どうも。主人公に何かしらの闇を付けないと作品が書けない系作者のもう何も辛くないです。
この度、作品のお気に入り数が500件を突破しました。ありがとうございます。
いや、正直この作品の原作は18禁ですし、失礼ですけどあまり伸びないだろうな。まあお陰で思う存分自由に書けそうだけど、とか思ってました。
いやいや、想像以上に伸びてる。いってお気に入り300くらいが限界でしょとか考えてた二週間前の自分を殴りたい。
ごめんなさいゆずソフト様。貴方の事を嘗めてました。自分の周りにゆずソフトの事知ってる人いないし、このサイトにもそんなにいないんだろうなとか考えてましたすんませんっした。
とにかく何が言いたいかというと、たくさんの方に読んで貰えて嬉しいという事です。お蔭で毎回話を投稿する前にびくびくしてるんですが、それも嬉しい悲鳴ということで(笑)
て事で、今回も前回に引き続き重い話です。ギャグ要素なしです。うちの千尋君がいじいじぐだぐだダメ男っぷりを発揮してますが、暖かい目で見守ってやってください。
四季さんにバイトを辞めると宣言した翌日だが、俺は朝早くからステラに向かっていた。
辞めるとは言ったが、すぐに職場に行かずにバックレるのはさすがに失礼が過ぎる。それに四季さん以外にはその事を伝えていないし、とりあえず朝にいるであろう涼音さんや高嶺、ミカドと明月さんにも今まで世話になったとお礼を言わなくてはならない。
店の裏口から中に入り、バックルームで手を洗い、作業服に着替えてもう一度手を洗ってからキッチンに出る。
「おはよー」
「おはようございます」
高嶺はまだ来ておらず、キッチンにいたのは涼音さん一人だった。涼音さんは高嶺と同じアパートに住んでいて、たまに一緒に職場に来てたりするのだが、今日はその限りではなかったらしい。
「…ねぇ、何かあった?」
「はい?」
最初は普通に挨拶を交わしたのだが、何故か直後涼音さんの顔が怪訝なものに変わる。そして、俺にそう問い掛けてきた。
「別に何もない…事はないですけど、何故です?」
「いや。何となく怒ってるというか、いや、悲しんでるというか…?とにかく、いつもと様子が違う気がして」
何もない、と答えようとしたが、何もなかった訳ではなく。そういった嘘は涼音さんに通用しない気がしたから、正直に答える事にする。
勿論、詳細を語るつもりはないが。第一、人の魂が云々なんて語っても信じてくれる筈がない。
「そんな顔に出てますか?」
「んー…。いや、私もちょっと違和感を持っただけだし。多分千尋が何もないって答えてたら納得してたと思う」
訂正。嘘を吐いても通用してたっぽい。それなら正直に言うんじゃなかった。いや、結局涼音さんにもバイトを辞める旨の話はしなきゃいけないんだし、この際今言ってしまおうか。
「涼音さん。驚かないで聞いてください」
「ん?なに?」
「本当に…。いや、本当に涼音さん達には申し訳ないと思ってます」
「うん」
何か改めて言うとなると、滅茶苦茶心が痛むというか、言いづらい。もう決意は固いのに、何を言われても決意は変わりそうにないのに。
それだけ、俺はこの職場が、職場にいる人達が気に入っていたのだろう。
だからこそ、そんな人からの裏切りが許せなかった。
「バイトを辞めようと思ってます」
「ふーん─────は?」
芸術的なまでの見事な二度見だった。こんな綺麗な二度見を見るのは初めてだった。
目をまん丸くして、ポカンと口を開けて、涼音さんはわなわなと体を震わせた。
「はぁぁぁああああああああああ!!?は!?は!?何で!?」
「それはまあ、こっちの都合としか」
「あ、もしかして私に何か気に入らない所でもあった!?だったら言って!すぐに直すから!」
「そういう訳じゃないです。涼音さんに悪い所なんてありません」
「なら昂晴か!」
「高嶺も関係ありません。ていうか、自分以外で真っ先に疑われるのが高嶺なんですね」
ちょっと高嶺が可哀想、という哀れみの感情はとりあえず今は捨てて、混乱する涼音さんを落ち着かせる。
いや、ここまで取り乱すのか。たかだか一人バイトを辞める程度の事で。まあ確かにオープンして一月経たずに辞めるなんて、普通に驚くか。俺だって高嶺が辞めると言い出したら、ここまでではないにしろ多少驚くかもしれん。
「それじゃあ、どうして?」
「…」
「…分かった。聞かれたくないならもう聞かない。でも、決意は固いの?」
「…はい」
俺の様子を見て理由を言いたくない事を察した涼音さんが問い掛ける。もう、辞める意思は変わらないのか、と。
その問い掛けに頷いて答えると、涼音さんは少しの間俺の目を見つめてから、諦めたように苦笑いを浮かべて溜め息を吐いた。
「まあ、私には君の意思にどうこう言う権利はないしね。止めはしないよ。いや、本当は滅茶苦茶止めたいけど」
「すみません」
「でも、もし気が変わったらその時は歓迎するわ。だから、そうなっても遠慮なんかしないで戻ってきなさい」
「…ありがとうございます」
多分、涼音さんは納得しきれていない。お店がこれからという時に突然辞めると言われ、挙げ句の果てにその理由は言いたくないときた。我ながら何と勝手な振る舞いと思う。
それでも、涼音さんは止めようとはせず、それどころか出戻りを歓迎する気でさえいる。
何度でも言おう。俺は本当に恵まれている。こんなにも恵まれていて良いのかと思える程に。
「それで?四季さんやミカドさんには話したの?」
「…四季さんには伝えてあります。ミカドには、今日のバイトが終わってから話すつもりです」
「あー、いいよ。今の内に言ってきな。早い内に話しておいた方が良いでしょ」
「…それなら、お言葉に甘えて」
正直、バイトの事の他にもミカドには聞きたい事があった。涼音さんや
元々毎日俺も高嶺も朝早くから来てはいるが、俺としての朝の仕事の感想はどちらか一人いれば充分だという感じだった。涼音さんも、俺がいなくとも高嶺がいるなら大丈夫だと思っているのだろう。
それならば、その言葉に甘えさせて貰う。俺は涼音さんに向かって一礼してからフロアに向かう。この時間のミカドは、フロアで明月さんと一緒に掃除をしている頃だ。仕事をしている所で悪いが、少し話をさせて貰おう。
「ミカド」
「む。柳千尋。キッチンの仕事はどうした」
「少しお前に…、それに、明月さんにも聞いて貰いたい話がある」
「私にもですか?」
フロアに出てきた俺を見て目を丸くするミカドと明月さんに声を掛ける。二人はモップで床を拭く手を止める。
俺は二人に、バイトを辞めようと思っている旨を伝える。すると二人は驚いたように目を見開き、特に明月さんは目に見えて慌て出す。
「バイトを辞めるって…本気なんですか…?」
「あぁ」
「…理由を聞かせて貰おうか」
「その話をする前に、俺から一つ聞かせてほしい。四季さんの魂についてだ」
俺がバイトを辞めると話した時よりも大きく、二人は驚愕を露にした。しかしミカドはすぐに何かに納得したように冷静になり、目を瞑る。
「…気付いて当然か。貴様は、高嶺昂晴の魂の変化すら視認できていたのだから」
「その目で、ナツメさんの魂を見たんですね」
俺がミカドに聞きたかったのは、四季さんの魂についてだ。昨日の話を聞いてから、何故かずっと引っ掛かって仕方がなかった。すでに諦めてしまってはどうしようもない。他人がどうこうできる問題ではないというのに。
それでも俺は知りたかった。四季さんの魂について、もっと詳しく。
「場所を移そう。栞那は掃除を続けていろ」
「…はい」
明月さんが気遣わしげな目で俺を見る。何をそこまで心配されているのかは知らないが、先に歩き始めたミカドに続く。
キッチン横を通り抜け休憩室に、休憩室を挟んでフロアからは逆、店の裏口がある方から休憩室を出る。
「あ…」
「…」
そこには丁度、出勤してきた四季さんが立っていた。四季さんは俺の顔を見た途端に表情を悲しげに歪めて目を逸らす。
そんな四季さんに声を掛ける事なく横を素通りしていく。
「おい」
「ミカド、話をとっとと終わらせるぞ。さっき聞いた質問だけじゃなく、これからのシフトについても話したいんだ」
ミカドの呼び止める声を無視して、振り返る事なく足を進める。誰にも聞かれず話が出来る丁度良い場所は、あの屋根裏部屋だろう。多分、ミカドもそこに行こうとしていた筈だ。
道順を頭の中で思い出しながら歩き続ける。後ろから、ようやくミカドの足音が聞こえてくる。
休憩室の扉が開く音は、聞こえてこなかった。
Another View
もしかしたら、一日が過ぎたらあの話をする前の柳君に戻ってるかもしれない、なんて都合の良い事を考えていた。だって、あんな終わり方なんて嫌だったから。
たとえ遠くない未来、別れる事になったとしても、せめて笑顔を見て別れたかった。それだけで良かったのに。それさえも望めなくなってしまった。
私のせいで。
「─────」
目から流れそうになる涙を堪える。私に泣く資格なんてない。私なんかより、柳君の方がショックだったに違いないから。
先に裏切ったのは私なのだから。見限られて当然なのは私なのだから。
だから、泣いちゃダメ。泣いちゃダメ。
「ないちゃ、だめ…っ」
分かっているのに、脳裏に過る柳君との思い出がそうさせてくれない。
情けない私を叱咤してくれた柳君。いつも隣で一緒に帰ってくれた柳君。私と一緒にお酒を飲みに行ってくれた柳君。お店で皆と一緒に笑っている柳君。私を元気付けようと笑ってくれる柳君。
あぁ、私って、本当にバカだ。すぐ傍に居たのに。
これから先の未来を一緒に見てくれる人は、すぐ傍に居たのに。その人を私は裏切ってしまった。
「ごめん、なさい…!」
口から出てきた謝罪は、昨日の柳君に対しての謝罪とは全くの別物だった。
昨日、柳君は厳しい言葉を言いながらも手を差し伸べてくれた。その手を振り払ったのも私だ。
きっと、もう柳君は私に笑わない。二度と、私の隣にも居てくれない。
零れる涙を抑えられないまま立ち尽くしていると、裏口の扉が開く音がする。
「う~、あったか…。外寒すぎだろ、冬か。…もうすぐ冬だけど、って、四季さん?何してるの、そんなところで」
一人でボケて一人で突っ込むというかなり寒い一人漫才を呟きながら入ってきたのは高嶺君だ。
高嶺君はすぐに休憩室の前に立ち尽くす私に気付いて歩み寄ってくる。そして、私の顔を見てぎょっとした。
「し、四季さん?ど、どうして泣いてるの…?え?何か俺、嫌な事した?泣かせる様な事した!?」
「…違う。私が泣いてるのは、私のせい。私の自業自得だから、気にしないで…」
「いや、気にしないでって言われても…。と、とりあえず待ってて。だれか!だれかー!!」
高嶺君が大きな声で叫びながら休憩室へと飛び込んでいく。きっとあんな感じでキッチンに、フロアに入っていくんだろう。
もうすぐ高嶺君が明月さんか涼音さんか、或いは二人とも連れて戻ってくる。それまでに、少しでも落ち着きを取り戻さなければ。
私は目尻に溜まった涙を拭いて、顔を洗うべく休憩室の中へと入った。
屋根裏部屋へときた俺とミカド。俺は近くにあった椅子に腰を下ろし、ミカドは元の猫の姿に戻ってベッドの上に立って俺を見上げた。
「それで。四季ナツメの魂についてだったな」
「あぁ」
「…まず、貴様に見て貰いたいものがある」
ミカドはそう言うとベッドから降りて、部屋の隅に置かれた小さな棚からランタンの様なものを取り、こちらに持ってくる。その中には、青く煌めく蝶が飛んでいた。しかし、その蝶の羽ばたきは今まで見てきた蝶と比べて弱々しく、今にも力尽きてしまいそうな印象を受ける。
「これは?」
「四季ナツメから零れた魂の一部だ」
本来現世に零れた魂である蝶は神の下に送らなければならない。それはミカド自身が説明した事だ。しかしこの蝶はそれをせず、何故か保管されている。その理由は今、ミカドの口から話された通り。
なるほど、まだ生きている人間の魂を神の下には送れない。
「それなら、その魂を四季さんに返せば問題は解決するんじゃないのか」
だが、疑問は残る。四季さんから零れた魂の一部がそこにあるのなら、何故本人に返さないのか。魂が一つに戻れば問題は解決しそうなものだが。
無論、俺も分かってはいる。ミカドがそうしないという事は、そう簡単な問題ではないんだろう。今すぐに魂を一つにしても、どうにもならない理由があるのだろう。
「貴様とて気付いているだろう。蝶の羽ばたきが弱いことに」
「…」
「この状態で魂を返しても逆効果だ。魂が更に弱くなるだけ。だから、吾輩は四季ナツメの魂に輝きが戻るのを待っていた。…これでも、以前よりマシになっていたんだぞ。羽ばたきすらしていなかったのだからな」
四季さんの問題を根本から解決するには、四季さんの魂に光を戻さなければならない。分かりやすく言えば、この蝶の羽ばたきがもっと強くなった時こそ、四季さんに魂の一部を返すべきタイミングという事か。
「しかし、昨日の事だ。突然、蝶の羽ばたきが弱くなった。…昨日、四季ナツメが貴様と共に帰路に着いてからだ」
「…」
ミカドの鋭い視線が俺を射抜く。俺はその視線から目を逸らす事なく、正面から受け止める。
「柳千尋。貴様、四季ナツメに何をした。触り程度は吾輩でも予想できる。恐らく、バイトを辞めると、昨日の段階から四季ナツメに話したな」
「さすが。よく分かったな」
「だがその理由は何だ。貴様はバイトを辞めたいと思う理由を四季ナツメに突き付けた。それが、四季ナツメにとって大きなショックを与えた」
「…」
「もう一度聞くぞ、柳千尋。貴様は四季ナツメに、何を言った」
もう、こいつは探偵か何かにでもなれば良いと思う。鋭すぎる。いや、確かにバイト辞める云々については俺の話すタイミングと四季さんの魂が弱ったタイミングが合致した所から予測できなくはないが、そこから俺がバイトを辞める理由を話した事まで突き止めるとか。
いや、それも予想できなくはない、のか?いやでも少なくとも俺には出来る気がしない。だってそこまで鋭くないし。
…さて、もうミカドに誤魔化しは通用しないだろう。俺を見る鋭い目…いや、猫の目だから普通に可愛いわ。これがあの人間の姿だったらちょっと怖かっただろうけど。猫だからそこまで怖くないわ。
とにかく、俺はミカドに昨日の帰路にてした四季さんとの会話について話す。話が続くごとにミカドの目は見開いていき、そして、俺は最後に四季さんを置いて家に帰ったところまで話し終えた時。
「バカな…。貴様、四季ナツメを見捨てる気か…?」
「見捨てる、とは心外だな。まあ、結果的にはそう見えなくもないか…。でも、それを望んだのは四季さんだ」
「ふざけるな!四季ナツメはそんな事など望んでいない!」
つい驚いてしまう。ミカドが声を荒げる所など、初めて見たから。
「俺だって説得は試みた。でも、拒否したのは四季さんだ」
「説得だと?違う。貴様は感情のままに八つ当たりをしただけだ。貴様が怒る気持ちは分からないでもない。だが、あんなものは説得とは呼ばん」
「…」
八つ当たりと言われ、何故か心が痛む。違う、という否定の言葉が出てこない。
それは、頭の片隅でそうだと理解しているからなのか。
「貴様とて気付いている筈だ。四季ナツメは、貴様に心を許している事に」
「そんなの、この店にいる全員に対してもそうだろ」
「貴様に対しては特別だと言っているんだ」
俺の返答に対して即座に封殺するように更に返事を返すミカド。
「貴様と四季ナツメの間に何があったのか吾輩は知らない。だがな、四季ナツメは貴様と出会ってから笑顔が増えた。生きる活力を取り戻し始めていた」
「…」
ミカドの視線を受け止めていた目が下を向く。ミカドの姿は見えなくなる。それでも、ミカドの声は容赦なく俺に降り注いだ。
「だったら、俺はどうすればいい」
「なに?」
「俺に四季さんを救えっていうのか」
「…」
「そんな事、出来やしない。俺にそんな力なんてない」
「違う。貴様はいつも通り、四季ナツメの傍にいればそれで良かった。それで、四季ナツメの魂に力は戻っていた筈だった」
「間違っているぞミカド。とっくに全てを諦めてしまった人間を、それだけで救える筈がない」
ミカドは俺に、四季さんを救えと言いたいらしい。それも、ただ四季さんの傍にいれば良かったなんて言い出す始末。
違う。それは違う。そんな程度で救えるのなら苦労はない。
四季さんと直接話したから分かる。
「諦めるっていうのは、もう四季さんの中で当たり前として定着しているんだ。…多分、それはお前の方が分かっている筈だぞミカド。俺よりも先に、そして俺よりも詳しく四季さんの過去を聞いているんだろう?」
「…」
今度はミカドが黙り込む番だった。数秒待ち、ミカドが何も返す言葉を持たない事を確かめてから、俺は続ける。
「その人に染み付いた当たり前は抜けない。本人が心から変えようと思わない限り。だけど、四季さんはそれすら諦めている。諦める事が自分にとっての当たり前だから」
「…だが、貴様なら」
「俺ならそれを変えられると?前にも言った筈だ。俺は、
ミカドは俺の何にそこまで期待しているのか知らないが、所詮俺は他人よりも見えるものが多いだけの人間だ。それも見えたからといって何かが出来る訳でもない。ただ、見えるだけ。それで終わり。
「俺には、何も出来ない。何も変えられない」
「…柳千尋。貴様は─────」
いけない、少し喋りすぎたかもしれない。さすがに詳細を悟られはしないだろうが、俺の目について何かあったという所までは見抜かれたかもしれない。
追求される前に退散する事にする。
「聞きたい事は聞いた。シフトについては、閉店してからまた来る」
「なっ、おい。今日のシフトは」
「休む」
ミカドはそれ以上何も言ってこなかった。自分勝手とは分かっているが、あんな話をした後に仕事をする気分にはどうしてもなれない。勿論、気分でなくとも仕事はしなくてはならないのだが…。どのみち俺はこの店を去るんだ。いつまでも毎日毎日ここにはいられないし、今の内から俺の手がない状態に馴れる事も必要だろう。
なんて、そんな事は言い訳なのは分かっている。分かっているが、どうしてもこの店にいたくなかった。この店にいたら、脳裏に今までの事が過って。まるで、自分が何もかも間違っているように思えてしまう。
ここにいたらおかしくなりそうで、一秒でも早く離れてしまいたい。休憩室に入り、さっさと作業服から私服に着替えてしまう。
「─────」
さっき俺が入ってきた方とは逆の扉。つまり、キッチンとフロアに繋がる扉から、話し声が聞こえてくる。声は込もって内容までは聞き取れないが、これは涼音さんの声だろうか。高嶺と何か話しているのだろう。
昨日までは、その中に俺もいた。これからは少しずつその回数は減っていき、やがてそんな時間はなくなる。
休憩室とキッチンを隔てる扉は、まるでこれからの俺と彼等の関係を暗示しているようだった。そして、これから実際にその通りになるのだろう。
俺は視線を扉から切り、裏口の方の扉から休憩室を出るのだった。
間違ってんだよ、おまえだけって訳じゃなくて二人とも間違ってんだよって書きながら内心叫んでます
でもこういうすれ違い大好きです(ゲス笑)