ!?」

 

ブロリー「柱合会議とやらで俺の力を見せたことがあるだろう?あれは気というものを使って攻撃する技だ。俺はその一撃一撃が強い。だから刀は普段使わない。」

 

話している間に発車時刻となり、汽笛の音が聞こえたと思うとゆっくりと車両が動き出した。

 

ガタンゴトン

 

善逸「おっ。」

伊之助「動き出した!」

 

杏寿郎「俺の所で鍛えてあげよう!もう安心だ!」

 

炭治郎(面倒見のいい人だな・・)

 

ブロリー(何に対しての安心なんだ?)

 

伊之助は初めての汽車に興奮して窓から身を乗りだしてはしゃいでいた。

 

ゴォオオオオオ

 

伊之助「うおおおお!!すげぇすげぇ速えええ!!」

 

善逸「危ない馬鹿この!!」

 

伊之助「俺外でて走るから!!どっちが速いか競争する!!」

 

善逸「馬鹿にも程があるだろ!!」

 

蒸気機関車と競争すると無謀なことを言い出した伊之助を咎める善逸、そこに杏寿郎が警告してきた。

 

杏寿郎「危険だぞ!いつ鬼が出てくるかわからないんだ!」

 

善逸「え?」ギギギ・・

 

その言葉に反応した善逸は、顔を真っ青にしながら壊れたゼンマイ人形のように首をギギギと動かして杏寿郎を見た。そして列車内での礼儀正しさはどこへやら、いつものように騒がしい善逸に戻っていた。

 

善逸「嘘でしょ!?鬼出るんですかこの汽車!!」

杏寿郎「出る!」キリッ

 

善逸「出んのかい嫌ァーーッ!!鬼の所に移動してるんじゃなくここに出るの嫌ァーーッ!!俺降りる!」

 

杏寿郎「短期間のうちにこの汽車で四十人以上の人が行方不明となっている!数名の剣士を送り込んだが全員消息を絶った!それブロリー青年!君は柱になりたてだ!柱の仕事はどういったものかわからないだろう!だから柱である俺との合同任務となったのだ!改めて俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ!よろしく頼むぞ!ブロリー青年!」

 

ブロリー「俺は破壊柱のブロリーだ。今日は世話になるぞ、杏寿郎。」

 

善逸「はァーッ!!なるほどね!!降ります!!」

 

善逸が騒いでいるうちに、扉の奥から車掌が切符を切るためにやって来た。列車に初めて乗った炭治郎は、その行動がわからず、質問する。

 

車掌「切符・・拝見・・致します・・」

 

炭治郎「何ですか?」

 

杏寿郎「車掌さんが切符を確認して切り込みを入れてくれるんだ!」

 

このとき、炭治郎とブロリーだけが切符から漂ってくる異臭と気配に気づいた。

 

炭治郎(んっ?何だろう?嫌な匂いがする・・!!)

 

ブロリー(なんだぁ?切符とやらから変な気を感じる。一体なんなんだ?)

 

車掌「拝見しました・・・・」

 

そして去ろうとしたとき、杏寿郎が刀を持って立ち上がった。その視線の先には異形の鬼がいたのだ。

 

杏寿郎「車掌さん!危険だから下がっててくれ!火急のこと故帯刀は不問にしていただきたい!その巨躯を!!隠していたのは血鬼術か!気配もわかりづらかった。しかし!罪なき人に牙を剥こうものならば、この煉獄の赫き炎刀がお前を骨まで焼き尽くす!!」

 

他の乗客が悲鳴をあげているなか、杏寿郎は目にも止まらぬ速さで斬りかかる。

 

杏寿郎「炎の呼吸!壱の型!不知火!」ダン!ズバッ!

 

杏寿郎は一瞬で鬼の頚を跳ね、その剣捌きに憧れた炭治郎達が弟子入りを懇願した。

 

炭治郎「すげえや兄貴!!見事な剣術だぜ!おいらを弟子にしてくだせぇ!!」

 

杏寿郎「いいとも!!立派な剣士にしてやろう!」

 

善逸「おいらも!!」

伊之助「おいどんも!!」

 

杏寿郎「みんなまとめて面倒見てやる!!」

 

そしてかまぼこ隊は杏寿郎を祭っていた。しかし、その中に禰豆子とブロリーの姿だけはなかった。これは夢の中での話だったのだ。

そんな夢を見ながら深い眠りについている炭治郎達をよそに、ブロリーは窓の外の景色を見ていた。しばらく物思いに耽っていると、気になる会話が聞こえてきた。

 

車掌「言われた通り切符を切って眠らせました・・どうか早く私も眠らせてください・・死んだ妻と娘に会わせてください・・お願いします・・お願いします・・」

 

車掌が土下座をする先には"手だけの姿になった"下弦の壱、魘夢がいた。

 

魘夢「いいとも、よくやってくれたね。お眠り、家族に会えるいい夢を。」

 

魘夢のその声を聞くと、車掌は糸が切れたようにその場に倒れ眠り始めた。

 

「「あの・・私達は・・」」

 

そこには男女合わせて六人ほどの子供達が魘夢の指示を待っていた。魘夢は注意事項を話す。

 

魘夢「もう少ししたら眠りが深くなる、それまでここで待ってて。勘のいい鬼狩りは殺気や鬼の気配で目を覚ますときがある。近づいて縄を繋ぐ時も体に触らないよう気をつけること。俺はしばらく先頭車両から動けない、準備が整うまで頑張ってね。幸せな夢を見るために。」

 

「「はい・・」」

 

その光景を横目だけで見ていたブロリーは、このままの姿勢でいる判断をした。

 

ブロリー(こいつら・・どうやら操られてるわけではないようだ。夢を見るためにやっているのか?それにあの手だけのキモいやつはムシケラの体の一部のようだ。この二百人用のポッドには炭治郎達もいる。悟られると面倒になるな。ここはこのままの向きでいよう。)

 

その頃善逸は禰豆子と二人きりで桃園を走り回ってる夢を見ており、列車内にいる現実でもデレデレの顔になっていた。伊之助は狸になった炭治郎、鼠になった善逸、兎になった禰豆子と共に洞窟内にいる主を倒すための探検に出掛けている夢を見ていた。杏寿郎は父親に柱になったことを報告したが、父には下らないと一蹴されてしまった。その後に剣士になれなかった弟の千寿郎を励ましている夢を見た。そして炭治郎は実家のある雲取山におり、そこには死んだはずの禰豆子を除いた兄弟がいて炭治郎は思わず抱きついて泣いていた。列車内にいる現実でも涙を流していた。ブロリーはそもそも寝てないのでずっと窓の外の景色を見ていた。そこに魘夢に指示された六人の子供達が縄で腕を繋ごうとしていた。

 

「縄で繋ぐのは腕ですか?」

 

「そう、注意されたことを忘れないで。」

 

最終確認をして慎重に鬼殺隊の腕を縄で繋ぐ子供達、しかし彼らは知らない。ブロリーが寝てすらいないことを。そしてブロリーの腕を繋いだとき

 

バッ!

 

ブロリーは勢いよく自身の腕を繋いだ女の子に振り返った。当然女の子は困惑を隠しきれない。

 

「あっあんた・・なんで起きて・・なんで寝てないのよ!」

 

ブロリー「何しているんだぁ?この俺が切符とやらに仕掛けた術程度で眠るとでも思っていたのか?」

 

「・・じゃ・・邪魔しないでよ!」ブン!

 

ブロリー「!!」ヒョイ

 

ブロリーが眠ってないことを激昂した女の子は、手に持っていたアイスピックのようなもので刺そうとするが、ブロリーは楽々それを回避する。そして

 

ブロリー「チッ!」ドカッ

 

「!!ガハッ・・」

 

ブロリーは女の子を床に叩きつけて気絶させた。そしてそれと同時に列車の揺れで禰豆子が箱から放り出された。

 

禰豆子「ん!!」ドテッ

 

禰豆子は周囲を見回すと全員が深い眠りに入っており、善逸達の腕が縄で縛られていることに頭にクエスチョンマーク『?』を浮かべた。そして兄の炭治郎を見つけると頭を撫でて貰おうと市松模様の羽織をグイグイと引っ張るが

 

禰豆子「ムム。」グイグイ

 

炭治郎「起きないと・・夢だ・・起きないと・・」

 

炭治郎は魘されているばかりで一向に目覚めようとしない。その事に顔をしかめた禰豆子は炭治郎に頭突きをするが

 

禰豆子「ムーッ!」ごちん

 

炭治郎「うーん・・うーん・・」

 

禰豆子「ム・・うう・・」ぽろぽろ

 

炭治郎の頭は野生の猪を気絶させられるほど硬く、逆に自分の額を傷つけて血を流す結果になってしまい、禰豆子は痛さのあまり涙を流して泣き出した。それならばと最終手段として炭治郎に血鬼術を使って燃やした。

 

禰豆子「ムムーッ!」ボッ ゴウ

 

しかし、炭治郎は目覚めない。禰豆子は諦めたのか再び周囲を見回すと、ブロリーが起きていることに気づいてそっちへ向かった。

 

禰豆子「ムー♪」トテテテ

 

ブロリー「んん?禰豆子?お前は寝てないんだな。」

 

ブロリーの姿を見つけただけで満面の笑みを浮かべて甘え出す程の喜びようである。禰豆子が頭を差し出してくるのを見て、ブロリーはその欲求を察する。

 

ブロリー「撫でてほしいのか?」ナデナデ

 

禰豆子「ムー♪うー♪」

 

禰豆子は気持ちいいのか目をトロンとさせていた。しばらく撫で続けると、ブロリーは本題を切り出した。

 

ブロリー「禰豆子。ここには鬼がいる。炭治郎達が起きない理由は手を縛っている縄だと俺は思っている。だが何となくこれを無理矢理引きちぎってはいけない気がするんだ。だから禰豆子の術で縄を焼ききってくれるか?」

 

禰豆子「ムーッ」コクン

 

禰豆子はわかったと言うように頷くと、炭治郎達の腕を縛っていた縄を全て焼き切り始める。それを見たブロリーは頷くと、列車の天井を突き破った。

 

ブロリー「禰豆子、頼んだぞ。俺は前の方にいるムシケラを潰しに行く。デヤァッ!」バキン ガラガラ

 

列車の屋根の上までやって来ると、先頭車両に向かって低空飛行をする。魘夢の姿が見えるとブロリーは対峙する。

 

魘夢「あれぇ?眠ってないじゃないか。まだ俺は融合すら終わってないと言うのに、あいつら全然役に立ってないじゃん・・罰としてあいつらにはいい夢を見せない。お前も寝てたらいい夢を見れたのに、術にすらかかってないなんて本当にイラつくよね。」

 

ブロリー「フン!俺があの程度の術にまんまとかかるとでも思っていたのか?」

 

魘夢「へぇ、俺の術が通用しない、こんな屈辱は初めてだよ。お前は一息では殺さないよ。悪夢でじっくりと痛ぶってから確実に殺してあげるよ。」

 

炭治郎達が買った切符にはすでに魘夢の術が仕込まれていた。車掌が切符を切ることで始めて術が発動する。魘夢はこれが一番気づかれにくい方法だと思っていた、夢だと気づくまでそこは現実なのだから。なのにブロリーにはその術は効かなかった、これは魘夢のプライドを傷つけるには十分すぎることだったのだ。

 

ブロリー「お前は何もわかってないようだな、特別に一ついいことを教えてやる。」

 

魘夢「いいこと?それは何だい?」

 

ブロリー「雑魚がどうあがこうが無駄なのだ!」

 

魘夢「!本当にイラつく奴だねお前は・・!あれぇ?」(金の首飾りをつけているな。運がいいなぁ。早速来たんだ、俺のところに。夢みたいだ。これでもっと無惨様の血を戴ける。そしてもっと強くなれたら、上弦の鬼に入れ替わりの血戦を申し込めるぞ。)

 

ブロリー「フハハハハ!!血祭りにあげてやる!」バッ

 

魘夢「血鬼術・強制昏倒催眠の囁き。お眠りぃぃ!」

 

ブロリー「!!」ガクッ

 

魘夢の左手にある口から声を聞いた瞬間、ブロリーは力なく俯いて眠ってしまった。

 

魘夢「なるほど、切符の術は弱すぎて効かなかっただけで直接の術は効くんだね。お前は特別にトラウマを植え付けられるほどの強力な悪夢を見せてやるよ。そして廃人になったところで頚をあの御方に差し出すとするか。」

 

――――――――――

 

魘夢がブロリーに見せた悪夢、それは

 

悟空「うえーん!!うえええん!!うえええん!!うえーん!!」

 

ブロリー「・・う・・ひっく・・ぐす・・」

 

ブロリー(現実)「は?」

 

赤子の姿の孫悟空が大泣きしており、その泣き声に驚かされて泣いている自身が赤子だった時の姿だった。間近でその光景を見ているブロリーは、すっとんきょうな声を出すことしかできなかった。

魘夢は知らない。この後何故無惨がブロリーに恐れるのか思い知らされることと、この夢を見せたことを心底後悔するはめになることを・・




何か久しぶりに禰豆子とブロリーのイチャイチャシーンを書いた気がする・・話も何か無理矢理切り上げた感じになっちゃった。これからも頑張ります。それではまた次回。
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