それから、しばらくして、ドン・ジニスとその手下たちは、警察に連行され、雷牙達はそれを見送るのだった。
大吾「いやー、まさか!」
かさね「こうもあっさり、片付くなんて思いませんでしたよー」
なでしこ「それはそうっす」
一同「……」
なでしこ「耕蔵さんは、おっと」
すぐさま自ら、口を両手でふさいだなでしこであった。
そして、次の日の朝、リフォームしたばかりのよろづやの旧館で、雷牙達が朝食を食べている最中、耕蔵のスマホに電話かかってきた。
耕蔵「何! 分かった」
電話を切る。
雷牙「どうした、耕蔵!?」
耕蔵「ドン・ジニスが脱走した、護送中の車から」
一同「何!?」
耕蔵「今、全力を挙げ、捜索中だ、俺は、別の仕事でいないが、雷牙様、みんな、気を付けてくれ」
そう言って、耕蔵はよろづやを後にした。
そして、あっという間に、放課後、雷牙達は下校の途中、なでしこ、楓、かさねと会い、共に下校する中、かさねだけは、ガッカリした顔で、ため息をつきながら歩いていた。
かさね「はぁー」
楓「そう、気落ち、しないで、かさねちゃん」
かさね「だって」
かさねは、カバンから、スマホをだした。それには何かに撃ち抜かれたような穴が開いていた。
かさね「せっかく撮った写真が」
回想。
時間を昨日にさかのぼる、かさねが満足した顔をしながら、ウキウキしていた。
かさね「大スクープ、大スクープ、山比古町、始まって以来の大スクープですよ、これは!!」
なでしこ「かさねちゃん」
かさね「ん?」
なでしこ「足に蛇」
かさね「キャー!」
驚いた弾みに、かさねはスマホを、手放してしまった。スマホは宙に浮き、それを、耕蔵が銃で撃ち抜き、穴が開いて落下した。
かさね「そ、そんなー、何人のスマホ壊すんですか!?」
耕蔵「すまないが、今日の事は、忘れろ、スマホなら後で、弁償してやる」
こうして、事態は収拾した。
回想終わり。
雷牙「元気出してくださいよ、かさね殿、スマホなら、耕蔵が弁償すると言っていたではないですか」
我夢「雷牙様の言うとおりです」
楓「そうです、だから、元気出して」
なでしこ「かさねちゃん」
かさね「はぁー」
ため息をついたまま、かさねは、雷牙達と別れるのだった。
かさね「はぁー」
ため息をする、かさねの背後に怪しい人影が迫ってきて。
かさね「あ!?」
気を失った彼女が目を覚ますとそこは、昨日、ドン・ジニスが隠れ家にしていた木造平屋だった、そして、そこにいたのは。
ドン・ジニス「お目覚めかね?」
かさね「あ、あなたは」
脱走した、ドン・ジニスとその手下たち、かさねはロープでぐるぐる巻きになっていた。
ドン・ジニス「おい」
手下「はい」
電話をかけ始めた、そして、かけた先は。
ここは、とある街中、耕蔵はライフルのスコープを使って、超高層ビルの中にいる男を覗きつつ、スマホの待ち受け画面をみていた。その待ち受け画面とは。
耕蔵「……」
20ヶ月(1歳8ヶ月)の一人娘・舞の写真である、そう、彼は親バカ、しかも、ドン引きするほどの親バカである。
耕蔵「……」
ブーン、ブーン。
スマホが鳴り、耕蔵はでた。
耕蔵「…もしもし?」
ドン・ジニス「筧耕蔵、昨日は、世話になったなー」
耕蔵「ジニス!」
ドン・ジニス「今、お主の大事な人が、目の前にいる、生きて、帰して、欲しくば、金を用意しろ、と言ってもコイツでは、100万ほどの価値も、ないだろ」
耕蔵「…誰がいる?」
ドン・ジニス「知りたいか? 声を聞かせてやる、ホレ、何か言え」
かさね「…… あぶー、ばぶー」
ドン・ジニス「は?」
耕蔵「ドン・ジニス、貴様……、娘を?」
電話越しから、般若の様な鬼の低い声が殺気交じりで聞こえてきた。
ドン・ジニス「す…… スマホから、殺気が! 誤解だー」
耕蔵「顔の原型が、変わるまで、殴る!!」
ドン・ジニス「先に死ぬー!!」
かさね「昨日の木造平屋に、いまちゅ」
耕蔵「でかした、舞」
ドン・ジニス「おかしいと、思わんのかー!?」
電話を切った後、耕蔵は仕事場を後にした。
ドン・ジニス「脅迫電話、かけて逆に、脅迫されるとは…」
かさね「我夢先輩の言うとおり、あの人は、親バカしかも、ドン引きするほどの親バカ、ホントに、殺されるかもしれませんよー さっさと逃げたらどーですか」
そんな、かさねに対し、手下の一人が拳銃を頭に突き付けた。
手下「ナメた、マネをした、報いだ、お前は、ここで死ね」
かさね「キャー!」
とその時。
シュン
ドン・ジニス「……!?」
手下たち「……!?」
あまりにも、一瞬の事だった、目にもとまらぬ速さで、ロープでぐるぐる巻きになっていた、かさねは手下の元を離れた。
かさね「これって、まさか!?」
雷牙「大丈夫ですか」
かさね「お兄さん、それに、ん!?」
雷牙がかさねの口にハンカチをあてる。彼女が外側を見てみると、日向、海野兄弟、なでしこの姿があったマスクをして。
ドン・ジニス「お前たち、いつ、からー?」
手下たち「……」
かさね「これは、一体?」
かさねは気づいた、煙のようなものが周りに漂っていて、ドン・ジニスとその手下たちは、突然眠り始めた。
雷牙「しかし、相変わらず、よくきくな、晶の薬草は」
我夢「ええ、ぐっすり眠っています」
ちなみに、煙の正体は、アロマ。
再び、ドン・ジニスとその手下たちは、改めて、警察に連行され、雷牙達は帰って来た耕蔵とそれを見送るのだった。
耕蔵「かさねちゃん?」
かさね「遅かったですね、それにしても、良くここがわかりましたね」
雷牙「むぎ姉さんが、かさね殿が返ってくるのが遅いって、言ってましたから」
耕蔵「あ、そうだった、コレ」
耕蔵は懐から、四角い箱をかさねに渡した。
かさね「こ、これって!?」
耕蔵「開けてみろ」
箱を開けてみると、中身は新しいスマホ。
かさね「ありがとうございます、耕蔵さん」
こうして、十勇士の一人、筧耕蔵の山比古町での初めての二日目が終わるのだった。
つづく