異世界転生じゃ……ない、だと?   作:ウミノ シオ

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お待たせしました! 今年、初の『異世界転生』です。
今年も よろしくお願いしま~す!

そして相変わらずの、サブタイのセンスのなさよ……



年末年始

(ゲート)発生、門発生

近隣の住民の皆様は警戒してください。繰り返します――』

 

 警報が鳴り、警戒区域に門が開く。

 

 

 門から少し離れた場所を巡回していたオレが到着した時には既に戦闘用トリオン兵(モールモッド)が二体、姿を現した後だった。

 

 

 グラスホッパーで上から近づき、弧月(こげつ)(試作):槍を弱点のあると思われる位置めがけ、ぶん投げる。

 一体目の上に着地。槍を引き抜き、念のため弱点の目玉を切り裂いとく。

 

 二体目のモールモッドと対峙する。

 

「よ、っと……お、らぁ!」

 

 攻撃をかわし、もぐり込んだ底から弱点めがけ、槍を突き刺す。

 

 

 機能停止(沈黙)を確認後、(さば)いて()()も確認する。

 

「……偵察用トリオン兵(ラッド)はいねーな。――回収班、回してくれ」

《了解しました、向かわせます》

 

 耳に手を当て、今日の防衛任務先の支部に連絡を入れる。

 回収班が到着するのを倒したトリオン兵に腰掛け、一服して待つことにした。門が開かないのを前提にしてるが。

 

 

「ランサー、お疲れ~」

 

 タバコに火を点けたところに、オレが倒したトリオン兵の上をひょいひょい跳んで、玉狛支部で防衛任務に着いているハズの“(自称)実力派エリート”がやってきた。

 

 眉間に皺がよる。

 

「ジン……お前、担当する場所、違うだろ」

「いや~丁度、近くに門が開いたから……来 ち ゃ っ た ♪」

「来 ち ゃ っ た ♪ ……じゃねーよ」

 

 タバコの火を消す。

 未成年がいる時は、なるべく吸わないようにしている。

 トリオン体とはいえ、副流煙はあまりよろしくないからな。

 吸うのは良いのか、って? オレの体だからいいんだよ。

 

 (タバコが)もったいねー……

 

 

「ダイジョブ、ダイジョブ。しばらく門、開かないから」

「何が、大丈夫だ……それよかお前、良かったのか? 風刃(ふうじん)手放したりなんかして――アレ、()()なんだろ?」

 

 『(ブラック)トリガー』は、“自分の()”と“全てのトリオン”を注ぐことで出来る――が、皆が皆、出来る訳じゃない。高いトリオン能力を持つ者が作れる可能性を持っている、そうだ。

 そして、風刃は迅の師匠()()()

 

 迅に最後に会ったのはクリスマスの朝だったか?

 黒トリガー争奪戦の後に比べりゃ、マシな顔になってたが……

 

「形見を手放したぐらいで最上さんは怒ったりなんかしないよ。むしろ、内部分裂しなくて良かったーって、安堵してるさ」

「……そーかい。お前が気にしてないってんなら、別にいいさね。

ま。お前と風刃の相性は良すぎるから本部に預けたとしても結局、使うのはお前になるだろうさ」

 

 

 迅の副作用(サイドエフェクト)である『未来視』と風刃の相性はピッタリで、“迅のための黒トリガー”と言っても過言じゃないだろう。

 

 黒トリガーには作った人の性格や感情が反映されるらしく、使用者と相性が合わないと起動できない、なんていう難点もある――が、迅の師匠だっただけあってバッチリがっちり、サイドエフェクトが活かせる仕様になってる。

 

 因みに。風刃は好き嫌いが少ないようで本部には二十人ぐらいの人間が起動できるそうだ。

 

 ただ、銃手(ガンナー)の弓場が起動できるって知った時は驚いた。――も少し、人を選んでもいいんでないか?

 

 

「それでも本部には使える人が沢山いるからね。選択肢が増えるよ――そうだ、ランサーも試したんだって?」

()()()()()()んだよ」

 

 起動するか、否か、を。

 

「案の定、起動しなかったがな。

いくら()()()()()()だろうが近界(ネイバーフッド)産まれの近界育ちな近界民(ネイバー)だからか反応しなかった。

――良かったな。起動してから持ち逃げされる、なんてことにはならないぞ? きっと」

 

 持ち逃げされたとしても、起動できないなら意味がない(宝の持ち腐れだ)。戦力、減になるが。

 

 

「――それで? オレになんか用があって来たんだろ? わざわざご苦労なこったな」

「用がないと来ちゃダメ? ――――なんて言わないさ。実は、頼みたいことがあって、ね」

 

 ……嫌な予感がする、ってオレの直感が告げてくるんだが?

 

 

 

 回収班が到着して目にしたのは、モールモッドの上で対峙するように立つ、にこやかに話す迅と苦虫を噛み潰したような顔のオレだった。

 

 

 

 

 

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【1月1日 三門神社】

 

 初詣の参拝客で賑わう神社に玉狛支部所属のボーダー隊員たちとやってきた。

 

 ……何やってんだろ、オレ。

 

 

 年に一回、来るか来ないかの神社で初詣って……

 

「へぇ~……出店とかあるんだな、初詣の時って」

「おれは、おしるこがたべたい」

「ふむ? スズカゼさんって“はつもうで”、来たことないの?」

年末年始(この時期)は基本、防衛任務に着いてるからなー……何気に初めてだわ。――ヨータロー、お汁粉は帰りだ」

「ほう」

「ランサー……おわったら、おこしてくれ。ねむ……ぐぅー」

 

 右腕で陽太郎を抱え、左手は人混みで離れないよう空閑と手を繋いでいる。雨取は宇佐美とだ。

 二人がオレや宇佐美と手を繋いでいるのは小さいから。三雲は二人よりも背が高いから大丈夫なんだが……ちょっと目を離したらこの人混みだ。迷子になりかねん……中学生にそれは失礼か。

 

 

 数日前の“迅の頼み事”は初詣(コレ)だ。

 あれやこれやと、話をはぐらかされ……元日早々に玉狛に呼ばれた時点でお察しである。

 まさか、子守りを任されるとは思わなかったが。

 

 せめて空閑は京介かレイジが……あ、京介は自分の弟妹の相手、レイジは防衛任務だった。いなかった。もう迅でいい(なげやり)

 

 因みに。前世でも初詣なんてしたことない。神社は行ったことあるけど。

 

 四年――毎年、年末年始は防衛任務に入ってたんだなぁ……今更だけど。

 

 

「ええ? あんたが初詣初めてとか、あたし初耳なんだけど。ウソでしょ……?」

 

 艶やかな赤い着物姿の小南は声こそ驚いているが、表情をなるべく崩さないようにするという、器用なことをしている。

 学校関係者(先輩後輩)に遭遇しても大丈夫なように、だそうだ。

 

 小南がオペレーターとか無理な話だろ。せめて射手(シューター)辺りにしとけば良かったものを……那須が射手なんだし。

 

「逆に訊くが、三が日中に神社(ココ)で会ったことあったか?」

「…………ない、わね……」

 

 そう言うことなんだよ、小南……

 

 

 

 

 

「お、栞じゃん!」

「陽介~」

 

 後ろから声がかかり振り向くと、手をひらひら振って三輪隊の三人と公平と共に陽介がやってきた。

 

「ミワ隊の人、と……?」

《A級1位タチカワ隊の射手だ》

《ほう。タチカワ隊の……隊長が()()()()()()()()なのは聞いた。シューターって……?》

《銃手は銃を持ってるが、射手はそのまま手元にキューブを出して弾を射つ……コナミが使うメテオラの やり方が射手だ》

《ほうほう、アレか》

 

 イトコだという宇佐美と陽介が手を上げ「あけおめー」「ことよろ~」と軽い感じに新年の挨拶をし「よし!」と、がっちり握手する。

 宇佐美の眼鏡が光った、ような……?

 その傍らで、いつの間にかオレの背中に張り付いて「おぉ! 高い!」と、はしゃいでいる空閑に内部通信で射手のおおまかな説明をする。

 内部通信での内緒話はトリオン体同士だから出来ることだ。

 

 しかし、何が“よし”なのか……イトコ同士のノリがわからん。

 

 

「……明けましておめでとうございます」

「こんな格好で悪いな、シュージ。今年もよろしく」

「鈴風さんは――子守りか?」

「……そんな感じだな」

 

 空閑を少し睨み付けるが、無視することにしたらしい秀次から新年の挨拶を受ける。

 一緒にきていた奈良坂が、こちらを見て疑問を投げ掛けてきた。

 

 完全に寝ている陽太郎を抱っこ、空閑を背負っている状態を見れば、子守りをしていると思うのも当然だ。

 

 因みに。数分前まで三雲は「空閑! 鈴風さんの迷惑になる、背中から降りろ!」と、説得していた。

 空閑の粘りに「……大人しくしていろよ?」と、諦めた感じだ。残念ながら、高さにはしゃいで大人しくなってはいなかったが。

 

 

「コーヘイはミワ隊と初詣か?」

「すねー。この後、太刀川さんたちとも合流すよ」

 

 公平から慶が来ることを知らされ、ちょっとうんざりしていると、不穏な言葉が耳に入った。

 

「…………()()?」

「太刀川さんと風間隊すね~」

「うへぇ……めんどくせー」

 

 ……つか、ここで空閑と慶たちが遭遇して大丈夫なのか?

 

 ところで……迅のヤツはドコ行きやがった?

 

「待った待った! お願い、待ってっ! そっち行かないでってば、太刀川さん!!」

「そー言われると、行きたくなるよなぁ」

「お願いだから、行かないで!」

 

 遠くから慶を引き止める迅の焦る声がすると、余裕綽々な慶の姿が目に入った。

 その後ろには他人のふりをした風間隊。

 

 ……修羅場か。

 

()()()()()()、こいつは……」

「太刀川さーん! こっち、こっち~」

 

 慶たちを見つけた公平が、手を振り呼ぶ。

 

 

「お、鈴風さん――と、背中に引っ付けてんのがウワサの黒トリガーか?」

「迅さん、と?」

「ウワサのジンのライバルで、No.1攻撃手(アタッカー)だ」

「ほう……“1番強い”とウワサの弧月使いの人か」

「へー……おれのこと知ってんのか」

「おうわさは、かねがね……」

 

 オレを挟んで空閑と会話する慶の後ろで、あいたたたーと言わんばかりに額に手を当て、天を仰ぐ迅の姿が目に入った。

 

「なんで今日に限って生身なんだよ、お前……」

「え……?」

 

 何、言ってるの? というような不思議そうな顔でオレの顔をみた迅は首を傾げる。

 

「トリオン体だったら内部通信、使えたろ……」

「…………うわー……なんでおれ、生身だったんだろ……」

 

 理解するまで、しばしの沈黙……から、トリガー起動。今更、トリガーを起動しても遅い。

 “うっかり”は、あかいあくまの専売特許だ……知らないか。

 

 

◇◆◇

 

 

 初詣を終え、太刀川、風間、三輪各隊にお年玉を上げて(お年玉は、隊員分を隊長に一括)神社(現地)解散。

 戦闘狂(攻撃手)二人が模擬戦をしたがったが元旦ぐらい休め。

 

 「大人しく餅でも食ってろ」って言ったら「お雑煮作りに来い」って……そのまま模擬戦ですね、わかります。

 行くワケねーだろ。“お袋の味”を味わってこいつーの。

 

 ――元旦早々、疲れたわ~……

 

 

 

 

 

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【1月2日】

 

 朝の防衛任務を終えたオレは、ボーダー本部のラウンジに来ていた。

 

「鈴風さん、今いいです?」

「イヌカイとツジか……お年玉ならニノミヤに渡したぞ?」

「貰いました」

「ありがとーございま~す! じゃなくてですね……いや、有難いですけど」

 

犬飼(いぬかい) 澄晴(すみはる)』『(つじ) 新之助(しんのすけ)

 『B級1位 二宮隊』所属の『コミュ力カンスト銃手』犬飼(高3)と『女子苦手攻撃手』辻(高2)

 

「? 何かあったか?」

「えっと……鈴風さんって明日、予定……空いてますか?」

「明日ぁ? 特に……あー……朝は防衛任務だったわ」

 

 連日の防衛任務は、数少ない成人に課せられた中高生の短い()()()を死守するための戦いだ(大袈裟)

 

 『戦える成人、少なすぎる問題』なんだよなぁ……

 

 ボーダーは“出来立て”だから仕方がないっちゃー、仕方がないんだが……

 

 

「――それが、どうし……あぁ……アズマの誕生日か」

 

 冬島もだったなぁ……と、ちょっと上をみて思い出した。

 

「それで、ちょーっと二宮さんと加古さんが揉めちゃって」

「……」

 

 犬飼が苦笑、辻が困り顔だ。

 

 年下を困らせるな、年上。

 

 

 しかし、まあ……なんで、あぁも仲が悪い……いや、加古はからかい半分か。んで、二宮が躍起になるから余計に……愉悦る加古の顔が浮かぶわぁ……

 

 同族嫌悪か、ホントに相性最悪か……前者か?

 

 

「どっちが払うかで揉めてんのか?」

「えぇ、まぁ……」

「どうにか、なりません?」

 

 確か去年は主役の東が払ったって聞いた。ソースは秀次だ。

 「割り勘にすれば いいのに……」と嘆いてた。東は「未成年に払ってもらうのもなぁ」って苦笑してたし……

 

「どーにかったってなぁ……どこ行くか決まってんの? 知ってる?」

「多分……いつもの(とこ)だとは、思うけど……辻ちゃんは?」

「半月ぐらい前に二宮さんが予約してるのを聞きました」

「おぉ! 辻ちゃん、ナイス!」

「……焼肉屋(いつもの)、ね」

 

 スマホを取り出し、タップする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長くなったんで、分けました(続きは執筆中)




 お待たせしました、第10話です。

 冬島さんの誕生日まで入れたら、長くなったので分けました……( ̄▽ ̄;)アハハ...
 1月3日(夜)は、酒盛りですw多分←

 1月8日(入隊日)が遠いなぁ……

◇◆◇

 玉狛に近い支部って何処だろ……三門市の地図が欲しい(笑)

 太刀川さんと遊真の邂逅が原作より早くなりましたw二次あるある、ですねw
 風間隊が空気に……(¬_¬;)

 犬飼先輩と辻ちゃんの口調が……合ってるかなぁ……
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