炭治郎やブロリーが半天狗と玉壺の上弦二体を倒し、刀鍛治の里にいた者達は被害が最小限に抑えられて喜びを分かち合っていた。一方その頃、とある屋敷では、一人の少年が自室の本を大量に地面に落として散らかしていた。擬態している鬼の始祖"鬼舞辻無惨"は、半天狗の視界を通して太陽を克服した禰豆子を見たことで大興奮していた。そこへこの屋敷の奥さんとメイドが部屋に入ってきた。
「あら俊國どうしたの?こんなに散らかして。」
無惨「ついに太陽を克服する者が現れた・・!!よくやった半天狗!!」
「まぁ随分楽しそうね。読んだ本のお話かしらっ・・」パガッ ドシャ
「え?」
無惨は部屋に入ってきた奥さんの頚を撥ね飛ばし、隣にいるメイドは何が起きたのかが理解できずにただ狼狽えていた。
「えっ?奥様?首が・・どうしたんですか?どっ・・ええ?」
無惨「これでもう青い彼岸花を探す必要もない。クククッ。永かった・・!!しかしこの為、この為に千年増やしたくもない同類を増やし続けたのだ!十二鬼月の中にすら現れなかった稀有な体質!選ばれし鬼!あの娘を喰って取り込めば私も太陽を克服できる!!」メキメキ バーン
擬態を解いて子供の姿から成人男性の姿になるところを一部始終メイドは見ていて人間ではない化物が奥さんを殺したとわかると、悲鳴を上げて逃げ出そうとした。
「キャアアア!!人殺し!!化け物!!化け物!!旦那様ァー!!」グシャッ
無惨はメイドの上半身も撥ね飛ばして一瞬で命を奪った。禰豆子が太陽を克服したことで興奮が覚め止まないが、ふと何かを思い出してそれまで続いた興奮も治まった。それは、ブロリーが『スーパーサイヤ人4』に覚醒することが可能となったことである。
無惨(ブロリー・・!奴は半天狗と玉壺との戦いで更なる進化を果たした・・!何故だ・・!何故奴は十二鬼月と戦う度に違う姿へと進化するのだ・・!もはや私を軽くねじ伏せる力を持っているではないか!それだけではない。奴は手加減しているではないか!更に奴は常にあの娘のそばにいる。つまり迂闊に近寄ると殺される・・!だからといって奴らがあの逃れ者の女狐と手を組んでいることは朱沙丸を通して知っている。ブロリーが寿命で死ぬまで立てこもることも考えたが、それまでにあの娘が人間に戻って私が太陽を克服できない可能性が極めて高い!どうすれば・・!どうすれば・・!)
今の無惨は禰豆子を捕まえたいが、ブロリーには決して会いたくないのだ。ブロリーとの遭遇は自身の死を意味する。だが、太陽を克服するためには禰豆子を喰って取り込む必要がある。しかし、その禰豆子は、無惨にとって忌々しい『日の呼吸』を使う炭治郎と自身を遥かに上回る強さを誇るブロリーを倒さなければならない。更に上弦の鬼は既に四体もブロリーに殺られていて、今残っているのは上弦の弐・童磨と上弦の壱・黒死牟のみとなってしまった。そして相手の鬼殺隊の柱は誰一人として殺せていないのも現状で、明らかに鬼陣営が劣勢に追い込まれていた。無惨が半天狗と玉壺の視界を通して戦闘を見ていてもブロリーが手加減して戦っているのは解るため、残り二体の上弦と共に無惨がブロリーと戦ったとしてもおそらく・・いや、絶対に勝ち目など無いだろう。つまり無惨はある意味詰んでいる状況なのである。だからといって禰豆子を諦める選択肢はなかった。千年かかってようやく見つけた太陽を克服した鬼なのだ。禰豆子の次に克服する者に照準を合わせるとなると更に気が遠くなるほどの年月がかかる上に必ず現れる保証もないのだ。太陽の克服を自身が行うことは非常に難しいことを理解した無惨は頭をかかえた。
無惨(まずブロリーについて考えるのは後にする。これ以上奴のことで悩むと知恵熱が出そうだ・・他の鬼狩りの柱共は特に警戒する必要はなさそうだが、今の十二鬼月の数があまりにも少なすぎる・・!まずは上弦の補充をしなくては。)
ひとまずブロリーのことについて考えることを止めた無惨は、その他の柱を滅殺することを目的として欠けた十二鬼月の補充に動くのだった。
―――
一方でその後何事もなく無事に隠達と合流したブロリー達は、刀鍛治の住人達の移転と亡くなった者達の埋葬、更に里全体の移動に取り組んでいた。一度鬼に襲撃された以上、この日の夜にも再び襲撃を受ける可能性が非常に高いからだ。鬼は里の復興を待ってくれるはずがなく、人が命を落としてもこの世の巡りは止まらないのだから。失った者達を悼む時間はなかった。
鍛治の里から帰って来てから数日後、炭治郎は重症だったこともあり蝶屋敷に入院していて。今はおむすびを頬張りながら隠の後藤と対談していた。
炭治郎「そうなんですね。もう拠点を移して・・」
後藤「"空里"っていうのをいくつか作ってんのよ。何かあったらすぐに移れるように。つーかお前また七日も意識がなかったのにそんなに食って大丈夫か?」
炭治郎「はい!甘露寺さんも師範もいっぱい食べると言ってたんで!」
後藤「あの人達はちょっと原理の外側にいる感じだけどな。恋さんと霞さん二日眠ってその後三日でほぼ全快だったって?」
炭治郎「はい、尊敬します。師範に至ってはどこも怪我してなかったので数時間休んだだけで完全に全快だったらしいです。」
後藤「・・あの人は人間じゃねぇ、サイヤ人だからな。上弦二体と戦って無傷で勝ったんだろ?ヤベェよ・・」(お前も段々と近づいてんだよ・・段々とな・・)
上弦二体を倒したことは喜ばしいのだが、人間離れしているもの達に段々と近づいている炭治郎についていけなくなりそうで後藤は頭をかかえた。
後藤「・・まぁ早く元気になるならいいけどよ。みんな生きてて良かったな。」
炭治郎「はい?」
後藤「あっ、これ一番聞きたかったんだわ。妹がえらいことになってるらしいけど大丈夫なのか?」
炭治郎「あっはい!太陽の下をトコトコ歩いてますね。」
後藤「やばくね?それマジでやばくねぇか?今後どうなるんだよ。どういう状態なんだ?妹はよ。」
炭治郎「今調べてもらっているんですけどわからなくて、人間に戻りかけているのか鬼として進化しているのか・・」
後藤「胡蝶様が調べてくれてんの?」
炭治郎「いや珠世さんが・・!!」ゲホッゲホッゲホッ
鬼である珠世の名前をうっかりと出してしまった炭治郎は盛大にむせて咳き込んだ。後藤は誰だと思ったが、炭治郎が急に咳き込んだのでそれどころではなくなった。
後藤「おいおい!!やっぱ食い過ぎだろうが!病み上がりなんだから控えろよ!!」
炭治郎「ハー、ハー」(あぶなかった・・)
後藤「っていうかチビ三人と妹はどこにいんだよ?アオイちゃんもいねぇしよ。」
炭治郎「今は重体の隊士もいないらしいので、ずっと禰豆子と遊んでくれてるんですよ。そのおかげで少しずつしゃべれるようになってきて、あっでも師範のことは最初からわかってたみたいです。」
後藤「ああ、そうなのか平和だな。ただあの黄色い頭の奴が来たらえらいことになるんじゃねえの?」
炭治郎「えっ?」
この後藤の懸念は現在進行形で的中していることを二人は知るよしもなかった。
蝶屋敷の庭では今善逸が禰豆子を見て顔を真っ赤にして発狂していたのだった。
善逸「ギャィィアアアアアア!!!!」
アオイ/きよ「うるさいっ・・!/・・っ!」
禰豆子「お、おかえり!」
善逸「可愛いすぎて死にそう!!」
アオイ「どうぞご自由に!!」
善逸「どうしたの禰豆子ちゃん喋ってるじゃない!俺のため?俺のためかな?俺のために頑張ったんだね!とても嬉しいよ!俺たちついに結婚かな!?」
きよ(耳が・・)
アオイ「あっち行ってください!!」
善逸「月明かりの下の禰豆子ちゃんも素敵だったけど太陽の下の禰豆子ちゃんもたまらなく素敵だよ!素晴らしいよ!結婚したら毎日寿司とうなぎ食べさせてあげるから!安心して嫁いでおいで!!」
禰豆子「おかえりいのすけ。」
アオイ「!・・プフッ・・」
アオイは間違えられた善逸に吹き出した。伊之助は蝶屋敷へ来たときからひらすら禰豆子に自分の名前を覚えさせたのである。その事もあいまって名前を間違えられた善逸はこの場にいない伊之助に向かって物凄い殺意を向けた。
善逸「あいつどこにいる?ちょっと殺してくるわ・・!」
アオイ「物騒なこと言わないで!!」
隊律違反紛いなことを言い出した善逸にアオイは釘を刺すのだった。
そしてこの日、産屋敷邸では現役の柱九名での緊急柱合会議が開かれていた。
天元「ブロリー!お前またしてもド派手に上弦を倒したらしいな!しかも二体!」
ブロリー「あぁ。鍛治の里とやらに俺の刀を整備するために行ったら襲ってきたからな。軽く血祭りに上げたがな。」
実弥「ケッ!羨ましい限りだぜぇ。俺なんてそこら辺の雑魚鬼くらいしか殺ってねぇってのによォ。なんで俺は上弦に遭遇しねぇのかねぇ。」
小芭内「こればかりはな。遭わないものはとんとない。甘露寺と時透、その後体の方はどうだ?」
蜜璃「あっうん!ありがとう随分よくなったよ。」(キャッ!!心配してくれてる!!)
無一郎「僕も・・まだ本調子じゃないですけど・・」
行冥「これ以上柱が欠ければ鬼殺隊が危うい・・死なずに上弦二体を倒したのは尊いことだ。」
しのぶ「今回のお二人ですが傷の治りが異常に早い、何かあったんですか?」
義勇「その件も含めてお館様からお話があるだろう。」
義勇が言い終わったちょうどいいタイミングで襖が開き、耀哉をはじめとした産屋敷一家が総出で出てきた。
耀哉「みんな、今日は急に来てもらって済まないね。顔ぶれが変わらず柱合会議が開かれることを嬉しく思うよ。」
ババッ
耀哉が姿を見せた途端、八名の柱は正座をしてから両手を畳について頭を下げた。そんな中でブロリーのみは胡座をかいたまま耀哉達の方へ顔を向けるだけだった。それを横目で見た実弥や小芭内は額に青筋を浮かべた。
実弥「テメェ・・!お館様に失礼な姿勢をとるのいい加減やめろやァ・・!!」
小芭内「全く不死川の言うとおりだ、いい加減身の程をわきまえたらどうだ?正座をして地面に頭がつくくらい下げろ。」ネチネチ
天元「・・お前らもいい加減学習しろ。お館様はブロリーを派手に許容してる。お館様がお決めになったことなら俺らは従うだけだろ。」
無一郎「ブロリーさんはこれでいいの、許されるほどの実績を残してるんだから。不死川さん達こそ余計なことは言わないでくれないかな?お館様が話せないし時間の無駄だから。」
実弥「んだとォ!?」
柱同士で喧嘩が始まりそうになったとき、行冥がバチンと両手を思いっきり合わせた。
「「「「!!」」」」
行冥「不死川、伊黒、気持ちはわかるが今はお館様の話が優先だ。ブロリーもあまりに出過ぎた真似は控えることだ。」
ブロリー「普通にしているつもりなんだがな。」
柱の中でもリーダー的存在である行冥の一声で対立していた四人は静かになった。そしてそれを見計らった行冥は耀哉に挨拶を行った。
行冥「お館様が望むのであれば我々はいつでも駆けつけましょう。お館様が一日でも長くその命の灯火燃やしてくださることを祈り申し上げる・・」
耀哉「ありがとう行冥。今日の会議の内容はみんな既に聞いたと思うけど、禰豆子が太陽を克服した。日の光を克服した鬼が現れた以上、鬼舞辻無惨は目の色を変えてそれを狙ってくると確信しているんだ。自分も太陽を克服するためにね。大規模な総力戦が近づいている。上弦の肆・伍との戦いでブロリーが全く別の姿になって倒したと聞いている。ブロリー本人は勿論蜜璃、無一郎も当時のことを説明してもらいたいと思っている。」
耀哉はブロリーの『スーパーサイヤ人4』にとても興味があるようで刀鍛治の里にいた柱三人から詳しく聞こうとしていた。
耀哉「鎹鴉からの報告によると前見せてもらった姿とは異なって"黒髪"と"猫みたいにしなやかな赤い体毛"が身体に生えてる姿だと上がっている。どうやってその姿になったのか、そしてその強さはどれ程のものだったのか説明してもらえるかい?蜜璃、無一郎、ブロリー。」
蜜璃「はっはい!!確かにあの時の姿は凄く強かったです!えーっとえーっと・・ゴオオオオってなりました!バッてしてゴォーって。変身したらポヒーポヒーって投げてドッカーンって上弦の鬼を倒してました!」
産屋敷「「「「「「「・・・・」」」」」」」ポカーン
柱「「「「「・・・・」」」」」ポカーン
蜜璃も炭治郎と同じように説明に擬音を使うため、人に教えたり説明するのが猛烈に下手だった。うまく説明できておらずみんな呆然としていた。小芭内は頭を抱え、実弥は青筋をたてていた。
蜜璃「・・申し訳ありません。穴があったら入りたいです。」
ブロリー「・・蜜璃、気にするな。直接俺がやって見せればいい話だ。」
耀哉「そうだね。それが一番だ。お願いね。」
ブロリー「はい・・」
ブロリーは立ち上がると歩いて部屋から出ようとした。それに実弥が青筋を立てて止めようとした。
実弥「おい待てやァ。どこへ行くつもりだァ?まだお館様達が退出してねぇだろうが。ここでやれやァ。」
ブロリー「いいのか?あれは変身するときに空気を大きく揺らすものだ、下手したらこの部屋が壊れるぞ。それでもいいのか?」
実弥「!・・チッ!だったらさっさとしろォ。」
ブロリーの今の言葉は脅したつもりは本人に全くないのだが、主である耀哉に失礼な態勢を常にとっていて気にくわない相手であるため、実弥は煽られたように感じ不服ながら渋々了承したのだった。産屋敷邸の庭で『スーパーサイヤ人4』になったブロリーはすぐさまもとの部屋に戻っていった。再び襖を開くと、他の柱の人たちは皆興味津々そうにブロリーを見た。
蜜璃「!これこれ!この姿!上弦の肆と伍を倒したのはこの姿のブロリーさんです!」
無一郎(猫・・やっぱりこの感触好き・・)フサッ モフモフ
蜜璃は助けられたこの姿にキュンとして無一郎は早速猫の感触を楽しんでいた。
行冥(南無・・猫・・)
実弥(・・チッ・・)
天元「ド派手な姿じゃねぇか!」
義勇「・・・・」(猫・・)
しのぶ「・・ッ」ジリッ
ブロリーの『スーパーサイヤ人4』の姿を目の当たりにして行冥は真っ先に猫を想像し、実弥はこの姿を少し愛くるしいと感じた自分に腹が立ち内心で舌打ちした。天元は今までのよりも派手な姿に興奮と感心で一杯になり、義勇はただ猫っぽいと思うだけであった。体毛のある動物が苦手なしのぶは顔を強張らせると少しだけ距離を開けた。
耀哉「そうか。それが上弦二体を倒した時の姿なんだね。猫みたいで愛くるしいね。」
輝利哉・かなた・にちか・くいな・ひなき(((((可愛い///)))))
あまね(ブロリー様・・愛くるしくて尊くて素敵です!///)
その姿は産屋敷一家にも評価され、耀哉は微笑み、あまねや子供達は顔が赤くなり、今すぐ無一郎のように楽しみたい衝動を必死に耐えていた。
耀哉「ブロリー、その姿になることができたきっかけと力の強大さは覚えているかい?もし覚えてるなら言ってほしいかな。」
ブロリー「きっかけは覚えている。上弦のムシケラ共に蜜璃と無一郎と炭治郎と禰豆子が殺されそうになったことに対する怒りと悲しみだな。からくり人形の訓練の成果もあっただろうが、体の気を冥一杯解放したらこの姿になったんだ。それと同時に本能的にも感じた。今までもそうだったが、"全力を出すとこの星が粉々になる"とな。だからムシケラを血祭りにあげたときは力の千分の一も出していない。」
しのぶ「!?全く力を出していないのに上弦を倒したってことですか?」
天元「だろうな!俺と上弦を倒したときもお前はまだまだ余裕がありそうな感じだったからな!それに感情で変身するたぁド派手じゃねぇか。ブロリーの快進撃は止まらなそうだな。」
実弥「チッ、感情だと?そんな簡単なことでいいのかよォ。」
義勇「(ブロリーの心情を知らずに)簡単と言ってしまえる簡単な頭で羨ましい。」
実弥「何だと?」
義勇「何も。」
ブロリーが上弦の鬼を相手にゼロに限りなく近い程でしか戦っていないとの情報に、しのぶは驚きを隠せず天元は感心していた。そしてブロリーからきっかけと強さを聞くことができた耀哉は満足そうに笑顔を向けた。
耀哉「そうかい。ありがとうブロリー。皆、私はブロリーがここまで強く柱までもを守れるようになってくれたことが凄く嬉しいんだ。でもその反面、このままでは不味いとも思っているんだ。」
無一郎「?何故ですか?ブロリーさんや僕たちが上弦の鬼を倒して行けば確実に鬼舞辻を倒せると思います。」
蜜璃「私も同じです。このまま行けば残りの上弦と鬼舞辻は倒せるかと。」
耀哉「・・確かに今のブロリーがいれば確実に鬼舞辻を倒せると私は確信している。でも鬼舞辻が禰豆子を狙って総力戦になるとも思っているんだ。どれだけ強くてもブロリーは一人しかいないんだ。ブロリー頼りの戦いをしてしまって連戦が続けばもしかしたらやられてしまうかもしれない。そうなってしまうと一気に戦力が落ちてしまう。可能性は限りなく低いが少しでも不安材料は排除しておきたいんだ。皆生きて帰るのが一番だからね。あまね、後は頼めるかい?」
あまね「はい耀哉様。皆様には更なる戦力強化をしていただきたいと思っております。幸い今は鬼の出現もぴったりと収まっています。そこで下の階級の者達を柱様の手で鍛え上げていただきたいのです。ご多忙な中こんなことを頼むのは断腸の思いです。ですが犠牲者をできる限り減らしたいのです。どうかお願いします。」ペコッ
輝利哉・かなた・くいな・にちか・ひなき「「「「「お願いします。」」」」」ペコッ
耀哉「私からもお願いするよ。方法はみんなに任せるから、鬼舞辻との決戦に備えて戦力強化を計りたいんだ。だからどうかお願いします。」ペコッ
産屋敷一家は戦力強化を狙って柱達に稽古をつけてほしいとお願いしたのだ。そして丁寧に頭を下げた。これに慌てたのは柱達である。普段心の底から尊敬しているお館様が自分達に頭を下げたのだから、柱を代表して行冥があくまで冷静に言った。
行冥「頭をお上げくださいお館様。私たちは既にお館様に忠誠を誓っております。そのようなことであれば反対せずに受け入れる次第でございます。」
行冥が頭を下げると他の柱達も同じくといわんばかりに頭を下げた。
耀哉「ありがとう皆。それではさっきも言ったと思うけど、方法はみんなに任せるね。鬼殺隊がより良い方向に行くように祈ってるよ。お願いね。」
「「「「「「「「御意。」」」」」」」
ブロリー「ところで耀哉、いい加減にもとに戻ってもいいか?」
耀哉「あぁわざわざ済まないねブロリー、もう戻っても大丈夫だよ。」
耀哉の許可を得たブロリーは"通常形態"に戻った。すると、楽しんでいた無一郎やブロリーに視線が釘付けだった輝利哉達は心の中で残念そうにした。
無一郎「あっ・・」
輝利哉・かなた・くいな・にちか・ひなき(((((あっ・・戻っちゃった・・)))))
蜜璃(むぅ、残念・・終わったら私も堪能しようと思ったのに・・)
ブロリー以外の柱はみんな返事して、それに満足したように耀哉とその家族は退出した。そして柱のみが残されると、早々に義勇が立ち上がった。
義勇「あまね殿も退出されたので失礼する。」スッ
実弥「おい待てェ失礼すんじゃねぇ。それぞれ今後の立ち回りも決めねぇとならねぇだろうが。」
義勇「八人で話し合うといい。(柱ではない)俺には関係ない。」
小芭内「関係ないとはどう言うことだ、貴様には柱としての自覚が足りぬ。それとも何か?自分だけ早々に鍛練を始めるつもりなのか?会議にも参加せず。」ネチネチ
小芭内の言ってることにも無反応の義勇は部屋を去ろうとした。蜜璃は冷や汗をかいて実弥は血管を顔中に浮かび上がらせた。
実弥「テメェ!待ちやがれェ!」
しのぶ「冨岡さん、理由を説明してください。さすがに言葉が足りませんよ。」
ブロリー「どこへ行くんだぁ?」
義勇「・・・・(柱ではない)俺はお前たちとは違う。」
実弥「気に喰わねぇぜ・・前にも同じこと言ったなァ冨岡。俺たちを見下してんのかァ?」バッ
とうとう我慢できずに勢いよく立ち上がった実弥に、蜜璃は慌てて止めようとする。
蜜璃「けっ喧嘩は駄目だよっ。冷静に・・」
実弥「待ちやがれェ!!」
蜜璃「キャーッ!!ダメダメ!!」
蜜璃の制止も目に入っていない実弥は義勇に掴みかかろうとした。その時、行冥が両手をバチン!と鳴らした。その時の衝撃波は、周囲の空気を揺らすほど重いものだった。そして行冥はある提案をした。
行冥「座れ。話を進める。ひとつ提案がある。」
行冥が出した提案。それは順番に柱の屋敷を回ってそれぞれ別の項目を鍛えるというものであった。名付けて『柱稽古』というものが鬼殺隊で行われようとしていた。
場所は変わって蝶屋敷、入院している炭治郎のもとに鋼鐵塚が三百年前の刀を研ぎ終えて持ってきたのである。
炭治郎「あー!!鋼鐵塚さん!!研磨が過酷と聞いていたんですけど大丈夫ですか!良かった!!」
鋼鐵塚「ハァーハァーハァーフゥーハァー・・」
炭治郎「大丈夫じゃない感じですか!?」
鋼鐵塚は物凄く息が荒く、とても疲れているようだった。これだけで研磨がどれ程辛くてきつかったのかがよくわかるくらいであった。そして鋼鐵塚は無言で炭治郎に日輪刀を差し出した。
炭治郎「あっ刀・・ありがとうございます。」
あまりにも辛そうにしている鋼鐵塚を見かねた後藤が、椅子を差し出した。
後藤「座ってください。大丈夫スか?」
鋼鐵塚「ハァハァフゥフゥ・・」ストン
炭治郎「刀身と刃を見てもいいですか?」
鋼鐵塚「・・早く・・しろ・・」
炭治郎「わっわかりました・・」
静かな圧を放って急かす鋼鐵塚に冷や汗を滴しながら急いで鞘から抜いた。すると、それは以前よりも漆黒の深さがより濃いものになっていた。あまりにも美しい刀に炭治郎は思わず息を飲んだ。
炭治郎「凄い・・漆黒の深さが違う・・」
鋼鐵塚「鉄も質がいいし、前の持ち主が相当強い剣士だったんだろう。」フゥフゥ
炭治郎「滅の文字・・」
炭治郎が見つけたのは鍔と刀身の間にある"滅"という文字だった。普通鬼殺隊の日輪刀は、柱の刀には"悪鬼滅殺"の文字が入っていて、それ以外の階級の者は何も掛かれていないのだ。ちなみにブロリーの日輪刀は、炭治郎が初めて折って新しいものを申請した際に"ブロリーが柱になった"との情報が既にあったので新しく"悪鬼滅殺"の文字が入れられたのである。しかし皮肉なことに、またもやブロリーは一度も刀を使っていないため、本人や炭治郎達、更には他の柱も知らないのだ。そしてこのときもブロリーは柱合会議に出ていてこの場にはいないのだ。この"滅"の文字を知っているのは、炭治郎と鋼鐵塚のみなのである。炭治郎が気にしたことに鋼鐵塚は説明を始めた。
鋼鐵塚「この刀の後から階級制度が始まり、柱だけが悪鬼滅殺の文字を刻むようになったそうだ。」
炭治郎「そうなんですね、凄い刀だ・・」プルプル
炭治郎は今持っている日輪刀のすごさを理解すると、緊張して小刻みに震えていた。そして鋼鐵塚は急に尋常ではない程の殺気を炭治郎にぶつけた。
鋼鐵塚「そんなことよりもだ炭治郎。お前はこれで俺の刀がダメにされたのは何度目だと思っている!そんなお前を見かねて俺はこの刀を研磨術でここまで磨いてやったんだ!今もまだ筋肉痛が酷くてずっと涙が出てるんだよ!痛くて痛くてたまらないんだよ!!」
炭治郎「すみません!!」
殺気を放ちながら炭治郎の頬を引っ張る鋼鐵塚に後藤が思わず助け船を出した。
後藤「でもコイツは怪我で体の酷さは負けてないっスよ。身体中の骨折れまくってるしコイツ。」
鋼鐵塚「・・・・ブチ殺すぞ・・!!」
後藤「話通じねぇな!!」
鋼鐵塚「いいか炭治郎、お前は今後死ぬまで俺にみたらし団子を持ってくるんだ。いいなわかったな?」
炭治郎「は・・はい持っていきます。」イデデデ
炭治郎の返事を聞いた鋼鐵塚はフラフラと力なく動いて蝶屋敷を後にした。
炭治郎「ありがとうございました!お大事に!」
後藤「噂には聞いてたけどスゲェ人だな。」
炭治郎「今日はかなり穏やかでしたよ。相当辛いみたいです。」
後藤「マジかよ・・」
玄弥「さっきからうるせぇんだよ。」
そして今この場には炭治郎が寝ているベッドの隣で玄弥も寝ていた。なのにさっきから騒がしい炭治郎達をジト目で睨み付けていたのだ。
炭治郎「あ、ごめん玄弥。もう済んだから。騒がしくして悪かったよ。」
炭治郎が玄弥に謝罪した瞬間、伊之助が蝶屋敷の窓を突き破って病室に入ってきた。
伊之助「うおおお!!」バリーン ガシャガシャ
炭治郎「ああーー!!伊之助・・!!何してるんだ!窓割って・・」
後藤「お前馬鹿かよ!胡蝶様に殺されるぞ!」
伊之助「ウリィィィィ!!」
後藤「黙れっ!」
玄弥(部屋を別にしてほしい・・)
伊之助「強化強化強化!!合同強化訓練が始まるぞ!!強い奴らが集まって稽古つけて・・何たらかんたら言ってたぜ!」
炭治郎「?何なんだそれ?」
伊之助「わっかんねぇ!!」いばり
炭治郎「なるほど・・」
ちなみにこの後、しのぶによって伊之助が雷を落とされたのは言うまでもない。そして伊之助が言っていたのは"柱稽古"のことである。遂に始まったのだ。何故このような提案が行冥から出されたのか。それは基本的に柱は継子以外には稽古をつけなかったのだ。理由は単純、忙しいのである。警備担当地区の見回りや鬼の情報収集、更には自身の剣技向上などやることが多かったのだ。しかし禰豆子が太陽を克服して以来、今までの鬼との戦闘の日々がまるで嘘のようにピタリと納まったのだ。来るべき戦いに備えるための鬼殺隊全体での戦力の底上げが始まったのだった。
今回はブロリーの出番がかなり少なくなってしまいました。次回はもっと多くの出番が来るように頑張ります。それではまた次回。