意識が浮上して夢想世界から現実世界へと戻ってきたブロリーは、閉じていた目をゆっくりと開けた。既に襖からは明るい陽光が差し込んでいて朝方を迎えていた。鬼がこの世からいなくなり、安心して眠れる夜を取り戻すことが出来て本来なら気持ちの良い朝なのだが、ブロリーは夢で宿敵に勝ち逃げされたような台詞を言われたために気分はそれほどよくなかった。
ブロリー(カカロット・・ッ、言いたいことだけ言いやがってッ!これだから彼奴は殺してやりたいほど嫌いなのだ!)
そして孫悟空に言われたことを振り払うように勢いよく飛び起きようとしたが、ふと両脇を見て禰豆子としのぶがまだ寝てるのが確認できた。そのため少し体制を整えるだけの動きをして飛び起きることはなかった。
ブロリー(そういえば昨夜はしのぶ達と寝ると約束したんだったな。ムシケラ共がいなくなった世界か・・退屈になりそうだな。)
ブロリーは鬼舞辻無惨をはじめとした全ての鬼を倒したことまで思いだし、自分の大切な人が安心して暮らせる環境になって嬉しい反面、強敵がいなくなって力を振るえなくなった寂しさも入り雑じって複雑な心境だった。体制を変えて今ブロリーは禰豆子に背中を向ける形となり、目の前にはしのぶがすやすやと寝ていた。
しのぶ「すぅ・・」スースー
ブロリー「んん?」
しのぶの寝息を怪しいと感じたブロリーは人差し指でしのぶの頬を突いた。
つん
しのぶ「んん・・!」
しのぶの反応を見て彼女が起きている事を確信したブロリーはため息をついた。
ブロリー「しのぶ、起きているんだろう、業とらしい寝息をたてるな。」
ブロリーが指摘するとしのぶも目を開けていたずらっ子のような笑みを浮かべた。
しのぶ「あらあら、バレてしまいましたか。このまま押し通せると思ったんですがねぇ・・残念残念。」
ブロリー「俺をあんな演技で騙せると思っていたのか?」
しのぶ「感情の制御には自信があったんですけどねぇ。それよりもおはようございます、ブロリーさん。」
ブロリー「あぁ、起きた。」
しのぶと話していると後ろから何かがブロリーにしがみついた。
ギュム
ブロリー「!」
禰豆子「ブロリーさん・・朝からしのぶさんにばかり構うのは狡いですよ・・」
後ろを見ると禰豆子がむくれながらブロリーにしがみついていた。
ブロリー「禰豆子も起きたか。」
禰豆子「はい、ブロリーさんおはようございます。それにしのぶさんも!」
しのぶ「ええ、おはようございます。それにしても朝っぱらからくっつきすぎなんじゃないですかねぇ?貴女達二人きりではないことを少しは自覚したらどうなんですか?」
禰豆子「しのぶさんこそ寝たふりしてブロリーさんの気を引こうとしてたじゃないですか。なのでお互い様ですよ。それに今貴女もブロリーさんにくっついてるじゃないですか。」
禰豆子の指摘通り、しのぶもブロリーに前からしがみついていた。しのぶの内心では禰豆子に遅れを取ったことを悔しさと嫉妬で行動に出たのだ。
しのぶ「先に手を出した方に言われたくないんですよ。それにブロリーさんとは屋敷が隣同士なので頻繁に会う上に同じ柱です。ブロリーさんのことは何でも知ってると言っても過言ではありません。なので私の行為はブロリーさんにとって許容範囲なので許されてるんですよ。なので早く離れたらどうです?」
ブロリー(過言だろう。俺がいつ"良い"と言った・・)
禰豆子「それを言うなら、私はお兄ちゃんと一緒に鬼殺隊にいる人達の誰よりも早くブロリーさんと出会っていますよ。一緒に過ごした時間が違うんです。私の方がブロリーさんのことを理解してますしされてるんです。なので私の行為もブロリーさんに許容されていますよ。ですから離れるかどうかは私が決めます。」
二人の口論は徐々にヒートアップしていき、威圧感に青筋まで浮かべながら激しさを増していった。
しのぶ「禰豆子さん、私は柱ですよ?その気になれば上官命令を出すことも出来ますよ。長いこと鬼殺隊にいる禰豆子さんは柱の命令がどれくらいの権力を持つのかご存じですよね?私の気が変わらないうちに行動することが身のためですよ。」ゴゴゴ
禰豆子「お言葉ですがしのぶさん。鬼だったときの私はあくまで"鬼殺隊に保護される"という名目だったので鬼殺隊には最初から"入ってない"んですよ。なので私にはその権力は通用しませんよ。」ゴゴゴ
そのときブロリーが体を動かして起き上がった。あまりに突然だった為、引っ付いていた二人は布団の上を少し転がった。
しのぶ「きゃっ!」
禰豆子「わっ!」
立ち上がったブロリーは二人を見下ろして全く違う話題を口にした。
ブロリー「腹減ったから飯食いに行くぞ、着いてこい。」
ブロリーに言われて二人はハッとした。起きてから相当時間が経っていたのか、確かに空腹感を感じるようになっていたのだ。その為、ブロリーの言ったことに異を感じなかった二人は二つ返事で了承した。
禰豆子「わかりました。」
しのぶ「はい、そうしましょう。」
三人は部屋を出て食卓までやってくると、既にアオイが起きていて自分の分の朝食を食べていた。こちらに気づくと手を止めて挨拶した。
アオイ「しのぶ様、破壊柱様に禰豆子さんまでおはようございます。あまりにも起きるのが遅かったのでご飯終わったら起こしに行こうとしてました。」
しのぶ「え?私達そんなに起きるの遅かったんですか?」
アオイ「今は8時後半ですよ。もう炭治郎さんも善逸さんも伊之助さんもみんな食べ終わってしまいましたよ。残りはお三方だけです。」
しのぶ「起こしてくれてもよかったんですけど。」
アオイ「私もご飯出来た時に起こしに行こうとしました。ですが炭治郎さんから"疲れているだろうから目が覚めるまで寝かせてあげてくれないか"って頼まれたんですよ。まぁ私もその時の炭治郎さんの言葉には二つ返事で頷きましたけど。」
禰豆子(お兄ちゃん・・そんなに私達のことを思ってくれるなんて・・)
しのぶ「炭治郎君がそんなことを・・わかりました。粋な計らいありがとうございます。それとアオイ、さっき8時後半と言いました?」
アオイ「はい、もうまもなく9時になります。」
しのぶ「!ブロリーさん!急いで朝食を食べますよ!」
ブロリー「何を焦っているんだぁ?」
しのぶ「本日10時よりお館様の変わりのお屋敷で柱合会議が開かれるんですよ!急がないと遅刻してしまいます!」
ブロリー「ヘァッ!?」
全集中の呼吸が使えるとは言え、蝶屋敷から産屋敷邸まではそれなりに距離がある。加えてブロリーを除く柱達は耀哉に絶対の忠誠心があるため、最低でも10分前には産屋敷邸の変わりとなる屋敷についてなければならないという暗黙の了解が柱達の間に存在するのだ。それに朝食を済ませて出発するだけなら普通に間に合う時間だが、身支度も済ませねばならないとなれば話は別である。二人はまだ寝間着の姿なのだ。更にしのぶは女性である。身だしなみを整えずに向かうとなると他の柱から非難の声が上がるのが容易に想像でき、なにより敬愛する耀哉にも思い人であるブロリーに公の場で晒すのも抵抗があるためしのぶは焦ったのだ。
しのぶ「ご馳走さまでした!失礼します!」
しのぶは急いで朝食を食べ終えるとすぐに着替えに行った。因みにブロリーが焦っている理由は耀哉に対する忠誠心は無いが、柱という役割について時間は厳守だということを学んだからである。
ブロリー「俺も食い終わった。アオイ、後頼んでいいか?」
アオイ「わかりました。お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
ブロリーも食べ終えると着替えに行ったのだった。
数分後、ブロリーがいつもの白いズボンに赤い腰布に加え金の首飾りや腕輪を嵌めて自身の日輪刀を装備してしのぶが来るのを待っていた。
ブロリー「しのぶ、遅くないか?」
しのぶ「後少し待ってください。」
ブロリー「ぬぅ・・」(俺は急ぐ必要あったのか?)
ブロリーが扉一枚を隔てて待っていると、しのぶがいつもの上下鬼殺隊の隊服に蝶を模範した羽織に日輪刀を腰に刺したいつもの姿で部屋から出てきた。
しのぶ「お待たせしました!ブロリーさん、行きましょうか。」
ブロリー「はい・・」
蝶屋敷を出ると、何を思ったのかブロリーはいきなりしのぶに足払いするとしのぶの体が空中に浮いた一瞬で肩と膝を抱えた。いわゆるお姫様抱っこである。
しのぶ「きゃっ!?えっ!?ブロリーさん?」
ブロリー「しっかり掴まってろ。」
いきなりお姫様抱っこされて動揺するしのぶをよそにそのまま真上へ浮かび上がった。
しのぶ「うわわっ!す、凄い・・!浮いてる・・!」
ブロリー「この方が走っていくより早く着く。それにしのぶも食ったばかりだからこの方が気持ち悪くならん。」
しのぶ「!」(ブロリーさん・・!こんなときでも私のことを気遣ってくれてるなんて・・!)
時間がない状況でも気を遣ってくれるブロリーにしのぶは赤面すると安定するためにブロリーにしがみついた。
しのぶ「・・ありがとうございます・・!///よろしくお願いしますぅ。///」
ブロリー「・・しのぶ、くっつきすぎじゃないか?」
しのぶ「こうしないと落ちないか不安なんです!///早く行きますよ!///」
恥ずかしさを誤魔化すように捲し立てたしのぶだが、その顔は湯気が錯覚で見えるのではないかと言う程赤く熱を持っており、隠しきれてないのが見てとれた。それを見てブロリーは面白く思ったが、顔に出さずにそのまま空を飛んでいった。
――――
しのぶを抱えたまま飛んでいるブロリーはしたに目的地である産屋敷を視界に捉えるとそこに向かって下降した。そして地面が砂利だった為、足を摩る形で着地したブロリーを中心に一面に砂埃が舞い上がったのだった。
ドシャアアア!
しのぶ「!ゴホッゴホッ!ちょっ、ブロリーさん!もう少し丁寧に着地してくださいまし!思いっきり砂埃吸っちゃったじゃないですか。」
ブロリー「善処しよう。それより着いたぞ。」
しのぶ「ありがとうございます。」
砂埃が落ち着いて視界がはっきりしてくると、既にブロリーとしのぶ以外の柱は着いていて皆が二人に視線を向けていた。
天元「ブロリー!胡蝶を抱えて砂埃あげながら着地するとは派手な登場じゃねーか!」
杏寿郎「うむ!危うく鬼かと勘違いして斬りかかるところだった!もう少し普通に来てくれればありがたい!」
行冥「南無・・ブロリー、鬼を全て倒して舞い上がる気持ちはわかるが、時と場所を考えることだ。」
蜜璃(勢いよく着地したブロリーさん格好いいわ///しのぶちゃんもブロリーさんに抱えられてされるがままになってるの可愛くて素敵///)キュン
無一郎「ブロリーさん!やっと来てくれた!」
義勇「ブロリー・・胡蝶・・来たのか。」
実弥「おいブロリー!時間に余裕を持たねェからこんな着きかたになったんじゃねェかァ?お館様のお屋敷でなんてことしてんだお前はァ!」
小芭内「不死川の言うとおりだ。お館様のお屋敷でこんなに荒らしてどう責任を取るつもりだ?」
ブロリー「遅刻しそうになったから急いできたらこうなった。」
しのぶ「皆さんそんなにブロリーさんを責めないであげてください。私も寝坊してしまったので、ですがなんとか間に合ったので良いじゃないですか。」
実弥「ったく!今後気を付けろ。」
「「お館様のおなりです。」」
実弥がブロリーに一蹴した時、耀哉が妻と子供達と一緒に襖の奥から歩いてきた。柱達は片膝を地面に付けて頭を垂れるが、ブロリーだけは相変わらず立ったままである。
耀哉「皆おはよう、今日は良い天気だね。顔ぶれが変わらずに最後の柱合会議を向かえることが出来るのを嬉しく思うよ。」
柱達は耀哉の言葉に反応した。今お館様は最後の柱合会議と言ったのだ。つまり柱としてお館様に挨拶できるのは今回で最後、ブロリーを除く柱達は誰もが自分が挨拶をしようと口を開いた。
「「「「「「「「「おや/おやか/お館」」」」」」」」」
柱達「・・・・」
見事に被ってしまい、全員が口を閉じた。一拍置いてから再び挨拶をしようと口を開く。
「「「「「「「「「おや/おやか/お館」」」」」」」」」
柱達「・・・・」
再び被ってしまいまたもや口を閉じる。最後だから誰もが譲るつもりがないのだ。とはいえ流石にこのまま同じことの繰り返しとなるわけにはいかない。直接言ってるわけでも視線を向けてるわけでもないが、皆が"譲れよ"という気配を出していた。そして次の三回目。
「「「「「「「「「おや/おやか/お館」」」」」」」」」
柱様「・・・・」
また被ってしまった。しかし、皆が口を閉じたその直後だった。
ブロリー「耀哉、随分と元気になったようだな?フハハハ!良いことだ。これからも元気に過ごせると良いなぁ。」
耀哉「ありがとうブロリー。」
ブロリーがタイミングを突いて耀哉の元気な姿を称賛したのだ。そして耀哉もブロリーの言葉を普段の柱の挨拶と変わらないと判断してブロリーに微笑んでお礼を言った。しかし、あまりにも杜撰な言葉遣いに他の柱達は勢いよくブロリーを見てショックを受けた表情をしていた。
天元(ブロリー、お前・・派手にそれはないだろ・・)
蜜璃(最後のお館様の挨拶が・・そんな・・)
しのぶ(ブロリーさん、なんて事を・・ですが、また被ることはなくなったのは良いことですね。)
無一郎(お館様のご挨拶・・僕が言いたかった・・)
行冥(嗚呼・・なんということだ。こんな形でご挨拶が終わってしまうとは・・)
実弥(クソッまたしても言い損ねた・・)
小芭内(貴様・・どう責任を取ってくれる・・!)
しかし、他の柱からはそんなことを思われているとは微塵も思っていないブロリーは視線にすら気づかないでいた。そして耀哉もまた話題を切り換えた。
耀哉「ブロリーが仕切ってくれたから、これから最後の柱合会議を始めようと思う。」
「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」」
耀哉「でもその前に、君達に紹介したい方々がいるんだ。入っておいで。」
耀哉の言葉で耀哉の隣に現れた二人の影、それはブロリーとしのぶがよく知る珠世と愈史郎だった。
ブロリー「珠世か。」
しのぶ「愈史郎さん・・」
珠世「!」ニコッ ひらひら
珠世はブロリーに気がつくと笑顔で手を振った。愈史郎は笑顔を向けられて手まで振られているブロリーに射殺さんと言わんばかりの視線を送っていた。
愈史郎「・・・・チッ!」ゴゴゴゴゴゴ
しのぶ「・・・・ッ!」ゴゴゴゴゴゴ
そしてしのぶもブロリーを睨み付けている愈史郎に対して鋭く睨んでいた。他の柱達は禰豆子の件で人を襲わない鬼もいると証明されてる上に、実弥に至っては最終決戦直後に二人に遭遇してブロリーとしのぶによって説明済みな為、誰一人取り乱さずに静観していた。
耀哉「鬼舞辻との戦いに協力してくれた珠世さんと愈史郎さんだ。」
珠世「初めまして・・珠世と申します・・」
ブロリー(緊張してるのか?)
愈史郎「・・愈史郎だ・・」
しのぶ(機嫌が悪そうですねぇ。私もですけど。)
しばらく沈黙が辺りを支配していたが、やがて行冥が代弁するように聞いた。
行冥「お館様、鬼舞辻を倒すために協力してくれた良鬼ならば私は認めるつもりででございます。ですが、どのような件で彼らをお呼びしたのでしょうか?」
耀哉「そうだね。そこの説明をしようと思う。これから二人は人として生きていくから二人の気配を見つけても決して危害は加えないでほしいと思っている。」
実弥「・・お館様、一つお約束していただきたいことがございます。」
耀哉「実弥、何かな?」
実弥「その鬼共が今後人を襲うようなことがあれば即刻の斬首を願います。」
愈史郎「俺達が血肉に飢えて理性の無い行動でも起こすと思ってるのか?お前の方が人を殺めそうではないか。」
実弥「あ゛あ゛!!?喧嘩売ってんのかテメェ!今すぐにでも頚を斬っても良いんだぞ!?」
珠世「愈史郎!!やめなさい!!」
耀哉「実弥、感情に任せて抜刀してはいけないよ。」
愈史郎「はい!すみません珠世様!」
実弥「・・申し訳ありませんお館様、頭に血がのぼりました。」
しのぶ(愈史郎さん、絶対に珠世さんにだけ言ってますよね。)
天元(不死川、派手にお館様のみに謝罪したな。)
耀哉「鬼舞辻無惨との戦いで協力してくれたこと、更に何百年にも綿って人を食して無いこと、充分証明されてるね。だから危害は決して加えないように、いいね。」
「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」
耀哉の言葉に他の柱達は肯定の意を示した。しかし、何故かブロリーだけは反対した。
ブロリー「断る。」
しのぶ「え?」
耀哉「ブロリー・・?」
珠世「えっ・・ブロリーさん・・」
愈史郎「ッ!ブロリー!貴様!」
しのぶと耀哉は心底驚いた表情をした。それもそのはずである。ブロリーは炭治郎達と浅草で珠世達と遭遇して禰豆子同様信用していたのだ。耀哉もそのことを知ってたから蝶屋敷に迎えにいく際に彼女達の護衛にブロリーを任せたほどである。それなのにそのブロリーが反対したのだ。愈史郎はブロリーに殺気を剥き出しにして珠世に至ってはショックのあまり涙目になって悲しそうな顔をしていたのだ。
ブロリー「勘違いするな。俺は珠世と愈史郎が"鬼"として生きるのを反対したんだ。珠世。」
珠世「はっはい。何でしょう?」
ブロリー「お前が作った薬で禰豆子を人間に戻すことに成功しただろう。ならばそれをお前達も使えば人間に戻れるんじゃないか?鬼舞辻とやらのムシケラはもう殺した。目的は果たしたはずだ、もう人間に戻って普通に暮らしても良いだろう。」
珠世/愈史郎「「!!」」
ブロリーは珠世達がこれからも"鬼"として生きていくのに反対しただけであり、"人間"としてなら生きていくことには全く反対してないのだ。だからブロリーは禰豆子に投薬した薬を使って珠世達を人間に戻す提案をしたのだ。これに珠世は最初花が咲いたかのような笑顔を見せたがすぐに暗く落ち込んだ。
珠世「ブロリーさん・・私はかつて鬼舞辻の支配下にありました。その時に罪なき人を沢山喰ってしまったのです・・そんな私が人間に戻って普通に暮らせるなんてこと・・あってはならないのです・・気持ちは嬉しいのですが・・私は鬼のまま生きて償わなければ・・」
珠世は悲しそうな表情をしながらも決意を固めた目で言った。しかし、ブロリーはそれを聞いて鼻で笑った。
ブロリー「フン!くだらん。償いだと?そんなものはとっくのとうに終わってるだろう。」
珠世「えっ?」
ブロリー「お前は俺達と協力して人を喰うムシケラ共を全滅させた。それがどれだけ他の人間を救うことになるのかわかってるのか?」
珠世「それは・・」
ブロリー「数えきれぬ程の人間の安心な暮らしをお前は果たした。お前自身がムシケラだった時の事など知らんが償う罪などそれで充分だ!」
珠世「・・私は・・人間に戻って良いのですか・・?日の下で生きる・・普通の生活をしても良いのですか・・?」
珠世は目に涙を浮かべながら消え入りそうな声でブロリーに聞く。そしてブロリーは笑って答えた。
ブロリー「ヘハハハ!当然だ。貴様の生活に反対したするやつがいたら俺が直々にそいつの息の根を止めてやる!」
珠世「・・ブロリーさん・・ありがとう・・ありがとう・・ぐすっ・・うぅ・・」
愈史郎「・・貴様、珠世様を諭してくれたのはありがたいが、人間の息の根を止めたらお前まで鬼と同等になるぞ。」
ブロリー「フハハハ!気にするな、俺は悪魔だ!」
耀哉「ブロリー。」
ブロリー「んん?」
今までずっと静観していた耀哉がブロリーに諭すように口を開いた。
耀哉「愈史郎さんの言うとおり、君が一般人を殺すことは如何なる理由でも許されないことだよ。それに君には言葉で諭せる説得力がある。いざというときには誰にも負けない君自身の力で止めることも出来る。何も殺すことまではしなくて良いんだよ。君なら出来ると私は確信している。お願いできるかい?ブロリー。」
ブロリー「はい・・」
耀哉「ブロリーが言った珠世さん達が人間に戻る案、私は賛成だ。皆はどんな意見か聞かせてくれるかい?」
義勇「俺は賛成です。」
杏寿郎「うむ!人間に戻れば人を襲わなくなるだろう!全力で賛成する!」
天元「俺も派手に賛成する。どんな形であれ、鬼殺隊に協力してくれた恩はド派手に返さないとな。」
行冥「南無・・私は以前に出会ってその時から認めていた。私もできる限りのことは手助けしよう。」
蜜璃「勿論賛成です!人に戻れたら珠世さんとも友達になりたいから!」
無一郎「炭治郎が既にこの人達のことを認めてたんでしょ?だったら僕が反対する理由が無いよ。」
小芭内「大嫌いな鬼を視界に入れることがないならそれに越したことはない。」
実弥「反対してもブロリーによって無駄になるだけです。」
しのぶ「鬼として永遠に罪を償い続けろというわけではありません。勿論賛成です。」
耀哉「決まりだね。珠世さんはどうしたい?」
珠世「・・私は・・人間に戻りたいです・・」
愈史郎「珠世様が戻るなら俺も人間に戻ろう。」
しのぶ「ではお二人は私の屋敷に引き取りましょう。薬作りもお手伝いさせていただきます。」
珠世「しのぶさん・・ありがとうございます。またよろしくお願いします。」
人間に戻ることが決定した珠世と愈史郎は隠と輝利哉やかなた達に案内されて日傘をさして蝶屋敷に向かったのだった。
耀哉「さて、これから鬼殺隊として最後の柱合会議を始める。皆上がってくれるかい?」
「「「「「「「「「御意。」」」」」」」」」
ブロリー「はい・・」
珠世達を見送った耀哉達と柱達は、柱合会議に入るために仮の産屋敷邸に上がり込むのだった。
柱合会議の内容も書こうと思ったのですが、思った以上に文字数が多かったので二段階にわけて書こうと思います。そして重大発表です。次回、この『伝説の超鬼殺隊員』は最終回となります。どのような結末にするかを頑張って考察します。それではまた次回。