Re:上から目線の魔術師の異世界生活   作:npd writer

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最近、暖かい日が増えてきて嬉しい限りです。

今日は東日本大震災から11年と言うことで、震災を経験した身として黙祷させていただきました。


四十二話 前哨

白鯨討伐までのタイムリミット――十五時間半。

 

「よろしゅう頼んまっせ、兄ちゃん!!」

 

早朝の冷たい空気の残るクルシュ邸の庭園に、その陽気な声は大音量で響き渡った。

一方、それを目の前で、それも至近距離から浴びせられたスバルの方はたまったものではない。耳に手を当てて顔を盛大にしかめ、抗議を込めて睨みを利かせるが、

 

「お嬢から話は聞いとるさかい!今日はワイらも鯨狩りに混ぜてもらいますよって、あんじょう頼んますわ!!」

 

「声がでけぇよ!!俺のアクションがそのつぶらな瞳に入ってねぇのか!?」

 

豪風が吹きつけるような声で話しかけられ、対抗するスバルの声も思わず大きくなる。そのスバルの精いっぱいの発声を心地よさげに受け、その鋭い牙の並ぶ口を全開にして笑うのは犬の顔をした獣人だ。

 

赤茶けた短い体毛で全身をびっしり覆い、やや色の濃い焦げ茶の毛がモヒカンのように縦長の頭部を飾っている。目つきは鋭く、口には刃のような犬歯がずらりと光っているが、目尻をゆるめてバカ笑いする姿には愛嬌があった。

ただしその上背は軽く二メートルほどあり、筋骨隆々の肉体を革製と思しき黒の衣服に包む姿は野生と文明が殴り合いの果てに和解した感が溢れている。

 

「あかんでー、ナツキくん。リカードは都合の悪いことは聞こえん耳の持ち主やから。うまく付き合うコツは、ちゃんと距離開けて話すこと」

 

「だから紹介した側なのにそんな離れたとこ立ってんのか!せっかくセットした俺の髪型が乱れに乱れる!セットするほど長くないけどな!」

 

己の短髪を前後に撫でくりしながら絶叫し、スバルは離れたところで含み笑いを隠さないアナスタシアへ不服を申し立てる。

そのスバルの様子に獣人――リカードはその大きな掌でこちらの肩を小突き、

 

「お嬢になんて口利いとんねん、兄ちゃん!ワイの雇い主やねんからもうちょい優しくしたってや!!基本、誰相手でも銭勘定抜きで話せんから普通のお友達に飢えてんねや、今ならちょろいで!」

 

「リカード。自分、隠しごとに向かないんやから悪口は言わん方がえーよ?」

 

「悪口違うやん!!お嬢心配しとんねや、ワイ! カララギからこっち出てきて知り合いも少なくて心細いやろ!?せやからここに!ほら!友達一号くんやでー!!」

 

「人を間に挟んでぺちゃくちゃ喋るな! あとあんまし人の頭ガクガクやるんじゃねぇよ! 首がもげる!」

 

常人外れ――人外の腕力で頭を振り回され、首の関節が奇妙な音を立てるので、スバルはその場から離脱。転がるようにしてリカードの射程距離から逃れると無理やりに回された首の角度をいじって筋を確認し、

 

「危ねぇ危ねぇ、決戦前なのに雑談してて負傷離脱とか笑えねぇよ。さしもの俺もこれだけ気分盛り上がっててそのオチは受け入れらんないぜ……!」

 

「なんや、けったいな兄ちゃんやなあ。仲良ぉやろう言うてるだけやのに」

 

「実力行使伴ってんだろうが、俺は俺よりアクが強い奴とか苦手なんだよ!」

 

ピーカブースタイルで頭を振りながら、スバルは近づいてくるリカードから円運動を利用しながら距離を保つ。

じりじりと、距離が縮まらないまま睨み合いを続ける二人。その二人のやり取りを円の外から傍観するアナスタシアがおり、傍目にはわけのわからない状況だ。

 

「お!そっちにおんのがめっちゃ強いって評判の魔術師か!」

 

スバルの頭を強引に掻きむしるように撫でていたリカードは、スバルたちの方へ歩み寄ってくるストレンジを見つけると、スバルの頭に置いた手を離してスバルを退けるように半ば強引に歩み寄る。

 

「話は聞いとるさかい!この前の魔獣の一件ではめっさ活躍されたとか。そんな強い人がワイらの仲間なんて頼もしい話や。是非とも頼りにさせてもらうで!」

 

「お前がアナスタシアお付きの傭兵集団「鉄の牙」の団長、リカード・ウェルキンか。私はドクター・スティーブン・ストレンジた」

 

顔を上げて巨体を見上げることが嫌いなストレンジは、マントの力でリカードと同じ目線の高さに浮かび上がると、腕を組みながら名乗り出た。ある種挑発的とも言える行動にもリカードは目を輝かせて面白がる。

 

「おお!急に浮かび上がった!面白い魔術やな!道化としても売れそうや!」

 

「……人を喜ばせる魔術ではないんだがな」

 

「怖い怖い、そんな怖い顔で睨まないでくれや。ワイの本能が泣き叫んでまう。ーーとと、自己紹介をまさか相手にしてもらうとは変な気分や。それにしてもよくワイの名前が分かったな。もしかしてそれも魔術ってやつか?」

 

「いや。事前にクルシュから見せられた資料であらかた把握していた」

 

自己紹介を相手からされてしまい、あちゃーと言いながら頭を軽く抱えるリカードは、魔術の力だと思っていた予想に反し、意外にも現実的だったストレンジの答えに少々がっくりしたように肩を落とした。あまりストレンジのことを知らないこの世界の住人にとって、ストレンジの魔術は万能と勘違いされていることがたまにあり、今回のリカードのような一件も珍しいことではない。

 

「その様子を見ると、顔合わせは済んでいるようだな」

 

そう言いながら、現れたのはクルシュ・カルステンだ。彼女は普段の礼装ではなく、以前にも着用した装飾を極端に減らした薄手の甲冑姿である。

 

「戦装束は動きやすい方がいい。心配せずとも、土の加護が刻まれた鎧だ。私のマナが尽きぬ限り、見た目以上の頑健さを発揮する」

 

「相変わらず魔法と加護がチートがかってる世界だよな……俺もまだ目覚めてないだけで、加護とか眠ってないもんかしら」

 

「どれだけ長く眠っても呼吸の仕方は忘れまい? 加護持ちにとっての加護はそれと同じだ。自覚がないのであれば諦めるがいい」

 

ずいぶん前にも誰かに似たような否定をされた経験があり、スバルは唇を尖らせると舌を鳴らして願望を投げ捨てる。

そのスバルの子どもじみた反応を横目に、クルシュはスバルの正面に立って頭を掻いている獣人を見上げ、

 

「なるほど。話には聞いていたが、噂以上の兵だな。卿がアナスタシア・ホーシンの……」

 

「ワイは雇われですわ。クルシュはんの方こそ、実物はまた……」

 

腕を組んで巨体を見上げるクルシュを、リカードが鼻を鳴らして見下ろし返す。彼は鼻面に皺を寄せ、絞るように喉を鳴らして笑うと、

 

「傑物やな。さっきの魔術師といい、これは王選けっこうしんどいのとちゃいますか、お嬢!!」

 

「そやからこうやって恩とか売りつけとるとこやないの。値札にいくら書いてもらえるか、リカードの仕事ぶり次第やからね」

 

肩をすくめるアナスタシアに、盛大に音を爆発させてリカードが爆笑。スバルはそのあけすけなリカードの態度がクルシュの不興を買わないか不安になるが、相対するクルシュはそんなリカードの様子を気に留める素振りもない。

彼女はスバルの方をちらと見て、

 

「昨晩は休めたか?」

 

「おかげさまで、な。クルシュさんたちが動き回ってる中、呑気に寝てたみたいで寝心地はあんまよくなかったけど」

 

「適材適所だ。卿の仕事としては、昨晩に私やラッセル・フェロー、アナスタシア・ホーシンを集めて白鯨討伐を結論付けた時点で果たされている。もっとも、ここで終わりにするつもりもないようだがな」

 

振り返り、真正面からスバルを見つめるクルシュ。その真っ直ぐな視線に居心地悪く、スバルは身をすくめてみせるが、

 

「討伐戦に参加する、とのことだが……卿は戦えるのか?」

 

「戦えねぇよ? 戦力として俺を数えるなら、それはちょっと猫の手を借りたいにしても切羽詰まりすぎって言っておく。犬の手にしな、大きいけど」

 

「今、ワイの話してへんかった!?」

 

「してねぇよ! ホントに都合のいい耳だな、オイ!」

 

話の途中に割り込んだリカードに怒鳴り返し、スバルは気を取り直すように額を掻きながら、「ただ」と前置きして、

 

「白鯨相手なら、俺って人間がわりと役に立つ……と思う」

 

「聞こう。その根拠は」

 

「あんまし、俺自身も信じたくないんだが……どうも俺の体臭って、魔獣を引き寄せる性質があるっぽいんだよね」

 

微妙にニュアンスを変えつつ、スバルは自分が参戦した際のプランを伝える。スバルの体から発される魔女の残り香――どういう経緯でそれがスバルの肉体に沁みついているのか不明だが、ジャガーノートのときと同じでこれが白鯨を引きつける役割を果たすことは期待できるだろう。

問題は白鯨の脅威がジャガーノートを数十倍したものであり、かつスバル単独では白鯨の接近を回避することも、ましてや迎撃などもっての外という点だ。

 

「だから足の速い竜車かなんかに乗せてもらって、白鯨の鼻先を走り抜けまくって気を引く……とかが被害出さず、かつ有効的な使い方じゃねぇかと」

 

正直、スバル自身も口にしていてどうかと思うプランである。戦力として期待できないけれど、生餌として役立つから戦場を振り回してくれ。と申し出ているのだ。自殺願望持ちも青ざめる役割分担だが、

 

「驚くべきことに、嘘の気配はないのだな」

 

顎に手をやり、半信半疑といった眼差しだったクルシュが肩の力を抜く。「風見の加護」がスバルの発言の真偽を暴き、その作戦の有効性を考慮するに至ったのだろう。

彼女はひとつ頷き、

 

「ならば、足の速さと持久力に優れた地竜を卿に使わせよう。レムと相乗りすれば移動に関しては問題ないだろうからな。ただし、基本は私の指示に従ってもらうぞ」

 

「あ、やっぱりクルシュさんも戦場に出るのか」

 

「屋敷で椅子に深々と座って、吉報を待つのが私にできると思うか?」

 

甲冑の金具を指で弾き、クルシュは凛々しい面立ちに精悍な笑みを浮かべる。その男前な姿にスバルは首を横に振り、わかり切ったことを聞いたと小さく謝罪を口にした。

 

「――そろそろだな」

 

スバルの謝意を受け取り、クルシュが片目をつむってそう呟く。その言葉を切っ掛けにしたように、庭園に次々と関係者が集まり始める。

 

先頭を切り、姿を見せたのは戦着に衣を変えたヴィルヘルムだ。軽装備の老剣士は急所のみを守る最低限の防具だけを身につけ、腰には左右に計六本の細身の剣を携えての姿。

後ろに続くフェリスは王城でも着ていた騎士服を着ており、武装はといえば短剣が腰に備えつけてあるのみ。自身の能力を鑑みて、後方支援に徹すると割り切っているからこその姿勢といえる。

 

遅れて入ってきたのはくすんだ金髪の持ち主、ラッセルである。徹夜明けの表情には疲労があるが、双眸だけが爛々と輝いていて意気込みの程がうかがえよう。

すでに先んじて庭園に到着していたアナスタシアとラッセルが合流し、なにがしかの会話を始めるのを横目に、巨躯を揺らすリカードが獰猛に口を歪めて笑う。

 

主要の人物たちが揃い始めると、続々と続くのはスバルが名前を知らない歴戦の兵たちだ。クルシュが編成した討伐隊のメンバーなのだろう。主だった面子だけがここに呼び出されたのか、その人数は十名ほどとかなり少ない。それも、

 

「なんかずいぶん、若さの足りないメンバーに見えるな」

 

ぼそり、と思い浮かんだ感想をそのまま口にするスバル。目の前、討伐隊のメンバーがずらりとヴィルヘルムの後ろに列を為しているのだが、その彼らの平均年齢がだいぶ高めに思えるのだ。筆頭のヴィルヘルムをして六十を越えているのだが、付き従う騎士たちも五十代を下回ってはいまい。

ヴィルヘルムの強さを身を持って知る身として、彼の老剣士の技量への不安はないつもりだが、他の面々まではどうなのか――。

 

「全員、白鯨に縁のある方々だそうですよ」

 

「レムか」

 

「はい。スバルくんのレムです」

 

言いながら、ふいに湧くようにスバルの隣に舞い戻ったレムに彼は視線を向ける。常と同じ無表情、戦に出向くというのに変わらない格好はメイド服のままで、朝の合流時にその点を指摘してみれば、

 

「この給仕服はロズワール様の手製で、防護の加護がある戦闘用メイド服です。ですからなんの心配もありませんよ」

 

メイド服は余所行き用、炊事用、雑務用、遊興用に戦闘用と幅広い。なのに選択肢はメイド服一択なのだから、ロズワールの性癖はなんたるもの。

ともあれ、

 

「白鯨に縁ってことは……過去の討伐隊の関係者とか、そのへんか」

 

「一戦を退いている方が多いようですけど、ヴィルヘルム様の呼びかけに従って集まられたとか。錬度も士気も、十分以上に感じられます」

 

「復讐に燃える老兵たちってシチュエーションか……燃えるな」

 

そう口にする反面で、過去に白鯨との因縁を持つ彼らが今回の討伐隊に加わっていることも、昨夜のフェリスが口にしたクルシュの「優しさ」なのだろうか。それで作戦自体の雲行きが危うくなるなら本末転倒だろうが、そのあたりの部分に関して妥協するような性格ではあるまい。ヴィルヘルムの執念もまた、足手まといを軽々しく戦場に連れ出すような生易しいものではないはずだ。

場合によっては戦場に辿り着く前に、余計な足枷は間引くぐらいしかねない。

 

慄然と唇を震わせるスバルをさて置き、レムが気にするのは討伐隊の老兵と反対側。庭園の端に展開し、先ほどから別空間のような雰囲気を醸し出す一団だ。

レムの視線を追ってその一団を目に入れて、スバルは「ああ」と納得の息を吐き、

 

「アナスタシアの私兵……ってか、雇ってる傭兵団って話だ。カララギ出身らしくて喋り方が独特なのと、見た目が独特だな」

 

「独特だらけですね。ですが、アレがそうですか」

 

関西弁じみた喋り方にはその内慣れるだろうが、スバル的にはなかなか慣れない見た目の問題。

アナスタシア率いる傭兵団はまとめ役であるリカードを始めとして、全員が二足歩行する動物――つまりは獣人で固められた兵団なのだ。

 

一見して戦闘力の高いリカード。それに匹敵しそうな体躯の持ち主から、スバルの腰ほどまでしか背丈のない、白の体毛がふわっふわな熊っぽい獣人などもいる。杖を持っているところを見ると、直接戦闘より魔法的な方向に特化しているのだろう。

そんな彼らが三十人ほど並んでいて、スバルにとっての異世界ファンタジー性を良い感じに煽ってくれている。

 

「アナスタシア当人が戦えない分、金の力は貸してくれるってことらしい。リカードはなんか俺の周りをうろちょろしてるって話だから、ケンカしないようにな」

 

「スバルくんになにも危害を加えないなら、レムの方から事を荒立てるようなつもりはありませんよ」

 

レムとスバルの戦いの前の和やかな会話の間にもすでに整列している討伐隊にならって次々と関係者たちも姿勢を正し始めるている。前に出るクルシュが、出発前の口上を始める雰囲気が流れてきた。

その合間を掻い潜り、スバルはレムをお供に会話する商人二人の下へ。

 

「二人を商人――金払いさえよければとりあえず話聞いてくれる心の持ち主だと見込んで、ちょいと話があるんだけどさ」

 

ひとつ、白鯨狩りの前に「布石」を打っておくことにした。

 

 

 

 

 

「――四百年だ」

 

定刻となり、集った戦士たちの前でその言葉が始まりを告げた。

 

重々しい響き、張り詰めた空気。伸ばした背筋に痛みが走るような鋭い感覚の中で、場に集まる全員からの注視を浴びるクルシュが堂々と胸を張る。

カルステン家の刻印が刻まれた宝剣を地に突き立て、柄尻に手を置くクルシュは一息の間に全員の顔を見渡し、

 

「世界を襲った最悪の災厄。「嫉妬の魔女」の跋扈、その魔女の手で生み出された白鯨が世界を狩り場とし、我が物顔で弱者を蹂躙して、それほどの月日が過ぎた」

 

過去に世界の半分を滅ぼし、いまだに恐怖の語り草を残される嫉妬の魔女。その魔女の僕にして、主が倒された今となってもなおも自由を謳歌する霧の魔獣。あまりに多くの犠牲を生み、数多の戦意を呑み下した本物の怪物。

 

「白鯨により、奪われた命の数は数え切れない。その霧の性質の悪辣さも相まって、犠牲者の数は正確には誰にもわからないというべきだろう。四百年の時間を経て、銘の刻まれた墓碑と、銘すら残すことのできない墓碑の数は増えるばかりだ」

 

クルシュの言葉に下を向き、歯を食い縛って嗚咽を堪える老兵がいる。握り固めた拳に爪を突き立て、血をにじませる老兵がいる。その胸の内側に尽きることのない激情を溜め込み、なおも静かにその怒りを爆発させる機会を待ち続けた老剣士がいる。

 

彼らの無念が、積み上げられてきた屍の数だけの怨念が、庭園の空気に暗く澱んだ闇を取り巻き始めている。――だが、

 

「だが、その無念の日々は今日をもって終わる」

 

「――――」

 

「我らが終わらせる。白鯨を討ち、数多の悲しみを終わらせよう。悲しみにすら辿り着けなかった悲しみに、正しく涙の機会を与えよう」

 

「――――ッ」

 

「すでに主を失った身で、なおも終わらぬ命令に従う哀れな魔獣を終わらせよう」

 

胸が熱くなる。

無言で、スバルと同様の感慨を誰もが胸に抱いているのが伝わってくる。

 

下を向いていた老兵が、拳を固めていた老兵が、目をつむっていた老剣士が、今はその眼を開いて、正面に立つクルシュを見つめている。

それらの視線の熱を受け、クルシュは手を前に突き出し、声を大にする。

 

「出陣だ! ――場所はリーファウス街道、フリューゲルの大樹!」

 

「――おう!!」

 

応じる声が重なり、地を踏み鳴らす轟音が庭園を揺るがした錯覚を生む。噴き上がる戦意の熱に浮かされ、スバルも大声で唱和する。

その中で一際強く、高く、クルシュが抜き放った剣を空に向けて突き上げ、

 

「今宵、我らの手で――白鯨を、討つ!!」

 

 

 

白鯨討伐戦――異世界召喚されて以来、最大の作戦が今、始まろうとしていた。




いよいよ、次回から白鯨戦です!

第三章の一大イベントにして、リゼロの中でのターニングポイントでもある戦いを書ける段階までこれたこと、とても嬉しく思います。

原作では多くの犠牲者を出した白鯨戦ですが、ストレンジが加わることでどのような展開を見せるのか、書いている自分も想像を膨らませながら楽しく書いていこうと思います。
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