ブロリーが鳴女を倒す少し前、炭治郎は義勇と共に無惨のところを目指して走っていた。
炭治郎(前を向いてひた走れ、最期の最期まで戦い抜く、これまでの沢山の隊員達がしてきたように、俺もそうする。迷いはない。俺は受け継ぐことができなかった者だった。千寿郎君からの手紙でわかった。十三の型があるはずのヒノカミ神楽を俺は十二までしか知らない。だけどそれでも俺は必ず無惨を倒す。皆のためにも俺は・・俺たちは・・)
しばらく走っていると、高さのある空間に大きな肉塊が佇んでいるのを発見した。
義勇「!炭治郎!」
炭治郎「!間違いありません!無惨です!この肉塊の中に無惨がいます!」
無惨が隠れている肉塊を見つけた炭治郎達、しかし、その中に徐々に取り込まれていく見知った女性の後ろ姿があった。
珠世(恐らくこの肉の繭のようなものの中で、人間に戻る薬を分解しているのね。いずれ私も取り込まれる・・お願い誰か早く来て・・お願い・・!!)
炭治郎「珠世さん!!」
珠世「!炭治郎さん・・!」
炭治郎「水の呼吸、弐の型、水車!!」ザン
炭治郎は刀の軌道を意識して呼吸を使うことで、珠世の体と無惨の肉塊を綺麗に切り離すことに成功したのだ。そして珠世の欠損した体を抱えて床へと寝かせた。
炭治郎「珠世さん、助けられて良かったです。」
珠世「炭治郎さんどうして助けたんですか?私よりも無惨を倒して欲しかったのに・・」
炭治郎「珠世さんがあのままだったら死んでしまいますので、まずは貴女を優先しました。」
珠世「ッ!私は既に鬼になって何百年も生きてきました!それに無惨の支配下になったときは夫と子供を自分の手で殺してしまった!そしてそのことに自暴自棄になって罪の無い人達を沢山喰い殺してしまった!その罪を償う為にも私は無惨を道連れにする道を選んだのに・・!!」
炭治郎は珠世の叫びを静かに聞いていた。その表情はとても悲しそうなものだった。そして珠世が言い終えると炭治郎もゆっくりと口を開いた。
炭治郎「珠世さん、少なくとも俺から見た貴女は他の鬼とは全然違います。他の鬼は自分の為に平気で人を喰ったりいたぶって殺しています。でも貴女は自分のしたことを後悔して充分罪を償っていました。それに珠世さんの医療技術は素晴らしいです。だからこれからは生きて病に犯されてる人を助けるんです。」
珠世「・・ですが、私は・・」
炭治郎「珠世さんが死んでしまったら、愈史郎さんが独りになってしまいます。孤独はとても辛くて悲しいものなんですよ。それに師範も絶対に貴女が死ぬことを許しません。師範は実力行使してでも貴女を止めると思います。」
珠世「ブロリーさんが・・」
炭治郎「はい!なので無惨との戦いには皆で生きて勝ちましょう!」
珠世「炭治郎さん、はい、そうしましょう!」
珠世が生きる決意をした時、隊員に扮装した愈史郎が険しい形相をして凄い勢いで駆けつけてきた。
愈史郎「珠世様!ご無事でしたか!」
珠世「はい、今は体が欠損していますが私は鬼です。再生できます。」
愈史郎「炭治郎、お前が珠世様を救ってくれたんだろ?礼を言うぞ。」
炭治郎「はい、無惨にも絶対に勝ちましょう!」
愈史郎「無論だ。」
そこへ炭治郎と共に移動していた義勇も駆けつけてきた。義勇は珠世と愈史郎を見ると、刀に手を掛ける。それを察知した炭治郎が義勇の前に立った。
義勇「・・何故庇う?そいつらは鬼だ。」
炭治郎「珠世さん達は鬼ですけど人を喰いません!それにお館様とも協力関係を結んでいます!勝手に手を出すことは隊律違反になりますよ!」
炭治郎の言葉に義勇は目を見開き、刀から手を離した。このときは炭治郎と最初に出会ったときに禰豆子を殺さずにおいたことを思い出したのだ。そして珠世達の方を向くと険しい顔をして聞いた。
義勇「お前達はもう人を喰わないか?」
愈史郎「俺たちが人間の血肉に涎を垂らしているとでも思ってんのか?やはり産屋敷のような奴を信用したのは間違いだったな。お前のような見境無い奴に常に狙われるからな。」
珠世「愈史郎!よしなさい!・・鬼殺隊の柱の方、私達は人肉を一切食べないことを約束します。それに炭治郎さんと約束したのです。罪を償う為にも生きて病気の人を助けると。」
珠世の強い決意を聞いた義勇はしばらく黙って考える素振りを見せると、やがて口を開いた。
義勇「炭治郎が信じるなら俺は信じる。」
義勇は二人の鬼を信じる意思を見せたのだ。それを聞いた炭治郎は安心したように笑顔になった。しかし、その時だった。この無限城では今ある異変が起きていた。ブロリーが支配人である鳴女を倒したのだ。その事で支配人がいなくなったことで無限城自体が大きく揺れはじめて崩壊しだしたのだ。その揺れは全体に伝わっていた。
ゴゴゴゴゴゴ
ブロリー「ん?地震か?」
小芭内「違う!この軋みと揺れ!城が崩壊する!外に出られないと無惨以外全員死ぬ!!」
ガコン!
蜜璃(建物が上昇する・・!!)
しのぶ「カナヲ!伊之助君!身を屈めなさい!でないと天井と床に挟まれて潰されます!」
伊之助/カナヲ「!!」
伊之助とカナヲはしのぶの指示通りにして次の衝撃に備えていた。
ドン!ドゴン!!
そして無限城内にある全ての床が天井を突き抜けて肉塊の無惨や柱達は全員外へと弾き出された。その場所は商店街のど真ん中だった。そして無惨が入った肉塊は隊員のすぐそばの場所へと落下した。そこは柱達とは少し離れた場所である。更にブロリーは他の柱とは違う所の床にいたため、無惨や他の隊員達とは柱よりも更に離れた場所へと出たのだった。
―――一方で別のとある屋敷では愈史郎の血鬼術の符をつけた新しい鬼殺隊の当主となった産屋敷輝利哉、更にその妹のくいなとかなたが隊員達を采配していた。ブロリーによって父や母が助けられたことは知らずに悲しみを押し殺しながら動いていた。
くいな「!珠世さんが炭治郎様によって無惨から切り離されました!しかしブロリー様によって城を司る鬼が殺されたことで全員地上へと弾き出されました!」
輝利哉「!?なんだって!場所はどこだ!?」
くいな「市街地です!!想定の場所から大きくずれています!」
輝利哉(そうか、ブロリーさんがやってくれたのか!地上に出せた!凄いことだ、無惨は劣勢!!)「夜明けまでの時間は!?」
輝利哉に言われて懐中時計を確認したかなたは絶望し青ざめた顔をして、大量の冷や汗をかきながら弱々しく告げた。
かなた「あと・・六時間半です・・!!」
輝利哉(まだ・・そんなに・・)
くいな「近くには沢山の剣士達がいます、少しでも回復を遅られられれば・・!」
輝利哉(幸い他の剣士達はすぐそばにいる、だったら無惨を留めさせていれば・・だけど無惨はもうすぐ復活する・・っ!)
輝利哉は無惨が復活することも考えてから何かに気づいたような顔をしてくいなに慌てて止めるように叫んだ。
輝利哉「駄目だ待て!行くな!止まれ!」
くいな「えっ?」
輝利哉「無惨の所へ行かせるな!!柱が加わるまで待機命令だ!!回復の為の食糧にされる!」
くいな「!!」
輝利哉は無惨のところから退くように指示を出した。
―――しかし、輝利哉の必死の采配も虚しく、隊員達は無惨が入っている肉塊を囲っていた。
「無惨だ!」
「地上に放り出されたことでここまで来たんだ!」
「待て!!ちょっと待て!!待機命令が出てる!!」
「待機なんてしてる場合じゃないだろ!!柱が来るまで少しでも何か役にー・・」
ズォォ
隊員達がどう攻めるか言っているとき、肉塊から上空数十メートルの場所まで飛び上がる影があった。無惨である。白い髪になって手足の至るところから鋭い牙と口を持った無惨は、見えない速さで手足を無知のように振って飛び回った。
ガガガガガガ グシャグシャ
そして無惨が動きを止めると、そこには沢山の隊員達の遺体が出ていた。どれも至るところが欠損しており、喰いちぎられているのがわかった。無事に生き延びたのは指示に従って素早く離れた数十人だけだった。
無惨「殆ど死んだぞ。千年以上生きていると喰い物が旨いという感覚も無くなってくるが、餓えていた今の食事は実に美味だった・・私の為にわざわざ食糧を運んできたこと、誉めてやろう産屋敷。後継ぎとなった息子か娘・・どちらが指揮を執っているのかは知らぬが、実に優秀だな。私の前で跪き、頭を垂れるのならば鬼にしてやってもいい。ちょうど私は殆どの部下を失った所だ。もういい、誰も彼も役には立たなかった。鬼狩りは今夜潰す。私がこれから皆殺しにする。」ぐちゃぐちゃ
無惨は沢山の隊員を喰ったことで珠世の薬を回復して鬼殺隊の死人が沢山出てしまったのだった。
―――輝利哉は采配ミスで沢山の死人を出したことで絶望した顔で自己嫌悪に陥っていた。
輝利哉(間に合わなかった・・僕のせいだ・・僕が采配をしくじった・・そのせいで大勢の人が虐殺される・・みんなが何百年も今日この日のために・・無惨を倒すためにしてきたことが全て・・何もかも僕のせいで無駄に・・)
バシィ!!
輝利哉「・・ッ!」ドッ
突然輝利哉の左の頬に強い衝撃が襲った。輝利哉はあまりの強さに崩れ落ちた。頬を抑えながら見上げるとくいなが右腕を振り抜いた格好をしていた。輝利哉はくいなにビンタされたのだった。くいなは同じように青ざめながらも強い口調で輝利哉に叫んだ。
くいな「しっかりなさいませお館様!!早く次の御指示を!!戦いはまだ終わっていません!!」
輝利哉はくいなの言葉にハッとした。そしてすぐに手元の紙に目を向けた。
輝利哉(そうだ、お館様・・父上もお爺様もみんなみんな、同じ重圧と苦しみに耐えてきたんだ。)「無惨の位置を捕捉し続けろ。鴉はとにかく"目"を撒け。攻撃の間合いが途轍もなく広い。奴との距離を決して詰めるな。柱を直ちに集結させる。他の隊員も全て、一刻も早く戦力を一処に集めるんだ。かなた、くいな、ありがとう。」
輝利哉はくいなのお陰で目が覚めたと思い、礼を述べた。かなたは終始オロオロしてたが、涙を流していた。くいなも兄を叩いたことに自己嫌悪を覚えていたが、切り替えて涙を流しながら采配の続きをするのだった。
―――無惨はその場にいた殆どの隊員を喰い殺し、その直後に義勇と炭治郎が到着した。炭治郎と義勇は鬼によって殺された家族のことを思い出し、憎悪で刀を握る力が強くなった。それを見た無惨は飽きたと言わんばかりに告げた。
無惨「しつこい。お前たちは本当にしつこい。飽き飽きする、心底うんざりした。口を開けば親の仇子の仇兄弟の仇と馬鹿の一つ覚え、お前たちは生き残ったのだからそれで充分だろう。身内が殺されたから何だと言うのか、自分は幸運だったと思い元の生活を続ければ済むこと。」
炭治郎「お前何を言ってるんだ?」
無惨「私に殺されることは大災に遭ったのと同じだと思え。何も難しく考える必要はない。」
炭治郎「・・・・」
無惨「雨や風が山の噴火が大地の揺れが、どれだけ人を殺そうとも天変地異に復讐しようという者はいない。死んだ人間が生き返ることはないのだ。いつまでもそんなことに拘っていないで、日銭を稼いで静かに暮らせば良いだろう。殆どの人間がそうしている。何故お前たちはそうしない?理由はひとつ、鬼狩りは異常者の集まりだからだ。異常者の相手は疲れた。いい加減終わりにしたいのは私の方だ。」
無惨の言い分に炭治郎の怒りは許容を超えて逆に無表情になる。そして今まで出したこともないような冷たい声で言った。
炭治郎「無惨、お前は存在してはいけない生き物だ。」(生き物に対してこれ程冷たい気持ちになったのは、腹の底まで厭悪が渦を巻いたのは初めてだ、鬼舞辻無惨。)
無惨は腕を鞭のような刃物に変えると、炭治郎達へと見えない速さで振った。
義勇「!凪!」ガン!
義勇は自身の間合いに入ったものを全て切り刻む技で相殺を試みるが、無惨の方が速くて腕に沢山の傷がついた。
義勇(腕が!!刃物のような切れ味で伸縮する。速い!!)
炭治郎(間合いがとんでもないぞ・・!!目で追えてない、感覚だけで何とか避けてる。抜けろ!!抜けろ!!)グン!ダン!
炭治郎は無惨との間合いを抜けることに成功するが、死角から来た攻撃で顔を切られて床に叩きつけられた。
炭治郎「あ・・?」(喰らって・・)
隙を見逃さない無惨は炭治郎に止めを刺そうとするが、義勇が間一髪で炭治郎を抱えて間合いを飛び出した。
義勇「間合いを詰めるな!!斬り込まなくていい!!無惨の力は上弦の比ではない!!」(遮蔽物が無い!!扉も・・まずい。)ガガガ
義勇が相殺することだけに意識し始めたことに気づいた無惨は、義勇の狙いを当てた。
無惨「時間稼ぎ・・夜明けまでか?夜明けまで私をこの場に留めるつもりか?やれるものなら!やってみろ!!」
無惨は再び炭治郎達に刃のついた腕を振るう、それを義勇が相殺しようと呼吸を使おうとするが、その前にしなやかな桃色の刀が目の前に現れた。
蜜璃「やめなさいよー!!恋の呼吸、陸の型、猫足恋風。」
蜜璃が無惨の技を相殺したのだ。そして炭治郎達の前には小芭内が立った。更にはしのぶと伊之助とカナヲも合流した。
小芭内「足手纏いの厄介者、お前はもう引っ込んでいろ。」
しのぶ「炭治郎君、お待たせしました。」
伊之助「紋治郎!お前顔やられてるじゃねーか!」
カナヲ「炭治郎、大丈夫?」
炭治郎「伊黒さん・・良かった・・無事だった・・甘露寺さんも・・しのぶさん・・伊之助・・カナヲ・・」ボロリ
小芭内は涙を流して安心する炭治郎に呆れながら言った。
小芭内「!・・・・他人よりも自分の心配をしたらどうだ。」
しのぶ「そうですよ、私たちは無傷ですが貴方は重症です。少し休んでてください。」
義勇「・・・・」
しのぶ「冨岡さんは何とか言ったらどうなんですか?」
無惨「ふん!鬼狩りの柱共が集まったか、私としても好都合だ!余計な手間をかけずに一度で皆殺しに出来るからな!」
無惨は再び管と腕を振るう、四人の柱は間合いを詰めて無惨に攻撃を仕掛ける。
小芭内「蛇の呼吸、参の型―」
蜜璃「恋の呼吸、弐の型―」
義勇「水の呼吸、捌の型―」
しのぶ「蟲の呼吸、蝶の舞―」
それぞれの呼吸で四人の技が無惨の頚に当たって肉に刃が入った。しかし、手応えはあるのに無惨から血は全く出なかった。
小芭内(肉に刃が入る!!頚を斬っても死なないが、攻撃は有効!体をバラバラにして少しでも弱体化させれば・・!?)
蜜璃「えっ!?えっ!?あれっ?斬ったのに斬れてない!?」
義勇(違う!斬った!!確実に!!ただこの化物が斬られた瞬間から再生している!!)
しのぶ(私の毒も即座に分解されましたね・・上弦の弐との戦いで毒が効かないことは想定済みですが、まさか切断自体が不可能とは・・!)
間合いを詰めた柱は無惨の攻撃範囲内にいた。それを理解して見逃さない無惨は一番近くにいた蜜璃に向かって振るう、しかし、無惨の攻撃が柱達に当たることはなかった。無惨の腕や管を棘のついた鉄球が弾き返したのだ。行冥である。黒死牟との戦いを得て合流したのだ。
行冥「遅れてすまない。」ブンブン
無惨(黒死牟を倒した鬼狩り・・)
そして無惨が行冥に気を取られていると、背後から縦一直線に亀裂が入った。実弥である。それを気づいた無惨は振り向き様に攻撃を仕掛けるが、実弥は懐から液体の入った瓶を複数取り出すと無惨に向かって投げる。液体が無惨にかかると実弥はすかさずマッチで火をつける。するとたちまち無惨の体を炎が包み込んだ。
ボッ ゴウ
無惨「!小賢しい真似を!」
実弥「テメェにはこれくらいが似合いだぜぇ、ブチ殺してやる!この塵屑野郎。」
柱が更に集結するものの、無惨の速度は更に上がって柱達は食らいつくのが精一杯になっていた。
ドガガガガガガ!!
行冥(速度がまた上がった!!圧される・・!!)
小芭内(悲鳴嶼さんの盾にもなれない!すぐに俺も動けなくなる・・くそっ!!)
ガヒュン
しのぶ「くっ・・」(まずいわね・・無惨の攻撃を喰らってしまった・・上弦の弐とは比べ物にならないくらい速い・・!!失血量も凄い・・動けなくなるのは時間の問題ね・・)
蜜璃(見えない!!全然見えない!!勘で運良く避けれてるだけ、私が一番に潰れる・・少しも役に立ててないのに・・!!捨て身で突っ込むしかない!それでも無惨の攻撃を止められるかわからないけど・・えっ引っ張られ・・)ガヒュン
蜜璃は無惨の攻撃を受けて壁に叩きつけられた。その衝撃で体の至るところから出血する。そして力なく地面へと崩れ落ちる。
小芭内「・・!!」
小芭内はすぐに蜜璃の元へと駆け寄ると抱えて壁の奥へと移動するそして近くにいた隠に手当てを依頼した。
小芭内「手当てを頼む!」
「はい!」
蜜璃「待って、私まだ、戦える。今度は足を引っ張らないようにするから。」
小芭内「もういい、十分やった。」
蜜璃「駄目よ、全然役に立ってない。このままじゃ死ねない。」ハァ ハァ
小芭内「あとは頼む。」ダン
蜜璃「待って!!私も行く!!伊黒さん!伊黒さん嫌だ!死なないで!!もう誰にも死んでほしくないよォ!!」
蜜璃が泣き叫ぶのを聞きながらも小芭内は足を止めることなく戦場へと向かった。そして入れ違うようにして蜜璃の隣に隠が来た。背中には同じようにいろんな所から出血しているしのぶが背負われていた。
蜜璃「しのぶちゃん!」
しのぶ「甘露寺さん・・すみません。無惨の攻撃を受けてしまいました。柱がこんな醜態・・恥ずかしいかぎりです・・」
蜜璃「そんなこと無いわ!私なんて一撃無惨に入れることも出来なかったんだから!私よりも凄いよ!」
しのぶ「ありがとうございます・・」
蜜璃「そういえばお城の中にいたときはブロリーさんもいたんだけど今はどこにも見当たらないの。しのぶちゃんブロリーさんがどこに行ったのか知らない?」
しのぶ「いえ、見てません。私も上弦の弐を倒すまでは彼と一緒にいましたからそのまま他の隊員への手助けに行ったっきりです。」
蜜璃「そう・・ブロリーさんどこに行っちゃったんだろう?」
しのぶ「・・ッ・・」
しのぶは最悪の事態を想像してしまい、顔を青ざめさせていた。それに気づいた蜜璃はしのぶの背中を優しく擦って慰めた。
蜜璃「大丈夫、ブロリーさんは鬼よりも圧倒的に強いわ。絶対にこっちへ向かってきてくれてるはずよ。」
しのぶ「ですが・・!万が一のことを考えると・・ッ。」
蜜璃「信じようよ、ブロリーさんは簡単にやられないって私は信じてるの。だからしのぶちゃんもブロリーさんがまだ生きてるって信じようよ。」
しのぶ「・・そうですね。」
しのぶは両手を自分の胸の前で握りしめると只ひたすらにブロリーの無事を祈った。蜜璃もブロリーが無事であることを祈る。
しのぶ(ブロリーさん、お願いします・・どうか無事でいてください・・この世に神様がいるなら、後生のお願いですから・・これ以上私から大切な者を奪わないで・・)
蜜璃(ブロリーさん、お願いします。私は貴方が無惨なんて軽く倒せるくらいには強いって確信してます。お願い、早く来て・・もう誰にも死んでほしくないの・・みんなを助けて・・)
蜜璃もしのぶも必死に祈るとその祈りが通じたのか、聞き馴染みのある高笑いが聞こえてきた。
ビュオオ!!
ブロリー「フハハハハ!!やっと合流したぞ!」
『伝説のスーパーサイヤ人』の形態になっているブロリーが空を飛んで来たのだ。ブロリーは力を使うときはサイヤ人の本能としての楽しさから悪魔のような高笑いをするのだが、今となってその高笑いは鬼殺隊にとっては安心感をえる物へと変わっていた。ブロリーの姿を見た二人は安心した表情をした。
しのぶ「!ブロリーさん!無事でよかったです・・!」
蜜璃「ブロリーさん!私たちの祈りが通じたのね!」
ブロリー「んん?しのぶと蜜璃・・貴様ら凄い怪我じゃないか!何があったんだ!?」
しのぶ「私も甘露寺さんもやられてしまいました・・鬼舞辻無惨に・・」
ブロリー「・・ほぅ?」ピキッ
ブロリーは無惨にやられたことを聞いて額に青筋を浮かべた。誰が見ても分かるほどの圧を出しながらしのぶに聞いた。
ブロリー「そのムシケラは今どこにいる?」ゴゴゴ
しのぶ「えっ・・えっと・・あちらの方で皆さんが戦ってます・・」
しのぶは建物の壁が終わるところを指差した。そこからは確かに刀がぶつかる音が聞こえてきていた。
ブロリー「そうか、了解した。お前たちは怪我を回復させてから来い。」ビュオオ
ブロリーは無惨がいる方角へと凄いスピードで飛んでいった。取り残されたしのぶは少し体が震えていた。
しのぶ(こ、恐かった・・あれは間違いなくブロリーさん物凄く怒ってましたね・・怒るとあんなに恐ろしかったんですね・・力的な意味でも他の意味でも怒らせてはいけませんね。でも、私の為にあそこまで憤慨してくれて嬉しい///)
しのぶはブロリーの怒りに対して確かに恐怖を感じていたが、その中に喜びもあることをしっかりと噛み締めるのだった。そして無惨との激闘が繰り広げられている前戦ではブロリーが到着していた。
ブロリー「フハハハハ!!真打ち登場だ!」
炭治郎「師範!」
実弥「やっと来たか!遅ぇおでましだぜェ!」
小芭内「遅い遅い、今まで何してたんだ。」
行冥「ブロリーが来てくれたことは非常にありがたい!」
義勇「よく来た。」
無一郎「ブロリーさん!来てくれたんだ!」
何人かは皮肉を込めた言葉を言ったものもいるが、全員がブロリーの到着に喜んでいた。しかし、敵である無惨だけは違った。
無惨「!ブロリー・・!」ドン!
炭治郎「!!」(走って逃げた・・!?)
そしてあろうことか無惨はブロリーの姿を確認した途端に背を向けて逃げ始めたのだ。
炭治郎「師範!皆さん!無惨が逃げた!!師範の姿を見て無惨が逃げた!!」
小芭内「!?」(逃亡・・!!そうだ当然だ、無惨は誇りを持った侍でもなければ、感情で行動する人間でもない。)
実弥(ブロリーの姿を見た途端だとォ!やはり無惨はブロリーに相当怯えてるようだな。)
義勇(まずいな、負傷させられてる上に無惨もブロリーを撒くことに全力を出している。距離が遠ざかる・・!)
行冥(無惨は生きることだけに固執している生命体だ。少しでも命が脅かされれば逃亡することにも一切の抵抗がない。)
炭治郎(ああっ・・!!くそっ!!どんどん遠ざかる、追いつけない!そんな・・そんな!!負けるのか?こんな負け方あんまりだ!みんなの命が無駄になってしまう・・!!)
必死に逃げる無惨を炭治郎達は全力で追いかけるが、その距離は詰まることはなく、逆に引き離されてしまう。そのことに柱達や炭治郎は焦りを感じるが、当のブロリー本人は追いかけておらずにある箇所を見つめていた。
ブロリー「・・・・」
それは逃げる際に無惨に踏みつけられた喰い殺された同じ鬼殺隊員の亡殻だった。その中には柱稽古の際に仲良くなった者もいたのだ。しのぶや蜜璃に炭治郎達も傷つけられた上に、仲良くなった仲間の遺体を見たブロリーは心のそこから怒りと憎悪と力が沸いてくるのを感じた。そして次の瞬間ブロリーは咆哮をあげた。そして物凄い気と圧力は炭治郎達のところへあっという間に到達した。
ブロリー「うぉぉおおああああ!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「「「「「「!!?」」」」」」」
無惨「ッ!?」
炭治郎達は無惨を追いかけることに必死でブロリーの咆哮に驚くものの振り返らない。そして無惨はブロリーの咆哮を聞いて更に逃げる速度をあげた。しかし、そんなブロリーの様子を見ているものがいた、それは何とか戦前まで戻ってきたしのぶと蜜璃だった。
しのぶ「!!」(ブロリーさん何を・・?)
蜜璃(この感じ・・もしかして・・!)
ブロリーが気を高めると、大気が地震如く揺れて地面や瓦礫から出た石が圧力で浮かび上がる。しのぶや蜜璃にはこの揺れは馴染みがあった。その為、対して驚かずにそのままブロリーの様子を見る。
ブロリー「ぬぅぅうううう!!!」キィィィン ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
そして、ブロリーを包む気は緑色のものから赤いものへと変わると、悪魔の白眼はそのままに"頭、顔、頚、胸筋周り"以外の全身がしなやかな赤い体毛に覆われていた。一見しただけだと『スーパーサイヤ人4』に瓜二つだが、違うところは赤い体毛が光沢がかったものになり、眉毛や髪までもが赤くなっているところだった。更に『スーパーサイヤ人4フルパワー』とは比べ物にならないくらいに非常に強く禍々しい"赤い気"が溢れでる姿へと変わったのだった。
ブロリー「うがぁぁぁああああ!!!」
無惨「・・ッ!」(まずい・・早く撒かなければ・・!殺される・・ブロリーに殺される・・!!)プルプル ビュン
この姿になったブロリーの雄叫びは無惨にまで届いた。このときの無惨は逃げながらも生まれてはじめて心の底から震え上がっていた。恐ろしさと絶望で青白い顔が更に真っ青になっていたのだった。
今回も読んでくださり、ありがとうございました。次回では戦いは終わりになると思います。最強形態になったブロリーの活躍を頑張って書きます。また駄文になると思いますが、何とか頑張ります。それではまた次回。