Re:上から目線の魔術師の異世界生活   作:npd writer

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シン・エヴァンゲリオンに興味を持ってその予習としてエヴァンゲリオンをアニメ版、旧劇場版、新劇場版全て見ましたが、どれもインパクトがありすぎた!

早く、新作を見たい。


十二話 殺戮の宴

「あなたのような強い力を持つ魔導士のお腹は、まだ割ったことがないわ。どんな色をしているのか、とても楽しみね」

 

ナイフを舐める暗殺者は、まるで獲物を愛するようにストレンジを見据える。しかしその瞳に映る狂気は殺す事を愛する快楽殺人鬼そのものであり、カエシリウス並みの狂気をその身体に宿している。

対するストレンジは目の前の暗殺者から目を逸らすことなく見据え、様子を窺う。その狂気を全身で受けるストレンジは魔獣使いとの戦いよりも更に警戒心を高め、魔術を展開しながら慎重に言葉を交わす。

 

「その手先の器用さ、気配を隠して忍び寄るスキル、心中にひた隠した殺意。ーーなるほど、お前が本命の暗殺者ということか」

 

「ふふふ。そう、私がこの依頼を引き受けた張本人。そして暗殺を家業とする者。でもね、この仕事は私に幸福をもたらしてくれた。だって人間の血は私に唯一温もりを感じさせてくれるものだから。その血をたくさん浴びることができる幸運を止めるなんて、今まで考えたこともないわ」

 

「言葉に気をつけろ、クレイジー女。私は元医師だ。命を救うのが責務故、容赦なく刈り取るお前には、酷く嫌悪感を覚える」

 

「あら、医者だったのなら感じないかしら。あの、寒い冬の夜に温もりを感じさせてくれる、温かい血の熱を。あなたは私と同じ、長く血を浴びてきた身。血の温もりを知るあなたならこの気持ちを理解してくれると思ったのだけれど、そう邪険に扱われると残念だわ」

 

目を閉じて聞けば、温もりを感じさせる女性らしい温和な声。しかし、優しささえも感じてしまう朗らかな印象の裏から滲み出るのは常人には理解できない狂気。ストレンジは彼女が好き好んで人の命を刈っている事実に怒りを覚えずにはいられなかった。

 

「お前と同じだと?勘弁したいね、お前のようなクレイジーさが私にあるとでも?医者と殺人鬼を同一に扱うとは、怖いもの知らずか、単なる馬鹿なのか、どちらにせよ、お前と私は違うぞ」

 

「いいえ、同じよ。私とあなたは同じ。あなたの手からは血の香りがするわ。多くの人の血を、脳を、血管を、身体を弄ってきたからかしら。複雑に混ざり合って不思議な香りがしてる。でも、悪い気はしないわ」

 

ストレンジ本人はすぐにでも会話をぶった切ってでもその場を去りたい気持ちで一杯だが、目の前の殺人鬼は目を離した瞬間、何をし出すか分からないため援軍が来るまで時間を稼ぐために話を引き延ばす方が得策と考え、その場に留まった。

 

「あなた、迷っているわね。お仲間と合流するか、この場で私と対峙するか。この場に留まる事を選んだあなたは賢明な判断をしたわ。ーー別に私は、お仲間を呼んでもらっても構わなくてよ。だって、素敵な腸を持った獲物が増えることは素晴らしいことですもの」

 

まるで思考を読み取ったような言葉を投げかけてきた女性に、ストレンジは自分の考えが読まれたことに驚くも、状況分析からそう考えるのが妥当だと結論づけ、動揺をすぐに心の奥に隠した。

 

「その状態は神経に障害を持っているとも考えられるな。MRIによる脳診断を受け、精神科医によるカウンセリングを受ける事をオススメする。並みの医者では、全く手に負えないほどの重傷だな。完全に頭のネジが外れている」

 

「私は至って正気よ。その、えむあーるあいがどんなものかは分からないけど、女性に対して醜い言葉を投げかけるのは男性としてよろしくないわ。女性に好かれる男性は、どんな時でも丁寧な扱いをするものよ。まあ、私はあなたのことを好意的に思っているわ。だって、あなたは綺麗な腸をしてそうだもの」

 

「狂気じみたことを平気で言える女性に対して、丁寧な言葉が必要か?そのナイフで一体何人の腹を掻っ捌いてきたのか皆目見当もつかない女性からの行為なんて、私は嬉しくない。

私が過去対峙した奴も、楽園という実に簡単な、しかし欲望に忠実な言葉に惑わされ外道に堕ちた。お前も奴と同じく、欲に忠実な性格だがその結実は悲惨なものをもたらす。お前を放置すればその分だけ人の命が失われる。ここでお前を戦闘不能にする以外、他に選択肢はあるだろうか?」

 

「あなたとは分かり合えると思っていたのに残念だわ。ならば私もあなたの、あなたのお仲間のお腹を切り開くという選択肢以外は無いの。私は腸を切り開いて生きてきた。他の生き方なんて知らないし、興味もない。人の血を浴びて温もりを感じ、腸を愛でる。それが私の生き甲斐よ」

 

手元のククリナイフを器用に扱い、切先をストレンジに向けた女性は頬を赤めながら言ったと思えば、暗殺者らしい殺意の籠った笑みを向ける。女性が本気になったことを察したストレンジは、魔術の防御度を高め奇襲に備える。

ストレンジは手元に展開するエルドリッチ・ライトを展開したまま戦闘体制に移行し、暗殺者の女性も手元のククリナイフをくるくると回し、ストレンジの隙を狙う。

 

「ああ、もう!おじ様のせいで折角のお洋服が台無しだわあ!私みたいな小さい子に対して、あんな暴力を振るうなんてえ!許せないわあ、おじ様の方こそ人間としてどうなのよお!」

 

両者睨み合う中、土煙を上げて岩豚とは違う魔獣の背に乗り現れたのは、先程までストレンジと対峙していた魔獣使いの少女だった。彼女の乗る魔獣は先程の岩豚と呼ばれるそれではなく、黒い体毛、獅子に似た頭部、馬の胴体の臀部、蛇に類似した細長い尾を持つ別の魔獣に変わっている。先程の大爆発を岩豚を身代わりにすることでやり過ごし、奥にいたため爆風に巻き込まれなかった新たな魔獣を引き連れて、再びストレンジの目の前に現れたのだ。

 

「まさかあの爆発を生き延びたとはな。お前のような年頃の子供は、我が儘ですぐに泣き出して、おまけに生意気だからな。誕生日プレゼントに送った動物の形をした風船をバカにするような存在だ。その大した根性には拍手を送ってもいいぞ」

 

「嫌なお世辞ねえ。エルザが救ってくれなかったら、私は今頃黒灰になっていたかもしれないから、助けてくれたエルザには感謝してるわあ。でも、あなたのバカにしたような拍手は嬉しくないわあ。ねえ、エルザ。あの男、私に止めを刺させてくれない?」

 

「私が爆発の直前にあなたを連れ出して即あの場から引いていなかった場合、あなたは間違いなく死んでいた。これまであなたとは多くの仕事をしてきたし、色んな技術を教えてきた。保護者として当然のことをしたまでよ。ーーあなたの提案だけれど……。いいわ、止めはあなたに譲ってあげる。でも、彼の腸は狩らせて」

 

「はいはい。そこはしっかりと守るわよお」

 

二人の会話からして、どうやら魔獣使いとエルザと呼ばれた暗殺者は互いに長い交友があるらしい。更に今回の事件は二人が主犯格である事を確認するストレンジは、敵が想定した以上にある意味厄介であることに内心舌打ちする。

最早、戦いは避けられない事を確信した彼は語気を強めて二人に向けて最後通告を送った。

 

「最終警告だ。魔獣使い、そして暗殺者よ。今すぐこの場から立ち去れ。そうすれば私から追撃することはしないし、命を奪うまではしない。私とて無駄に命を奪う真似はしたくないからな」

 

「ーーあなた、人を殺すことを恐れてるのね。その命を奪うことを恐れる目、あなたは自分自身の手で悪人さえ殺すことを躊躇っている。殺すことには億劫なのに、人のために自らの命は投げ打つ覚悟がある、不思議だわ」

 

ストレンジの瞳を覗き込むように見つめる暗殺者。紫色の瞳が見つめる瞳は、アイスグレーの瞳のストレンジを慈しむように見たかと思えば、即座に殺意と歪んだ愛に様変わりする。

 

「残念だけどそれは受け入れ難い提案ね。私達も仕事でこちらまで赴いているの。何もできませんでしただと、依頼主に顔が立たないし私たちの価値を落とすことになる。だから、あなたを殺して先に行かせてもらうこととするわ」

 

「まあ、そういうわけでおじ様。もう一戦、私たちとの踊りにお付き合い願えるかしらあ!」

 

ストレンジは、暗殺者と魔獣使いを同時に相手取る現状を厄介に思うも、時は待ってはくれない。

味方がいない中、応援が来るまでストレンジは孤軍奮闘する他に道はないのである。

一瞬の合間を経て、暗殺者のククリナイフと、魔術師のエルドリッチ・ライトが火花を散らすほど激しく衝突し新たな戦いの火蓋は切って落とされた。ーーまだ戦いは終わらない。

 

 

 

 

 

魔獣使いに暗殺者を加えた第二戦を交えるストレンジ。

彼は、接近戦を戦い慣れている一切の油断がない暗殺者と、ストレンジの不意をついて攻撃してくる魔獣を相手に戦いを繰り広げることになるのだが、彼らとの戦いは、さしものストレンジをも苦しめた。

 

「さあ!あなたのお腹の腸はどんな色をしているのかしら?私に見せてちょうだい!」

 

「喜色めいた笑みを浮かべられても困るな、全力で拒否させてもらう。私に固執しているように見えるが、所詮私は繋ぎだろう?他の者の腸も、気色悪いお前は欲しているはずだ」

 

「この周辺には公爵家の令嬢に腕の立つ騎士や獣人がいるのは、私も知っているわ。彼らの腸がどんな色をしているのか私はとても気になるけれど、あなたとの比べてはオマケみたいなものよ」

 

エルドリッチ・ライトとククリナイフとが何度も激しくぶつかり、火花を散らしていく。

暗殺者は確実に彼を仕留めようと、上下左右から軌道を選ばずに斬撃を繰り出していく。身体能力的にはストレンジよりも上手か、無造作に思える一撃一撃が致命傷になりかねない威力と正確さでストレンジの身体を抉りに迫ってくる。

対するストレンジは次々に繰り出される斬撃をエルドリッチ・ライトを盾状にして、時に受け流し、時に真正面より受け止め暗殺者の攻撃を防いでいる。

軌道を逸らした際に大きく流れる性質を活かして、ストレンジも時折鞭のようにしならせたエルドリッチ・ライトをぶつけて攻撃し、相手にダメージを与えていく。

 

暗殺者はかなりの手慣れであり、後の脅威になり得る存在と認めているストレンジは、異次元から得られる最大限のエネルギーを用いてエルドリッチ・ライトの攻撃・防御力を限界まで上げていた。そのため、生身の人間が防御なし一度当たれば、その時既に対象の体は砕け散るほどであり、事実、ストレンジの攻撃を受けた暗殺者の肉体は骨ごと斬られ、何度も血飛沫を上げている。

ダーク・ディメンションから力を得ていたカエシリウスでもダウンする攻撃を暗殺者は何度も受けていたがーー、

 

「ああ!素敵!素敵だわ!不思議な力を使うことは分かっていたのだけれど、こんなにもあなたが強いなんて!今まで戦ってきた相手の中でも、剣聖に匹敵する実力よ!この前の、そう、盗品蔵で精霊使いと精霊で戦った時よりも、死を実感しているわ!こんな強い殿方の腸を見れるなんて、今日は本当についているわ!」

 

「くっ!これだけ攻撃されてもまだ立ち上がるのか!しつこい女は好きじゃないぞ!」

 

直下より迫り来るエルドリッチ・ライトを、暗殺者は身体を倒して躱す。そして生じた隙を狙って暗殺者は彼の腹を狙い、ククリナイフを反対の手に持ち替えた。

 

不意に接近するククリナイフを、もう片方のエルドリッチ・ライトが受け止める形で激しく衝突する。魔術の盾にナイフが当たり、鋼のひしゃげる音が響きわたる。

強い力同士がぶつかり合うことで、ひしゃげて使えなくなったナイフをストレンジに放り投げ、暗殺者は一歩下がる。

 

が、これで彼が安心できる暇はなく、すぐに暗殺者の後方に待機していた魔獣使いが魔獣を操り彼の後方へと移動させ、鋭い爪で頸を狙う。

その攻撃は彼の相棒であるマントが身を挺して防ぎ、お返しと言わんばかりに魔獣の足に絡みつき、魔獣を拘束すると信じられないような力で強引に骨を捻じ曲げる。

 

「ええ!マントが意思を持って持ち主を守っているのお!卑怯だわあ!」

 

「それを言うのなら、魔獣を無尽蔵に操るお前の能力こそ卑怯と言いたいな!」

 

マントに足の骨を捻じられた魔獣は叫び声を上げるが、自らを傷つけた下手人を殺めるべく、足を引き摺りながら無理矢理再度突撃する。

魔獣の突進を両手のエルドリッチ・ライトを合わせて作った巨大な盾で防ぐ。

 

盾で防がれた魔獣は衝突のエネルギーに耐えられず、身体を大きく仰け反らせる。その隙を狙ってストレンジは魔獣の下顎目掛けて盾を振るい、魔獣を後方へと弾き飛ばした。

 

魔獣を吹き飛ばしたと同時に、今度は新たなナイフを手に携えた暗殺者が再び迫り、彼に休息を与えることなく攻撃を与え続ける。

 

「死んじゃうかと思ったわ。魔法使いなのに、格闘戦もお得意なのね、あなた。才能に恵まれているのね、ますます興味を持ったわ」

 

「先程で武器を失ったと思っていたがまだ持っていたとはな。これは武器を失っても降伏はしないか」

 

「あら、武器を失えば私が降伏すると思って?代わりの武器はこういう時に備えてしっかりと用意済みよ。ーーたとえ武器が無くなっても爪で、

 

爪が無くなれば骨で、

 

骨が無くなれば命で、

 

そうして確実に獲物を仕留める。これが私のやり方よ」

 

常に崩さない妖艶な笑みを浮かべ暗殺者は、女性とは思えない筋力でナイフをストレンジに向けて振り下ろし、それを盾状のエルドリッチ・ライトが受け止める。ナイフがひしゃげる音と火花が上がり、斬撃が再び受け流された。

互いに生じた隙を縫い、異次元の力を纏った盾が胴を薙ぎ、暗殺者は身を回すことで衝撃を分散し、反対の手が握る刃がストレンジの肩を目掛けて振るわれる。狙いは、魔術のトリガーとなる手であり、彼が使えなくなるよう指を狙うもーー、

 

「ッ!またこのマントが!」

 

「済まない、何度も助かるな。いい仕事だ」

 

ストレンジの持つマントがナイフを絡め取るように動き、刃を記事で包む。

 

武器を失った暗殺者が一歩退き、ストレンジが追撃を行うがその瞬間、機会を狙っていた魔獣が彼に迫った。

突如接近した魔獣に対してエルドリッチ・ライトを展開するが、右手のみの展開だったため十分な強度を生み出せず、盾を展開したまま彼の身体は高く空中へ飛ばされる。

 

「くっ!」

 

「私から目を逸らすなんて随分と余裕があるようね。私に興味がないのかしら?」

 

「まさか。お前の狂気に満ちた妖艶な顔を忘れるバカはいない」

 

「あら、それは褒め言葉と受け取っていいのかしら?」

 

空中に浮かび上がったストレンジを追うように近くの岩を経由して同様の高さに舞い上がった暗殺者は、彼に休息の一時を与えず攻撃の手を緩めない。

マントの力で体勢を正すことに間に合ったストレンジは、どうにか暗殺者の斬撃を防いでいく。

 

「少なくともここまでは魔獣は追って来れないようだな」

 

「ええ。だからこそあなたと二人っきりの熱い舞いを楽しめるわ。もっと踊り狂いましょう」

 

ストレンジと暗殺者は互いに降下しながら、踊りと称する攻撃の手を緩めない。ストレンジがマントの力で優位に戦ってはいるものの、暗殺者と自由自在かつ機敏な動きで体勢を保ち攻撃している。

 

地面近くまでお互いに火花を散らすデットヒートを繰り広げていたストレンジと暗殺者だったが、不意をつく形で接近した魔獣の突進に遭い、左へ飛ばされる。

彼の身体は周辺の倒壊した木々の合間へ飛んで行き、暗殺者と主人を乗せた魔獣も後に続いた。

 

上体のみを起こしたストレンジは魔術で衝突のダメージを幾分か和らげているものの、額には深い傷が幾つも存在している。

 

「邪魔が入ってしまったけれども十分に楽しめたわ、あなたとの戦い。未知の魔法を扱う魔導士の腸はどんな色なのか、私に見せてちょうだい」

 

「倒した気になるな、まだ終わらないぞ。私を倒しても、新たな強者がお前らの前に現れる。決して好きにはさせないぞ」

 

「ーー終わりね、さよなら魔導士さん」

 

暗殺者の刃が上体のみを起こしたストレンジに振われる。

しかし、彼は瞑目したまま最後の抵抗もしない。その様子に不信感を抱いた暗殺者だったが、目の前の獲物にとどめを刺すべく刀を振るった。

 

 

 




前書きでも書きましたが、エヴァンゲリオンを全て見ました。(シンを除いて)
今までラノベや少年マンガ系のみを読んでいた自分にとって忘れられないストーリー性と“残酷さ”を学びました。特に旧劇場版を観た時は、『インフィニティ・ウォー』の時のような脱力感を自分は感じました。
『残酷な天使のテーゼ』に対する価値観も大きく変えられ、どうして人々の記憶に生き残るか、少し分かったように感じます。


そしてリゼロ第二期終わりましたね!本当にキャスト・スタッフの皆様、お疲れ様でした!素晴らしいアニメをありがとう!
早う、三期を期待したいところです!
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