*
*注意*
セリフじゃないけど、今回はちょっとメガネくんに厳しめ発言?があります。読む人によっては厳しめに感じるかも……ご注意ください。(保険をかけとく)
新旧東隊による『東隊長のお誕生日お食事会』で今年も二宮と加古は会計で揉めたらしい。――が、今年は事前に
〝請求書、お送りします〟って焼肉屋から連絡もきたし。
つか、予約した奴が払えばいいのでは……?
まあ、給料貰ってても使い道が殆どないからオレは別にいいんだけど……
だからか、一触即発になりそうだったのが不発に終わり、その日の内に秀次と
本日の主役に払わせなくて済んだ……! と。
そんで。その後の『東、冬島隊両隊長 誕生会(夜の部)』と云う名の飲み会では東に礼を言われたり、東にくっついてきたと思われる加古(昼の部より引き続き参加)に文句を言われたり。
不満そうに言ってはいたが愉しそうに笑ってもいた。二宮を煽るなよ。
後日、本部で遭遇した二宮に強めに睨まれたオレは((今日は当たりが
……揉めるな。無理か。
そしてオレに八つ当たんな。
冬島隊オペレーターからの
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【1月8日 ボーダー本部】
入隊式を終え、仮想空間で出来た訓練室がいくつかある部屋にC級隊員が着る白い隊服姿の新入隊員たちが嵐山隊の三人の後についてやってきた。
嵐山隊の狙撃手である佐鳥が見当たらないのは
う~ん、
ここにいる新入隊員は
「鈴風……珍しいな、お前がいるなんて」
「そりゃあ、お互い様ってやつだろ」
訓練室にやってきた風間隊と観覧席で鉢合わせた。
「近界民を見にきたの?」
「あぁ、どれぐらい
「……鈴風さんはよく玉狛に行ってるんですよね? あの近界民と対戦したりしてないんですか?」
菊地原の問いに答えると至極当然な疑問を歌川から投げかけられる。
週の半分を玉狛で過ごしているようなもんのオレが、空閑がボーダーのトリガーに使い慣れているかどうか知っていて当然なことを知らないんだから疑問にも思うだろう。
「オレは訓練にはノータッチ」
降参をするかのように両手を軽く上げる。
まあ何かと対戦してくれって頼まれるんだけど。
「なんで?」
「一応、
近界民嫌いの上層部が「近界民に肩入れするのか!」なんて言わないワケがない。オレも近界民だから何かとネチネチ言われる。
言われても軽くスルーするし、気にはしないが――――毎度言われる身にもなってほしい。堪ったもんじゃない。
――鬼怒田は
「……大変ですね」
「……ホントにな」
などと世間話をしていると訓練室の方からどよめきが起こった。
どうやら空閑が記録を出したらしい。
「おー……1秒切った」
「あんなの、慣れたら誰だってできるじゃん」
「言うねぇ」
と、言ってるそばからまたしても記録を塗り替えた。0.4秒とか、やるなぁ。
「あれが迅の後輩……鈴風、お前ならやれるか?」
「0.4切れって? C級と同じ条件でやったらムリだろ、
投擲あり? つってもC級と同じ条件だと“弧月(改):槍”または“弧月(試作):槍”は使えんからなぁ…………弧月(ノーマル)は投げ難そうだし。
細長く、槍状にしたスコーピオンをぶん投げる?
……
「……なるほど、確かに
「そうですか?」
「素人の動きじゃないですね。やっぱ近界民か……」
「近界民つってもピンキリだぞ? 皆が皆、あんな動きが出来るワケじゃねー。
近界民つっても全員が
まあ、文官も有事になれば戦うことになるけど。
それでもC級と比べれば近界民の方が断然動ける。戦時が身近か、そうじゃないかの違いだ。
空閑が
それなのに訓練用で小型化されているバムスターを無駄のない動きで仕止められるのは、元の大きさのやつと戦い慣れているからだ。
小型化しているとはいえ、性能は元の大きさのやつと差はない。
こっちのトリガーに慣れたらもっと速くなるんじゃないか?
やっぱ環境の違いだな。
◇
「……何やる気だ、
「近界民に絡みに行くんでしょ……感じ的に」
「……だよなぁ」
蒼也が階段を降り、新入隊員がいる階下へ向かう。
ハラハラするような気持ちで蒼也の後ろ姿を見送る。
下では空閑が三人の新入隊員に絡まれていた。
空閑が……断った、のか? 空閑に絡んでた新入隊員が驚いたような、傷ついたような顔をしているが……
『おれたちと組もうぜ!』『おことわりします』『んな?!』ってトコか、あれ。
空閑は三雲、雨取と組むって言ってたしなぁ……だから三雲が玉狛に転属したワケだし。
蒼也が下に着いたようだ。なにやら嵐山と話し始め……
「アラシヤマが慌て、止めてる? クガと
「
空閑は乗り気だけど。戦闘部族め……
だが蒼也の視線の先にいると思われるのは京介と木虎と一緒にいる三雲――――
「戦る相手……クガじゃなくてミクモ?」
「……誰?」
「タマコマに転属したB級のミクモ・オサム。クガの友人で保護者的なメガネ」
「ふ~ん」
訊いといてそれか。
三雲と木虎が驚いて――いや、嵐山も驚いてるな、あれ。京介も僅かに……ポーカーフェイスだなぁ。
「――にしても、なんで近界民じゃなくてメガネの方なんだろ……? 正隊員同士だから模擬戦するには問題ないけど」
「クガを
空閑の実力とやらを
「あの二人で隊を作るんですか?」
「あと一人、狙撃手が入る。そんで、遠征に行けるA級目指してんだと」
「近界民が遠征?」
「行きたいってやつのお手伝い。色々あんのよ、色々」
「……物好きなやつー」
そんで嵐山と京介が三雲を留めてる。明らかに実力差があるからだ。
片やA級3位の隊長で攻撃手二位、個人総合三位。
片やちょい前にB級に昇級した元万年C級隊員だからなぁ……
「お? 戦るのか? 模擬戦」
「みたいだね」
「ですね」
新入隊員がざわめく。
そら正隊員同士の勝負っていわれたら、どんな戦いになるのか観たくなるよな。
だが時枝が新入隊員をラウンジへ誘導する。
さすが気遣いの出来る男。
嵐山にOKをもらったと思われる空閑は残るようだ。
師匠である京介と二、三言葉を交わした三雲が訓練室に入る。
≪模擬戦開始≫
開始の合図と共に蒼也がカメレオンで姿を消す。
それに驚く三雲がレイガストを構える間も無く、蒼也の攻撃が入る。
≪トリオン供給機関破壊、三雲ダウン≫
「バカだなー、訓練室ならトリオン切れしないから
風景に溶け込む隠密トリガーである『カメレオン』のデメリットはトリオンの消費が大きいことだ。
だからカメレオンが出来た当初は風景に溶け込み、相手の隙をついてサクッと……なんて使用するやつが多かった。今は風間隊の三人の他には数人しかいない。
「ミクモがカメレオンの存在を知らなかった可能性……?」
「「え?」」
オレのセリフに訓練室を観ていた菊地原と歌川が反射的に顔をこちらへ向ける。
驚くよなぁ……オレも今その可能性に気付いた。
多分、蒼也のことも知らないと思う。
「……多分、使う予定のないやつは知らないんじゃね?」
「うそでしょ……?」
菊地原に信じられないものを見るような目で見られた。
多分、マジ。
ボーダー入って数ヵ月――C級なら知らないこともある。
本部にいた頃もあまりランク戦はしてなかったみたいだからB級が使ってるとこは見たことがないのかもしれない。――B級に居る、数少ないカメレオンをセットしてる隊員は個人ランク戦ではなく、
レイガストも
――
◇
≪伝達系切断、三雲ダウン≫
≪三雲ダウン≫
≪三雲ダウン≫
≪三雲ダウン≫
手も足も出ないとはこのことか……見事な殺られっぷりだな。
そして空閑は楽しそうだ。
ボーダーのトリガーはシンプルだったり、カメレオンみたいな面白いのもあったりする。
……お蔵入りしたモノも数知れず。
何やら考え込んでるようだが……カメレオンの攻略法でも考えてんのか?
≪三雲ダウン≫
「
――なんであんなやつに絡んでるんだろ、風間さん」
空閑と組む三雲の実力を以下略。
どのぐらいまで力を抑えたら打ち合えるのか……と模索してる内に三雲の体力の方が限界に達し――五戦で終了。模擬戦はその一度きりだ。
体力・持久力ともに無く、本当にボーダー隊員として大丈夫か……? と心配になったし、よくこれをボーダーに入れようと思ったなぁ……と、天を仰いだのもつい最近で――――どんな未来が視えたんだ、迅。
蒼也の動きは読めだしたようだが――それに二十敗以上かかるってのは、なぁ……
……こりゃ、生身のトレーニングを……だがまず、体力と持久力をつけないと…………バランスのいい食事も必要だな。
筋肉に一番良いのはプロテインだね。
「終わったっぽい――って、まだやるの? 充分、負けたでしょ」
「ガッツはついたな……」
諦めたらそこで試合は
……なにか掴んだか?
≪ラスト一戦、開始!≫
「ムリムリ、また瞬殺で終わりだよ」
「そう、とも限らんぞ?」
三雲が室内をトリオンの弾で満たしていく。
「弾速、超スローか? 考えたなぁ」
トリオン切れを起こさない訓練室だから出来ることだな。
蒼也もこれだけ室内を弾で満たされるとなると姿を現して弾を避けなきゃならない。
カメレオンを解いた蒼也はスコーピオンで弾を破壊する。
レイガストを構えてトリオンキューブを出した三雲に蒼也が突っ込んでいく――が、逆にレイガストを突き出した三雲がスラスターで蒼也へと突っ込んでいく。
壁際まで追いやった三雲は蒼也をレイガスト(盾)内に閉じ込める。
レイガストに開けた穴から中へアステロイドを放つ。
「「!!」」
「決まった、か?」
「まさか……!!」
三雲の首にスコーピオンが生える。
≪伝達系、切断。三雲ダウン≫
三雲の
「……惜しかった、ですね」
「いや……そうでもないな……」
アステロイドの爆発で起きた煙りが晴れると片腕を失った蒼也の姿があった。
ホント寸での差だったようだ。
≪トリオン漏出過多! 風間ダウン!!≫
≪模擬戦、終了!≫
「……引き分け……」
菊地原がポツリと訓練室を見ながら呟く。
蒼也が三雲と引き分けになったのがショックだったようだ。
言っても二十四敗だが。
それでも三雲からすれば大金星だな。
◇◆◇
京介と蒼也が話し出したからオレも下へ向かう。
おぅ……なんか、すっげーけちょんけちょんに言ってんなぁ……
苦笑が零れる。
「……だが、自分の弱さをよく自覚していて、それゆえの発想と相手を読む頭がある。知恵と工夫を使う戦い方は――俺は嫌いじゃない」
「……!」
おぉ……蒼也が褒めてる。珍しい……
「邪魔をしたな、三雲」
「あれ? 結局おれと勝負してくんないの?」
「……勝負? おまえは訓練生だろう。勝負したければこちらまで上がって来い」
「A級3位のかざま先輩か……
「お疲れさん」
「あぁ……また後でな」
少し言葉を交わして蒼也とすれ違う。
「スズカゼさんだ……来てたの?」
「本部に用があったからな。それよか対近界民戦闘訓練、歴代1位記録達成おめでとう」
「ありがとう?」
「1秒切るとは思わなかったわ」
「じゃあ勝負してくれる?」
「B級に上がったらなー」
「うむむ……スズカゼさんもダメかー」
蒼也と入れ違いでやってきたオレに気づいた空閑が近寄ってくる。
案の定、勝負を挑まれるが正隊員じゃないことを理由に断ると「ちぇー」と拗ねられた。
すぐにでも
三雲は京介と反省会だ。
けど、木虎はなんで京介の三雲にかける言葉に怒ったり喜んだりしてるんだ?
三雲が誉められるのが嫌……そーいや年上や同い年のヤツには当たりが強いんだったな……
それに京介のこと慕ってるんだったっけ。
焼きもちか。
嫉妬か。
羨ましいのかぁ……
そーいや京介のやつ、玉狛に移動してからランク戦してないんだったな。
なるほど、なるほど。青い春か……
「三雲くん、大変だ。きみたちのチームメイトが……!」
「え……?」
何処かと
ここに居ない三雲のチームメイトっていうと雨取だが……
狙撃手訓練室で事件か?
――to be continued. . . . . .
大変長らくお待たせしました(土下座)十一ヵ月って……
異世界転生、第11話です。
pixiv版とは別仕様にしてみました。
pixiv版は(1月3日が)ダイジェスト(それでも長い)
それに対し、ハーメルン版の『1月3日』は書き始めた頃に一度挫折しカットした会話文とかを加筆修正したものになります。長くなったので分けました←
『1月3日』は『番外編』に投稿してあります。
◇◆◇
三雲対風間のシーン、なんかおかしいかもしれない……
コミック読み返して修正するかもしれません。
前書きにも書きましたが、オッサムに対してセリフじゃないけど読む人によっては厳しめに感じる発言が……あります。
(タグ追加した方がいいのかな……)
ふと思ったことなんだよね。空閑が現れなかったらC級のままで、どうするつもりだったんだろう?って。
B級に上がるためのランク戦も積極的にやってる感じがしないし……
まあ、やる気と実力が噛み合ってないとは思うんだけど。
オリ主、レイジさん、とりまるパイセンによる『メガネくん肉体改造』が……はじまる……か?