無限列車の任務から二ヶ月後、ブロリーの破壊屋敷が蝶屋敷のすぐ隣に完成し、本人を含めて初めて中の様子見ていた。屋敷の中を見るのはブロリー本人と炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助、義勇、杏寿郎、蜜璃、蝶屋敷の住人全員と産屋敷輝利哉と産屋敷かなたと大人数である。破壊屋敷の庭はとても広く、一周400mの陸上のトラックが5レーンあり、トラックの内側は炭治郎が"ヒノカミ神楽"を舞えるように周りに松明が置かれていた。更に破壊屋敷の内部は、ダンベルやウエイト、マシンなどが置かれていて鍛練に最も適した作りになっていた。内部を見たブロリーは満足そうに頷いた。
輝利哉「ブロリー様、屋敷の内部はこうなっております。要望にできるだけ添わせた形なのですがいかがでしょうか?」
ブロリー「いいなぁ、俺の要望通りの作りになっている。流石産屋敷と誉めてやりたいところだぁ!」
炭治郎「わぁ・・!!見たこと無いものが沢山ある・・!」
禰豆子「ムー!」
しのぶ「まぁ!これだけ沢山の機械があれば機能回復訓練よりも後のリハビリに使えそうですね。」
杏寿郎「うむ!いつでも自分を追い込める程の鍛練ができる環境が整っているな!素晴らしい作りだ!」
義勇「(いい屋敷だと俺は)思う。」
しのぶ「言葉が足りませんよ冨岡さん。そんなんだから皆に嫌われるんですよ。」
義勇「俺は嫌われてない。」
伊之助「うおおおぉぉぉ!!紋逸!あれは何て言うんだ!?」
善逸「紋逸じゃない善逸だ!あれはダンベルっていう鉄の塊だ。あとお前少し落ち着け!」
アオイ「伊之助さん!人の屋敷で騒がないでください!」
カナヲ「・・いい修行できる。」
それぞれが思いを口に出していたが、それでもブロリーの屋敷の評価は中々に高かったようだ。そして何を思ったのか炭治郎が唐突にブロリーの正面に立って真剣な表情になり
炭治郎「ブロリーさん。」
ブロリー「なんだぁ?」
炭治郎「俺を、竈門炭治郎を継子にしてください!」ドゲザー
ブロリー「へぁっ!?炭治郎!?いきなり何を言ってるんだ?」
なんと急に土下座をしたかと思えば、継子になることを懇願してきたのだ。突然のことにブロリーは思考が追い付かず、炭治郎が何を言っているのかわからなかった。
炭治郎「ブロリーさん!俺は貴方に憧れています!ブロリーさんは煉獄さんと共に下弦の壱から乗客二百人を守り抜き、柱として俺達に的確な指示を出し!上弦の参が相手でも圧倒するほどの強さ!もう非の打ち所がありません!俺はいつか貴方に少しでも近づけるように頑張って来ました!禰豆子を人間に戻せるようにと!だから、だからどうかお願いします!」
ブロリー「もういい。頭を上げろ炭治郎。」
ブロリーは炭治郎に顔を上げるように指示すると、炭治郎は恐る恐る顔を上げてブロリーと視線を合わせる。
ブロリー「お前の覚悟は確かに聞いた。炭治郎、俺はお前に感謝している。お前達に助けられてから俺はこの力を完全にコントロールできるようになったんだ。仲間の素晴らしさを教えてくれた、お前達には本当に感謝している。だから頼むのは俺の方だ。炭治郎、こんな俺だが、俺が師範になることをお前は認めてくれるか?」
炭治郎「!!はい!勿論です!俺の方こそ、弟子になるのを認めてくださいますか?」
ブロリー「聞くまでもない。この俺、"破壊柱ブロリーは竈門炭治郎を正式な継子として認めよう"。」
炭治郎は立ち上がると、師範と弟子という関係が生まれた証として固い握手を交わした。そしてその光景を見ていた他の人達は拍手喝采だった。
しのぶ「炭治郎君、継子の認定おめでとうございます!」
杏寿郎「よもや!竈門少年はブロリー青年の継子になってしまったか!俺の継子にならなかったことは残念だが、ブロリー青年なら竈門少年を良い剣士へと導けるだろう!将来が楽しみだ!」
蜜璃「炭治郎君おめでとう!ブロリーさんも自分の弟子を育てるなんて素敵!」キュン
義勇「炭治郎、お前は(俺に変わって正式に水柱になるべき人間)なのに・・」
しのぶ「言葉が足りませんよ冨岡さん。何を言ってるのかわからないです。」
義勇(心外だ!)
そしてこの日継子となった炭治郎とその師範であるブロリーは、ここにいる全員に破壊屋敷の完成を記念して料理を振る舞ったのだ。最も炭治郎は料理の火加減を主に務め、ブロリーは大量の料理が乗った皿を盆に移して運ぶ役目で料理そのものを作っていたのはアオイではあるが、それでも蝶屋敷とは違う場所で料理を作っていることに本人はとても楽しそうだった。
義勇やしのぶのように大好物から先に堪能するものもいれば、輝利哉やかなたのようにお上品に食べ始めるものもいた。
義勇「(鯖大根)うまい。」
炭治郎「よかったです口に合ったようで。料理は火加減です!」
しのぶ「生姜の佃煮美味しいです。」
アオイ「本当ですか!いつもとは違う厨房で料理を作るのも悪くないものですね。それに炭治郎さんと破壊柱様が手伝ってくれたお陰で大分早く作れました。」
伊之助「美味ええ!!」ガツガツ
善逸「箸を使えってば!」
義勇は大好物の鯖大根を口に入れて笑みを浮かべ、しのぶは大好物の生姜の佃煮を堪能していた。伊之助は相変わらず手掴みで料理を食べているためそれを善逸が咎めていた。だが、忘れてはいけない。今ここには大食いの三人衆がいることを。
蜜璃「ん~~!美味しい!!」
杏寿郎「うむ!美味い!!美味い!!わっしょい!!わっしょい!!」
杏寿郎と蜜璃は、鬼殺隊屈指の大食いであり、二人の目の前にある料理が次々と消えていき、白皿の山が築かれていくのだ。その光景に、炭治郎を始めとした二人のことを知らない人物は、驚きを隠せない。だが驚くことはこれだけではなかった。
ブロリー「美味いです。」
ブロリーの目の前にある料理も、次から次へと消えていき、白皿の山が築かれていった。そして彼が料理を食べるスピードは蜜璃や杏寿郎をも上回り、それに驚いた杏寿郎と蜜璃は一旦食事の手を止め、ブロリーに話しかけるのだった。
杏寿郎「よもや!ブロリー青年もなかなかの食欲をしているな!」
蜜璃「凄い!私以上に食べる人がいたなんて!」キュン
ブロリー「杏寿郎と蜜璃もいい食べっぷりではないか。流石と誉めてやりたい!」
蜜璃「えっと・・引いてる訳じゃないのですか?」
ブロリー「?何故引く必要がある?むしろここまで沢山食える仲間と出会えて俺が少し安心したくらいだ。それに沢山食えることはいいことだと俺は思っているぞ。」
杏寿郎「うむ!甘露寺!青年のいう通りだ!沢山食えるのはそれだけ体力があって元気な証だ!」
蜜璃「・・・・っ!」
杏寿郎とブロリーに称賛された蜜璃は、双眼から涙を流していた。それを見たブロリーは動揺し、思わず謝罪を口にしていた。
ブロリー「む、すまない。気に障った「違いますっ!」は?」
動揺したブロリーの謝罪を蜜璃は遮り、涙を流した本当の理由を口にした。
蜜璃「そんな事言われたの、師範以来で・・嬉しいのです!とても嬉しくて・・!」
ブロリー「師範?」
杏寿郎「そういえばブロリー青年には言ってなかったな!甘露寺は俺の継子だ!」
ブロリー「そうだったのか、なるほどな。」
蜜璃「・・うん、そうよね。・・ブロリーさんになら、別に話してもいいかな・・っ。」
蜜璃はナイフとフォークをテーブルに置くと自身の経緯について話し始める。ブロリーも食器をテーブルに置いて静かに聞き始める。
蜜璃「私は生まれつきの特異体質で他の一般女性よりも背が高いんです。そして成人男性の十倍近くの筋力と大食漢のせいで世間や他人から奇異の目で見られていたんです。髪の色も最初は黒だったんですけど、大好物の桜餅を食べすぎたせいでこんな色になってしまったの。これらのことが原因でお見合いでは化け物扱いされて破談になってしまったんです。その後は全てを偽るように生活していて人生に絶望していたの。でも鬼殺隊に出会えてありのままの自分で生きられるようになって救われたのです。」
蜜璃の経緯を聞いて、ブロリーは自分と経緯が似ていると思い、複雑そうな表情をしていた。
蜜璃「・・本当の鬼殺隊には鬼に大切な人を奪われて、人生を滅茶苦茶に壊された人が沢山いることは分かっているんです・・でも、私は鬼殺隊が存在していたおかげで今こうしてありのままの自分で生きられるんです。・・ごめんなさいっ。」
ブロリー「?何故謝る?鬼殺隊が存在しているおかげで蜜璃は今自分に正直に生きているんだろう?だったらそれでいいではないか。」
蜜璃「・・でも・・」
ブロリー「そんな事で蜜璃のことを悪く言う奴がいるなら、俺はそいつを血祭りにあげ尽くすだけだぁ!」
蜜璃「ありがとうございます・・嬉しいです・・でも血祭りはやめてあげてください、可哀想ですから。」
蜜璃は嬉しさを隠せず、泣きながらブロリーの言葉に苦笑する。その後は食事を終え、解散する流れになった。炭治郎と禰豆子、ブロリー以外が帰っていくのを見送った三人は、屋敷のなかに戻り、楽しく雑談をしていた。
炭治郎「ブロリーさん、驚きましたよ。あんなに沢山食べれたんですね!」
禰豆子「んー!」
ブロリー「サイヤ人は皆大食いだぞ。幻滅したか?」
炭治郎「はい?そんな訳ないじゃないですか。沢山食べられるってことはそれだけ体力があるって証拠だし、同時に元気な証です!むしろ尊敬します!!」
禰豆子「ムー!」キラキラ✨
ブロリー「そうですかぁ。」
ブロリーの継子になり、そのまま破壊屋敷で同棲することになった炭治郎と禰豆子は、夜の就寝の準備をした後、次の日に向けて疲れを取るために眠りにつくのだった。
――――
ブロリー、炭治郎、禰豆子が破壊屋敷に住むようになってから数日後、炎柱の杏寿郎が再び破壊屋敷を訪れていた。
杏寿郎「竈門少年!ブロリー青年!」
炭治郎・ブロリー「煉獄さん!/杏寿郎。」
杏寿郎「唐突ですまないが、今時間は空いてるか?」
炭治郎「どこかに行くんですか?」
杏寿郎「うむ!俺の生家である煉獄家に行こうかと思ってな。歴代の"炎柱"が残した手記があるはずだ。父はよくそれを読んでいたが・・俺は読まなかったから内容がわからない。君が言っていた"ヒノカミ神楽"について何か・・記されているかもしれない。だから真意を確かめようと思ってな。」
炭治郎「分かりました!今すぐ準備しますね!」
ブロリー「俺も行っていいのか?」
杏寿郎「うむ!青年にも来てもらえるとありがたい!」
ブロリー「わかった。」
炭治郎とブロリーは出かける準備を終えると、杏寿郎と共に煉獄家へと向かうのだった。そして煉獄家の前には、ほうきで掃き掃除をする杏寿郎にそっくりな人がいた。彼は煉獄千寿郎といい、杏寿郎の実の弟である。
杏寿郎「千寿郎!」
千寿郎「!兄上!おかえりなさい。左目は大丈夫ですか?」
杏寿郎「よもや!不甲斐ないことに失明してしまったのだ!だが俺は生きている!だから大丈夫だ!」
炭治郎「えっと・・彼は?」
杏寿郎「うむ!俺の弟、煉獄千寿郎だ!千寿郎!挨拶するんだ!」
杏寿郎に促されて千寿郎はブロリーと炭治郎に自己紹介をするのだった。
千寿郎「はじめまして、煉獄千寿郎です。」
炭治郎「俺は竈門炭治郎、よろしくね千寿郎君。」
ブロリー「ブロリーです。」
千寿郎「よろしくお願いします。兄上、本当に大丈夫ですか?」
杏寿郎「うむ!俺は生きているからな!大丈夫だ!」
?「やめろ!!何が大丈夫だ!!」
千寿郎・炭治郎「!!」
門から出てきたのは、体格の良い体に片手に酒瓶を持っている、杏寿郎と千寿郎の父親である、煉獄槇寿郎である。
槇寿郎「下らん!たいした才能もないのに剣士などなるからだ!だから失明するんだ!!下らない・・愚かな息子だ!!」
杏寿郎「むう・・かたじけない・・」
槇寿郎「だから言ったんだ!!俺もお前も大したものになれないと!人間の能力は生まれたときから決まってる。才能のあるものは極一部、あとは有象無象。なんの価値もない塵芥だ!!お前もそうだ、大した才能は無い。失明するのも当然だろう。」
槇寿郎のあまりにも酷い物言いに、炭治郎は全身の血管を浮かび上がらせて激怒した。
炭治郎「・・ちょっと!あまりにも酷い言い方だ!そんな風に言うのはやめてください!」
槇寿郎「何だお前は?出ていけ、うちの敷居を跨ぐな・・!!」
槇寿郎は、炭治郎が着けている花札のような耳飾りを目にして酒瓶を地面に落とした。バリンとガラスが割れる音が響き、酒瓶は粉々に飛び散った。
槇寿郎「・・お前・・そうかお前・・」
炭治郎「!?」
槇寿郎「"日の呼吸"の使い手だな!?そうだろう!!」
炭治郎「"日の呼吸"?何のことですか?」
杏寿郎(日の呼吸!?まさか途切れたとされるあの呼吸か!?)
炭治郎が聞き返すと同時に、槇寿郎は炭治郎に殴りかかるが、その前にブロリーが二人の間に割って入り、槇寿郎の腕を弾いた。
バシッ
ブロリー「炭治郎に手を出すな。」
槇寿郎「!!」
しかし、その時にブロリーが着けている金の首飾りが目に入り、槇寿郎は更に怒りで顔を歪ませる。
槇寿郎「!!貴様ァア!破壊の呼吸の使い手だな!そうだろう!!」
ブロリー「そうだが、それがどうした?」
ブロリーが煽るように答えると同時に、槇寿郎が今度はブロリーに向かって殴りかかるが、逆にブロリーに顔を掴まれると投げ飛ばされる。それを見て怒りが最高潮に達した炭治郎が大声で怒鳴る。
炭治郎「いい加減にしろ!この人でなし!さっきから一体何なんだあんたは!!もう治ることはない怪我を負った自分の子を侮辱して、ブロリーさんに殴りかかって、何がしたいんだ!」
槇寿郎「お前ら、俺たちのことを馬鹿にしているだろう。」
炭治郎「どうしてそうなるんだ!!何を言っているのかわからない!!言いがかりだ!!」
槇寿郎「お前が日の呼吸の使い手だからだ。その耳飾りを俺は知ってる、書いてあった!!」
炭治郎「!?」("日の呼吸"ってもしかしてヒノカミ神楽のことなのか?)
槇寿郎「そうだ"日の呼吸"は、あれは!!始まりの呼吸!一番初めに生まれた呼吸!最強の御技だった!そして全ての呼吸は"日の呼吸"の派生!全ての呼吸が"日の呼吸"の後追いに過ぎない!"日の呼吸"の猿真似をし劣化した呼吸だ!炎も水も風も全てが!!」
炭治郎を睨み付けて日の呼吸のことを語る槇寿郎だが、今度はブロリーを睨むと破壊の呼吸について言い始めた。
槇寿郎「だが、"破壊の呼吸"だけは違った!お前が使う"ブラスターシェル"を始めとした呼吸は、"日の呼吸"の派生なのにも関わらず"日の呼吸"よりも強いと来た!"破壊の呼吸"が最強の御技だ!その首飾りが目印だ!そう書いてあった!"破壊の呼吸"の使い手だからって、調子に乗るなよ!若造が!」
ブロリー「調子になんか乗ってない。杏寿郎の左目が二度と使えなくなったことを未だに引きずっているからだ。」
杏寿郎「ブロリー青年・・」
千寿郎「ブロリーさん・・」
槇寿郎とブロリーが再び緊迫した空気を作り出すが、二人の間に炭治郎が割って入る。
炭治郎「ブロリーさんがあんたに何をしたと言うんだ!いい加減にしろ!!」
槇寿郎「こ・・の・・"日の呼吸"の使い手だからといって!調子に乗るな小僧!」
炭治郎「乗れるわけ無いだろうが!!俺が今自分が弱いせいでブロリーさんに迷惑しかかけていないことにどれだけ打ちのめされてると思ってんだ!この糞爺!!」
炭治郎と槇寿郎は殴り合いになるが、最後は炭治郎の回転しながらの頭突きで、槇寿郎を気絶させたのだった。煉獄家へと上がったものの、炭治郎は怒りに任せてやってしまったと顔を真っ青にしていた。しかし、そんな炭治郎を気遣ってなのか、千寿郎が飲み物をだしてくれた。
炭治郎(やっ・・やってしまった・・)ズウウウン
千寿郎「お茶です。どうぞ・・」
炭治郎「ああ・・ありがとう。煉獄さんすみません本当に・・父親を頭突いてしまって・・大丈夫ですか?」
杏寿郎「いや、あれは全体的に父上が悪いだろう!竈門少年もブロリー青年も気にしないでくれ!」
炭治郎「本当にすみません・・千寿郎君もごめんね・・大丈夫だった?」
ブロリー「はい・・」
千寿郎「大丈夫だと思います。目を覚ましたらお酒を買いに出かけていったので。ありがとうございます。」
炭治郎「えっ?」
千寿郎「すっきりしました。兄上を悪く言われても僕は、口答えすらできなかった。」
杏寿郎「うむ!竈門少年!俺からも礼を言わせてくれ!竈門少年が父上に渇を入れてくれたことを!ありがとう!」
千寿郎「ブロリーさんもありがとうございます。貴方のおかげで今もこうして兄上は生きています。あなたが任務で一緒ではなかったらどうなっていたか・・」
杏寿郎「ブロリー青年がいなかったら、俺は間違いなく上弦の参に殺されていただろうな!」
千寿郎「あっ兄上・・怖いことを言わないでください。」
ブロリー「だが、俺がもう少し早く動いたら杏寿郎は左目を失わずにすんだはずだ。すまない。」
杏寿郎「ブロリー青年!いつまでも俺の左目について引きずるのは感心しないな!俺も軽い任務ならこなせるのだ!いつまでも引きずられると俺までやりづらくなってしまう!精進してほしいものだ!」
ブロリー「む、そうか、俺もいつまでも後ろを見てる場合ではないな、俺はもっと精進するぞ!」
杏寿郎「その意気だ!ブロリー青年!」
ブロリーは無限列車の任務から杏寿郎の左目をことを引きずっていたのだ。その事にたいして杏寿郎はブロリーに渇を入れることによって束縛していた呪縛を解き放ったのだ。そして何かを思い出したかのように千寿郎が炭治郎に話しかけた。
千寿郎「そういえば炭治郎さん、父がよく見ていた書物には心当たりがあります。持ってきますので少々お待ちください。」
千寿郎が部屋を出でしばらくすると、一冊の書物を持ってやってきた。
千寿郎「これではないかと思うのですが・・炭治郎さんが知りたいことは書かれているでしょうか?」
炭治郎「ありがとうございます。」ペコ
炭治郎が受け取って書物を開く、他の三人も気になるのか覗き込むように見ていた。しかし、その書物はずたずたに破かれておりほとんど読めない状態だったのだ。
炭治郎「ずたずただ・・殆ど読めない・・」
杏寿郎「よもや!何て書いてあるか分からんな!」
ブロリー「ビリビリーです・・」
炭治郎「元々こうだったのかな?」
千寿郎「いいえ・・そんなはずはないです。"歴代炎柱の書"は大切に保管されているものですから。恐らく父が破いたのだと思います・・申し訳ありません。」
炭治郎「いいえ!千寿郎さんのせいではないです。どうかきになさらず。」
千寿郎「わざわざ足を運んでいただいたのに、"ヒノカミ神楽"や父の言っていた"日の呼吸"について結局なにも・・」
杏寿郎「竈門少年!」
炭治郎「はい!?煉獄さん?」
杏寿郎「"ヒノカミ神楽"というものは竈門少年は舞えるのだろうか?」
炭治郎「えっええ・・それなりには・・」
杏寿郎「ならばこの後ブロリー青年の屋敷に行った時に"ヒノカミ神楽"を舞ってみてはくれぬだろうか?ひとつだけ心当たりがあるんだ。」
炭治郎「心当たりですか?」
杏寿郎「うむ!実は俺も"日の呼吸"のいくつかの型には挑戦したことがあるんだ!全て失敗に終わったがな!」ワハハ
炭治郎「わっ分かりました。破壊屋敷に着いたらヒノカミ神楽を舞うことを約束します。」
杏寿郎「うむ!実にありがたい!千寿郎!」
千寿郎「はい。兄上。」
杏寿郎は炭治郎に許可を得ると千寿郎に向き直り、口元に笑みを浮かべる。
杏寿郎「竈門少年をここに連れてきたのは無駄なことではなかったぞ!日の呼吸かもしれない神楽を竈門少年が舞える!それがわかっただけでも充分収穫だ!それに千寿郎は剣士になるのを諦めてそれ以外で人の役に立てる道を選んだのだろう?俺は自分が正しいと思った道を進むことを咎めはしない!心のままに生きてほしい!」
炭治郎「俺もそう思います。千寿郎さんを悪く言う人がいたら俺が頭突きします。」
千寿郎「それはやめた方がいいです。」
ブロリー「ならば千寿郎を悪く言わない意思を見せない奴がいたら、俺が血祭りにあげるだけだぁ!」
千寿郎「ブロリーさん!余計駄目です!」
杏寿郎「ブロリー青年!流石にそれは隊律違反になってしまうぞ!やりすぎはよくない!」
炭治郎「ブロリーさん、殺したら駄目ですからね!?」
ブロリー「炭治郎がそこまで言うなら・・わかった。」
千寿郎「"歴代炎柱の書"は私が修復します。他の書も調べてみます。父にも・・聞いてみて、何かわかったら鴉を飛ばします。」
煉獄家の門の外へと出た三人を見送りに千寿郎も来ていた。そして、今日話し合えたことにとても満足しているようだった。
千寿郎「お話ができて良かった。お気をつけてお帰りください。」
炭治郎「いいえこちらこそ、ありがとうございました。」
杏寿郎「そうだ!千寿郎!父上に伝えてほしいことがあるんだがいいか?」
千寿郎「伝えてほしいこと・・ですか?」
杏寿郎「うむ!実は・・」
杏寿郎は千寿郎に近づくとそっと耳打ちをする。そして内容を理解した千寿郎は大きく強く頷いた。
千寿郎「分かりました!伝えておきます!」
杏寿郎「頼んだぞ!千寿郎!」
ブロリー「杏寿郎、千寿郎に何を言ったんだぁ?」
杏寿郎「むう!秘密だ!」
ブロリー「そうですかぁ。」
杏寿郎達が煉獄家を後にして姿が完全に見えなくなると、千寿郎は槇寿郎の部屋へと来ていた。
千寿郎「失礼します。お戻りでしたか・・あの・・先程の「うるさい!!」
槇寿郎「どうでもいい出ていけ!!」
千寿郎「で・・でも兄上の」
槇寿郎「くだらん!!どうせ俺への恨み言だろう!わかりきってる!!さっさと出ていけ!!」
千寿郎「・・・・分かりました。体を大切にして欲しい。兄上が去り際に言った言葉はそれだけです。失礼しました。」
それだけを言うと千寿郎は静かに襖を閉めた。それを聞いた槇寿郎は酒を飲もうとして瓶を持ち上げたものの再び下ろした。
槇寿郎「・・杏寿郎・・」
杏寿郎の純粋な言葉を聞き、その日を境に槇寿郎は酒に溺れる生活をしなくなった。
――――
一方、破壊屋敷へと着いたブロリー達は、早速炭治郎がヒノカミ神楽を舞うことになり、周りの松明に火をつけ、準備を完了させた。
炭治郎「では!竈門炭治郎参ります!」
そして炭治郎はヒノカミ神楽を舞った。他の人から見ると、その美しさに目を奪われるほどの完成度を誇っていた。そして、日の呼吸のいくつかの型を知っている杏寿郎は非常に驚いていた。
杏寿郎「!よもやよもやだ!」
ブロリー「杏寿郎?何がよもや何だ?」
杏寿郎「ブロリー青年!これは間違いなく日の呼吸だ!まさか竈門少年の家に神楽として引き継がれていたとはな!」
ブロリー「炭治郎が日の呼吸の使い手っていうのはそういうことだったのか。それで杏寿郎の親父は日の呼吸を使う炭治郎に嫉妬したって訳か?」
杏寿郎「恐らくな!父上は日の呼吸の存在を知ったことと母上を失ったことから酒に溺れるようになってしまった!本当なら長男の俺が更正させるべきだったのだが、君たちを巻き込んでしまった!本当にすまない!」
ブロリー「気にするな、いつかは杏寿郎の親父を更正できるといいなぁ・・」
炭治郎「煉獄さんにブロリーさん。何を話してるんですか?」
杏寿郎「よもや!?」
ブロリー「へぁっ!?」
いきなり第三者の声が聞こえ、杏寿郎とブロリーが驚きながら振り返ると、そこにはヒノカミ神楽を舞い終わった炭治郎が二人のすぐそばまで来ていたのだ。
炭治郎「煉獄さん、竈門炭治郎、舞い終わりました。」
杏寿郎「うむ!ご苦労だ!早速だが竈門少年!結論から言わせてもらうと君が舞った"ヒノカミ神楽"というのはやはり"日の呼吸"で間違いなかった!」
炭治郎「そうだったのですか!?」
杏寿郎「そうだ!君が舞った神楽の中に、俺が挑戦しようとした日の呼吸の型がいくつもあったんだ!そしてそれは竈門少年だけでなく代々受け継がれてきたものだな!」
炭治郎「はい、その通りです。」
杏寿郎「やはりな!"日の呼吸"を途絶えさせないように竈門家には"ヒノカミ神楽"として継承していたと俺は思う!」
炭治郎「すごいです煉獄さん!まさか一回俺の舞いを見ただけでそこまでわかるなんて!」
ブロリー「炭治郎のところに全て呼吸の始まりがあったとはな、流石竈門家と誉めてやりたいところだぁ!」
杏寿郎の驚異的な推理力により、ヒノカミ神楽が始まりにして最強だった日の呼吸であることがわかった炭治郎達、始まりの呼吸の使いということを自信に変え、新たなる任務に挑むのだった。
今回は戦闘はなしです。本当はこの話しを書こうかどうかすごく迷いましたが、この話しをいれないとヒノカミ神楽のことがわからないので思いきって書くことにしました。それではまた次回。