噴煙の錬金術師   作:ひよっこ召喚士

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結晶はアニメの二つ名で原作ではたしか国家錬金術師かも不明でしたっけ?


05 鋼と剛腕と結晶と

SIDE:エドワード

 

 目の前には涙を流した筋肉ヒゲダルマがいるんだが、どうしたら良いんだろうかと、真剣に思い悩んでいると物凄い勢いで迫ってきた。

 

「聞いたぞ、エドワード・エルリック!!母親を生き返らそうとしたその無垢な愛!さらに己の命を捨てる覚悟で弟の魂を錬成したすさまじき愛!吾輩感動!!」

「寄るな」

 

 右腕が消し飛んだばかりで、片腕で少佐に対抗できるわけもないので、足を顔面に当てて近寄らせまいと頑張る。そして、何より問題なのは、何故この人がそれを知ってんだ?なぁ、おい。

 

「口が軽いぜ大佐」

「いやあ……あんな暑苦しいのに詰め寄られたら君の過去を喋らざるをえなくてね…」

 

 足蹴にされたことなど何でもないと言った様子で流し続けていた涙を呑気にハンカチで拭いている。すると、とんでもない事を言い始めた。

 

「と言う訳で、その義肢屋の所まで吾輩が護衛を引き受けようではないか」

「はぁ!?なに寝ぼけた事言ってんだ!護衛なんていらねーよ!」

 

 そう言い返して不気味な提案を回避しようとしたがそうは問屋が卸さない。

 

「エドワード君、フューム中将が痛手を負わせたとはいえ、またいつ傷の男が襲って来るかもわからない中をその身体で移動しようと言うのよ。奴に対抗できるだけの護衛をつけるのは当然でしょう?」

「それにその身体じゃアルを運んでやる事もできないだろ?」

「だったら別に少佐じゃなくても!」

 

 錬金術が使えず、自衛すらままならないという事で、護衛を選ぶというのは納得がいくが、このおっさんと四六時中一緒だというのは紛れもない罰ゲームだろうが、と何とか他の人へ視線を送る。

 

「俺ぁ仕事が山積みだからすぐ中央(セントラル)に帰らなきゃならん」

「私が東方司令部(ここ)を離れる訳にはいかないだろう」

「大佐のお守りが大変なのよ、すぐサボるから」

「あんなヤバいのから守りきれる自信無いし」

「「「以下同文」」」

 

 様々な理由を持って、護衛候補が粉砕されたため、力があり、護衛としてついて行っても問題ない人間が選ばれるのはむしろ必然である。

 

「決まりだな」

「勝手に決めんなよ!!」

 

 やべぇ、このままじゃ本当に護衛がおっさんで決まってしまう。そう、思っていたらこの場に居なかった護衛が務まりそうな人物がもう一人やってきた。

 

「朝から賑やかですね」

「フューム中将!!俺の護衛をしてくれませんか?!お願いします!!」

「護衛?傷の男対策ですか、構いませんよと言ってあげたい所ですが、私はタッカー氏に関しての報告とニーナに関してやらないといけない事があってね。それと君の故郷はリゼンブールだろ?少し行きにくくてね、すまんが少佐と仲良く旅行と洒落込んでくれ」

「NOOOOOOO!!」

 

 最後の頼みの綱で会ったフューム中将までも駄目になったとなるとマジで打つ手がねぇ。

 

「子供は大人の言う事をきくものだ!」

「子供扱いするな!!」

「エドワード君が子供かどうかは置いといて、そう言った考え方は少し差別的ですよ」

「そうなのか?ふむ、下の者は守るものと学んできたが、決めつけは確かに考えの押し付けになるな。良い教えに感謝する」

 

 論点のずれた会話を勝手に進めてんじゃねぇ!!あー、もうオレじゃもうだめだ。

 

「この…アルも何か言ってやれ!」

「兄さん!!ボクこの身体になってから初めて子供扱いされたよ!!」

 

 だめだこりゃ、こいつがこういった時に役に立たないのは分かってた事だろう。

 

「まだ駄々をこねると言うのなら命令違反で軍法会議にかけるがどうかね?」

「うおお!!(きたね)え!!あっ、そうだ。フューム中将『焔の錬金術師』が職権乱用してます!!」

「君の方が汚いぞ!?」

「では、国家錬金術師の査察官として『剛腕の錬金術師』に『鋼の錬金術師』の護衛を命じます。『鋼の錬金術師』はそれを素直に受ける様に命じます」

「了解しました。そうと決まれば早速荷造りだ」

「中将!?」

「私は査察官で、最終的な判断を下す権限はありません。例えば資格の剥奪などですね。しかし、現場でのある程度の命令権は預かっているんですよ。申請すれば権限も電話一本で得ることが出来ますがね。それ以前に中将ですし、今の軍に大将は居ませんので、大総統やその周辺を除けば軍における最高権力者ですからね」

「裏切ったなぁ!!」

「噴煙のはそもそも味方では無いだろう」

 

 そうして準備を進める事に成ったのだが、目の前に置かれたのは木箱、そしてそれに入っている弟の姿。

 

「荷物扱いの方が旅費より安いからな!」

(この身体になってから初めて荷物扱いされた……)

 

 アルの扱いに関してもメチャクチャで本当にこれから先に不安しかない。無駄にデカい少佐のせいで居心地の悪い汽車の座席に座りながら、リゼンブールに着くまでに何もない事を願うしかない。そんなことを考えているとコンコンと窓を叩く音が聞こえた。何だろうと窓の外を見ると、見知った顔が見えた。

 

「ヒューズ中佐」!

「よ、司令部の奴らやっぱり忙しくて来れないってよ代わりに俺が見送りだ。そうそう、ロイから伝言をあずかって来た」

「大佐から?」

「『事後処理が面倒だから私の管轄内で死ぬ事は許さん』以上」

「『了解、絶対てめーより先に死にませんクソ大佐』って伝えといて」

 

 あの大佐に何かを期待していた訳では無いが予想通りの酷い伝言にオレも嫌味で返す。そうすると、心底楽しそうな顔でヒューズ中佐は笑った。

 

「あっはっは!憎まれっ子世にはばかるってな!おめーもロイも野郎も長生きすんぜ!」

 

 そんなことを話していたら汽車が勢いよく煙をあげ、駅員が出発を知らせる笛を吹く音が響いた。

 

「じゃ、道中気をつけてな。中央(セントラル)に寄る事があったら声かけろや」

 

 そう言って敬礼してくれるヒューズ中佐に少佐とオレも敬礼で応える。とは言ってもオレの右手はお釈迦になっているので左手での敬礼になってしまったが、無い物はしょうがないし、中佐なら許してくれるだろ。

 

「吾輩は機械鎧の整備士とやらを見るのは初めてだ」

「正確には外科医で義肢装具師で機械鎧調整師かな、昔からのなじみで安くしてくれるしいい仕事するよ」

 

 得意としている訳では無いが、少佐は悪い人では無いので同行すると決まってしまった以上は素っ気なく対応するつもりはなく、時間つぶしに世間話を嗜むこともする。

 

「その整備師のいるリゼンブールとはどんな所だ?」

「すっげー田舎、なんも無いよ。つーか東部の内乱のせいで何も無くなっちゃったんだけどね。軍がもっとしっかりしてりゃにぎやかな街になってただろうなぁ」

「…耳が痛いな」

「そりゃいいもっと言ってやろうか…本当、静かな所でさ何も無いけど都会には無いものがいっぱいある。それがオレ達兄弟の故郷リゼンブール」

 

 なんとなく嫌味っぽい事を言ってしまったが、思い浮かべる風景は自然か羊ぐらいなあの場所がオレ達はやっぱり好きなんだろうな。

 

「ところでアルはちゃんとこの汽車に乗せてくれたんだろうな」

「ふっふーぬかりは無いぞ」

 

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 家畜車両の一角、羊の群れの中央に木箱に入った鎧がポツンと存在する。

 

「めー」

「めめー」

「……」

「めへー」

 

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SIDE:エドワード

 

 

「一人じゃさびしかろうと思ってな!」

「てめぇオレの弟をなんだと思ってんだ!!」

 

 このおっさんの頭の中はどうなってんだ。人様の弟を荷物扱いしてくれた挙句に、寂しいだろうって家畜と同じ車両にぶち込むか普通!?

 

「むうッ、何が不満なのだ!広くて安くてにぎやかでいたれりつくせりではないか!」

「ふざけんなーーーっ!!!」

 

 ギャーギャー騒いだら周りの迷惑になると普段からアルにも口を酸っぱくして言われているが、そのアルの扱いに関してなんだから文句は言わないだろう。そう心の中で勝手に結論付けて、少佐と徹底的に抗戦する。はぁ、このおっさんとしばらく一緒なのか……

 

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SIDE:フューム

 

 エルリック兄弟を乗せた列車が離れていくのをしばらく眺め続けていました。彼らの目的地を考えると、あの時の事を思い出します。保護したなんて、結果論であの時の私は()()()()()()()()()()()()()。彼らは死を身近に感じ、心身ともに疲弊している。綺麗にリセットとはいかないでしょうが、少しでも休まる様にと考えると、ノコノコと問題の種が着いて行くべきでは無いですね。

 

「そう言えば、線路上の村には()()が…いえ、マウロさんが居ましたね……巡り合うとしたらそれも運命でしょうか?」

「泥臭い、いや、血生臭い運命もあったもんですネ。それと傷の男の追跡は不可能でしタ。やっぱり、この国の地下の気配が邪魔ですネ」

「そうでしたか、お疲れ様です。ある意味、彼のおかげで()()()も動かざるを得ない状況が続いてます。味方となりうる人材を保護しつつ、放っておくのも一つの手です。それに、マウロに会う事があれば違和感を彼らも覚えるでしょうか?まあ、私は()()()の為に準備を続けるだけです」

 

 ()()()()()()()()()()()()()者同士、接触し続けるのは危険でしょう。彼らの純粋さは眩しく、力強い物でした。あの輝きが失われる事の無いように願うばかりです。さて、次は何処に向かうべきでしょうか、あの女は汽車に居ましたが、他はどうでしょうか。

 

「変装上手は教主ごっこ中デ、マナーの悪いデブは傷の男を探して(ここ)ネ、似非親子は今は中央ニ、モグラは気にしないで良いのでしょウ」

 

 ダブリスの馬鹿は放っておいて大丈夫でしょうし、むしろ向こうに彼が見つかってくれれば中央の監視も軽微になるんですがね。しかし、現状は私を見張るだけの人員は居ないという事になります。今が動くにはチャンスでしょう。

 

「南北に1つずつ、東西に2つずつ、後は北だけです。あそこに行くと怪しまれるので難しかったですが、今ならいけます。あなたは傷の男と向こうの動向を気にかけてください。狙われるという意味で要注意者のリストを渡しておきますが、無理はしないでください。報告は2週間後、中央で落ち合いましょう」

「結構長いですネ。中央を兄弟が訪ねてたらどうするんですカ?」

「あー、それがありましたね。中央に立ち寄った際に部下たちに資料室と研究所に通すように伝えておくので大丈夫でしょう。それと、これを渡しておきます」

 

 私は大量のお金の入った袋を渡す、これでも全然足りないのだろうけど、私だって大金を持ち歩いている訳では無い。

 

「研究所に資料取り寄せや触媒の代金として定期的にお金は送りますのでいつも通り業者を装ってください。それと送るのは三日に一回ぐらいなので、いつもより節約してくださいね。」

「分かりましタ。では2週間後に会いましょウ」

 

 そう言ってスーは消えたが、本当に分かってるのか不安ですね…特に食費に関しては。さて、列車で行こうと思ったら、どうせ中央に行ってからの方が良いですね。仕事では無いですがやる事もありますからね。それに、こそこそ動いて勘ぐられるよりも、それらしい理由をつけて堂々としていた方が安全です。

 

「ふむ、雪煙でも錬成できるのか、力試しと行きましょう」

 

 あの少将の性格を考えると分かった上で意地の悪い手を仕掛けてくるだろう。と言うか、何をしに来たと剣を突き付けてくるのが確定しているような物だ。最近は研究ばかりで運動不足気味なので動けるか不安ですね。

 

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SIDE:エドワード

 

 長い列車での移動は体への負担も大きいし、何より退屈で眠くなる。窓に頭を預けて寝ようとした瞬間、外の景色を食い入るように見ながら少佐が乗り出した。

 

「うわっ!?」

「ドクター・マルコー!!」

 

 なにやら人の名前を叫んでいるようで、でかい図体で殆ど見えないが、視線の先には初老の男が居た。

 

「ドクター・マルコーではありませんか!?中央のアレックス・ルイ・アームストロングであります!」

 

 少佐が自分の事も叫ぶと、男は顔色を悪くしていき、遂には走り出した。名前を呼んでいる事から知り合いだと思ったんだが、逃げ出すなんて一体どういう関係なんだ?

 

「知り合いかよ?」

「うむ…中央の錬金術研究機関にいたかなりやり手の錬金術師だ。錬金術を医療に応用する研究に携わっていたがあの内乱の後、行方不明になっていた」

 

 その情報を聞いた瞬間にオレのこの後の行動は決まった。

 

「降りよう!」

「む?降りるのはリゼンブールという町ではなかったのか?」

「そういう研究をしていた人なら生体錬成について知ってるかもしれない!アルと荷物降ろさないと!早く!すいませーん降ります!」

 

 駅員さんに話しかけてアルを降ろしてもらったが、かなり羊臭くなっていた。指摘すると好きで臭くなってないと返されたが、そりゃあそうだろうな。既に見失っているので、人に聞いて追いかけようとしたが、なんて言って良いか分からずに困って居たら、少佐が似合わず上手に絵を描いてくれた。

 

 町の人たちからの話を聞くと、町の人からはマウロと呼ばれていることが分かった。他にもマウロ先生とやらの様々な評判が入ってきた。金もとらずに診てくれる、良い人、どんな患者も見捨てない、治療中に光る、最後のに関しては錬金術の反応だろう。

 

「そうか偽名を使ってこんな田舎に隠れ住んでいたのか」

「でもなんで逃げたんだ?」

「ドクターが行方不明になった時に極秘重要資料も消えたそうだ。ドクターが持ち出したともっぱらの噂だった……我々を機関の回し者と思ったのかもしれん」

 

 なるほど、自分を探してやってきたと思えば逃げるのも当然と言えば当然か、話を聞いて貰えると助かるんだけどな。教えて貰った家にようやくたどり着いた。

 

「こんにち…わ」

 

 目の前に突き付けられた拳銃に意識が持ってかれ『は』ではなく『わ』と情けない声が漏れた。いや、そんなことを考えている場合ではない。

 

「うお!!」

 

 突きつけられた拳銃から弾が発射される。条件反射の様に避けれたから良かったものの、にぶい奴だったらこれで死んでただろう。

 

「何しに来た!!」

「落ち着いてくださいドクター」

「私を連れ戻しに来たのか!?もうあそこには戻りたくない!お願いだ!かんべんしてくれ……!」

「違います話を聞いてください」

「じゃあ口封じに来たか!?」

「まずはその銃をおろし…」

「だまされんぞ!!」

 

 変に口を出してまた撃たれても敵わないのでとりあえずは少佐に任せてみたが、ドクター・マルコーとやらはオレ達を疑い続け、話を聞いてくれようとしない。それでも少佐は説得を続けている。このまま、落ち着くまで待つのかと思っていたら……

 

「落ち着いてくださいと言っておるのです」

 

 少佐は手に持っていた荷物をドクター・マルコーに投げつけた。少佐の持っていた荷物、要するにアルだ。この人はまた何をやってくれてるんだ。アルは武器じゃないんだぞ!?物理的に落ち着かされたマルコーさんを起こして、ようやく家に入れてもらい、ゆっくりと話が出来るようになった。

 

「私は耐えられなかった…………上からの命令とはいえあんな物の研究に手を染め…そして()()が東部内乱での大量殺戮の道具に使われたのだ…本当に酷い戦いだった…無関係な人が死にすぎた…私のした事はこの命をもってつぐないきれるものではない。それでもできる限りの事をと…ここで医者をしているのだ」

「いったい貴方は何を研究し何を盗み出して逃げたのですか」

 

 話を聞く限りだが、国の命令に納得がいかず、逃げ出したと語るマルコーさん。元々医療関係の研究をしていたという話を聞く限り、人を助けるために錬金術師となったのに、人を傷つける事に耐えられなかったのだろうな。それで、後は危険を冒してまで盗んだ資料とやらが問題だな。しかし、次にマルコーさんの口から飛び出た言葉に驚かされる事となった。

 

「賢者の石を作っていた」

 

 部屋が一瞬静まり返ったかの様に感じた。それもそのはず、錬金術師なら誰もが夢に見る伝説の品で、オレ達の旅の目的である代物だ。

 

「私が持ち出したのはその研究資料と石だ」

「石を持ってるのか!?」

 

 更に驚きなのは、この人は石を持ってると言った。それを譲ってもらう事が敵えばアルの身体を……そう思っていたんだが、それは叶う事は無かった。

 

「確かに石を所持していた。しかし、それは盗まれてしまったんだ」

「盗まれた!?」

「ああ、数年前に客人との話を盗み聞きしたと言う男に襲われてな。無論、黙ってくれてやる訳にはいかないので応戦したが結果は見ての通りさ。とは言っても盗まれた物は試験的に作られた物でな。いつ限界がきて使用不能になるかわからん不完全品だ。それでもあの内乱の時、密かに使用され絶大な威力を発揮したよ」

 

 不完全、ならコーネロ教主が使っていたあれも、その不完全な品だったんだろう。だが、これであれが偽物と言う訳では無かったという事と作り出す方法がある事は分かった。

 

「不完全品とはいえ人の手で作り出せるって事はこの先の研究次第で完全品も夢じゃないって事だよな。マルコーさんその持ち出した資料を見せてくれないか!?」

「ええ!?そんな物をどうしようと言うのかね。アームストロング少佐この子はいったい…」

「国家錬金術師ですよ」

「こんな子供まで…潤沢な研究費をはじめとする数々の特権につられて資格を取ったのだろうがなんと愚かな!!あの内乱の後、人間兵器としての己の在り方に耐えられず資格を返上した術師が何人いたことか!!それなのに君は……」

 

 愚かなか……そうだろうな。オレ達なんてちっぽけな存在だ。分かっているつもりでいるだけの子供だろう事なんて分かっている。

 

「バカなマネだというのはわかってる!それでも!!……それでも目的を果たすまでは針のムシロだろうが座り続けなくちゃならないんだ……!!」

 

 今はない右手の方を触りながら、マルコーさんの方をじっと見る。そして、マルコーさんはずっと気になっていたであろう、アルの方に視線を向けた。ここまで来て、オレ達の事情を話さないという選択肢は無かった。

 

「そうか…禁忌をおかしたか…おどろいたよ、特定人物の魂の錬成をなしとげるとは…君なら完全な賢者の石を作り出す事ができるかもしれん」

「じゃあ……!」

「資料を見せる事はできん!」

「そんな!」

「話は終わりだ。帰ってくれ。元の身体に戻るだなどと…()()()()()()のために石を欲してはいかん」

 

 オレはマルコーさんの言葉に喜び、声を上げたが現実は非情だった。何でだのと訊く前にマルコーさんから出てきた言葉には納得することが出来なかった。おれ達の身体についてが……

 

「それしきの事だと!?」

「ドクターそれではあんまりな!」

「あれは見ない方がいいのだ。あれは悪魔の研究だ。知れば地獄を見る事になる」

「地獄なら疾うに見た!」

 

 あの時の、あの瞬間を地獄と言わずになんといえばいいんだ。あれからの日々は常に地獄と繋がっている。元に戻るためなら更に深くまで堕ちてやる覚悟もある。

 

「……だめだ。帰ってくれ」

 

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SIDE:エドワード

 

 次の汽車を待つまでの時間が長く感じる。自分でもイライラしてるのが分かってる。それはマルコーさんに対してではなく、何もかもがままならない現状への不満だろう。

 

「脅して、力づくで資料の場所を聞き出す事も出来たのではないか」

「あー、考えなかったわけじゃない。のどから手が出る位欲しかったよ。マジで!!でも、マルコーさんの家に行く途中に会った人達の事を考えるとさ……あの人の人となりはなんとなく分かるし、あの人が命を懸けて盗んだ物を奪い取るってのはなんか違うだろ?また別の方法を探すさ、な?」

「うん」

 

 マルコーさんとの話だけでも十分な成果でもある。軍で研究されていたという事は、マルコーさん以外に関わっていた人もいるだろうし、マルコーさんの剣幕を考えると、違法な研究か危険な研究であることは間違いない。どうにかして、探って行く事が出来れば、何か掴めるかもしれない。と言うか…

 

「そう言う少佐もよかったのかよ。マルコーさんの事を中央に報告しなくてさ」

「吾輩が今日あったのはマウロというただの町医者だ」

 

 少佐も人が好過ぎるな。情に厚すぎるお人よし、世知辛い世の中で生きにくいだろうに、だがオレは少佐の事は嫌いに慣れないだろうな。しれっと言いのける少佐に笑みがこぼれる。

 

「あーあ、また振り出しかぁ。道は長いよまったく」

 

 近づいたと思えば離されて、途方もない道のりだ。目の前に続く先の見えない線路の様だ。しかし、その線路にも終わりがある。オレ達の旅も早く終わりにたどり着きたいもんだ。

 

「君!」

「マルコーさん…」

 

 見送りと言うわけではなさそうだが、急いで来たのか汗をかいている。その右手にはなにやら手紙の様な物が握られている。それをこっちに差し出してきた。

 

「……私の研究資料が隠してある場所だ。真実を知っても後悔しないと言うならこれを見なさい。そして君ならば真実の奥の更なる真実に――――いやこれは余計だな。君達が元の身体に戻れる日が来るのを祈っておるよ」

 

 片手を上げて去って行くマルコーさんに対して、少佐は涙を流しながら敬礼し、オレは黙って頭を下げ続けた。

 




マルコーさんとの出会いは外せないですね。
しかし、賢者の石は盗まれていました。

何やら動く予定のフューム中将。
次回、フューム中将SIDE

『フューム中将VSアームストロング少将』

格闘や体術ではフューム中将が上ですが剣術や戦術はアームストロング少将に軍配が上がります。まあ、もちろんフューム中将は錬金術も使えるので負ける事は無いですが、安全に勝てる相手ではありませんね。

そして原作主人公エドワードSIDEは

『生きてるロックベル夫婦、イシュヴァ―ルでのフューム』

おまけSIDE

『対話と説得、ニーナの預け先』

以上の三本でお送りいたします。
何時になるかは分かりませんが次回も見てください。
それでは、いつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。
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