上弦の弐、童磨との戦闘中に新たな姿に覚醒したブロリー。見た目は『スーパーサイヤ人4』そのままだが、全身の筋肉が膨れ上がって血管が浮き上がっている。更に全身から溢れ出る気も桁違いに増えた姿。この姿は"スーパーサイヤ人4"の力を限界まで引き出した『スーパーサイヤ人4フルパワー』である。しのぶは新たなブロリーの姿に驚きを隠せなかった。
しのぶ「ブロリー・・さん・・なのですか・・?」
ブロリー「絶望を教えてやろう!」
ブロリーが見据えていたのはしのぶではなく童磨であった。凄まじい程強大な気を放つブロリーに、童磨は手を叩いて笑った。
童磨「うわあ!凄い凄い!姿が変わったね!全身に生えている赤い体毛、暖かそうだね。あの方が言ってたことは本当だったんだね!」パチパチ
ブロリー「クズがぁ・・血祭りにあげてやる!」
童磨「・・君は頑なにその子を守ろうとしているけど、どうしてそこまで拘るんだい?」
ブロリー「言われないと分からないのか?しのぶがとても大事だからだ。それに耀哉とも誰一人として死なせないと約束したんだ。しのぶは死なせずにお前を倒す!」
しのぶ「!・・ブロリーさん・・///」
童磨「へぇ、愛ってやつだね。君達は固い絆で結ばれてるんだね。やっぱり俺は君達の事が気に入っちゃったよ!一人でやれば誰の気遣いもしなくて良いのに、それをするなんてとても滑稽で愚かだ。君から先に救済してあげよう。」パキパキ
ブロリー「・・・・」ゴゴゴゴ
童磨が笑顔で言い終えたと同時に、周囲に氷と冷気が漂い出す。それを見たブロリーも気を高めて臨戦態勢に入った。するとそのとき
カナヲ「師範!!」
しのぶの継子であるカナヲが焦燥の表情を浮かべてブロリー達がいる部屋へと飛び込んできた。ブロリーも構えを解いてカナヲの方へと顔を向けた。
しのぶ「!カナヲ。」
童磨「わぁ、また女の子だ。今日はご馳走だなぁ。」
カナヲ「!上弦の・・弐・・!?」
童磨「うん、俺は童磨、上弦の弐だぜ、良い夜だね。」
童磨は呑気に自己紹介するが、カナヲは既にしのぶの元へと駆け寄っていた。
カナヲ「師範、ご無事ですか!?」
しのぶ「私は大丈夫ですよ。一度肺を斬られてしまいましたがブロリーさんが治してくださいましたから。」
カナヲ「破壊柱様・・!?」
カナヲはブロリーを見て『スーパーサイヤ人4フルパワー』の姿になっていることに驚いていた。今まで炭治郎やブロリーとカナヲは、一度も同じ任務をこなしたことが無いのだ。その為、カナヲはブロリーが『伝説のスーパーサイヤ人』を始めとした様々な形態に成れることを知らないのだ。しのぶはカナヲが声も出せない程驚いていることを見抜いたのか、丁寧に説明を始めた。
カナヲ(あれが破壊柱様!?いやっ・・え?蝶屋敷の時と全然姿が違う?え・・ええっ!?)パクパク
しのぶ「・・カナヲ。信じられないとは思いますが、目の前にいる方は正真正銘ブロリーさんです。私が鬼にやられたのを見てその姿に変身した所を見ていましたから。致命傷も彼が治してくださいました♪」
しのぶはカナヲを安堵させるためとブロリーに治されたことがよっぽど嬉しかったのか、カナヲに笑顔を向けた。カナヲはしのぶの言ったことを信じることにしたらしく、ブロリーの元へと駆け寄り、笑顔で礼を述べた。
カナヲ「破壊柱様、師範を助けてくださいまして、ありがとうございました。」
ブロリー「・・そういうのはそこにいるムシケラを倒してからだ。しのぶは今、傷はほとんど俺が治したが万全ではない。ゆえに庇わなければならない。カナヲ、動けるか?」
カナヲ「はい、動けます。破壊柱様、共闘をお願いします。」
カナヲは童磨を睨みながら刀を抜いた。童磨はようやく自分に視線が向いたのを見て再び笑顔になった。
童磨「もう、皆して俺をほったらかしにするなんて酷いなぁ。少し暇だったよ。えーと何だっけ?あっそうだそうだ、そっちの女の子に名前を聞いたんだよね。」
カナヲ「私は・・栗花落カナヲ。胡蝶カナエと胡蝶しのぶの妹だ・・」
しのぶ(!?カナヲが自ら名乗った!?それに私と姉さんの妹って・・カナヲはずっと姉として見てくれてたのね!嬉しいわカナヲ!)
しのぶは自分の意思で童磨に名乗りあげたことにとても驚いたが、それと同時に今までも姉だと慕ってくれていたと分かったことがとても嬉しく思っていた。そしてそれを聞いた童磨は、顎に人差し指を当てて沢山のクエスチョンマークを浮かべた。
童磨「??えっホント?肉質を感じからして血縁ぽくないけど、若い女の子はだいたい美味しいからいいよ何でも!」ニカーッ
カナヲとしのぶの関係には全く興味がないのか、童磨はどうでも良いと言わんばかりに笑顔になった。そして何かを思い出したかのように語り始めた。
童磨「女の子といえば・・そうそう猗窩座殿が負けたのも仕方ないよね。猗窩座殿って絶対女を喰わなかったからさあ。俺言ったんだよ!女は腹の中で赤ん坊を育てられるくらい栄養分を持ってるんだから。女を沢山食べた方が早く強くなれるって。」
しのぶ(!姉さんの言ってた通り、女を喰うことに異常な程の執着がある!)ギリッ
しのぶは姉からの情報が本当だと分かって、その執着ぶりに壮絶な嫌悪感を覚えて歯を軋ませた。童磨は気づいていないのか更に続けた。
童磨「だけど猗窩座殿って女を喰わない上に殺さないんだよ!それを結局あの方も許してたし、ずるいよねぇ。猗窩座殿は生かされてた、特別扱いだよ。でも・・死んでしまうなんて・・悲しい・・一番の友人だったのに・・確かブロリー殿、君が猗窩座殿を殺したんだよね。許せないなあ。猗窩座殿の仇は取らせてもらうよ。」
童磨は涙を流しながらブロリーに鉄扇を構える。カナヲはその様子を見て言いはなった。
カナヲ「もう嘘ばっかり吐かなくていいから。」
童磨「何?」
カナヲ「貴方の口から出る言葉は全部、でまかせだってわかってる。怒ってもいなければ悲しくもないんでしょ?少しも。貴方の顔色全然変わってない。"一番の友人"が死んだのに、顔から血の気が引いてないし逆に怒りで頬が紅潮するわけでもない。」
カナヲの指摘に童磨は涙を引っ込める。カナヲの指摘に続くようにしてしのぶも言葉を放った。
しのぶ「カナヲの言うとおりですよ。それに"一番の友人"が死んだのならその仇のブロリーさんに意識が向くはずなのに、お前はずっと私やカナヲを喰らうことしか考えていない。猗窩座という鬼のことも友人ともなんとも思ってない。何も感じていない。ただそれだけです。お前は一体何のために生まれてきたんですか?」
二人から図星を突かれた童磨は完全に無表情になると、鉄扇を閉じながら不快感と殺気を露にした。
童磨「・・今まで随分な数の女の子とお喋りしてきたけど、君達みたいな意地の悪い子は初めてだよ。何でそんな酷いこと言うのかな?」ビリビリ
しかし、しのぶにとっては"最愛の姉"、カナヲにとっては"虐待されて売り飛ばされたところに引き取って大切に優しく育ててくれた大事な家族"を殺された二人にとってはそんな殺気などもろともせずに更に冷たく返した。
しのぶ「お前が私の姉を殺したからだ。視界にいれることすら煩わしい!さっさと地獄に落ちろ!」ギリッ
カナヲ「貴方、本当に生きてる意味ないから早く死んだ方がいいよ。」ニコッ
童磨は目に見えない速度で鉄扇を広げて斬りかかった。しかし、唯一目で追えたブロリーだけがいち早く反応して鉄扇を掴んで動きを止めた。
ガシッ
童磨「・・邪魔しないでおくれよ、ブロリー殿。一刻も早く後ろの子達を救ってあげなきゃいけないんだから。」ビリビリ
ブロリー「救うだと?さっき言ったことをもう忘れたのか?貴様はムシケラの本能の赴くままに女を喰ってるだけだ。フン!」ドゴォ!
童磨「ぐっ!?」
ブロリーの膝蹴りが童磨の鳩尾に直撃して遠くまで弾き飛ばされる。童磨は初めて本当に苦しそうに顔を歪めて蹲った。しかし、すぐに立ち上がると鉄扇を振るって攻撃してくる。
童磨「血鬼術・散り蓮華。」ブワッ
ブロリー「はぁ!」ゴォ
童磨の広範囲に渡る血鬼術が三人に襲いかかる。それをブロリーはバリアを張って防ぐ。するとそのとき、ブロリーが開けた天井の穴のすぐ隣から同じように穴が空いた。
ボコーン
伊之助「どぉありゃアアアア!!!天空より出てし伊之助様のお通りじゃあアアア!!」
しのぶ・カナヲ・童磨「「「!?」」」
ブロリー(次から次へと・・いい加減ムシケラを血祭りにあげたいんだが・・)
しのぶ達三人が驚いているなか、ブロリーは一人で戦闘衝動を抑えていた。天井から現れたのは伊之助で、着地すると指で輪を作って童磨を覗いた。
伊之助「はっはぁーっ!!勝負勝負ゥ!!んんー?んんんー?弐!!テメェ上弦の弐だなバレてるぜ!!テメェが上から二番目だってことを俺は知ってる!ハハハーア!!テメェを倒せば俺は柱だぜ!!」
童磨「別に上弦の弐だってことは隠してないけど・・面白い子が来たなァ。」
伊之助「俺が柱になったら呼び名は野獣柱・・いや猪柱か!?どっちが良いと思う!?おい・・ぬおっ!!」
伊之助が声を張りながら振り返って目に止まったのはブロリーである。『スーパーサイヤ人4フルパワー』の形態を初めて見たからだ。
伊之助「ブロリー!おまっ・・なんだその姿は!!赤い体毛だらけで本当の獣みたいじゃねーか!!それにずっと強え感覚がビリビリ感じるしよ!!お前ばかり狡いぞ!!俺もなりてぇ!!なり方教えろォ!!」
伊之助が興奮してブロリーに詰め寄るのをしのぶが間に割って入って止めた。そしてため息をついてから言った。
しのぶ「はぁ、伊之助君・・ブロリーさんが今なっている姿はサイヤ人である彼にしか出来ないものなんですよ・・それに今は上弦の弐と対峙しているんでしょう?柱になりたいのならまずは彼奴を倒すことが優先ですよ。」
伊之助「それもそうか!テメェ!上弦の弐!待たせたな!勝負だぁ!」
伊之助はしのぶの言うことに納得して、童磨に刃こぼれしている二本の刀を向けた。童磨は困ったように笑った。
童磨「ありゃ・・これは困ったな。流石に4対1じゃあ部が悪いからね。ここは人員を増やして公平にしよう!」
カナヲ(公平にする・・?)
しのぶ(何をするつもりなの・・?)
童磨が"我ながら名案だ"と言わんばかりに笑顔で鉄扇を広げた。カナヲとしのぶは何をしようとしているか分からずに怪訝の表情を浮かべる。そして童磨は鉄扇から氷で出来た童磨とそっくりな人形を出した。
童磨「血鬼術・結晶の御子。」シャリン シャリン シャリリリン
それは童磨本人の膝元あたりまでの大きさしかないとても小さな氷人形だった。それを十三体も出現させたのだ。
カナヲ(!氷の人形?)
しのぶ(こんなに沢山だして何をするつもりなの?)
伊之助「ハハハ!なんだそのショボいちびは?」
「「「血鬼術・散り蓮華」」」ブワワッ
伊之助「ぬアアア!?」ジャキン
カナヲ「・・!」(この威力・・!)
しのぶ「くっ・・」
伊之助は『結晶の御子』をバカにして笑っていたが、それから出された他の血鬼術の威力に慌てて刀を振って相殺した。カナヲも伊之助と同じように刀で相殺して、しのぶはなんとか回避する。しかし、三人に向かって行った『結晶の御子』は三体だけである。よって残りの十体は全てブロリーに向かって行ったのだ。
「「「「「「「「「「蓮葉氷」」」」」」」」」」ビュオオ
ブロリー「ぬう!」
童磨「この子達はね、俺と同じくらいの強さの技出せるんだ。」
しのぶ「!そんな・・そんなのを沢山ブロリーさんに・・!」
童磨「ブロリー殿はとっても強いってあの方から伝えられてたからね。少しでも苦しまないように早く救ってあげるためさ。わかっておくれ。」
童磨は笑顔で残酷なことを告げて、それを聞いたしのぶは絶望で青ざめた。だが、そのとき
ドオオオン! バリンバリン バラバラ
物凄い衝撃と共に、大量の氷の破片が辺りに飛び散ったのだ。四人が顔を向けると、無傷のブロリーが腕を組んだまま立っていた。
ブロリー「なんなんだぁ?今のはぁ?俺を氷で出来た雑魚程度で倒せると思っていたのか?」
ブロリーは『結晶の御子』十体を一瞬で粉々に破壊し尽くしてしまったのだ。これらは一体が上弦の弐である童磨自身と同等の戦闘力を誇るものである。それが十体も出すことは童磨十人分と戦うことを意味する。上弦の鬼は、柱が複数人でなんとか勝てるくらい強いのである。それが十体分戦わなくてはならないのは鬼殺隊の柱では到底太刀打ちできない絶望的な状態であった。しかし、ブロリーは今『スーパーサイヤ人4フルパワー』の姿になっている。そして童磨十人分を一瞬で倒したことになるのだ。あまりにも強すぎる力に童磨も目を見開いていた。
童磨「まさか御子達がこんなに一瞬でやられるとは思わなかったよ。」
しのぶ(ブロリーさん///・・!)ガキン!
「蔓蓮華」ヒュンヒュン ギャギャ
しのぶはそんな現状を見て再びブロリーに惚れ直しそうになったが感心している暇はなく、自分達に向かってきている残り三体の御子に意識を向けた。
「「冬ざれ氷柱。」」ドドドドド
伊之助「くそが!!本体でもねぇ奴の攻撃で押されまくって近づけねぇ!」
カナヲ「!ど、どうすれば・・!」
『結晶の御子』三体をそれぞれ相手しているが、やはり童磨自身と同等の力があるために、苦戦を強いられていた。そのとき
ブロリー「破壊の呼吸、拾漆の型、ギガンティックブロー。」ドゴゴォ バラバラバラバラ
ブロリーの片手に気を溜めて殴りかかる技で、残りの御子を粉砕したのだ。それを見た伊之助が声を荒げる。
伊之助「おい!邪魔すんじゃねぇよ!この伊之助様はそこいらの有象無象とは違う・・んだ・・!」
カナヲ「伊之助!」
しのぶ「伊之助君!」
童磨は目に見えない速度で伊之助の猪の被り物を取ったのだ。童磨は興味深そうに被り物を弄んだ。
童磨「ああ、やっぱりこれ被り物かあ。んー、かなり年期が入ってるね、この猪の皮。目はどういう加工してるの?」
伊之助「・・テメェ、返しやがれ・・!」
伊之助は命の次に大事な猪の被り物を取られて殺気を向ける。童磨は伊之助に視線を向けると不気味な笑みを浮かべた。
童磨「あれー?何か見覚えあるぞぉ、君の顔。俺たち何処かで会ったよね?」
伊之助「テメェみたいな蛆虫と会った覚えはねぇ!汚い手で俺の毛皮に触るな!」
童磨「いやあるよ。俺は君を知っている。」
伊之助「ねえっつってんだろうが!!糞が!!」
伊之助は童磨の言葉にキレて青筋を立てて怒鳴り付けた。それをしのぶとカナヲが止める。
カナヲ「伊之助、冷静に。アイツは適当なことを言ってるだけだから。」
しのぶ「そうですよ伊之助君。あんな嘘に過剰反応しなくても大丈夫ですよ。」
童磨「適当?嘘?心外だなぁ。俺は真面目だけが取り柄なのに。それに記憶力も良いんだ。人間の時の事だって良く覚えてるし。あっそうそう、ブロリー殿には邪魔されたくないからもう一度御子達と戦ってもらうよ。」シャリン シャリン シャリン
童磨は少しでも時間を稼ぐためにブロリーにさっきよりも多い『結晶の御子』二十体出して襲わせた。
「「「「「「「「「「寒烈の白姫」」」」」」」」」」ビュオオオ
「「「「「「「「「「凍て曇」」」」」」」」」」ビュオオ
ブロリー「!チッ!」
御子達が出した血鬼術はどちらも少しでも当たれば全身が凍りつくような強力な冷気と氷を纏ったものであった。しのぶ達とブロリーの間に巨大な氷の壁が出来たのだった。童磨自身は再びしのぶ達に向き合った。
童磨「さてと。」ズブブ
童磨は自分のこめかみに指をつきたしたのだ。それを見たしのぶ達は気持ち悪さを通り越してドン引きしていた。
伊之助「うえーっ!!何してんだキッショオ!!」
カナヲ・しのぶ((気持ち悪・・))
童磨「何って記憶を探ってんだよ。あー!これだこれだ、十五年前かな?わりと最近だね。十七・八くらいの女の子が赤ん坊抱いてきたなぁ。旦那が殴るんだって、毎日。姑にも毎日いじめられてね。俺がつくった極楽教はそういう可愛そうな人を保護してあげていたからね。自分には親も兄弟もいなくて頼れる所も行く所もない。最初見たとき顔が原型もわからないほど腫れてた、酷いことするよねぇ。殴られたせいで片方失明してたけど、手当てしたら元に戻ったよ。綺麗な子で印象に残ってる。同じ顔だよ君と。もっと華奢だし、柔らかな表情だけど、これ君のお母さんでしょ?うんうん!間違いないぞ。」
伊之助「俺に母親なんかいねぇ!!俺を育ててくれたのは猪だ!!関係ねぇ!!」
童磨「君は猪から産まれたの?人間なんだから人間から産まれているでしょう。」
伊之助「うるせぇんだよ!!返せそれぇぇ!!」
伊之助は遂に我慢できなくなって童磨に向かって飛び出した。それでも童磨は余裕の構えを見せる。
童磨「まあ人の話は最後まで聞きなよ。こんな巡り合わせ奇跡でしょ。」バツッ
伊之助「獣の呼吸!陸の牙!・・ガハッ」
伊之助が呼吸を使う前に鉄扇で胸を切り裂かれる。更に追い討ちをかけようとした童磨にしのぶとカナヲが向かった。
カナヲ「花の呼吸、陸の型、渦桃!」ガキン
しのぶ「蟲の呼吸、蝶の舞、戯れ!」パリン パリン
童磨とその血鬼術を相殺することで追撃を免れた三人。三人は水の中に落ちたが、致命傷は負っていなかった。
童磨「君のお母さん。名前は琴葉だったかな?喰うつもりはなかったんだよ。心の綺麗な人が傍にいると心地良いだろう?琴葉は頭が残念で良くなかった。でも美しかったし歌は上手だった。君を抱いて良く歌ってたよ。どうしてだか子守唄よりも指切りの歌をさ。"ゆーびきーりげーんまん"ってそればっかり君にね。」
童磨の歌詞を聞いたとき、伊之助は全てを思い出した。自分を優しい表情で見る一人の女性の姿。それは伊之助の母親だったのだ。炭治郎達とあって那田蜘蛛山の任務で見た走馬灯。それは自分を崖から落とす母だった。しかし、このときに言われた台詞も伊之助は鮮明に思い出していた。何度も謝罪しながら泣いて落とす琴葉。それは童磨から逃がすためだった。
童磨「寿命が尽きるまで手元に置いて喰べないつもりだったけど、琴葉は頭が鈍い分感覚が鋭かったみたいで信者を喰ってるのがバレちゃった。説明しても俺の善行を理解してくれなくて。まあ罵る罵る。"酷い嘘つき"ってずーっとそれで俺の寺院を飛び出していっちゃったから。骨まで残さず食べてあげたよ!家に戻っても旦那に殴られるし、一人じゃ何も出来ないから親子揃って野垂れ死に。不幸だよねぇ琴葉。幸せな時ってあったのかな?何の意味もない人生だった。」
伊之助(殺された・・母親・・俺の・・)ビキッ
カナヲ「いい加減にしろ!!下衆が!!」
しのぶ「お前は私の姉だけでなく伊之助のお母さんまで殺したのか!!本当虫酸が走る!」
童磨の語りに遂に怒りが限界点を越えた二人、童磨に尋常ではないほどの殺気を向けるが、なによりもゆっくり立ち上がった伊之助が一番凶悪な気配を放っていた。
伊之助「本当に奇跡だぜ。この巡り合わせは・・俺の母親と仲間の大事な人を殺した鬼が目の前にいるなんてなァア!!」ビキビキッ
伊之助は全身に血管が浮き上がるほど強い怒りと憎しみに支配されていた。二本の日輪刀を童磨に向けた。
伊之助「謝意を述べるぜ!思い出させてくれたこと!ただ頚を斬るだけじゃあ足りねぇ!テメェには地獄を見せてやる!!」
三人が童磨に強い怒りと憎しみを向け、再びぶつかろうとしたそのときだった。
ピシピシピシッ!ドゴォ!
伊之助・カナヲ・しのぶ「「「!」」」
童磨「え?うわあああ!?があっ!?」
ガシッ ヒューン ドゴゴォ!
氷の壁を破って飛んできたブロリーが、そのまま童磨の頚を鷲掴みにすると部屋の壁にクレーターができるほどの衝撃で叩きつけたのだ。
ブロリー「貴様・・!伊之助やしのぶ達との話に興味がでて攻撃もせずに待っていたら・・!なんなんだぁ?今の恨みしか湧かないような話はぁ?」
童磨「ゲホッゲホッ・・ブロリー殿、いきなり危ないじゃないか。気をつけておくれよ。」
ブロリー「御託はもういい。ムシケラが、お前だけは簡単には死なさんぞ!」
童磨「もう、わかったよ。君を封じればあの方も大喜びだろうからね。君とは本気で戦わないとね!血鬼術・結晶の御子。」シャリンシャリンシャリンシャリン
今度は童磨は結晶の御子を五十体も出したのだ。そして本人も加わって襲いかかろうとする。しかしブロリーはもう飽きたと言わんばかりに吐き捨てた。
ブロリー「お遊びは終わりだぁ!破壊の呼吸、捌の型、ブラスターメテオ!うおおおおお!」ピュンピュンピュン
ドカーンドカーンドカーンドゴォ
童磨「ぎゃあっ!?」
ブロリーは周囲に気弾を打つ技で御子を全て破壊すると、どさくさに紛れて童磨に蹴りを入れたのだ。ブロリーの攻撃で童磨は傷の再生が出来なくなっていた。この時、童磨の心にはある感情が芽生えていた。
童磨(嘘だろ・・五十体は俺が出せる最大の数だよ・・なのに・・こんな一瞬で・・それに・・傷が再生しない・・!?)カタカタ
童磨は少し体が震えていた。それはしのぶにも確認でき、伊之助とカナヲに声をかけた。
しのぶ(アイツ・・震えてる?そういうことね)「伊之助君、カナヲ、ブロリーさんに任せましょう。」
カナヲ・伊之助「「師範?/しのぶ?」」
しのぶ「その方が良いと思いました。それと二人とも、良く目に焼き付けておくんですよ。例え地獄に落ちてしまっても、ここまで爽快な殺戮劇は見られませんよ。」フフフ・・
カナヲ・伊之助「「はい!/おう!」」
しのぶは今までで一番黒い笑みを浮かべていた。それを見た伊之助とカナヲも察したのか素直に従うことにしたのだ。そして童磨も自身が震えていることに初めて気づいた。
童磨(あれ・・?どうして俺はこんなに震えてるのかな?何かブロリー殿が凄く怖く・・ん?怖い?そうか・・これが・・恐怖の感情なのか・・!)ガタガタガタガタ
童磨は、蹴り一発で本来の鬼の力を失わせたブロリーに恐怖を感じていたのだ。そしてそれを自覚してからは更に震えが大きくなって顔からは血の気が引いて真っ青になっていた。
ブロリー「一回蹴っただけでもう終わりか?」ゴゴゴゴゴ
童磨「ば・・化け物・・!!」ガタガタガタガタ
ブロリー「俺が化け物?違う、俺は悪魔だ!フハハハハハハ!」
童磨「う、うわあああああ!!!血鬼術!霧氷・睡蓮菩薩・・!!」ゴゴゴゴゴ
童磨は最後の切り札とも言える一番の大技を使った。それは二十メートルは優に越えるであろう巨大な菩薩だった。
カナヲ・伊之助「「!!!」」」
しのぶ「この大技・・!まだこんな余力が・・!!」
ドゴォン!!
菩薩は両腕を合わせててブロリーを潰そうと勢い良く振り下ろした。その際に出た冷気と埃でブロリーの姿が完全に見えなくなる。
カナヲ「破壊柱様!!」
伊之助「ブロリー!!」
しのぶ「そっ・・そんな・・」
それを見た三人は最悪の事態を想像してしまい、しのぶは青ざめて口を片手で抑えていた。しかし、煙が晴れていくとそこには無傷で片手で受け止めているブロリーがいた。
ブロリー「無駄だ。こんな石ころ・・!破壊の呼吸、拾陸の型、ギガンティックデストラクション!」ゴォォォォ ドッカーン バラバラ
童磨「わぁっ!?」
ブロリーはそのまま片手で菩薩を払い除けると、レーザーのような気功波を打って木っ端微塵に破壊し尽くしたのだ。その際の衝撃で童磨自身も吹っ飛ばされて仰向けになった。そして
ブロリー「破壊の呼吸、拾捌の型、ギガンティックスタンプ。」ビュオオ ドゴォ
童磨「ぎゃあああ!!」ゴポッ
ブロリーは仰向けになった童磨の腹を高い位置から降下して踏みつけたのだ。あまりの衝撃に童磨の体は耐えられず吐血し、腹を抑えて蹲った。そして息もかなり細々としたものになるほど弱っていた。
童磨「う・・うぅ・・」ガクガク ヒューヒュー
しのぶ「凄い・・!上弦の弐がもう虫の息に・・!」
カナヲ「仇・・取れる!」
しのぶ達は目を輝かせたが、ブロリーは一度しのぶ達を見ると腕を組んで童磨に言った。
ブロリー「これくらいにしといてやる。よく考えたら禰豆子もしのぶも無事だったな。」
そう言うと、ブロリーはしのぶ達の所へと戻ってくる。その際に『スーパーサイヤ人4フルパワー』の形態も解いてしまったのだ。もう戦うつもりはないという表れだった。
しのぶ「ちょっ・・!?ブロリーさん!?何してるんですか!?早く止めを刺してください!!」
カナヲ「破壊柱様!!そいつはしのぶ姉さんや伊之助の大事な人を奪っただけでなく、沢山の罪の無い人を喰い殺してきた下衆です!!慈悲するようなやつじゃありません!!」
伊之助「何してんだブロリー!!見逃すつもりかよ!!俺達の気持ちが治まらねぇんだよ!!」
しのぶ達はブロリーに必死に叫ぶ。それでもブロリーは再度変身したり、機微を返すことはなく、戻ってきた。そしてしのぶにそっと耳打ちした。
ブロリー「しのぶ・・」ボソボソ
しのぶ「!ありがとうございます!」
そしてその内容を受け取ったしのぶは満面の笑みを浮かべて頭を下げた。そしてカナヲと伊之助に声をかけた。
しのぶ「カナヲ、伊之助君、行きますよ。」
カナヲ「師範?」
伊之助「何言ってんだ?しのぶ・・」
意図がわかってない二人に、しのぶが笑顔を向けたまま説明を始めた。
しのぶ「ブロリーさんは私達に譲ってくれたんです、止めを刺すことを!」
ブロリー「お前達が今まで抱え込んできた感情を思う存分ぶつけてやれば良いYO。」
『通常形態』に戻ったブロリーが少し笑って告げた。カナヲと伊之助も意図を完全に理解してブロリーに感謝した。
カナヲ「破壊柱様・・!ありがとうございます!」ペコッ
伊之助「謝意を述べるぜ!ブロリー!」
しのぶ「さぁ、引導を渡しましょう、二人とも。」
カナヲ・伊之助「「はい!/おう!」」
三人は黒い笑みを浮かべながらゆっくりと近づいていった。そして
しのぶ「蟲の呼吸、蜻蛉の舞、複眼六角。」
カナヲ「花の呼吸、伍の型、徒の芍薬。」ザシュ
伊之助「獣の呼吸、参の牙、喰い裂き。」ザシュ
三人はそれぞれ呼吸を使い、しのぶの毒を打ち込んだ後にカナヲと伊之助が二人で合わせるように同時に頚を斬ったのだ。
童磨(あれ?頚斬られちゃった?えー、こんなの俺があまりにも可哀想だ。恐怖の感情を植えつけられて、絶対に勝てない中一思いじゃなくてじわりじわりと痛め付けてきた。こんなに人に尽くして世の中に貢献してきたのに、こんなのあんまりじゃないか。体も崩れ始めた。でもダメだ、あんなに怖かったはずなのにいざ死ぬとなるとやっぱり何も感じないや。)ボロボロ
童磨の体が崩れていってるなか、しのぶが童磨の頚を拾い上げる。そして安堵の表情を浮かべて話しかけた。
しのぶ「ああ、やっと死ぬんですね!良かった。」
童磨「・・君はしのぶちゃんだったかな?」ボロボロ
しのぶ「覚えなくて良いですよ。気色悪いので名前呼ばないでください。」
童磨「君達が助けてくれたんだね。」ボロボロ
しのぶ「助けた?何のことですか?」
童磨「俺ね、ブロリー殿のことを凄く怖いと思ったんだ。俺の攻撃は通用しないし、あっちは致命傷の技を使ってくるからね。この恐怖の時間がずっと続くんじゃないかって思うと怖かった。それをしのぶちゃん達が頚を斬ってくれて解放してくれたからね。」ボロボロ
しのぶ「自惚れないでください。私達は貴方をさっさと殺したかったから頚を跳ねただけです。助けたつもりは毛頭もありません。」
童磨「わぁ、これが照れ隠しってやつなのかな?可愛いねしのぶちゃん。そうだ、ブロリー殿に恐怖を覚えたことがきっかけで他の感情もわかりそうな気がするんだ。しのぶちゃん、今から君も死んで俺と一緒に地獄へ行かないかい?」ボロボロ
しのぶ「とっととくたばれ、二度とその面見せるな糞野郎。」
しのぶは吐き捨てると地面に乱暴に頚を落として踏みつけた。そして童磨が完全に消滅すると、ブロリー達のところへと戻った。
カナヲ「師範!やりましたね!」
しのぶ「ええ!これで姉さんも安らかに眠れるわ!」
伊之助「仇は討ったぜ!ワーハハハハ!!」
ブロリー「お前達、流石だと誉めてやりたいところだぁ!俺は次のムシケラと戦いに行く!しのぶ達は少し休んだ後にゆっくり来るがいい。」ビュオオ
しのぶ・カナヲ「「わかりました。/はい!」」
しのぶ達の執念と、ブロリーの圧倒的な力で仇を討つことに成功した四人。ブロリーはその場から飛び立つと、空を飛んで気配を感じる方へと向かったのだった。
遂にスーパーサイヤ人4フルパワーに覚醒しました。これで更に技が使えるようになったのでまとめておきます。
ブロリー
新形態、スーパーサイヤ人4フルパワー
使える呼吸・・破壊の呼吸
使える技・・壱から拾陸の型全て
拾漆の型「ギガンティックブロー」
拾捌の型「ギガンティックスタンプ」
拾玖の型「ギガンティックジェノサイド」
遂に童磨を倒しました。更に技が増えてより強くなりました。ブロリーの活躍を期待してくれると嬉しいです。それではまた次回。