ウツシカガミ   作:えんど

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第3話

(また・・・。この風景だ・・・。)

 

 

 

 

「海へ行こうよ!きょーすけ君!」

「ええ・・・何しに行くのさ・・・というか僕たち町から出ちゃいけないんだよ?」

 

「大丈夫だよきょーすけ君!ばれないように私がなんとかするから!」

そういってニッと笑った彼女を見て、ボクはなんとも言われぬ感情を抱いた。

そう。確かに、見覚えが、ある。

 

以前とは違う所から見ているからだろうか。

以前の男の子の目線とは違う。

 

俯瞰の風景。

いや、俯瞰とも違う。

二人の間に漂うような感覚。

 

 

「わかったよ・・・でも※※ちゃん、本当に平気なの?外は怖くないの?」

掠れて聞き取れない。

恐らく名前か何かを言ったんだろう。

 

「だいじょーぶだいじょーぶ。私にまっかせなさい!」

以前とは違う。

以前よりも鮮明に。

 

以前よりも二人の気持ちが伝わってくる。

 

 

「わかったよぉ・・・、じゃあ、見つからない内にいこう!」

リュックを背負う少年は覚悟を決めたように。

 

「れっつごーだよ!」

それを先導する彼女は嬉しそうに。

 

この街を出た。

 

ふと疑問が浮かんでは心にのしかかる。

 

ボクにはこんな思い出ないのに。

なぜボクと同じ名前なんだ?

なぜボクと同じ顔をしてるんだ?

 

ボクの記憶にはないのに。

なぜボクと同じ「高部鏡佑(たかべきょうすけ)」なんだ?

 

おかしい。

 

こんな夢はおかしい。

 

ボクはあの女の子を知らない。

電車なんて乗り物も知らない。

海も見たことがないんだ。

 

なんでボクは知っているんだ――?

 

 

 

「海に着いたら何がしたい?」

女の子は満面の笑みで問いかける。

 

「そうだなぁ、大っきな魚、見てみたいなぁ。」

男の子は答えた。

 

「そっかぁ、見れるといいね!魚!」

 

「そうだね!早く観てみたいなぁ・・・!」

 

男の子と女の子は和気あいあいと話をしている。

 

 

 

(おかしい・・・。何かが違う・・・。)

 

 

あの男の子は、なんで海を知っているんだ?

あの男の子は、なんで大きな魚がいることを知っているんだ?

 

 

まるで、ボクが聞いたことをそのまま知っているような。

 

 

(もしかして、これはボクなのか?それも、今のボク・・・?)

 

破綻した理論だけれど、それ以外に思いつかない。

年齢は違う。だけど知っている事は同じ。

名前も同じ。顔も同じ。

 

それ以外に、思いつかない。

 

 

じゃあ、この夢は何なんだ?

 

 

 

「着いたね、海!!」

 

電車を降り、一面に広がる碧を見渡して、二人は立ち尽くした。

「綺麗だぁ・・・・」

ぽろっと口から漏れた言葉。

物凄く大きく、雄大で、綺麗な大海原。

 

女の子はそこで前と同じ提案をする。

「海はもうすぐだし、どっちが早いかかけっこで決めようよ!!」

 

 

「負けないよー!」

ボクもそれに乗って。

そして、海へと走りだしたんだ。

 

ドクン。

ドクン。

 

何か音が聞こえた気がした。

 

ボクの叫び声のようにも聞こえる。

かけっこにでも負けちゃったのだろうか。

 

碧、蒼、青、朱、蒼。

 

綺麗な海の風景は、混じり物があっても尚、綺麗に満ち干きしていた。

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