産屋敷邸に無惨が襲撃し、柱を始めとした殆どの隊士は鳴女の血鬼術で無限城へと落とされた中、ブロリーだけは無惨に阻まれて無限城へと行くことが出来なかったのだ。襖が消えた空間をブロリーが見つめていると、後ろから耀哉が声をかけた。
耀哉「ブロリー。」
ブロリー「なんだ?」
耀哉「どうして助けてくれたんだい?」
耀哉の質問にブロリーはゆっくりと振り返った。そこにはいつも通りの優しい笑みを浮かべている耀哉がいた。
ブロリー「・・感心しないな耀哉。俺がせっかくムシケラの呪いから解放したと言うのに、妻と娘共々死のうとするとはな。」
耀哉「ごめんね。こうするしか無惨に一撃でも報いる方法が思いつかなかったんだ。・・君だけがここに取り残されてしまったのは私の責任だ、申し訳ない・・」
耀哉はブロリーに対して深々と頭を下げた。ブロリーを炭治郎達の助太刀させることが出来なかったのを悔いていたのだ。だが、ブロリーは"そんなことはどうでも良い"と言わんばかりにため息をついた。
ブロリー「・・はぁ、俺よりも娘二人に謝罪するんだな。」
耀哉「え?」
ブロリー「お前達を屋敷の爆発から助けたとき、娘二人は俺に強くしがみついて震えていた。そいつらはまだ成長しきっていない子供だ。屋敷の爆発で死にそうになったんだ、相当怖かったんだろうな。」
耀哉がにちかとひなきに顔を向けると、二人は涙を流しながらぶるぶると震えていた。そして自分の気持ちを正直に伝えた。
にちか「・・申し訳ありません父上・・鬼舞辻無惨を倒すための作戦だと・・覚悟を決めていましたが・・やっぱり死ぬのは怖くて・・グス・・ブロリー様に助けられてからその気持ちがより強くなって・・うぅ・・ごめんなさい・・!ごめんなさい・・!」ポロポロ
ひなき「・・すみません父上・・長女だからと気持ちを抑えていたんですが・・私もとても怖くて・・ブロリー様に助けられ・・つい安心してしまいました・・グス・・父上と母上の側を離れないと決めたのに・・グス・・申し訳ありません・・!」ポロポロ
にちかとひなきは命が助かった安心感と、産屋敷一族の一員としての覚悟を全うできなかったことに色々な感情がごちゃ混ぜになって、顔を覆って大泣きしてしまった。娘の本当の気持ちを知った耀哉とあまねはそんな二人に寄り添って優しく抱き締めた。
あまね「謝ることはないわ、貴女達は正直に打ち明けてくれた。よく頑張ったわね。もう大丈夫よ。」
耀哉「ひなき、にちか、そこまで怖い思いをしていたんだね。娘の思いにも気づけないなんて、私は父親失格だね・・だから私の方だ。怖い思いをさせてしまって申し訳ない・・」
ひなき「父上・・!」ポロポロ
ひなき「母上・・!」ポロポロ
ひなきとにちかは両親に抱き着いて落ち着くまで泣き続けた。耀哉とあまねも二人が落ち着くまで頭を撫でたり、背中を優しく叩いたりしたのだった。
少し時間が経って炎の手が届かないところへと移動したブロリー、耀哉、あまね、ひなき、にちかの五人は、改めて深々と頭を下げた。
耀哉「ブロリー、私の家族を助けてくれてありがとう。心からお礼を言うよ。」ペコ
あまね「ブロリー様、娘と夫を救ってくださってありがとうございました。」ペコ
ひなき・にちか「「ありがとうございました。」」
ブロリー「・・お前達が無事も確認できた。俺は炭治郎達のところへ行く。」
耀哉達のお礼をブロリーは軽く流して炭治郎達のところへ向かうと言ったのだ。これには耀哉もひどく驚いた。
耀哉「!・・ブロリー、それはいいけどどのようにして行くんだい?皆を飲み込んだあの襖は恐らく鬼の異能だ、それも異空間に繋げられるかなり強力なものだ。その鬼にもう一度襖を出してもらわないと行けないんじゃないかい?」
ブロリー「・・俺には考えがある。耀哉、ムシケラにできて俺に出来ないと思っているのか?俺は炭治郎達のところへ行ける確信を持っている。」
耀哉「・・そうだね。今まで君は不可能を可能に変えてきたんだ、ブロリーならやってくれそうな気がしてきた。お願いしてもいいかい?」
ブロリー「受けてやろう。それよりお前達はこれからどうするんだ?はっきり言ってここにはもう住めないぞ。」
耀哉「そうだね。今はとりあえず、杏寿郎に槇寿郎、左近次が輝利哉の護衛についてるからそこに行こうと思っているよ。」
ブロリー「杏寿郎に鱗滝がいるところか、ならば問題ないな。・・お前の息子はそこで何をしてるんだ?」
耀哉「輝利哉は私に変わって隊士達を采配して、今まで通り鬼の斬殺に尽力しているよ。でもブロリーには自由に動いてもらおうと思ってるんだ。君は鬼殺隊の誰よりも強いからね。君の意思に任せた方が安心だと思ってね。」
ブロリー「・・嘘だな。」
耀哉「え?」
ブロリー「本当は俺を使いたいんだろう?ようやく鬼舞辻無惨を見つけたんだ。これはお前達にとって最大のチャンスじゃないのか?お前達にとって無惨を倒すのは長年の目標で執念だ、そう簡単に方針を変えるとは思えん。」
ブロリーは、かつて自分を負かした孫悟空やその息子の孫悟飯、ベジータ、トランクス、ピッコロのことを思い出した。執念でどれだけ傷だらけにしても立ち上がってくる彼らに、ブロリーは何故立ち上がれるんだとばかり思っていた。しかし、別世界に来て鬼殺隊に入ってから悟空達の強さの理由がわかった。仲間が致命傷を負うと、怒りと憎しみが体を突き動かしてとんでもない力を発揮するのだ。それはブロリーも幾度も経験していた。炭治郎達が鬼に殺されそうになったときは、とてつもない怒りで、形態が次々と覚醒していったのだ。呪いをかけられて千年もの間短命に苦しめられた産屋敷一族が、無惨に対する怒りや憎しみが尋常ではないと想像するのは容易いことだった。ブロリーの推測を聞いた耀哉は諦めたように息を吐いた。
耀哉「はぁ、ブロリーには敵わないね。本当は君も私や輝利哉の采配に組み込みたいんだ。でも君は自分よりも弱い者に指示されるのは嫌いみたいだからね。私を呪いから解放してくれたり、爆薬を仕掛けた屋敷から守ってくれたりはしているけど、慕ってはいないみたいだから私に色々指示されるのは嫌かなと思ってね。君は君の意思で動いて貰いたいんだ。」
耀哉の気持ちと言葉を聞いたブロリーは、腕を組んで考える仕草をした。耀哉の言うとおりで、ブロリーは誰かに命令されて動くことは大嫌いなのだ。炭治郎や禰豆子、義勇、しのぶの言うことを素直に聞くのは、ブロリー自身が彼らを信頼して認めているからである。私利私欲のためではなく、周りの人やブロリー自身のためにもなることが多かった為、言うことを聞いたのだ。耀哉の呪いを解放したり救ったりはしているものの、ブロリーは他の柱のように忠誠を誓っているわけでも慕ってるわけでもなかった。なので禰豆子の件については感謝こそしているものの、自分が身分が低いとは全く思ってないのだ。柱合会議のときも頭を下げたりせずに堂々と振る舞っているのは、その思いの表れだった。しかし、今までで見ても耀哉の采配には外れはない。炭治郎の任務を共にこなしているブロリーだが、彼らは血鬼術を使う一筋縄では行かない鬼と必ず当たっていた。それも考えたブロリーは、何かを決意した表情になる。
ブロリー(・・確かにコイツの言うとおりだ、俺は雑魚から命令されるのは嫌いだ。勿論耀哉も例外ではない、ムシケラと戦わない耀哉から命令されるなど嫌だからな。だが、耀哉は外したことは一度もないな。・・よし決めた。)
ブロリー「おい耀哉!光栄に思え。俺と一緒にムシケラ共をぶっ潰させてやる。」
耀哉「!」
ブロリー「貴様の指示はなかなか的確で使えるものだ・・特別に、俺に命令することを許してやろう!俺に酷い目に合わせられたくなければ的確な方へ導け!ハハハハ!!フハハハハハ!!」
耀哉「ブロリー・・本当に良いのかい?本当にこんな私が君に指示を出しても良いのかい?」
ブロリー「二言などはない。貴様を信用しているから指示通り動いてやると言ってるのだ。」
ブロリーは今この時、耀哉の采配の上手さを認めて指示を出すことを許可したのだ。それに耀哉は感極まって涙が出そうになるのを必死に堪えていた。
耀哉「ありがとう・・ありがとうブロリー。私の可愛い剣士達をお願いね。」
ブロリー「承知した。」ビュオオオ
ブロリーは強気な笑みを浮かべると、炭治郎達の気を頼りに空を猛スピードで飛んでいった。ブロリーの姿が見えなくなるまで上を向いて見送った耀哉は、やがて家族の方へと向き直った。
耀哉「さてと。あまね、ひなき、にちか、私達も輝利哉のところへ向かおうか。」
あまね「はい、貴方。」
ひなき・にちか「「はい、父上。」」
耀哉達は息子である輝利哉とくいな、かなたが隊士を采配している新たに拠点にした屋敷に向かって歩き始めたのだ。最後尾を歩く耀哉が他の柱達と共に異空間へ落ちた無惨へと告げた。
耀哉「鬼舞辻無惨、お前を絶対に逃がさない。君は"千年の間、神も仏も見たことがない、人を殺しても許される"とそう言ったね。決してそんな事はないんだよ。今まで君や十二鬼月、その他の鬼達が罪の無い人の命を奪ってきた。千年経った今、破壊の悪魔のブロリーが鬼殺隊へと入った。彼は君達鬼よりも断然強い、確実に血祭りにあげられるよ。今までのツケが回ってきたね。異空間をも越えられるブロリーは、君を絶望に追い詰めるだろう。さぁ死の恐怖を味わいながら、ブロリーに八つ裂きにされるといいよ。」
耀哉はブロリーを自分達の采配に組み込むことが出来るようになり、悲願の達成を確信した。その表情は、柱達でさえ見たことがないような自信に満ち溢れているのだった。
―――
場所が変わり、炭治郎達は襖に落とされた先の場所、無限城に入っていた。落下中の炭治郎は、どこか掴める物があるかどうか必死に周りを見回していた。
炭治郎(何だここは・・!!上下左右めちゃくちゃだ!敵の血鬼術で造られた場所なのか!?前後の状況はわからないが、珠世さんが無惨を抑え込んでた!だけどそれもいつまで保つかわからない!一刻も早く無惨の所へ行き、倒さなければ!!一刻も早く!!いや、それよりも前に俺が底に叩きつけられて死ぬ!技を出して軌道を変え、建物のどこかを掴むんだ!!・・!!体制が悪い・・!!落下の圧で踏ん張りがきかない!)
しかし炭治郎自身は体制を変えることが出来ず、万事休すかと思われたそのとき、義勇が炭治郎の羽織を掴んで落下を止めた。そして充分勢いを殺した所で手を離した。
炭治郎「ぎっ・・!?」ドサッ
義勇「大丈夫か?」
炭治郎「はい!ありがとうございます!助かりまし・・水の呼吸、壱の型!水面斬り!」ザン
ところが、一安心する暇はなかった。義勇に助けられた炭治郎の後ろに、人間の姿とは大きくかけ離れた異形の鬼がすぐ背後まで迫っていたのだ。しかし、炭治郎は今まで幾度も修羅場を潜り抜けてきた階級の高い鬼殺隊の剣士である。十二鬼月でもなければ血鬼術も使えない鬼など、最早敵ではなかった。振り向き様に呼吸を使うことですぐさま鬼の頚を斬った。
義勇「炭治郎!!」
炭治郎「!!」
だが、襖の更に奥から沢山の異形の鬼が押し寄せてきたのだ。炭治郎はすぐに構えて技を出し、それを見た義勇も炭治郎に合わせる形で技を出した。
炭治郎「水の呼吸!陸の型!ねじれ渦!」
義勇「水の呼吸、参の型、流流舞い。」
バラバラ
その場の鬼は全て片付け、炭治郎は改めて義勇の凄さに驚いていた。しかし、沢山の鬼をたった二人で無傷で撃破するという明らかに凄いことをしたのに、義勇は相変わらず無表情で炭治郎は義勇の気持ちがわかることはなかった。
炭治郎(・・義勇さんが凄い・・俺の僅かな動きで何の技を出すか把握、その後に自分も技を出してお互いが斬り合わないように動く・・この人ヤバい・・どういう気持ちの顔これ?)
義勇「行くぞ。」てちてち
炭治郎「はい!」
そして二人は、一刻も早く無惨の所へ行くためにその場を後にするのだった。
別の場所では蜜璃と小芭内が沢山の異形の鬼と対峙していた。
小芭内「蛇の呼吸、伍の型、蜿蜿長蛇。」ザン
小芭内は大蛇のうねりを連想させるような太刀筋で、異形の鬼の頚を一気に跳ねた。
小芭内「甘露寺に近づくな、塵共。」
蜜璃(キャーーッ!!!伊黒さん素敵!!)キュン
一方の蜜璃は小芭内に胸をときめかせていた。そして二人は安否の確認をした。
小芭内「怪我は?」
蜜璃「ないです!」
小芭内「行くぞ。」
蜜璃「はい!」キャーッ
更に別の場所では、足を止めている暇はないと言わんばかりに異形の鬼の頚を斬りつつ走り去る柱が二人いた。行冥と無一郎である。二人は鬼殺隊の柱の中でも上位の強さを誇る剣士である。数字を持たない鬼程度なら瞬殺できるのだ。そのため、斬りながら進むという効率良く移動ができていた。
無一郎「凄い量の鬼ですね。」
行冥「下弦程度の力を持たされているようだな。これで私達を消耗させるつもりなのだ・・」
無一郎「・・お館様は?」
行冥「案ずるな、ここに落とされる前にブロリーによって救い出された。あまね様とにちか様、ひなき様もご無事だ。だが、その結果我々は彼を抜いた状態で鬼舞辻無惨を始めとした鬼と戦わなくてはならない。」
無一郎「そんな・・お館様はブロリーさん抜きで戦うことになると想定していましたか・・?」
行冥「その可能性は限りなく低いだろう。お館様は爆発したあの屋敷ごと逝くと私に伝えていた。彼によって助け出されたときもお館様は驚きの声をあげていた。恐らく助けられるとは思ってもいなかっただろう。」
無一郎「・・そっか。ブロリーさんはまた助けてくれたんですね。鬼殺隊の支柱はブロリーさんに間違いありません。僕たちも負けてはいられません。」
行冥「私も今はそう思っている。出会った時に不死川を殺そうとしたのはいただけないが、彼は幾度に渡ってお館様を始め、沢山の隊士や一般人を救ってきた。上弦をも圧倒するその強さは、今となっては鬼殺隊に無くてはならない精神支柱だ。私は彼が鬼殺隊に入ってくれたことに心から感謝している。」
無一郎「僕もです。・・お館様は僕が鬼に襲われて生死の境をさ迷っていた時、ずっと励ましてくださった。今際の際の隊士たちには同じくそうしていた・・父のように。」
行冥「ああ、知っている。」
無一郎「無惨は兄を殺しただけでは飽きたらず、僕たちの父まで奪おうとした。あいつ・・無惨・・!!絶対に許さない・・!嬲り殺しにしてやる!地獄を見せてやる!」
行冥「安心しろ・・皆同じ思いだ。」
行冥と無一郎はこの無限城のどこかにいる無惨に尋常ではないほどの殺気を飛ばした。そして残りの鬼を倒すために走り去って行った。
そして別の所で実弥は、落とされた先の場所で座り込んで呆然としていた。
実弥(お館様・・あのサイヤ人が助けてご無事だった・・だが、アイツが来るのがもう少し遅かったらお館様は・・)
もしブロリーが来るのが遅かったらと最悪の事態を考え込んでしまったのだ、しかし、そんな中でも鬼は待つことはなく、全く動こうとしない実弥に襲いかかった。だが、実弥は少し呼吸を使って刀を振り上げただけで異形の鬼の頚を跳ねたのだ。そしてゆらりと立ち上がると、嗜虐心を剥き出しにした笑みを浮かべた。
実弥「今回は礼を言っとくぜェ、サイヤ人よォ!次から次へと出てくる塵共、かかってこいやァ!皆殺しにしてやる。」ゆら・・
実弥は耀哉を守ったブロリーに感謝しつつ、異形の鬼に向かっていった。伊之助や善逸、玄弥は合流こそしてないものの、無限城内の廊下を走り回って鬼を探していた。
伊之助「猪突猛進!!なんか突然わけわからん所に来たが、バカスカ鬼が出てくるもんで!修行の成果を試すのに丁度いいぜぇぇ!!」
玄弥(何なんだここは・・鬼の根城か?他のみんなは?兄貴・・兄貴も無事でいてくれ・・)
善逸(音が聞こえた・・アイツが近くにいるかもしれない。)「許さない・・アイツを・・絶対に許さない!」
善逸は、かつての兄弟子に強い嫌悪と憎悪の感情を抱きながら無限城を進むのだった。その姿は、弱音を吐いているいつもの姿とは全く違う別人を思わせるような変わりぶりであった。
一方のしのぶは同じく無限城内を進んではいるが、彼女は鬼とは一体も遭遇しておらず、不信に思っていた。
しのぶ(血の匂いがする。ここは何処?)
しのぶは強く香る血の匂いを頼りに廊下を進んでいき、やがて一つの扉の前まで来るとそこで立ち止まった。そこが匂いの源だとわかったからである。そして扉に手を掛けて開けると、そこは水辺にいくつもの桟橋が架かっている空間だった。桟橋の上には若い女性の死体が沢山転がっていて、中央に立つ白い髪をした男性の後ろ姿があった。静かな部屋に禍々しい咀嚼音のみが響いていた。
童磨「ん?あれぇ来たの?わあ女の子だね!若くて美味しそうだなあ、後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ。」
男がゆっくりと振り返る。虹色の目に上弦と弐の文字が刻まれている鬼、童磨は鬼殺隊の柱で女性のしのぶが来たことに喜んだ演技をしていた。しのぶは自身の姉であるカナエから死の間際に聞いた鬼の特徴と一致している童磨に対して憎悪の感情をあらわにするのだった。
―――
場所が変わって、産屋敷邸から空を飛んでいるブロリーは、炭治郎やしのぶの気を頼りに移動していた。
ブロリー(炭治郎・・しのぶ・・絶対に見つける!)
ブロリーは空を猛スピードで飛び続け、やがて炭治郎達の気を最も感じられる場所を見つけた。
ブロリー(!ここか!この辺りから炭治郎達の強い気を感じる。)
気を強く感じる場所へと降り立つ。そこはかつてブロリーが炭治郎と禰豆子に出会った洞窟の目の前であった。ブロリーにとっては今の充実した人生を送ることが出来たきっかけになった場所で忘れるはずもなかった。ブロリーは物思いに耽り始めた。
ブロリー(・・ここは炭治郎と禰豆子に出会った洞窟か。俺は最初警戒していたな。俺を利用しようとするのなら殺そうと考えてたくらいには、信用はしていなかったな。だが、その後に鱗滝のところへ行ってからは、俺の過去を話したら利用することも拒むこともなく受け入れてくれたな。俺が鬼殺隊に入ってムシケラを狩り尽くしているのもここから始まったんだな・・これが懐かしいというやつか。)
ブロリーは炭治郎と禰豆子と出会った洞窟に懐かしさを覚えていてつい笑みがこぼれていたが、ここへ来た目的は思い出を振り返ることではなく、無限城へと消えた炭治郎達を探すためである。
ブロリー(だが、こんなことをしている暇はない。しのぶ達のところへ行くにはどこかのムシケラのように空間を破る必要がある。俺の力はそれには優れていない。でも俺には理解できる。俺の力は空間を破れる。強い力がぶつかればしのぶ達のところへ行ける!)
ブロリーは今、『スーパーサイヤ人4』にまでなれる実力を持っている。その力を持つ彼は、強すぎる力は空間をも食い破ると理解していたのだ。しかし、それには自分と同等の実力を持つ者と戦う必要がある。上弦の鬼すら簡単に倒してしまうブロリーは、他の者と力をぶつけ合うのは限りなく不可能に近い。彼が力をぶつけようというなら、相手は消しとんでしまうのだから。ならばどうすればいいか?答えは単純だ。自分の力同士をぶつけ合えば空間を破れるのだ。これを実行することに、ブロリーは一切の躊躇はなかった。
ブロリー「破壊の呼吸、漆の型!オメガブラスター!」ポーヒー
掌に収まるほどの緑の気弾がブロリーの手から離れると、押し潰されそうなほど重く禍々しい気配を纏って空中を漂い始めた。ここへ来て初めて全力で技を射ったのだ。そして気弾を見たブロリーは、素早く回り込んで続けざまに別の技を使った。
ブロリー「破壊の呼吸、玖の型!スローイングブラスター!」ポウ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ ミシミシ バリバリバリバリ!
ブロリーが放った二つの技はぶつかり合って拮抗する。その二つ共ブロリーが初めて射った全力である。爆発を起こす前に空間の方が耐えられず、拮抗した箇所を中心にひびが入り、ガラスが砕けるように背景が割れた。それは色んな色が混じりあった別次元の空間だった。この空間が出た後、ブロリーは炭治郎やしのぶ達の気を更に鮮明に感じた。
ブロリー(!炭治郎やしのぶ達は近い。あっちだな!)
そして異空間の中を猛スピードで飛ぶブロリー。しばらくすると、しのぶ達の気を一番鮮明に感じるところにたどり着く。
ブロリー(炭治郎としのぶの気を一番感じるのはここだ!)「はぁぁぁあああ!!」ゴオオオオオオ
そこで『伝説のスーパーサイヤ人』形態のまま気を一気に高めると、再び空間がひび入って砕け散り、風景が元に戻る。しかし、先ほどの洞窟ではなく、壁、床、天井が全てバラバラになった場所に変わっていた。紛れもない"無限城"である。ブロリーは自力で空間を超えて無限城へと入ることが出来たのだ。
ブロリー「そこら中にムシケラの気配がするな、それに炭治郎やしのぶ達はここにいる。ここがムシケラ共の巣窟といったところか。」
ブロリーは宙に浮いて佇んでいる。彼が推測していると、炭治郎と義勇が対峙したときよりも遥かに多い数の異形の鬼達が下から同時に襲いかかろうとした。それを見たブロリーは不敵な笑みを浮かべた。
ブロリー「フフフ!破壊の呼吸、参の型!プラネットゲイザー!」ポウ ドオオオオ
ブロリーが地面に技を放つとそこから巨大な緑の気柱が上がり、異形の鬼達を全て飲み込んだ。
「うわあぁぁぁ!!」「ぎゃあぁぁぁ!!」「ああぁぁあ!!」
気柱に飲まれた鬼達は、体ごと消滅させられて断末魔の叫びをあげる。それを聞いたブロリーは心底愉快だと言わんばかりに高笑いした。
ブロリー「フハハハハハハハ!!お前達が人喰いをやめる意思を見せなければ、俺はこの城を破壊し尽くすだけだぁ!!」
地面に技を放ったことで床に大穴が空き、ブロリーはそこからしのぶの気を鮮明に感じ取った。
ブロリー(下からしのぶの気を感じるな。それにムシケラの気配もするな。)「しのぶの近くにいるムシケラ、まずお前から血祭りにあげてやる!」
無限城に入ったブロリーは、下からの気配がするところへ行こうと急降下した。最終決戦への火蓋が今、切られようとしていた。
遂にブロリーが無限城へと侵入しました。今後は原作をかなりねじ曲げることになりそうです。なんとか支離滅裂な内容にならないように頑張ります。それではまた次回。