あれから特にトラブルもなく順調に作業が進んでいき、ついに両足が完成した。
「ここまで出来たら一度動作チェックしよっか。この前みたいにうまく動かなかったりしたとき後で直すの大変だからね。ミスとかがあるなら今のうちに直しちゃお。ただし、あまり力をいれて動かすと部品が曲がったり、最悪折れちゃうかも。だからゆっくり動かなくなるまでね」
とりあえず膝を曲げてみた。うむ。問題なく曲がるようだ。しかし、90度までしか可動しない。ストライクは180度近くまで曲がったのに。
「なぁ春名、このジムはここまでしか膝曲がらないのか?ストライクはもっと曲がってたけど」
「あぁ、それはストライクが2重関節だったからよ」
「2重関節?なんじゃそりゃ」
「2重関節っていうのはね、可動する軸が1可動部位に2箇所あるもののことだよ。メリットとしては可動域が1重関節に比べて広くとれることだね。でもデメリットとして肘や膝が1重関節に比べて長くなるからデザインが全体的に細く見えちゃうことがあるかなー。逆に1重関節は可動域は90度くらいまでしかとれないけど、肘や膝が長くならないからデザイン的に安定して見えるよ。まぁキットによってそれぞれ違うからいろいろ作って見比べてみるといいよ」
「へー。みんな同じ関節とかじゃないんだな」
「まぁ技術は進歩するからね」
そんなことを話していると外は日も落ちて暗くなっていた。やはり学校がある平日はあまり時間とれないな。
「今日はもう暗いし終わりにしましょ」
「そうだな」
完成した足と残りのランナーを箱にしまい、道具を片付けてざっと掃除機をかける。机は足が折り畳めるので畳んで壁に立てかけておく。
「今日も晩飯食ってくか?」
「いいの?食べる食べる~♪長門のご飯おいしいよねー」
「まあいつも自分で作ってるからな。いつも親の帰り遅いし。今日は野菜炒めだぞ」
「わーい!!」
まぁ一人で飯食うより誰かと食う方が楽しいしな。一人分くらいは問題ない。
「「ごちそうさまでしたー。」」
「あーおいしかったー!」
「おそまつさまでした。」
「明日は土曜日だしジムの続きの時間たくさんとれるねー」
「あーすまん。明日は午前中は無理だ」
「えー、なんか予定あるの?」
「ふつーに部活」
「あー、じゃあ明日昼過ぎからでいい?」
「おう、いいぞ。明日は両親はなんか仕事の都合で県外行くって言ってたし」
「え?じゃ、じゃあ明日もワタシ達、二人っきりだね♥」
「何変なこと考えてんだよ。ほら、帰った帰った」
「む~、つまんない。じゃまた明日ね~」
そう言って彼女は消えた。