異世界転生じゃ……ない、だと?   作:ウミノ シオ

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お久しぶりです。

相変わらずサブタイのセンスが……

暑い日が続いておりますが、皆様、熱中症などにはお気を付けくださいm(_ _)m


玉狛とサンドイッチ

【12月15日 日曜日】玉狛支部

 

 朝食を終え、洗い物をし――いそいそと差し入れのサンドイッチを作る。

 

 なにやら三輪隊は新たな任務なのか、玉狛を――近界民(ネイバー)である空閑を監視することになったらしい。()()()()()()()()()()()()()建物に三輪隊の攻撃手(アタッカー)である陽介と狙撃手(スナイパー)の古寺がいる。

 朝も(はよ)からご苦労さんなこった。

 

 ……偶々見かけちゃっただけだ。他意はない。

 

 労いをもって差し入れをしようと思った次第であるマル。

 

 

 厚焼きタマゴのサンドイッチとオーソドックスな(ゆで卵とマヨネーズを混ぜた)タマゴサンド。それからカツサンドにハムサンド、からしマヨがアクセントなシャキシャキレタスとハムチーズサンド。

 それにフルーツサンド(いちご、みかん、パイナップル)三種もプラス。

 

 ――ちと多かったか? いや、高校生だし…………余ったらオレの昼メシにすればいっかー。そーしよ、そーしよ。

 

 あとは――玉葱、パプリカ(赤、黄)、アボカド、人参と、蒸したさつまいもを賽の目切り。蒸したカボチャは他より少し大きめに。ブロッコリー(これも蒸してる)は一口大に切り分け、ミニトマトとレタスとキャベツは食べやすい大きさに切って、ふた付きの容器に詰める。

 切るのは少々手間だが、これなら野菜を沢山摂ることが出来る。

 うん。これがなかったら野菜がレタスとキャベツだけという悲惨なことに……

 ドレッシングは食べる前にかけるから別の容器に数種類用意。“好みは人それぞれ”だからな~

 因みに()は“フレンチドレッシング(白)”が好きでした。

 

 個別包装にしたサンドイッチ、サラダが入った容器、コーヒーとコーンスープは専用の保温ボトルに。それらと、食器とスプーンを大きめのバッグに――

 

 バンッ!

 

 予期せぬ大きな音に思わず肩が跳ねる。

 

「……なんだ?」

 

 音がした方に何があったかを考える。

 確か、あっちは……昨日泊まっていった三雲達三人に宇佐美と迅がボーダー隊員のポジションの説明をしてる応接間があったハズ……

 

 差し入れを詰め始めた時、小南がやってきて戸棚を開けて見るなり「……ないッ!」と、こちらが声をかける間もなく出ていったが……あっちに突撃したのか?

 

 トリガーを起動し、差し入れを詰めたバッグを持って行ってみると、レイジと京介の二人が丁度、件の部屋の前にくるところだった。

 

 

「お疲れ様です」

 

烏丸(からすま) 京介(きょうすけ)

 『玉狛第一』所属の万能手(オールラウンダー)

 元々は本部に所属していたが一年ほど前に玉狛に転属してきた。

 黒髪がもさもさしているが、イケメンなため学校や本部に女子ファンが多いらしい。

 

「おう、お疲れ~」

「ずいぶんと大荷物だな」

「あぁ、朝から頑張ってるヤツらがいたんでな――差し入れだ」

 

 京介に声をかけられたんでバッグを持たない左手を上げ応じる。

 レイジからは呆れたような声をかけられた。解せぬ。

 

「何、作ったんです?」

「食べやすいようにサンドイッチ。それとサラダ」

「……」

 

 作った物を聞かれ答えたら期待するかのような目でじっと見られる。男前が無表情でじっと見てくるとか……怖いぞ、京介。

 無表情なのに目をキラキラさせてるとか、“目は口ほどに物を言う”とはいうが……

 

「――厚焼き玉子とカツが残ってるから……後でサンドイッチ、食うか?」

「「是非」」

「お、おう……」

 

 玉子焼きとカツを作りすぎたから昼前の間食にしようと思っていたんだ。空閑がメチャクソ食うから。だから食うか訊ねたらレイジと京介、二人が声を揃えて「是」と。

 え、レイジも……?

 これ……追加、必要じゃね?

 

 

「あたしは! 今! 食べたいのっ!!」

 

 和気藹々? とした空気に小南の声が水を差す。三人が顔を見合せ……

 そうだった。突撃した小南のこと忘れてた。

 三人揃って応接間に入る。

 

「なんだ、なんだ……騒々しいな、小南」

「いつもどおりじゃないすか?」

「どら焼きなら昨日、“いいとこのやつ”買ってきたからあるぞ?」

「……えっ、あるの?!」

 

 宇佐美の頬をぐに~と引っ張って八つ当たりをしていた小南は、手をそのままにオレの方をみた。

 あまり力を入れていないんだろうが宇佐美の頬を離してやれ……

 

「あたた~……そう言えばそうだった。鈴風さんが昨日 買ってきてくれたんだよね~」

 

 小南の手から逃れた宇佐美は自身の頬を擦る。

 

「……うそ」

「ホント、ホント。丁度、お前がみてた戸棚の下に……」

「うぅ……気付かなかったぁ……」

 

 衝撃の真実? に、八つ当たりをやめた小南はしょんぼりする。

 ……そんなに食いたかったか……

 

 

「それで……そこの3人、迅さんが言ってた新人すか?」

「新人!? あたし、そんな話聞いてないわよ!?」

 

 京介のセリフにガバッと顔をあげ怒りだす。

 浮き沈みの激しい奴だなぁ、小南は……

 

「なんでウチに新人なんか来るわけ?! 迅!!」

 

「まだ言ってなかったけど実は――――この3人、俺の弟と妹なんだ」

 

「!?」

「…………」

「「?」」

 

 新人――三雲達が玉狛所属になるのは初耳だと迅に詰め寄る小南に、迅は『三雲達は自分の兄弟である』と突拍子もないことを言い出した。

 思わず無言になるのは仕方がないよな?

 突拍子がないし、どっからどう見ても4人が兄妹には見えない。

 レイジと京介は『何を言い出すんだ、コイツ……』と言わんばかりのジト目で迅をみた。多分オレもジト目で見ていると思う。

 三雲も驚いてるぞ?

 

「えっ、そうなの? 迅に兄弟なんかいたんだ……」

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 マジかー 信じちゃうかぁー

 

「とりまる、あんた知ってた!?」

「もちろんですよ。小南先輩……知らなかったんですか?」

 

 京介ェ……迅の嘘にノっかるなよ――真顔だから信じちゃうだろ。

 

「言われてみれば、迅に似てるような……」

 

 空閑の顔をジッと見る小南。三人の中だと空閑が似てる、のか……?

 空閑がニチャと口角をあげる。

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 毎度、京介の嘘に騙されてるのに京介の言葉を信じちゃう小南は純粋すぎやしないか?

 小南の将来が不安すぎる……

 

「ランサーも知ってたの?」

「――まず、ジンの家族構成を知らんのだが?」

「あ、そっか……」

 

 だからと言って、どっからどう見ても兄弟には見えねぇだろ……

 つか、殆どの人の家族なんて知らねーよ? 強いて言うなら“京介には弟妹が多い”ってことぐらいなら知っている。たまにチビッ子どもの相手をしてるからな。

 

「レイジさんも知ってたの?」

 

 オレの答えに納得した小南は、レイジにも訊ねる。

 

「あぁ……よーく知ってるよ――――迅が“一人っ子”だってことを」

 

「…………ぅえ?」

 

 長い無言の末、小南の口から変な声が出た。

 無言が続いたのは理解が追いつかなかったからなんだろう。“迅に兄弟がいる”と思っていたのに、レイジに“一人っ子だ”と言われたら『どう言うことだ?』と なるのも仕方がない。

 

「この“すぐダマされちゃう子”が、小南桐絵

17歳」

「だましたの!?」

「いやー まさか信じるとは……さすが小南! はっはっは」

 

 宇佐美が小南を示しながら三雲達に紹介する。そして小南には騙されていたことを暴露。

 笑い事じゃないぞ、迅。信じる方も、信じる方だが。

 

「こっちの“もさもさした男前”が、烏丸京介

16歳」

「もさもさした男前です、よろしく」

 

 無表情のまま、右手を上げて三雲達に挨拶をする京介。

 

「こっちの“落ち着いた筋肉”が、木崎レイジ

21歳」

「落ち着いた筋肉……? それって人間か?」

 

 落ち着いた筋肉……どう言う紹介の仕方だ? レイジも困惑するわ。

 

「それで、こっちが――――あ、鈴風さんは本部の人だった!」

「本部の人です」

 

 オレも左手を上げる。自己紹介は昨日したし。

 

 

「ンじゃまぁ、ちょっと出てくるわ――

昼前には戻る!」

 

 『面倒に巻き込まれる』とオレの副作用(サイドエフェクト)……じゃなくて、直感が告げるので迅が本題に入る(巻き込まれる)前に退散~

 

 

 

『いってらっしゃい』

 

 後ろから何人かに声をかけられた。

 

 

 

当たり前のようにかけられる

 

『いってきます』『いってらっしゃい』

『ただいま』『おかえり』

 

少し前は そんな言葉をかけることも、かけられることもなかったのに――

 

 

()は当たり前だったのに――)

 

 

不思議な感じだ……

 

 

 

「……いってきま~す」

 

 背中にかけられた言葉に応えて玉狛を出る。 

 

 

 

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 屋根から屋根に()んで、玉狛支部を監視するのに丁度いい建物の屋上に到達。もちろん静~かに着地する。

 

「米屋先輩、真面目にやってくださいよ」

「つってもよ~……白チビ近界民、玉狛から出てこねーじゃん。どーせ出てくるの夕方だぜ? ……きっとぉ」

 

 屋上では三輪隊の古寺が玉狛から視線を外し、隣で目を閉じ横になっている陽介に苦言を呈していた。

 陽介は……やる気なし。体を動かすのが好きだからなぁ……戦闘狂(バトルジャンキー)め。

 

「あー……もしかしたら今日もお泊まりかもしんねぇなぁ……アイツら」

 

「へぇ、そうなんですねぇ……って! うわっ! 鈴風さん?!」

「え、なんで!?」

 

 オレの登場に驚く二人。陽介は跳ね起きた。

 

「お疲れさーん――差し入れ、持ってきたぞー たーんと食え~」

 

 バッグワームを解除し、バッグを持ち上げてみせた。

 

「あざーっす! ――じゃなくて!! いつの間に!? つか、なんでオレらの居る場所、わかったの?!」

 

「バッグワームって便利だよな~ 視認されない限り、レーダーに映らないし……

場所が判ったのは――偶々だ、偶々。偶々 視界に入った」

 

 二人の視界に入らないように玉狛を出てバッグワームを展開し、レーダーに映らないようにした。

 自分達のいる方に玉狛から近づいてくるのがいると警戒するだろうからな。あと、サプラーイズ!

 

 トリオン体は生身の倍以上の身体能力になる。生身でも驚く視力に、トリオン体だともっと良くなる、という……ビックリだね~

――見かけた時は()()だったけど。

 バッグワームは戦闘体(トリオン体)の“目眩(めくら)まし”であって、生身には効かない。

 オレ(生身)の視界に入っちゃったのは運がなかった。

 

「偶々……」

「そんなんで見つかるのか……」

「あー……なんか、スマン?」

 

 意気消沈気味の二人には申し訳ない。

 生身時に見つけたことは内緒にしーとこ~っと。

 

 

「おっ! カツサンド!」

「色々あるぞ~――だがヨースケ、お前はまず野菜を食え」

「えー」

「シュージが言ってた……『陽介は野菜を食わない』と」

 

 バッグ内を物色し、カツサンドを発見した陽介の手からカツサンドを奪い、野菜の入った容器とスプーン、ドレッシング数種を持たせる。

 

 「どうすれば野菜を食べるようになると思います? 陽介の母親も困ってて……」って秀次に愚痴られてたんだよな~

 

《それと――陽介くんは章平くんが食べた後よ?》

「蓮さん……?」

 

 野菜を目にし『うげっ』と顔をしかめていた陽介は月見からの通信に顔を上げ、首を傾げた。

 

《章平くんは真面目に玉狛を監視して(任務をこなして)いたの。当然、先に休憩を取る権利があるわ》

 

「――と、言 う ワ ケ で。コデラ……好きなの お食べ」

「あ、ありがとうございます……」

「ちぇー……」

「自業自得だな」

 

 月見の一言で休憩に入る順番が決まった。

 古寺にカツ、タマゴ、ハム、LHC(レタスとハムチーズ)を渡す。

 

「カツ! カツ残しとけよ!?」

「……全部、食べられるわけないじゃないですか……」

 

 陽介が勢いよく、古寺に念押しする。どんだけだ。

 

《鈴風さん……暫くそこに居てもらえるかしら?》

 

 二人のやり取りを呆れて見ていると、月見から内部通信が入った。

 

「ん? あぁ……別に構やしないが――11時前には戻るぞ? 午後から防衛任務だし」

 

 昼メシ作るし……――陽介の監視か?

 

《問題ないわ。よろしくね?》

「スズカゼ、了解(りょうか~い)

 

 

◇◆◇

 

 

「そー言や……鈴風さん。昨日、二宮隊と模擬戦した(バトった)って――マジ?」

 

 結局、陽介も食いだして……。

 二人がサンドイッチを(しょく)している間、代わりに玉狛をみてると昨日のことを聞かれた。

 因みに。支部から出て行ったのはレイジだけだった。……防衛任務だったっけか?

 

「えっ、そうなんですか? おれは『東隊と模擬戦してた』って聞いたんですけど……」

「マジで!? そっちはそっちで見たかったー!」

 

 なにやら昨日のことが噂になっているようだ。

 

「つか、誰から聞いたんだよ」

「おれは小荒井たちからです。『瞬殺だった……けど、東さん凄かったッ!!』って」

 

 ホント、東のこと好きだなぁ……小荒井達は。

 確かに東は凄かった。アレ、トラウマなるわ(ゼロ距離アイビス)

 

「うわー……それ、すっげぇ気になるぅ……――オレはラウンジで噂聞いた」

「あー……うん、まぁ……アレ観てた奴も多かっただろうからなぁ……」

 

 ごちゃ混ぜになって()()()()()()()()()って噂になってもおかしくはない、多分……

 

「アズマ隊()()バトったが、ニノミヤ()とはバトってないな――隊員、個人個人とはバトったが」

 

 

『二宮隊』

 射手(シューター)ランク1位、個人総合2位の二宮(にのみや) 匡貴(まさたか)が隊長のB級1位部隊。

 『射手』『銃手(ガンナー)』『攻撃手(アタッカー)』で構成されていて、二宮がエースで点取り屋だ。

 数ヶ月前までは二宮隊もA級部隊だったが、狙撃手(スナイパー)が一般人にトリガーを流したこと、共に近界(ネイバーフッド)に密航したことが原因で降格処分をくらった。

 因みに、二宮は元A級1位『東隊』の隊員で東の弟子(戦術)。東が隊を作った時に紹介された。

 

 二宮の絨毯爆撃(時々、誘導or追尾弾)(バ火力 全 開 攻撃)は非常に()けるのが大変である……避けるけどッッッ!

 今回は普段のトリガーじゃなかったから被弾した。早さが()りなのに、脚に被弾は痛かった。

 

 因みに。(アタッカー)犬飼(ガンナー)二宮(ラスボス)の順で対戦。

 辻と犬飼の間に別の隊の攻撃手を三人、二宮の後には銃手を二人相手にした。

 しかし、どこから話が回ったんだ? ここぞ! とばかりにわいて出て来やがって……

 

「マジかー。ログあっかなぁ……」

 

 二宮隊辺りは録ってそうだが……

 

 

 

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 きっちり約束通り11時前に陽介達のもとを去り、玉狛に戻ってきた。

 持っていったサンドイッチたちを三輪隊で美味しくいただいてくれるらしい。月見が「フルーツサンドは全種類、必ず持って帰ってくるように」って念押ししてたなぁ……

 

 トリガーを解除し、昼食の準備をする――の前に、京介達との約束のサンドイッチを作らねば……! 防衛任務に行っているレイジの分は新たに後で作ろう。

 

「ランサー――もどってきていたのか」

 

 陽太郎が、てとてとと雷神丸と共にやってきた。

 

「おー……たでーま」

「なにをつくっているのだ?」

 

 早速だな。

 オレの手元を見るために陽太郎はカウンター前の椅子をよじ登ってきた。

 

「サンドイッチ」

「サンドイッチ……!」

 

 目をキラキラさせているところ申し訳ないが……

 

「食べたら お昼(メシ)……入らなくなるぞ?」

「むむ……」

「昼……オムライスって言ってなかったか?」

「オムライス……サンドイッチぃ……」

 

 サンドイッチに後ろ髪を引かれているようだ。

 

「……半分ずつにするかぁ……」

「! いいのか!」

「しゃーねぇなぁ……」

 

 良心の呵責に耐えかねてしまった。

 “甘やかすのは良くない”のは分かっているんだが……うぐぐ……。

 

 

 

甘やかし、しすぎですかね?

 

 

 

「ちょっと! なんで陽太郎にはサンドイッチがあるのよ!!」

「――リクエストだから?」

「おれも作ってもらったよ?」

「はぁ!? あたしにも作りなさいよ!!」

「えー」

 

(……俺も“作ってもらった”ってことは小南先輩には言わない方がよさそうだな)もきゅもきゅ

 

「“えー”じゃない! あたしも食べたいのッ!!」

 




 お、お、お、お久しぶりです! お待たせしましたーッ!! (待ってないって?)
 二ヶ月半? ぶりの投稿になってしまいました……ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
――の、わりに あまり話しは進んでいないという…………日常って、意外と難しいな!?

 まだ しばらく、ぐだぐだ します←

 次話は『12月18日』かな? 戦闘シーンは――ありません!←
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