第1話・波乱万丈な始まり
窓から外を田畑が、緑に包まれた山々が流れてゆく。
雷牙(田舎・・・)
流れてゆく景色をぼんやりと見つめながら、これまで住んでいた町と比較して思う。
雷牙(しかし、今日からここに住むとは・・・)
住み慣れた都会の町を離れ、今日からはこの田舎暮らしが始まる。
私と、兄そして、私達兄弟に仕える双子の執事、兄・海野我夢、そしてその弟・七海と、私、雷牙に仕える忍びの春野なでしこ、それと、雷牙の相棒のホワイトタイガーの白炎とその子供5匹となでしこの相棒のフクロモモンガの赤丸。計5人と6匹。
それまで外に向けていた視線を少しだけ手前に向ける。
視線の先には私の肩にもたれかかり、すーすーと寝息を立てている兄―日向の寝顔があった。
雷牙(寝ているみたいですね・・・・)
無理もない。
住んでいた町を離れ、4時間以上もリムジンに乗りぱっなしだったから。
それは兄に、仕える執事・七海も同じで、ぐっすり寝ていた。兄・我夢の肩にもたれかかり、すーすーと寝息を立てている弟―七海の寝顔もあった。
日向「ら・・・・い・・・・が・・・」
七海「ひゅ・・・う・・・が・・・さ・・・ま・・・」
日向が寝言を言う同時に、七海も寝言を言う。
雷牙「ここにいますよ、兄さん」
なでしこ「日向様なら、ちゃんといるすよ、七海さん」
起こさないように、私は兄様を、我夢は七海の頭を優しくなでる。
日向「んん・・・・」
七海「ああ・・・・」
くすぐったそうな仕草を見せる日向と七海に、私と我夢そして、なでしこの頬がほころぶ。
弁丸「まもなく、山比古町に到着いたします」
そう思ったところで、リムジンを自動運転している、人工知能・弁丸の声が入る
雷牙(もう少し休ませたいんだが・・・)
かといって初めて見る山比古町の景色も見せたい。
ため息をひとつ吐くと、私は兄様の肩をおくと揺すって呼びかけた。
それは我夢も同じやり方で七海を起こした。
雷牙「兄さん。起きてください、山比古町が見えてきましたよー、そなたも、白炎、子虎達も」
我夢「七海。起きろ、山比古町だぞ」
日向「あ・・・あ・・・」
七海「は・・・い・・・」
日向「ら・・・・い・・・が・・・?」
雷牙「起きましたか? ほら見えてきましたよ、兄さん」
我夢「起きたか、七海、ほら、見えてきたぞ」
日向「・・・・・あ、あ・・・」
七海「・・・・・え、え・・・」
白炎「がぁー・・・」
子虎たち「がぁー・・・」
赤丸「キー・・・」
日向と七海は目元をこすると、少し大きめのあくびをする。あくびをするのは、下で寝ていた、雷牙の相棒ホワイトタイガー・白炎とその子虎5匹となでしこの相棒フクロモモンガの赤丸もあくびをした。
日向「おはよう、雷牙」
雷牙「おはようございます、兄さん」
そう言うと雷牙は、白炎の頭を撫でた後、子虎たちも1匹ずつ頭をなでるのだった。
七海「私はいったい?」
なでしこ「ぐっすり寝ていたわよ、日向様と一緒に」
七海「そ、そんな、もうしわけございません!日向様、執事たる私が」
日向「いいんだ、私もお前と一緒に寝ていたんだ、おあいこだ」
七海「ですが」
日向「そんなことより、雷牙」
雷牙「ええ、私たちが、新しい生活を始める―山比古町が」
我夢「見えてきましたよ」
日向「あ・・・」
七海「ここが」
都会を離れて4時間半。私たちは緑が広がり溢れる田舎町、山比古町へとやってきた。
山比古町は周りを見渡せば山と緑しかない田舎町。
雷牙「弁丸、ちょっと止めてくれ」
弁丸「かしこまりました」
車を止め、雷牙たちは外に出て山比古町の景色を見た。
なでしこ「はー、いい景色すねー」
雷牙「ああ、この景色を見るのは、久しぶりだ」
日向「そういえば、私と七海、そして、我夢となでしこは、来るのは初めてだが、雷牙は、前にも来たんだったな、この山比古町に」
雷牙「ええ、あの時は確か・・・、時期的には梅雨が終わり、夏に入ろうとした頃、3泊くらいで、父さんと私、二人できました」
日向「そして帰って来てすぐ、そなたたち兄弟が、私と兄さんに仕えたんだったな」
七海「ええ」
我夢「はい」
なでしこ「さて、こんなところで、立ち話もなんですし、行きましょう」
日向「ああ」
雷牙「だな」
全員リムジンに振り向いた次の瞬間
猿「うきー」
全員「猿!」
リムジンの空いていた窓から猿が、雷牙のスマホを持って、外に出てそして森へと逃走した。
それを見て、白炎と子供たちは、その猿を捕まえようとしたが、「待て」と雷牙に止められた。
雷牙「私のスマホだ、私が取り戻す、兄さんたちは、ここで待っていてください」
雷牙は森の中へと入って行った。
日向「待て、雷牙」
我夢「大丈夫です、日向様、私も一緒に行きますんで」
なでしこ「当然、私も」
雷牙の後についてゆくかのように、我夢となでしこもその後に続いて行った。
日向(頼んだぞ、2人とも)
猿「うき、うき、うきー」
雷牙「返せ―」
猿は木を飛び移りながら移動していた。雷牙、我夢、なでしこも同様木を飛び移りながら移動し猿を追っていた。
我夢「雷牙様」
なでしこ「雷牙様」
雷牙「なでしこ!」
なでしこ「ここは、私が、赤丸」
赤丸「キキ」
なでしこは、赤丸に支持に従い彼女の肩から猿めがけて飛び、猿の顔を飛膜で塞ぎ、猿は木から落ち、スマホを手から放した。
雷牙「あ!」
我夢「お任せ、ください」
飛びスマホを手にして、着地した。
我夢「雷牙様」
雷牙「よくやった、我夢」
彼も木から降り地面に着地した。
その頃、赤丸はまだ、猿の顔を塞いでいた。
猿「うき、うき、うき、うきー」
なでしこ「赤丸、もう放していいよ」
赤丸「キ、キ」
そお言い赤丸は、猿の顔を放し、なでしこの肩に戻ったと同時に、猿はその場から立ち去ったのだった。
雷牙「よくやった、我夢、なでしこ二人ともよくやってくれた、それにそなたも、赤丸」
雷牙はそう言い、赤丸の頭をなでるのだった。
我夢「もったいなきお言葉、痛み入ります」
なでしこ「いえ、いえ、お仕事、すから、ついでになんですが、私も」
雷牙「ん?」
なでしこは自分の頭に指をさした。それを見て雷牙は。
雷牙「ああ、分かった」と言い、なでしこの頭をなでると彼女はとてもいい表情をみせた。
なでしこ「ありがとうございます」
雷牙「さて、兄さんたちの元へ帰るか、あれ?」
雷牙は周りを見渡してみた。
雷牙「迷子だな、これは」
なでしこ「大丈夫ですよ、雷牙様」
雷牙「え?」
なでしこ「だって、我夢さんが、いますから」
我夢「はい、道ならしっかり覚えていますから」
雷牙「あ、そうだったな、そなたがいたな」
その頃、日向は、七海の入れたお茶を飲んでゆっくりしていた。
日向「ふー、いつ飲んでも、七海の入れたお茶は、美味しいな」
七海「もったいなきお言葉、痛み入ります」
日向「それにしても、雷牙たち、遅いな」
七海「大丈夫ですよ、兄が付いているのですから、道に迷うかとはまずないですから」
日向「だな」
雷牙と我夢「はくしょん」
なでしこ「風邪、すか」
雷牙「いや、誰かに、噂されていたような気が」
我夢「奇遇ですね、雷牙様、私も、誰かに、噂されているような気がしました」
なでしこ「それ多分、日向様と七海さんが、お二人の噂をしてるんだと思いますよ。そうだと思わない、赤丸」
赤丸「き、き」
茂みから何かが動いたのに気づき、3人は、警戒した
雷牙「2人とも」
我夢「まさか」
なでしこ「熊?」
次の瞬間、茂みからその何かが出てきた、それは。
雷牙「お、女の子」
我夢「女の子ですね」
なでしこ「女の子すね」
3人同時に言った
初「うわ!女の子です」
茂みからその何かが出てきたのは少女だった。少女は3人の大きさにびっくりして、尻餅をついた。
初(うわ!この人たち、陽菜ちゃんよりも、背が大きい)
雷牙「もしかして?驚かせてしまったか」
初「いや、そんな」
雷牙「すまない、驚かせてしまって」
そう言い雷牙は手を差し出し、初もその手をつかみ立たせた。そんなこんなで、雷牙たちはその少女と共に行動するのだった。
初「そおか、それで、ここまで来たわけなんだね」
雷牙「面目ない」
我夢「そんなことありません、それを言ったら、わたくしも」
なでしこ「私だって」
初「まあ、いいじゃない、取り戻したんだし」
雷牙「そうだぞ、2人とも、ところで、そなたは、どうして」
我夢「こんな森の中に」
なでしこ「居る、んすか?」
初「私は、山菜つみ。天ぷら、お浸し、酢味噌和え、おみそ汁に入れてもいいし、後、おこわにしても美味しいんだよ」
我夢「確かに」
なでしこ「美味しいすもんね」
雷牙「私も、よく山菜つみに行きました」
なでしこ「別に案内しなくても、よかったんすよ、帰り道なら、我夢さんが、覚えているんすから」
我夢「はい」
初「まあ、いいじゃん、せっかく来たんだから」
雷牙「そうだぞ、丁度、探検をしてみたかったところ」
雷牙、我夢、なでしこは、初に軽く頭を下げた。
雷牙「すまぬ、わざわざ、案内してもらい感謝する」
?「いいよ、別に、お礼なんて、困っている人がいたら助けるのは当然だよ、だから、頭を上げて、それに」
3人「それに?」
初「あんなところ、うろうろしていたら、熊と鉢合わせするから、危ないし」
雷牙「やっぱり出るのか」
我夢「やっぱり出るのですね」
なでしこ「やっぱり出るんすね」
3人同時
言っている間に川についた、4人と1匹。
初「ここを、向こう岸に渡って、真っ直ぐ行くと分かれ道があって、そこを下って行けば、ふもとの道路まで1本道だよ」
初「今から川を渡る、見本見せるから見てて」
少し後ろに下がって、女の子は駆け足で助走をつける。直後、私と我夢なでしこの見ている前で、少女は軽やかに跳躍した。
初「とぉっ!」
雷牙「あ」
なでしこ「あ」
我夢「雷牙様」
瞬間スカートがひるがえり、純白ショーツがまぶしくも露わとなる。
そんな中、我夢は急ぎ雷牙の両目を自分の両手で塞ぎ、我夢は目をつぶった。なでしこは呆然としていた。
その劇的な一瞬が過ぎ、少女は見事向こう岸へと着地した。
初「見てたー? 今みたいな感じで飛ぶんだよー!」
振り返った少女は、スカートの中が見えていたなんて、想像もしていない無邪気な笑顔を浮かべ、こっち手を振っていた。
なでしこ「あ、あ、はいす、ばっちり見てたすよ、ね、雷牙様、我夢さんも」
2人ともそのままの状態で、首を下に振った。
初「それじゃ、次はあなた達の番だよー」
雷牙「ああ、2人とも」
我夢「ええ」
なでしこ「はい」
3人「せーの」
3人は少女同様少し後ろに下がって、駆け足で助走をつけるが、跳躍はせず、大きくジャンプ川を飛び越えた。
初「えーウソ‐!」
その劇的な一瞬が過ぎ、3人は見事向こう岸へとなでしこ、我夢の順番で着地したが、雷牙は。
雷牙「うわっと…!?」
初「えっ…? きゃああっ!?」
・・・・・断っておくがこの後起こった出来事は、決してわざとではない。
初「…んんう!?」
こんな状況になったのは、私からしても、我夢、なでしこからしても予期せぬトラブルだったわけだ・・・・。
川を飛び越えた後私は、その先に立っていた少女へと突っ込んでしまい―。少女の顔を自分のお尻で踏んづけてしまった。
私はこんな状態だというのに、おならをしてなくてよかったなどと考えていた……。
……。
………。
…………。
我夢となでしこ「ら、雷牙様!?」
?「ン、ふむぅ、ふぁ、は……重い~~」
雷牙「……っ、あ……すすまない!」
我に返り、私は慌ててお尻を上げた。
雷牙「す、すまんことをした、本当にすまない」
雷牙は何度も土下座して誤った。
初「……」
頬を少し赤らめ、ぽかんと私を見つめて固まっていた。
我夢「あのー?」
なでしこ「大丈夫、すか?」
初「あ、う、うんっ、だいじょうぶ……。えへへ……。ちょっとびっくりしちゃったけど……」
雷牙「そ、そうか。なら」
どうやら怪我は無いようで、笑顔を見せた少女に、ちょっと安心する。
雷牙(って、それより……!)
とはいえ、出会ったばかりの少女相手にとんでもないことをしてしまったという事実に改めて気付く。
雷牙「そ、そなた、今のは……」
わざとじゃないけれど土下座しようとしたその時。
伊吹「ちっともよくなーい!!!」
雷牙「ん……!?」
伊吹「滅ッッッ……、殺ァァァ―――ッ!!!!」
雷牙「は!!!?」
突然の攻撃に雷牙は避け大きくジャンプ、飛んだ。
何が何だかわからないままにジャンプし下を見下ろすと、小柄な少女が仁王立ちしている姿が映った。そして地面へと着地した。
雷牙「はぁー、危なかった!」
なでしこ「雷牙様」
我夢「ご無事ですか」
雷牙「ああ」
伊吹「あんた、どうしてあんなに高く、て、それよりも、こ、このド変態がー!」
小柄な少女は、雷牙を今度は殴ろうとしたが、なでしこがその少女の腕を掴み寝かせた状態で、拘束した。
なでしこ「あなた、いきなりなにする、にゃ」
伊吹「それはこっちの台詞よ、こんな人気のないところで、女の子を押し倒して、顔を尻で踏んづけるなんて。最低」
雷牙「いや、これは事故で、ワザとじゃないんだ」
我夢「このお方は、断じてそのようなことはいたしません」
なでしこ「そうです」
伊吹「はー、事故、つか、そこの2人、これが事故ですんだら、おまわりさんは、いらないわよ、警察に突き出してやるから、覚悟しておきなさい」
雷牙「おい、放してやれ」
なでしこ「で、ですが」
雷牙「いいから」
なでしこは小柄の少女を放した。
伊吹「当然そこの2人も、押し倒されたのに、何もしなかったんだから」
初「待って、伊吹ちゃん、この人が言ってることは本当なの、今の、は本当に、本当に、事故だったの」
伊吹「初」
しばらくして、小柄な少女は、少女と共に雷牙達を道に案内してくれた。
伊吹「その道、真っ直ぐ行ったら、道路に出るから」
雷牙「ああ、わかった、それでは」
伊吹「いいから、早くいきなさいよこの変質者」
雷牙「ああ」
我夢「雷牙様」
なでしこ「行くすよ」
雷牙たちは言われた道へと進みつつ二人の少女にお辞儀した後その場を去り、兄さんたちの元へと戻るのだった。
日向「雷牙」
七海「兄」
白炎「がぁー」
子虎たち「かぁー」
すぐさま白炎と子虎たちは、戻ってきた雷牙に突っ込み、彼にペロペロしてきた。
雷牙「こら、今の私は泥だらけなんだ、汚いんだ」
そう言われ白炎たちはガッカリして縮こまる。
そんな、泥だらけの雷牙達を見た日向は。
日向「どうしたんだ、3人とも」
我夢「実は」
雷牙「いや、いろいろとありまして」
日向「ん?」
雷牙「さて、気を取り直して、行きましょう」
日向「ああ」
再びリムジンに乗り走り出す。四方見回せずとも必ず目に入る山々…。
そして――。
従業員「いらっしゃいませ~~!!」
日向と雷牙「うおおっ!?」「わわ……っ!?」
我夢「……」
七海「……」
なでしこ「うわ、すご!」
今日から私たちが下宿するよろづよへと到着した瞬間にも驚くこととなった。ただし、我夢と七海を除いては、旅館の前に従業員が立ち並び、私たちを歓迎してくれる。
千歌「あははは、驚いたでしょ?」
日向と雷牙「うわっ!?」
それまで誰も居なかったはずの背後から声を掛けられ、私と兄は再び驚きの声あげてしまう。この時も、我夢と七海は驚かなかった。ただし今度はなでしこも同様同じである。
千歌「ようこそ、よろづよへ。この出迎えがうちの流儀、はるばるようこそってね」
振り返れば、そこにヤツが……じゃなくて、和服に身を包んだ女の人が立っていた。
雷牙「りゅ、流儀?」
日向「りゅ、流儀?」
我夢「りゅ、流儀ですか?」
七海「りゅ、流儀ですか?」
なでしこ「流儀、すか?」
雷牙「あの、私達、真田」
千歌「もしかして、雷牙くん、真田先生の息子さんの」
雷牙「は、はい、真田 雷牙です」
千歌「もう、遅いから心配したじゃない」
日向「まあ、いろいろと」
千歌「ん? あ、あなたが、兄さんの日向君」
日向「はい、当時は、父と弟がお世話になりました」
日向はそう言って軽く頭を下げた。
千歌「お礼なんていいわよ、私だって、真田先生にはお世話になったんだから、おあいこよ」
日向「そうですか」
千歌「それと、話は変わるけど、後ろの、同じ顔の執事っぽい2人とメイドぽい人は?」
(それにしても、この子たち、身長もそうだけど、色気もあるね)
我夢「申し遅れました、私は、真田雷牙様にお仕えする、執事の海野我夢でございます、以後お見知りおきを」
なでしこ「同じく、真田 雷牙様にお仕えする、忍びの春野 なでしこです」
七海「私は、真田 日向様にお仕えする、海野 我夢の双子の弟・七海でございます、以後お見知りおきを」
千歌「ああ、双子道理でそっくりなわけね、さあ、ここで立ち話もなんだし、中に入って」
雷牙「お、おまちください、おばさま」
千歌「お・ば・さ・ま…?」
雷牙が、千歌をおばさまと言った瞬間、千歌から、怖いオーラが大量に話触れ出てきた。
千歌「私を呼ぶときは、姉さんか、千歌さんにしなさい」
雷牙と日向「千歌殿と、呼ばせていただきます」
千歌「殿って、まあいいわ、それで、なにかしら?」
雷牙「はい、実はあと6匹いるのですが」
千歌「6匹? ペットも連れてきたの?」
雷牙「いえ、ペットではなく、家族です。なでしこのフクロモモンガの赤丸と、そして、ほら、出てきなさい」
リムジンのドアから出てきた、白炎とその子供たち5匹が出てくると従業員たちは驚き、女将の千歌も同じ目が点になってしまった。
雷牙「私の相棒のホワイトタイガーの白炎とその子虎たち5匹です、ほら、そなた達も、あいさつしなさい」
白炎はあいさつに立って、千歌の肩に前足を乗せ、押し倒し、彼女の顔をペロペロした、子虎も同じことをした。
千歌「ちょっと、くすぐったいから、やめて、へ、へ、へ」
なでしこ「こら、あんた達、女将さんの顔に、化粧がついていたらどうするの、おなか壊すわよ」
千歌「て、化粧なんかつけてないわよ、素肌よ、この肌は」
なでしこ「へー、綺麗なお肌すねー年齢のわりには」
千歌は怒り、なでしこの頭を殴った。
千歌「だ、だれが、年齢のわりにわよー」
彼女は怒り立ち上がり、なでしこの頭をげんこつ、なでしこの頭に大きなたんこぶができた。
なでしこ「い、ててー」
我夢「口は災いの元ですよ、なでしこ」
なでしこ「はい」
千歌「まあ、いいわ、それで、何かご質問は」
雷牙「いまさらなんですが、もしかして、千歌殿が、女将なんですか?」
千歌「あら、ごめんなさい、そっちが、自己紹介してないのに、私はしてなかったわね、私は、万 千歌、このよろづよの女将よ、今日から、真田先生に代わって、私が、あなた達の保護者になるわ、よろしくね」
雷牙「こちらこそ」
日向「お世話になります」
2人は、女将の万 千歌に軽くお辞儀した。それは、我夢と七海、なでしこも、雷牙、日向同様軽くお辞儀した。
千歌「お辞儀はもういいから、あら、どうしたの? 雷牙くん、泥だらけじゃない、雷牙くんだけじゃない、我夢くんもなでしこちゃんも」
なでしこ「え、今頃?」
千歌「すぐにお風呂に入って、あ、その前に、お部屋に案内しないと、ほらついて来て、みなさん、もう、仕事に戻ってもいいですよ」
従業員はぞろぞろと仕事に戻って行った。
雷牙たちは、千歌に案内され新館から旧館へとやって来た。
千歌「ここが、旧館、昔はこっちが正面だったんだけど、3年前新館立てたら、何か裏口みたいになっちゃって」
千歌の話を聞きながら、雷牙達は旧館の庭を見た。
なでしこ「よろづよ、いいところみたいすね」
雷牙「ああ」
そんなこんなで、庭を見た後、雷牙達は再び、千歌に案内され自分たちが使う部屋に来た。
千歌「ここが、雷牙くんのお部屋よ」
雷牙「ほー、何かいいですね」
千歌「日向くんのお部屋は、雷牙くんの隣ね、そのほうがいいでしょ」
日向「はい、安心します」
雷牙「あの、我夢たちは?」
千歌「ああ、それなら大丈夫よ、旧館のお部屋は全部屋あいているからあなたたちの部屋もあるわよ」
我夢「そうですか」
七海「おそれいります」
なでしこ「太っ腹スね、千歌さん」
千歌「まあ、それよりも、雷牙くん、ご飯の前に、お風呂入ってきなさい」
雷牙「はい、それでは、兄さん」
日向「ああ、後でな、雷牙」
そう言い、雷牙は我夢と共に男湯へと入り、雷牙は服を脱いだが、我夢は服を脱ごうとはしなかった。
雷牙「我夢、一緒にお風呂に入ろう」
我夢「ですから、私は勤務中ですから」
雷牙「いいから、て、あ!」
我夢「あ!」
雷牙は我夢の服を脱がそうとしたが、バランスを崩し、我夢を押し倒してしまった。それに合わせるかのように、呂場の外側のドアから、雷牙と我夢と同い年ぐらいの女の仲居がブラシを持って、二人の前に現れた。
つむぎ「あ」
雷牙「あ」
我夢「あ」
つむぎ「し、し、失礼しました」
急いでドアを閉めた、女の仲居であった。それに合わせるかのように、女将の千歌が男湯の暖簾を翻し入ってきた。
雷牙「あ」
我夢「あ」
千歌「あ、じゅるり」
そんな今の二人の姿を見た。千歌は、よだれと鼻血を出し左手で鼻血を塞いだ。
千歌「ご、ご、ごめんなさい、どうぞごゆっくり」
そう言って、千歌はその場を去った。
雷牙「?」
我夢「?」
かくかくしかじかあり、雷牙は浴衣を着たが、我夢は再び執事服を着た雷牙の部屋に戻って雷牙は寝ころがっている白炎のお腹に寝ころがり、白炎の頭をなでているところに、我夢がお茶を入れてくれた。
我夢「粗茶で、ございます」
雷牙「ありがと」
彼は粗茶を飲んだ。
雷牙「ふー、やっぱり、我夢が入れてくれたおお茶は、いつ飲んでも美味しいな」
我夢「もったいなきお言葉否み入ります」
雷牙「明日から、新しい学校か、何か、緊張するな」
日向「それは、私も同じだ、雷牙」
外側の襖から、日向と七海、なでしこが、雷牙の部屋に入ってきた。
雷牙「兄さん、なでしこ」
我夢「七海も」
雷牙「兄さんも、緊張しているのですか?」
日向「そりゃ、私だって、緊張するさ、新しい友人ができるかとか、色々と、それよりも」
雷牙と我夢「それよりも?」
なでしこ「千ちんが、晩御飯だから降りていらっしゃいって」
と言われたとおり、雷牙たちは下に降りてきた、白炎と子虎たち、赤丸も共に。
千歌「今日は、みんなが来たお祝いに、鯛の船盛りよ、白炎ちゃんと子虎ちゃんたちと赤丸ちゃんには、はい、これね」
用意されていのは、二つの器。一つの器に乗っているのは、大きなステーキ肉で、二つ目の器は、小さいもので、ミックスベジタブルが入っていた。そして、ミルクの入った哺乳瓶も用意されていた。
千歌「我夢くんが、用意してくれたのよ」
雷牙「あれ、千歌殿、どうしたんですか、鼻にティッシュなんか入れて鼻血ですか?」
千歌「ええ、まあね、さあ、食べましょ、子虎ちゃんたちのごはんは、私がやるから、あなた達は食べなさい、我夢くんも七海くんも」
七海「いえ、今は」
我夢「勤務中ですから」
2人はそう言い断った。と言っている間に、日向と雷牙、なでしこ、白炎と子虎たち、そして、赤丸は食べ終わり、あっと言う間に、寝る時間となり、雷牙は布団をひいて、寝る準備をした後、勉強をしていた。
雷牙「さて、そろそろ寝るとするか、
我夢「かしこまりました」
白炎「がぁー」
子虎たち「かぁー」
我夢「それでは、電気消します、お休みなさいませ、雷牙様」
雷牙「ああ、我夢もお休み」
明かりは消し、我夢は部屋から出て行った。雷牙は寝ようとするが、ふと、考え事をしていた。
雷牙(明日から、新しい学校に通うのか、緊張もするが、私は、私ができる事を成すまで)
そう心に言い聞かせ、雷牙は眠りについた。
午前3時半。女将の千歌が、あくびをしながら、台所に向かっていると、その台所から、料理のいい臭いがしてきた。
千歌「あら何かしら、この美味しそうな、いいに匂いは?」
彼女は匂いにひかれるかのように、台所に再び向かい、ついた台所にいたのは。
千歌「あ、あなた達は!」
海野兄弟「おはようございます、千歌様、たいへん勝手ながら、台所をお借りしております」
台所にいたのは、割烹姿の兄の我夢とエプロン姿の双子の弟の七海。海野兄弟がご飯を作っていた。そんな兄弟を見た、千歌は驚いた表情をした。
千歌「あ、あなたたち、なにしているのよ?!」
七海「何していると聞かれますと」
我夢「朝食を作っているのですが?」
千歌「それは、見ればわかるわよ、私が聞きたいのはどうして、こんな早く、朝食作っているか、聞いているの?!」
我夢「どうしてと聞かれましても?」
七海「我々兄弟は、いつも、この時間に起き、我々の朝食を作って、食べているのです」
千歌「あ、あなた達いつも、こんなに早く起きているの!」
海野兄弟「そう言う、千歌様だって」
千歌「それは、私は女将だから」
我夢「それを言ったら」
七海「我々兄弟は」
海野兄弟「執事ですから」
七海「あ、丁度、朝食ができました、千歌様も、どうですか?」
千歌「あら、そう、ならお言葉に甘えようかしら」
彼女は、海野兄弟と共に彼らの作った、朝食を持って、テーブルのある座敷まで運んだ。
我夢「言い遅れて、しまいましたが、台所にあった食材勝手に使ってしまい、すみませんでした」
七海「私からも、すみませんでした」
海野兄弟は頭を下げた。
千歌「いいのよ、気にしないで、さあ、冷めないうちに食べ、ましょ」
海野兄弟「はい」
テーブルの前に並べてある料理は、白いごはんとみそ汁、アジの開きに納豆、ひじきにであった。
3人「いただきます」
3人は一緒に食べあっと言う間に食べ終った。
3人「ごちそうさまでした」
千歌「ふ、美味しかったわよ、2人とも、素人とは思えない、味だったわ」
七海「もったいなきお言葉」
我夢「否み入ります」
千歌「いったい、どこで、料理を習ったのかしら?」
海野兄弟「我々兄弟は、執事ですから」
千歌「それ、ぜんぜん応えになってないわよ」
我夢「さて、お弁当の準備をいたしますか」
千歌「て、今から弁当の準備をするの!」
我夢「はい、雷牙様のお弁当はいつもこの時間に起きないと、間に合いませんので」
千歌「確かに、雷牙くん、昨日は、ごはんを20杯も、おかわりしていたわね」
我夢「雷牙様は、いつも、それぐらい、お食べになるのですよ」
七海「日向様は、普通の料を食べますがね」
我夢「それよりも、千歌様」
千歌「ん?」
我夢「仕事に入らなくていいのですか」
千歌「あらいけない、もうこんな時間、それじゃ、私は、仕事に入らなくちゃいけないから、じゃ」
千歌はそう言いその場を去った。
そして。
海野兄弟が、雷牙と日向のお弁当と朝食を作る事、2時間後、従者のなでしこが目を覚ました。シャワーを済ませ、石鹸の匂いが漂っていた。
なでしこ「おはようございまーす、今日もいい一日に、なりそうスね」
七海「おはようございます」
我夢「おはようございます、ほら、さっさと、朝食を済ませて」
なでしこ「はい、いただきます」
彼女はテーブルの前に並べてある料理を、黙々と食べ終わり、身なりをと唱えた。
我夢「さて、そろそろ、雷牙様」
七海「日向様を」
海野兄弟「起こす、お時間ですね」
千歌「まだ、5時だけど、もう起こすの?」
七海「はい、日向様」
我夢「雷牙様は、毎朝、5時に起き、修行で体を鍛えた後、お2人は武術の手合せをし、シャワーで汗を流し朝食を済ませるこれが、雷牙様」
七海「日向様の」
海野兄弟「日課です」
千歌「そうなの、関心、関心、それなら、私が行くわ、2人ともまだ、料理作っている途中でしょ」
七海「いいえ、後は、作った料理を」
我夢「食器に乗せるだけですから」
千歌「いいから、いいから」
七海「それなら、千歌様に」
我夢「お任せします」
千歌「うん、任せて」
海野兄弟は、台所を後にして、一人筒、トレーにティーポットとティーカップを持って、我夢は雷牙、七海は日向とそれぞれ、仕える主人の部屋に向かい、部屋の襖まで来て、ノックした。
我夢「雷牙様」
七海「日向様」
海野兄弟「起きてください、5時ですよ」
と反応しなかったので、海野兄弟は襖をあけたが、雷牙の部屋には、雷牙は居ず、白炎とその子虎たちがぐっすり寝ている姿はあった。
我夢「雷牙様、と言う事は」
彼は隣の日向の部屋に急いで、足を運び日向の部屋に入った。
我夢「やはり」
千歌「何が、やはりなのよ?」
背後から、千歌が日向の部屋を見た。
千歌「――まっ・・・!?」
彼女の目に写っていた者は、全裸姿の兄・日向と同じく全裸姿の弟・雷牙が、日向の体を抱きながら寝ていた光景だった。
千歌「はっ、じゅるり」
昨日同様、そんな今の二人の姿を見た。千歌は、昨日と同じようによだれと鼻血を出し左手で鼻血を塞いだ。
千歌「ご、ご、ごめんなさい、どうぞごゆっくり」
これも、昨日同様、千歌はその場を去った。
雷牙「?」
日向「?」
七海「日向様」
我夢「雷牙様」
海野兄弟「お茶が入りました」
日向と雷牙「ああ、ありがとう」
2人は出されたお茶を飲んだ後、ジャージに着替え、体を鍛えた後、汗まみれの2人は木製武器、雷牙は十文字槍型で、日向は双刃刀型をそれぞれ手にして
手合せしている。
雷牙「やー」
日向「は」
やり合う中結果は。
雷牙「たぁー」
日向「あー」
勝者は弟・雷牙。日向は負けた拍子に、尻餅をついた。
日向「お前の勝ちだ、雷牙」
そんな、尻餅をついた日向を、雷牙は手を差出、日向を立たせた。
日向「さて、今日の所はこの辺にしておくか、雷牙」
雷牙「はい、兄さん」
2人はそのまま風呂まで直行、汗まみれの体は、シャワーで洗い流させた。2人は海野兄弟が作った朝食を食べ終わった後、5人は今日から通う、山比古南学園の制服を着て登校の準備は整った。その時。
つむぎ「おはようございまーす」
とどこからか女の人子声が聞こえた。
千歌「あら、案内役が来たみたいね」
5人「案内役?」
千歌「学校まで、道分からないでしょ、だから一緒に行ってくれる子を頼んでおいたのよ」
雷牙たちはよろづよの出入り口に来ると、その案内役は女の子だった、千歌がその女の子を紹介してくれた。
千歌「この子は、藤堂つむぎ、あなた達が通う山比古南学園の3年生、つまり、雷牙くんと我夢くん、七海くんそして、なでしこちゃんの先輩で、日向くんとは同級生ね、つむぎはうちで、仲居見習いとしてバイトしているの、雷牙くんと我夢くんは昨日会ってるでしょ」
雷牙と我夢「え?」
2人は千歌に言われて、つむぎを見て気づいた。
我夢「あ、あなたは、昨日」
雷牙「突然、風呂場のドアから入ってきて、そして、突然ドアを閉めた人」
つむぎ「ああ、その節はごめんなさいね、いきなりだったもので」
彼女はそう言い顔を赤らめた。
雷牙「いえ、気にしてませんから」
我夢「私も」
つむぎ「ならよかった、それよりも、雷牙くん、いや、雷牙さん、お久しぶりね」
雷牙「え?」
つむぎ「ホント、背伸びたわね、顔も美しいわね」
なでしこ「あの、雷牙様、お知り合いですか」
雷牙「いや、知らぬ」
千歌「まあ、雷牙くんとつむぎが出会ったのは、10年も前の話だもの覚えてないのも、無理ないわ」
日向「それでは、雷牙と藤堂殿は前にも合ったことがある言うことですか」
つむぎ「ええ、雷牙さん、これ見て何か、思い出せない」
彼女は左手で筋肉ポーズをとり、右手でそれをつまんだ。
つむぎ「おしり」
そんな一発芸を見た雷牙は、ふと、忘れていた過去の記憶が、少しよみがえる。
回想
ここは公園、1人の少年が、大きな荷物を持って走ってきた。
雷牙少年期「ねーえーさ~ん」
向かった先にいたのは、少年と同い年の少女がベンチに座り、絵本を読んでいた。
つむぎ少女期「ん?」
少年に気づいた、少女は絵本を閉じベンチから立った。
つむぎ少女期「らいがくん、どうしたの? なにかあったの?」
雷牙少年期「はい、らいがは、むぎねえさんのために、おべんとうをもってきました~~♪」
つむぎ「ええええっ!?」
てことは、つまり、らいがくんが持っている大きな荷物は、私のお弁当!?
つむぎ少女期「そんな……わざわざわたしのためにつくって、もってきてくれたの」
雷牙少年期「むーぎーねーえーさ~ん!!」
つむぎ少女期「らーいーがーくーん!!」
ガッツ。
雷牙少年期「あ!」
どてっ!
どじゃー。
つむぎ少女期「あ」
ぽとぽとぼとっ……。
雷牙少年期「…………」
重箱みたいなお弁当箱からダイブしたおかずの数々が、無残な効果音と共に、地面に着地する。
つむぎ少女期「………」
雷牙少年期「うっ……うわあぁ~~~んっ!」
つむぎ少女期「はっ!? らい、らいがくん~~~~~!!!」
困った空気を切り裂く泣き声に我に返り、私は慌ててらいがくんに駆け寄った。
つむぎ少女期「だいじょうぶ~~~~~~っっ!!?」
雷牙少年期「びええぇ~~~~んっ、ねえさんんん~~」
つむぎ少女期「らいがくんっ、ほら……起きれる?」
雷牙少年期「ふぇっ、えっ……うん
……えっく、うっっ…」
「……うっ、ぐずっ……ふぇっ、えっく…」
つむぎ「だいじょうぶ? いたいところない?」
雷牙少年期「…っ…………うっく…」
起き上がった雷牙の顔は、涙と土でぐしゃぐしゃだった。
泣きじゃくりながら、無言でうんうんと頷く。
雷牙少年期「ひっ……えくっ、うっ…ごめんなさい……ごめんなさいっ、ねえさん……」
つむぎ少女期「……どうしてあやまるの? いたいおもいをしたのはらいがくんじゃない?」
丸いおでこや小さな膝小僧には、痛々しい捺り傷が出来ている。思いっきり顔からこけていたものね。
私はポケットから手ぬぐいを取り出して、傷に直接触れないように気をつけながら、泥を払う。
雷牙少年期「……うっ、ひくっ……ちがうの……」
つむぎ少女期「ん?」
雷牙少年期「おべんとう……つくってあげるって、やくそくしたのに……っ……だめにしちゃいました……うっ……」
「……いっしょうけんめい、つくったんですけど……ごめんなさい……、
ねえさん……っ」
つむぎ「らいがくん……」
捺り傷作り、ぽろぽろ涙をこぼしながら謝るらいがくんに、私はいたいほどむねをいためつけられるおもいだった。
いとおしさに、私は、らいがくんを抱きしめた。
つむぎ少女期「…ありがとう」
ぽん、ぽんぽん……。
抱きしめながら、頭を撫でた。
雷牙少年期「ねえさん……おこっていないの?」
つむぎ少女期「おこるはずないでしょ」
地面に散らばったおかずの数々。ところどころ集けたりするものの、どれも一目でわかるくらい作っていて、らいがくんが本当に一生懸命やってくれたこと……。
つむぎ少女期「……なかないで、ほら」
彼女は左手で筋肉ポーズをとり、右手でそれをつまんだ。
つむぎ「おしり」
そんな一発芸を見た雷牙は、笑った。
雷牙少年期「あ、ハハハ」
回想終わり
雷牙「む、むぎ姉さん」
つむぎ「そうよ、思い出した」
雷牙「はい、その節は、お世話になりました」
軽くお疑似した。
つむぎ「いいわよ、私もお世話になったんだし」
日向「雷牙、知っている人なのか?」
雷牙「はい、前にここ、山比古町に来たときに遊んでもらった、むぎ姉さんです」
日向「そうか、私からも、その節は雷牙がお世話になりました」
彼も雷牙同様お疑似するのだった。
つむぎ「ですから、私もお世話になったんですから、さあ、遅刻するといけないから、そろそろ、行きましょう」
我夢「そうですね、雷牙様」
七海「日向様」
海野兄弟「行きましょう」
なでしこ「と言う訳で、行ってきますス」
我夢「あ、千歌様、白炎と子虎たちの昼ごはんなんですが、12時にお願いします、白炎の肉と子虎たちのミルクは、冷蔵庫に入っていますので」
千歌「ええ、わかったわ、行ってらっしゃい」
雷牙達は、よろづよを後にした。
つむぎ「それじゃ、都会暮らしのストレス発散するため、山比古町来たわけ」
日向「はい、雷牙、田舎暮らしがしたとい言って、言うから、父がそれを許してくれたんです」
つむぎ「お父様は確か、実業家」
雷牙「ええ、どうせ住むなら、空気のいいところがいい、そこで前にも、来たことのある、この山比古町にしたわけです」
つむぎ「そうだったの」
我夢「もちろん、雷牙様の執事であるこの私も」
なでしこ「私は、雷牙様の忍びですから」
七海「私は、日向様の執事ですから」
3人「ついて来ました」
つむぎ「そうなのね」
(それにしても、雷牙さんもそうだけど、日向さんも、我夢さんも七海さんも陽菜ちゃんより背が大きい、それにみんな美形だわ、なでしこちゃんも)
「それはそうと、雷牙さんたちて、けっこう高身長みたいだけど、みなさん、何㎝あるんですか?」
雷牙「身長ですか? 185㎝です」
日向「私は188㎝」
我夢「私は180㎝です」
七海「兄と同じく、180㎝です」
なでしこ「あたしは175㎝ス」
つむぎ(うわー、みんなやっぱり、高身長だったんだ、175㎝って、陽菜ちゃんと同じ、じゃないなでしこちゃん)
そんなことを思いながらも、つむぎは小さな橋に立ち止り、その小さな橋を指さした。
つむぎ「この橋の向こうが、なでしこちゃんの通う付属の中等部、それでこっちが、私たちが通う山比古南学園に向かう道、なでしこちゃんここからは一本道だし、制服着てる子たちについて行けば、迷うことはないから」
なでしこ「はい、1人でも大丈夫ス、それでは、雷牙様行ってまいります」
雷牙「ああ、気を付けてな」
なでしこ「はい」
彼女は小さな橋を渡って、雷牙たちを後にした。
日向「雷牙」
雷牙「はい、行きましょう」
再び歩き始める雷牙たちであった。
そして山比古南学園についた雷牙たちはつむぎの案内で、職員室に来てそれぞれの担任の先生に案内され、日向とつむぎは、3年のクラスなので別れて、雷牙と我夢そして、七海は2年の教室に案内された。
そのころ2年の教室では、生徒たちが楽しそうにお話をしていたその中には、間違って押し倒した、少女の姿もあった。
初「……」
その少女は、机に座りボーとして上の空だった。そんな彼女に声を掛けたのは、雷牙に攻撃してきた小柄な少女が声を掛けた。
伊吹「初、初、初てば」
初「あ、伊吹ちゃん」
伊吹「どうしたのよ? 朝からボーとして、まさか! 昨日の事まだ気にしているの?」
初「ん?」
それを聞いた少女は、ふとあの時のことを思い出した。
初「ち、ち、ちがうよ」
伊吹「そう、ならいいんだけど」
南国原先生「はい、みんな席について、ホームルームを始めるわよ」
先生が教室に入ってくると、生徒たちはそれぞれの席に座った。
南国原先生「みんなも、知っていると思うが、今日からこのクラスに新しい仲間が加わります、ほら入ってきなさい」
雷牙「はい」
担任の先生に言われて、雷牙は教室に入った、ただし我夢と七海の姿はなかった。そんな中雷牙の姿を見た生徒たちは驚くと同時に声を出した。
女子たち「キャー」
女子S「美形よ」
男子E「ああ」
女子A「しかも、高身長、陽菜先輩よりも大きいわ」
男子A「うん」
女子C「春が来たー、春がー」
大吾「春が来たーって、今は夏が来たばかりだぞ」
男子たち「そうだ、そうだー」
女子たち「うるさい、男子」
そう言うと女子たちは、男子たちに怖いオーラを送られると、男子たちは縮こまるのだった。
男子たち「あ、はい」
そんな中。
伊吹「あー」
小柄な少女が、席から立ち雷牙を見て大声を上げ彼を指さした。
雷牙「あ、あなたはあの時の!? それじゃもしかして?」
雷牙は周りを見渡してみてみると、昨日間違って押し倒した。少女の姿もあった。
少女も雷牙の姿を見て、手を振った。
初「う、うふふ」
つづく