炭治郎は血の匂いがする場所へたどり着くと、そこには全身が血塗れになって倒れている男がいた。かつて宇宙で、破壊の限りを尽くしてきた"伝説のスーパーサイヤ人"ブロリーである。胸が貫かれて穴が空いており、手足があり得ない方向に曲がっていた。周りの雪も血で真っ赤に染まっており、少し離れてみれば、仰向けかうつ伏せなのかもわからないくらいの状態だった。もはやグロイという言葉が生温く感じてしまう位の悲惨な光景に他の人物が見たとしても、呼吸が止まってもう亡くなっていると諦めるだろう。
炭治郎(もうこの人は助からない・・せめて安らかに眠れるように埋葬しよう・・)ポロポロ
炭治郎もその例に漏れずに諦めて涙を流しながら、せめて埋葬だけでもしてあげようと近くの地面を掘ろうとしたその時だった。
ブロリー「カ・・・カ・・・ロッ・・・ト・・」
そんな声が確かに炭治郎には聞こえたのだ。炭治郎はすぐにブロリーへ向き直り、もう一度手首を触って彼が生きているのかを確認する。
炭治郎(脈はまだある、まだこの人は生きている!もしかしたら助けられるかもしれない・・!でも何故・・この人から物凄い悲しみの匂いがするんだ・・?)
炭治郎は悲しみの匂いに疑問を持つも、彼を助けるために近くの里の人間に協力を呼び掛けた。
炭治郎「すみませーん!!今危篤状態の方が倒れているんです!どなたか応急処置の道具をくださいませんか!?」
炭治郎の必死の呼び掛けにより、優しい数人の人が漢方薬をくれたり、包帯や止血剤もくれたりした。そして更にブロリーをその近くの洞穴まで運んでくれるといってくれた方がいた。
村人「よし!俺が手伝ってやる!」
炭治郎「ありがとうございます!」
炭治郎は手伝ってくれる村人をブロリーのところまでつれていった。ブロリーの現状を見た村人は怪訝そうな表情で炭治郎に問う。
村人「・・・・これ本当に生きているのか?」
炭治郎「確かにさっき声を出してたんです!」
村人が怪しみ、炭治郎が弁解していると
ブロリー「カカ・・ロッ・・ト・・」
村人・炭治郎「!」
彼が生と死の境をさまよっているなかで何者かの名のようなものを口にしているのが二人にははっきりと聞こえたのだ。
村人「・・確かにまだ希望はあるな。」
炭治郎「まだ彼は生きています。お願いします!手伝ってください!」
村人「よし!任せとけ!」
二人でなんとか洞穴の前まで運んできた。炭治郎は鬼がいるとバラされるのではないかと不安になったが、幸い禰豆子の姿が村人に見つかることはなかった。
炭治郎「手伝ってくださってありがとうございました!」
村人「良いってことよ。また必要になったら呼べよ。」
炭治郎「はい!ありがとうございます!」
村人は運び終えるとそそくさと姿を消してしまった。残された炭治郎は洞穴の中にいる禰豆子と共に先ほどもらったものでブロリーの応急処置を施した。処置が終わった後、炭治郎と禰豆子は驚きの光景を目にした。
メキメキメキメキ
炭治郎「!傷が治っていってる!」
禰豆子「んー。」
脈が強くなってくると同時に傷がみるみると修復していっているのだ。手足ももとの状態に戻って段々と身体機能も息を吹き替えしているようだった。しかし、更に悲しみの匂いが強くなっているのだ。そしてブロリーは意識を完全に取り戻すと、大声を上げて飛び起きた。
ブロリー「カカロットオオオオオオオオ!!!!」
炭治郎「!」ビクッ
禰豆子「!」ドキッ
目を覚ましたブロリーはすぐにハッとなる。そして周りを見回すと状況を把握する。
ブロリー(結局俺は、カカロットに勝つことは出来なかった・・それどころかその息子達と共に殺されるとは、・・それにしてもここはどこだ?俺は死んだはずだ、だとすれば此処は地獄か?だがここでは阿鼻叫喚は全く聞こえてこない。ならば此処は天国か?いや、星を破壊してきた俺が天国になんぞに行けるわけがない。・・身体に温もりがある・・俺は生きてるのか?)
炭治郎「気がつきましたか?」
ブロリー「へァッ!?」
ブロリーはすぐ近くで声がしたことに驚き、そちらをみた。そこには、赤髪の少年竈門炭治郎がいた。そしてその隣には竹を咥えた少女竈門禰豆子が覗くようにみていた。ブロリーの第一印象はこの二人は似ていると思った。そして二人を血のつながりがある兄妹だと判断した。とりあえず質問をしてみることにする。
ブロリー「誰だお前達は?」
炭治郎「俺は竈門炭治郎です。こっちは妹の禰豆子です。あなたが相当ひどい怪我をしていたので介護してました。」
禰豆子「ムー。」
ブロリー「介護だと?」(なるなど、それだと俺の身体が温もりがあってまだ生きている事にも辻褄が合う。)
ブロリーはまだ持っている疑問を解消するために、次の質問をする。
ブロリー「ここはどこだ?」
炭治郎「ここは里の近くにある崖にある洞穴です。里の方と協力して運んで来ました。」
ブロリー「お前達はここに住んでいるのか?」
炭治郎「いいえ、禰豆子が鬼になってしまったので日に当たらないようにしているだけです。」
禰豆子「んー。」こくこく
禰豆子もそうそうと言うようにこくこくとうなずく。
ブロリー「鬼って何だ?」
炭治郎「鬼とは身体能力が凄まじくて昔から人を襲って食べるんです。その鬼の血が入って、禰豆子が鬼にされたんです。俺の家族も・・鬼に殺された・・!」
ブロリー「・・・・」(・・嘘をついてるようには見えない。貴様も散々な目に合っていたのか。それと何故俺を助けたんだ?俺を助けるメリットなんてないはずだ。)
炭治郎「俺からもいいですか?」
ブロリー「・・何だ?」
炭治郎「貴方の名前は何ですか?」
ブロリー「・・俺はブロリー、サイヤ人だ。」
炭治郎「サイヤ人?」
ブロリー「戦闘民族のことだ。戦闘能力が普通の人間と比べると次元が違う。俺はサイヤ人のなかでも特に強い力を持っている。」
炭治郎(なるなど、だからこの人の気配が鬼とそっくりなのか!それと凄い悲しみの匂いがする。)「なるほど、だから最初は鬼の気配がしたのか・・」
炭治郎の小さい呟きはブロリーにも聞こえていた。そして最大の疑問を解消するために質問をした。
ブロリー「お前「炭治郎」・・は?」
炭治郎「俺はお前ではなく炭治郎です。」
ブロリー「・・炭治郎。何故お前は俺を助けた?俺をさっき言ってた鬼だと思ったならば、俺を助けるなどあり得ないはずだ!それなのに何故!?」
ブロリーはとても困惑していた。鬼という存在が本当に人間を喰うならば、人間は鬼を恐れるはずである。そして自分がその人喰い鬼と思ったならば、助けずにそのまま見殺しにするのが普通である。なのにも関わらず弱っていた自分を助けた。ブロリーは過去の出来事からこういうことを考えるのは大抵自分の力を利用する事を目的に見せかけだけの救いだと思っていたのだ。何か裏があるに違いないと。だからブロリーはあえてこの質問をしたのだ。そして返答次第では殺そう、そう考えていた。しかし、炭治郎の出した答えはブロリーにとって信じがたいものだった。
炭治郎「貴方がとても辛そうでしたから・・」
ブロリー「・・は?」
炭治郎「俺はよく鼻が利くんです。それも相手の感情がわかるくらいに。そして貴方からは物凄い悲しみの匂いがしたんです。恨みや憎しみの匂いもしましたが、悲しみの匂いがとても強く表れてたんです。貴方はいつも一人だったんだと、幸せを一度も感じたことがないと思ったんです。それを感じて受け入れないといけないと実感したんです。・・なのでブロリーさんさえ良ければ一緒に行きたいんです。俺は貴方を助けたい。・・駄目ですか?」
禰豆子「ムーんー」
炭治郎はブロリーと一緒に行きたいと思っており、禰豆子も優しく微笑んでいた。
ブロリー「・・・・」(・・まさかこんな奴に出会えるとは思ってもいなかったな。)
ブロリーは信じられないようなものをみたような目で炭治郎をみていた。そして、自分にあった負の感情が物凄く軽くなったことに気づくと、フッと表情を緩めて答えを出した。
ブロリー「・・どうやら炭治郎と禰豆子の事は信用してもいいみたいだな。わかった、着いていこう。」
炭治郎はその答えを聞いた瞬間にパァァァととても嬉しそうな表情をする。禰豆子も凄くにこにこしている。
炭治郎「ありがとうございますブロリーさん!」
禰豆子「ムー!」
炭治郎「じゃあ早速行きましょう。」
ブロリー「はい・・」
日除けの籠の中に禰豆子が入り、それを炭治郎が背負い、ブロリーと一緒に鱗滝左近次を訪ねるために狭霧山に向かうのだった。
遂にブロリーが炭治郎達と出会いました。次回は鬼との初戦闘になると思います。ブロリーの異次元の強さをご覧ください。こんな小説ですが、最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます。次回もよろしくお願いします。