喫茶ステラと死神の蝶と見える人   作:もう何も辛くない

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|ω・)オソクナッテゴメンネ

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第六十三話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?何か弁明はある?」

 

「いや、弁明って…。俺別に悪いことしてない…」

 

「は?」

 

「あ、すいません何でもないです」

 

 正座して縮こまる俺。俺の目の前には腕組みしながら俺を見下ろすナツメ。

 その目は冷え切っており、俺を蔑む気持ちを全く隠そうとしていない。

 

 そんな俺達二人を苦笑いしながら眺めているのは、木作りの椅子に並んで座る高嶺と明月さん。

 

 こんな事になった経緯を説明するには、時間を少し遡らないといけない─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 年が明けた最初の日。昨日の疲れのせいか、その言葉の通り半日の間眠り続けた俺は、起きてすぐ身支度を済ませてからステラへと車で向かった。

 勿論、仕事のためではない。まだ年末年始の休業中の店に何故向かうのかというと、端的に言えば話をするためだ。

 

 そうしてステラに集まったのは俺と高嶺と明月さんとミカドの四人。

 このメンツを見れば分かるだろう。俺達が話そうとしている内容は昨日の事について。

 俺は俺が気になっている事を明月さんに聞くために。高嶺とミカドは何故明月さんが再び現世に戻ってこれたのかを聞くために。そして、明月さんは昨日の事の全容を聞くためにこの場に集まった。

 

 まず、話し始めたのはミカド。明月さんに昨日の事について簡潔かつ分かりやすく説明した。

 その途中、呆れたように高嶺を見たかと思えば、俺が朔夜さんに楯突いた話を聞くと打って変わって仰天。

 ころころと忙しなく表情を変えながらミカドの話に耳を傾けていた。

 

 明月さんが昨日起きていた事を理解してからがいよいよ本題の一つに話は入る。

 

「それでは、次に質問するのはこちらの番だ。単刀直入に栞那。何故お前はここにいる。それも死神の力を失くし、人間として戻ってこれたのだ」

 

 そう、俺達が驚かされたのは明月さんが現世に戻ってこれた事だけではなかった。ミカドは勿論、俺もこの瞳で確認した。

 今の明月さんは、死神の力を失くしている。彼女の魂は以前、一度消える前よりもハッキリと輝いている。

 その輝きは、俺達人間─────生を宿す者達と同じものだった。

 

「…すみません。それに関しては、私も正直、分からないんです」

 

 明月さんはそう前置きしてから、不思議な体験を語った。

 高嶺の前で消え、どれだけ時が経ったのか分からないまま、ふと意識が戻るとそこは何も見えない闇の中。

 そこで聞こえてきた誰かにされた質問。それに答えると、気付けば彼女はあの屋根裏部屋にいて、そして高嶺とミカドと再会したという。

 

 初め、二人の顔を見た時は二人が誰か分からなかったという。というより、現世に戻ってきた直後は高嶺とミカドは勿論、俺の事も、明月栞那として生きてきた記憶全てを失っていたと明月さんは言う。

 しかし、高嶺とミカド─────正確には高嶺と顔を会わせた途端、全てを思い出したという。

 

 そして記憶を取り戻すと同時に溢れる気持ちを抑えきれないまま、明月さんは生まれたままの姿で高嶺と熱い抱擁を─────

 

「実際その通りなんですが、改めて口に出して語るのはやめてください!恥ずかしいです!」

 

 怒られた。まあ、当然と言えば当然だが。

 

「…ミカド。栞那は大丈夫なんだよな?」

 

 明月さんの話を聞き終えてから、高嶺がそう切り出す。

 

 もう二度と会えないと思っていた愛する女性と、また巡り会えた奇蹟。だからこそ、高嶺は不安で仕方がないのだろう。

 今、目の前の彼女は本当にそこに存在しているのか。事実存在していたとして、その命は確かな生を紡いでいけるのか。

 

 自身が感じるこの喜びは、ぬか喜びに終わってしまうのではないか。

 

「栞那の魂は確かにそこに在る。死神としてではなく、人間として。お前と共に、同じ時間を歩めると私が保証する」

 

「…本当に?」

 

「本当だ」

 

 瞳を揺らしながら、高嶺がゆっくりと明月さんの方へ振り向く。そんな高嶺を、明月さんは微笑みながら真っ直ぐに見つめていた。

 

 あ、これあれだ。二人の世界に入り込んでるやつだ。俺も経験あるから分かる。

 俺も聞きたい事あるんだけどな。でも空気を読んでここは二人が満足するまで待ってやった方がいいんだろうか?

 

「おい、まだ話は終わってないぞ」

 

 なお、空気が読めない猫貴族が約一匹ここにいた。

 ミカドの一言で、見つめ合っていた二人はすぐさま我に返って頬を軽く染め照れながら俺の方へ向いた。

 

「ご、ごめん。柳も聞きたい事あったんだよな」

 

「それでは柳さん、質問をどうぞ」

 

「…」

 

 凄く微妙な空気の中でそんな風に改まられると物凄く切り出しづらい。別に俺が悪い訳じゃないのに謝罪が口から出そうになってしまう。

 いや、何で俺がこんな微妙な気持ちにならないといけないんだ。

 

「ごほん。…じゃあ、俺の聞きたい事だけど─────」

 

 とにかく、経緯はどうあれ俺が質問する番になったのだから口を開く。

 気持ちを切り替えて明月さんの方へ向き直り、俺の疑問をぶつける事にする。

 

「明月さんが消えた、その本当の理由を教えて欲しい」

 

 そう口にした直後、明月さんとミカドの表情が一瞬固まったのを見逃さなかった。

 

「本当の理由?」

 

 一方、高嶺は俺の問いかけの意味を分かりかね首を傾げている。

 高嶺は俺の方を向き、更に続けた。

 

「どういう事だよ、柳」

 

「…俺は、明月さんが消えた理由は、俺にあるんじゃないかと思ってる」

 

 俺の質問の意味を聞いてくる高嶺に、少し空白を空けてから答える。

 俺の中に確信はない。だからこそ明月さんに真実を聞きたいと思っている。

 

 頭の中で整理をしてから、俺がこの疑問を抱くに至った経緯を語る。

 

 昨日、夢を見た事。その夢に明月さんとミカド、そして高嶺の前世が出てきたこと。

 明月さんとミカドが高嶺の魂の輪廻を見守り続けた末に、今世にて高嶺が奇蹟を起こしてしまい、どうにか魂を刈らずに済む方法を探っていたこと。

 

「魂の力を削ぎ、それによって失われた生きる力を明月さんが自らの力を高嶺に注いで補う─────だよな」

 

「…」

 

 明月さんもミカドも何も言わない。目を見開き、驚きを露にしながら沈黙している。

 

「柳も…、見てたのか?」

 

「も、って…。もしかして、お前も?」

 

「あ、あぁ。俺は栞那の魂の一部が寄り添っていた影響で夢を見たんだろうってミカドは言ってたけど…」

 

 高嶺も俺と同じ夢を見ていたらしい。そしてその事をすでに明月さんとミカドには語っているようだ。

 不思議なその夢を見た理由も判明しているらしいが、俺まで同じ夢を見たのは一体何故なのだろう。

 

「…恐らくだが、高嶺昂晴が起こした奇蹟の影響だろう」

 

 そこでようやく、久しぶりにミカドが口を開いた。

 その声が俺の視線を引き寄せる。

 

「奇蹟を起こした際に溢れたエネルギーに柳千尋の瞳が反応した。そして、柳千尋もまた同じ夢を見た。…というのが、一番考えられる可能性だ」

 

 ミカドが提示した説も確証はなく、単なる予想に過ぎない。しかし、理に叶っている様に思えた。

 

 昨日、朔夜さんの治療が終わった後に少しミカド達と話す時間があったのだが、そこで俺は再び高嶺が奇蹟を起こした事について詳しく聞いた。

 明月さんとミカドを巻き込んで、共に過去へと遡ったという奇蹟。そこで高嶺は再会し、言葉を交わしてこの先を生きる決意と共に現在へと戻ってきた。

 

 近くにいた他人までをも巻き込む巨大な奇蹟の影響を瞳が感じ取ったという説は、決して矛盾している様には聞こえなかった。

 

「それで。その夢と貴様の疑問とどう繋がる」

 

「俺が引っ掛かったのは、明月さんが高嶺の欠けた魂を補うって言った所だ。…明月さん。君は、俺にも同じ事をしたんじゃないのか?」

 

「─────」

 

 ミカドの質問に答える形で投げ掛けた俺の問いかけに明月さんは答えない。

 

「俺が狐の化け物に襲われた時だ。あの時、俺は瞳の力を使ってあいつを撃退したけど…、その後に気を失った」

 

「…」

 

「その理由は─────俺の魂の力が弱くなったからなんじゃないか」

 

 黙り込んだまま明月さんも、ミカドも何も言わない。高嶺も固唾を飲んで二人を見つめている。

 

 沈黙が流れる中、最初にため息と共に口を開いたのはミカドだった。一度頭を振ってから俺を見上げる。

 

「お前の考え通りだ、柳千尋。栞那はお前を救うために限界以上にお前に力を分け与え、結果消滅が早まった」

 

「っ、ミカドさんっ!」

 

「もう隠しきれん。確証こそ持っていないが、こいつは確信している。それに、結論としてお前は消えずに済んだのだ。何を隠す必要がある」

 

「それは…そう、ですが…」

 

「…やっぱ、そうだったのか」

 

 ミカドが肯定し、それに対しての明月さんの反応。俺の考えは何一つ間違えてはいなかったらしい。

 やっぱり、明月さんが一度消えてしまったのは、俺のせいだったのだ。

 

「柳千尋。経緯はどうあれ栞那はこうしてここに生きている。お前が気に病む必要はどこにもない」

 

「…」

 

 ミカドはそう言ってくれるが、結果がどうなったとしても、俺が一度友人を殺したようなものなのは変わらない。

 ミカドの言う通り今そこに明月さんがいたとしても、それは何も変わらない。

 

「…柳さん」

 

 優しく明月さんに呼び掛けられ、気付けば俯いていた顔を上げる。

 声がする方に視線を向ければ、そこには俺に微笑みを向ける明月さんが。

 

「ありがとうございます」

 

「は?」

 

 かと思うと、いきなり頭を下げてお礼を言ってきたではないか。

 訳が分からず疑問符を浮かべる俺に、明月さんは続けた。

 

「貴方が私を消してくれたお陰で今、こうして私は昂晴さんと同じ時間を過ごせます」

 

「…」

 

 優しげな微笑みをそのままに、そう口にした明月さんに対して俺は─────

 

「…は?」

 

 更に戸惑いを強くした。

 

「何言ってんの…?いや、マジで何言ってんの…?」

 

 今、明月さんが言ったのは俺に殺してくれてありがとうと言っているようなものだ。

 どういう心積もりでお礼を言ってきたのか本当に訳が分からず混乱してしまう。

 

「だ、だってっ!もしあのまま私が消えずに死神として残っていたら、高嶺さんと同じ時間を共に出来なかったからっ!」

 

「─────」

 

 明月さんのその言葉で、ようやくさっきの訳が分からないお礼の意味が理解できた。

 

 あのまま消えないでいた場合、明月さんは死神として生き続ける事になっていた。だが、今の明月さんは人間である。高嶺と同じ人間なのだ。

 高嶺と一緒に歳をとっていく事が出来る。高嶺と一緒に老いていく事が出来る。死神のままだったなら、人間である高嶺に先立たれるのは確定事項だった。先立たれたままなおも生き続ける運命が定められていた。

 

 その運命は今、覆された。

 

「それは…結果論だろ」

 

「でも、結果良ければ全てよしと言いますよ?」

 

「それで片付けられる範疇を越えてるだろ」

 

「…柳さんは頑固ですね」

 

「明月さんがお人好しすぎるんだよ」

 

 ぷくっ、と頬を膨らませる明月さんと苦笑いを浮かべながら視線を交わす。

 

 困ったな、明月さんは俺の謝罪を受け取る気はないらしい。受け取りたくない程に怒っている訳ではなく、謝る必要がないと考えた上でのその結論。

 いやまあこうなるかもとは思っていたけど、せめて謝罪を受け取るくらいはしてほしかった。

 

「柳さんは何も悪くないです」

 

「…あぁもう、分かったよ。そういう事にする」

 

 もやもやと少しスッキリしない気分は残るが、気まずくなったり友人関係が破綻したりするよりは断然マシだと自身に言い聞かせる。

 

「はい。そういう事にしてください」

 

「…はぁ」

 

 にっこり笑いながらそう言う明月さんに遠慮なく溜め息を溢す。その際にふと視線の中に店の壁に掛けられた時計が入った。

 

「やべっ、そろそろ行かなきゃ」

 

「あぁ…、もうそんな時間か」

 

 立ち上がる俺から時計の方を見て、ミカドが言う。高嶺と明月さんも焦った様子の俺に初め不思議そうな顔をしていたが、ミカドと同じく時計を見て合点がいった表情になった。

 

「じゃあ、俺はナツメを迎えに行くから」

 

 今日、ナツメが実家からこっちに戻ってくる。昨日の段階で帰ってくる時間は聞いていたし、今日にはライムで予定の時刻通りに乗車したと連絡が来ていた。

 ステラに車で来たのはそれが理由で、そろそろ行かないとナツメが先に駅に着いてしまう。

 

 聞きたい話は全部聞けた。三人と挨拶を交わそうと、出口の方へ向けた体を振り返らせた時だった。

 

「柳さんっ、私もついていって良いですか?」

 

「…はい?」

 

 明月さんが椅子から立ち上がりながら俺にそう言ってきたのは。

 

「良いけど、何で?」

 

「にしし…。ナツメさんを驚かせようと思って」

 

「あー、そういう…」

 

 明月さんが戻ってきた事をまだナツメに報せていない。明月さん本人から報せる方が良いだろうと考えていたから。

 しかし、ナツメはそういうドッキリは好きじゃない方なんだが…いやでも、これくらいなら大丈夫か?発案したのは明月さんだし、最悪全部明月さんに擦り付ければ良いか。

 

「良いよ。でも急いでくれよ、ナツメが着いちまう」

 

「何か物凄く悪どい顔をしてた気がしますが…、ありがとうございます。それじゃあ、準備してきますね」

 

 そう言って明月さんはフロアを出て屋根裏部屋へと行き、それから数分と経たずに戻ってきた。

 そして俺と明月さん、その後に「俺も」と言ってきた高嶺と共に車に乗り込む。なお、ミカドは来なかった。何でもこの後、ご近所の野良猫達との約束があるという。

 何の約束かは知らないが…。

 

 車を走らせて駅へと向かう。明月さんを待った分少しギリギリだが、車通りは思っていたよりも少なくこれならナツメが着くまでに間に合いそうだ。

 その通りにナツメが乗る電車が駅に着く時刻の五分前に駅の駐車場に到着、エンジンを止めてから車を降りて駅の建物内へ。

 

 三人並んで改札前にて待つこと数分。次々出てくる人の集まりの中に、艶やかに流れる長い黒髪が見えた。

 彼女の前を歩く男の位置がずれ、ナツメの姿がようやく現れる。

 ナツメは切符を改札に通してこちら側に出てきた時、俺達の存在に気付く。最初は俺の顔を見て笑顔に、直後に隣に立っている二人の顔を見て目を丸くした。

 

「おかえり」

 

「ただいま…え、え?」

 

 驚き立ち止まってしまったナツメの所に歩み寄って声をかける。俺を見上げて返事を返したナツメはキョロキョロと俺と俺の背後に立つ二人─────というより明月さんを交互に見る。

 

 背後からくすくすと明月さんの笑う声が聞こえてきたかと思うと、すぐに明月さんが俺の隣に現れる。

 

「おかえりなさい、ナツメさん」

 

「あきづき、さん?」

 

「はい」

 

「…ほんもの?」

 

「勿論です。本物の明月栞那です」

 

 呆然とするナツメに明月さんは微笑みながら返す。

 

 目の前の光景が未だに信じられない様子のナツメは肩に掛けていたバッグを下ろすと、両手でペタペタと明月さんの両腕を触る。

 そこに明月さんがいると確かめた後、今度は自分の頬をつねる。結構力を入れてたのか、手が離れた箇所が赤くなっていた。

 

「…夢じゃない」

 

「はい」

 

「本当に、帰ってきたんだ…」

 

「はい。ただいまです、ナツメさん」

 

 ようやく明月さんがここに実在していると実感したらしい。呆然としていた表情がゆっくりと和らぎ、微笑みの形を描いていく。

 

「…おかえりなさい。明月さん」

 

 小さな雫を目の端に浮かべながらナツメがそう言うと、二人はどちらからともなく両手を広げて抱き締め合った。

 

 俺よりも先に出会い、俺よりも先に傍に寄り添っていた、ナツメにとっては親友ともいうべき存在。

 そんな彼女が帰ってきた事を喜ぶナツメを見ていると、釣られて俺まで笑顔になってしまう。

 

 なってしまうのだが、それはそれとしてここは駅の中である。ここにいるのは俺達だけではないのである。つまり、この二人の抱擁は不特定多数の人達に目撃されているのである。

 流石に止めねばと思い、ナツメの肩を叩いて我に返させる。

 

 すぐにここがどこなのかを思い出したナツメは明月さんから離れ、床に置いた鞄を持ち上げる。

 

 とりあえずまず、駅を出て車に戻る事にする。ナツメから荷物を預かって代わりに持って、建物から出て駐車場に停めていた車に乗り込む。

 高嶺と明月さんは後部座席に、ナツメは助手席に乗せて車を発進させる。

 

「ビックリした…。帰ってきたら、明月さんがいるんだもの…」

 

「私も今こうして生きてる事に驚いてますから。…これも、昂晴さんと柳さんのお陰です」

 

「─────何かあったの?」

 

 このナツメの質問が始まりだったのは言うまでもない。この質問に明月さんが答え、時折高嶺が補足をしながら昨日起きた事をナツメに説明する。

 

 明月さんとの再会を求めて再び高嶺が奇蹟を起こした事。そんな高嶺の魂を刈るために朔夜さんが現れた事。そして、朔夜さんを止めるために俺が戦った事。その末に、明月さんが帰ってきた事。

 

 この時、俺は運転に集中して前を向いていたから。高嶺と明月さんはどこか興奮気味に話をしていたから気付かなかった。

 

「何それ」

 

 ナツメの顔が少しずつ険しくなっていた。そして、その鋭い視線が俺の方に向いた時にはすでに遅かった。

 

「私、何も聞いてない」

 

 以降、話は冒頭へと繋がるのである─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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