噴煙の錬金術師   作:ひよっこ召喚士

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執筆中小説に置いておくと邪魔になってきたのでとりあえず書けてるところまで投稿することにしました。消す事も書かなくなることも無いですが、更新は一番遅いと思います。


01 汽車に噴煙

 騒がしいを軽く通り過ぎ、喧騒が巻き起こった街を眺める。

 

「ここでも血が流れたのか」

 

 自身も国に、軍に仕える立場であるため命令の範疇でしか動くことしか出来ないが、祭り上げられた馬鹿を締め上げて報告書を送ることしか出来ないとは……気付かれていないのは良い事だが後始末に利用されるのは腹が立つし、なにより

 

「嫌になるよ」

 

 仕入れた情報から見てここの教主が紛い物を持っていた事しか分かっていないが、裏に化け物が潜んでいるのが容易に想像できる。火種に近づきすぎるのは首を絞めるのと同じだ。

 

「ん??東方軍への報告、鋼の錬金術師……ね。確かマスタングさんのお気に入りの」

 

 正式な記録として残っている中での最年少錬金術師、人伝に効いた話によると国家錬金術師試験の際には錬成陣無しで錬成を行ったとか、どちらにせよ要注意人物だろう。

 

「所在地不明で旅をしていると聞いたが、向こうの方角ならユースウェルの視察か?その次は」

「否応なしに内側に向かうでしょうシ、鉄道じゃないですカ?」

 

 「ユースウェル炭鉱」がある大砂漠とも隣接している「東の終りの町」、その名の通り東の果てにあり、いきなり隣に現れてくれた相棒の様に密出入国目的が無い限り、そこから先にはいかないだろう。

 

「そういや、あなたの望む情報はあったんですか?」

「まだですヨ」

 

 自分が早すぎるのは分かっていますけどそれでも行動が遅いですヨ、とわざとらしく呆れたようなポーズをとっている。顔が笑っているので本音では無いだろう。

 

「東部ならマスタングさんも居るでしょうし、挨拶がてら見に行ってみましょうか」

「私ハ?」

「隠れて着いてくればいいんじゃないですか」

 

 不法入国者が彼に見つかるのは不味いですが、向こうの駅に着く時に隠れてくれれば問題は無いでしょう。私はエルリック兄弟との面識もないですからついでに紹介してもらえれば上々ですかね。

 

 

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 列車にはどうにか乗り込むことが出来た。行動予測が合っていればこの便の列車に鋼君も乗っているはずだが、声を上げて探すわけにもいかないので景色を眺めて暇を潰す。隣で駅で買い込んだ弁当を貪っている奴は無視する。

 

「フュームさんは食べないんですカ?」

「前から言っていますが私は見た目通り小食でしてね。それと食べるなら急いだほうが良さそうですよ」

「んん、それハ?」

 

 そもそも座席の半分を占領するほどの弁当はご一緒しようとは思えないが、食っていられるような状況じゃなくなりそうだ。微かにだが聞きなれた破裂音が前方の方から聞こえた。良くも悪くも目立つ軍服を脱いでおいて良かった。

 

「この列車は俺達青の団がジャックした!全員席に着け、妙な動きをしたら撃ち殺すぞ!!」

 

「そう言う事ですカ、それデ?」

「とりあえずは様子見で?」

 

 青の団の連中の話している内容や報告に耳を澄まし、口の動きを観察する。目的までは分からないがハクロ将軍を確保したという情報は捉えた。青の団と言う名前は以前聞いたことがある。予想するに収監中の指導者の解放が目的の計画犯でしょう。

 

 このままの状態が続くようであれば予定が狂いかねないのでそろそろ動くべきかと連中の位置を確認する。後ろの方に2人、私らがいる前の方に1人か。車両の間にも見張りが居るようで、少し面倒だ。後ろにもまだ車両があるので迂闊な行動は避けたい。

 

「ん、後ろのドアが開いた?」

 

「あっ、跳弾するから危ないよ」

「跳弾、いってぇ」

「注意してるのに何で撃つの?!」

 

 バカでかい鎧を纏った人物がどうやら後ろの二人を無力化してくれたみたいだ。それなら他の乗客の心配はしなくてよくなった。懐から煙管を取り出して、後ろを向いている男の裏を取る。

 

「な、早く連絡を『させないよ』ぐはぁ」

 

 特製の金属製の煙管だから丈夫さには自信がある。人間の体の構造を理解していればどれくらいの力で何処を殴れば良いのかは簡単に分かる。

 

「ちっ、動くな女!!」

 

 銃を向けてきているが、甘いにもほどがある。無力化したいのであればすぐさま足でも腕でも撃つべきだ。銃は脅しの道具では無いんだよ。内心で笑いながら煙管で銃を叩いて、錬金術を発動する。

 

「な、なにぃ!?」

「だから遅いよ」

 

 いきなり形状が変化した武器に驚いている間に懐に飛び込んで鳩尾に一撃、額に煙管で一撃、倒れこんだところを相手の着ている服を変形させて拘束する。ついでに後ろで自滅した奴らも拘束して置く。

 

「助かったよ。動くタイミングに困っててさ、ありがとうね鎧くん?」

「い、いえ。列車がジャックされたままだと僕も困りますので、それにしても凄い錬金術の腕前ですね。流れるような錬成でした」

 

 私の目の前に転がされている男たちの服や武器の有り様を見てそう言っているという事はこの鎧くんも錬金術師なのかな。まあ、錬成速度と認識力には自信があるから褒められるのは素直に嬉しい。

 

「申し訳ないけど、暇だったら手を貸してくれるかい?軍人としてはほっとくわけにはいかないからさ」

「あ、軍人さんだったんですね」

「ああ、言っとくけど畏まらなくて良いよ。こちらがお願いしてる立場だからね。ん、前方からまた発砲音?それとは別にでかい爆発音も?これは屋根の方からだな」

 

 銃の音では無いのは明らかだ。何かが壊れるような破壊音も聞こえた。列車でのテロにそこまで大きな物を持ち込んでいるとは思えないが大砲の様に聞こえた。情報を鎧君にも伝えて慎重に行くべきかと悩んでいると申し訳なさそうな声で鎧くんが声を掛けてきた。

 

「あ、えっと。それは兄さんかもしれません」

「ん、君の兄さんはテロリスト側なのか?」

「違いますよ!?兄さんがまず機関部を取り戻しに屋根から向かったんです。あと音は兄さんが錬金術で攻撃した音だと思います。怒りっぽくて派手な事が好きなので」

 

 呆れたような困ったような口調でお兄さんの話をする当たり、兄弟仲は友好のようだが、最後につけたした説明だけだと悪口に聞こえるぞ。それにしても兄弟で錬金術師か、もしかしなくとも、もしかするのではないか?

 

「お兄さんってエドワードって名前だったりする?」

「知ってるんですか!?」

「という事は君はアルフォンス君か、ならそこまで心配は要らないかな。残ってるのは人質であるハクロ少将と一緒に立てこもっている奴らが殆どだしね。そのうち片が付くだろうけどそろそろ向かおうか」

 

 残党は途中途中に居たが、アルフォンス君に攻撃は効かないし、私は弾ぐらいは避けれるし、何なら煙管で打ち返す事も可能なので制圧は簡単だった。一つ前の車両までいくとエドワード君らしき声が聞こえてきた。

 

 少し待っているとテロリスト達が立てこもっている部屋の中に凄い量の水が流れ込んでいったようで、十分な量が溜まったので扉を開けて、流されたテロリストを歓迎する。

 

「「いらっしゃい♪」」

 

「でかい、鎧……」

「そっちは軍人か?!」

 

 いきなりアルフォンス君のような巨大な鎧の前に放り出されたからか青い顔をしているが、犯罪者に情けを掛ける道理はない。二人がかりで叩きのめして捕縛する。テロリストのボスは鋼くんがしっかり倒してくれたようだ。まあ、噂通りの人物なら心配は必要ないのも当然だが。とりあえずは呆然としている少将の様子を見ておこう。

 

「大丈夫ですかハクロ少将?」

「あ、ああ。耳を撃たれただけだ」

「耳ですか。念のため簡単な処置だけはしておきましょう。駅に着いたら一度医者に診てもらってください」

 

 やろうと思えば治す事も出来なくは無いが、そこまでの義理は無い。どうせもうすぐ駅に着くから耐えれなくはないだろうが、傷口が膿み始めていたので消毒などの最低限の処置をしておく。終わったら今回の功労者に声を掛けておこう。

 

「お疲れ様、エドワード・エルリック君。ああ、主導者の捕縛も済んだみたいだね」

 

 私がハクロ少将の治療をしている間に倒した主導者をロープで縛り上げたみたいだ。縛り終わるまでの手際が良いし、ロープは錬金術で用意した跡がある。行動力といい、色々と面白そうな子ではある。

 

「お、おう。てか、あんた誰だ?」

「あ、制圧の手伝いをしてくれて、中央の軍人さんみたい」

「マスタングさんのお気に入りと言う噂通りの実力だね。ああ説明ありがとう、フュームだ。これでも中将の地位を預かっている」

 

 マスタング大佐の名前を出した瞬間は嫌そうな顔をしていたが、私の肩書を伝えると初めは理解が及ばなかったようだがすぐにものすごく驚いた表情を浮かべた。それも仕方がないだろう。

 

「「中将!?」」

「中将って大佐のいくつ上だ…アル?」

「えっと、准将、少将、中将だから3つ上だよ。兄さん」

 

 エドワードくんも試験は受けたはずだから軍に関する基本も知っているはずだけど、慌てすぎて頭が回っていない様だ。子供らしくて、可愛いじゃないか。

 

「見た目通り若輩でね。君たちは軍属ではあるけど軍人では無いだろう。他で気を付けてくれれば私には畏まらなくて構わないよ」

「そっか。よろしくな」

「ちょ、兄さん?!すみません。フューム中将」

 

 私から言った事ではあるが、すぐにため口で話しかけてくるとは、なかなかに肝も据わっているようで、将来性がある若者だな。っと駅に着いたし、挨拶に行くとしよう。二人も一緒に降りようじゃないか?

 

 

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 私は予想がついていたので、顔を合わせた瞬間に手をあげて挨拶をしておいた。向こうの方が年が上だが階級が上なので適当でも許されるというものだ。

 

「や、鋼の」

「あれ、大佐こんにちは」

 

 アルフォンス君は普通に挨拶しているが、エドワードくんはどうやら彼が居るとは思っていなかったようでとてつもなく嫌そうな顔を浮かべて、嫌がっている。

 

「なんだね。その嫌そうな顔は」

 

「くあ~~大佐の管轄なら放っときゃ良かった!!」

 

「それにしても貴女までいるとは、ラテジスト中将」

 

 明らかに面倒くさそうにこちらを見てくるのは流石に失礼では無いか?いや、アポも無しに中央から年下の上官がやってくるというのは嫌な気持ちになるのも仕方ないとは思うが、言葉だけが取り繕われているのが余計に……

 

「気持ち悪いのでため口で喋ってください」

 

「相変わらずだな。煙管の!?」

 

 いや、昔も私が大佐でマスタングさんが少佐の頃にも年の差があるからため口で良いですってお願いしたでしょう。それに貴方の本性を知ってると敬語はむず痒くなるに決まってるでしょう。

 

「って、あらら、エドワード君、捕縛用のロープには金属や強化プラスチックを混ぜ込むことをおすすめするよ」

 

 それだけでも行動の阻害には十分だし、仕込まれているギミック程度なら押さえ込める。ふむ、機械鎧が壊れているからと言って油断していたな。ロープを切る前に取り押さえようと思えば取り押さえられるだろうに、腑抜けているな。

 

「ふむ、私がやろう」

 

 堂々とした立ち姿は様になっているけど、ナルシストっぽくも見えてしまう。前に伸ばした手からパチンという音が聞こえた。その瞬間には暴れていた男は炎に包まれた。私も披露しておこう。マスタングさんの炎のおかげで十分な煙がある。

 

「ぐはっ」

 

 煙から錬成反応が起こり、機械鎧に仕込まれたナイフはねじ曲がり、周辺の地面が鋭く隆起して倒れかけていた男の動きを封じる。身体を数か所打ち付けられて息を漏らしている。爆炎が生じる彼の焔の錬金術と私の錬金術はかなり相性が良い。かつての内乱でもそれは証明されている。

 

「むっ」

「ついでですよ」

 

 余計な事をしてくれたという意思を隠すことなく、こちらを見てきた。マスタングさんの技は知っていたようだが私が錬金術を発動して見せるとエルリック兄弟はとても驚いていた。まあ、だいぶ特殊な錬金術ですからね。

 

「ど畜生め……てめえ何者だ!!」

 

「ロイ・マスタング、地位は大佐だ。そしてもうひとつ『焔の錬金術師』だ覚えておきたまえ」

「ふふ、運が悪いですね。今なら『噴煙の錬金術師』も相手となりますよ」

 

 何もすることが出来ず、一瞬で打ちのめされた男には既に反抗する気概は残っていなかったようだ。私はもう一度、錬金術を発動し、周囲の石で手枷を作り上げ、動きを止めていた地面を元に戻した。

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