1か月……まぁ前回の半年近いよりは早いよね。うん。
エドワードSIDE
中将からの誘いで研究室を見学させてもらってから3日が経ち、俺たちは目の前に存在する資料を解読してしまった。だが、こんなのってあるかよ……
「……ふっ…ざけんな!!」
椅子から勢いよく立ち上がり、両手を机に叩きつける。衝撃で椅子は倒れ、殴った音は外まで響いたのかブロッシュ軍曹が慌てた様子で部屋に入って来た。
「なっ…何事ですか!?兄弟げんかですか?まずは落ち着いて…」
「ちがいますよ」
「では暗号が解けなくてイラついてでも…?」
ロス少尉が言う様に暗号が解けなかった方がまだ良かっただろう。こんな代物は存在しちゃいけねぇ。今まで求めていた物のおぞましさに少しの恐怖すら覚える。
「解けたんですよ。暗号、解いてしまったんです」
「本当ですか!?良かったじゃないですか!!」
「良い事あるか畜生!!『悪魔の研究』とはよく言ったもんだ。恨むぜマルコーさんよ……!」
俺たちの様子も傍から見れば意味が分からねえんだろうな。求めて、解読し、手に入れたというのに打ちひしがれている。その表情を二人も険しくさせると俺たちに訊いてきた。
「……いったい何が?」
「賢者の石の材料は…生きた人間だ!!」
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それは苦難に歓喜を
戦いに勝利を
暗黒に光を
死者に生を約束する
血のごとき紅き石
人はそれを敬意をもって呼ぶ
「賢者の石」と
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「ガス爆発か?」
男のその言葉は目の前の惨状を表すのにぴったりである。大きく破壊された市街は水道管がレンガが壊れて積み重なり、瓦礫の山と化している。
「わからんな。テロかもしれん」
「おいおい、かんべんしてくれよ。傷の男の件も片付いていないところに……なんだあれ」
ここ最近は物騒な事件ばかりが起きていて辟易している所にまた事件が起きたとなればたまったもんじゃないと内心で愚痴を吐いていると視線の先にボロボロで血にまみれた服が引っ掛かっているのを見つけた。それは直ぐに上司の下へ届けられた。
「どう思う?」
「傷の男の着ていた物に間違いないと思います」
それは件の傷の男が着ていた衣服であった。下水道へと逃げたはずの傷の男の衣服がなぜこのような形で見つかったのかと、傷の男はどうなったのかという疑問が場に満ちる。
「死体は出たか?」
「捜索はしてますがあおのガレキの下を全部確認するとなると何週間かかるやら」
「どのみちこの出血量では無事ではいないでしょうけれど」
「うむ……しかし奴の死亡を確認するまで油断はできん。ハボック少尉!」
「はい?」
「おまえの隊はガレキの撤去作業を進めろ昼も夜も休みなしだ!なんとしても奴の死体を引っ張りだせ!」
「うへぇ、かんべんしてくださいよ。俺らを過労死させる気ですか」
「うるさい!奴の死体を見るまで私は落ち着いてデートもできんのだ!」
「ああ、そうですか」
厳重警戒していた傷の男が消息不明となれば生死の確認は必須、さらに言えば国家錬金術師が大量にいた現場から逃げ出した傷の男を殺せる存在が新たに潜んでいるという事でもある。軍は依然と街の警戒を続けて動いている。そして、それを遠くから見つめる2つの姿が。
「軍が言う様に死んでくれていれば面倒ではないんだけどね」
「食べそこねた」
「はいはいまた今度ね。ま、あれだけやっとけば仮に生きていてもしばらく動けないでしょう。私は中央に戻るわ。お父様に報告しておかなくちゃね」
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「あちゃぁ、これはひどいネ」
死に瀕して薄れた気配を邪魔な気配で満ちた中央の地下でどうにかこうにか見つけ出す事が出来た。その姿は生きているのが不思議に思えるほどで、相方によって与えられた怪我の分を除いても中々の物だ。
「ちゃちゃっとやってしまいましょウ。あいつらの囮として役立ちますし、なによりこんな決着はあの人も望んで無いようですからネ」
基礎は出来ますがボクはそこまで腕は良くないので跡が残るのは許して欲しいですね。そもそも全治させるわけにはいきませんから、あまり変わりはないですね。懐から棒を取り出すと周りを囲う様に挿し、造られた陣に手をついた。
「これで直ぐには死なないでしょうが、見つかる訳にはいきませんので向こうの水路に投げ込んでおきましょうカ」
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フュームSIDE
「アルフォンス君と出会っておいて良かった。おかげで中にいる気配の正体がわかる。数は3か……」
真実を知った彼らが潰れるとも思ったが、頭に過ったそんな考えはすぐに捨てた。あの兄弟であれば真実の先を目指し、奥へ奥へ、闇へと進んでいくだろう。殺されることは無いだろうが、一応戦力位は把握しておこう。本当に危なければスーを向かわせるしかないだろう。
「さて、そろそろ出て顔を見ておこう」
スーには別の仕事を任せている以上、私が調べないといけなかった。研究所の周囲をうろつけば怪しまれるとはいえ少々面倒だったな。私はトイレの個室から出ると手を洗い、待たせていた職員の方へと軽く手をあげて待たせた謝罪を継げながら向かった。
「申し訳ないな。突然訪れたうえにトイレまで貸してもらってな」
「いえ、では参りましょうか。ゾルフ・J・キンブリーは既に部屋に通してあります」
第五研究所と隣接された刑務所、私は幸いそこを訪れる事は何度かあった。タイミングもバラバラであったので隣で騒動が起きたとしても知らぬ存ぜぬで通せば問題はない。実際に要件もあったのだからちょうどいい、悪友であり、戦友でもあるアイツに会いに行くとしよう。職員の後ろを着いて行くと一つの部屋に着いた。会話内容は記録されるが、この部屋であればアイツと話す事が出来る。
「やぁ、久しぶりですね『噴煙』殿」
「ええ、久しぶりです『紅蓮』」
彼とは仕事仲間で、イシュヴァ―ルの内乱においては戦友というのが一番正しい表現になるでしょう。事実、大規模な爆破で煙を起こす彼の錬金術とも私の錬金術は相性が良かった。組んだ回数で言えば大佐よりも多かった位である。
「貴女との会話もこれで何回目ですかね。投獄されて以降何度も差し入れをありがとうございます。菓子類や娯楽品の他に爆弾などもあればさらに嬉しいのですがねぇ」
「隣に立っている職員さんから許可があれば持って来るのもやぶさかでは無いですが、説得はそちらでやってください。ただただ面倒ですからね」
「なるほど。そう言う事なのですが許可貰えませんかねぇ」
「ふざけるな!!……中将殿も囚人のおふざけに乗らないでください」
「すみませんね。一応友人ですのでこういったやり取りも楽しくて、つい。実際に持ってくる気はありませんので安心してください」
こうして戦場を離れても悪友としての付き合いが続くくらいには彼との仲は良好である。互いにおかしな者同士、どこか波長が合う部分があったという事だ。さて、元から話す予定だった話題に移るとしよう。
「キンブリー、最近あちこちでとある事件が起きているんですよ」
「ほう、生憎と私は塀の中に居ますので噂もなかなか届きませんが、それがどうしたのですか?」
「その事件は国家錬金術師の連続殺人です。そこまで言えば概要くらいは分かるのではないですか」
「なるほど、イシュヴァ―ルですか……ふっふっふっ、戦場での記憶が思い浮かぶようです」
楽しそうに笑う姿は思い出しているのが戦場の光景と殺した相手の悲鳴でなければ微笑ましく想えるぐらいに無邪気である。そう、彼にとっては普通の事なのだから悪意なんてない純粋な笑いである。だからこそ常人には理解されることはない。現に見張りの職員の眼はそのように語っている。
「カンダ地区、そして医者夫婦の居た病院」
「…!まさか、そう言う事ですか!!これだから面白い」
「気高い僧としての姿は無く、復讐の為だけに生きてる修羅となってましたよ。特に私と貴方への恨みは大きいでしょうね」
「出会ったのですか、羨ましいですね……それで殺したのですか?」
殺すか殺されるかの戦場を愛する彼だからこその問いだな。まぁ、負い目の有る存在が近くに居たとはいえある程度本気でかかって捕らえられなかったのは落ち目だったか。
「いえ、殺し損ねましたね。目の色を変えて狙っていた割には冷静に戦いをみています。まぁ、だいぶ叩いたのでまだボロボロでしょうが」
「貴女が殺し損ねるとは、身体の鈍っている私では厳しいかもしれませんねぇ。調べられれば私がここに居る事なんてすぐに分かりますからね。襲撃に備えて少し体を動かしておきましょうか。追われている身で調べられるかは分かりませんがね」
その後もここ最近に起きた事件について話したり、イシュヴァ―ルでの思い出話をしたり、錬金術について語りあったりして時間を過ごした。話す時間はどうしても限られるが、とても充実した時間であったと思っている。
「それではまた時間が取れればきますね」
「ええ、
はぁ、誤魔化しきれるか微妙だったがあの様子だと確実に気付いているな。こちらの手の内はあまり漏らしていないというのに目的が隣である事も読んだか……まぁ彼もあの存在を知る一人ですから推測も可能ですか。
「夜は近づかない方が吉ですね。スーに任せて少し休みましょう」
キンブリーは放っておいても大丈夫でしょう。彼は結果を知りたいだけ、証明をしたいだけです。まぁ、こちら側に来てくれるとは思えませんがそうですね。次に会うのはせめて戦場でありますように……その時はこの手で殺してあげましょう。【さらば、愛しき
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賢者の石の真実を知ったエルリック兄弟、その奥へと迫るためにアームストロング少佐の言葉に背き、第五研究所に忍び込んだ。そして二手に分かれた先でそれぞれ番人との闘いが繰り広げられた。アルフォンスは外で66と名乗る、そしてエドワードは賢者の石の精製所にて48を名乗る空洞の鎧と相対した。
驚異的なスピードと剣の技術に翻弄されながらもどうにか戦略を駆使して相手に隙を生み出し、頭部と胴体を切り離す事に成功したが、その胴体にも魂が宿っていた事で鋭い一撃を受けてしまった。血が流れ、意識が朦朧とした中で強烈な死のイメージと共にある男を思い出した。
「あーくそ……嫌な奴思い出しちまった」
手を合わせると即座に近づいてきた相手の攻撃を避け、鎧に手を着いた。今度は手と足を繋ぐ胴体を錬金術により破壊した。崩れ落ちた体を見届けると痛みを訴える身体を壁に預けながら尻を着いた。座り込んで傷口を抑えて先ほどまでの戦いで乱れていた息を整える。
負けた鎧の殺人鬼たちは自分たちを殺して研究所から立ち去るように告げたが、人間兵器である国家錬金術師でありながら人殺しを良しとしないエドワードはそれを拒否し、鎧となった二人も人間と呼んだ。そして兄と呼ばれている鎧が情報を話そうとした瞬間、鋭い何かに頭部の印を壊され、死んだ。
「あぶないあぶない。だめよ48余計な事を喋っちゃあ」
「あらら……なんで鋼のおチビさんがここにいるのさ。さーてどうしたもんかねこの状況」
「困った子ね。どうやってここの事を知ったのかしら。あまり見られたくなかったけどしょうがないわね」
そう言う女は伸ばした爪の様な物で完全に鎧の頭部を切り捨てた。そして、兄を目の前で殺された弟はまだ戦えると悲願したがその願いは聞き入れられずもう一人の人物に血印を何度も剣で貫かれて死んだ。
ボロボロな状態ではあったが黙ってやられてたまるかと攻撃を繰り出したエドワードであったが長い戦闘のせいか機械鎧がお釈迦になり、そのまま成す術もなく気絶させられると外で戦っていたアルフォンスの下へと運ばれた。
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店も無く、街灯も少ないこの辺りではかなり薄暗く不気味な姿に変わった深夜の街に盛大な爆音が響き渡るとその発生源である建物が崩れ落ちていく。そしえその様子を静かに見つめるどでかい鎧の姿。
「畜生……奴ら派手やりやがったな。
「それは少しお話を聞かせてもらってからでもいいかイ?」
「なんだ、おめぇ!?いつからそこにいやがった!!」
「いやぁ、危なげな所はあれど問題は無さそうでネ。仕事は無しかと考えてたら、監視を掻い潜ってこっちまで来てくれたからね。情報交換でもいかがとお誘いだヨ」
仮面で顔を隠しておどけて見せる謎の存在、それも声を掛けられるまで一切気づけなかった相手に流石の殺人鬼も一瞬固まってしまう。
「……へっ、怪しさを隠すきのねぇ奴と何を交換するってんだ。大方、ここを見張ってたって事はあの侵入者たちの知り合いだろう。切り刻まれる前に消えろ!!」
「争って損するのはそっちだロ。ボクは身を隠せるがお前は見つかるとまずいだロ?だから情報交換だよ。移動しながら概要だけ教えてくれれば、ある程度その鎧の修復もするし、逃げる際に置いてきた武器の代わりも用意してやるヨ。後は一時的に身を隠せる場所とかも嬉しいんじゃないカ?」
「……てめえらある程度あいつらの事を知ってるだろ。俺からの情報なんて微々たるもんじゃねえのか。そこまでする意味が解らねぇ」
「裏付けを取りたいだけだヨ。相手が相手だから出没する場所とかも正確に分かってた方が作戦も立てやすいだろウ?まぁ、それでも疑わしいならそうだねぇ……
「……わぁったよ。その条件で着いてってやるからとっとと案内しやがれ。まったくどいつもこいつも囚人を働かせ過ぎだぜ」
仮面と鎧の二人組は夜の闇の中に消えて行った。
フュームも異才と言われるだけあり、周囲とは少し違った面を持ち、キンブリーと通じる部分があり、互いに認めています。イシュヴァ―ルにおいては長く行動を共にしたことで互いのことを理解し、信頼している面もあります。
裏で動くシーンでスーがめちゃくちゃ働いている。話を考える際に主人公とは別に裏で動いてくれるキャラがいるとかなり楽です。頼り過ぎると何でもありになるから気をつけないといけないけどね。
研究所での一幕は原作と変わりがないので本当に概要だけで他全てカットしました。流石に長文全部打ち込むのは疲れる。ていうか無理。少佐や少尉、軍曹とかとのやり取りも同じ理由でカットです。賢者の石の文を入れたかったから手前だけ書きました。
次で残りの4巻の部分を書く予定です。なんか感想で気になっている方もいらっしゃるようですが、内容は投稿されてのお楽しみでお願いします。
ではそろそろいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。