Re:上から目線の魔術師の異世界生活   作:npd writer

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書き終わりましたので投稿します。

世間はガッキーこと新垣結衣さんと、源さんこと星野源さんのご結婚報道で大騒ぎですね!
自分はガッキーロスにも、源さんロス?にもなっていないので二人の結婚を静かに祝ってます笑


二十話 再会と溢れ出る野望

ストレンジがロズワール邸を訪れて2日が経過した。

いよいよ明日は各王選候補陣営が王城に召集される予定であり、クルシュ陣営に身を置くストレンジにしても、昨今の王都の賑わいに気付いていないはずがない。

因みに明日の招集にはストレンジも同行するようクルシュから要望されており、フェリスと共に人生初の登城を控えていた。

そして、ここ最近、王都の経済の流れが大きく変動していることを察知していた。次々に大量の武器や竜車が王都に入ってきているのである。

これはクルシュ陣営にとって長年の悲願である白鯨攻略戦が近いことを暗示しており、それはストレンジも来るべき戦いに向けての覚悟を固めつつある。

 

そんなストレンジだが、現在は王都の中心部を散策していた。本来であるならば王都の図書館に籠って蔵書を読み漁るのだが、クルシュより王都の内情を詳しく知っておいたほうが良い、という指摘を受けて、彼にしては珍しく理由なく町中を歩き回っていた。

 

「おお、これはドクター殿。お久しぶりです」

 

ストレンジが王都に来て以降、久しぶりに衛兵詰所前を通りかかったところ、偶然にもある人物に再会した。

詰所の扉が開かれ中から顔出したのは、よく鍛えられた細い高身長の肉体に、青みのかかった紫色の髪、琥珀色の瞳を持ち騎士団の制服を身に纏う好青年ーー深々とストレンジに一礼したのはユリウスだった。

 

「久しぶりだな、ユリウス。元気そうで何よりだな」

 

「ドクター殿もお元気そうで嬉しく思います。それと、ファリックス子爵領にて発生した魔獣騒乱、そして「腸狩り」と「魔獣使い」との対決では陣頭指揮を執られ、見事撃退したとか。ドクター殿のご活躍に、深い感謝を」

 

「私はやるべきことをしただけだ。人の命が脅かされている時に、最強の魔術師である私がただ座しているだけでは宝の持ち腐れというものだからな。それに仮にユリウスがあの場にいたら同じことをしたはずだ。感謝されることではないということだ」

 

「いえ、ドクター殿の尽力で多くの民が救われたことは事実です。ここ数日間、我々の間でも、あなたは大きな話題となっていました。あなたの正体を知るのはごく限られていますからね。ロズワール辺境伯と同等か、それ以上の力を持つ存在とカルステン家が手を組んだ。この事実は王選にも大きな影響を及ぼすことでしょう」

 

「ほう、そんなに影響を及ぼすのか?」

 

ストレンジの疑問に大きく頷くユリウス。これはストレンジの認識外の事実であったのだが、ストレンジの存在と彼が残した活躍は、クルシュやファリックスによって脚色されたことも相まって王国の上層部では大きな話題になっていた。

特に王国の安全を守る騎士団と、王政を司る賢人会においては、大きな影響を及ぼしており、旧態を打破し得る新星として注目・警戒されていた。それは、王選も変わりなくーー

 

「王選筆頭候補のクルシュ様に、「至高の魔術師」であるあなたが味方し、更に背後にはフォリア・ファリックス子爵が支援している。ドクター殿には自覚がないのかもしれませんが、他の王選陣営にとってあなた方の陣営ほど脅威になる存在はありません」

 

「……私の意図しないところで、随分と大騒ぎになっているようだな。言っておくが、私は然程王選に首を突っ込む気はないぞ。政治に関しては私は専門外だからな」

 

「賢明な判断だと思います。しかし、暫くはクルシュ様の下でお過ごしになられるのでしょうか?」

 

「他に行くあてもないからな。暫くは世話になるだろう。しかし案外、居心地も良いものだからな。クルシュに追い出されない限り、他を探すつもりはない」

 

ーー是非とも、我がユークリウス家に。

その言葉を辛うじてユリウスは飲み込んだ。ストレンジが現状維持を望んでいる以上、彼の意思を尊重したいユリウスには、彼を説得する動機は無くなる。

 

ユリウスはドクター・スティーブン・ストレンジという人物を尊敬していた。傲慢ではあるものの、人を守るという確固たる使命を持ち、これを果たすために圧倒的な力を思うがままに操る実力者であると同時に、自らの実力に胡座をかくことなく、更に力を高めるために修行を欠かさない勤勉家としての一面を持つ。魔術に関して一流の知識人でもあり、天才的な頭脳を持ち合わせることから、策士としても秀でている。更に、上から目線な態度とは裏腹に、人を気遣い良い道へと導く、導き手でもある。

ユリウスの目から見れば、ストレンジは究極的な人間に最も近い存在であり、ユリウスの目指す人物像に最も近かった。それ故、是非とも彼のもとで修行したいと常に心に思っており、あわよくば共に騎士団の一員として戦いたいとも思っていた。

 

「ーー分かりました。ドクター殿がお決めになられたことに異議はありません。ですが、偶にでも良いので私に稽古をつけてはもらえませんでしょうか?」

 

「お前より剣術の劣る私が何を教えるのか?医療技術か?修行法?それとも女性の扱い方?言っておくが、最後のはかなり難しいぞ」

 

「ドクター殿の持つ女性への見識ついても私は大いに興味があります。それも教えていただきたいのですが、私としてはやはり魔術の扱い方や剣術についてご指南いただきたいと思います」

 

「お前の剣技に私の魔術が合うかは分からないが、お前の持つその準精霊たちとの合わせ技については一考しよう。ーーどうやら、私の相棒も興味を抱いているようだしな」

 

ストレンジが右手で示したその先には、ユリウスが常に連れている6体の準精霊。ストレンジという存在に触れたからか、準精霊たちはストレンジにも見えるよう可視化すると、ゆらゆらとした動きで彼の下へ向かう。すると、いつの間にかストレンジの肩から離れていたマントが彼らに立ち塞がるように大きく展開する。

ーー私の相棒(パートナー)に手を出すな。下衆な野郎供め、そんな言葉が聞こえて来るような動きなので、思わずストレンジとユリウスは笑ってしまう。

 

「どうやらドクター殿の相方はとても貴方を愛しているのですね。雰囲気から伝わります」

 

「こいつは気分屋でな、認めた奴にしか絶対に寄り付かない。どうも、お前が連れている準精霊たちを警戒しているようだな」

 

「ーー珍しいです。彼女たちが怯えるなんて。どうも、貴方の相棒からただなる雰囲気を感じているようで」

 

「彼らがお前にとって変わると、ヤキモチを妬いているのか?お前も案外、可愛い一面があるんだな」

 

ストレンジに戻ってきたマントは襟の部分を動かして、彼の頬を撫でる。

ーーストレンジは目をかけておかないとすぐに無茶をするので。意図的にそんな事を伝えているのか、いつも以上に彼を愛撫するマントであった。

 

「そういえば、今日ユリウスは何処かへ出かけるんじゃないか?予定があるならそっちを優先したほうがいいぞ」

 

「ドクター殿も何かご用事が?」

 

「いや、今日は特に予定はない。クルシュから王都の様子を見ておけと言われて、今はこうして散策中だ」

 

「なるほど。よろしければ此方で少し時間を潰して行かれてはいかがでしょうか?ドクター殿の願いにお役に立てる資料があると思いますが」

 

「『百聞は一見にしかず』、紙で見るよりも実物を見たほうが目と耳でしっかり判断できる。その提案も嬉しいが、今回は辞退させてもらおう。それに面倒事を多く抱えたくないのでね」

 

ストレンジがふと通りの方へ顔を向け、ユリウスもその方角へ顔を向ける。遠くからはフードを被りその容姿を隠すように歩く人物と、その人物に手を引かれて歩く黒髪の使用人服を身に纏った少年の二人がいた。

 

「あれは……」

 

「恐らく王選候補者のエミリアと、そのお付きのクソ短気の分からず屋少年使用人だろう。全く、奴も王都に来ているとはな。エミリアラバーの彼なら当然だが、ここで会うのは少し面倒だな」

 

「エミリア様の下へフェリスと共に使者として参られた時に何かトラブルを?」

 

「その時にどうも彼とは折り合いがつかず、少々面倒なことになった。今、奴と顔を合わせるとまた向こうから面倒なことを吹っかけてくるだろう。それにはうんざりだからな、早いところ退散させてもらおう」

 

「分かりました。今日の所はここまでということですね。また明日、王城にして貴方に会えるのを楽しみにしています」

 

ユリウスの言葉にストレンジは軽く手を上げて応える。

そして振り返ったユリウスは新たな客人として登場したエミリアとスバルの応対にあたり、素晴らしい容姿を持つ上に、エミリアの手の甲にキスをしたユリウスがスバルからは敵意を向けられたのは言うまでもない。

 

一方、街中を散策していたストレンジはカドモンの青果店に立ち寄り、以前の礼として購入したリンガを頬張りながら通りを歩いていた。

 

「そこの凡愚」

 

王都の大通りを歩いていたストレンジは、突如自身の横で急停車した一台の派手な竜車の中より声をかけられていた。女性らしい透き通るような凛とした声色の裏には確固たる自信と傲慢が見え隠れする。

医師時代であるならば間違いなく発言に噛み付いていたであろうが、魔術師として歩みを進めている今では、そう簡単には相手の挑発には乗らぬよう心の制御が出来ているとストレンジは自負していた。故、発言を無視して通り過ぎようとしたがーー

 

「やい、そこの凡愚よ。妾の言葉が聞こえぬか?」

 

「初対面の人間を凡愚呼ばわりとは、烏滸がましいな。何様のつもりだ?」

 

「言葉に気をつけろ。妾を誰と心得る?」

 

竜車の中から正体を見せず声のみでストレンジに話しかけるという傲慢な態度は、彼に苛立ちを抱かせる。

 

「さあな、何処かの品のない貴族の我儘娘か?」

 

瞬間、一帯に強烈なプレッシャーが走る。どうやら中にいる我儘令嬢を怒らせたらしく、本気クルシュと然程変わらない程の闘気と侮辱されたことへの怒りが伝わってくる。が、それ以上に好奇な目線もありーー、

 

「ほお。妾を品性の足りぬ底らの石ころと同じ存在として扱うとは。その無駄に大きな度胸だけは褒めて遣わそう。心底腹立たしいが、妾の目に狂いは無かったようじゃ」

 

豪華絢爛、悪趣味な嗜好品をくっつけた成金趣味の竜車からゆっくりと降りてきたのは鮮やかな橙色をバレッタで一つにまとめ背中に流している。鮮やかな真紅のドレスに、首元や耳、手指を飾るのは全てがニューヨークの5番街の高級装飾店に売っていても大差ないほどの華々しい装飾品の数々。挑戦的なつり目がちの赤い瞳、薄い桃色の唇、処女雪ように白い肌。正に芸術品といっても過言ではないその容姿は、クルシュと同格かそれ以上で、何より驚異の胸囲は道行く視線全てを惹きつけている。

 

「「至高の魔術師」ドクター・スティーブン・ストレンジ。妾を差し置いて至高を名乗るのは甚だ気に障るが、面白い男であることは間違いないようじゃ」

 

「「血染めの花嫁」、「鷹揚な太陽姫」……なるほど、お前があのプリシラ・バーリエルならその傲慢な態度にも納得がいくな」

 

 

 

 

「さて、太陽姫が私に何の用だ?」

 

「何、この通りを一人寂しく歩く貴様の姿が滑稽故、妾直々に気晴らしに話しかけたまでよ」

 

目元に嘲弄と侮蔑を含み、ストレンジを見つめるプリシラ。ストレンジ自身もクルシュやフェリスから粗方、目の前の人物については聞かされていた。

これまで8人の貴族男性と結婚しながら未だに純潔を守り続ける若干19歳の少女。全ての言動が傲慢さと裏腹に的中するという強運の持ち主であり、独特且つ唯一無二のカリスマ性を持ち合わせた彼女は、その行動を自らの価値判断で決めるという。

ある種、医師時代のストレンジがそのまま転生したような性格だ。そんな気まぐれな彼女だが、クルシュと同じ加護持ちで、実力もかなりのものだ。

 

「何をぼさっと立っておる。この妾から直々に顔を見せるなど、これほど栄誉な事は無いぞ。地面に頭を垂れ、この有り難みに情けなく涙を流し喜べ」

 

「勝手に話しかけて来て頭を垂れろだと?ハハハ、冗談にしても随分と酷い侮辱だな」

 

「妾は大いに真面目じゃ。妾を前にすれば何人たりとも頭を垂れる。この王国を我が物にすれば、民は妾を喝采し喜んで地を舐めるじゃろう。

ーーお主も同じじゃ」

 

右手に持つ豪華な扇子をストレンジに向けるプリシラ。全米一傲慢な元医師が地面を舐めるなど、元同僚のクリスティーンや、同志であるウォンが見たら卒倒してしまうような光景を想像したストレンジは、思わず嫌悪感で眉を顰める。

 

「それで?その太陽姫が私に何の用だと聞いている。言わずもがな、私がクルシュ陣営に身を置いている事は既知のはずだ。まさかだとは思うが、王選前にクルシュと対立する気か?」

 

「ふむ。あの公爵娘を王選前に討ち滅ぼすのも一案じゃの。

ーーじゃが、この世界は妾の都合の良いように出来ておる。妾が王座に座るのは理そのものじゃ、故に妾はせん。それに、あの娘は滅ぼすよりももっと有効に、妾の駒として扱った方が利はある」

 

「ほぉ、クルシュを御するか。随分と大きく出たな。しかし彼女には彼女の夢があるはずだ。簡単にお前のような人間に従うとは思えないが」

 

「貴様こそ、随分とあの公爵娘を買っているようじゃ。貴様のような強者ならば、あの娘など一手で屠れるというのに。ーーあの娘に恋心でも抱いたか?」

 

プリシラの見透かすような発言にストレンジは答えない。確かにストレンジはクルシュの実力を買い、彼女のリーダーとしての素質は自らの能力を最大限発揮させられると踏み、彼女の下へ赴いた。しかし、彼はクルシュへは恋心は抱いていないはずであった。

 

「確かに私がクルシュを買っているのは事実だ。彼女のリーダーとしての素質は充分であるし、実力もある。彼女がファリックス子爵領で起こった魔獣騒乱にて陣頭指揮を執ったのは聞いていないのか?」

 

「知らんな。妾は貴様が派手に暴れ狂い、魔獣共を八つ裂きにしたとしか記憶しておらん。

 

あの公爵娘の陣営の原動力となっているのは貴様じゃ。貴様が居なくなれば、あの娘は失意のあまり撤退でもするか。妾にとっては面白き事じゃ」

 

ゆっくりと顔をストレンジに近づけるプリシラ。芸術美のような彼女の顔を見て、その美しさに見惚れなかった者はいない。しかし、ストレンジがそんな柔な事では心を動じさせないことをプリシラは見抜いていた。だからこそ、彼の耳へそっと囁く。

 

「妾が欲しているのは公爵娘の才でない。最も欲しているのは別にある。それが貴様に分かるか?至高の魔術師よ」

 

囁いたプリシラは満足してストレンジからゆっくりと離れる。その時の彼女の目線には何やら別の目的を含んでいた。

良い意味でも悪い意味でもストレンジに通ずるところがある彼女には、何やら別の思惑があるらしく、それ故か現時点で両陣営の衝突という事態は避けられそうであった。

 

「おーい、姫さんよ。お取り込み中のところ悪いんだけど、そろそろ行かねえと日が暮れちまうぜ」

 

竜車から聞き取りにくい声で彼女の名前を呼ぶ男性。その声にプリシラはふむ、と応じると竜車の方へ歩き出し竜車に乗り込む。

 

「この世界は妾の都合の良いように出来ておる。その流れを遮る事は何人たりともできん。それは貴様も同じじゃ。精々、足掻いてみるがいい」

 

竜車に乗り込む直前、そう言い残したプリシラは今度こそ竜車に乗り込み、その場を後にした。残されたストレンジは、プリシラの傲慢さと最後に残した彼女の言葉に含み笑みを残して再び歩み出した。

 

一方、プリシラが乗車する竜車。プリシラの前に座るのは隻腕の上に漆黒の兜を付け、軽々しい服装の男。

声の調子と顔以外の見た目から軽々しい印象を受ける。

くぐもった声で彼はプリシラに話しかける。

 

「んで、どうだった?お姫様のお目にかなった人物だったのかい?彼は」

 

「彼奴は妾と同じ目をしている。この世は全て我が思うがまま、そんな目じゃ。全くいけ好かない男じゃった」

 

「それにしては随分と嬉しそうな顔だぜ?姫さんよ」

 

男の指摘にプリシラは邪な笑みを扇子でひた隠す。隠しきれない野望がそこにはあった。

 

「彼奴は公爵娘の膝下に収まる男ではない。恐らくもっと大きな事をしでかすだろう。それだけの力がある。彼奴にはこの妾こそ、相応しい器じゃ」

 




プリシラに目を付けられたストレンジ。果たしてどうなるのか?

プリシラって『七つの大罪』のエスカノールに似てるって思うんですよね。二人とも傲慢で、太陽に関する技を持っている。
もしかしてプリシラは、エスカノールから影響されたのか?それとも逆にエスカノールがプリシラの影響を受けたのか?

太陽に関連した人物って傲慢な人が多いんですかね。

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