星空へ架かる橋2   作:真田信之

5 / 24
第5話・親虎と子虎が、にゃー、にゃー、みゃー、みゃー

昨日よりもよく晴れた朝、雷牙と我夢、七海が2年の教室に入って来た。

 

七海「みなさま」

 

我夢「ご機嫌麗しゅう」

 

雷牙「おはようございます、みなさま」

 

それと同時に、クラスメイト、初と伊吹以外の全員が、雷牙と海野兄弟の周りに駆け寄って来た。

 

女子K「真田くん、七海くん、我夢くんも」

 

女子H「昨日は、ありがとね」

 

女子M「あの、英語の参考書類」

 

大吾「役に立ったぜ」

 

西「うん」

 

東海林「ありがとな」

 

雷牙「みなさんのお役にたてて、よかったです」

 

我夢「もったいなきお言葉、痛み入ります」

 

七海「……」

 

初「あ!」

 

伊吹「どうしたの、初?」

 

初「そう言えばライくん」

 

雷牙「なんですか、初殿?」

 

初「昨日、よろづよで、忘れ物しちゃって」

 

雷牙「忘れ物? あ、もしかして、それって!」

 

その忘れ物とは、イチゴの刺繡がしてあるハンカチで、そのハンカチは今、よろづよの旧館の茶の間のテーブルの上に置いてあった。

 

そして、そのテーブルの横では、白炎とその子虎たちは寝っころがり、自分の尻尾を猫じゃらしのように使い、子虎たちと遊んでいた。

 

白炎「みゃー」

 

子虎1、2「にゃー」

 

白炎「みゃー、みゃー」

 

子虎3,4「にゃー、にゃー」

 

白炎「みゃー、みゃー、みゃー」

 

子虎5「にゃー、にゃー、にゃー、にゃー」

 

そんな遊んでいる中、一匹の子虎が初のハンカチに気づいた。

 

そのころ、山比古南学園では、雷牙は初のハンカチを持ってきたつもりだったが、自分のバックを探していたが、見つからなかった。それもそのはず、初のハンカチは今、よろづよの旧館の茶の間のテーブルの上に置いてあるのだから。

 

雷牙「あ、しまった、持ってくるつもりが、よろづよにおいてってしまった、初殿すまない」

 

初「うん、うん、いいよ、別にまた今度で」

 

雷牙「そうですか」

 

その頃、よろづよの旧館の茶の間では、ハンカチに気づいた1匹が、それを口に咥え、母親である白炎の元まで運び、白炎はそのハンカチの臭いを嗅ぎ始めた。次の瞬間、

 

白炎「がぁー」

 

子虎たち「にゃー」

 

白炎と子虎たちは、外へと飛び出した。白炎は初のハンカチを口に咥えて。

 

白炎「みゃー、みゃー、みゃー、みゃー、がぁー」

 

白炎は子虎5匹を引き連れて、よろづよを飛び出した。

 

そのころ、山比古南学園は、お昼を迎え、雷牙達は、弁当を食べ終わっていたところだった。

 

雷牙「ふー、ごちそうさまでした」

 

我夢「お粗末さまでした」

 

初「私も、ごちそうさまでした」

 

伊吹「ほら、初、ご飯粒がついているわよ」

 

伊吹はそう言って、ポケットからハンカチを取り出して、初の口をふいた。

 

大吾「俺っちも、ごちそうさま」

 

雷牙「毎日パンで、よく飽きませんね、大吾殿」

 

大吾「まぁな」

 

雷牙「今日も、絶品だったぞ、我夢」

 

我夢「もったいなきお言葉、痛み入ります」

 

軽くお辞儀をする我夢だった。

 

雷牙「あ、そう言えば、初殿」

 

初「ん?」

 

雷牙「ハンカチを持ってこられなくて、すみません」

 

雷牙も我夢同様、席から立って軽くお辞儀をした。

 

初「え、いいよ別に、急ぎじゃないんだから」

 

雷牙「そうですか、それならよかったです」

 

そして、我夢が席に座った次の瞬間、

 

雷牙「ん?」

 

何やら、足に違和感を感じた雷牙は足元を見た。するとそこにいたのは、

 

子虎たち「にゃー」

 

雷牙「そ、そなたたちは!?」

 

5匹の子虎たちだった、子虎たちは雷牙の足をすりすりしていた。その光景を見ていた女子達は、

 

女子達「かわいい~❤」

 

と詰め寄って来て、5匹の子虎たちをそれぞれ抱き、なでなで、すりすりし始めた。

 

女子R「何、何、この子たち、メッチャ可愛いじゃないのよ❤」

 

女子K「そうね、そうね❤」

 

男子D「よく見たら、こいつら、虎?子虎じゃないの?しかも!?」

 

男子T「ホワイトタイガーの子だよね?」

 

女子S「でも、どうして、ホワイトタイガーの子がここに?」

 

と言った次の瞬間、教室の出入り口を振り向いて見て見ると、

 

白炎「がぁー」

 

そこにいたのは、大人のホワイトタイガー・白炎、5匹の子虎たちの母親である。そんな白炎を見た、雷牙、海野兄弟、初、伊吹以外のその場にいたクラスメイト達は、

 

クラスメイト達「ぎゃー!?」

 

驚いた表情を見せ、後ろに下がった、その中には、子虎たちを抱き抱えた女子達もいた。

 

ちなみに、雷牙、海野兄弟、初、伊吹は、後ろには下がらなかった。それを見たクラスメイト達は、また、驚いた表情を見せるのだった。

 

女子R「ちょっと、何しているのよ、早く下がりなさいよ、真田くん」

 

東海林「海野兄弟も」

 

大吾「初も日向も、早く下がらねえと、食われちまうぞ!」

 

女子D「あら?」

 

女子T「どうしたの?」

 

女子D「あの、ホワイトタイガー、口に何か加えているわ?」

 

女子S「本当、何かしら?」

 

初「あ、それ!」

 

そう言って、初はホワイトタイガーに近づいて行った。

 

それを見た、クラスメイト達は。

 

クラスメイト「中津川!?」

 

と叫ぶも無視して、初はそのまま近づいた。と同時に、ホワイトタイガーも初に近づいた。

 

大吾「初!」

 

白炎は、口に咥えていた初の忘れたイチゴの刺繍が入ったハンカチを、本人に渡した。

 

初「ありがとうね、白炎」

 

そう言って、初は白炎を思いっきり抱きしめた。それを見た、雷牙、海野兄弟、伊吹以外のクラスメイト達は、またまた驚いた表情を見せ、と同時に、子虎たちを抱いていた女子達は子虎たちを放した。子虎たちは、母親である白炎の元へと戻った。

 

大吾「まさか!?」

 

西「親?」

 

東海林「いや、それよりも」

 

大吾「初、その、ホワイトタイガーと5匹の子虎は、一体?」

 

雷牙「そなた達!?」

 

クラスメイト達「ん?」

 

雷牙「何しにここへ?」

 

初「昨日、私が忘れたハンカチを届けてくれたみたい」

 

雷牙「お、そうか、偉いぞ、よくやった」

 

雷牙は、白炎と子虎たちの頭を優しくなでなでするのだった、その光景を見たクラスメイト達は、また、また、また、驚いた表情を見せるのだった。

 

女子D「真田くん、そのホワイトタイガーと子虎たちって」

 

雷牙「ああ、紹介が遅れましたね、この者たちは、私の大事な家族、ホワイトタイガーの白炎とその子虎5匹です、私ともども、これからよろしくお願いいたします」

 

雷牙は軽くお辞儀をした。我夢もそれに合わせてお辞儀をするのだった。

 

それを見た、初、伊吹を含めたクラスメイト達は、

 

クラスメイト達「………」

 

静まり返った。と同時に、

 

南国原先生「おい、お前ら、昼休みが終わったぞ、午後の授業を始めるから、席に戻れ、え!?」

 

教室に戻ってきた南国原先生が、白炎を見た瞬間、おののいて尻餅をつき、その顔を白炎と子虎たちはペロペロなめるのだった。

 

南国原先生「ち、ちょっとやめなさい、くすぐったい、あ、は、は、は、は、は」

 

なめ終わった後、雷牙は南国原先生に、ここまでの状況を説明した。すると、それを聞いた先生は分かった顔をしていた。

 

そして、

 

南国原先生「おい、真田!?」

 

雷牙「ん?」

 

雷牙は子虎たちを抱き抱え、白炎と共に廊下に出ていた。それを見た、南国原先生は声を掛け、真田を止めた。

 

南国原先生「どこへ、行くつもりだ、午後の授業、5時間目が始まるぞ!?」

 

真田「あ、すみません、南国原先生、白炎と子虎たちを、現在、下宿させてもらっている、よろづよまで、送ってきます」

 

南国原先生「午後の授業は、どうするんだ?」

 

雷牙「送り終わったら、必ず戻ってきますので、ご安心を。授業の内容は、我夢に聞きますので」

 

我夢「お気をつけて」

 

雷牙「ああ、では、失礼します」

 

そう言って、雷牙はその場を去り、下駄箱へと行き靴をはきかえ、グラウンドへと出て行った。その後、雷牙は子虎たちを抱いたまま、白炎の背中に乗って、山比古南学園を後にした。

 

そんな姿を見ていた。クラスメイト達は、

 

初「伊吹ちゃん、伊吹ちゃん、今の見た、見た!」

 

伊吹「ええ、まさか、ホワイトタイガーの背中に乗って行っちゃうなんて!?」

 

大吾「ああ、ホワイトタイガーを飼っている、だけでも驚きなのによ。しかも!?」

 

西「その、ホワイトタイガーは子連れ、しかも5匹もいるなんて!?」

 

東海林「ホント、驚かせることばかりだぜ、真田は!?」

 

南国原先生「ほら、授業を始まるから、さっさと、席に戻れ」

 

クラスメイト達「あ、はい」

 

南国原先生に言われて、クラスメイト達は席に戻るのだった。

 

それからしばらくして、

 

雷牙が山比古南学園に戻って来た、山比古南学園では、すでに、白炎と子虎たちの噂が広がっていた。

 

そして、あっと言う間に午後のHRが終わり、下校するため、雷牙は我夢、そして、初、伊吹、大吾と一緒に下駄箱に来て、日向と迎えに行った七海と合流し、その場にいた、つむぎと一緒に下校するのだった。

 

初「ねぇ、ライくん」

 

雷牙「なんですか、初殿?」

 

初「今日も、ライくん家って、言うより、よろづよに行ってもいいかな? 白炎と子虎ちゃん達に、改めてお礼がしたくって、私の忘れたハンカチを届けてくれた」

 

雷牙「いいですよ、ですよね、兄さん」

 

日向「私は、構わない、千歌殿が、お許しになれば」

 

雷牙「白炎も子虎達も喜びます」

 

伊吹「初が行くんなら、私も行くわ」

 

初「伊吹ちゃん?」

 

雷牙「伊吹殿?」

 

伊吹「こいつと一緒だと、心配だからに決まっているからでしょ」

 

大吾「ついでに、俺っちも、いいか?兄弟の兄弟も」

 

雷牙「構いませんよ」

 

日向「ああ、私も」

 

雷牙(まだ、私の事を信用してはくれないみたいですね、伊吹殿は)

 

つむぎ「なら、全員でよろづよへ直行ね」

 

我夢「そうですね、なら」

 

七海「……(ペコリ)」

 

雷牙達がしばら歩いていると、中等部へと繋がる橋に着いた。すると、、なでしこと、かさねがその橋を渡って、雷牙達の元へと来た。かさねは何やらペンとメモを手に持ち、雷牙達に取材してきた。

 

かさね「取材です、お兄さん」

 

雷牙「なんですか、かさね殿?」

 

かさね「なんですか、じゃないですよ、お兄さん!」

 

雷牙「ん?」

 

かさね「もう、中等部でも噂になっていますよ、ねぇ、なでしこ」

 

なでしこ「ええ、もうその噂でもちきりですぜ」

 

雷牙「噂?」

 

日向「雷牙様」

 

雷牙「ん?」

 

我夢「白炎と子虎たちが、山比古南学園へ来て、初様のハンカチを届けた時の事が、噂になり、広がったのですよ」

 

雷牙「確かに、白炎と子虎たちが来るだけで、大騒ぎだからな」

 

かさね「それで、本当ですか、お兄さん、ホワイトタイガーとその子虎を飼っているって」

 

雷牙「飼っているとは心外だが、確かに、ホワイトタイガーとその子虎たちは、私達家族の一員なのは確かだ」

 

かさね「それで、いいですか?取材を兼ねて、合いに行っても?」

 

雷牙「ええ、構いません、初殿たちも、白炎と子虎達に会いに行くところですから」

 

かさね「ありがとうございます、お兄さん」

 

そして、よろづよへとつき、女将・千歌に話をつけ、旧館へと行くと、白炎と子虎たちが一同を出迎えてくれた。

 

白炎は、初めて会ったかさねに対しても顔をペロペロするのだった。

 

かさね「あ、ちょっと、やめなさいって、くすぐったいわよ、あ、は、は、は、は」

 

かさねも最初は恐れていたが、合ってすぐ仲良くなった。子虎たちも共に。

 

しばらくして、つむぎ、海野兄弟以外の一同は、茶の間で白炎と子虎たちにブラッシングをしていた。

 

雷牙「よし、よし、いい子だ、いい子だぞ、白炎」

 

白炎「がぅー」

 

白炎は、寝っころがり、腹をブラッシングされて、気持ちよさそうに口からべろを出していた。

 

そんな光景を見た、初たちは。

 

伊吹「白炎って!」

 

かさね「虎と言うよりも!」

 

初「猫みたいだね」

 

と言いつつ、驚いた表情を見せた。初たちも、雷牙が用意してくれた、哺乳瓶に入ったミルクを子虎たちに飲ませていた。

 

初「ねぇ、伊吹ちゃん、かさねちゃん」

 

伊吹「何よ、初?」

 

かあね「なんですか?」

 

初「なんかこうしていると、お母さんになった気分にならないかな」

 

かさね「まあ、そう言われると」

 

伊吹「そうね」

 

子虎4「にゃー、にゃー」

 

伊吹「あ、ちょっと、はい、はい、かわりますから」

 

そう言って、伊吹は子虎を変え、もう一匹の方にもミルクを飲ませた。

 

そして、飲ませ終わると同時に、日向が茶の間に入って来た。

 

日向「みな」

 

雷牙「兄さん」

 

日向「もうすぐ、夕飯ができるが、どうだ、食べていくか?」

 

伊吹「え!」

 

初「いいんですか、昨日ごちそうしてくれたばかりなのに!」

 

雷牙「ええ、大勢の方が、ご飯も美味しいですし」

 

かさね「それじゃ」

 

大吾「俺っち達も?」

 

雷牙「無論です」

 

大吾「やったぜー」

 

かさね「ごちそうさまです」

 

こうして、初、伊吹、大吾、かさねは、夕ご飯を食べるため、茶の間のテーブルに集まった。その中には、仲居見習いであるつむぎもいた。

 

かさね「むぎ姉も」

 

つむぎ「ええ、女将に食べてこいって」

 

そして、出された料理は、ビーフシチューだった。

 

初「うわぁー、美味しそう」

 

伊吹「この、料理って?」

 

我夢「ビーフシチューでございます」

 

かさね「ビーフシューですか」

 

七海「ええ、我ら兄弟で作りました」

 

一同「お、お、美味しー!」

 

つむぎ「プロ顔負けの味じゃない!」

 

かさね「深みがありますね」

 

大吾「たまんねー、俺、鍋一杯いけるわー」

 

雷牙「当たり前です、我夢」

 

日向「七海が」

 

真田兄弟「作ったのだから」

 

海野兄弟「喜んで食べていただけて恐縮です」

 

初「でも、どうしてこんなに美味しくできるの?」

 

七海「それは、肉を軽くあぶった後、野菜と共に、限界までじっくり三日三晩煮込んでいます」

 

我夢「そこに、香辛料と赤ワインを加えて、うま味をさらに凝縮させているのです」

 

一同「ほー」

 

食べ終わった一同は家に帰っていった。

 

次の日、雷牙達が山比古南学園に登校しようと、よろづよの外へと出ようした次の瞬間。女将の千歌に声を掛けられた。

 

千歌「ちょっと、待って、みんな」

 

雷牙「なんですか?」

 

日向「千歌殿?」

 

千歌「今朝、ラジオで聞いたんだけど、この辺で熊が出たみたいよ、だから気を付けて行ってらっしゃい」

 

我夢「はい、わかりました、気を付けて」

 

七海「行ってまいります」

 

こうして、雷牙達は山比古南学園へと登校するのだった。

 

山比古南学園では、新しい話題で騒がしかった。

 

大吾「おい、兄弟」

 

雷牙「なんですか、大吾殿」

 

大吾「今日、転校生が来るみたいだぜ、しかも、中等部、高等部、一緒に」

 

雷牙「なんと!」

 

次の瞬間。

 

カラスの群れ「かぁー、かぁー、かぁー」

 

外が騒がしいので、1,2,3年生全員が外を見ると、空には無数のカラスが飛んでいた。カラスたちは、綱を足で持ち、(綱の左右で同じ数になるよう調整してある)、その綱は束ねて板にくくりつけてあった。それを尻の下に敷けば、カラスを一斉に飛行させることで、空を飛べる仕組みになっているようだ。

 

それを見ていた、雷牙、日向、海野兄弟以外は、驚いた表情を見せた。

 

走「あれが…山比古…南学園…雷牙様が…いる…学校」

 

            つづく

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。