鬼殺の剣士に相応しいと認められた炭治郎は、鬼殺隊についてブロリーと共に鱗滝左近次の説明を聞いていた。
左近次「儂は育手だ。文字通り剣士を育てる。育手は山ほどいてそれぞれの場所、それぞれのやり方で剣士を育てている。鬼殺隊に入るためには、藤襲山で行われる最終選別で生き残らなければならない。最終選別を受けていいかどうかは儂が決める。」
その日から炭治郎は鱗滝左近次の指導の下、血が滲むような修行の日々を送ることになる。様々な罠が施された山下りや刀の素振り、転がし祭りという素早く起き上がる訓練をしたこともあった。あまりに過酷な修行内容でも、炭治郎は弱音を一切吐かず自分を追い込んだ。鬼化した禰豆子を元に戻す為に。
一方ブロリーも、炭治郎が鱗滝左近次と共に修行をしている間近くの別の山へ行き、一人で修行をしていた。元々鬼を上回る力を持っている為、鱗滝左近次からは全集中の呼吸を教わった後、「儂から教える事はもう何もない。」と言われて更なる高みを目指そうと、自身が扱える気と教わった全集中の呼吸を組み合わせて使えるようになるための鍛練を積んでいた。かつて自分を負かせた宿敵、孫悟空を超えるためと・・初めてできた仲間、炭治郎と禰豆子を助ける為に。
それから禰豆子は、ある日を境に眠ったまま目覚めなくなり、その状態のまま半年が経った。医者に診てもらうも異常はなし、だがずっと眠り続ける禰豆子に炭治郎は心配していた。
炭治郎の山下りはより険しく、空気の薄い場所での訓練になっていき、死の恐怖とずっと隣り合わせだった。ブロリーの修行も質が上がっていき、今では通常形態のままそこら辺の鬼なら楽々倒せる位の実力になった。
左近次「もう教えることはない。」
炭治郎「えっ?」
修行を始めて一年、突然言われる。
左近次「あとはお前次第だ。お前が儂の教えたことを昇華できるかどうか。この岩を斬れたら最終選別に行くのを許可する。」
※ブロリーは既に許可をもらっています。(動きと型を見せたら鬼殺隊の柱を軽々と上回ると判断されたため)
炭治郎(岩って斬るものだっけ?刀で斬れるものだっけ?斬れる気がしない。刀が折れる・・)
鱗滝左近次はそれから指導をしなくなった。炭治郎は習ったことを繰り返す。しかし、それでも岩を斬れなかった。だんだんと焦りが生まれてきた。
炭治郎(足りない。まだ鍛練が足りない!もっと・・もっとやらないと)
ブロリー「炭治郎・・何してるんだぁ?」
声がした方を見ると、修行を終えたブロリーがいた。
炭治郎「!ブロリーさん!何って鍛練をしてるんですよ。」
ブロリー「鍛練?頭を押さえてうずくまることがかぁ?」
炭治郎「!」
炭治郎は自分の姿を見ると、ブロリーの言うとおりの姿勢になっていた。そしてそれに気づいた炭治郎はネガティブ思考になっていった。
炭治郎(わー!くじけそう!負けそう!)「頑張れ俺!頑張れ!」
?「うるさい!!」
ブロリー・炭治郎「!?」
二人が声のした方を見ると、狐の面を被った真剣を持つ少年がいる。彼、錆兎は岩に腰かけていた。
錆兎「男が喚くな見苦しい。どんな苦しみにも黙って耐えろ、お前が男なら・・男に生まれたなら・・」
そして急にブロリーに斬りかかる。しかしブロリーは刀を構えず、腕を組ながら楽々と避けていくだけだった。そのあまりにも素早い二人の動きに炭治郎は唖然としていた。
錆兎「ところで何故鬼がいる?今はまだ昼間だぞ?だがこの気配は間違いなく鬼だ!!だったら今すぐ俺が切り捨ててやる!!」
ブロリー「フハハハハハ!!そんな刀で俺を倒せると思っているのか?」
錆兎はブロリーの首、手、足、胴体と様々な場所を狙って刀を振り抜くが、ブロリーは余裕そうに避けるだけで反撃の素振りすら見せない。錆兎はしびれを切らし、質問する。
錆兎「おい!何故お前は反撃してこない?」
そして返ってきた答えは錆兎の神経を逆撫でするものだった。
ブロリー「お前ごときに反撃するまでもない。」
錆兎「!・・完全に見下してやがるな。」
再びブロリーに斬りかかる。今度は避ける素振りすら見せずにブロリーの身体に真剣が当たる。がしかし。
ガキィン!バキッ!
錆兎「!?」
ブロリー「フフフ!その程度か?」
なんとブロリーの身体を斬るのではなく、刀の方が折れたのだ。そしてそこに炭治郎が止めに入った。
炭治郎「待って!確かに鬼の気配がするけど、ブロリーさんは鬼ではない!!それは鱗滝さんも認めてた!」
錆兎「何?鱗滝さんが・・」
錆兎は一瞬動揺したが、何を思ったのか真剣をしまう。
錆兎「鱗滝さんが認めるなら、そういうことにしてやろう。」
次に木刀を取り出すと、炭治郎に襲いかかった。炭治郎も慌てて受け止めたものの押し返されてしまった。
炭治郎「急になにするんだ!!」
錆兎「お前こそ何をしている?構えもせずに。」
炭治郎「!!」
炭治郎は指摘されて慌てて立ち上がる。そして錆兎と対峙する。
錆兎「さぁかかってこい。」
炭治郎「でも、君は木刀で俺は真剣だ。」
錆兎「・・フハハハハハ!!それはそれは!!心配していただいてありがたいことだ。お前は俺に怪我をさせると思っているわけだ。心の底から安心しろ・・俺はお前より強い!!岩を斬ってるからな!!」
炭治郎「岩を斬った!?」
錆兎「お前は何も身につけてない、何も自分のものにしていない。特に鱗滝さんに習った全集中の呼吸。お前はそれを知識として覚えただけだ、お前の身体は何もわかってない。お前の血肉に叩き込め、鱗滝さんが教えてくれたすべての極意を決して忘れることが無いように、骨の髄まで叩き込むんだ。」
炭治郎「やってる!毎日やってる!必死で!!でも全然ダメなんだ前にっ・・進めないこれ以上。」
錆兎「進め!!男なら!男に生まれたなら!!進む以外の道などない!!かかってこい!お前の力を、見せてみろ!!」
炭治郎は斬りかかろうとしたが、木刀で顎を打たれ失神した。錆兎はブロリーに振り返る。
錆兎「いきなり斬りかかったりして悪かったな。でもお前の力を見せてもらった。・・お前ならあいつにも勝てるだろう。」
ブロリー「?」
錆兎「気にするな。それと真菰、後は任せるぞ。」
真菰と呼ばれた少女は去っていく錆兎の背中を見送ると、炭治郎の側までよった。それと同時に炭治郎が目を覚ました。
真菰「大丈夫?」
ブロリー「やっと目を覚ましたようだな。」
炭治郎「あっはい!大丈夫です。さっきの一撃、少しも無駄のない動きでした、本当に綺麗でした!俺もあんなふうになりたいです!なれますかね俺に?」
ブロリー「フハハハハハ!!炭治郎ならできるYO。」
真菰「うん。きっとなれるよ、私が見てあげるもの。」
炭治郎(可愛らしい・・)「君は誰だろう?」
ブロリー「カワイイ!!」
真菰「!?///」
炭治郎「ちょ!?ブロリーさん!」
炭治郎は心の中で思っただけなのだが、ブロリーが声を出して言ってしまったため、少しだけ恥ずかしい思いをした炭治郎であった。そして真菰は顔を真っ赤にして俯いたのだった。
真菰は炭治郎の悪いところを指摘してあげた。それを受けた炭治郎は無駄な動きや癖を直していった。
他にも様々な話をしてわかったことは、錆兎と真菰は兄妹ではなく、孤児だったのを鱗滝左近次が育てたことと、他にも子供たちはいて炭治郎やブロリーを応援していると聞いた。全集中の呼吸についても、血の巡りを速くすることと、心臓の鼓動を速くすることで人間のまま鬼並みに強くなると聞かされた。
炭治郎「それはどうやったら、できるかな?」
真菰「死ぬほど鍛える。結局それ以外にできることはないと思うよ。」
そこから炭治郎は更に鍛練を重ねたが、錆兎には勝てなかった。半年経つまでは。
錆兎「半年でやっと男の顔になったな。」
炭治郎「今日こそ勝つ。」
この勝負は一瞬で決まった。炭治郎の刃が錆兎の面を斬っていた。勝ったとき、錆兎は笑ったのだ。泣きそうであり嬉しそうでもある、安心したような笑顔だった。
真菰「・・勝ってね炭治郎、あいつにも。」
錆兎達は消えており、狐の面を斬ったはずの炭治郎の刃は岩を斬っていた。そこにブロリーも合流した。炭治郎とブロリーの二人は鱗滝左近次の話を聞いていた。
左近次「お前を最終選別に行かせるつもりはなかった。もう子供が死ぬのを見たくなかった。お前にあの岩は斬れないと思っていたのに・・よく頑張った。炭治郎、お前は凄い子だ・・」
ブロリー「へははは!!岩を斬ったようだな。流石炭治郎と誉めてやりたいところだぁ!」
二人の労いの声を聞いた炭治郎は泣いた。最終選別に行くことを始めて認められたのだ。
左近次「二人共、最終選別、必ず生きて戻れ。儂も妹もここで待っている。」
炭治郎とブロリーは狐の面をもらった。厄徐の面という悪いものから守ってくれるものらしい。そして二人は藤襲山に向かおうとする。
炭治郎「鱗滝さん行ってきます。錆兎と真菰によろしく。」
ブロリー「真菰にカワイイと言っておいてYO。」
炭治郎「もう!ブロリーさんってば!」
ブロリー「フハハハハハ!」
左近次「炭治郎、ブロリー、何故お前達が・・死んだあの子達の名を知ってる?」
藤襲山に着いた炭治郎とブロリーは、藤の花の量に驚いていた。
炭治郎(すごい、藤の花が・・咲く時期じゃないはずなのに。)
ブロリー(美しい花だ。花は何度か見たことがあるが、ここまで美しいのは見たことがない。)
二人が人だかりができているところへ着くと同時に、最終選別の説明が始まった。説明をしているのは産屋敷の着物を着た男性と着物を着た女性だった。
男性「皆さま、今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます。この藤襲山には、鬼殺の剣士様方が生け捕りにした鬼が閉じ込めてあり、外に出ることはできません。」
女性「山の麓から中腹にかけて、鬼共の嫌う藤の花が一年中、狂い咲いているからでございます。」
男性「しかし、ここから先には藤の花は咲いておりませんから、鬼共がおります。この中で七日間生き抜く。それが最終選別の合格条件でございます。では、行ってらっしゃいませ。」
この言葉を最後に、鬼殺隊になるための最終選別が始まった。炭治郎とブロリーは共に行動し、山の奥へと向かうと鬼が四体出てきた。
鬼1「オイオイ、てめえは向こうに行け、俺がこいつを喰う。」
鬼2「いや、貴様が失せろ。」
鬼3「俺はデカイ方を喰う。」
鬼4「はあ?ふざけるな!こいつは俺の獲物だ。」
炭治郎とブロリーは鬼二体がそれぞれの方へと向かってくるので、必然と二体ずつと戦うことになった。
炭治郎(いきなり二人・・!やれるだろうか・・)
鬼1「鬼の獲物だぞ。」
鬼2「黙れ!!先に殺った方が喰えばいいだろうが」バッ!
鬼1「久方振りの人肉だ!!」バッ!
炭治郎「全集中・水の呼吸!肆の型!打ち潮。」ズバッ!
炭治郎は襲いかかってくる二体の鬼を同時に倒した。
炭治郎「斬れた。鬼に勝てた。強くなってる・・」
鍛練が無駄ではなかったという安堵と、鬼への同情の気持ちで灰になっていく鬼に手を合わせた。一方のブロリーは、自分の目の前で言い争ってる鬼に余裕の構えを見せた。
鬼3「何言ってるんだお前?俺の獲物に決まってるだろ?」
鬼4「ふざけるな!俺が最初に見つけたんだ。俺が喰うんだ!」
ブロリー「何をぐだぐだ言ってる!さぁ来い!ここがお前達の死に場所だぁ!!」
鬼3「人間が・・強気じゃねぇか。早い者勝ちだ!」バッ!
鬼4「望むところだ!」バッ!
ブロリー「破壊の呼吸!弐の型!イレイザーキャノン!」ポウ
鬼3・4「ぎゃあああああ!!」デデーン☆
ブロリーは左手から気弾を放つと、二体の鬼は跡形もなく消滅した。
ブロリー「ムシケラが・・俺に敵うと思っていたのか?」
炭治郎「ブロリーさん!大丈夫ですか?」
ブロリー「俺はなんともない。お前こそ無事なようだな。」
ブロリーと炭治郎が再び合流すると、炭治郎がとても強烈な匂いを感じた。
炭治郎(うっ!?何だこの腐ったような匂いは!)
その時、一人の最終選別の参加者が、大声を出しながら何者かから逃げるように走り去っていった。
「うわあああああ!!」
ブロリー・炭治郎「!?」
「何で大型の異形がいるんだよ!聞いてないこんなの!」
炭治郎とブロリーが彼が逃げてきた方向を見ると、一際大きい顔を大量の手で覆われている鬼が追いかけてきていた。既に一人、他の選別参加者の首をへし折っていた。そして新しく腕が生えると、逃げてきた参加者を捕まえる。
「ぎゃあああああ!」
炭治郎(怯むな。助けろ助けろ助けろ!!俺はもう無力じゃない、動け!!)「水の呼吸!弐の型!水車!!」
炭治郎の咄嗟の行動が、捕まった参加者を助け出すことに成功する。そして手の鬼はギョロっと炭治郎を見る。
手鬼「また来たな俺の、可愛い狐が。狐小僧、今は、明治何年だ?」
炭治郎「!?・・今は大正時代だ。」
それを聞いた途端、手鬼は気が狂ったかのように暴れだした。
手鬼「あああああああ!!!年号が!!年号が変わっている!!まただ!!また!!俺がこんなところに閉じ込められている間にああああ許さん許さんんん!!」
炭治郎「・・・・」
ブロリー「炭治郎。大丈夫か?」
炭治郎「ブロリーさん!」
手鬼「鱗滝め鱗滝め鱗滝め!!」
炭治郎「どうして鱗滝さんを・・」
手鬼「知ってるさぁ!!俺を捕まえたのは鱗滝だからなぁ、忘れもしない四十七年前、アイツがまだ鬼狩りをしていた頃だ。江戸時代・・慶応の頃だった・・」
鬼の語りに、さっきの選別参加者が異議の声をあげた。
「嘘だ!!そんなに長く生きてる鬼はここにはいないはずだ!ここには人間を二・三人喰った鬼しか入れてないんだ!選別で斬られるのと、鬼は共食いするからそれで・・」
だが、手鬼はそんなことを気にも止めずに言った。
手鬼「でも俺は生き残ってる。藤の花の牢獄で、五十人は喰ったなぁガキ共を。」
炭治郎(五十人!!)
炭治郎とブロリーは鱗滝左近次に、鬼は人を喰った数だけ強くなると聞かされていた。その事を二人は思い出す。
手鬼「ん?もう一人狐がいるなぁ・・十二・・十三で、お前達で十四十五だ。」
炭治郎「!?何の話だ。」
手鬼「俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ。アイツの弟子はみんな殺してやるって決めてるんだ。そうだなぁ。特に印象に残っているのは二人だな、あの二人。珍しい毛色のガキだったな、一番強かった。宍色の髪をしてた口に傷がある。もう一人は花柄の着物で女のガキだった。小さいし力もなかったが、すばしっこかった。」
炭治郎(この鬼に殺されていた?でも二人は俺達と・・)
ブロリー(真菰と錆兎のことか?)
手鬼「目印なんだよ、その狐の面がな。鱗滝が彫った面の木目を俺は覚えてる。アイツがつけてた天狗の面と同じ彫り方。厄徐の面とか言ったか?それをつけてるせいでみんな食われた。みんな俺の腹の中だ、鱗滝が殺したようなもんだ。これを言ったとき、女のガキは泣いて怒ってたな。フフフフッそれからすぐに動きがガタガタになったからな、手足を引き千切ってそれから。」
炭治郎「ッ!」ブチッ
炭治郎は手鬼に怒りを覚え、話を最後まで聞かずに斬りかかるが呼吸が乱れている影響で、腕の一本に殴り飛ばされて木に叩きつけられ、気を失った。腕の数本が炭治郎に向かって飛んでいくが、ブロリーがすかさず蹴りを入れて吹き飛ばす。
ブロリー(錆兎・・真菰・・炭治郎)「クズがぁ・・お前だけは簡単には死なさんぞ!」
ブロリーは上手く腕をかいくぐり手鬼の腹に蹴りを入れて、手鬼は飛ばされる。
手鬼「ぐおお!?」
炭治郎もその衝撃で目を覚まし、再び手鬼に斬りかかる。そのとき土に異臭を感じ、ブロリーに伝える。
炭治郎「ブロリーさん!土から変な匂いがします!地面に気をつけてください!」
ブロリー「炭治郎?フフフッそういうことならやり易い。全集中・破壊の呼吸!参の型!プラネットゲイザー!」
ブロリーが地面に放った気弾が、凄まじい威力で地中の手を木っ端微塵に吹き飛ばされる。
手鬼「ぐあああああ!!お前・・!よくも!」
手鬼は自分に痛みを与えたブロリーを恨んで睨み、彼に全意識を向けていた。そのため、空中に高く飛んでいた炭治郎に気づくのが遅れたのだ。
手鬼(!?気づくのが遅れた!!でも俺の頸の守りは硬いから斬れない。アイツでも斬れなかった。俺の頸を切り損ねたところで、頭を握り潰してやる。アイツと同じように。)
炭治郎「全集中・水の呼吸!壱の型!水面斬り!」ザンッ!
炭治郎は澤見の力を込めて刀を振るった。そしてなんと、錆兎でも斬れなかった手鬼の頸を炭治郎は斬ったのだ。
手鬼(くそっくそっくそおお!!死ぬ!!体が崩れて消えていく、止められない。どうせアイツも、汚いものを見るような目で俺を見るんだ。最後に見るのが鬼狩りの顔なんて・・)
しかし、手鬼の予想とは裏腹に炭治郎は手鬼の悲しみに同情するような表情で見ていたのだ。そして炭治郎は、崩壊していく手鬼の手を握った。手鬼は最期の最期で救われたことを実感し、かつての兄のような温もりを感じながら涙を流していた。
炭治郎「神様どうか、この人が今度生まれてくるときは、鬼になんてなりませんように。」
炭治郎は最期に手鬼の来世の幸せを祈った。その後のブロリーは派手に暴れまわり、藤の花の牢獄にいた残りの鬼を一人残らず消し去ったのだった・・
最終選別が始まってから七日後の早朝、厳しい条件を勝ち抜いて合格できたのは、わずかに五人のみ。炭治郎はその人数の少なさに驚いた。
炭治郎(たった四人・・!?二十人くらいいたのに。あの人もいない。)
炭治郎とブロリーが周りを見ると、一人は蝶と戯れており、一人は超ネガティブ思考になって呪文なものを呟いていた。また一人は刀を催促していた。
「死ぬわ。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。ここで生き残っても結局死ぬわ俺」ブツブツ
「で?俺はこれからどうすりゃいい。刀は?」
女性「まずは、隊服を支給させていただきます。体の寸法を測り、その後は階級を刻ませていただきます。」
男性「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在皆様は一番下の癸でございます。」
「刀は?」
女性「本日中に選んでいただき、刀が出来上がるまで十日から十五日となります。さらに今からは鎹鴉をつけさせていただきます。」パンパン
バサバサバサバサッ!
ブロリー「へぁっ!?」
着物を着た女性が手を叩くと、それぞれの新隊員の元に一羽ずつ鴉が肩に乗った。・・が一人だけ雀だった。
「えっ?鴉?これ雀じゃね?」「チュン」
男性「鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます。」
着物の男性が説明しているが、刀を催促していた男は鴉を振り払うと、女性に掴みかかる。
「どうでもいいんだよ鴉なんて!刀だよ刀!!今すぐ刀をよこせ!!鬼殺隊の刀!!色変わりの刀!!」
炭治郎はすぐに男の腕を掴む。そして凄みながら声を荒げた。
炭治郎「この子から手を放せ!!放さないなら折る!!」
「ああ?何だテメェは、やってみろよ!!」
炭治郎が少し力を入れるとミシッと出てはいけない音がした。腕をへし折ったのだ。折られた少年は苦悶の表情を浮かべて炭治郎を睨み付けた。ブロリーもすぐに着物の女性に寄った。
ブロリー「平気か?」
女性「大丈夫でございます。」
男性「お話は済みましたか?ではあちらから、刀を造る鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は御自身で選ぶのです。」
最終選別の最後は鋼を選んでから解散というながれだった。
―――一方その頃、産屋敷邸では鎹鴉からの報告を聞いた一人の男性が穏やかな声で呟いた。
?「そうか。六人も生き残ったのかい。優秀だね。また私の子供たちが増えた・・どんな剣士になるのかな?」
―――最終選別が終わり解散になると、炭治郎はブロリーに背負われて帰路についていた。帰るときにブロリーが背負ってやると言い出したのだ。最初炭治郎は拒んでいたが、木の根などをまたぐ力すらも残っていなかったため、頻繁に転けていたのだ。そんな状態でまともに歩けるはずもなく、ブロリーに背負われざるを得なくなって今に至る。
炭治郎「ブロリーさん・・すごいですね。鬼を全滅させておいてまだ俺を背負える余力が残ってたなんて。」
ブロリー「俺はあの程度ではバテない。むしろ全然力を使ってないぞ?」
炭治郎「あれでまだ力を使ってないんですか?」
ブロリー「俺が呼吸を使えるようになる前に、俺が金髪になるやつを使ったことがあっただろう?あれが俺の力だ。」
炭治郎「あのすごい力だったやつですか?」
ブロリー「そうだ。もうひとつ別の姿もあるんだが、呼吸が使えるようになったことで大猿のパワーをそのまま出せるようになった。」
炭治郎「大猿ですか?鬼ではなくて?」
ブロリー「サイヤ人が満月を見ると大猿に変身する。戦闘力が大幅に上がるんだ。だが、あれは理性を失うからな。よいものではない。」
炭治郎「そうなんですか。」
ブロリー「それより、着いたぞ。」
炭治郎が顔を上げると、鱗滝左近次の家に着いていた。ブロリーは炭治郎をゆっくりと降ろす。
炭治郎(着いた・・鱗滝さん・・禰豆子・・)
そのとき家の扉が吹き飛び、中から二年ぶりに目を覚ました禰豆子が出てきた。
炭治郎「あーーっ禰豆子ォお前っ・・起きたのかぁ!!」
禰豆子「!!」ぎゅ
禰豆子も炭治郎に気づくと走りだし、彼を抱き締めた。炭治郎は禰豆子の腕の中でわんわんと泣いた。
炭治郎「わーっお前何で急に寝るんだよぉ!ずっと起きないでさぁ!!死ぬかと思っただろうがぁ!!」
ブロリー「ただいまです・・」
鱗滝左近次も三人をまとめて抱き締める。
左近次「よく生きて戻った!!」
炭治郎は今までの思いが溢れたように号泣し、ブロリーもされるがままになっていた。鬼殺隊の刀が届くまで三人は鱗滝左近次の家にお世話になるのだった。
今回初めてブロリーが呼吸を使いました!今後も出てくるので、ブロリーの呼吸をまとめておきます。
ブロリー
全集中の呼吸・・破壊の呼吸
壱の型「ブラスターシェル」
弐の型「イレイザーキャノン」
参の型「プラネットゲイザー」
肆の型「ダブルイレイザーキャノン」
伍の型「イレイザーブロウ」
陸の型「ギガンティックバスター」
漆の型「オメガブラスター」
捌の型「ブラスターメテオ」
玖の型「スローイングブラスター」
拾の型「ギガンティックミーティア」
原作ではオメガブラスター、スローイングブラスター、ギガンティックミーティアは同じ技ですが、この小説では別の技として扱いますのでご了承ください。今後もこの小説をよろしくお願いいたします。