噴煙の錬金術師   作:ひよっこ召喚士

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非常に久しぶりの投稿です。


13 苦い煙と危ない鎧

 

SIDE:フューム

 

 エドワード君が自信満々にランファンと呼ばれた少女に面を渡している。なんでも壊したから弁償だという話だが……なんとも厳つい面をしていたんだな。

 

「オレが壊しちまった面、返せって言ったから」

 

「どーして兄さんのセンスだとこうなるかなぁ…」

 

 シンにはそれなりに滞在していたのに知らないこともあるもんだと思っていたらエドワード君が勝手に改ざんしたようだ……アルフォンス君が出来ているのだから基礎は習ってるはずたろうに不思議なものだ。

 

 けっきょく面はアルフォンス君が絵をもとに作り直してその場は解決した。そして、賢者の石を求めている皇子一行も加わった中央への道のりとなった。

 

「それでお前らの目的は聴いたがどこまでついてくる気だ?オレが教えてやるギリはこれっぽっちもねぇからな」

 

「これも縁だと思ってサ」

 

「こんな厄介な縁は願い下げだ」

 

 出会いが出会いであるためか取り付く島もないといった様子だ。それ以前に賢者の石の材料を思えば無闇矢鱈に広める性格ではないのもあるか。

 

「ところで中将はなんで僕たちのところに来たんですか?」

 

「そう言えば…コイツラのせいで有耶無耶になってたけど……用事あったんですか?」

 

 やはりまだ警戒されてるか……子供である彼らには損得だけで動くやり方はあまり好かれないのは分かっていたが、ここまであからさまだと逆に心配になるな。

 

「なに、今なら話せると思ったから旅に便乗させてもらっただけですよ」

 

「「話?」」

 

 ここから先は彼らにだけ聞かせるべきでしょうが、上の二人は聞き耳を立てるのが予想できます。それでも席を移したほうが良いでしょう。私は二人についてくるように言って少し離れた席に移動した。

 

「場所を移してまでする話ってなんなんですか?」

 

「強欲といえば分かるでしょう?」

 

「「?!」」

 

 あんなんでも人造人間の一角だ。出ていく前に大総統達の動きを追ってもらったがもれなく中央に居るとのことだからな。着くまでの道中は安全と考えて良い。

 

「……中将はどこまで知ってんだ?」

 

「さて……何をもって図るか分かりませんからね。あなた方はきちんと()()()()()()()()()。だから警告です。手を引く気はありませんか?」

 

 今ならまだ引き返す事は可能でしょう。この国のゴタゴタから逃げ出してもなんの問題もない。

 

「んな事が出来るかよ!!」

 

「そう言うと思っていました……知らないというのは弱点になります。しかし、無知は恐ろしいですが、既知は足かせにもなりえます。探し続けるのなら覚悟をすることです」

 

 張り付いた笑みを取っ払い真っ直ぐと彼らの目を見つめます。知らない方が良かったことなんてこれまでいくらでもあったでしょうに本当に良い目をしていますね。

 

 


 

 

「おい、ファルマン。俺だハボックだ。見舞いに来たぞ」

 

「ハボック少尉!」

 

「よお!大佐に様子を見てこいって言われてよ」

 

 マスタング大佐の部下同士である彼らだが、なにもないのに家を訪ねるほど暇ではない。

 

「よーう、タバコのあんちゃん。毎度どーも」

 

「どうだバリー、一回でも勝てたか?」

 

「ダメだぁぜんぜん勝てねぇよ。せっかくマスタングとかいう奴が遊び道具を持ってきてくれたけど退屈でしょーがねぇ。なぁ、夜中に人を斬って来てもいいだろ?」

 

「ふざけんな馬鹿野郎」

 

 物騒な発言をするバリーという男、かつて第5研究所にてナンバー66を名乗りアルフォンスと戦った。アルフォンスと同じ、鎧に魂を定着させた存在である。

 

 なぜ、殺人鬼であるバリーがファルマン准尉と部屋にいるのか、それは10日ほど前に遡る。

 

 


 

 

 中央へとマスタング大佐達が来て少し経った頃、ホークアイ中尉が休みの日に買い物をして帰る途中の事だ。暗がりなら狙いすましたかのようにヌッと現れた。

 

「おねェさんこんな時間に一人で歩いてちゃ危ねェなァ。送って行こうか?」

 

「……ご忠告ありがとう。でも大丈夫よ」

 

「遠慮すんなよ。この辺は本当に物騒な奴がいるんだよ……バリー・ザ・チョッパーとかなァ!!!」

 

 鋭い武器を笑いながら高く掲げて斬りかかる。相手がただの一般人であればすぐに死んでいただろうが相手は軍人の中でも指折りの実力者だ。

 

 驚きながらも慌てることはなく荷物を捨てて銃を取り出すと狙い撃ち、相手の行動を止める。鎧姿のそいつに何発も当たるが問題なく動いており、もう一丁の銃を取り出して繰り返し攻撃を行う。

 

「けしからん!!この俺様に襲われて何も反応せんとは!!これでも見て悲鳴をあげやがれ!!」

 

 怒り狂いながらそう言うと両手を頭に持っていくと兜を持ち上げる。しかし、そこにあるはずの頭はなく中は空洞だった。

 

 確かに得体のしれない相手だとわかれば普通の人間は驚くだろう。しかし、彼女は同じ身体の人間の知り合いがいた。悲鳴などあげるわけなくそのまま銃を撃つのを再開すると逆に襲撃者が悲鳴をあげていた。

 

「ちょ…ちょちょちょ!!なんで驚かねェのよおねェさん!!」

 

「……似たような人を知っているから」

 

「似…?アルフォンスなんとかって奴か?」

 

 時間を稼ぐ意味合いや情報を引き出すために質問に答えると相手からその思い浮かべた人の名前が飛び出し、流石の彼女も驚き問い返す。

 

「アルフォンス君を知っているの?」

 

「げっへっへっへっ、あいつのご友人さんですかい。しかしおねェさん強いですねェ♡」

 

「あなた何者?アルフォンス君とどういう関係?」

 

 知り合いと眼の前の危険人物の謎の共通点と接点が分からずさらに質問を繰り返す。

 

「俺強い女大好きよォ♡」

 

「話をはぐらかさないで!」

 

 銃声を聞きつけたのかこちらを見ている人が増えているのを確認しながら危険な鎧の男から目ははなさない。質問に答えずに関係ない事を喋る相手に怒鳴っていると予想外の言葉が放たれた。

 

「惚れたぜ姐さん♡♡」

 

「…………は?」

 

 この奇怪な鎧を眼の前にして気が抜けた反応をしてしまったのもしょうがないだろう。これをどうするべきか自分だけでは判断出来ないと思った彼女は頼れる上司に電話をかけることになった。

 


 

「09年の5月3日は?」

 

「レイノルズだな。五番街の酒蔵の裏でやった」

 

「10年8月29日」

 

「ヘンドリック、うちの肉が不味いとかぬかしやがったから」

 

「08年1月5日」

 

「レニィとシンシア、一晩で二人殺ったのはその時だけだ」

 

「……11年の3月3日のガドリエル事件は?」

 

「ガドリエルをやったのは3日じゃねぇ13日だ。月のきれいな晩でよ。手元がよく見えて解体しやすかった」

 

 記憶力に優れたファルマン准尉が目の前の鎧が名乗るバリー・ザ・チョッパーの事件について言及するとスラスラと鎧は答えていく。

 

「どうだ?」

「引っかけにも乗りませんね。ここまで知ってるとなるとやはり本物かと…」

 

「んだよ!俺が偽物かと疑ってんのかよ!なんならてめェらきれいに解体してみせて…」

 

「やめなさい」

 

 硬い鎧をそのまま殴ってもどうしようもないのでホークアイ中尉が鉄パイプでどつく事で危険な発言を止めさせる。

 

「本物である事は認めよう。なぜ死刑になったはずのおまえがここにいる?しかもアルフォンス・エルリックと同じ鎧の身体で」

 

 軍が死刑と記録した人間がこうした形だが生きているというのは大きな問題である。真剣な表情で誤魔化しは許さないと問いかける。

 

「答える前にこっちも質問がある。おめェら軍人のようだが俺がこんな身体になった事を知らなかったんだな?」

 

「ああ」

 

 

「OKOK!てぇ事は第五研究所の事も知らねェな?」

 

「…?なんの事だ?!」

 

「アルフォンスって奴とその兄貴が忍び込んで来てな。その時に闘ったのよ。なかなか強ェなあいつ」

 

 忍び込んだという言葉に彼らの目的を口に出していたアームストロング少佐の言葉を思い出す。

 

「……バリー詳しく話せ!」

 

「へっへっへっ、俺の身体をこんなにした奴らにチクらないでかつ俺を処分しないってェなら洗いざらい吐いてもいいぜ」

 

「いいだろう!」

 

 ようやく掴んだ手がかりかもしれない相手に対し、下手な手は打てないと大佐は迷わずにその条件を飲んだ。

 

 


 

 

 第五研究所で行われてた非道な実験やバリーの身体の事情などを聞き出して纏めると大佐が視線をより鋭くさせて質問を口にした。

 

「バリー・ザ・チョッパー、最後にひとつ訊こう。一ヶ月と少し前、中央の電話ボックスで軍将校を襲ったのはお前か?」

 

「知らねぇよ。そいつ斬り裂かれて……いや、待てよ。電話ボックスっつったか?」

 

 視線に慌てながら即座に否定しようとしたがバリーは何かを思い出したかの様に思案を始めた。大佐はまさかと詰め寄って問い詰める。

 

「お前がやったのか?」

 

「ち、ちげぇよ。だが、見てたんだよ!!そいつがエンヴィーの奴に襲われてたから気になって」

 

「エンヴィーだと!?……なるほど、ようやく手がかりが掴めた」

 

「あー、たぶん。メガネかけたあんちゃんだろ?探してるってことは死んだか、行方不明なのか?オレが見てた限り、変なもんばら撒いて逃げてたぞ」

 

「変なものか……それがどんなかはわかるか?」

 

 探し出す手がかりになるかと些細なことでも話せとバリーに促す。

 

「いやァ、流石に暗がりだし、ばれないように必死だったからな。あのあんちゃんだいぶ血を流してたから治療しないと死んでると思うけどな」

 

「治療か……良い情報だ。さてファルマン准尉帰っていいぞ。そして今夜聞いた事は忘れてくれ」

 

 その指示を聞くとおもむろにファルマン准尉の視線がバリーの方へと向かった。先程までに聞いた内容を考えるに安全を考えてのことなのは簡単に想像がつく

 

「わかるだろう?危ない橋だ。私に付き合っておまえまで渡る必要は無い」

 

「ふむ……たしかに。しかし大佐、残念な事に私は記憶力が良すぎましてね。忘れろと言われても無理な相談ですよ、乗りかかった舟です。行く所まで付き合いますよ。私に出来る事があればなんなりと言ってください」

 

「ファルマン、すまんな。感謝する……では早速だがこいつをたのむ」

 

「は?」

 

「一般市民および我々以外の軍関係者に見付からん場所に拘束しておけ!私は調べ物があるので軍に戻る!ああ、おまえの休みは取っといてやるからバリーをしっかり見張っておけよ!たのんだぞ!」

 

「バリー!その人は斬っちゃダメよ!」

 

「あいあい〜♡…ま、仲良くやろうぜ肉が硬そうな旦那」

 

「…………」

 

 安易になんなりと言ってくださいと口にしたことを少し後悔したファルマンは、隣のバリーの言葉を聞いてさらに先が思いやられた。

 

 


 

SIDE:エドワード

 

 

 言いたいことだけを言って席に戻っていった中将の背を見つめながら、おもむろに口を開いた。

 

「中将のあれは何だったんだ?」

 

「分からないよ……けど」

 

「ああ、分かってる」

 

 あの人は俺たちを心配している様に見える。それとよく分からないけど別の考えも混じってる。俺たちにどうして欲しいのかよくわからない。それ以前に……

 

「次ってなんだよ」

 

 これ以上何かがあるって言うのか。賢者の石とかホムンクルスのことだけでも精一杯だっていうのに……

 




とりあえずバリーについて書いて終わってしまった……全然話が進まなくてすみません。

現在パソコンが壊れていてスマホで執筆しています。その為に長文を書くのはしんどいし、難しく、全体的に投稿が遅れています。

フュームの立ち位置を描くのが正直難しい。分かりにくいとか何をしたいのとかの感想を抱く方もいるかもしれませんが、一応考えはあっての行動です。

そしてヒューズさんについての情報がやっと出てきました。そして犯人の名前も既に伝わっているという原作との乖離がありますが、これがどうなるかは後のお楽しみです。

たぶん、この小説は殆ど書けないのでまだお待たせする事になると思います。読んでくれている方々に深い謝罪を申し上げます。

それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。

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