伝説の超鬼殺隊員   作:ツキリョー

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第二十六話です。大分遅いですが、明けましておめでとうございます。今年度も『伝説のスーパー鬼殺隊員』をよろしくお願いします。最後まで読んでいただけると嬉しいです。


刀を求めて刀鍛治の里!炭治郎、恋柱・甘露寺蜜璃と出会う!

とある日、ブロリーや炭治郎達は破壊屋敷の隣にある蝶屋敷へと来ていた。炭治郎は仰向けでベッドに寝ており、ブロリーは俯き、しのぶは青筋を立てて般若の形相をしていた。炭治郎が刀を折ってしまった後、再び刀が届くまでに体術の鍛練をしていたのだが、ブロリーにとって体術戦は最も得意とする戦闘方法であるためについ熱を込めて厳しく指導した結果、炭治郎に大怪我をさせてしまった。そして今ブロリーはしのぶにお叱りを受けているのだ。

 

しのぶ「ブロリーさん?自分が何をしたか分かってるんですか?」ゴゴゴゴゴ

 

ブロリー「・・・・」

 

しのぶ「継子を鍛えるのは構いませんが、厳しくしすぎて大怪我をさせたとなれば一歩間違えれば隊律違反ですよ?そこのところしっかり分かってるんですか?」ゴゴゴゴゴ

 

ブロリー「・・深く反省している。」

 

しのぶ「それに蝶屋敷は本来なら鬼との戦いで負傷した隊員を治す為の役割をしてるんですよ?今日は偶々空いてたから炭治郎君のことを診れましたけど、混んでたら優先順位は一番後ろなんですよ。それでこの怪我は後少し遅ければ取り返しのつかないことになってたんですよ?もしも混んでたらどうするつもりだったんですか?」ゴゴゴゴゴ

 

ブロリー「・・すまない。」

 

しのぶ「私ではなく炭治郎君に謝ってください!本人も丁度目覚めたようですので私は治療薬と痛み止めを作ってきます。次からこんなことは無いようにしてくださいね?ブロリーさん。」

 

ブロリー「気をつけよう。」

 

最後にブロリーに念を押すと、しのぶは薬を作りに自室へと向かった。そしてしのぶの姿が見えなくなると、ブロリーは横になっている炭治郎のすぐ隣に来た。

 

ブロリー「炭治郎、すまなかった。」

 

炭治郎「大丈夫ですよ師範。高笑いして襲いかかってくるのは怖かったですが、師範が上弦の鬼と戦ったときになっていた姿になる前から威圧に飲み込まれていた俺はまだまだだと分かりましたから。師範、刀が戻ったらまた俺と鍛練してください。」

 

ブロリー「俺が言えたことではないが、まずはその怪我を治して身体機能が元に戻ってからだな。」

 

炭治郎「!・・はい。」

 

ガッシャーン! パリーン!

 

不意に鈍器が割れる音が聞こえてきてそっちを二人が見ると、目を覚ました炭治郎を見て目を見開いて固まっているカナヲがいた。どうやら持っていた皿を落として割ってしまったようだ。カナヲはそのまま割れ物そっちのけですぐにブロリーの隣に来て炭治郎を覗き込んでいた。

 

カナヲ「・・大丈夫?上弦の鬼との戦いの後、三日間意識が戻らなかったのよ。」

 

炭治郎「そうか・・そうなのか・・」

 

カナヲ「目が覚めて良かった・・」

 

カナヲは炭治郎の意識が戻ったことに心の底から安堵して目に涙を浮かべていた。ブロリーも再び謝った。

 

ブロリー「炭治郎、本当にすまない・・」

 

炭治郎「もういいですよ師範。大丈夫です。」

 

次に病床へと入ってきたのは"後藤"という名を持つ隠の一人である。柱合会議の際に炭治郎を怒鳴って起こした者である。彼はお盆に当時高級菓子のカステラを乗せて、食べたい衝動を必死に抑えていた。まだ炭治郎が意識が戻っていないと思われてるための贈り物だ、鼻がいい炭治郎の側に置けば目を覚ますかもと思い奮発したのだ。そんな後藤は病床に入ると、割れて散乱している花瓶を見て顔をしかめた。

 

後藤(片付けろや・・まぁ階級上だから言えんけどな・・俺二十三だけど。)カチャカチャ

 

後藤は、カナヲがなんでもやりっ放しで全然喋らないのは子供の時から鬼殺をやらせているせいだと思っているが、実は全く違う理由である。両親から虐待を受け続けた末に、心を守るために感情を無くしてしまったのだ。今となっては炭治郎達のお陰で徐々に感情を取り戻しつつある。後藤はしっかりと立場をわきまえて優しく丁寧な言葉遣いでカステラを置いた。

 

後藤「あのー、これカステラここに置いとくんで、暫くしたら下げてください。傷みそうだったら食べちゃっていいので。」

 

炭治郎「あ、ありがとうございます。」

 

後藤「意識戻ってんじゃねーか!!もっと騒げやアアア!!!」

 

炭治郎とそこそこの縁がある後藤は、心の奥底で物凄く心配していたのだ。遂に我慢できなくなった後藤はカナヲにおもいっきり怒鳴った。

 

後藤「オメーは本っ当にボーッとしてんな!!人を呼べっつーの!!!意識戻りましたってよ馬鹿野郎が!!みんな心配してんだからよ!!上とか下とか関係ねーからな今だけは!!」

 

カナヲ「ごっごめんなさい!」ペコペコペコ

 

カナヲは今回は自分に非があるとはっきりわかったために素直に謝ることにした。後藤は扉から半身を覗かせると、腹式呼吸を使って他の住人達を呼んだ。

 

後藤「きよちゃんすみちゃんなほちゃーん!!アオイちゃーん!!炭治郎意識戻ったぜえええ!!」

 

後藤の叫びにトテトテと駆けつけてきた三人は、炭治郎の状態を確認すると、揃って泣き出した。

 

きよ「よかったです~~。」

 

なほ「あんぱんあげます~~。」

 

すみ「カステラおちてる~~。」

 

そしてそこへ物凄く響いてくる大きな足音。

ドドドドドド!

部屋に入ってきたのは、白いシーツが全身に絡まったアオイである。

 

バーン

きよ「キャー!!お化けーっ!!!」

 

アオイ「ぶは~~っ!」バサッ

すみ「なーんだ、洗濯物が絡まったアオイさんかあ。」

 

アオイ「意識が戻って良かった~~!!!あたしの変わりに行ってくれたからみんな・・ウオオオン!!」ウオオオン!

 

アオイはそのまま炭治郎が寝ているベッドのシーツに顔を埋めて号泣した。因みに何故ブロリーの事を責めないのかというと、しのぶの計らいにより炭治郎の怪我は鬼との戦闘で負ったものと説明されているからだ。幸い炭治郎もそこは、しのぶのブロリーへの説教を間近で聞いていたためにわざわざ訂正するような野暮なことはしなかった。

 

炭治郎「ありがとう、他のみんなは?大丈夫ですか?」

 

後藤「黄色い頭の奴は今任務に行ってるぜ。相当嫌がってわめき散らしながら出たらしい。」

 

炭治郎「そうか、伊之助は?」

 

アオイ「伊之助さんはかなり元気そうだったの。"上弦の鬼を倒したぜぇぇ!"って叫んで暴れまわってて・・さっき任務が来てたと思う。」

 

炭治郎「そうか、じゃあ・・天井に張りついている伊之助は俺の幻覚なんだな・・」

 

炭治郎の言葉に全員が上を見上げると、昆虫の如く天井に張りついている伊之助がいた。

 

後藤「うわーッ!!!」

なほ「キャアアッ」

ブロリー「へぁっ!?」

 

伊之助「グワハハハ!!!よくぞ気づいた炭八郎!!」

 

炭治郎「俺、仰向けだから。」

 

伊之助は炭治郎に気づかれるとそのままベッドの上へ着地する。すみやアオイは反射的にカナヲやきよの後ろに隠れて防御態勢をとった。

 

伊之助「俺は鬼との戦いで気絶しなかった男!!」

 

炭治郎「良かった。伊之助は凄いなー。」

 

伊之助「へへっうふふっもっと褒めろ!!そしてお前は軟弱だ!!心配させんじゃねぇ!!」

 

すみ「伊之助さんが普通じゃないんですよ!しのぶ様も言ってたでしょ!」

 

すみが伊之助に注意している間にきよが何かを思い出したかのように本棚をガサゴソとあさり、やがて一冊の本をもって戻って来た。

 

きよ「そうだ、炭治郎さん見てください。この本。」

 

炭治郎「?」

 

きよが持ってきたのは動物図鑑であり、丁度四足歩行で歩く動物のページが開かれていた。

 

きよ「"ミツアナグマ"っていう外国のイタチです!!分厚い皮膚は鎧なんですよ。獅子に咬まれても平気なの。毒が効かないから毒蛇でも食べちゃうし。」

 

炭治郎「かわいい」

 

ブロリー(獣・・・焼いたら旨そうだな。)

 

きよの熱心の説明に、それぞれが様々な感想を心の内に秘めて聞いていた。

 

きよ「伊之助さんはこれと同じだってしのぶ様が。」

 

炭治郎「ふふ・・」

 

伊之助「・・・・」カチン

 

後藤「適当だな、胡蝶様も。」

 

アオイ「彼について考えるのが面倒くさくなったのでは?おりて!」

 

伊之助「つまり俺は不死身ってことだ!!」ワハハ

 

後藤「いや違うだろ、馬鹿じゃねーの。」

 

伊之助「誰が馬鹿だコノヤロー!!」ムキイイイ!

後藤「イデデデ!!」

なほ「キャーやめてください~~!」

 

伊之助が掴みかかっている間に炭治郎が再び寝るが、それに気づいているのはカナヲとブロリーだけであって、他の人たちはまだ騒いでいた。

 

アオイ「あなたは毒も効きづらいけど薬も効きづらいから気をつけなさいって!しのぶ様にも言われたでしょ!!すぐ忘れるんだから!!」

 

伊之助「うるせーな!引っ張んじゃねーよチビ!!」

 

カナヲ「し、静かにして・・静かに・・」

 

アオイ「何ですって!!たいして変わらないじゃないのよ!!」

 

カナヲ「炭治郎寝たから静かにして!」

 

ブロリー「カナヲの言うとおり、静かにした方がいいんじゃないか?」

 

カナヲが大声を出してようやく炭治郎が寝たことに気づいた伊之助達である。

 

伊之助「!あー!!またコイツ昏睡した!!」

 

アオイ「縁起の悪いこと言うんじゃないわよ!静かにしてください!」

 

きよ「カナヲさん。重湯作りに行きましょう。」

 

カナヲ「うん。早くたくさん食べて元気になるといいね。」

 

怪我はそんなに重くなかったことが幸いして、炭治郎は次の日には完治していた。ここで炭治郎があることに気づいた。

 

炭治郎「あっそうだ!俺が眠ってる間に刀届いてない?折ってしまったやつなんだけど。」

 

すみ「うっ!刀ですか?刀・・」ギクッ

 

炭治郎が刀があるかどうかを聞いた途端に、冷や汗を垂らす三人娘達、きよが代表するように伝えた。

 

きよ「鋼鐵塚さんからお手紙はきてます・・ご・・ご覧になりますか・・?」

 

きよが鋼鐵塚の手紙を渡すと、そこには"お前にやる刀は無い、許さない、呪う、にくい、憎い"とまるで呪文のように書かれており、炭治郎は顔を真っ青にした。

 

炭治郎「これは・・まずいぞ・・」

きよ「ですよね・・三日間あったんですけど届いてなくて・・」

 

炭治郎「う、うーん・・やっぱり二度目だからなぁ・・やっぱり許してくれないよなぁ・・」

 

すみ「刀の破損はよくあることなんですけど・・鋼鐵塚さんはちょっと気難しい方ですね・・」うーん

 

すみは首をかしげてどうすればいいの悩んでいた。そんな中、きよがかぶき揚げを食べながら炭治郎に提案した。

 

きよ「里の方に行ってみてはどうですか?直接会ってお話した方がよいかと。」バリボリバリボリ

 

炭治郎「里って?」

 

きよ「刀鍛治の皆さんの里です。」

 

炭治郎「えっ行っていいの?」

 

きよ「お館様の許可が降りれば恐らく可能かと。」

 

ブロリー「ほう、ならば炭治郎がそこへ行くのであれば俺も行こう。ちょうど刀を整備したいと思っていたところだぁ。」

 

炭治郎とブロリーが鎹鴉を使って耀哉に刀鍛治の里へ行きたいと申請を出せばこれがあっさりと通ったため、翌日には出発することになった。

翌日、蝶屋敷の前には女の隠の人と男の隠の人が迎えに来ていた。炭治郎は、隊服へと衣替えしてブロリーはいつもの服装だった。

 

隠(女)「はじめまして。お館様より許可が出ましたので私がご案内します。」

 

隠(男)「同じく私もご案内します。」

 

炭治郎「はじめまして!竈門炭治郎です。よろしくお願いします!」ペコー

 

ブロリー「ブロリーだ。今日は頼むぞ。」

 

隠(女)(男)「「案内役の事情で名乗ることはできませんが、よろしくお願いします。」」

 

隠(女)「ではこれを。」スッ

 

女の隠が取り出したのは目隠しと耳栓であった。ブロリーはしのぶと共に産屋敷邸に行く際に見たことがあるが、炭治郎は全く知らないため、頭にクエスチョンマークを浮かべていた。

 

炭治郎「これは・・?」

 

隠(男)「目隠しと耳栓です。」

 

隠(女)「里の場所は隠されているので私たちを含めて誰も知りません。それとあなたは私が背負っていきます。」

 

炭治郎「えっ?」

 

隠(男)「さらに鼻が利くというあなたには鼻栓を。」ぶぎゅ

 

炭治郎「わー!」

 

里の場所は鬼に襲撃されるのを防ぐために柱でさえも知らないところにある。一定の距離で次の隠へと引き渡す。いわゆる陸上の駅伝のようなものである。炭治郎が襷役で背負って行く隠がランナー役といえば分かりやすいだろう。そして隠し達も頻繁に道順を変えるため、一人でたどり着くことが不可能なのだ。その事を手短に炭治郎達に伝えて、ブロリーにも同じように目隠しと耳栓をして背負おうとするが。

 

隠(男)「うっ・・むっ無理・・」ドシャア

 

隠(女)「あんたしっかりしなさいよ!その方は破壊柱様よ!あんたが尻餅ついて何かあったらどうするの!?」

 

隠(男)「そんな事言われたって破壊柱様大きいし重いんだよ。流石にこの人は俺一人で運べないよ・・!」

 

隠(女)「弱音吐いてんじゃないわよ。私達二人しかいないんだからあんたが運べないならどうするのよ?」

 

ブロリーの身長があまりにも高くて背負われても地面に足がついてしまい、かといって足がつかないように意識しすぎると彼の全体量がのし掛かるために全く動けず、運べない事態に陥ったのだ。隠が途方に暮れていると、それを見透かしたかのように産屋敷の鎹鴉が伝令を伝えにやって来た。

 

鎹鴉「カァーッ!カァーッ!伝令!伝令!案内担当ノ隠達二告グ!破壊柱ブロリーヲ運ベナイ場合ハ目隠シト耳栓ヲ外シテ自力デ動クヨウニ伝エロ!カァーッ!カァーッ!」

 

隠「「!!」」

 

伝令を聞いた隠達はブロリーの目隠しと耳栓を外して、詳細を伝えた。

 

隠(女)「申し訳ありません破壊柱様。お館様よりあなたは自分で向かうように言われまして、それでもよろしいでしょうか?」

 

ブロリー「・・まぁ仕方あるまい。それよりも貴様・・」ギロッ

 

隠(男)「!!」ビクッ

 

ブロリーは急にギロリと男の隠を睨み付けて怒りの感情をあらわにして威圧ある声で言った。

 

ブロリー「誰がでかくて重いだと?貴様は俺が太ってるとでも言いたいのか?」ゴゴゴゴゴ

 

隠(男)「ひぃっ!!すっすみませんでした!!」ドゲザー

 

ブロリーが放つ殺気と重圧に耐えきれなくなった男の隠は思わず土下座して詫びるのだった。それを見たブロリーは、興ざめしたようにそっぽを向いた。

 

ブロリー「次は気をつけろ。」

 

隠(男)「はっはい!」

 

改めてブロリーは自力で刀鍛治の里に向かうために、走り出す二人の隠のピッタリ後ろについて低空飛行していった。別の隠へと移る際に、炭治郎が「ありがとうございました!お疲れ様です!よろしくお願いします!」と言うので隠達は皆ホッコリしていた。それを何度か繰り返した後に、刀鍛治の里へと到着した。

 

隠(女)「外しますよ。」スポッ ジャリッ シュルシュル

 

炭治郎「!わーーー!!!すごい建物ですね!!しかもこの匂い!!近くに温泉があるようだ!」

 

隠(女)「ありますよ。」

 

ブロリー「炭治郎、温泉ってなんだ?」

 

「「「えぇーーっ!!?」」」

 

ブロリー「それになんだ?この卵が腐ったような異臭は?」

 

ブロリーは産まれて一度も温泉を見たことも聞いたこともなかったので、里全体に行き渡っている硫黄の匂いに思わず鼻を隠していた。そして温泉を知らないブロリーに対して炭治郎達も驚きを隠せなかった。炭治郎は戸惑いながらもブロリーに温泉の説明をした。

 

炭治郎「えっと。温泉というのはマグマで温められたお湯が地面から直接湧いているんですよ。それとこの匂いは硫黄ですね。」

 

ブロリー「硫黄?」

 

炭治郎「はい。硫黄というのは、火山の近くで取れる結晶で色々な医薬品使われてるんですよ。」

 

ブロリー「ほう・・温泉とやらは身体にいいってことだな。それは飲み物なのか?」

 

炭治郎「違いますよ。入って暖まったり身体を洗ったりするんです。温泉は簡単に言えば自然に湧いているお風呂です。」

 

ブロリー「なるほどな。自然に湧く風呂か。」

 

炭治郎とブロリーが温泉について色々と問答しているとしびれを切らしてきた隠達が話題を出した。

 

隠(女)「あのー、そろそろ本題に入っても?あちらを左へ曲がった先が長の家です。一番に挨拶を。」

 

炭治郎「はい!」

 

隠(女)(男)「「私達はこれで失礼します。」」ペコ

 

ブロリー「ご苦労だったな。」

 

炭治郎「ありがとうございました!!」

 

ありがとうございました・・!!

 

炭治郎が隠達に言った感謝の言葉は、やまびこになって刀鍛治の里中に響き渡った。それを聞いた一人の温泉に浸かる女性の柱がいた。恋柱の甘露寺蜜璃である。

 

蜜璃「ん?感謝のやまびこが聞こえた。誰か来たのかしら?何だかドキドキしちゃう。」

 

彼女が今入っている温泉の効能は、"切り傷・やけど・いぼ痔・切れ痔・便秘・痛風・糖尿病・高血圧・貧血・慢性胆のう炎・筋肉痛・関節痛・性格の歪み・思いやりの欠如・鼻炎・へその痒み・失恋の痛み"など、肉体的にも精神的にも癒される極上の温泉で人気が高い。彼女自身もよく愛用する温泉である。

一方炭治郎達は鍛治の里の長が住む家に着いていた。早速中へ上がった炭治郎とブロリーは、挨拶をしていた。一番前の座布団に座っている小柄な老人が、この鍛治の里の長である鉄地河原鉄珍である。

 

鉄珍「どうもコンニチハ。ワシこの里の長の鉄地河原鉄珍、よろぴく。里で一番小さくて一番偉いのワシ、まあ畳におでこつくくらいに頭下げたってや。」

 

炭治郎「竈門炭治郎です!よろしくお願いします!」ペコーッ ゴン!

 

ブロリー「へぁっ!?俺はブロリー、破壊柱だ。よろしく頼む。」

 

鉄珍の言葉を鵜呑みにした炭治郎は、畳に勢いよく頭を打ち付けてブロリーを驚かせていた。ブロリー自身も頭を下げることはしなかったが、最低限の自己紹介はしていた。

 

鉄珍「柱の方でしたか。それとそっちの子もまあええ子やな。おいで、かりんとうをあげよう。」

 

炭治郎「ありがとうございます!」ボリッ

 

ブロリー「うまいです。」ボリッ

 

鉄珍「蛍なんやけどな今行方不明になっててな、ワシらも捜してるから堪忍してや。」

 

炭治郎「蛍?」ボリッ

鉄珍「そうや鋼鐵塚蛍。」

 

炭治郎「可愛い名前ですね!」ボリッ

鉄珍「ワシが名付け親。」

 

ブロリー(全く、何処へ行ってるのやら。)ボリッ

 

鉄珍「可愛すぎ言うて本人から罵倒されたわ。」

 

炭治郎「それは悲しい。」

 

鉄珍「あの子は小さい時からあんなふうや。すーぐ癇癪起こしてどっか行きよる。すまんの。」はー

 

炭治郎「いえいえそんな!俺が刀を折ったりすぐ刃こぼれさせたりするからで・・」

 

鉄珍「いや、違う。折れるような鈍を作ったあの子が悪いのや。」ビリビリ

 

炭治郎「・・・・ッ」

 

炭治郎は鉄珍から感じる怒りの匂いに、かりんとうを食べる手を止めて冷や汗を垂らしていた。そして鉄穴森が拳を振り回しながら炭治郎とブロリーに意気込む。

 

鉄穴森「見つけ次第取り押さえて連れて参りますので、ご安心ください。」ブンブン

 

炭治郎「えっ!?あまり乱暴は・・」

 

ブロリー(ここにいる奴らは血の気が多いのばかりだな。)

 

鉄珍「君もまだ鬼狩りに行ける程万全の状態ではないと聞いてる。それまでに蛍が刀を打たない場合、別の者を君の刀鍛治にする。うちの温泉は弱った体によく効くから、まあゆっくり過ごしてや。」

 

鉄珍の家を後にした炭治郎とブロリーは、温泉を目指してひょっとこの面を着けた里の住人に案内されていた。

 

炭治郎(喧嘩にならないといいな。)

 

「この坂の上が温泉です。私は下でお食事の準備をしておきますので。」

 

炭治郎「はい。」

 

二人が坂を登っていると、反対から蜜璃が涙目になって坂をすごい勢いで駆け下りてきていた。

 

蜜璃「あーーっ!!!炭治郎君にブロリーさんだ!!炭治郎くーん!!ブロリーさーん!!」ダダダダダ

 

炭治郎「あっ気をつけてください!!乳房が零れ出そうです!!」

 

ブロリー「蜜璃カワイイ!!」

 

蜜璃「うわーん!!」ギュウ

 

ブロリー「へぁっ!?ぬう!危ない危ない。」グググ

 

蜜璃は坂を駆け下りた勢いそのままに、泣きながらブロリーに抱きついた。ブロリーが足に力を入れて耐えてなかったら二人とも回転しながら転げ落ちていたと思うほどの衝撃が二人を襲った。

 

蜜璃「聞いてよ聞いてよ~!」わーん

 

炭治郎「危ない!!」

 

蜜璃「私今そこで無視されたの~。挨拶したのに無視されたの~。」

 

炭治郎・ブロリー「誰にですか?/誰だぁ?」

 

蜜璃「わかんないの~!!!だから名前聞いたのに無視なの~。酷いと思わない?私柱なのに~。」わー バタバタ

 

ブロリー「それは悲しいな。」ポンポン

 

蜜璃「お風呂上がりのいい気分がもう全部台無し!!」めそ!めそ!めそ!

 

ブロリーの腹部で顔を覆って号泣している蜜璃に、炭治郎はとっさに晩御飯の話題をして気をまぎらわせそうとした。

 

炭治郎「もうすぐ晩御飯ができるみたいですよ。松茸ご飯だそうです。」

 

ブロリー「そういやそんな事を言ってたな。」

 

蜜璃「えーーっ!!!ほんとォ!?」パアア

 

蜜璃はご飯ができると聞いて、さっきまでの表情とは一変して心底嬉しそうに微笑み、鼻歌を歌いながら坂を下っていった。

 

炭治郎(食いしん坊。)

 

ブロリー(蜜璃の食欲は俺達サイヤ人みたいに多いからな。)

 

蜜璃とは反対に炭治郎とブロリーは引き続き坂を登り、遂に温泉に到着した。

 

炭治郎(わー広い!!)

 

ブロリー「広いです・・俺達の貸しきリーです・・まず身体から洗ってから入ろう。」

 

炭治郎「はい。・・あいた。」びちっ

 

炭治郎が元気に返事すると同時に彼の後頭部に何かが当たり、手を出して受け止めてみると、それは誰かの前歯だった。

 

炭治郎「!!」(歯の落とし物!)

 

ブロリー「炭治郎・・そんなもん拾うな。」

 

飛んできた方を見ると、誰かが温泉に浸かっていた。側面の刈られた髪をしていて、体格がかなりよくなっている炭治郎の同期。実弥の実の弟である"不死川玄弥"である。

 

ブロリー(どっかで見たなあいつ・・)

 

炭治郎(側面の刈られた頭、すみちゃんが教えてくれた名前・・)「不死川玄弥!!」

 

玄弥「!死ね!」

 

玄弥に怒鳴られた炭治郎は服を脱ぎ捨てて温泉に入ると、そのまま泳いで玄弥の目の前で顔を出した。

 

ザブン スイー

 

ブロリー「泳ぐな炭治郎。」

 

炭治郎「久しぶり!!元気でやってた!?風柱と名字一緒だね!!」

 

玄弥「話しかけんじゃねぇ!!」ドブン!

 

玄弥は怒鳴りながら炭治郎をお湯に沈めると、そのままでて坂を下って行ってしまった。取り残された炭治郎は呟いた。

 

炭治郎「裸のつき合いで仲良くなれると思ったんだけど、人間関係って難しいな。」

 

ブロリー「炭治郎、俺も入るぞ。」

 

ブロリーもいつも履いているズボンを脱いで金の首飾りを取ったとき、ブロリーの体を見た炭治郎が驚いて叫んだ。

 

炭治郎「えーーッ!!し・・師範!そっそれっそれは!?」ワナワナ

 

炭治郎が見て驚いたもの、それはブロリーの後ろにあった。彼の尾てい骨付近から伸びている赤茶色の細長い尻尾だった。

 

ブロリー「なんだ?どうかしたのか?」

 

炭治郎「どうかしたのかじゃありませんよ!師範の後ろに何かついてるんですよ!尻尾みたいな赤茶色の物が!」

 

ブロリー「?これか?尻尾だが?」

 

炭治郎「なっ何故生えてるんですか!?」

 

ブロリー「サイヤ人は皆生えてるぞ。」

炭治郎「ゑゑゑっ!?」

 

ブロリー「サイヤ人は戦闘民族という宇宙人だ。前にも言っただろう。地球の人間とは違うんだ。」

 

ここまで言われてようやくブロリーがサイヤ人だったことを思い出した炭治郎。そしてようやく納得した。

 

炭治郎「そ・・そうですよね。師範はサイヤ人でしたね。やっと思い出しました!でも種族が違っても俺の師範ってことには変わりありません!」

 

ブロリー「わかればいい。少ししたら温泉から出て腹ごしらえでもするか。」

 

炭治郎「はい!」

 

禰豆子「ムー♪」スイー

 

炭治郎とブロリーと禰豆子は、温泉に入って身も心もリフレッシュして坂を下って戻った。建物の中で再び蜜璃と合流した三人は、松茸ご飯を始めとする晩御飯を食べていた。ブロリーと蜜璃の周りには空になった食器が山のように連なっていて、炭治郎は二人の食欲に素直に尊敬した。

 

炭治郎「師範も甘露寺さんもすごいですね。」

 

蜜璃「そうかな?今日はそんなに食べてないけど///」

 

ブロリー「そうだな。まだ腹七分と言ったところか。」

 

炭治郎「俺もいっぱい食べて強くなります!!あっそうだ、甘露寺さんが温泉で会ったのは不死川玄弥という俺の同期でしたよ。」

 

蜜璃「えっ!!そうだったの~~・・不死川さんの弟でしょ?でも不死川さん弟いないって言ってたの。仲悪いのかしら・・切ないわね。」

 

炭治郎「そうなんですか・・どうしてだろう・・」

 

ご飯を食べ終わった蜜璃は、禰豆子と戯れながら炭治郎と話をするという器用なことをしていた。

 

蜜璃「私のうちは五人姉弟だけど仲良しだからよくわからなくて、不死川兄弟怖って思ったわ~~。」こちょこちょ

 

禰豆子「んー♪」キャッキャッ

 

炭治郎「玄弥はまだ来ないですね、本人と少しでも話せるといいんですが。」

 

禰豆子「ムー♪」ぎゅー

 

蜜璃「あの子来ないみたいよ。全然食事しないって里の人が話してた。何か持ってきてるのかしら?」

 

ブロリー「だとしたら何故わざわざ食い物を持ってくるんだ?ここの飯は普通に旨いんだが。」

 

蜜璃「ブロリーさんもそう思いますよね!ここのご飯は美味しいのですよ!なのに食べないつもりなのかしら?もったいないわ。」

 

炭治郎「・・大丈夫かな?後で握り飯でも持っていこう。」

 

蜜璃「そうね!そうしましょう。」

 

食事を終えた四人は、建物の縁側を歩いて玄弥が使う予定である部屋に向かった。不意に炭治郎は蜜璃が鬼殺隊に入った理由が気になって聞いていた。

 

炭治郎「甘露寺さんは何故鬼殺隊に入ったんですか?」

 

蜜璃「え?私?恥ずかしいな~。えーどうしよう聞いちゃう?あのね・・」もじもじ

 

蜜璃は恥ずかしいのか、顔を真っ赤に染めて両頬に手を当ててもじもじしながらその答えを言った。

 

蜜璃「添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」キャーーッ

 

炭治郎「・・・。」ポカーン

 

炭治郎は自分の想像よりも遥か斜め上を行く答えを聞いて、驚きすぎて硬直していた。

 

蜜璃「やっぱり自分よりも強い人がいいでしょ?女の子なら。守ってほしいもの!わかる?この気持ち。男性には難しいかな?ほら、柱の人は強いでしょ?でもなかなか会えないからね、自分も柱にならないとね。だから私すごい頑張ったのね。」

 

ブロリー「いいと思うぞ。」

 

蜜璃「ブロリーさん!」

 

ブロリー「女らしいいい理由だと俺は思うぞ。どんな理由でもそれを貫いて達成するために鬼殺隊を続けて柱になることは、生半可なことでは出来ない。蜜璃がその目的に本気で取り組んでいる証ではないか。肉体的ではなくて気持ちが強いんだな。俺はその気持ちを否定はしないぞ。」

 

蜜璃「うわぁ///ありがとうございます///そんな風に誉められてのは初めてです///私ももっと本気で頑張ってみますね!」

 

ブロリー「あぁ。」

 

蜜璃「ブロリーさんは何故鬼殺隊に入ったんですか?」

 

ブロリー「俺か?俺は傷だらけで死にかけて気を失っていたところを炭治郎と禰豆子に助けられたんだ。その時に理由を聞いて、私利私欲の目的はなくて純粋に俺を助けたいということが分かったんだ。炭治郎と禰豆子に恩を返すために禰豆子を人間に戻す炭治郎の理由に全力で協力する。それが俺の理由だ、いや、理由というより使命だな。」

 

蜜璃「炭治郎君とブロリーさんはお互いを慕い合っているんですね!素敵!」キュン

 

話し合っている内に玄弥が使う予定の部屋に到着したが、そこにはやはり玄弥の姿はなかった。そこへ隠の人が、蜜璃の武器がもうすぐ出来上がることを知らせにやって来た。

 

蜜璃「玄弥君いないわねー。」

炭治郎「うーん・・」

 

隠「甘露寺様。間もなく刀が研ぎ終わるそうです。最後の調整で工房の方へ来ていただきたく・・」

 

蜜璃「あらー。もう行かなきゃいけないみたい。」

 

炭治郎「気になさらず!お見送りします。」

 

ブロリー「俺も見送ろう。」

 

蜜璃「いいのよ。多分深夜発つことになるから。」

 

炭治郎「いや、でも・・そうですか・・うーん・・」

 

蜜璃「炭治郎君、今度また生きて会えるかわからないけど、頑張りましょうね。あなたは上弦の鬼と戦って生き残った。これはすごい経験よ。実際に体感して得たものはこれ以上ない程の価値がある。五年分十年分の修行に匹敵する。今の炭治郎君は前よりももっとずっと強くなってる。甘露寺蜜璃は竈門兄妹を応援してるよ~~。」ニコーッ

 

蜜璃の笑顔は純粋に禰豆子と炭治郎を全力で応援しているとわかり、二人は自然と笑みを浮かべた。

 

炭治郎「ありがとうございます。でもまだまだです俺は。宇髄さんと師範に"勝たせてもらった"だけですから。もっともっと頑張ります。鬼舞辻無惨に勝つために!」

 

蜜璃は、炭治郎の謙虚な姿勢と強い気持ちを感じ取って笑顔を浮かべた。そして今度はブロリーの方を向くと、その笑顔が満面のものになった。

 

蜜璃「それからブロリーさん。貴方にも改めてずっとお礼が言いたかったんです。お館様を苦しい呪いから解き放って本当にありがとうございます!」

 

ブロリー「俺は大したことはしていない。鬼舞辻無惨のせいで散々な目にあってたらしいからな。まああいつらが嬉しそうだったからそれでよかったがな。」

 

蜜璃「それでも私も本当に嬉しいの!それとブロリーさん。貴方と私ってなんか似てますね。恥ずかしいけど・・沢山食べるところだったり、力が強いことだったり。」

 

ブロリー「あぁ、似ているな。」

 

蜜璃「でもその反面貴方は優しい。私、貴方をかなり意識していますから!また生きて会えるかわかりませんけどお互い頑張りましょうね!」

 

ブロリー「蜜璃、次は確実に会えるぞ。」

 

蜜璃「?どうしてですか?」

 

ブロリー「俺はムシケラごときには殺されない。炭治郎や禰豆子、もちろんお前達も含めて全員死なせない。蜜璃が危なかったら俺が助けてやる。」

 

蜜璃「!ありがとうございます///本当に素敵!///」

 

ブロリーとの話が終わると、再び炭治郎の方を向いてもじもじし出した。

 

蜜璃「炭治郎君は長く滞在する許可が出てるのよね?」

 

炭治郎「あっハイ、一応は・・」

 

蜜璃は炭治郎の真横まで来ると、ひっそりと耳打ちした。

 

蜜璃「この里には強くなるための秘密の武器があるらしいの。探してみてね。」ヒソヒソ

 

蜜璃「じゃあね!」

 

それだけ言うと蜜璃は隠についていってその場を去っていった。残された炭治郎は可愛い女性に耳打ちされたことを理解して鼻血を吹き出すのだった。

刀鍛治の里にたどり着いた炭治郎と禰豆子とブロリー。ゆっくりしてもよいと言われても感覚を鈍らせないために体に刺激をいれる程度の鍛練はしようと、心に決めるのだった。




今回からは刀鍛治の里編です。主はここから先の展開が上手く妄想できてないので、今後は更にゆっくり投稿になると思います。迷惑をかけますが、どうかよろしくお願いします。それではまた次回。
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