異世界転生じゃ……ない、だと?   作:ウミノ シオ

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加古さん、お誕生日おめでとう!



サブタイが思い付かないと安易に月日になる……orz

※誤字脱字あるかもしれません。気付いたら その都度、修正します。


12月25日

 十二月十九日(次の日)。本部に行けば昨日の一部メンバーに絡まれた。

 

 

「お汁粉、焼き餅だったってマジか?!」

 

太刀川(たちかわ) (けい)

 『A級1位 太刀川隊』の隊長で『攻撃手(アタッカー)ランク1位』『個人総合1位』の実力者――なのだが、戦闘系と餅以外、あまり役に立たないという……ミスター残念。

 

「つーか、お汁粉食いたかったんだけど!」

「お前もブレねーなぁ……」

 

 開口一番が餅についてとか……徹底していて逆に感心する。

 

 

「手伝ってくれても良かったのにー」

 

菊地原(きくちはら) 士郎(しろう)

 『A級3位 風間隊』所属の攻撃手で『強化聴覚』の副作用(サイドエフェクト)を持つ、ちょっぴり毒舌なやつ。

 

「文句はケイに言え? 元凶はアイツ」

 

 慶を指差して言えば、文句を言ってきた菊地原はむっ として黙る。

 

 

「鈴風さんさ~、迅さんが邪魔しにくるって知ってた?」

 

当真(とうま) (いさみ)

 『A級2位 冬島隊』所属の狙撃手(スナイパー)で、リーゼントがトレードマーク。『狙撃手ランク1位』『個人総合4位』と云う実力者だ。

 

「知らん。けど最近、暗躍してたみたいだから? なんかやるだろうなーとは思ってた。まぁ、邪魔するなら玉狛に着く前で離れた場所――ってなると、あの辺りが丁度いい」

「だよなぁ……嵐山隊も着て散々だったぜ」

「それは、それは」

 

 知らなかったことと、オレの考えを言うと当真は肩を竦めた。

 

 

「柚宇さんがいつ料理してくれるの~? って言ってるすけど」

 

出水(いずみ) 公平(こうへい)

 『A級1位 太刀川隊』所属の射手(シューター)。「やってみたら、出来ちゃった」で、合成弾を作っちゃった天才。通称『弾バカ』

 『槍バカ(陽介)』と『迅バカ(駿)』と一緒に居ることから『A級3バカ』と呼ばれてたりする。

 

 公平のいう『柚宇さん』とは、太刀川隊のオペレーター『国近(くにちか) 柚宇(ゆう)』のことだ。

 

「昨日の今日でか。あー、まぁ……24、25以外ならいつでも?」

「クリスマス以外すね……ちょーっと聞いてみまーす」

「ク、クリスマス……!?」

 

 公平に「クリスマス以外なら、いつでもOK」と伝えると、近くで聞いていた慶の顔色が悪くなる。

 去年のことを思い出したんだろうか。

 

 去年()散々だったからなぁ……

 

()()だし……あと普通にイブは玉狛でpartyだ」

「無駄に発音が良いな?!」

「それで? 今年もケーキを持ってくるだろうな?」

 

風間(かざま) 蒼也(そうや)

 『A級3位 風間隊』の隊長で『攻撃手ランク2位』『個人総合3位』の“小型かつ高性能(ハイスペック)”な男前だ。

 

 慶の方がランク上だから蒼也よりハイスペだろ、って?

 それをも上回る戦闘狂餅バカ(残念さ)なんだよ……

 

 

「今年はクロエに」

「……」

「――夜にも持ってきゃいいんだろ、持ってきゃーよぉ!」

「よし」

「よし、じゃねーよ」

 

 蒼也の眼力に負けた……

 

 そして、持ってったケーキは蒼也の胃に収まるのである、マル。

 

 

 ……今年は何人(犠牲者が出る)かなぁ……

 

 

 

 

 

________________

_____________

__________

 

 

 

【12月25日 午前】

 

 クリスマス――それはキリストの降誕日。または降誕祭。

 

 キリストの誕生日ではないらしい。

 ずっと誕生日だと思ってたんだけど。いつだよ、誕生日。

 

 しっかし、日本ってイベント(お祭り)好きだよなぁ……

 

 

 

 「クリスマスは恋人と過ごすの(ハート)」なんて言う世間様が多いが、ココ、ボーダーではそんな甘~い雰囲気は――ない。

 いや、一部はキャッキャウフフしてふわふわしてるがな。

 「サンタさん、来るかな~」とか。

 

 ……大人は大変だ。

 

◇◆◇

 

 ランク戦ロビーで待ち合わせしている人物を見つけ、声をかける。

 

「クロエ、待たせたか?」

「いえ。わたしも今、着たところです」

 

黒江(くろえ) 双葉(ふたば)

 『A級6位 加古隊』所属のA級最年少(13)攻撃手。

 

「あれ? 双葉と鈴風さんって知り合いだったの?」

 

緑川(みどりかわ) 駿(しゅん)

 『A級4位 草壁隊』所属のエース攻撃手。A級3バカの一人で『迅バカ』

 そして黒江とは幼馴染み、だそうだ。

 

「カコ経由でな」

「へぇ~」

「師匠です」

「うん……?」

「師匠です」

「……だ、そうだ」

 

 師匠発言に思わず黒江を見れば念押しされた。

 

「よねやん先輩以外に弟子いたの?! って言うか双葉が弟子!?」

「カコに『弧月を使うから見てあげてくれないかしら?』って紹介された。 オレ的にはただ対戦してただけなんだが……」

 

 いつの間に師弟関係になったのか……

 

 

 東経由で加古、二宮……から、黒江と辻、犬飼。

 三輪からは陽介。忍田から嵐山、柿崎、天羽。んで、柿崎からカゲ、照屋、虎太郎。蒼也から諏訪を経由して日佐人。慶からは京介。

 嵐山、柿崎、迅の同級生トリオから弓場を紹介されて王子、帯島。あ、三人から生駒も紹介されてた。んで、王子からは樫尾。

 

 紹介された攻撃手や万能手(オールラウンダー)()るようになって。そこから派生して色んな隊員とバトるように。

 最近、香取経由で三浦とも戦るようになったな。

 

 陽介以外で強いて言うなら、黒江(自己申告)、辻、帯島の三人……か?

 

 加古、二宮、弓場の圧が強い……

 

 

「東さんの攻撃手バージョン……? ん? でも犬飼先輩って銃手(ガンナー)でしょ? 鈴風さんって銃手トリガー使えたっけ?」

 

 うん? 東の攻撃手バージョン? なんじゃ、そりゃ?

 

「使えないことはないが……イヌカイ(アイツ)、スコーピオン使うだろ? だからツジのついでに相手しろ、ってニノミヤが」

「あー……」

 

 スコーピオンも使えるけど……理不尽にもほどがある。

 二宮(アイツ)、オレのこと嫌いだろ。絶対。

 

 

「――おっと、そうだった。クロエ、頼まれてたバースディケーキ」

「! ありがとうございます!」

 

 ケーキの入った箱を黒江に渡す。

 ポーカーフェイスというやつなのか、あまり表情の変わらない黒江だが心なしか口角が上がり、嬉しそうだ。

 

「ケーキ……? それで待ち合わせ?」

「今日、加古さんの誕生日だから……」

「なんか もう、毎年恒例になってるからなぁ」

 

 加古が入った年、東にクリスマスケーキを届けたら気に入ったようで。そこから毎年作ってる。つっても三回目。

 

 ――ある年の、加古誕(加古による“おもてなし”)炒飯に「ケーキが、ぶっこまれていた……」と恐れ戦いた餅バカから聞かされ、製作を拒否ったこともある。

 犯人(加古)は「美味しかったから入れたら(炒飯が)美味しくなると思って……」などと供述。被害者()は一時、意識不明になったようだが完食を成し遂げたそうだ。

 何回、堤に謝ったか……

 

「ってことはさ? 双葉にケーキを渡したから鈴風さんの用事は終わったんだよね?」

「ん? まぁ、そうなるな」

「じゃあさ、じゃあさ! おれと模擬戦しよーよ!」

「!」

「鈴風さん、最近、色んな人とバトってるんでしょ? おれも()りたーい!」

「成り行きで戦ることになっただけなんだが……しゃーねぇなぁ」

「やったー!」

「……ずるい」

「クロエ……?」

「双葉?」

 

 昼の防衛任務まで時間もあるからいいか……と了承すると、駿の喜びの声と共に消え入るような声がした。

 声の方を見るとムスッとした顔の黒江が俯き加減でいた。

 

「わたしも、戦りたい」

「って言っても加古さんの誕生日、祝うんでしょ?」

「……最近、模擬戦してない……」

 

 ……確かに。

 最近は戦闘狂の相手ばかりしてたから黒江と模擬戦をしていない。

 

「――――確か……カコの誕生会は昼からだったな……」

 

 数日前に慶、二宮、加古の同級生トリオが話てるところに出会(でくわ)し、クリスマスの話から加古の誕生日の話になって『昼は隊の皆が祝ってくれるの。だから鈴風さんたちには夜にきてほしいのよね。炒飯、作って待ってるから』って語尾にハートが付いてる感じで話してた。

 

 話を聞いて無表情になった慶は顔色が悪くなり、若干 震えてたと思う。

 眉間に皺を寄せる二宮は、人を射殺さんばかりの目で加古を睨みつけてた――何があった……。

 二人と加古の温度差が激しすぎて、うへ~ってなったんだよなぁ……

 

「そう、ですけど……」

「時間的に10本先取なら戦れるかな?」

 

 オレも昼は防衛任務だし。

 

 訝しげにこちらを見上げる黒江に提案すると目を見張り、次第に嬉しそうな顔になる。

 

「ケーキ、冷蔵庫に入れてきます!」

「おー……じゃあ、先にシュンと戦ってるぞ~」

「はい! ――駿。直ぐ戻るけど、簡単に殺られないでよ?」

「……ゼンショしまーす」

 

 早歩きでランク戦ロビーを後にする黒江を駿と二人で見送ると、個室ブースに向かう。

 

「よーし! 戦ろう!」

「まずは、とりあえず10本だな」

「1本は取るぞー!」

 

 そう簡単には取らせません(大人気ない)

 

 

 

◇◆◇

 

 

 駿、黒江との模擬戦の後、防衛任務のために早沼支部へ行った。

 

 今回は他の隊員と模擬戦はしなかった。

 逃げ切ってやったぞ! 餅、弾、槍の戦闘バカ共から!! (テンションおかしい)

 

 

 

 防衛任務を終え、再び本部へ向かう。加古誕生会(夜の部)に出るためだ。

 途中、胃薬と酒を買いに店に寄る。

 

 胃薬は“被害者”に。酒は加古に。

 

 本日、加古はお酒解禁の二十歳(ハタチ)になった。だから酒を買っていこうと思ったんだが――

 加古が飲むのってワインしかイメージ浮かばないんだが?

 

 あとは、まぁ適当に。どうせ飲む奴しかいないだろうし…………飲める元気あるかな?

 

 しかし、めでたい席で胃薬のお世話にならなきゃならん加古炒飯被害者とは……合掌。

 

 

 

 

 

 

 

「生きてるか~?」

 

 加古隊の作戦室の戸を開けての第一声が生きてるか~?(コレ) とは……

 

 視界に入ったのは、ぶっ倒れている慶と堤。二宮と諏訪はゲ○ドウポーズ。蒼也、東、秀次の三人が無事なようだ。

 

 いつものメンバーと、今回は珍しく二宮……巻き込まれたのか? 諏訪も巻き込まれか?

 

「見ての通り……無事なのは、俺たち3人だけだ」

「憐れだな……」

 

 部屋に入り、苦笑する東の隣に座る秀次の隣にいく。

 

 東と秀次は元東隊ってことで呼ばれたのかな? 分かるが未成年者(十七歳)がいるって……

 

「生きてるか、だなんて……鈴風さん酷いわね――来ないかと思ったわ」

 

 キッチンスペースから料理を持って加古が現れた。唐揚げのようだ。

 

「防衛任務があるって言ったろ? ――だいたい……マトモに作った炒飯を魔改造する必要なんてねーのに、あんなモン食わされたら言いたくもなるっつーの……」

 

 そう、加古は普通に料理が上手い。旨い物が作れるのにも拘わらず、何故か炒飯()()()要らない物を ぶち込んで逆ロシアンルーレットな炒飯を作り上げる。

 

 殺人シェフになる女――それが『A級6位 加古隊』の隊長『加古(かこ) (のぞみ)』である。

 

 本家ロシアンルーレットは、弾一発に対して空は五。加古炒飯は八対二――旨いのが二割で残りは激マズ炒飯……逆ロシアンルーレットだ。

 

 加古の旨い炒飯ってどんなのだよ……

 

 蒼也と『鈴鳴(すずなり)第一』の隊長『来馬(くるま) 辰也(たつや)』の二人が今のところ不味い炒飯に当たっていない。

 

 必ず当たるのは堤と慶。

 東は知らん。

 諏訪は多分、今被弾してる。

 二宮は被害に遇って以来、巻き(連れ)込まれない限り加古隊作戦室(ここ)には来ない。賢明な判断だ。

 

 

「知的好奇心を抑えることが出来ないのよ~ はい、風間さん。どうぞ」

 

 そう悪びれなく言う加古は持ってきた唐揚げを蒼也の前に置く。

 

「鈴風……ビールはあるな?」

「どんだけ飲み食いす気だ、お前(おめぇ)は……」

 

 たしかに唐揚げにビールは旨いけど。すでに缶ビール二本空けてるじゃねーか。そんで、ケーキも食うの……? お前の胃袋、どうなってんだよ……

 

「お前がアルコールを買ってくるとは珍しいな」

「ほら、加古、お酒解禁だろ?」

「……それでか」

「どれがいいか分からんからテキトーに買ってきた。イメージはワインだけど」

 

 対面に座る蒼也にビールを渡しながら酒を袋から出す。

 ぶっ倒れている慶と堤がいたであろう場所には胃薬を……

 

「あ……ニノミヤとスワ。胃薬、要る?」

 

 テーブルに置く前に、二宮と諏訪に訊く。水は各自で貰ってくださーい。

 

 

 

 

「――んで? 炒飯に何を入れた、殺人シェフ」

「嫌ね。堤くんも太刀川くんも死んでないわよ?」

 

 頬に手を当て「うふふ」と加古が微笑む。

 ……堤と慶を殺した、とは言っていない。

 

「何を入れた、ダークマター製造機」

「暗黒物質なんて作ってないわ」

「……」

「…………今日はマグロ、ワサビ、マヨネーズ……それからチョコミントアイスよ」

 

 加古が白状した食材にオレは頭を抱えたくなった……なんだ、その組み合わせ。

 

「なんでチョコミント……しかもアイス……」

「因みに、二宮くんと諏訪さんのは生姜、豆腐、ケチャップ、ホイップクリーム」

「……ホイップクリームが台無しにしてんじゃねーか、そっちは……」

 

 オレは頭を抱えた。

 甘いのは要らねーだろ。なかったら普通に食える。……多分。

 

「マグロは火を通したのか……? それとも」

「生よ」

「……火を、通せ……せめて火を、通してくれ……!」

「お刺身の“いいやつ”なの。火を通すなんてもったいないわ~」

「なら、刺身で出してやれよ……マグロが可哀想だ。つか毎度言ってるだろ。追加食材入れたら完成した炒飯の味見をしろって!」

「面白くないじゃない」

「面白さを、求めるな……ツツミが死ぬ……!」

「これくらいじゃあ死なないわよ。大袈裟ね~」

 

 上品に「ふふふ」って笑いやがって……

 堤をなんだと……いつか死ぬぞ……?

 

「食品ロスになるから味見をしろ」

 

 加古に文句を言うのを諦める。堂々巡りもいいとこだ……

 

 この間、蒼也は黙々と料理を腹に収め、東は苦笑しながらビールを飲み、秀次は遠い目をして、二宮と諏訪は胃薬を飲んでいた。

 堤と慶? なんとか起き上がれるようにはなっていたが、顔は青かった。

 

 

 

 食べ残された炒飯たちは、全部まとめて炒め直し、食った。

 アイスとホイップを温めるととんでもなく甘い(にお)いになってヤバかったが。

 マグロは、チョコミントアイスが溶けてたから洗って食った。……アイスをマグロの上に乗っけるな。

 単品だと旨い。ちょっとすーすーした、ような?

 

 慶や諏訪になんで平気な顔して食えんだよ?! って顔された。

 食えない頃と比べりゃマシだ。

 

◇◆◇

 

 炒飯でダウンしてた奴らが復活し、酒盛りが始まる――前に、未成年の秀次を家に送ることにした。

 

 

「一人で帰れますよ。子供じゃないんだから……」

「高校生は()()子供だと思うがねぇ……甘えられる時に甘えとけ。送られとけ」

 

 一人で帰れると言う秀次の頭をわしゃわしゃ撫で、お酒が飲める大人たちに軽く声をかけ、加古隊作戦室を後にする。

 

 

 二十歳以下は補導対象だ。まだ補導されるような時間ではないが大人が一緒の方が良いだろう。

 『アンチボーダー』なんてのも居るらしいからな、念のためだ。

 

 

 ボーダー隊員である中高生は防衛任務のせいで九時十時は勿論、十二時以降も帰宅のため出歩いてたりする。

 

 補導されそうになったら警察に見せる証明書みたいなモノがあったりするらしいが……大人が一緒にいるならやっぱ家まで送り届けた方がいいと思うんだ。親だって安心するだろ? ……多分、きっと。

 

 

 子供は守らなきゃ、って思うんだよ。――近界民(ネイバー)と戦わせておいて何だけど。

 

 ……オレ自身が子供時代、バリッバリに戦ってて説得力もクソもないがな。

 

 まあ、近界(向こう)は殺らなきゃ殺られる世界だし? 是非もないねー……

 

 

「……鈴風さんはちょっと子供扱いしすぎだと思う」

「実際、子供だろ?」

 

 大人なんてハタチから死ぬまで――半世紀以上と長い。

 二十年、有るか無いかの短い子供時代を子供らしくしてたってバチは当たらんと思うがね。

 近界民が現れるとはいえ、玄界(日本)は比較的平和なんだし。

 

 急がなくたって嫌でも大人にならざるをえないんだ。

 

 

 秀次がムスッとした顔でみてくる。

 

「……そんなに子供扱いされたくない、と?」

「そりゃ、そうですよ」

「つってもねぇ……」

 

 ボーダー隊員(ここの子たち)って環境なのか、考え方だったり振舞い方が子供っぽくないんだよなぁ……仕方がないっちゃー、仕方がないんだが。

 

 バカ騒ぎしてる奴らもいるが基本、物分かりがいい。

 復讐だとか、家族を守りたいとか……想いは人各々(それぞれ)

 

 品行方正とまではいかなくても、逸脱した奴はいないし、自制心が強い。

 

 普通ならもう少しユルいと思うんだよな。

 

 それに――多かれ少なかれ、力を手にすると暴走する奴が出てもおかしくないが、そう言う奴は今のところ見たことがない。

 

 だから、()()()()()()()()連中を“甘えさせる”のも大人の役目だと思ってるワケだ。

 

 

「ワガママ言わない、真面目、物分かりがいい――そりゃあ、いいことなんだけどな? ()()()()()()()ってのは。でもちょっと心配になるんだよ…… “我慢してないかな?”って」

「……」

「シュージはさ……もう少し、肩の力を抜いてもいいと思うんだ。

――リラックスする時間あるか? 考えすぎも体に悪いし……ちゃんと寝れてる?」

「……っ、もういいです……」

 

 隣を歩いてた秀次が早歩きで先に行ってしまった。

 

 なんか、いらんこと言ったか……?

 

 頭を掻きながら秀次の後を追う。

 

 

 

難しいお年頃だねぇ~

 

(もっちょい甘えても いいのに)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――さて。ニノミヤにジンジャエールでも買ってくか……」

 

 今年の加古誕生会にもいないと思っていた二宮がいたため、ヤツの好きな飲み物であるジンジャエールは買ってなかった。

 

 ジンジャエール、うまいよな。

 

 秀次を家まで送り届けたことだし……ジンジャエールを買って、本部へ戻りますかー。

 

◇◆◇

 

 そして、本部に戻ったオレが目にした加古隊作戦室は――死屍累々。

 

 余裕そうな堤、加古、東以外は夢の国に旅立ったようだ。いや東もそろそろヤバいかも。

 

 しかし……オレが部屋を出てる間の、ほんの十数分で一体、何があったら酔い潰れる(こうなる)んだ……?

 

「お帰りなさい。鈴風さんも飲むでしょ?」

「……酒豪の気でもあるのか、カコには」

 

 加古がワイングラスをちょっと上げ、飲みに誘う。実に優雅である。

 

 ……ワイングラス、あったのか。

 

 堤はさっきまで(炒飯で)ぶっ倒れてたとは思えない飲みっぷりだ…………足りるか……?

 

 四人(実質、三人)を潰した犯人は――堤……? いや、加古か?

 

 

 

 加古の誕生会は十二時(天辺)を回る前にお開きにし、野郎共を仮眠室へ放り込み、加古は家まで送り届けた。

 諏訪は堤が抱えて帰ってった。多分、諏訪隊の作戦室だと思う。

 

 ……うん。飲めるヤツばっかになると片付けが大変だな……

 

 

 

 

 

Merry Christmas

 

 

 

 




 加古さんの誕生日に間に合うよう、頑張りました!!
 やれば、出来る子だったんだね!(笑)
(でも、ちょっと まとまってない感じ……)

 次は『年末年始(大晦日、元旦)』『冬島さん、東さんの誕生日』ですね!
 1月3日までに間に合うかな……?

(う~ん……キャラ説明、一々要らないかな……)

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