Re:上から目線の魔術師の異世界生活 作:npd writer
アニメ『リゼロ』のパンドラ強すぎではありませんかね。見てて思ったのが、彼女の能力、リアリティ・ストーンそのものなんですよねぇ。仮に、リアリティ・ストーンを持ったサノスが、彼女に対峙した場合は結構いい勝負になるかもしれないです。
「ドクター殿はどうしてここへ?」
騎士団詰所の受付広間に置かれた長椅子に座っているストレンジに興味を持ったユリウスは、ストレンジに引っ付き次々に質問した。ユリウス自身がドクターが持つ魔術的潜在能力に惹かれていた事も一理あるが、何より物珍しい服装と彼から湧き出る膨大な魔力に興味を持った事が1番の理由であった。
対するストレンジも初めて自分が遠慮なしに話せる相手と見込み、次々に質問するユリウスをあしらう事はせず、彼の質問に答えていく。
「ユークリウスは聞いていなかったということか。私はネパールというここから遠くの国に籍を置く魔術師だ。今は国からの資金が途絶えてしまい、かろうじてここまで生き長らえている無一文だ。それ故、私は私自身の力を有力に使うであろう支援者を求めている、というのがここを訪れたストーリーだ。笑いたければ笑えばいいさ」
「困っている方を嗤うなど騎士がする事ではありません。人を不幸に邪な感情を抱くことは、我々騎士にとって自らの信念を踏み躙る事と等しいのです。しかしここへ来られたのは、その資金集め協力を要請するための策がドクター殿にはあるという事ですね?」
「あぁ、他に何か理由があると思うか?お前が読心術を心得ていれば分かりそうなものだがな」
ストレンジは正直にユリウスの質問を返していく。しかしストレンジは事実でなく、少し捻じ曲げてユリウスに話していた。有力者へ支持を仰ぐ本当の理由は、地球へ帰還するための手段を探るためである。自らを気にかけているとはいえ、異世界の住人であるユリウスに話しても、到底信じてもらえる話ではない。異世界の住人にこちら側の話をしても彼らにとっての異世界であるニューヨークやアスガルドでの出来事を話しても信じてはもらえないと考えるのが普通である。
「貴方はとても興味深い方です。あなたが扱う魔術に、その膨大な魔力。あなたが彼の「大賢者」の生まれ変わりと語っても、過言ないでしょう。ドクター殿、よろしければ我がユークリウス家にて客人としてもてなす事も可能ですが?」
「実にいいアイデアだ、と言いたいところだが生憎、先に交渉している方がいる。が、今交渉中の家に受け入れを拒否されてしまったらそちらを頼る事も一考だな。その時は世話になるぞ、騎士ユークリウス」
「分かりました。それと、私のことはユークリウスではなくユリウスと呼んでもらえると幸いですドクター殿。ところで最初の質問に戻るのですがドクター殿はどの属性の魔法を使うのですか?」
「ほぉ、『ハリーポッター』のように魔法には属性があるのか?」
「「はりーぽったー」が何かは分かりませんが。ええ、魔法には土、火、水、風、陽、陰の6属性があり、それぞれの属性に適した人物のうち優秀な使い手が魔導士や魔術師となるのです。魔術師や魔導士の数は少なく、それ故貴重な戦力として各国が囲い込みを行なっている程です。この国で最も優秀な魔法使いは6属性全てに適性を持ったロズワール辺境伯ですが、あなたの登場によってその常識は打ち砕かれるでしょう。ドクター殿が活躍すればその分、世界は大きく動く事も十分に考えられるかと」
ユリウスの会話の中に入ってくるロズワール辺境伯という単語。やはり魔術師としては気になる存在であった。この国最強の魔術師でありその力は正規軍の戦力に匹敵するほどの力の持ち主。しかしそれらの肩書を奇抜な言動で台無しにしているのも事実である。現にカドモンの発言がそれを裏付けている。一体、どんな人物なのか。全く読めない、いや読ませていないのだろう。
「随分と私を買い被ってるな、ユリウス。未だに正体が分からない魔術師に対してお前はどうしてそんな事が言えるんだ?」
「私は精霊を使う騎士です。常日頃から精霊と触れる機会が多い身から言わせていただくとドクター殿は特殊なのです」
「特殊?確か、以前にもウォンに言われたような気もするが」
「ドクター殿が掛けられているマントからも魔力は注がれていますが、それ以上にドクター殿が持つ潜在的な能力が計り知れないのです。恐らく生まれながらに才能を持った最強の魔術師なのでしょう」
以前、勝手に「アガモットの目」を書庫から勝手に持ち出して使用した時、ウォンにも言われた言葉。ストレンジ自身が生まれながらの魔術師であるということ。俄には信じられないが、自分が交通事故で医師としての未来を失い、カマー・タージに赴いて魔術師としての才能を開花させたあの出来事は、宿命に近いものでは、とストレンジはふと考える。
先程から気になっている隣の騎士のため、ストレンジは自身が持つ魔術のうち、一つを披露する事にした。
「ユリウスはこの魔術を見たことはあるのか?」
ストレンジが右手に小さな魔法円を展開するとユリウスは興味深そうに見つめた。しかしその表情は怪訝そうであった。
「この魔法は……申し訳ないですが、私は見たことがないものです。ネパール国は6属性に属さない魔法を使用している、ということですか?」
「これは魔法ではない、魔術だ。古代の魔術師が創り上げた呪文を使い、マルチバースに存在する別の次元からエネルギーを引き出して盾や武器を呼び出すという魔術だ。説明では簡単だが、私はこの魔術をカマー・タージで修行して得た。単に言えば異次元から力を得ているということだ」
「異次元から……それは実に興味深いです。精霊と噛み合うか、是非とも試したいものです。とにかく、ドクター殿が扱う魔術はこの国にはない新たな魔術であり、恐らく新種の魔術として注目されるでしょう」
「これが?物珍しい魔術であるから注目される事は致し方ないが。以前、悪戯神に色々罵られた事があってね、あまり注目される事は好きじゃない。無論、魔術を使い強大な敵に立ち向かう事には慣れたが。おおっと、無駄話が多いな。そろそろ彼が戻ってくるだろう」
ストレンジが顔を上げると、先程ストレンジの応対をしていた職員が戻ってきていた。
ストレンジが長椅子から立ち上がり受付へ移動すると、何故かユリウスもついてきていたがストレンジは気にすることなく職員と向き合う。
「この忙しい時にお呼びがかかるにゃんてネ〜。それで〜?君がクルシュ様に会いたいっていう不審者なのかにゃ?」
職員に続けて受付に現れたのはユリウスと同じ騎士服に身を包む、細身の身体を持つ人物。猫耳に白いリボンが付けられたショートヘアを持った女口調で話す騎士にストレンジは奇怪な眼差しを向けずにはいられない。
「ん〜?ユリウスもいたの〜?そこの不審者と話していたみたいだけど、ユリウス的には大丈夫だったってことかにゃ?」
「フェリス。あんまりこちらの方を失礼な呼び方で呼ぶのはどうかと思うが」
クルシュ・カルステン本人の登場はストレンジも期待してはいなかった。しかしまさかの女装野郎が召喚されたことにストレンジは思わず吹きそうになる。それを我慢してストレンジは改めてその姿を見た。相手の騎士も悪戯な笑みを浮かべつつもストレンジを品定めするかの如く、舐め回すように見ている。
「ユリウスの言う通りだな。初対面の相手をいきなり不審者呼ばわりするとは随分な物言いだ。王国の騎士はこのように皆無礼なのかと、リーダーに問いただしたくなる。それに男性なのに女装している事も気になるな。それは趣味か?それとも流行りのコスプレか」
この発言にユリウスや目の前の女装騎士は感心したような表情を見せる。
「色々、初対面で言ってくれるネ。そこの髭術師。ま、フェリちゃんを男って見分けられたのは素直に驚いているけど。どうして分かったの?」
「いくら女装好きなお前が女性を演じても生物本来の『気』までは変えられない。お前が隠していても私はそれを見ることができるのだ。クルシュ・カルステンの騎士、フェリックス・アーガイル」
ストレンジの発言に、フェリックスもといフェリスの表情に初めて変化が生まれた。驚いた表情と何処か信じられないような表情を浮かべ、ユリウスも驚いた表情をしている。
「ユリウスは「フェリス」としか言っていないのに、名乗っていない私の名前を知っているなんてね。何処かで聞いたー?それともお得意の魔法で知ったのかにゃ?」
フェリスから余裕が消え、警戒を強めたのか肩に力が入る。初対面の相手がいきなり名乗ってもいない自分の本名を語り始めたら、誰だってそうなるであろう。しかし、そんな事は知らんと言わんばかりにストレンジは話し続ける。
「時の流れに身を任せれば何れお前でも分かるようになるはずだ、女装野郎。それにそんな事を気にかけるのは時間の無駄であり、必要のないことだ。ーー言えることは、お前が知る世界、それが全てではないということ。それにーー
ーー全てが理にかなっていなくとも、その全てを理解できなくても良いということだ。ルグニカ王国随一の治癒術師」
ストレンジはフェリスを前に高らかに誇示するように宣言する。
「私の名はドクター・スティーブン・ストレンジだ。マスターズ・オブ・ミスティックアーツのリーダーにして
「うーん。フェリちゃんにはそのマスターなんとかとか、ソーなんとか言われても全く分かんにゃい。寧ろ、訳の分からない単語を誇示しているその様、痛い気もするし。とにかく、そんな堂々と宣言されてもフェリちゃんには分かんにゃいかな〜」
「その猫のような口調、似合っているから止めろとまでは言えないが、何とも妙な気分になる。つまり、お前の言いたいことを纏めれば私に対する疑念はまだ晴れていない、ということか」
「そうで〜す。え〜っと、ストレンジさんでしたっけ。フェリちゃん、頭の回転が速くて賢い人は嫌いじゃにゃいかな〜?」
ストレンジの言葉など、どこ吹く風と言わんばかりの態度をとるフェリス。
ストレンジ自身もフェリスの飄々ではあるが、嫌悪感を表す彼の態度に不快感を感じるもそれを感じさせずに対応しているのは彼が傲慢な態度から進歩した証だろう。恐らく医師時代の彼ならばすぐに噛み付いていた。
「ユリウス、こいつはいつもこんなテンションなのか?」
「「てんしょん」……というのがどういう意味かは存じ上げませんが、いつもこの調子であるというならばその通りです。ドクター殿」
「まさか公爵家の騎士が女装野郎だったとは。度肝を抜くとは正にこの事だな。
ーーフェリックス・アーガイル。私は
「へぇ〜。医者だったの、つまり私と同類ってことか〜。あと、本名で呼ばれるのはなんかむさ苦しいから普通にフェリスで良いよ、ストレンジさん。もしくはフェリちゃんでも可!」
フェリスはまるで試すかのようにストレンジを見据える。
フェリスとストレンジは、魔法と科学という治療の方法に違いはあれど、二人とも人々の命を救うために奔走していた過去を持つ。
医師としてのストレンジはあの交通事故以来消えたが、それでもストレンジは『ドクター』に固執しており、それは例え魔術師に身を置いたとしても人々を救うことには変わりないことや彼に残る医師としてのプライドがそれを許さないことからだった。
「ゴホン……フェリス、ドクター殿を改めてどう見る?」
「ユリウス。彼が私と同じ医者としての経歴を持っていたとしても、それでも私は彼を不審者だと見る視点は変わらない。第一、彼がクルシュ様に会う理由が見つからないなんておかしいじゃない!どんな目的があるのか分からない彼をクルシュ様にお通しするのは絶対に反対!」
「清々しいほど、お前に嫌われているようだな私は。寧ろ、その方が単純明快で助かる。ならば先程ユリウスにも見せたこの魔術を、頑固なお前にも見せるとしよう。ー肝を冷やすなよ」
ストレンジはそう言うと握りしめた両手を交差させる。フェリス、ユリウス、受付の騎士が静かに見つめる中、ストレンジが両手を開くと同時に彼の手先には円型のエルドリッチ・ライトが展開された。
予め見ていたユリウスを除き、フェリスも受付の騎士も初めて見る魔術に目を見張る。
「……ドクター、その魔法は?」
「これは魔術だ。私が医師としての未来を経たれた後、カマー・タージという場所にて習得し、結果として私の人生を変えたものだ。この国には存在していない未知の魔術と考えてもらって構わない」
「未知の魔術……ユリウスは、何か分かる?」
「申し訳ないが私でもこの魔術が何なのかは分からない。ルグニカだけではなく、ヴォラキア帝国や呪術発祥の地である聖教国グステコのものとも一致しない。恐らくドクター殿が考案した独自の魔術と考えていいだろう」
独自の魔術……確かに側から見ればそのように受け取られるだろう。しかしこれは初代「至高の魔術師」であるアガモットの代より受け継がれてきた伝統ある魔術であり、断じてストレンジの考案した魔術ではない。しかしこの魔術でも、交渉において有利なカードになると判断したストレンジは更に魔術を披露する。
「フェリス、足元が光っているように見えるのだが?」
「え!?ちょっと何なの?私じゃないーー」
突如としてフェリスの足元に出現した光の輪は混乱するフェリスを一瞬でどこかに消し去ってしまった。刹那の出来事にユリウスは手を伸ばす暇もなく、ただフェリスが吸い込まれていく様子を見るしかなかった。
「ドクター殿、これは……」
「私のいた修行場で習う
ーーかく言う私も、この魔術の取得に一番時間がかかったのだが。ああ、彼については安心してほしい。今頃、私の作った異空間を永遠に落ち続けているから、何かにぶつかって肉の塊となって出てくることはないはずだ」
「……それは良かったです。流石に目の前で友人を殺されてしまってはここでドクター殿を捕らえなくてはならなくなりますから」
「騎士団に所属するお前との戦闘か。負けることは無いが、避けたいものだ」
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さて、本編ですがいよいよフェリちゃん登場です。フェリちゃんとストレンジは、同じ医師キャラとして扱いたかったのですが、結構二人は衝突する話の流れになりました。
そしてフェリちゃんが穴に落っこちた場面は『マイティ・ソー ラグナロク』にてソーと一緒にニューヨークに来たロキが、ストレンジが開けた穴に落っこちたシーンのオマージュです笑
??「落ち続けていたぞぉ!30分もだ!!」